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自ら申告内容の誤りを修正する場合や、税務調査で申告の誤りを指摘された場合、修正申告を行う必要があります。
しかし、修正申告の経験がないと、どのように手続きすればよいのかわからない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、修正申告の概要や、修正申告のやり方、税務調査の流れなどについて解説します。
さらに詳しく知りたいという方は税理士法人松本まで気軽にご相談ください。
目次
修正申告とは、確定申告の期限が過ぎたあとで、納税額を少なく申告していたことに気づいたときに、修正申告をして正しい税額に訂正する手続きのことです。
税務調査で指摘を受けて修正申告するケースがほとんどですが、納税者が自主的に修正箇所を発見し、修正申告をすることも少なくありません。
また、税務調査の事前通知(税務調査で訪問する旨の連絡を事前に受けること)により、調査が入る前のタイミングで修正申告を行うパターンもあります。
修正時期
修正内容
修正期限
訂正申告
法定申告期限内
間違いに気づいた場合
法定申告期限まで
修正申告
法定申告期限後
本来の納税額よりも少なく申告している場合
明確な期限はなし
更正の請求
本来の納税額よりも多く申告している場合
法定申告期限から5年以内
訂正申告とは、確定申告の期限内に申告内容の誤りを修正する手続きです。
また修正申告と似た制度に「更正の請求」があります。これは納税額を多く申告していた場合に行うもので、税金の還付を受けられる可能性があります。
一方で修正申告は、本来の納税額よりも少なく申告していた場合に行う修正手続きで、不足分の税額を追納する可能性が高いでしょう。
修正申告は、確定申告で利用する書類と同じ「第一表」と「第二表」で修正を提出します。
【第一表】
1. 修正申告とわかるように『修正』と記載する
2. 「種類」の選択箇所で『修正』に丸を付ける
3. 修正後の金額を確定申告書作成時と同じように記載する
4. 「修正申告」の『修正前の第3期分納税(55)』に修正する前に申告していた税額を記載する
5. 同じく「修正申告」の『第3期分の税額の増加額(56)』に本来納めるべき税額との差額((53)ー(55))を記載する
【第二表】
1. 第一表と同様に一番上に『修正』申告書と記載する
2. 右中央付近にある『特例適用条文等』に修正理由を記載する(例:売上の一部の申告が漏れていた場合は「取引先の会社名(住所・売上額・源泉徴収の有無)の売上計上が漏れていたため」と記載する)
3. そのほかは通常の確定申告と同じように記載する
参照:国税庁「所得税の確定申告」
修正申告には、確定申告のような明確な提出期限は定められていません。申告内容の誤りに気づいた時点で、できるだけ速やかに手続きを行う必要があります。
なお、申告が遅れるほど延滞税などのペナルティが加算されるため、1日でも早く申告することで、余計な支出を抑えられます。
修正申告の提出方法は以下の3つです。
修正申告をe-Taxで提出する場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にある『提出した申告書に誤りがあった場合』のメニューから、修正申告書の作成・提出ができます。
その際、マイナンバーカードと、読み取り可能なスマートフォンまたはICカードリーダーライターを準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。
FXや先物取引など、分離課税の所得について修正申告を行う場合は、確定申告書第一表・第二表に加えて、「第三表」の提出が必要となるため注意が必要です。
また、修正申告には原則として提出期限はありませんが、税務調査や税務署からの指導により修正申告を求められている場合は、指定された期日までに申告を行わなければなりません。期日を過ぎると、加算税などのペナルティが課されるほか、税務署による更正処分の対象となる可能性があるため、十分に注意しましょう。
修正申告のペナルティは主に4つあり、必ず課せられるのが「延滞税」です。延滞税に加え、加算税も請求されます。
延滞税とは、税金の納付期限を過ぎると発生する税金で「利息」をイメージするとわかりやすいでしょう。本来納める税金に加えて支払う必要があるので、納める合計額は多くなります。
【延滞税の課税割合】
令和3年1月1日以降の計算方法は次のとおりです。
国税庁のホームページに用意されている延滞税の自動計算を利用すれば、計算が苦手な方でも簡単に延滞税の金額を求められるので、ぜひ活用してください。
過少申告加算税は法定申告期限までに確定申告している人に対して、申告内容に不備があった際に請求される加算税です。
しかし、税務署から指摘を受ける前に自ら修正申告する場合は、過少申告加算税は課されないため、安心してください。ただし、延滞税はかかるので、注意しましょう。
【過少申告加算税の課税割合】
参照:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき
無申告加算税は、法定申告期限までに確定申告をしなかった場合に課せられる加算税です。
ただし、法定申告期限から1か月以内に自ら修正申告した場合は、無申告加算税はかかりません。
【無申告加算税の課税割合】
例えば、法定申告期限から1か月以上経過し、自ら修正申告をした場合(100万円の納付義務がある)、
100万円×5%=5万円(無申告加算税)
100万円+5万円=105万円
最終的に105万円+延滞税を納付しなければなりません。
重加算税は、二重帳簿や売上・帳簿の改ざんなど、意図的に隠ぺいまたは仮装した場合に課される加算税です。過少申告加算税や無申告加算税よりも重いペナルティで、軽減措置や免除になる仕組みはありません。
【重加算税の課税割合】
自ら納税額の誤りに気づくことは稀であり、多くの場合は税務調査によって発覚します。ここでは、その税務調査の主な6つの流れについて紹介します。
ほとんどの税務調査では、税務署から調査で訪問する旨の連絡を事前に受けてから実施されます。
この連絡を「事前通知」といい、調査日時や期間などについて口頭で説明を受けます。
事前通知がいつ頃来るのかについては、税務署で明確な案内が出ていないためケースバイケースとはなりますが、目安としては以下のようになることが多いようです。
法人も個人事業主の場合も、税務調査となった場合に生じるリスクは同じです。正しい申告ができているか、修正が必要な点や、納税に関する思い違いがないかなどを調査し、間違いがあれば指摘して修正を促すのが税務調査の目的となります。
出張や繁忙期などにより税務調査当日に時間が取れない場合は、事前通知の際または後日に日程調整を申し出ることが可能です。
また、税務調査の実地調査は税理士の立ち会いが可能なため、顧問税理士がいる場合は、税理士のスケジュールも確認してから日程調整しましょう。
税務調査で必要な書類は事前通知のときに伝えられることが一般的です。
例えば、以下のような書類の準備を求められます。ただし、法人と個人で求められる書類には違いがあるので、あくまでも一例として参考にしてください。
よく求められる書類の一例
概要
帳簿関連
元帳、入金出金振替伝票、現金出納帳、当座預金出納帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、買掛帳、売掛帳など
取引関連の書類
見積書、納品書、請求書、領収書、工事契約書、在庫確認書など
預貯金関連
会社の普通預金の通帳、定期預金・定期積金の通帳および証書(法人の場合は個人の普通預金の通帳、定期預金、積金の通帳)、クレジットカードの明細など
人件費関連
源泉台帳、扶養控除申告書等、社会保険関係の書類、特別徴収の住民税の通知書、タイムカードの記録等、役員報酬の改定の明細書、役員退職金の明細書など
そのほか
会社のパンフレット、登記簿謄本、稟議書、株主総会・取締役会の議事録、定款など
帳簿類は決算書類から売上・仕入れなどの各種台帳に加え、契約書や在庫確認表など、営業に関わる書類はすべて提出できるように準備しておきます。
基本的には過去3年分の調査を受けることとなりますが、場合によってはそれ以上遡って指摘を受けるケースもあるため、パソコンのデータを含む7年分はいつでも閲覧できる状態にしておきましょう。
調査時間は午前10時前後から午後4~5時頃までとなり、お昼には1時間程度休憩時間を挟むのが一般的です。
また、事前通知を受けてから行う任意調査では、テレビなどで見かける物々しい雰囲気ではなく、穏やかに調査が進んでいくことがほとんどです。
履歴やデータの閲覧についても勝手に行われることはなく、事前に同意を得てから確認作業が進んでいきます。
実地調査終了後、税務署から追加資料の依頼や対応を求められる場合があります。
その際は、迅速かつ誠実に対応するようにしましょう。
実地調査に税理士が立ち会っている場合は、税理士のほうに指摘事項の連絡が入り、対応や交渉も税理士が行ってくれるためスムーズに進められます。
税務調査の結果は3つに分かれます。
結果次第で対処するべき行動が変わるため、結果の内容はきちんと理解しておきましょう。
申告内容について特に誤りがなかった場合、申告是認と通知されます。
ただし、税務調査の結果が申告是認となるケースはごく稀です。
ほとんどの場合、なんらかの指摘を受けて修正申告を求められると理解しておいたほうがよいでしょう。
税務調査の修正申告は、税務調査で誤りの指摘を受けるなどして、納税者自らが申告の修正を行います。
場合によっては、追納や加算税が求められるでしょう。
更正処分は、税務調査において税務署から誤りの指摘を受けたものの、納税者がその内容に納得できず修正申告を行わなかった場合に、税務署が税額を確定し訂正を行う行政処分です。
多くの場合、指摘内容に納得すれば納税者が自主的に修正申告を行い、調査は終了します。
しかし、どうしても納得できない場合には、修正申告を行わず更正処分を受けるという選択も可能です。
修正申告と更正処分は、いずれも誤った申告を正すものですが、前者は自主的な対応、後者は税務署による強制的な手続きという違いがあります。
なお、更正処分に不服がある場合は、異議申し立てや審査請求などができます。その際は、税理士に相談することで専門的なアドバイスのもと進められるので、税理士に相談することをおすすめします。
ただし、争いが認められず処分が確定すると、延滞税や加算税などの追徴課税が発生する可能性があるため、その点も踏まえた判断が必要です。
自ら修正申告を検討している場合や、税務調査の事前通知が届いている方は、税理士へ相談することをおすすめします。
税務のプロである税理士に相談するほうが、より正確な申告が可能となります。
また、税務調査の場合、指摘されそうな部分に対しての受け答えや対策など、準備を整えられるだけでなく、修正申告に応じるべきか、異議を申し立てるべきかといった判断基準についてもアドバイスを得ることが可能です。
税理士を通すことで早期に解決でき、税務調査をスムーズに進められます。
その際は、税務調査のプロ集団である「税理士法人松本」まで気軽にご相談ください。
修正申告とは、すでに申告が終わった内容について税額を少なく申告していたことに気づいたときに行う手続きのことです。
納税者が自主的に税務署へ申し出て行うものですが、税務調査の際に修正申告となることが一般的です。
税務調査の事前通知が届いた際には、万全の対策で挑むために、税務のプロである税理士に相談しましょう。
税理士法人松本には、国税出身の職員が10名以上在籍しており、知識と交渉力で追徴課税が発生しなかった実績が多数あります。税務調査だけのスポット対応も可能なので、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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