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合同会社は、株式会社に比べると事業規模が小さなケースも見られます。そのため、合同会社であれば売上額がそれほど大きくなく、株式会社に比べると税務調査の対象に選ばれる可能性は低いと思い込んでしまう事業主もいるようです。
では、実際、合同会社には税務調査は入らないのでしょうか?
今回は、合同会社と税務調査の関係や税務調査の対象に選ばれやすい法人の特徴についてご説明します。
目次
合同会社は税務調査の対象にはならない、ということはありません。合同会社でも税務調査の対象になる可能性はあります。
税務調査とは、納税者を対象に実施される税務署による調査です。税務調査では、帳簿などの関連書類をチェックしながら、提出した申告書の内容が正しいものであるかを細かくチェックします。税務調査の対象は納税の義務がある個人や法人すべてです。
法人に比べると、税務調査の対象となる件数は減るものの、個人事業主であっても税務調査の対象となります。したがって、合同会社であっても、当然、税務調査の対象になる可能性はあるのです。
税務調査の対象に選ばれた場合、税務署から事前に、準備すべき帳簿や書類の指示があるため、税務調査実施当日までに対象となる書類を準備しておかなければなりません。また、税務調査では通常過去3年間の納税状況についての調査が実施されるため、過去の帳簿も遡って指摘を受けそうな箇所を確認し、適切に回答できるよう準備を整える必要もあるでしょう。
調査当日は、調査官が事務所などを訪れ、事業の内容や取引の状況などについて質問をしながら、帳簿や領収書、請求書などを確認していきます。疑問が生じた場合は事業者に対して質問がなされるため、適切に回答しなければなりません。
税務調査が入るとなると、準備や税理士との打ち合わせに時間がとられます。さらに、税務調査当日は立ち会いが必要になるため、合同会社を小規模で営んでいる方の場合、業務に支障が出る可能性も出てきます。
税務調査時に処理方法の誤りや不正を指摘された場合、正しく申告書を作成し、提出する必要があります。その際、課税所得額の不足を指摘されれば、不足分の税金とともに、ペナルティとして過少申告加算税と延滞税の納税が求められます。
万が一、合同会社として十分な利益を上げているにも関わらず、申告を行わず、納税を怠っていたことが税務調査で発覚すると、過少申告加算税よりもさらに税率の重い無申告加算税が課されます。また、意図的に売上を隠したり、経費を水増しするといった不正が発覚した場合には、最も税率の重い重加算税が課される恐れもあります。
合同会社であっても、事業所得を得ているのであれば確定申告をし、税金を納めなければなりません。合同会社など、法人に課される税金は次のとおりです。
法人税は、事業で得た所得に対して課される税金です。法人税の税率は、資本金の額によって異なりますが、資本金1億円以下の合同会社の場合、年800万円以下の部分については15%、年800万円を超える部分については23.20%となります。
事業が赤字の場合は、課税所得額がマイナスになるため、法人税の納税は不要です。
地方法人税は、地域間の財源の偏りによる財政力の格差を調整することを目的に法人に課される税金です。法人税の納税義務をもつ法人は、地方法人税の納税義務者となるため、合同会社も地方法人税の納税義務があります。地方法人税の税率は、法人税額の10.3%です。
法人住民税は、地方自治体が提供する行政サービスの費用を負担する目的で課される税金です。法人住民税は均等割と法人税割の2つで構成されています。
法人税割は、法人税の額に一定割合をかけて算出します。税率は、都道府県民税の場合は法人税額の1.0%、市町村民税の場合は法人税額の6.0%です。事業が赤字の場合は、法人税額が0円となるため、法人住民税の法人税割が課されることはありません。
一方で、均等割は所得の額に関わらず、法人に等しく負担を求める税金です。均等割の額は、資本金の額と従業員数によって変わってきますが、資本金1,000万円以下、従業員数50人以下の合同会社の場合、均等割の額は7万円となります。均等割については、事業が赤字の場合であっても納税義務がある点に注意しなければなりません。
法人事業税も、法人住民税と同様に自治体の行政サービスの費用を負担する目的で課される税金です。法人住民税は地域の構成員として法人自体に課される税金ですが、法人事業税は法人が行う事業に対して課される点に違いがあります。
法人事業税の税率は法人区分によって異なりますが、資本金が1億円以下の合同会社の場合は、所得割が課されます。税率は、事業所得のうち年400万円以下の部分については3.5%、年400万円を超え800万円以下の部分は5.3%、年800万円を超える部分は7.0%です。
ただし、電気供給業やガス供給業、保険業などを営む場合は課される税金が変わってきます。
特別法人事業税は、地域間の財政力格差の是正を目的に課される国税です。法人事業税の納税義務者は、特別法人事業税の納税義務者となります。特別法人事業税の課税標準は、標準税率により計算した法人事業税の所得割額と収入割額であり、法人の種類に応じた税率を乗じて税額を計算します。
特別法人事業税は国税ですが、法人事業税と合わせて都道府県に申告・納付をします。
基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合、原則として課税事業者となり、消費税の納税義務が生じます。法人の場合、基準期間は前々事業年度です。合同会社の場合であっても課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌々事業年度から消費税の課税事業者となり、納税をしなければなりません。
また、基準期間の売上高が1,000万円以下であっても、前事業年度の開始から6ヶ月間の課税売上高または給与支払総額が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が生じます。
そのほか、インボイス制度のスタートに伴い、適格請求書発行事業者として登録している事業者は、課税売上高に関わらず、登録のタイミングから消費税の課税事業者となります。
合同会社が納税する必要のある税金をご紹介してきましたが、正しく納税をしていない場合、税務調査の対象となり、ペナルティを科される恐れがあります。納税の義務がある法人や個人は、誰でも税務調査の対象に選ばれる可能性はありますが、その確率は一定ではありません。実は、税務調査の対象に選ばれやすい事業者には特徴があります。ここでは、税務調査の対象に選ばれやすい合同会社の特徴を5つご紹介します。
前年や前々年の申告内容と比べて、売上や利益の額が大きく変動している合同会社は、税務調査の対象に選ばれやすくなります。なぜなら、売上が極端に増えた場合、これまで正しく売上を申告していなかったのではという疑いを抱かれるからです。また、利益が著しく低下している場合は、実際よりも経費を多く計上し、不正に税金の負担を逃れている可能性があると疑われます。
事業の内容によって利益率は変わってきます。税務署では、数多くの法人の申告内容をチェックしており、業種ごとの利益率の相場を把握しています。したがって、同業他社と比べて利益率が極端に低い合同会社の場合、売上を本来よりも少なく計上しているか、経費を水増しして計上しているのではという疑いが強まります。
そのため、税務調査を実施し、帳簿や領収書などを詳しくチェックし、正しく申告がなされているかを確認される可能性が高くなるのです。
営む業種によっても税務調査のリスクは変わってきます。税務調査の目的は、正しい申告と納税を促すことです。そのため、正しく申告している確率が高い業種と不正の発覚確率が高い業種を比較すれば、不正をしている可能性が高い業種に対して税務調査を実施した方が、効率よく目的を達成できることになります。
令和6事務年度の不正発覚確率が高かった業種は、バーやクラブ、飲食店、美容業、自動車修理業、船舶業、土木工事業、中古品小売業などです。特に、バーやクラブ、飲食業、美容業といった現金取引が多い業種は、毎年、不正発覚割合が多く、税務調査の対象に選ばれる可能性が高い業種であるといえるでしょう。
事業規模が大きい合同会社も税務調査の対象に選ばれやすくなります。事業規模が大きくなればなるほど、取引金額も大きくなり、取引数も増加するため、会計処理も煩雑になりがちです。また、取引金額が大きい場合、何らかのミスが生じたときに税額に与える影響も大きくなります。
さらに、急激に成長している合同会社も税務調査の対象に選ばれやすい状況です。売上規模の拡大に対し、社内の体制整備が整っていない場合、会計処理のミスが生じやすく、意図せずして申告額が不足しているケースが少なくありません。そのため、会計処理方法の確認や申告内容をチェックする目的で、急成長中の合同会社に税務調査が入るケースも見られます。
課税売上額が1,000万円を超えた場合、翌々事業年度から消費税の課税事業者となり、消費税の納税義務が生じます。消費税の課税事業者となれば、その分、負担する税金の額は大きくなります。そのため、事業者の中には売上額が1,000万円に到達しないよう、経費の額を操作するなどして、不正に調整を行うケースが見られます。
特に、毎年の申告書に記載されている売上額が1,000万円にギリギリ届かない額である場合、何らかの不正を行っているのではないかとの疑いを抱かれるリスクが高くなります。
できれば税務調査は避けたいものですが、税務調査の対象に選ばれてしまった場合、税務調査を拒否することはできません。万が一の事態に備え、税務調査の対象に選ばれた場合の流れや対処法を確認しておきましょう。
税務調査が実施される場合、原則として、税務署からの事前通知が行われるルールです。突然調査官が訪れ、調査が開始されることはありません。
事前通知では、税務調査の日時や対象税目、調査対象期間、準備が必要な書類などについて伝えられます。調査日時の都合がつかない場合は、事情を話し、日程を調整してもらうことが可能です。
税務調査の事前通知を受けたら、顧問税理士がいる場合は顧問税理士に連絡をし、調査の立ち会いを依頼します。顧問税理士がいない場合は、税務調査に対応できる税理士を探し、対応を依頼しましょう。
税務調査では、帳簿をチェックするだけでなく、処理方法などについて専門的な質問がなされます。税法に詳しくない場合、調査官の質問に的確な回答ができない可能性があります。しかし、税理士であれば、税法に精通しているため、法令などを示したうえで、納税者側の意見を明確に主張することが可能です。また、税務調査に強い税理士の場合、交渉のポイントを見極め、納税者の負担をできるだけ抑えるような対応も期待できます。
税務調査の事前通知を受けたら、まずは信頼できる税理士に対応を依頼することが大切です。
税務調査当日には調査官がオフィスや店舗などを訪れ、帳簿などを確認しながら、さまざまな質問がなされます。税理士は税務調査に立ち合う権利が認められており、調査官から専門的な質問がなされた場合などは、納税者に代わって税理士が回答することも可能です。
調査の結果、修正が必要になった場合は、適切に修正を行い、不足分の税金、ペナルティ分の税金を納め、調査は終了となります。調査時に特に問題点がない場合や税理士の主張によって申告内容の正当性が認められれば、修正申告を行う必要はなく、ペナルティも課されることはありません。
合同会社であっても税務調査の対象に選ばれる可能性はあります。正しく申告や納税をしていれば、税務調査が入った場合であっても調査時に大きな問題が起こることはありません。また、申告内容に疑いの余地がなければ、税務調査の対象に選ばれる可能性も低く抑えられるでしょう。
税務調査の事前通知を受けた場合、税理士に対応を依頼すると、生じるリスクを最小限に抑えられる可能性が高まります。万が一、税務調査の対象に選ばれた場合は、できるだけ早く税務調査対応に強い税理士に相談するようにしましょう。
税理士法人松本は、合同会社の税務調査立ち会い経験も豊富です。税務調査にお悩みの際にはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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