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KSK(国税総合管理)システムとは?活用方法や相続税の税務調査対策を解説
「KSKシステム」と呼ばれる納税者の過去の申告状況や納税情報を管理するコンピュータシステムは、相続税の税務調査先の選定にも利用されているため、気になる方もいるでしょう。
税務署側の業務効率化にも役立つだけでなく納税者にもメリットがあるKSKシステムとは、いったいどのようなものでしょうか。
本記事では、KSKシステムの税務調査での活用方法やメリット、相続税の税務調査を回避する方法について解説します。
結論として、KSKシステムによって納税者が過去の申告データや様々な情報が管理されているため、脱税行為を見逃しません。
税務調査の対象とならないためにも、ぜひこの記事を参考に知識を得ていただけたらと思います。
相続税の税務調査
相続税の税務調査は、相続税を正しく申告したかを確認するために税務署が行うものです。
以下のように、相続に関わる様々な情報を入手します。
- 預貯金の流れ
- 不動産の保有状況
- 株式や国債などの保有状況や履歴
- 生命保険 など
これらと申告内容とのズレがないかチェックし、不審な点があると調査に入ります。
相続税の税務調査の対象となりやすい人
税務調査は、所得税や法人税など様々な税の申告に対して行われますが、中でも相続税は高額になりやすいため、税務調査の対象にされやすいと言われています。
相続税に関して税務調査が入りやすい具体的なケースは以下の通りです。
- 税理士に依頼せず相続税の申告書を作成
- 相続税がかかるのに相続税申告をしていない
- 相続財産の額が多い
- 海外資産が多い
それぞれ詳しく解説していきます。
税理士に依頼せず相続税の申告書を作成
税の専門家である税理士が関与していない申告書は財産評価や税額計算、特例の適用などに不備がある可能性が高く、税務調査の対象となりやすいです。
そのため、税務調査が入る確率を減らしたい場合は、相続税の申告書を作成する際に税理士に依頼すると良いでしょう。
ただし、相続税を専門としていない税理士が申告書を作成した場合も、知識やノウハウに乏しく、計算を誤ってしまう場合があるので注意が必要です。
相続税がかかるのに相続税申告をしていない
相続税申告をしていない場合も税務調査が入る場合があります。
控除などによって相続税がかからないケースが多くありますが、相続財産の算入漏れがあったり、控除が正しく計算されていなかったりすると、それを確認するために税務調査が行われます。
調査の結果、実は相続税がかかるはずだったということもあるため、ペナルティを課されないためにも注意が必要です。
相続財産の額が多い
相続税の納税額と遺産総額が多ければ、正しく申告していたとしても税務調査が行われるケースがあり、目安としては2億円を超えると疑わしいものがなくても積極的に税務調査が行われる傾向にあります。
高額な遺産がある場合は、計算ミスや算出漏れの可能性が高くなるのです。
相続財産が多ければ多いほど、追徴課税が大きくなるため、税務署も積極的に税務調査に入るでしょう。
海外資産が多い
相続財産の中に海外資産が多ければ税務調査の対象となることがあります。
国外での財産形成は税務署も把握しにくいだろうと、相続税を免れるために外国の預金口座に送金するという悪質な隠蔽行為がありますが、国外送金等調書で高額な海外送金も税務署は把握できるのです。
100万円を超える海外送金があった場合は各金融機関から税務署へ国外送金等調書が提出されるほか、国外財産調書の提出義務化などの制度もあり、税務署では国外財産を保有する人を重点的に調査対象としています。
相続税の税務調査にも活用される「KSKシステム」とは
国税総合管理システム (KSKシステム)とは、全国12ヶ所の国税局と524の税務署をネットワークで結び、納税者の申告・納税に関する全記録をを一元的に管理するコンピュータシステムを指します。
申告者の情報を入力して記録を管理するだけでなく、これらを分析して税務調査や滞納整理に活用するなどし、税務行政の根幹となる各種税務処理の高度化・効率化に役立っているのです。
KSKシステムはいつから?
KSKシステムは、平成7年1月から試行を開始しました。
その後順次導入局署を拡大し、平成13年11月に全国運用がスタートしており、すでに20年以上の運用実績があります。
相続税の税務調査では、生前贈与の実態を調べるためにも過去に遡って調べる必要があり、KSKシステムを活用すると20年以上も前の納税者情報を把握できるのが強みです。
KSKシステムの活用方法
KSKシステムは、過去の税申告に関するデータが蓄積されているため、税務署は税務調査の対象を選定するためにこのシステムを活用します。
特に、相続税に関しては納税者に対して申告の必要性を伝えるほか、相続税申告を査定する際にもこのシステムが役立つのです。
ここでは、KSKシステムの活用例をご紹介します。
税務調査での活用の例
KSKシステムを活用すれば、所得税額から考慮して所得が多くなった人をシステムによって振り分け、対象者を絞り込むなど、税務調査対象者の選定ができるほか、滞納整理対象事案の抽出などを自動で行えるようになります。
さらにKSKシステムは、様々な基準で申告内容等の分析し、選定結果を客観的にスコア化するので、そのスコアリング結果を税務調査先の選定に役立てています。
統括国税調査官は日々様々な業務に忙殺されがちで、税務調査先の選定に多くの時間をかけられないため、このシステムが役割の一部を担っているのです。
相続税での活用の例
相続税などに関しては、被相続人の死亡の事実が各市区町村役場からの通知が税務署に入ります。
ここで税務署はKSKシステムを使って所得税や固定資産税などの過去の申告データを調べ、収入が多かったり不動産所得のあったりした相続人へ、「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告等についてのご案内」といった申告案内を出すのです。
そして、相続人からの相続税申告を査定する際、被相続人の収入や資産と比較して、明らかに相続税額が低いと判断されると税務調査の対象になります。
「相続税についてのお知らせ」とは
税務署が送付する、「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告等についてのご案内」は、どちらも相続税が発生しそうな人を対象にしているものの、前者は緊迫度が低く、広範囲を対象に相続税の意義を周知する目的で送付しています。
被相続人が亡くなり、相続が開始してから半年ほど経った頃に税務署から送られてくるケースが多いです。
「相続税についてのお知らせ」が届いたら、相続税申告の必要があるかどうかを確認し、申告書を作成して税務署に提出する必要があります。
「相続税の申告等についてのご案内」とは
「相続税の申告等についてのご案内」は、相続税がかかる可能性がより高いと判断された人にのみ送付されるものです。
大きめの封筒に以下の書類が入っています。
- 相続税のあらまし
- 申告要否検討表
- チェックシート
これをもとに相続税がかかるかどうかを確認し、提出するよう求める内容となっていますが、必ず回答しなければならないという法的な義務はありません。
しかし、税務署側は回答しなかった者に対して脱税を疑う可能性が高いため、速やかに回答するか、税理士に相談するのが望ましいです。
KSKシステムのメリット
KSKシステムは、税務署側の業務効率化等に役立つだけでなく、納税者側にもメリットがあります。
ここでは、税務署側と納税者側それぞれのメリットを紹介していきます。
KSKシステム税務署側のメリット
税務署がKSKシステムを活用することで、以下のメリットがあります。
- 税務処理業務が効率化する
- 税務調査の対象を選定する作業が効率化する
- 相続税に関する情報照会が早い
- 相続税納税対象者を絞り込むことができる
KSKシステムにより、税務署は被相続人だけでなく相続人である家族などの情報も細かく把握することができます。
そのため、業務が効率化するほか、被相続人の資産や収入に比べて相続税額が多い・少ないなどの当たりがつけられ、対象者を絞り込めるのです。
KSKシステム納税者側のメリット
納税者にとっても、税務手続きを正確、簡単に行えるというメリットがあります。
具体的には以下の通りです。
- 「相続税についてのお願い」送付により把握していない財産を認識できる
- 過去の納税記録への照会、証明書の発行などがスムーズに行われる
- 還付金の振込にかかる時間が短縮される
納税者が申告した内容もシステムに迅速に反映されるため、払いすぎた税金の還付金の振込や納税証明書の発行にかかる時間が短縮されます。
相続税の税務調査を回避する方法
税務調査で申告漏れなどが指摘されると、相続税だけでなく加算税や延滞税を納めなければならないため、相続人の負担が増えてしまいます。
そのため、税務調査を受けないためにあらかじめ対策をとっておく必要があるのです。
ここでは、相続税の税務調査を回避するための対策方法をご紹介します。
正しく申告する
相続税の税務調査を回避するために重要視しなければならないのは、相続税の申告に漏れやミスがないかを確認し、正しく申告・納税することです。
相続するものが多いほど、相続財産の申告に漏れや財産評価、税額計算などが複雑になり、誤りが生じやすくなるため、複数回チェックするほか、不安な場合は税理士に依頼して申告書を作成すると良いでしょう。
相続財産の金額や内容がわかる資料も添付しておくと安心です。
被相続人の財産を把握しておく
相続人が被相続人の財産を正確に把握していないために、相続税の申告漏れが発生する可能性があります。
配偶者でも分からない預貯金口座があったり、誰かとお金の貸し借りをしていたりするケースもあるので、注意が必要です。
そのため、家族が生前に本人に財産目録を作るよう働きかけるなど、生前から被相続人の財産をできるだけ把握できるよう努めるようにしましょう。
相続税に強い税理士に依頼する
申告書の作成を税理士に依頼すると、申告書に税理士の署名も入るため、税務署からの信頼度が高まります。
そのため、申告漏れなどを防ぐためにも税理士に依頼するのが望ましいですが、税理士といっても専門分野が異なるため、相続税に強い税理士を選定するのがおすすめです。
相続税に詳しい税理士に依頼すれば、税務調査を受ける確率がより低くなるでしょう。
生前贈与した場合は証拠を残しておく
生前贈与で財産を配偶者や子どもに分けておき、相続財産を少なくすると相続税対策になります。
しかし、生前贈与を行う場合、その証拠を残しておかなければ証明できず、税務署に疑われて税務調査が入ることもあるのです。
特に、現金を手渡しで贈与してしまうと記録に残らないため、たとえ家族であっても契約書を作成したり、銀行振込で証拠を残したりするのが有効です。
相続に関するやり取りを残しておく
相続について、被相続人と相続人との間でやり取りする場合、それを記録として残しておくことも重要です。
口約束で済ませてしまうと誰が何をもらったのか、どのくらいもらったのかが証明できず、税務署から疑われる場合があります。
相続人が納める相続税額が決まる大切な過程であるため、正しい額を申告・納税したことを証明するためにも、やり取りは形に残しておきましょう。
対策をして相続税に関する税務調査のリスクを減らそう
税務署はKSKシステムを活用して、税務調査の対象者を割り出す場合もあります。
特に納める税が高額になりやすい相続税に関しては税務署に疑われやすく、相続するものが多いほど、申告に漏れやミスが起こりやすくなり、税務調査が入る可能性が高いです。
しかし、生前贈与を受けるときや相続税を申告するときに対策をとっておけば、税務調査を受ける確率を低くできますし、万が一税務調査を受けることになっても問題なく済ませられるでしょう。
ぜひこの記事を参考にKSKシステムや相続税への活用、税務調査の対策方法を理解し、役立てていただけたら幸いです。
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引越しをしても税務調査はなくならない!住所変更後の管轄や税務調査対策について解説
個人・法人に対して行われる税務調査において、「調査前に納税地の変更をすると税務調査がなくなる」
このように聞いたことがあり、引越しをすれば税務調査逃れができるのではないかと考える人もいるのではないでしょうか。
本記事では、申告後に会社を移転した場合の税務調査について解説します。
結論として、令和3年の法改正により、会社の所在地が変わったからといって税務調査から逃れられるということはありません。
税務調査の管轄となる部署や法改正について、さらに税務調査の流れや指摘されないための対策についても詳しく説明していきますので、税務調査に不安を感じている方はぜひこの記事を参考に、適切な税務調査対策を行いましょう。
税務調査とは
そもそも税務調査とは、国税局や税務署により、個人や法人が収入や所得、納税額などを税法通りに正しく申告しているかを確認する一連の流れを指します。
税務調査の主な目的は、税金の適正かつ公平な徴収であり、第三者の確認によって正しい申告と国の税収を確保しているのです。
万が一税務調査で申告内容に間違いや不正があると判断された場合は、適切な納税額への修正が指示または指導され、内容に応じてペナルティなどが課されます。
税務調査は拒否できる?
税務調査には、強制調査と任意調査の2種類の調査がありますが、任意調査といっても納税者が拒否できるものではありません。
正当な理由なく税務調査を拒否すれば罰則の対象となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があるので注意が必要です。
とはいえ、調査官の言うことを全て聞く必要はなく、意図的に不正をしているのでなければ過度に恐れず、主張すべき点は主張するようにしましょう。
税務調査はどこが行うのか
税務調査を行うのは基本的に、管轄する税務署によって行われます。
そのため、税務調査で調査に訪れる調査員は基本的に税務署の職員です。
税務署は全国に524ヵ所に設置されており、管轄する税務署は、会社の所在地(登記場所)で決まっており、国税の申告書を提出する税務署と同じになります。
会社の規模によっては特官部門が担当になる
会社の規模によって、税務調査の管轄が変わるケースもあるのです。
売上金額が大きいなど、ある一定の基準を超えると、税務署の中でも特別国税調査官、いわゆる「特官(とっかん)」が税務調査の担当になります。
特官管轄になる基準は税務署ごとにことなるため、一概には言えませんが、比較的規模の大きい会社は通常よりも深い税務調査が必要となるため、能力が高いとされる特官が調査するという仕組みになっているのです。
国税局が税務調査を行うこともある
税務調査は必ずしも税務署が管轄するわけではなく、資本金が1億円以上の法人については、原則として管轄が国税局となります。(沖縄国税事務所の管轄区域は資本金5,000万円以上)
一般的に、税務署よりも国税局の税務調査の方が厳しいとされており、具体的には以下の傾向があります。
- 調査日数が長い
- 否認項目が細かい・譲らない
- 税務署より更正を安易に行ってくる
このように、信用力を得るために資本金額を高く設定するケースもありますが、税務調査を国税局が管轄となると、レベルの高い厳格な調査となりやすいため、覚悟が必要であり、様々な面を考慮して資本金額を設定する必要があるのです。
会社を移転したら税務調査から逃れられる?
法人が本社を移転したり、個人事業主が引越しするなどして管轄税務署が変わったら、税務調査はなくなるのか気になる方もいるでしょう。
そもそも、会社がこれまでの管轄から離れた場所に移転した場合、税務調査を受ける管轄税務署はどうなるのでしょうか。
ここでは、会社を移転した場合の管轄税務署について、そして管轄税務署が変わった場合の税務調査について説明していきます。
以前は引越しにより税務調査を行う管轄税務署が変わっていた
基本的に税務署は地域ごとにブロック分けされており、以前の法令では税務調査の管轄は、税務調査時の本店所在地と定められていました。
そのため、申告書を提出した後に会社を移転し、その後税務調査になるケースでは、同じ管轄内で引越しや会社移転が行われた場合は同じ税務署の調査官が携わり、管轄外に移転や引越しをした場合は、新しく管轄になった税務署が税務調査を行っていたのです。
これでは、税務調査に関して引越し前と後で十分な引き継ぎが行われない可能性もあるため、税務調査逃れのために移転や引越しを繰り返す悪質な行為が行われることもありました。
実際に税務調査逃れのために悪用されたケース
実際にこの法令を悪用し、税務調査を受けた会社が、意図的に会社の所在地を移転するケースも多くありました。
原則として納税地となる国税局や税務署の職員だけが質問検査権を使うことができていたため、それを悪用した調査逃れで、納税地が変わったことで税務調査もなくなるという事例もあったのです。
現在は管轄税務署が変わっても税務調査はなくならない
前述したような税務調査逃れのための引越しや移転は、令和3年7月1日以降の国税通則法(第74条の2)という税法の改正により通用しなくなりました。
法人税等についての調査通知があった後にその納税地に異動があった場合、異動前の税務署長が必要であると認めるときは、旧納税地の所轄税務署の職員は、その異動後の納税地の所轄税務署の職員に代わり、その法人税等に関する調査に係る納税義務者等に対し、質問検査権の行使をすることができる
改正後の税務調査に関する法令は、引越し前に管轄であった税務署が、引越し後の地域で管轄外となっても、引き続き税務調査が行えるというものです。
これは、税務調査逃れのために引越しや移転を繰り返す個人・法人を封じる目的で改正されたとされています。
そのため、引越しによって税務調査がなくなるわけではないので必ず正しく申告するようにしましょう。
税務調査の主な流れ
税務調査は必ずしも疑わしい会社にだけ入るわけではないため、過度に恐れる必要はなく、税務調査の流れを把握しておけば適切な準備をしておけますし、当日も落ち着いて対応できるはずです。
個人・法人に入る税務調査の主な流れは以下の通りです。
- 税務署からの事前通知
- 調査実施日の日程調整
- 必要な書類を揃える
- 税務調査当日
- 税務署の指摘に回答する
- 税務調査結果の連絡
万が一税務調査の対象となった場合に備えて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 税務署からの事前通知
国税通則法においては、税務調査の対象となる納税者に対して、事前通知を行うように定められています。
事前通知によって税務調査に支障をきたす恐れがあるケースを除き、はじめに税務署から調査対象となる個人・法人に対し、電話や書面にて税務調査を行う旨の連絡が入り、調査内容についてもあらかじめ伝えられるのが一般的です。
また、顧問弁護士税理士がいる場合は税理士に対しても同様の通知が行われます。
② 調査実施日の日程調整
事前通知にて調査内容や対象となる科目、帳簿書類とともに税務調査をはじめる日時についても知らされ、税務署側との日程調整を行います。
税務調査自体は拒否できませんが、病気やケガなどのやむを得ない事情がある場合には日程変更が可能です。
また、顧問税理士に税務調査に立ち会ってもらう場合は、税理士の予定を確認したうえで日程を調整しましょう。
③必要な書類を揃える
税務調査が行われる前にも、調査に必要な書類を不備のないように準備しておきます。
多くのケースでは過去3年分の税務申告について調査が行われますが、5年分の調査が行われる場合もあります。
税務調査で提示や提出を求められるものは主に以下の通りです。
- 申告書類
- 帳簿類
- 請求書や領収証など
- 源泉徴収票など給与に関する書類
揃えた書類については事前に顧問弁護士に漏れや不備がないか確認しておくと安心できます。
すぐに取り出せるよう丁寧にファイリングしておくのがおすすめです。
④税務調査当日
税務調査当日は、担当の税務調査官がオフィスや店舗などを訪れ、1〜3日ほどにわたって調査が行われます。
顧問弁護士がいる場合は一緒に税務調査に立ち会ってもらうのが一般的です。
基本的には帳簿類の確認などのほかにヒアリングが行われますが、雑談のようなかたちで趣味やプライベートな質問をされることもあります。
しかし、このような関係のない会話も含め、全て税務調査官の意図があって聞かれる場合が多いため、回答には十分注意しなければなりません。
⑤税務署の指摘に回答する
税務調査官の訪問が終わると、当日の調査を踏まえて税務署から指摘や質問があるため、それに対する回答をしたり資料を準備したりします。
顧問弁護士がいる場合は基本的に税理士が交渉するため、それほど心配いりません。
⑥税務調査結果の連絡
税務調査からおよそ1ヶ月程度で調査結果が通達され、基本的に、以下の3パターンがあります。
- 申告是認
- 修正申告
- 更正
申告是認というのは、申告内容に誤りや不審な点がなく、正しく納税されていることを証明できた場合の結果で、そこで調査が終了します。
しかし、申告内容に誤りがあった場合は「修正申告」を求められ、税務署の指摘に納得できず、修正申告を出さない場合は、「更正」といって税務署が各税法の規定を根拠に行なう課税処分が行われます。
税務調査は対策すれば怖くない!調査をスムーズに進めるための注意点
税務調査によって加算税などのペナルティが課されることもあるため、調査が入るのを恐れている人も多いかと思います。
最後に、税務調査をスムーズに進めるために注意しておきたいポイントについて説明していきますので、対策をとっておきましょう。
適切な対応を心がける
税務調査で調査官から受けた質問に対し、誠実に、かつ正直に事実を答えることが大切です。
調査官に委縮してしまい、受け答えが曖昧になったり、適当に返答していると、調査官に不信感を与える恐れがあります。
過剰にへりくだった対応をしたり、もてなしたりする必要はありませんが、過度に恐れず、社会人として適切な対応をするように心がけましょう。
また、税務調査で質問されたことはその場ですぐ答える必要はないため、わからない場合は曖昧な返答をせず、後日回答すると伝えるのが有効です。
受け答えは一貫性を重視する
税務調査官からの質問は多岐に渡りますが、質問によって受け答えをころころ変えてしまうと辻褄が合わなくなり、疑われる原因となります。
そのため、質問に対しては一貫性を意識しながら疑われないような受け答えをするようにしましょう。
その点、税理士に依頼すれば、これまでの経験を踏まえながらうまく対応してもらえるため、顧問弁護士との連携をとることも重要です。
誤りを発見した場合は税務調査前に修正申告をする
税務調査前に帳簿等の確認をしていると、申告内容の誤りを見つける場合もあるでしょう。
このような場合は、税務調査が行われる前に修正申告をするのが望ましいです。
なぜなら、税務調査によって税務署から指摘を受けてから修正すると、自主的に修正するよりもペナルティが重くなってしまうからです。
万が一、修正申告が税務調査までに間に合わない場合は、調査日程の延期を申し出るという方法もあります。
顧問税理士に依頼する
税務調査に不安を抱えている場合は顧問税理士をつけるのがおすすめです。
税の専門家である税理士を活用すれば、申告内容のミスや漏れが少ないと判断されやすく、税務調査の対象となりにくくなり、たとえ税務調査が入ることになってもサポートを受けられるほか、節税対策や資金繰りの相談など、事業を行ううえで多くのメリットがあります。
そのため、税理士を活用していない個人や法人は検討してみると良いでしょう。
引越ししても税務調査逃れはできない
改正後の税務調査に関する法令によると、引越し前に管轄であった税務署が、引越し後の地域で管轄外となったとしても、引き続き税務調査が行えるため、会社を移転したからといって税務調査から逃れることは不可能です。
そのため、税務調査に来てほしくないのであれば、正確な申告・納税を心がけ、必要があれば税理士に依頼するなどの対策をとっておくようにしましょう。
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キックバックを申告しないと税務調査で指摘される?税務調査の対象になっている理由も解説
キックバックを申告しないと税務調査で指摘対象になります。
本記事では「キックバックを申告しないと税務調査で指摘されるか?」について紹介します。
他にも「キックバックが税務調査の対象になっている理由」や「キックバックが重加算税の課税対象になってしまうケース」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、キックバックについて理解を深めてみてください。
キックバックとは?
キックバックとは、商品やサービスを取り扱ってくれる販売店に対して、販売促進のために渡される「謝礼金」や「報奨金」のことを指します。
例えば、販売店が一定の販売目標を達成した場合、売上の一定割合を販売奨励金として返還する契約をあらかじめ結ぶなどが挙げられます。
販売店にとって目標達成の意欲を高め、自社の商品やサービスの売上拡大を狙えるというメリットが挙げられます。
販売する側についても、報奨金を得ることができ、提供する側には売上の増加が期待できるため、双方にとって利益がある仕組みといえます。
キャッシュバックとの違い
キャッシュバックとは、特定の条件を満たした際に、商品やサービスを購入した消費者に対して、購入額の一部が返金される仕組みを指します。
購入金額の一部が返金される点では、キックバックと共通している部分もあります。
しかしながら、キックバックは主に企業間の取引で使われるのに対して、キャッシュバックは一般的に小売店と消費者の間でおこなわれる取引に利用されるという明確な違いがあります。
リベートとの違い
リベートは、取引において仕入額や売上額に応じて、一定の金額や割合が返金される仕組みを指しています。
キックバックとリベートは、会計の視点から見ると、両者に大きな違いはありません。
また、資金の流れに関しても、リベートとキックバックの間に大きな相違は見られません。
しかし、一般的にはリベートという言葉の方が使用されることが多く、キックバックよりも好意的な印象を持たれている傾向にあります。
キックバックのメリット・デメリット
ビジネスを有利に進めるためには、キックバックを効果的に活用することが重要です。
しかし、キックバックにはデメリットがあるのも事実です。
以下にて、キックバックのメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
キックバックを上手に活用することで、取引先との関係をより良好に築くことが可能です。
例えば、取引先に有利な条件を提示することで、商品を多く購入してもらえたり、販売スペースの確保や拡大が期待できます。
また、競合他社よりも優位に立つチャンスが高まります。
仕入側にとってもリベートやキックバックが提示されれば、仕入れコストの削減に繋がります。
さらに、単にコスト削減だけでなく、取引先からノウハウの提供など、付加価値が得られることも考えられます。
デメリット
キックバックを活用すると、払い戻し業務が発生してしまうデメリットが挙げられます。
払い戻し業務では、主に経理部門が関与し、手続きが増えてしまい、負担が増大することが難点です。
実際に、キックバックの件数が増えてしまうと、その分負担も比例して大きくなります。
また、資金の流れが複雑になってしまうので、状況に応じた正確な処理が求められます。
会計処理や勘定科目にミスが生じると、さまざまな問題が発生する可能性があり、延滞税や重加算税などのリスクがあるのも事実です。
さらに、会社によって異なりますが、キックバックの設定が現場に任されることがあるので、管理が難しいというデメリットも挙げられます。
キックバックを申告しないと税務調査で指摘される?
キックバックを申告しないと税務調査で指摘対象になります。
具体的なキックバックを申告しないと税務調査で指摘される理由については、以下の2つが挙げられます。
- 会計処理に問題があると指摘される
- 従業員が受け取った場合も指摘対象
それぞれの理由について解説していきます。
会計処理に問題があると指摘される
キックバックは、会計処理上の割戻に分類されるので、キックバック自体は違法な取引ではありませんが、会計処理に問題があると税務調査で指摘対象になってしまいます。
事前に契約を結んでおけば、取引金額に応じた支払いも可能ですが、企業間取引においてキックバックが発生した場合、正確な会計処理が求められます。
お金の流れに関わる部分になるので、不正確な処理がおこなわれれば、税務調査で問題視されるリスクが高くなるのも事実です。
また、税務調査で疑念を持たれると大きな問題に発展してしまう可能性も考えられます。
さらに、キックバックという言葉が独り歩きしてしまうと、企業の社会的信用が揺らぐ可能性もあるので、適切な会計処理を徹底することが非常に重要です。
従業員が受け取った場合も指摘対象
キックバックが個別の従業員が裏で金銭を受け取っている場合は、税務調査で問題視される可能性があります。
従業員が個人的に受け取った金額だったとしても、企業が受け取ったものと判断され、税務調査の対象となり、追加の税負担が生じるケースもあります。
リスクを避けるためには、従業員が不正な取引をおこなわないよう、企業全体でコンプライアンスを強化することが重要です。
キックバックが税務調査の対象になっている理由
キックバックが税務調査の対象になっている理由については、以下の2つが挙げられます。
- 脱税目的で利用されやすい
- 計上時期が間違いやすい
それぞれの理由について解説していきます。
脱税目的で利用されやすい
キックバックが税務調査の対象になっている理由の一つに、裏取引に利用されることが挙げられます。
キックバックの発生は取引によって異なり、条件が明確でない場合があります。
契約書にキックバックの詳細が記載されていなければ、キックバックで得た金額を売上から除外しやすくなるのも事実です。
また、支払ったキックバックの金額を過大に計上することで、経費を水増しすることも可能です。
このように、契約書に記載されないことを利用して、脱税などの不正行為に悪用されやすい特性があるので、税務調査ではキックバックの実態が確認されることが多くみられます。
計上時期が間違いやすい
税務調査においては、売上や経費の計上時期について指摘されるケースは多くみられます。
特に仕入割戻に関しては、割戻の通知がおこなわれた時点で計上するのが基本とされています。
そのため、事業年度を越えて割戻金の通知を受けた場合、仕入割戻は翌年度の収益として計上することが求められます。
しかし、契約書において割戻の算定基準が明確に記載されている場合については、キックバックがおこなわれた年度内に割戻を計上することが可能です。
税務署がキックバックの申告漏れを把握する方法
税務署は、税務調査を実施する際に、キックバックに関する申告漏れを発見することがありますが、調査に入る前から既に脱税などの情報を掴んでいる場合もあります。
具体的に、税務署がキックバックの申告漏れを把握する方法については、以下が挙げられます。
- 内部資料
- 反面調査
- 取引相手や下請会社との連動調査
それぞれの方法について解説していきます。
内部資料
税務署は、所得税法や租税特別措置法などの法律に基づいて、法定調書の提出を義務付けているので、内部資料によってキックバックの申告漏れを把握することができます。
金融機関にも適用されているので、取引先と共謀して不正行為をおこなったとしても、異なる視点から情報が集められ、税務調査によって脱税が発覚する可能性が高くなります。
また、法定調書には、「給与所得の源泉徴収票」や「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」など、約60種類が存在し、提出された調書には取引内容や取引相手に関する詳細な情報が記載されています。
万が一、これらの取引が正確に申告されていない場合、申告漏れとして指摘を受ける可能性が高くなるのも事実です。
さらに、法定調書の内容と申告された情報に食い違いがある場合、税務署はその実態を明らかにするために調査をおこなうことも少なくありません。
反面調査
税務調査は、対象となる事業者に対して実施されますが、申告内容や申告書の作成根拠となった資料の信憑性を確認するために、現地調査後に反面調査がおこなわれるケースもあります。
反面調査とは、取引先や金融機関などの関連する第三者に対しておこなう調査のことです。
実際に、取引先だけでなく、銀行口座の入出金履歴などからも不正なリベートが判明することもあります。
反面調査で新たな事実が明らかになった場合は、再度、現地調査が行われ、キックバックに関する詳細な追及を受けることになります。
取引相手や下請会社との連動調査
税務署は、取引先との共謀によって脱税行為を実施されるケースも想定して、税務調査は取引相手や下請会社との連動調査がおこなわれる場合があります。
具体的には、下請け企業が税務調査を受けた際に、キックバックに関連する経費の不正な水増しが発覚した場合、元請け企業のキックバックの申告状況についても調査がおこなわれます。
適切に申告されていれば問題はありませんが、売上からキックバックを除外したり、過少申告が発見された場合には、単なる誤りの指摘だけではなく、脱税と判断されてしまいます。
キックバックが重加算税の課税対象になってしまうケース
キックバックが重加算税の課税対象になってしまうケースを把握しておくことで、税務署からペナルティが課せられてしまうのを防ぐことにもつながります。
具体的なキックバックが重加算税の課税対象になってしまうケースについては、以下の2つが挙げられます。
- 申告内容の隠蔽
- 税務調査での虚偽答弁
それぞれのケースについて解説していきます。
申告内容の隠蔽
税務調査においては、申告内容に誤りがないかどうかの確認だけでなく、隠蔽行為がおこなわれていたかどうかも重加算税の課税対象となります。
隠蔽とは、これらの書類を意図的に隠す行為を指します。
具体的に、隠蔽に該当する可能性のある主な事例として、以下が挙げられます。
- 取引相手と共謀して虚偽の資料作成
- 売上を帳簿に記載せず、意図的に除外
- 二重帳簿の作成
- 申告に関連する帳簿や書類の破棄、または隠匿
- 帳簿や書類の改ざんや虚偽の記載
上記のように、キックバックは脱税に悪用されやすい特性があるので、過少申告や申告漏れが発覚すると、仮装や隠蔽の疑いが生じやすくなります。
実際に、契約書にキックバックに関する記載がなく、キックバックによる売上除外や経費の水増しが確認された場合、税務調査官は重加算税が課されてしまう可能性が高くなります。
逆に、キックバックの申告漏れが指摘されたとしても、仮装や隠蔽が認められなければ重加算税は課されません。
税務調査での虚偽答弁
確定申告書を作成する際に、故意に申告内容を偽る意図がなかったとしても、税務調査中に虚偽答弁をしてしまうと、重加算税が課される可能性があります。
税務調査では、調査官が会社の経営状況や申告内容について質問することが一般的ですが、事実と異なる回答をしてしまうと、重加算税を適用される要因となってしまいます。
調査官の質問に対して、その場で正確な回答ができない場合については、後日確認した上で回答することを伝え、事実に基づいた正確な情報を回答できるようにしましょう。
キックバックは適正に会計処理をしよう!
今回は、キックバックが税務調査の対象になっている理由やキックバックが重加算税の課税対象になってしまうケースを紹介しました。
キックバックを申告しないと税務調査で指摘される理由については、以下が挙げられます。
- 会計処理に問題があると指摘される
- 従業員が受け取った場合も指摘対象
また、キックバックを適正に申告しないと、税務署からペナルティが課されてしまうリスクがあるので、申告について少しでも不安がある方は、税理士に相談することをおすすめします。
今回の記事を参考にして、キックバックは適正に会計処理をするようにしましょう。
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質問応答記録書とは?税務調査への影響や回答時の注意点についても紹介
質問応答記録書とは、調査官が納税者に対して行う質問と、その回答を記録した書類です。
本記事では「質問応答記録書とは」について紹介します。
他にも「質問応答記録書による税務調査への影響」や「質問応答記録書の回答時の注意点」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、質問応答記録書について理解を深めてみてください。
質問応答記録書とは?
税務調査においておこなわれる「質問応答記録書」とは、調査官が納税者とのやり取りを基に作成する文書です。
納税者が自分で作成するのではなく、調査官が責任を持って記録をおこないます。
具体的には、質問に答えるのは経営者や経理担当者であり、適切に対応すれば自社に有利な内容だけを伝えることも可能です。
また、調査官がすべてのやり取りを厳密に記録するわけではなく、特に不利な情報が積極的に記録される可能性は低いのも事実です。
さらに、税務調査の担当者の判断が働くので、むしろ有利な内容が強調される場合もあります。
質問応答記録書の必要性
質問応答記録書の必要性については、以下の2つが挙げられます。
- 調査内容の証拠として活用
- 重加算税の事実確認
それぞれの項目について解説していきます。
調査内容の証拠として活用
税務調査における質問応答記録書は、調査の際に話し合った内容や、申告書を提出するまでの経緯を記録するための文書なので、調査内容の証拠として活用しています。
調査を担当する職員は、調査の結果を内部用の文書として残しますが、これは客観性が欠けているので、裁判などでの証拠としては十分ではないと判断されます。
また、税務調査では録音による証拠保全がおこなわれることはありません。
そのため、税務署の職員は、納税者が署名した質問応答記録書を作成し、それを証拠として活用しています。
重加算税の事実確認
質問応答記録書は、重加算税の事実確認としても活用されています。
重加算税とは、税務違反に対する罰則の一つであり、この税を課すためには、その違反を裏付ける具体的な証拠が必要です。
疑念があったとしても、証拠が揃っていなければ重加算税を課すことはできないのも事実です。
実際に、単純な計算ミスから重大な不正行為に至るまで、最終的な判断は税務調査官がおこなうので、納税者は正確な情報を提供することが求められます。
調査官が事前に予想していた内容と、実際に確認された事実が異なることもあるので、経営者は慎重に対応し、質問には正確に答えることが重要です。
質問応答記録書による税務調査への影響
質問応答記録書による税務調査への影響については、以下の3つが挙げられます。
- 作成を拒否すると調査が長引く可能性がある
- 作成しただけでは重加算税の対象にはらない
- 税務調査の結果には直接影響しない
それぞれの項目について解説していきます。
作成を拒否すると調査が長引く可能性がある
調査担当者から質問応答記録書の作成を求められた場合、その作成を拒否することは可能です。
しかし、作成や署名を拒んでしまうと、調査担当者は他の証拠を基に重加算税の適用を試みることがあります。
その結果、申告書の作成過程や相続後の行動について再度確認が行われる可能性があります。
さらに、金融機関への調査がおこなわれることで税務調査が長期化するリスクも考えられます。
作成しただけでは重加算税の対象にはらない
質問応答記録書に署名をすることは、あくまで書類に記載された内容に同意したことを示すものであり、それだけで重加算税が適用されるわけではありません。
しかし、意図的に税務を逃れるための行為がおこなわれていた場合、質問応答記録書が証拠となり、結果的に税務署が重加算税を課す根拠となってしまうケースもあります。
回答内容は調査担当者によって文書として整えられるので、実際に答えた内容と記録書に残る内容が異なる場合も考えられます。
署名する前には、必ず記録書の内容を確認し、必要に応じて修正を依頼するようにしましょう。
税務調査の結果には直接影響しない
質問応答記録書を作成したとしても、税務調査の結果には直接影響しません。
税務署が加算税を課す際には、申告内容に誤りがあった場合なので、その内容に応じて適切な加算税の種類を選定します。
納税者が意図的に所得や取引を隠蔽するような行為をおこなわなかった場合、税務署は重加算税を適用することはできません。
しかし、税務調査時に質問応答記録書で仮装隠蔽の事実を認め、その上で納税者が署名した場合、記録書が存在することにより、重加算税が適用される可能性が高くなってしまいます。
税務署が質問応答記録書を求めてきた際の対処法
税務署が質問応答記録書を求めてきた際の対処法については、以下の2つが挙げられます。
- 拒否しても法的には問題ない
- 税理士に立ち会ってもらう
それぞれの対処法について解説していきます。
拒否しても法的には問題ない
税務署が実施する税務調査は、基本的に任意でおこなわれるので、質問応答記録書を拒否しても法的には問題ありません。
質問応答記録書は税務調査の過程を記録するための文書ですが、この文書の作成もまた任意となります。
このように、調査担当者から質問応答記録書の作成を求められた場合でも、納税者がこれを拒否しても法的な問題は発生しません。
税理士に立ち会ってもらう
税務調査で質問応答記録書にサインを求められた際に断る自信がない場合や、質問応答記録書の内容を自分で適切に確認できるか不安がある場合は、税理士に立ち合いを依頼することをおすすめします。
税理士に立ち合いを依頼することで、税務署との交渉を代わりに進めてくれるため、手続きがより円滑に進むことが期待できます。
しかし、税務調査への立ち合いを受け付けない税理士事務所もあるので、事前に確認をしておきましょう。
質問応答記録書の回答時の注意点
質問応答記録書の回答時の注意点については、以下の3つが挙げられます。
- 沈黙は避ける
- 質問された内容だけ回答する
- 質問応答記録書の控えは発行されない
それぞれの注意点について解説していきます。
沈黙は避ける
調査官の質問に対する回答は、質問応答記録書に詳しく記載されてしまうので、沈黙は避けるようにしましょう。
実際に、調査官の質問に対して答えられず沈黙してしまった場合、その沈黙も「沈黙した」として記録に残されてしまいます。
質問の意味を考えていたとしても、調査官はこの沈黙を「答えたくない質問をしているため、何か隠しているのではないか」と解釈してしまうケースも少なくありません。
質問がわからない場合は、そのまま黙っているのではなく、もう一度質問を確認することが重要です。
また、冷静になる時間を確保したり、自分を落ち着かせることができ、余裕を持って対応することにつながります。
質問された内容だけ回答する
質問されて内容に対して、多くの情報を回答してしまうと、調査官に対して新たな疑問が生じる可能性が高くなってしまうので、質問された内容だけ回答するようにしましょう。
実際に、調査官が「都合の良い部分」だけを取り上げてしまうリスクもあるので、経営者が必要以上に情報を回答することは、リスクを高める結果につながってしまいます。
このように、税務調査を円滑かつ正確に終わらせるためには、質問された内容に対してのみ、簡潔に答えることが重要です。
質問応答記録書の控えは発行されない
質問応答記録書の控えは発行されず、写真撮影も禁止されています。
質問応答記録書は、調査担当者と回答者のやり取りを正確に記録し、調査に関連する公式な文書として利用するために作成される行政文書になります。
回答内容は調査官が作成するこの記録書にのみ記載され、それが証拠資料として使用されてしまうので、いい加減な回答は不利になってしまうリスクがあります。
しかし、重加算税に関する理由に納得できず、訴訟に発展した場合には、質問応答記録書の開示を求めることができます。
請求には手数料がかかってしまうので、事前に費用を確認しておくことが必要です。
税務調査で質問応答記録書を作成させないための対策
税務調査で質問応答録書を作成させないための対策については、以下の2つが挙げられます。
- 適切に申請する
- 書面添付制度を利用する
それぞれの対策について解説していきます。
適切に申請する
意図的に税金を不正にごまかそうとしていると、税務調査で質問応答記録書を作成されてしまうので、適切に申請することが重要です。
実際に、正しく申告書を作成し提出している限り、税務調査で質問応答記録が作成されて、重加算税が課されるリスクはありません。
申告内容にミスがあったとしても、それが故意でない場合は、重加算税よりも軽いペナルティである無申告加算税や過少申告加算税が適用されるだけになります。
また、私的な支出を経費として誤って申告しないように、経費として計上できるものとできないものを正確に理解することが重要です。
例えば、以下のような支出は経費として認められません。
- 個人的な支出(プライベートの飲食代、私用の服や美容関連費)
- 個人事業主が負担する福利厚生費(健康診断費や人間ドックの費用)
さらに、自宅を仕事場として利用している個人事業主の場合、家賃や光熱費、通信費などは、事業使用分と家庭使用分を分けて計上する必要があります。
このように、適切な経費計上をおこなうことで、税務調査で質問応答記録書を作成させないための対策につながります。
書面添付制度を利用する
書面添付制度を利用することで、税務調査で質問応答記録書を作成させないための対策につながります。
書面添付制度とは、税理士が申告書を提出する前に、納税者から申告内容やその背景について詳しくヒアリングをおこない、その内容を申告書に添えて提出する制度を指します。
実際に、国税当局が積極的に推奨しており、書面添付制度を利用することで、税務調査が実施される可能性が低くなると考えられています。
また、税務署が書面添付された申告書を調査する際には、まず税理士に意見を求める手続きが必要です。
このように、税務調査を回避できれば、余計な心配を抱えることがなくなるので、書面添付制度を取り入れている税理士事務所を選ぶことをおすすめします。
納得できない質問応答記録書にサインしてしまった場合の対処方法
内容に納得できない質問応答記録書にサインしてしまった場合は、あらためて内容をしっかり確認し、修正を依頼しましょう。
再確認の際は、質問と回答が事実に基づいているかを重視するようにしましょう。
例えば、回答の中に一般的な納税者が使わないような税務用語が含まれている場合は、それが税務調査官の誘導によるものであり、自分が意図して答えた内容ではないと主張できる可能性があります。
質問応答記録書の修正を求めた際に拒否された場合は、個人であれば、「保有個人情報開示請求書」を提出することが有効です。
法人の場合は、調査官に対して「修正の権利がある」と主張し、内容を再確認するようにしましょう。
また、記録書の内容が実際の主張と大きく異なる場合には、公務員による有印公文書偽造の疑いや公務員職権乱用罪に該当するので、税理士に相談することをおすすめします。
税務調査に関する相談なら税理士がおすすめ!
今回は、質問応答記録書や質問応答記録書による税務調査への影響を紹介しました。
質問応答記録書とは、調査官が納税者とのやり取りを基に作成する文書で、納税者が自分で作成するのではなく、調査官が責任を持って記録をおこないます。
また、質問応答記録書による税務調査への影響については、以下の3つが挙げられます。
- 作成を拒否すると調査が長引く可能性がある
- 作成しただけでは重加算税の対象にはらない
- 税務調査の結果には直接影響しない
今回の記事を参考にして、質問応答記録書を作成させないためにしっかりと対策をおこないましょう。
免責事項
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税務調査が入らないための対策とは?税務調査が入りやすい個人事業主の特徴も徹底解説
税務調査が入らないための対策について知りたいと悩んでいませんか?
本記事では「税務調査が入らないための対策」について紹介します。
他にも「税務調査に入られやすい個人事業主の特徴」や「税務調査は税理士に相談するべき理由」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、税務調査が入らないための対策をしましょう。
税務調査とは?
税務調査とは、国税庁や税務署が、納税者が税法を遵守し、適切に税金を納付しているかを確認するためにおこなう調査です。
調査結果によって、法に違反した処理が発見された場合、税務当局は税法に基づいて、申告内容の修正や不足分の納税を求める措置をおこないます。
また、税務調査の対象については、所得税や法人税に限らず、消費税や源泉徴収税、固定資産税など事業に関連するすべての税金が含まれます。
具体的な税務調査には、以下の2つに分けられます。
- 強制調査
- 任意調査
それぞれの調査について解説していきます。
強制調査
強制調査とは、納税者の同意なしに強制的におこなわれる税務調査の方法です。
悪質で多額な不正が発覚し、刑事事件に発展することが予想される場合に実施されます。
基本的に、強制調査の場合には、国税局の査察部が捜査令状をもって実行されるので、税務調査を拒否することはできません。
また、悪質な脱税行為に対する犯罪捜査として扱われるケースも多く、国税局の職員が関係資料の捜索や差し押さえをおこないます。
さらに、刑事処分を前提としているので、修正申告などによって追徴課税が発生するだけではなく、刑事裁判となり、「脱税犯」として刑罰が課される可能性も高くなります。
任意調査
任意調査とは、納税者の合意のもとで実施される調査のことを指します。
多くの場合、地元の税務署が担当しますが、状況によっては国税局の「調査部」や「資料調査課」などの専門部署が担当するケースもあります。
この調査は「任意」という形式を取っているので、納税者の同意が必要です。
しかし、税務職員には「質問検査権」が与えられており、納税者は「受忍義務」としてこれに応じる義務があります。
万が一、納税者が調査に非協力的であったり、虚偽の情報を提供したりすると、罰則が科されてしまう可能性があります。
このように、任意調査とはいえ、実質的には強制的な側面を持っています。
税務調査が入らないための対策
税務調査が入らないための対策については、以下の4つが挙げられます。
- 適切に経費計上をおこなう
- 申告漏れや申告通知に誤りがないように徹底する
- 顧問税理士をつける
- 経理体制を整える
それぞれの対策について解説していきます。
適切に経費計上をおこなう
税務調査が入らないための対策として、まず適切な経費の計上を心がけることが重要です。
申告に関連するすべての領収書や証拠資料は、確実に保存しておくように注意してください。
万が一税務調査が実施された場合でも、申告書類や日々の会計記録について税務署からの指摘があった際でも、資料が手元にあれば、適切な説明をおこなうことが可能です。
特に税務調査で重点的にチェックされる売上原価、人件費、外注費などの項目については、決算時に税理士に十分な確認を依頼することをおすすめします。
税務署の元職員が在籍している事務所であれば、税務調査で問題になりやすい点を熟知しており、より的確なアドバイスを受けることができます。
申告漏れや申告通知に誤りがないように徹底する
税務調査を避けるには、申告内容に誤りがないように細心の注意を払い、適切に対応することが重要です。
申告書類に不備があると、税務署が疑念を抱き、調査の対象となる可能性が高くなってしまいます。
正確な申告をおこなうには、日々の会計処理をミスなくおこなうことが必要です。
例えば、決算を年に一度だけでなく、月次決算を導入し、毎月の数字を確定することなどが挙げられます。
また、税理士による定期的な監査を受けることもおすすめです。
年に一度の決算だけでは、12ヶ月分の会計データを確認・修正するのに多くの時間がかかるうえ、税理士もミスを犯すリスクが増えてしまうのも事実です。
顧問税理士をつける
顧問税理士を持つことで、申告内容に誤りや漏れが少なく、意図的な脱税の可能性が低いと判断されやすく、税務調査の対策につながります。
また、税理士を利用することで、税務調査時の専門的なサポートや経理業務の効率化による業務集中の向上などのメリットも挙げられます。
現在税理士を利用していない個人事業主の方は、ぜひ顧問税理士の導入を検討してみることをおすすめします。
経理体制を整える
経理体制を整えることで、税務調査が入ってしまうのを防ぐことにもつながります。
万が一、税務調査が入ってしまい、資料をすぐに提示できないと、調査員からの信頼を損なってしまうリスクがあります。
逆に、整然とした資料を見せることで、管理能力の高さをアピールすることができます。
税務調査においては、過去7年分の資料が求められる場合があるので、情報を適切に保存し、迅速に取り出せるようにしておくことが重要です。
特に、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度に対応した形で資料を保存することが、今後の調査においても有効といえます。
税務調査が入りやすい個人事業主の特徴
税務調査が入りやすい個人事業主の特徴については、以下の6つが挙げられます。
- 確定申告をしていない
- 申告漏れが多い業種に該当している
- 毎年売上が900万円台の水準にある
- 経費が多額に計上されている
- 現金商売をおこなっている
- 顧問税理士が付いていない
それぞれの特徴について解説していきます。
確定申告をしていない
確定申告をおこなわない個人事業主は、税務調査の対象となるリスクが高くなってしまいます。
実際に、取引先が行う税務申告やその後の税務調査から、取引している個人事業主の売上が把握されるので、申告をしないとすぐにバレてしまいます。
一定の売上があるにもかかわらず、所得税や消費税を支払っていない場合、税務調査の対象となる可能性はさらに高くなってしまいます。
また、近年では、各種のデータがビッグデータとして蓄積されており、そのデータとAIの技術を組み合わせることで、所得隠しや申告漏れが簡単に特定されるようになっているのも事実です。
このように、確定申告を怠ることが大きなリスクとなるので、注意が必要です。
申告漏れが多い業種に該当している
税務調査が実施される件数は限られているので、申告漏れのリスクが高いとされる業種に焦点を当てて調査がおこなわれる可能性が高くなります。
具体的に、以下に該当する業種で働く個人事業主は、税務調査を受ける可能性が相対的に高いといえます。
- 経営コンサルタント
- システムエンジニア
- ブリーダー
- 商工業デザイナー
- 不動産代理仲介
- 外構工事
- 機械部品受託加工
- 一般貨物自動車運送
- 司法書士
- 行政書士
年度によって業種の入れ替わることがありますが、上記の業種は他の業種と比べて税務調査の対象となるリスクが高くなることを理解しておきましょう。
毎年売上が900万円台の水準にある
確定申告において、毎年売上が900万円台の金額で申告している個人事業主は、税務調査の対象となる可能性が高まります。
年間の売上高が1,000万円を超えると、翌々年からは消費税の課税対象となり、消費税の納付が義務付けられます。
課税対象になるのを避けるために、実際の売上を過少に申告しているのではないかという疑念が生じてしまい、税務調査の対象になってしまうケースも少なくありません。
万が一、意図的に売上を過少申告していることが発覚した場合、重加算税が課される可能性があり、最大で過去7年間の修正申告が求められることがあります。
このように、意図的に売上を改ざんしてしまうと、多額の追徴課税が発生する恐れがあるので、絶対に避けるようにしましょう。
経費が多額に計上されている
事業活動とは無関係に見える経費が多く計上されていたり、逆に事業に必須と思われる経費がまったく見当たらない場合、税務調査に入る可能性が高くなります。
特に事業に関連しないような経費が多額に計上されていると、個人的な支出を経費として処理しているのではないかと疑われ、税務調査が入ることがあります。
個人事業主にとって、プライベートとビジネスの支出を明確に区別することが重要です。
現金商売をおこなっている
現金取引を行っている個人事業主は、税務調査が入ってしまう可能性が高くなります。
実際に、銀行口座を経由しない取引は、記録が残りにくく脱税の疑いを持たれやすくなるのも事実です。
税務調査では「売上が正確に計上されているか」「領収書が正当なものか」など詳細なチェックがおこなわれます。
特に、架空の領収書を用いて経費を偽装していないかが厳しく確認される場合があります。
このように、現金取引をおこなう場合には、必ず領収書を保管し、正確な帳簿管理を徹底することが重要です。
顧問税理士が付いていない
税理士に依頼せずに確定申告を行っている個人事業主は、税務調査の対象になりやすい傾向があります。
税理士が申告書を作成した場合、誤った経費の計上などの基本的なミスは少なく、意図的な脱税のリスクも低くなります。
顧問税理士がついていると、脱税などの不正が疑われにくく、その結果として税務調査の優先度が低くなることが多いです。
税務調査は税理士に相談すべき理由
税務調査は税理士に相談すべき理由については、以下の3つが挙げられます。
- 税理士のサポートを受けられる
- 税務調査が入りにくい
- 税務調査以外にも多くのメリットがある
それぞれの理由について解説していきます。
税理士のサポートを受けられる
税理士を顧問にしておけば、税理士からサポートを受けられるので、税務調査が入った場合でも安心して対応することにつながります。
税務調査が予定される前に、必要な書類の準備をアドバイスしてもらったり、予想される質問に対する答えをシミュレーションしたりと、事前の対策をしっかりと整えることが可能です。
また、税理士によっては、税務調査の当日に立ち会いを依頼できる場合もあります。
実際に、税務調査では、追加の税金を徴収するために、さまざまな質問を投げかけてきますが、焦って不用意なことを回答しまうと、思わぬ追加課税が発生するリスクがあるのも事実です。
経験豊富な税理士であれば、調査官の不当な要求を拒否したり、過去の事例を引き合いに出して反論したりすることで、不要な課税を回避することにつながります。
税務調査が入りにくい
具体的な統計データはありませんが、顧問税理士がついている個人事業主は、自分で確定申告を行っている個人事業主よりも税務調査を受ける可能性が低いと考えられています。
具体的な顧問税理士がいることで、税務調査がおこなわれにくくなる理由については、以下の2つが挙げられます。
- 脱税の意図がほとんどないと見なされるため
- 申告内容に誤りや漏れが少ないと判断されるため
このように、税務署から見ても、税理士が関与している場合は、自力で申告をおこなう個人事業主よりも税務調査の必要性が低いと判断されることが多いです。
税務調査以外にも多くのメリットがある
税理士に相談することで、税務調査の対策だけではなく、他にも多くのメリットが挙げられます。
具体的なメリットについては、以下の6つが挙げられます。
- 経理作業の手間が軽減され、その分本業に専念できる
- 帳簿作成や確定申告の正確性が向上する
- 確定申告の時期に忙しさに追われなくなる
- 業種や状況に合わせた効果的な節税方法を提案してもらえる
- 資金繰りや経営に関する相談にも対応してもらえる
- 法人化を考える際のサポートを受けられる
上記のように、税理士は、法律に基づいて税負担を適切に軽減する方法に精通しており、業種や状況に応じた最適な節税策を提案することができます。
また、資金繰りや経営全般に関するアドバイス、法人化を進める際の支援も期待できます。
事業の成長を目指す個人事業主にとって、顧問税理士との契約は非常に有益であるといえます。
税務調査対策について税理士に相談しよう!
今回は、税務調査が入らないための対策や税務調査が入りやすい個人事業主の特徴を紹介しました。
税務調査が入らないための対策については、以下の4つが挙げられます。
- 適切に経費計上をおこなう
- 申告漏れや申告通知に誤りがないように徹底する
- 顧問税理士をつける
- 経理体制を整える
また、税理士を顧問にしておけば、税理士からサポートを受けられるので、税務調査が入った場合でも安心して対応することにもつながります。
今回の記事を参考にして、税務調査対策について税理士に相談してみましょう。
免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
税務調査の「一筆」とは。調査官に依頼されたら断っても良い?
税務調査を受けた際、調査官に書類への「一筆」を求められる場合があります。税務調査の場面で急に一筆を求められたら、書かなければならないものなのか、断っても良いのか判断に迷うケースもあるはずです。一筆に同意した場合と一筆を拒否した場合では、調査にどのような違いが生じるのでしょうか。
今回は、税務調査で一筆が求められるシーンと一筆が意味することについてご説明します。
税務調査で言われる「一筆」とは
まず、税務調査の際に必ず一筆を求められるわけではありません。むしろ、一筆を求められるシーンは決して多いわけではないのです。
一筆とは質問応答記録書への署名のこと
税務調査で調査官から 一筆書いてほしいと言われた場合は、質問応答記録書に署名をしてほしいという意味合いになります。質問応答記録書とは、税務調査時に調査官が納税者に質問をした内容とその回答を記載した文書です。
質問応答記録書は、調査官が作成した納税者とのやり取りの記録でもあり、署名があれば、納税者が書面の内容に同意したということの証明となり、証拠としての価値が高まります。そのため、調査官は税務調査終了後のトラブルに発展しないよう、納税者の同意を示す一筆を求めるのです。
調査官が一筆を求める理由とは
税務調査時に質問応答記録書への署名を求められるケースは多くはありません。なぜなら、税務調査時に一筆を求められるケースは、悪質な脱税が強く疑われる場合に限られるからです。つまり、税務調査時に、仮装隠蔽などの 悪質な行為が認められた場合は、確実に重加算税を賦課するため、納税者に質問応答記録書への一筆を求めるというわけなのです。
重いペナルティである重加算税
税務調査で、申告漏れや申告ミスを指摘された場合、正しく申告をしなかったことに対するペナルティである加算税の納付が求められます。加算税は、申告漏れや申告ミスの内容によっていくつかの種類に分けられていますが、このうち 最も重い加算税が重加算税です。
重加算税の税率は、納税額が少なかった際に課せられる過少申告加算税に代わる場合は35%、申告そのものをしていなかった場合に課せられる無申告加算税に代わる場合は40%にもなります。
税務調査時の一筆は、拒否した方が良い?応じた方が良い?
税務調査の際、調査官に一筆書くことを依頼され場合、一筆を拒否した場合と応じた場合でその後の流れがどのように変わるのかを理解しておかなければ、返答に困るはずです。
では、税務調査の際に署名を拒否した場合と応じた場合で、調査にどのような影響を与えるのでしょうか。
一筆は拒否することができる
まず、税務調査時に、質問応答記録書への署名を求められた場合、納税者は署名を断ることができます。 質問応答記録書への一筆には法的な強制力はなく、調査官に求められても拒否して問題ありません。
一筆に応じるとメリットがある?
質問応答記録書に署名の記載を依頼される場合、調査官は重加算税の賦課を考えていると想定されます。そのため、その場で一筆書いた場合、納税者が不正な申告を行ったことや仮装隠蔽行為を行ったことを認めることを意味します。
重加算税は、税務署長が判断し、賦課するものです。納税者が仮装隠蔽を認める証拠となる一筆があれば、税務署長も重加算税の賦課決定をしやすくなるでしょう。さらに、納税者が税務調査の判断に不服を抱き、訴訟を起こした場合でも、一筆があれば裁判で仮装隠蔽行為はなかったと判断される可能性は低くなります。したがって、納税者が敗訴濃厚な状態のまま裁判に訴える可能性は低くなり、重加算税の賦課を決定しやすくなるのです。
また、 一筆に応じたことで重加算税の賦課を決定しやすくなれば、調査は早めに終了するでしょう。
一筆を拒否した場合はどうなる?
税務調査時に一筆を拒否した場合、調査官は、他の証拠を収集するためにより調査範囲を広げ、詳細な調査を続けるでしょう。そのため、 一筆を拒否すると税務調査が長引く可能性が高くなります。
しかしながら、一筆を拒否することで税務調査の結果が大きく変わることはありません。仮装隠蔽行為を行っていたようであれば重加算税は付加され、仮装隠蔽行為がなければ重加算税が付加されることもありません。したがって、質問応答記録書への一筆の記載を拒否した方が必ずしも良い結果を招くわけではないのです。
ただし、署名をする際には、質問応答記録書の内容をしっかり読み、内容に誤りがないかどうかを確認しなければなりません。質問応答記録書の内容に事実と異なる部分があるのであれば、調査官に訂正を依頼するようにしましょう。
税務調査で一筆を求められる状況を回避するためには
一筆に応じても、拒否しても、税務調査の結果が変わることはなく、一筆を求められる状況は重加算税の賦課対象となるような悪質な不正行為が疑われているという状況です。
重加算税が賦課されれば、多額の追徴課税が課される恐れもあります。大切なのは一筆を拒否することではなく、税務調査で一筆を求められる状況を招かないことです。
正しく申告をしていれば一筆を求められることはない
正しく確定申告を行っていれば、税務調査時に不正が疑われ、一筆を求められることもありません。一筆を求められるのは、仮装隠蔽行為など、悪質な税金逃れの行為が疑われる場合のみです。日頃から売上や支出を正しく管理し、ミスなく申告を行い、適正な額の納税をするように心がけましょう。
事前に税理士に相談する
正しく申告を行ってこなかった場合、重加算税が課される恐れがあります。税務調査の通知を受け、一筆を求められる状況が予想されるときには、税理士に相談することをおすすめします。
事前通知を受けた後でも、自主的に修正申告を行い、不足分の納税を行えば、加算税を軽減できる可能性もあります。スピーディーかつ正しい修正申告書を作るためには、専門家の力が必要になるでしょう。
また、税理士に相談すれば、税務調査当日の立ち会いを依頼できる場合もあります。税理士が同席すれば、調査当日の精神的な不安も軽減できるはずです。さらに、税務調査では解釈の違いによって、問題があるかどうかの判断が変わるグレーゾーンが存在します。税理士に対応を依頼すれば、調査官とのやり取りの中で、正しく納税者の主張を伝え、不要な指摘を避けることも可能です。
書面添付制度を利用する
税務調査の目的は、正しく納税を行っている法人や個人を調べるのではなく、正しく税金を納めていない法人・個人の納税を是正することです。税理士が確定申告の書類を作成する場合、申告書は正しく作成されていると考えられます。特に、書面添付制度に則り、税理士が申告内容の根拠や計算過程などを詳細に記した書面を添付した場合、税務調査の対象となる可能性が低くなります。
税務調査そのものを回避したい場合には、税理士と相談したうえで書面添付制度の活用を検討してみると良いでしょう。
まとめ
税務調査で質問応答記録書に一筆書いてほしいと依頼される状況では、調査の結果、悪質な不正行為が行われているとみなされており、調査官が重加算税の賦課を検討している可能性が高くなります。質問応答記録書への一筆を求められても、必ず署名しなければならないわけではありません。一筆の拒否は可能です。しかしながら、一筆を受け入れるか拒否するかによって、税務調査の結果が変わることはないと言えます。
税務調査前に自主的に修正申告を行えば加算税が軽減される可能性もあります。税務調査で一筆を求められ、重加算税を課されるリスクが高いと予想できる場合には、早めに税理士に相談することをおすすめします。
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修正申告の延滞税がかからないケースとは?確定申告を修正する方法やペナルティを解説
所得税は税金の計算も自分で行わなければなりませんが、申告内容を間違えてしまうこともあるでしょう。
確定申告は提出後も修正できるのですが、内容や修正を行う時期によって方法が異なり、特に修正申告を行う際は延滞税などがかかる場合もあるので注意しなければなりません。
本記事では、確定申告を修正する方法や発生するペナルティについて解説します。
延滞税がかからないケースについても詳しく説明していきますので、確定申告を正しく行うためにも把握していただけたら幸いです。
確定申告は修正できる
確定申告の申告書等を提出した後に計算間違いや記入漏れなどが発覚する場合もありますが、申告の内容に誤りがあったと気づいても、どうすれば良いのか分からない方も多いでしょう。
結論として、確定申告書は一度提出した後でも修正することは可能です。
そのため、確定申告の内容に誤りがあった場合は、速やかに正しく訂正して申告するのが基本となります。
確定申告の修正方法
確定申告を修正する方法として、以下の3つに分けられます。
- 訂正申告
- 更正の請求
- 修正申告
これらは間違いの内容や修正を行う時期によって異なります。
以下では、確定申告を修正する方法について、それぞれの特徴や修正方法、注意点などを解説していきます。
訂正申告
確定申告の申告期限内に申告内容を訂正し、再提出する手続きを訂正申告といいます。
税務署では、申告期限内に同じ納税者から確定申告書が提出された場合、最後に提出されたものを正式な申告書として取り扱います。
そのため、期限内であれば、一度提出した後も何度でも訂正申告によって訂正できるのです。
訂正申告のやり方・提出方法
訂正申告は、一般的な確定申告書作成と同様に、正しく計算、記載して作りなおし、再提出すれば完了ですが、控除証明書など追加で書類が必要な場合は一緒に提出しましょう。
訂正が必要な部分だけ記載した申告書の提出は認められていないため、訂正が不要な部分も必ず記入してください。
訂正申告を提出する方法は以下の3つです。
- e-Tax
- 持ち込み
- 郵送
それぞれの方法、注意点をまとめました。
e-Tax | ・訂正後の確定申告書を送信するだけで手続きが完了 ・新しく申告した内容が自動的に反映されるため、別途税務署に再送信したことを連絡する必要はない |
持ち込み・郵送 | ・確定申告書を再作成して提出 ・訂正部分がわかるような配慮は不要 ・手違いを防ぐ再提出であることがわかるよう「訂正申告」と記載し、前回申告した年月日も朱書しておく ・本人確認書類の再添付または再提示が必要 |
訂正申告の期限
訂正申告の期限は、該当の年分の確定申告期限と同じです。
確定申告の期限は、基本的に毎年3月15日となっているため、その前に訂正申告を行うようにしましょう。
先述した通り、訂正申告は期限内であれば何度でもやり直しができ、申告期間内に確定申告書を複数回提出する場合は、最後に提出した申告書が納税者の申告書として取り扱われます。
更正の請求
更正の請求は、確定申告の期限が過ぎてしまった場合の修正方法のひとつです。
納める税金を多く申告してしまった場合や、還付される税金を少なく申告してしまった場合に、税額を減らす更正処分を請求するために更正の請求の手続きを行います。
更正の請求をしなくてもペナルティはありませんが、請求をしなければ払い過ぎた税金は戻ってこないので注意しましょう。
更正の請求による税金還付
更正の請求を行い請求が認められると、払いすぎた税金が更正の請求書に記載された口座に還付されます。
更正の請求に不正がないか税務署が審査するため、一定の時間がかかるのが一般的です。
そのため、還付が完了するまでは指定した口座を解約しないようにしてください。
更正の請求は認められないケースもある
申告する税額が多すぎた場合に行う更正の請求ですが、手続きしたからといって全ての請求内容が認められるとは限りません。
更正の請求については税務署が審査し、その結果請求が認められず、税金の還付を受けられないケースもあります。
更正の請求をするにあたっての所得や税額減の資料が不足していたり、不明瞭であったりする場合には請求が認められない、もしくは、追加で資料等の提出を求められることもあるので注意しましょう。
更正の請求のやり方・提出方法
更正の請求をする場合は、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を作成します。
必要事項を記入し、計上漏れした領収書などの必要経費の更正の際に事実を証明する書類、本人確認書類を用意したうえで、税務署に提出します。
更正の請求を提出する方法は以下の3つです。
- e-Tax
- 持ち込み
- 郵送
更正の請求書は、国税庁のホームページから入手できるほか、e-Taxで場合は、該当する年度を選んで内容を訂正し、更正の請求を行うことができます。
更正の請求の期限
更正の請求ができる期間には期限があり、原則として申告期限から5年以内です。
確定申告の期限とは関係なく5年以内であればいつでも提出できますが、5年を過ぎてしまうと請求ができず、還付を受けられないので注意しましょう。
修正申告
修正申告は、更正の請求と同様、確定申告の期限を過ぎたあとに申告額の修正を行う手続きのひとつで、納めるべき税額よりも過小に申告していた場合に訂正するために行うものです。
税務調査で税務署から申告内容の誤りを指摘されて修正申告の手続きを行うケースもあれば、納税者が自身で誤りを見つけて行うケースもあります。
修正申告の場合、追加で納める税金額に対して過少申告加算税や延滞税がペナルティとして課されます。
修正申告のやり方・提出方法
修正申告は、確定申告書(申告書第一表及び第二表)に修正申告額を反映させて修正申告書とし、所轄の税務署に提出して手続きが行えます。
修正申告を提出する方法は以下の3つです。
- e-Tax
- 持ち込み
- 郵送
なお、修正申告により増加した所得税や復興特別所得税などの税金は、修正申告書を提出する日までに納付しなければなりません。
修正申告の期限
修正申告には明確な期限がありませんが、申告内容に誤りがあったと気付いたら、速やかに手続きを行う必要があります。
なお、税務署による更正がなされてしまうと修正申告ができなくなってしまいます。
税務署の更正というのは、提出した申告書や税額等の計算が税法に合っておらず、税務署長がその調査結果に基づいて納税額などが改められることで、更正がなされると、納税者には修正申告により増加する税金のほかに、過少申告加算税が課されてしまうので注意しましょう。
確定申告や修正申告を放置した場合のペナルティ
確定申告や修正申告を行わず放置した場合、以下のペナルティが考えられます。
- 青色申告の承認取り消し
- 修正申告による追加納税
いずれにせよ、負担する税額が増えてしまうほか、会社としての信用を失ってしまう恐れもあるため、確定申告や誤りが発覚したときの修正は速やかに行わなければなりません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
青色申告の承認取り消し
法人で青色申告をした場合、赤字が出たときにその赤字を翌年度以降に繰り越して、所得から控除できるなどのメリットがありますが、法人の場合で2年連続で無申告や期限後申告があれば、青色申告の承認が取り消されます。
そのため、税負担が増えるなどのデメリットが生じてしまうのです。
一方、個人事業主で青色申告をしている場合は、無申告や期限後申告によって青色申告を取り消されることはありません。
修正申告による様々な加算税
修正申告を行うことで、以下のような加算税が課される可能性があります。
- 過少申告加算税
- 重加算税
過少申告加算税は、申告納税額が本来納めるべき税額よりも過少であった場合に課される加算税です。
さらに、本来納める税金に対し、意図的な仮装・隠ぺいしたことが明らかになるなど、悪質性の高い場合は、より重いペナルティである重加算税が課されます。
加算税は税率が高いため、会社にとっては大きな負担となることもあるでしょう。
修正申告には延滞税がかかる!
本来納付しなければいけない税額を少なく申告していた件で修正申告を行った場合、延滞税が課される可能性が高いです。
延滞税とは、当初申告期限の日から修正申告書を提出し追加納税した日までの期間の日割りの延滞利息を指し、不足していた税額に対して課されます。
延滞期間が長くなればなるほど、利率も高くなってしまうので速やかに納付するのが望ましいです。
延滞税の割合
延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて以下の割合が課されます。
納付期限日の翌日から2カ月以内に完納した場合 | 原則として年率7.3% 特例で「年率7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合 |
納付期限日の翌日から2カ月を超えて納付した場合 | 原則として年率14.6% 特例で「年率14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合 |
修正申告が遅れるほどに、延滞税の負担が大きくなるため注意しましょう。
修正申告の延滞税がかからないケースとは
修正申告における延滞税については、納付しなくても良い場合もあります。
ここでは、修正申告の延滞税がかからないケースを説明していきます。
延滞税計算期間の特例
自主的に修正する場合、一定期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。
計算期間の特例が適用されるのは以下のケースです。
- 期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告または更正があったとき
- 確定申告書の提出後に減額更正され、その後さらに修正申告または更正があったとき
出典:延滞税の計算方法|国税庁
ただし、この特例が適用されるのは、確定申告後に誤りに気付いて自ら修正申告をした場合など、事実の隠蔽や仮装などの不正を行って国税を免れていないことが条件となります。
納付すべき本税額が10,000円未満の場合
延滞税を計算するにあたり、10,000円未満は切り捨てて計算します。
そのため、本税が10,000円未満の場合は、延滞税は課されません。
延滞税の計算結果が1,000円未満の場合
延滞税の計算結果が1,000円未満であれば、端数は切り捨てられます。
そのため、延滞税の納付義務はありません。
確定申告で誤りが生じやすいケースとは
確定申告で内容に誤りがあると、後から修正しなければならず、手間や時間がかかるほか、場合によっては加算税や延滞税などのペナルティが課されてしまいます。
そのため、確定申告提出後に間違いが発生しないよう、はじめから正しく申告できるよう気を付ける必要があるのです。
ここでは、確定申告で誤りが発生しやすいケースを説明していきますので、チェックしておきましょう。
控除の記入忘れ
所得控除や税額控除には、社会保険料や生命保険料などのように、様々な種類があります。
しかし、利用できる控除を記入し忘れてしまうと、支払う税金が多くなることに繋がるため、注意が必要です。
そのため、利用できる控除の種類を把握し、漏れなく申告するようにしましょう。
その際は証明書の添付を忘れないようにしてください。
売上や仕入れの記帳漏れ
確定申告が近づいたときにまとめて記帳しようとすると、売上や仕入れの漏れが生じる恐れがあります。
そのため、入金や出金があったときや、請求書が来たタイミングですぐに記帳するのを習慣付けるのがおすすめです。
漏れなく計上できるようになると、税務調査の対象となるリスクを減らせるでしょう。
正確に確定申告を行いましょう
確定申告は、申告内容に誤りが見つかっても修正が可能ですが、確定申告の期限を過ぎた後に修正申告を行う場合は加算税や延滞税がかかる可能性があります。
加算税や延滞税は税率が高く、会社によってはかなり高額な支払となるケースもあるため、はじめから誤りがないよう正確に確定申告を行うのが望ましいです。
日々の仕訳を適切に行うのはもちろん、確定申告に不安がある場合は信頼できる税理士に依頼し、税務調査が入るリスクや加算税・延滞税が課されるリスクを減らしましょう。
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飲食店での売上のごまかし!伝票を捨てるとバレないって本当?
売上額が多くなればなるほど、納税額は大きくなります。そのため、経営者の中にはできるだけ売上を抑え、納税額を減らしたいと考える人もいます。特に飲食店では、代金を現金で支払うお客が多いため、簡単に売上のごまかしができるのではと思うケースが多いようです。現金払いであれば、伝票を捨てることで証拠も隠滅できると考えるのでしょう。
しかし、伝票を捨てたとしても、税務調査が実施されれば、飲食店の売上のごまかしはバレます。なぜ、飲食店の売上のごまかしはバレてしまうのでしょうか。
今回は、飲食店の売上のごまかしが確実にバレる理由についてご説明します。
飲食店の売上ごまかしのよくある手口
キャッシュレス決済が進む今でも、飲食店ではまだまだ現金で支払うお客が多いという現状があります。クレジットカード決済やコード決済の場合、決済データが残るため、売上のごまかしは難しいでしょう。しかし、現金決済の場合、売上をごまかそうと思えば簡単にごまかすことができてしまいます。
伝票を捨てるは飲食店の売上ごまかしの常套手段
飲食店の中には、手書きの売上伝票を使っている場合があります。実際には、100人の来客があった場合でも、そのうちの1割の伝票を捨て、帳簿には90人分の売上を記載すれば、売上を少なくごまかすことができてしまいます。また、レジを打たずに売上をごまかす方法もあります。紙の伝票を捨てると、証拠が残らないために売上をごまかしてもバレないと思う方が多いのでしょう。
レジを改ざんして売上をごまかす
レジを導入している飲食店の場合には、レジを改ざんし、売上をごまかすケースがあります。レジによっては取引履歴が全て残るものもあるため、改ざんした場合、改ざんしたデータも記録されるケースがあります。しかし、中には、改ざんしたデータは残らないレジもあるのです。そのようなレジを導入している飲食店の中には、お客の前では注文通りにレジを打ち、代金を受け取るものの、営業終了後などにレジの履歴を消去して、売上をごまかすケースがあります。
飲食店の売上のごまかしがバレる理由
飲食店の売上のごまかしは、税務調査によって発覚します。なぜ、飲食店の売上のごまかしはバレてしまうのでしょうか。
仕入と売上のバランスがおかしい
飲食店では、必ず食材やドリンクを仕入れ、おしぼりや割りばしなどの消耗品を購入します。確定申告書の内容を見た時に、仕入れの額や消耗品の購入額が大きいにもかかわらず、それに見合った売上が計上されていない場合、売上をごまかしているのではと疑われます。
原価率は、年によってそれほど大きく変わるわけではありません。したがってこれまでの申告内容と比べ、原価率が大きく高まっているようであれば、不正が疑われることとなるのです。
税務署には銀行口座の調査権限がある
税務調査を進めるうえで必要があれば、税務署では金融機関に対して情報提供を求める権限が認められています。したがって、税務署では、飲食店の事業用の口座のお金の動きを確認することが可能です。また、事業用口座だけでなく、個人名義の口座の調査も実施できるため、売上をごまかしていた場合でも、<不審なお金の動きがあれば細かく調査がなされ、不正が発覚します。
覆面調査で売上の状況をチェックされる
税務調査を実施する際には、税務署は、原則として、事前に事前調査を実施する旨の通知を行わなければなりません。しかし、飲食店のように現金主義の商売の場合は事前の通知なしに、税務調査を実施する権限が認められています。そのため、確定申告の内容に疑義がある場合などは、実際に調査を行う前に、一般客を装って飲食店を訪れる覆面調査を実施するケースがあるのです。覆面調査では、メニューに記載されている金額やお店の広さ、お客さんの来店状況、支払いの様子などをチェックし、飲食店のおおよその売上がどの程度になるかの確認をします。
実地調査を開始する際には、覆面調査の結果と照合し、調査官の飲食代が売上として計上されているか、売上の額が実情と合っているかなどを調べます。覆面調査の結果と帳簿上の数字にずれが認められれば、売上のごまかしが発覚するのです。
税務調査で売上のごまかしを指摘された場合のリスク
税務調査によって売上を正しく計上していないことが発覚すれば、追徴課税がなされます。
追徴課税とは
追徴課税とは、正しく申告を行っていなかった場合に、追加で納付しなければならない税金のことです。追徴課税時には、本来支払うべき税額との差額のほか、正しく申告をしなかったことに対するペナルティや納税が遅れたことに対するペナルティの税金の納付も求められます。
売上をごまかし、所得額を過少に申告していた場合は過少申告加算税の納付が必要です。過少申告加算税の税額は、不足分の税額の10%相当額です。ただし、追加分の税額が当初の納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合、超えている部分に関しての税率は15%になります。
さらに、仮装隠蔽などが行われ、より悪質な売上のごまかしが行われていると判断された場合は、過少申告加算税よりさらに税率が重い重加算税が課せられます。過少申告加算税に代えて重加算税が加算される場合の税率は35%です。
悪質な売上のごまかしの場合、調査対象は7年分に
一般的に、税務調査は過去3年分にさかのぼって調査が行われます。しかし、重加算税が加算されるような悪質な売上のごまかしが発覚した場合、過去7年分の調査が行われる可能性があります。
長年にわたって売上をごまかしてきた飲食店の場合、7年分の不足税額はかなりの額になるでしょう。さらに、7年分の不足額に加え、35%の重加算税の納税のほか、延滞税の納税も求められます。追徴課税は原則として一括で納付しなければなりません。追徴課税の額が多額となり、納付できない場合には、財産が押さえられる可能性もあります。
売上のごまかしなど、税務調査に不安がある飲食店は早めの対策を
繰り返しになりますが、飲食店の場合、他の業種のように税務調査の事前通知がなく、突然調査官が訪れ、税務調査が開始される場合があります。さらに、覆面調査も実施され、気が付かない間に店の売上の状況を調べられていれば、税務調査で不正を指摘されても反論するは難しくなります。売上をごまかしてきた場合など、税務調査に不安がある場合は早めに税理士に相談しましょう。
税務調査前の修正申告で追徴課税額を軽減できる
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告を行い、不足分の税金を納税した場合、過少申告加算税は課税されません。また、事前通知を受けた場合でも、税務調査の前までに修正申告を行えば、過少申告加算税の税率は軽減されます。
税務調査で売上の不正が指摘され、本来の額よりも多くの納税を求められることになっては意味がありません。無駄な支出を抑えたいのであれば、正しく申告をしましょう。
税理士に相談すれば、ミスなく、正しい修正申告書の作成ができます。税務調査が入る前に早めに税理士に相談することをおすすめします。
節税のアドバイスを受けられる
売上のごまかしは、不正な行為であり、脱税に該当する行為です。しかし、節税とは合法的に納税額を低く抑える方法であり、税理士であれば、節税につながる対策を熟知しています。
税理士のアドバイスのもとに節税対策を実施すれば、何のリスクもなく納税額を軽減できるでしょう。
ただし、税理士によって得意分野は異なるため、税理士に相談する場合は、飲食店の税務調査に強い税理士に相談することが大切です。
まとめ
飲食店の中には、伝票を捨てる、レジを改ざんするといった行為などで売上をごまかすところがあります。しかし、売上をごまかし、所得額を低くみせかけていても、税務調査で売上のごまかしがバレるケースがほとんどです。
税務調査で不正を指摘され、追徴課税がなされれば、本来納めるべき額の税金よりも多くの税金を納めなければならなくなります。売上のごまかしは、絶対に行ってはいけない行為ですが、もし、これまで正しく申告をしてこなかった場合などは早めに飲食業界に強い税理士に相談することをおすすめします。
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個人事業主必見!事業主貸が多いと、税務調査で指摘されるって本当?
個人で事業を営む場合「事業主貸」という勘定科目を使用することがあります。もちろん、事業主貸は勘定科目の1つとして一般的に使用されているものであり、事業主貸として支出を計上しても何ら問題はありません。しかしながら、事業主貸として処理している金額が多いと税務調査で指摘されやすいという噂を耳にしたことはありませんか?
実際、事業主貸が多いと税務調査で問題になることはあるのでしょうか。
今回は、事業主貸が多い場合の税務調査時の対応法などについてご説明します。
事業主貸と事業主借は何が違う?
事業主貸は、個人事業主が複式簿記で記帳をする際に用いる勘定項目です。事業主借とともに事業主勘定と呼ばれ、事業用とプライベートのお金を分けて記帳するために用いられます。
事業主貸とは
事業主貸は、経費にはできない支出があった場合に使用する勘定科目です。漢字が示す通り、事業用のお金を事業主に貸す場合、事業主貸の勘定科目を使って仕訳をします。
事業用のお金を事業主に貸すとは、事業用のお金をプライベートの支出に充てると同じ意味です。したがって、事業用の口座から生活に使うための費用を引き出した場合などが事業主貸に該当します。また、事業用の銀行口座から所得税や住民税、国民健康保険料、国民年金保険料を支払った場合も事業主貸として計上します。
事業主借とは
一方、事業主借とは、事業主から事業用のお金を借りた場合に使用する勘定科目です。例えば、事業に必要な備品などを購入する際に、事業主個人が所有する現金や事業主がプライベートで使用しているクレジットカードなどで支払った場合に使用します。また、個人口座から事業用口座にお金を写した場合なども、事業主借として扱うことになります。
事業主貸が多いと税務調査の対象になりやすい?
税務調査は、納税の義務がある法人や個人を対象に実施される調査です。事業主貸が多いと税務調査の対象になりやすいのでしょうか。
税務調査の対象者はランダムに決まるわけではない
納税の義務がある人、つまり、所得を得ている人であれば誰でも税務調査の対象に選ばれる可能性があります。しかし、税務署は無作為に税務調査の対象者を選んでいるわけではありません。
税務調査は、不正に税金の負担を逃れようとする納税者に対して適正な納税を求めるものです。したがって、正しく納税をしている人よりも、申告内容などに何らかの問題があると思われる事業者が調査対象となるケースが多くなっています。
事業主貸が多い場合は、税務調査の対象になりやすい
税務調査の対象になりやすいのはまず、確定申告をしていない人です。また、確定申告をしていてもその内容に不審な点が見られる場合も、税務調査の対象になる可能性が高くなります。
事業主貸が多いだけで税務調査の対象になることはありません。しかし、所得額に対して事業主貸の占める割合が多い場合などは、申告内容に虚偽があるのではと疑われる可能性があるでしょう。したがって、事業主貸が不自然に多い場合、税務調査の対象に選ばれる確率は高まると言えます。
税務調査時に事業主貸が多いと生じる問題とは
事業主貸は経費としては計上できないお金、つまり生活費だと捉えられます。
税務署では、事業主貸が多ければそれに応じた所得が生じているはずだという判断するでしょう。したがって、事業主貸の額と申告された所得額の間に不自然さが認められる場合、税務調査では次のような点を指摘されることが多くなります。
売上の過少申告を疑われる
税務調査では、帳簿などを細かくチェックし、確定申告の内容に間違いがないかどうかを調べます。前述のように、事業主貸は事業主の生活費としてみなされます。そのため、申告している所得額に対して事業主貸として計上されている額が多い場合、調査官は所得額を少なく見せかけているのではないかと疑いを抱くようになります。
なぜなら、個人事業主の場合、事業の所得が事業主の生活に深く関係するからです。したがって、事業売上に対して事業主貸が不自然に多いと、本当はもっと売上があるのではないかという疑いが生じます。そのため、税務調査の際には、計上していない売上があるのではないか、売上が正しく計上されているかについて、詳細な調査が行われます。
不正が発覚した場合は過少申告加算税や重加算税が課される
税務調査時に売上の除外など、不正が発覚した場合は、修正申告が求められます。修正申告とは、正しい所得額を計算したうえで、本来納めるべき税額との差額を納税する手続きです。
また、修正申告をする際には、不足分の税金に加え、正しく申告を行わなかったことのペナルティとして、不足分の税額の10%に該当する過少申告加算税も併せて納付しなければなりません。尚、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の税率が課せられます。
さらに、仮装隠蔽があった場合など、税務調査によってより悪質であると判断された場合は、過少申告加算税に代え、35%の税率が適用される重加算税の納税が求められます。
事業主貸が少なすぎても問題になる?
事業主貸が多い場合、税務調査で売上の操作を疑われるとご説明しましたが、実は、事業主貸が少なすぎる場合でも問題点を指摘されるケースがあります。
事業主貸が少ない場合は生活費の捻出先を調べられる
事業主貸が少なすぎても、税務調査で指摘を受ける可能性があります。繰り返しになりますが、個人事業では、法人とは異なり、事業所得が個人の所得に直結します。そのため、事業主貸が少なすぎる場合、どこから生活費を捻出しているのかという疑問が生じるのです。
配偶者に収入があり、配偶者が生活費を負担しているケースもあるでしょう。また、前職で蓄えたお金があり、預貯金を生活費に充てているケースもあるはずです。事業主貸が少ない場合、正当な理由を説明できれば、何も問題はありません。
しかし、事業主貸が極端に少ない場合、実は、事業所得以外に所得を得ている可能性も考えられます。具体的には、不動産投資などで所得を得ている場合や親族から遺産の相続や財産の贈与があった場合などです。この場合、不動産所得や遺産相続、贈与に関する納税手続きが済んでいれば問題はありませんが、必要な手続きが行われておらず、正しく納税をしていないときには、税務調査で問題を指摘されるでしょう。
事業主貸の多少だけが問題になることはない
個人事業を営んでいる場合、事業主貸は生じるものです。しっかりと帳簿付けがなされており、事業主貸の額が不自然に多い額や少ない額でなければ、税務調査時に大きな問題に発展することはありません。また、たとえ事業主貸が多かったり少なかったりする場合でも、不正を行っていないのであれば、状況説明をすることで調査官も納得するはずです。
税務調査の連絡がきても慌てることのないよう、日頃から正しく記帳をしておくようにしましょう。
まとめ
事業主貸が多いだけで、税務調査時に指摘を受けることはありません。しかし、事業主貸が不自然に多い場合、売上を不正に低く装っているのではという疑いを抱かれ、税務調査の対象に選ばれる可能性が高くなります。税務調査の対象となった場合でも、正しく申告を行っているのであれば、何も心配することはありません。しかし、何らかの事情で売上の計上を忘れているような場合や売上の計上方法を間違えているような場合は、税務調査の対象となる前に税理士に相談することをおすすめします。
税務調査が実施される際には、原則として税務署から事前の通知が行われます。事前通知を受ける前に自主的に修正申告を行い、不足している額の納税を行えば、過少申告加算税は加算されません。また、事前通知を受け取った後でも、税務調査より前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税を軽減できます。
事業主貸が多く、売上の計上に不安がある場合は、早めの税理士への相談をおすすめします。
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不動産投資で脱税を疑われるケースとは?税務調査でチェックされやすい項目を解説
不動産投資をしている方の多くが確定申告をしているかと思いますが、確定申告をすれば節税になる一方で、やり方が間違っていると脱税になってしまう恐れがあるのです。
本記事では不動産投資で税務対象の対象となるケースやチェックされやすいポイントについて解説します。
結論として、不動産投資で必要な支出を経費計上すれば節税となりますが、全く関係のない支出を経費として計上するのは脱税となり、厳しく処罰される恐れがあるため、適切な会計処理をしなければならないのです。
不動産投資で認められる経費や税務調査で疑われないようにする方法についても説明していきますので、不動産投資家の方はこの記事を参考に、税務調査対策をしていただけたらと思います。
不動産投資とは
そもそも不動産投資とは、アパートやマンションなどの不動産を購入し、入居者に貸し出すなどして運用することで利益を得るビジネスを指します。
建物一棟を購入して運用する以外にも、マンション一室を購入して貸しだし、家賃収入を得る方法など、運用方法は様々です。
初期費用は大きくかかりますが、適切な物件選びができればリスクが少ない投資であり、入居者が定着すれば安定的な収入が得られるため、近年ではサラリーマンなどが副業として不動産投資を始めるケースが増えています。
不動産投資で利益を得る方法
不動産投資で利益を得る仕組みとして、以下の2通りあります。
- インカムゲイン
- キャピタルゲイン
インカムゲインは家賃収入であり、キャピタルゲインは売買益を指します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インカムゲイン
不動産投資におけるインカムゲインは、アパートやマンションなどの資産を保有している間に得られる利益です。
例えば、家賃10万円のアパート経営を行っていて、入居者が5人いれば、月50万円のインカムゲインを得ていることになります。
後述するキャピタルゲインとは違い、長期的に収入を得られる点が特徴です。
キャピタルゲイン
不動産投資におけるキャピタルゲインは、アパートやマンションなどの保有する不動産を売却して収益をあげる方法です。
例えば、ワンルームマンションを2,000万円で取得し、2,200万円で売ることができれば、200万円のキャピタルゲインが生じます。
インカムゲインのように長期的な利益は発生しませんが、短期間にまとまった収入を得られる可能性が高いです。
不動産投資で税務調査の対象となるケース
税務調査は法人・個人に関わらず、全ての納税者が対象となります。
しかし、税務調査は限られた件数しか実施できないため、一定の条件を満たす法人・個人に対して行われやすいです。
ここでは、不動産投資を行っている人で税務調査の対象となりやすいケースについて説明していきます。
本業以外の不動産所得が20万円以上ある
本業の給与以外の不動産所得が20万円以上ある場合、税務調査の対象となります。
ここでいう不動産所得とは、家賃収入から必要経費を差し引いた金額を指し、不動産投資を行っていればほとんどの場合、不動産所得が年間20万円を超えるため、忘れずに確定申告をしなければなりません。
もし、確定申告をする必要があるのにそれを怠っていたり、収入を計算していなかったり、必要経費以外のものを経費計上していたりすると、税務調査が入ることがあります。
無申告でも税務調査は入る
税務調査は基本的に、確定申告を行った法人や個人事業主が対象となります。
そのため、、「小規模であれば不動産所得があるのはバレないだろう」と思う方もいるかと思いますが、無申告者に対しても税務調査は行われるので注意が必要です。
不動産投資の場合、税務署は登記情報などを把握できるため、不動産所得があるのに申告していなかったり、不審な点があったりすると、税務署から「お尋ね」の連絡や、税務調査が入る恐れがあります。
事業規模が大きい・収入が多い法人や個人
不動産を複数棟所有しているなど、事業規模が大きかったり、収入が多かったりする法人や個人事業主は、税務調査の対象となりやすくなります。
事業規模が大きければ、申告のミスや漏れ、不正があった場合の額も大きくなってしまいがちだからです。
所得に大きな変動があった
税務調査が入りやすいタイミングとして、所得に大きな変動がある、もしくはお金の動きが激しい年が挙げられます。
具体的には、以下のパターンです。
- 不動産を取得した
- 不動産を売却した
- 不動産所得に対し、経費が異常に多くなった
不動産を取得するにはまとまった資金が必要になるため、調達方法などが調べられ、売却した場合は、譲渡所得に対する所得税や住民税がきちんと支払われているか確認されます。
また、所得が増えた場合は、納税額を減らそうと度を超えた節税対策をしてしまうケースが多く、経費の水増しや所得隠しを疑われる場合があるのです。
過去に確定申告でミスを指摘されたことがある
過去の確定申告で、税務署からミスや不備を指摘されたことがある、またはミスを繰り返している不動産投資家は、税務調査の対象となりやすいです。
確定申告のミスを繰り返すと「悪質性が高い」と判断され、脱税を疑われるリスクが高くなるため、注意しなければなりません。
ミスが多い場合や、節税のつもりが脱税になっていないか心配な方は、正確に納税するために、税理士への相談がおすすめです。
不動産投資家が税務調査でチェックされやすいポイント
税務調査で疑われやすいのはどの項目なのか、どの部分をチェックされるのかを把握しておけば対策がしやすく、万が一税務調査を受けることになった場合でも対応しやすくなるでしょう。
ここでは、不動産投資における税務調査でチェックされやすい項目について解説します。
計上する収入に漏れがないか
不動産投資に関わらず、税務調査では収入を正しく計上しているか厳しくチェックされます。
不動産投資で計上する収入は家賃収入が基本ですが、その他にも礼金や更新料、駐車場代なども収入に含まれます。
また、物件の敷地内に設置された自動販売機なども計上すべき収入となるでしょう。
このように、家賃収入以外にも収入がある場合は、これらも正しく計上されているかチェックされます。
減価償却費が正しく処理されているか
不動産投資の必要経費で最も大きなものとされているのが減価償却費です。
減価償却は、経年劣化によって価値が下がる固定資産に対して、定められた年数に渡って一定額を経費計上する制度で、上手く使えば節税対策としても効果が高くなります。
しかし、耐用年数を間違えて本来の年数よりも短くしてしまうと減価償却費が増え、本来納めるべき税金が少なくなるため、税務調査では必ずチェックされる項目です。
消費税分を申告しているか
不動産投資で得られる家賃収入の中には、消費税がかかるものとかからないものがあり、消費税分を正しく申告しているかをチェックされやすいです。
課税対象となるもの・ならないものには、以下があります。
- 課税対象・・・事業用に使用している建物の家賃、管理費など
- 非課税・・・居住用の建物の家賃、共益費、敷金、礼金など
このように、不動産経営では消費税の考え方が分かりづらく、ミスが申告漏れが起きやすいので、税務調査でも確認されやすいポイントです。
不動産投資とは関係ない支出を経費計上していないか
経費を水増しして計上することは、脱税行為にあたります。
具体的には、以下のように経費を偽ると脱税と判断されて処罰を受ける可能性が高いです。
- 私的な旅行費用を「交通費」として経費計上
- 私的な飲食代を「接待交際費」として計上
- 支払いが生じていないにも関わらず架空の領収書を作成して経費計上
このように、不動産投資とは関係のない私的な費用を経費として計上したり、経費扱いになるものを水増しして計上したりするのは絶対にやめてください。
不動産投資で認められる経費
先述した通り、不動産所得は年間の家賃収入から年間にかかる経費を差し引いて計算します。
そして、計上できる経費は以下のような不動産経営に必要とされる経費です。
- 租税公課(固定資産税、印税、不動産取得税など)
- 管理者への委託管理料
- 物件の修繕費
- 減価償却費
- 保険料(火災保険・地震保険)
- ローン返済額の金利部分
- 確定申告する場合の税理士への報酬 など
このような支出を経費計上することで、所得を減額できるので、節税効果が期待できます。
しかし、関係のない私的な支出を経費とすれば脱税とみなされてしまいます。
不動産投資家が税務調査で脱税を疑われないためにするべきこと
税務調査でミスによる申告漏れや悪質な所得隠し、脱税などが発覚した場合、以下の加算税や延滞税が課されます。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
- 延滞税
悪質性が高いほど処分も重くなるため、普段の会計処理から気をつけて行わなければなりません。
ここでは、不動産投資家が税務調査で脱税を疑われないようにするために気をつけたいポイントについて説明していきます。
申告する内容に不備がないか確認する
たとえ故意がなくても、確定申告でミスがあると、税務調査の対象にされてしまう恐れがあります。
そのため、日々の記帳を丁寧に行うことはもちろん、申告内容に不備がないよう細部までチェックするようにしましょう。
不動産投資においては、入金を確認した時点で仕訳処理を確実に行う、自分で判断できない場合は税理士に相談するなどの対策をとるのがおすすめです。
領収書などの証拠を残しておく
税務調査では、支出の領収書などの提出を求められる場合が多く、経費としたものの根拠がなければ認められない可能性が高いです。
そのため、不動産投資の経費としてお金を支払った場合は、証拠となる領収書やレシートなどを忘れずに受け取り、なくさないよう保管しておきましょう。
なお、領収書は確定申告後も保管しておくことが法律で義務付けられており、保管期間は以下の通りです。
- 白色申告・・・5年間
- 青色申告・・・7年間
通帳を不動産投資用と個人用とに分ける
税務調査対策として、不動産投資用とプライベート用で通帳を分けるのがおすすめです。
個人投資家の場合、不動産投資とプライベートどちらに使ったお金なのかが曖昧になりがちですが、通帳を分別することで、お金の流れが把握しやすくなり、仕訳も楽になります。
不動産投資に関わらず、個人事業主の方は売上や支出を適切に管理するためにプライベートとの区別できるようにしておくと良いでしょう。
不動産に強い税理士に依頼する
不動産投資における確定申告は、支出を経費計上できるか判断するのが難しく、申告ミスや漏れが起こりやすいです。
たとえ故意によるものではなくても、税務調査で申告ミスが発覚した場合は加算税が課される恐れがあるため、不動産投資に慣れていない方や税務調査が心配な方は、不動産に詳しい税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。
費用はかかるものの、税務に関する面倒な手続きを任せられるほか、万が一、税務調査を受けることになった場合も立ち会いや交渉を頼めるので安心できます。
不動産投資で脱税の恐れあり!間違いやすいポイントを押さえよう
不動産投資家が税務調査でチェックされやすい項目は以下の通りです。
- 計上する収入に漏れがないか
- 減価償却費が正しく処理されているか
- 消費税分を申告しているか
- 不動産投資とは関係ない支出を経費計上していないか
不動産投資は小規模からでも始めやすく、入居者が定着すれば利回りも安定するため、副業としてビジネスを行う人が多くなっています。
しかし、不動産投資家も税務調査を受ける可能性があり、税務調査の結果、誤りが発覚することもあるため、日々の会計処理に気をつけるほか、適正な申告を心がける必要があるのです。
特に、不動産投資に関係のない支出を経費として計上するなどの事例は多く、故意でなくても間違いやすいポイントであるため、不動産投資家で正しく会計処理できているか自身がない方、税務調査が心配な方は、ぜひ税理士などの専門家に相談し、正しく計上、集計して不安を解消しましょう。
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