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最近は副業を認める企業が増加しているため、会社員として働く人の中にも、仕事終わりや休みの日を利用して副業をする人が増えています。しかし、副業をする人が増える中、副業で得ている収入について確定申告をせずに納税もしないなど、脱税にあたる行為も見られるようになりました。
副業をしている場合、一定以上の収入を得ているのであれば、確定申告をしなければなりません。副業をしている人は脱税の罪に問われることがないよう、副業の収入にかかる税金についてしっかりと理解しておくことが大切です。
今回は、副業の人が脱税を避けるために知っておきたい確定申告のさまざまなルールについてご説明します。
目次
副業をしている人の中には、アルバイトとして就業している人もいれば、フリーランスや個人事業主として仕事をしているケースもあります。副業をしている人も、一定以上の所得を得ている場合には確定申告をして税金を納めなければなりません。しかし、副業で得ている収入については確定申告をせず、納税をしていない人が少なくないとされています。
副業をしている人が確定申告をしない理由には次のようなものが考えられます。
副業の脱税が増えている背景の一つには、会社員は基本的に確定申告をする必要がないことが関係すると考えられます。確定申告の経験がないために、副業の収入について確定申告が必要になることを知らない、または必要性は理解していてもやり方が分からないというケースが多いのです。
副業をしている人の中には、確定申告の必要性を理解している人もいます。しかし、本当ならば休める時間を使ってせっかく副業でお金を稼いでいるのに、税金で手取りを減らしたくないと思うケースもあるようです。本業ではしっかり納税をしているのだから、副業の分は確定申告をしてもバレないし、脱税には当たらないだろうと思ってしまう人もいるのではと考えられます。
副業をしている人の中には、夜のお仕事に就いているケースも見られます。キャバクラやホストクラブ、ガールズバーなどで働いている人の場合、確定申告をすることで本業の会社に副業先がバレるのではと恐れるケースもあるようです。
何らかの理由でお金が必要な人などは、本業の会社が副業を禁止していても、空いている時間を利用して副業をしているケースがあります。そのような人の場合、副業分の確定申告をしたら本業の会社に副業がバレるのではないかと恐れ、確定申告をしないケースが少なくないのです。
副業をしている人の中で、脱税にあたるのは次のようなケースに該当する場合です。
副業でアルバイトをしている人の場合、年間20万円以上の所得を得ているときには確定申告をしなければなりません。反対に、副業で得ている所得が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
システムエンジニアやWebデザイナーなど、自宅で仕事をできる人の場合は、フリーランスとして仕事を受けるケースもあります。フリーランスの副業をしている人の場合も、年間20万円以上の所得を得ている場合、確定申告が必要です。ただし、Webデザインのために必要なソフトや副業のためのパソコンを購入した場合など、仕事のために必要となった支出については経費として収入から差し引くことができます。20万円以上は収入ではなく、収入から経費を差し引いた所得である点に注意しましょう。
キャバクラやホストクラブ、ガールズバー、スナックなど、副業として夜の仕事に就いている人も年間20万円以上の所得を得ている場合に確定申告が必要です。確定申告をしない場合、脱税に該当する恐れがありますが、確定申告をした場合でも住民税の納付方法を「自分で納付」を選択することで、本業の会社にバレることは防げます。
副業で年間20万円以上の所得を得ているにも関わらず確定申告をしていない場合、正しく納税をしていない、脱税に該当する恐れもあります。副業の確定申告をしない場合のリスクをご紹介します。
副業の確定申告をしていない場合、税務調査の対象として選ばれる可能性が高くなります。税務調査とは、税金を正しく納税しているかをチェックし、不正や誤りなどが見られた場合に正しい納税を促す調査のことです。一般的には、税務署の調査官による任意調査と呼ばれる税務調査が実施されますが、脱税が疑われる悪質な場合には国税局査察官が調査を担当する可能性があります。
任意調査が実施される際には、税務署から事前通知があり、税務調査の実施日時や調査対象期間などが伝えられます。税務調査では帳簿などを確認しながらお金の動きを調べられることになるため、原則として、納税者の立ち会いが必要です。そのため、税務調査の実施日には、本業の会社はもちろん、副業も休む必要があるでしょう。
また、意図的な所得の隠蔽など、脱税が疑われる場合に実施される強制調査の場合、事前通知がなされることはありません。国税局の査察官が裁判所の令状を持って事前連絡なしに現れ、関係書類などを押収します。突然、査察官が現れることになるため、本業も急に休みを取らざるを得ない状況になるでしょう。
無申告加算税は、確定申告をしなかったことに対するペナルティとして課される税金です。税務調査によって、副業分の確定申告がなされていないことが発覚すれば、無申告加算税が課されます。
無申告加算税の税率は、納付する税額が50万円までの部分については15%、50万円を超え300万円未満までは20%、300万円を超える部分については30%となります。
例えば、副業で納付すべき税額が100万円であったと仮定したとき、確定申告をしない場合、50万円分の15%である7万5,000円、残りの50万円の20%である10万円が加算されるため、合計117万5,000円の納税が必要になるのです。本来、100万円の納税で済んだところ、確定申告をしない場合には17万5,000円も増えることになります。
延滞税は、納税が遅れたことに対するペナルティとして課される税金です。延滞税は、納税が完了するまで日割りで課され続けることになるため、納税が遅れれば遅れるほど延滞税も高くなります。令和7年の延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは2.4%、それ以降については8.7%です。
脱税とは、悪いことであると知りながら、税金をごまかし、納税額を低く抑えたり、納税をしなかったりする行為のことです。副業で多額の所得を得ており、確定申告の必要性を理解していたにも関わらず、確定申告をしていなかった場合は、脱税に該当します。その場合、無申告加算税ではなく、より税率の重い重加算税の納税が求められます。無申告加算税に代えて課せられる場合の重加算税の税率は、40%です。副業の脱税が認められると、本来納めるべき税金の140%もの税金を納めなければならなくなるのです。
確定申告をしなければならないことを知りながら多額の所得を申告せず、税金を納めてこなかった場合などは、脱税の罪で告発される可能性があります。裁判で所得税法違反の罪が確定すると、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれの両方が科せられることになるのです。たとえ執行猶予付きの判決が下された場合であっても、所得税法違反の罪は消えません。副業の確定申告をしなかったことによって、脱税による前科が付いてしまうことになります。
副業の確定申告をしていない人の中には、副業の税金については納税をしなくてもきっとバレないだろうと思っている人が少なくありません。しかし、税務署ではさまざまな手段で情報を収集しており、副業の脱税についてもバレる可能性が高くなっています。
副業の脱税がバレる理由を4つご紹介します。
キャバクラやホスト、スナックなどの水商売の業種は、脱税が多い業種として知られています。そのため、これらの業種で副業をしている場合、お店に税務調査が入る可能性があります。お店に税務調査が入る場合、経費を正しく計上しているかを調べるために働いているキャストに支払っている報酬についてもチェックがなされるのです。その際、報酬を受け取っているにも関わらず、キャストが納税をしていないことが発覚すれば、キャストも脱税をしているのではと疑われることになります。
企業には、支払い調書の提出義務があります。支払い調書は、法人や個人事業主に対して報酬を支払った場合に、支払先の情報や金額などを記録する書類です。フリーランスでWebサイトのデザインやシステム設計などを受け取っている場合、クライアント企業は税務署に支払い調書を提出しています。しかし、副業で報酬を受け取っている人が確定申告を行っていない場合、脱税の疑いが強まるのです。
第三者からの密告で脱税がバレるケースは少なくありません。税金を納めていない、不正に税金逃れをしているなど、第三者から脱税の疑いがある法人や人物についての情報が伝わると、税務署では情報を元にした調査を行います。
正しく納税している人にとって、不正に税金を逃れようとしている人の行動は許しがたいものです。そのため、第三者からの密告で脱税がバレるケースは決して少なくありません。現在は、電話だけでなく、Webサイトからも脱税の情報を匿名で通報できるフォームが用意されているため、身元を明かすことなく脱税情報を通報できるような仕組みが作られています。
副業で収入を得ていると生活が派手になるケースも少なくありません。そのため同僚が不審に思うケースもあるでしょう。飲み会の場などで、副業について話をした際、確定申告はしていないと口を滑らせてしまうと、話を耳にした誰かが税務署に密告する可能性も考えられます。
税務署では、SNSの情報もチェックしています。ブランド物を頻繁に購入したり、タワーマンションで優雅な生活をしている様子、海外の高級リゾートなどに頻繁に訪れている様子などがアップされていると、どこからその資金が捻出されているのか調査されることになります。本業の所得については会社から納税されているものの、本業の所得だけではそのような生活は難しいと考えられる場合、副業などでの収入があるはずだと疑われるのです。その結果、税務調査が行われ、副業の脱税が発覚するケースもあります。
副業で年間20万円以上の所得を得ているにもかかわらず、確定申告をしていない人は、税務調査が入る前に早めに期限後申告をしましょう。期限後申告とは、確定申告の時期を過ぎて申告を行うことです。
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合、無申告加算税は5%に軽減されます。税務調査によって無申告を指摘された場合に課せられる無申告加算税の税率は15%~30%です。事前通知前に期限後申告を行うとこの税率を5%にまで低減できるのです。また、自主的に期限後申告を行い、副業の所得についても納税を行えば、脱税に問われることもありません。副業の確定申告をしていない場合には、早めに期限後申告を行うようにしましょう。
副業で年間20万円以上の所得を得ている場合には、副業の所得について確定申告をし、税金を納める必要があります。確定申告の必要性を理解していながら副業の確定申告をしていない場合、脱税の罪に問われる恐れも出てきます。脱税の場合は、無申告加算税よりさらに税率の重い重加算税が課せられ、さらに、罰金や懲役も科せられることとなります。
税務署ではさまざまな情報を駆使し、不正に納税をしていない人の情報をキャッチしています。副業で正しく納税をしていない場合、いずれ税務署にバレることになるでしょう。脱税罪に問われ、後悔する前に、早めに期限後申告を行うようにしましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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