2026.01.10
  • 税務調査

確定申告は給与明細でもできる?源泉徴収票がないときの対処法とは

読了目安時間:約 6分

確定申告を行う際には、1年間の所得額を記載しなければなりません。会社員の中にも確定申告をしなければならないケースがあります。その際、1年間の給与収入を知るために会社から発行される源泉徴収票を用いるケースが一般的です。

しかし、何らかの事情で手元に源泉徴収票がない場合、給与明細を使って確定申告書を作成することはできるのでしょうか。

今回は、給与明細と源泉徴収票の違いや給与明細を使った確定申告の可否などについてご説明します。

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給与所得者で確定申告が必要な人とは

確定申告とは、1年間の所得額を申告し、必要な税金の納付や還付を受ける手続きのことです。正社員や契約社員、アルバイトなどで仕事をしている場合、支給される給与から税金が天引きされており、勤務先の会社で年末調整を受けていれば、確定申告をする必要はありません。しかし、次のようなケースに該当する場合、給与所得者であっても確定申告が必要です。

年収が2,000万円以上の人

給与収入が2,000万円以上の場合、確定申告が必要です。年収2,000万円以上の場合、年末調整の対象外となるため、勤務先では年末調整を受けることができません。そのため、確定申告をして対象となる控除を適用させ、1年間の所得税額を計算したうえで、源泉徴収された所得税の調整を行わなければなりません。

2ヶ所以上から給与を受け取っている人

ダブルワークをしている人で、2ヶ所以上から給与を受け取っている人も確定申告が必要です。年末調整は1社でしか行うことができないため、年末調整を受けていない会社から支給されている給与については確定申告を行わなければならないルールです。ただし、年末調整を受けていない方の給与の額が年間20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。

副業で年間20万円以上の所得を得ている人

会社員として働きながら、フリーランスや個人事業主として収入を得ている人は、給与所得以外に年間20万円以上の所得を得ている場合、確定申告が必要です。アフィリエイトやフリマアプリなどで収入を得ている人も、所得額が年間20万円を超えれば確定申告を行わなければなりません。

年末調整を受けていない人

何らかの事情によって会社で年末調整を受けていない人も、確定申告をする必要があります。特に、年の途中で退職し、再就職をしていない人などは、源泉徴収された額が多すぎる可能性があるため、確定申告を行うことで還付を受けられます。

住宅ローンを使って住宅を取得した人

住宅ローンを利用して住宅を取得した人は、一定の要件を満たす場合、住宅ローン控除を受けることができます。住宅ローン控除を適用させるためには、初年度に確定申告を行わなければなりません。

1年間の医療費が10万円を超える人

1年間に、医療費が10万円を超えている場合、確定申告を行うことで、所得税が一部還付<されます。医療費は世帯全員分を合計することができるほか、市販の医薬品の購入費用や通院時の交通費なども医療費として合計することが可能です。

寄附をした人やふるさと納税をした人

寄附をした人で寄附金控除を受ける場合、6ヶ所以上にふるさと納税をした場合なども、年末調整では対応ができないため、確定申告をしなければなりません。

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確定申告は給与明細でも問題ない?

まず、会社員の人が確定申告をする際には源泉徴収票を使用するケースが一般的です。給与明細と源泉徴収票の違いから、給与明細で確定申告を行えるかどうかまでを確認していきましょう。

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、1月1日から12月31日までの1年間に会社が支払った賞与や給与の額、源泉徴収をした所得税の額、控除した社会保険料、配偶者控除の額などが記載された書類のことです。源泉徴収票は1年間の給与支給額が確定した年末調整終了後に発行されます。また、退職所得に関する源泉徴収票の発行タイミングは、退職から1ヶ月以内となっています。

源泉徴収票は書式が決められており、すべての企業は共通の書式を使用して源泉徴収票を発行しなければなりません。

給与明細とは

給与明細とは、会社が従業員に支払う基本給や時間外手当などの額、給与から天引きする所得税や住民税、社会保険料などを明記した書類のことです。また、給与明細には出勤日数や欠勤日数、有給休暇取得日数、代休日数などの勤怠情報も記載されます。そのほか、通勤手当や資格手当、家族手当、住居手当など、会社独自の手当が支給される場合は、手当の支給額についても記載がなされています。

給与明細は、給与を支給する前、または同時に交付しなければならないルールです。しかしながら、源泉徴収票のように給与明細の形式は決められているわけではないため、企業がそれぞれ独自の形式で作成しています。

源泉徴収票と給与明細の違い

源泉徴収票は、1年間の所得額と源泉徴収をした所得税を証明する書類であるのに対し、給与明細は毎月の給与計算の内訳を示す書類です。

源泉徴収票には、給与や賞与の支払い総額と源泉徴収をした所得税の額、社会保険料の額等が記載されており、年間の所得額を把握できます。一方で、給与明細で把握できるのは対象となる月の給与支給額です。

給与所得の源泉徴収票は、年末調整後に発行されるため、源泉徴収を行った所得税の額も正しく記載されています。所得税額は、本来、1年間の所得額が確定しなければ算出することはできません。そのため、毎月の給与から天引きされている所得税の額は概算計算の額となっています。したがって、給与明細だけでは、1年間に徴収された所得税の額を正しく把握することはできません。

確定申告で給与明細は原則として利用できないけれど、例外も

原則として、給与明細だけでは確定申告を行うことはできないと考えておいた方がよいでしょう。しかし、勤務先から源泉徴収票の発行を受けられない場合などは、給与明細をもとに確定申告を行うことが認められる場合があります。

例えば、会社が倒産し、源泉徴収票の発行を依頼できない場合です。この場合は、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出し、税務署に相談を行うことで、給与明細をもとに確定申告を行うことが認められる場合もあります。この際、税務署には、勤務先や給与支払の事実などを示すため、給与明細を添付するようにします。

ただし、給与明細で確定申告を行う場合は、対象年分のすべての給与明細が揃っている状態でなければなりません。ひと月分の給与明細だけがある場合は、対象年分の総支給額や源泉徴収税額、控除額を把握することはできないからです。

給与明細で確定申告を行うことが認められるのは、会社の倒産など、やむを得ない事情の場合のみに限られます。したがって、基本的には会社員の方が確定申告をする際には給与明細ではなく、源泉徴収票が必要になると考えておいた方がよいでしょう。

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確定申告で給与明細が使えないときの対処法

給与所得者が確定申告を行う際には、倒産といった特別な事情がない限り、給与明細を使って確定申告書を作成することはできません。では、手元に源泉徴収がない場合、確定申告はどのように行えばよいのでしょうか。源泉徴収がない場合の対処法をご紹介します。

源泉徴収票を紛失してしまった場合

会社は、年末調整が完了した後、従業員に対して源泉徴収票を発行しなければならない義務があります。そのため、会社からは源泉徴収票が発行されているはずですが、紛失してしまった場合などは勤務先に再発行の依頼をしましょう。会社には源泉徴収票の発行義務はありますが、再発行に応じる義務があるわけではありません。したがって、必ず、再発行に応じてもらえるわけではありませんが、再発行の依頼に対応しているケースが多いようです。ただし、過去の年分の源泉徴収票の発行を依頼する場合などには、発行までに時間がかかる点も理解しておきましょう。

源泉徴収票の発行を受けていない場合

源泉徴収票の発行を受けていない場合は、勤務先に連絡し、発行を依頼します。会社には源泉徴収票の発行義務がありますが、万が一、発行を拒否された場合や発行されなかった場合などは、税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出しましょう。

税務署では、源泉徴収票不交付の届出書を受け取ると会社側に適切に源泉徴収票を交付するよう指導を行います。また、源泉徴収票不交付の届出書を提出する際には、会社が倒産して源泉徴収票を受け取れない場合と同様に給与明細を添付するようにしましょう。

電子データで交付された源泉徴収票も利用可能

昨今では、給与明細も書面ではなく、PDFなどの電子データで発行する企業が増加しています。そのような企業の場合、源泉徴収票もPDFで発行するケースが多いようです。

電子データとして発行された源泉徴収票でも所得額や源泉徴収税額などを把握できれば、確定申告時に問題なく使用することができます。

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確定申告時に源泉徴収票の添付は不要

会社員やパート、アルバイト、派遣社員などの給与所得者が確定申告を行う際には、源泉徴収票が必要です。しかし、実は、確定申告書に源泉徴収票を添付する必要はありません。かつては、確定申告時に源泉徴収票の提出が必要でしたが、2019年4月1日以降に提出する確定申告書に関しては、源泉徴収票の添付が不要になったのです。

源泉徴収票の添付が不要であれば、給与明細でも確定申告を行えるのではないかと思うかもしれません。しかし、確定申告書には給与収入・給与から天引きされた社会保険料、源泉徴収された所得税額などを記載しなければならず、給与明細だけでは正確な額を把握できない可能性があります。そのため、源泉徴収の提出は不要となったものの、確定申告書の作成時には源泉徴収票は必須になるといえるでしょう。

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源泉徴収票を使った確定申告書の書き方

給与所得者が確定申告を行う際は、源泉徴収票の内容を確定申告書にそのまま転記することになります。確定申告書を作成する際の手順についてご説明します。

第一表の書き方

・収入金額・所得金額の記載

確定申告書の「収入金額等」の「給与」欄には、源泉徴収票に記載されている「支払金額」の額を記載します。また、「所得金額等」の「給与」欄には、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を記載します。ほかに所得がない場合は「合計」欄にも同じ金額を記載します。

・所得から差し引かれる金額の記載

「社会保険料控除」の欄には源泉徴収票の「社会保険料等の金額」、「生命保険料控除」の欄には源泉徴収票の「生命保険料の控除額」、「地震保険料控除」の欄には源泉徴収票の「地震保険料の控除額」を記載します。また、確定申告書の「所得から差し引かれる金額」にある「⑬から㉕までの合計」の欄には、源泉徴収票に記載されている「所得控除の額の合計額」を記載します。

・税金の計算の記載

「税金の計算」の「源泉徴収税額」の欄には、源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額」を記載します。

第二表の書き方

・所得の内訳の記載

「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」の欄には「所得の種類」に「給与」と記載し、「給与などの支払い者の『名称』及び『法人番号又は所在地』等」の欄には源泉徴収票に記載されている支払い者の情報を記載します。

また、「収入金額」欄には収入金額、「源泉徴収税額」の欄には「源泉徴収税額」を記載します。

・社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の記載

「社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除」の欄では、「保険料等の種類」に「源泉徴収分」と記載します。また、「支払保険料等の計」の欄には源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に記載された金額を記入します。

・生命保険料控除と地震保険料控除の記載

「生命保険料控除」と「地震保険料控除」欄には、「支払保険料等の計」の欄に、「源泉徴収票のとおり」記載します。

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まとめ

給与所得者が確定申告を行う際には、原則として源泉徴収票が必要です。源泉徴収票は勤務先が発行する書類であり、1年間に支払われた給与の総額や社会保険料などの控除額、源泉徴収税額などが記載されており、所得額が一目で把握できるようになっています。

給与明細は、ひと月分の給与の内訳が記載されている書類であり、源泉徴収票のように収入を証明するような公的な書類としては扱われません。したがって確定申告を行う際には、原則として給与明細ではなく、源泉徴収票を準備することとなります。

万が一、源泉徴収票を紛失してしまった場合などは、勤務先に再発行を依頼するようにしましょう。また、勤務先が倒産した場合など、特別な事情がある場合に限り、給与明細を使った確定申告が認められるケースもあるため、その場合は税務署に相談することをおすすめします。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

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