2025.12.11
  • 税務調査

税理士に確定申告を依頼した場合、費用はどのくらいかかる?

読了目安時間:約 6分

税理士には、税務に関連する業務を任せることができます。法人にとっても個人事業主にとっても、一年間の事業所得を計算し、法人税や所得税を納税する確定申告業務の負担は大きいものです。そのため税理士に確定申告を依頼し、業務負担を軽減したいと考えるケースも少なくないのではないでしょうか。

しかし、税理士に確定申告を依頼するとなると気になるのが費用です。税理士に確定申告を依頼した場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。

今回は、税理士に確定申告を任せた場合に発生する費用の目安や税理士に業務を依頼するメリット、税理士選びの注意点などについてご説明します。

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税理士費用について

確定申告を税理士に依頼した場合の費用の目安をご紹介する前に、税理士費用の考え方について確認していきましょう。

税理士費用を把握することの難しさ

税理士などの士業に業務を依頼する場合、気になるのは、依頼によってどのくらい費用が発生するという点です。最近では、多くの税理士がホームページを開設しており、ホームページの中には費用が記載されているケースが多くなっています。しかし、小売業のように商品ごとに金額が示されているわけではないため、料金表を見ても、自分が確定申告を依頼する際に、どの程度の費用負担が発生するのか分かりにくいケースが少なくありません。

税理士との契約方法と費用の違い

税理士に確定申告を依頼する方法には、顧問税理士契約を結ぶ方法と単発契約(スポット契約)を結ぶ方法があります。

顧問税理士契約とは、毎月一定の金額を支払うことで、継続して税理士のサポートを受ける契約方式のことです。顧問税理士契約を締結するメリットは、日常的に税務について相談を受けられる点にあります。経理処理や会計処理での不明点や資金調達方法などについても、顧問契約を結んでいれば相談することが可能です。顧問契約を結ぶ場合、毎月、一定の費用負担が生じます。また、確定申告業務については、顧問料とは別に費用が必要になるケースが多いため、顧問契約を結んで確定申告を依頼する場合は、月々の顧問料+確定申告の費用を負担することになります。

一方、単発契約とは、顧問契約を結ばずに、特定の業務だけを依頼する契約方式のことです。顧問税理士契約とは異なり、月々の税理士費用が発生することはなく、依頼する業務の費用のみを負担すれば、業務に対応してもらうことができます。

税理士事務所によるものの、顧問契約を結んでいる場合は、単発契約に比べると確定申告業務にかかる費用を多少低く設定しているケースも多いようです。

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税理士に確定申告を依頼した場合の費用の目安

税理士に確定申告を依頼した場合にかかる費用は、法人と個人事業主で変わってきます。なぜなら、法人と個人事業主では事業規模も異なるために、作業の複雑さ、作業にかかる手間が変わってくるからです。では、税理士に確定申告を依頼した場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。

法人が負担する税理士費用の目安

法人が確定申告を税理士に依頼した場合の費用は、売上額によって大きく変わってきますが、一般的には、15万円~30万円程度の費用が発生することが多いようです。ただし、売上額が大きい場合や取引数・支店数が多い場合、その分、決算書などの作成に手間がかかるため、税理士費用も高額になります。

また、顧問契約を結んでいるかどうかによって費用が変わってくる部分もあります。税理士事務所によっては、顧問契約を結んでいる法人が確定申告を依頼する場合の費用は、顧問料×3~4ヶ月分という形で設定しているケースも見られます。また、費用には法人税の申告だけでなく、消費税の申告についても含まれているケースと消費税の申告については別途費用が発生するケースがある点に注意が必要です。

個人事業主が負担する税理士費用

個人事業主が税理士に確定申告を依頼する場合の費用の目安は、10万円~20万円程度が目安となります。ただし、所得税に加えて消費税の申告も必要になる場合、法人と同様に別途費用が設定されているケースもあります。

また、確定申告だけでなく、記帳からすべて税理士に依頼する場合にかかる費用はより高額になる点にも注意しましょう。

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確定申告を税理士に依頼するメリットとは

確定申告を税理士に依頼すると、当然、費用が発生します。しかし、費用が発生することを考えても税理士に確定申告業務を依頼した方が良いケースもあります。税理士に確定申告を依頼する主なメリットについてご紹介します。

正しい申告書を作成できる

税理士は税務の専門家です。そのため、税務に関する知識を生かし、正しい確定申告書を作成することが可能です。税理士が作成した確定申告書は、ミスが発生しにくいと考えられるため、信頼性が高まり、税務調査のリスクを低減させます。

税務調査の対象となった場合、帳簿書類の準備や対応準備に時間が取られ、税務調査時に申告漏れを指摘されれば、追徴課税が課される可能性があります。しかし、税理士が作成した申告書類ではミスが起こりにくいため、税務調査の対象に選ばれる可能性は低くなるでしょう。また、万が一、税務調査の対象になった場合でも、税理士に立ち会いを依頼することが可能です。税理士が調査官からの質問に対応できるため、精神的な不安を軽減できるとともに、調査官との適切な交渉によって不必要な追徴課税を避けることもできます。

節税対策につながる可能性がある

税理士は、さまざまな節税制度を把握しているため、税理士に確定申告を依頼すると、適切な方法で申告を行うことができ、節税効果を得られる可能性があります。状況に応じて、適用すべき節税制度は変わってくるものの、税務の知識が十分ではない場合、最適な選択をすることは難しいケースが少なくありません。また、近年では、税法が頻繁に見直しされているため、常に情報をアップデートしておかなければ、適用できる節税対策に気が付かず税金を納め過ぎてしまう可能性もあります。

税理士に確定申告を依頼すれば、税理士に支払う費用は発生しますが、税理士費用は経費として計上することが可能です。また、税理士に依頼することで節税効果を得られれば、トータルで考えたときには、税理士に依頼することでかえって費用負担を抑えられる可能性もあるでしょう。

確定申告にかかる時間と労力を本業に充てられる

確定申告書の作成には、手間と時間がかかります。税理士に確定申告書の作成業務を依頼すれば、事業年度末や年度末の忙しさを軽減することが可能です。また、申告書の作成業務だけでなく、記帳代行など、日頃の経理業務も依頼すれば、より経理業務にかかる負担を軽減できるでしょう。税理士にこれらの業務を任せると、これまで作業にかかっていた時間と労力を本業に費やすことができます。本業により注力できるようになれば、さらに事業を成長させることもできるかもしれません。

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確定申告を税理士に依頼する場合の注意点

税理士は税務の専門家であり、確定申告を依頼すれば、手間をかけずに正確な申告書を提出できます。税務調査の対象となるリスクも低く抑えられ、確定申告業務にかかっていた時間も本業に充てられるため、精神的な負担も軽減できるでしょう。しかし、税理士を選ぶ際には次の点に注意することが大切です。

費用だけで税理士を選ぶのは危険

はじめて税理士に確定申告を依頼する場合、どうしても税理士に支払う費用が気になってしまいます。しかし、費用だけをポイントに税理士を選ぶことは危険です。なぜなら、費用を安く設定している税理士の場合、基本料金のほかにオプションを付けなければならないケースもあり、結果として高額な費用負担が発生する可能性もあるからです。したがって、税理士に確定申告を依頼する場合には、見積もりを取得し、発生する費用の総額について確認しておく必要があります。

業界に詳しい税理士を選ぶ

安い費用で業務を依頼できる税理士であっても、営む事業が属する業界に詳しくない場合、業界特有のルールを把握していない可能性があります。それぞれの業界に特有の商習慣があり、適用される会計基準も異なる場合もあります。そのため、税理士を選ぶ際には、費用面に加えて業界の知識についても確認しておくと安心です。

コミュニケーションを図りやすいか

特に、顧問契約を結んでいない税理士に確定申告を依頼する場合は、日頃から税理士とのやり取りが発生しているわけではないため、申告書の作成に伴い、さまざまな確認事項が発生する可能性があります。質問の内容が分かりにくい、説明をしても的確に理解してもらえない、連絡が取りにくいなど、意思の疎通が図りにくい場合、税理士に依頼をすることで新たなストレスが発生する恐れがあります。税理士に確定申告を依頼する場合には、コミュニケーションの図りやすさについても確認しておくようにしましょう。

早めに税理士探しを始める

法人の確定申告の期限は事業年度終了日から2ヶ月以内です。しかし、日本の企業の多くは、3月を決算としているケースが多くなっています。また、個人事業主の場合は、原則として2月16日から3月15日までが確定申告期間です。したがって、法人の決算時期や個人事業主の確定申告期間の前は、忙しい税理士が多く、直前になって確定申告業務を依頼しても対応できないケースが見られます。そのため、確定申告を税理士に依頼したいと考えた場合は、早めに税理士を探し、費用の見積もりを取得したうえで納得できる事務所に依頼するようにしましょう。

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確定申告以外の税理士費用の目安

確定申告以外の業務を税理士に依頼する場合の費用の目安はどのくらいなのでしょうか。依頼する業務の難易度や手間によっても変わってきますが、税理士に単発で業務を依頼した場合の費用の目安をご紹介します。確定申告を依頼した後、他の業務の依頼も検討するような場合は、費用の目安として参考にしてください。

年末調整の費用

年末調整を税理士に依頼した場合の費用は、多くの場合、基本料金に従業員の人数に応じた追加料金を組み合わせるような料金設定を用いているケースが多くなります。

具体的には、基本料金が2万円~3万円程度、従業員1人につき3,000円程度を加えるようなイメージです。例えば、従業員が20人の会社であれば、2万円~3万円+6万円=8万円~9万円が費用の目安となるでしょう。

記帳代行の費用

日々の取引内容を仕訳し、記帳する業務も手間がかかるものです。税理士には記帳代行を依頼することも可能ですが、その場合には費用が発生します。記帳代行費用は月額1万円~3万円程度が目安になります。ただし、取引件数が多く、記帳の件数が多くなった場合などは、より高い費用が必要です。

税務調査対応の費用

税理士に税務調査の対応を依頼する場合は、事前準備にかかる費用、税務調査当日の立ち会い費用、調査終了後の修正申告費用などが発生します。税務調査に対応するためには資料を準備し、内容を確認したうえで、調査で想定されるリスクへの対応方法を協議するなどの事前準備が必要です。また、当日は、税務調査に立ち合い、調査官からの質問に回答したり、納税者側からの意見を主張したりといった対応が求められます。さらに、税務調査の際に申告内容の誤りや不備を指摘された場合、正しく申告書を作成し直す修正申告が必要です。

これらの税務調査対応にかかる費用は、30万円~70万円程度とされています。しかしながら、売上規模が大きい場合やより複雑な状況である場合などは、さらに費用がプラスされる可能性があります。

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まとめ

税理士に確定申告を依頼する場合の費用の目安は、法人が15万円~30万、個人事業主が10万円~20万程度です。しかし、売上の規模や取引の量などによって作業の煩雑さが変わってくるため、見積もりを取得しなければ正確な費用を把握することはできません。

はじめて税理士に確定申告を依頼する場合などは、早めに税理士選びを始め、複数の税理士から費用の見積もりを取得するようにしましょう。また、見積もり取得後は費用面だけを比較するのではなく、対応の早さやコミュニケーションの図りやすさなども踏まえ、総合的に安心して業務を依頼できる税理士を選ぶことが大切です。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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