2025.12.12
  • 税務調査

税理士の変更に適したタイミングはいつ?トラブルを避ける断り方とは

読了目安時間:約 6分

税理士と顧問契約を結んでいても、何らかの理由から税理士を変更したいと思うこともあるでしょう。しかし、税理士の変更となると、現在契約している税理士に顧問契約の解消を申し出なければなりません。そのため、円満に税理士変更を叶えられるベストなタイミングやトラブルを避ける断り方について悩む方も少なくないようです。

そこで今回は、スムーズに税理士を変更するために知っておきたい、税理士変更のベストなタイミングやトラブルを避ける上手な断り方について解説します。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ
Youtubeでも様々な内容を解説しています!Youtube

税理士変更を考えるタイミングとは

税理士と顧問契約を結ぶと、会社の情報を税理士に渡しているため、なかなか簡単に税理士を変更するわけにはいかないと思うかもしれません。しかし、次のような不満や不安から税理士の変更を考えるケースは珍しくなく、実際に税理士を変更する事例も多くあります。

コミュニケーションが取りにくい

資金繰りや資金調達、資本金の増資など、経営上で何らかの悩みが生じたとき、税務はもちろん、財務や会計にも詳しい税理士は、良き相談相手となるはずです。しかし、税理士によっては高圧的な態度や気難しい雰囲気があり、気軽に質問がしにくいケースもあるようです。また、忙しい税理士の場合は、連絡をしてもすれ違ってしまうことが多く、相談したいタイミングで相談ができないという不満を抱えるケースも見られます。

せっかく顧問契約を結んでも、いざというときに相談ができなければ、顧問契約のメリットを十分に享受することはできません。そのため、より確実に、また、気軽にコミュニケーションが取れる税理士に変更したいと思うケースは少なくありません。

サービス内容に物足りなさを感じる

税理士は、単に税務処理を依頼するだけでなく、節税や補助金・助成金のアドバイスなど、経営全体のサポートにつながるような提案を行うことも可能です。税務処理以外の役割も期待しているにもかかわらず、税理士からは積極的な提案が行われないような場合は、提供されるサービスに物足りなさを感じることが多いようです。サービスへの不満も税理士の変更を考える理由となります。

税務調査時の対応に満足できなかった

税理士といっても、税理士のすべてが税務調査に対応した経験をもつわけではありません。税務調査の対応は、経験が大きく生かされる分野です。そのため、税務調査の対応経験を豊富にもつ税理士であれば、税務調査で指摘を受けやすいポイントなどについて事前の対策を実施することができます。しかし、顧問契約を結んでいる税理士に税務調査の対応経験がなければ、十分な対応ができない可能性は少なくありません。

税務調査の経験から今の税理士に不安を感じ、税務調査時により頼りになる税理士に変更したいと考えるケースも多く見られます。

年齢的に不安を感じる

小さな税理士事務所に依頼している場合など、担当する税理士の年齢が気になり、変更を考えるパターンもあります。豊富な経験に裏打ちされた知識や対応力は何物にも代えがたいものですが、高齢なためにITツールには詳しくないというケースもあるようです。また、年齢的にいつまで対応をお願いできるのか、不安になるケースもあるでしょう。会社が成長ステージにある場合などは、税理士が会社の成長を支え切れるか不安に思い、年齢的な不安のない税理士に変更したいと考える場合も見られます。

費用と提供されるサービスの内容に不満がある

最近では、多くの税理士がホームページを開設しており、ホームページ上には料金についても明記されるケースが多くなりました。また、インターネットの発達により、税理士報酬の相場も簡単に検索できるようになっています。税理士報酬の相場が分からなかったために、当然と思って続けてきた顧問契約も、他の税理士が示す料金を知ったことで、契約中の税理士の料金設定が割高だと感じるケースもあるかもしれません。費用が提供サービスに見合っていないと感じ、税理士の変更を検討するケースもあります。

会社が次のフェーズに突入するとき

事業規模が小さい場合、小規模な税理士事務所でも十分な対応は期待できますが、会社が成長していくと、小規模な事務所では対応が難しくなってくるケースがあります。取引件数が増え、売り上げが増えれば、それだけ経理処理も税務処理も複雑になるため、システムの導入なども検討しなければなりません。また、新規事業の展開に伴う資金調達や事業拡大に向けたM&Aなどの検討も必要になる場合、経営サポート経験を豊富にもつ税理士でなければ、十分なサポートを受けられない可能性がでてきます。

会社の成長に伴い、税理士に依頼したい業務の内容が変わってくる場合は、成長スピードにも対応できる税理士への変更を検討した方がよいでしょう。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

税理士の変更に適したタイミング

税理士の変更は珍しいことではありません。そのため、税理士に何らかの不満や不安を抱いている場合は、より納得できるサービスを提供できる税理士への変更を検討した方がよいでしょう。しかし、税理士の変更タイミングを見誤ると、業務に支障が生じる可能性もあるため、タイミングを見計らって進めることが大切です。では、税理士の変更はどのようなタイミングで進めるべきなのでしょうか。

基本は決算や確定申告が終わってから

税理士変更は、決算や確定申告を終えてからのタイミングがベストだといえます。なぜなら、申告を終えた後は税務関連の業務が一旦落ち着いたタイミングであり、新たな事業年度を迎えるタイミングで税理士を変更するとスムーズに引き継ぎを行いやすくなるからです。

万が一、決算の直前に税理士を変更した場合、新しい税理士が短期間で事業の状況を把握することは難しく、決算書や申告書の作成にも時間がかかる恐れがあります。また、自社に合った節税対策についてのアドバイスが得られない可能性もあるでしょう。そのため、次の決算・確定申告まで十分な時間をかけて、業務や事業状況を把握してもらえるよう、税理士の変更は決算が終わり、確定申告書の提出を終えたタイミングがベストになるといえます。

税務調査の修正申告が終了してから

税務調査を受け、修正申告の必要が発生した場合は、修正申告書の提出を終えてからのタイミングで税理士を変更した方がよいでしょう。もし、税務調査の対象となった場合、申告書の作成に関わった税理士が不在となると、調査時の対応もスムーズに進みません。担当税理士でなければ、なぜそのような処理を行ったのかが分からず、調査官からの質問に対しても適切に回答できない恐れがあるからです。そのため、税務調査を受けた場合には、修正申告が完了するのを待ってから、税理士を変更するようにしましょう。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

税理士を変更する際の流れ

税理士を変更する際に最も大切なことは、税理士が不在となる期間を避けることです。税理士が不在となる場合、その間の経理処理や会計処理に不備が生じたり、従業員への業務負担が増えたりといったリスクが生じます。また、税理士不在の間に税務調査が入らないとは言い切れません。したがって、税理士を変更する際には、空白期間を作ることがないよう慎重に準備を進めることが大切です。

ここでは、税理士を変更する際の手続きの流れをご紹介します。

現在の税理士との契約内容を確認する

まず、税理士と顧問契約を結んだ際の契約書を確認し、契約解除を申し出るタイミングについての記述を確認します。また、契約更新以外のタイミングで解約を申し出た場合、違約金が発生するケースもあります。トラブルなく、スムーズに税理士変更を進めるうえでは、現在の税理士との契約を事前に確認し、適切なタイミングで税理士の変更手続きを進めることが重要です。

新しい税理士を探し、契約を結ぶ

現在の税理士との契約内容を確認したら、税理士不在期間が生じないよう、早めに次の税理士を探します。税理士を変更したいと感じた背景には、現在の税理士に対する何かしらの不満があったからです。したがって、新しい税理士を探す際には、税理士に求める基準を明確にしたうえで、基準に合致する税理士を選ばなければなりません。税理士の選択基準があいまいな場合、税理士を変更しても満足できる結果とはならない可能性があるため、複数の税理士と面談を重ねたうえで、納得できる税理士を選ぶようにしましょう。

現在の税理士に契約の解消を申し出る

新しい税理士と契約を締結したら、現在の税理士に契約の解消を申し出ます。この際、契約の内容に基づき、解約を申し出ることのできる期間内に、丁寧に連絡を入れることが大切です。税理士の変更は珍しいことではありません。しかし、契約解消の伝え方を間違えると、その後の引き継ぎにも影響を与える恐れがあるため、解約の申し出を伝える際にはこれまでの対応への感謝を丁寧に伝えることを忘れないようにしましょう。

現在の税理士から書類の返却を受け、新しい税理士に引き継ぐ

現在の税理士から契約解消についての合意が得られたら、税理士に預けていた決算書や仕訳帳などの書類を返却してもらいます。数年分の書類を税理士が保管している場合などは、保有している過去の書類についても忘れないように受け取るようにしましょう。

受け取った書類は新しい税理士に渡し、事業内容や業務上必要な情報などを伝えながら、引き継ぎを進めていきます。

新旧の税理士間で引き継ぎが行われるケースはほとんどなく、書類の受け渡しをもって引き継ぎ完了となるケースが多いため、不足する情報については事業主がしっかりと補足することが大切です。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

税理士変更でトラブルを避ける断り方

税理士変更を進める際に、最も頭を悩ませることが、現在の税理士にどのように断りを入れるかという点ではないでしょうか。特に、長年にわたって良好な関係を築いてきた税理士の場合、どのように解約の意向を伝えればよいのか、悩んでしまうケースは少なくありません。税理士変更でトラブルを避けるための断り方をご紹介します。

真摯な態度で、これまでの業務に対する感謝を示す

まず、円満に税理士変更するうえでは、これまでの税務サポートについての感謝を誠実な態度で伝えることが必要です。不満から変更を決意する場合であっても、批判を受ければ、税理士側から反発が起こるケースもあり、トラブルを避けるためには不満を伝えることは避けた方が賢明な選択となります。

また、断り方としては、記録が残るよう、口頭ではなく、文書やメールで通知する方法がよいでしょう。

理由は明確にしなくても構わない

顧問契約の更新を断る際には、更新をしない理由を必ず伝えなければならないわけではありません。感謝の言葉を明確に伝えたうえで「諸般の事情により」といった言葉を用いて、解約の意向を伝えるとよいでしょう。

また、その際には、契約満了日についても明確に示すとともに、契約満了日が過ぎたら、書類を返還してほしい旨お願いする一文を添えます。

変更理由は前向きな言葉で伝える

先ほどもご説明しましたが、たとえ提供されていたサービスに不満があった場合や対応に不満があった場合でも、税理士変更の理由をストレートに伝えてしまうと、相手への心証が悪くなります。理由を添えて税理士変更の意向を伝える際には、前向きな言葉を選び、相手の理解を促すことが重要です。例えば、「クラウド会計システムを導入し、DX化を推進できる税理士に変更したい」「新規事業計画もあり、次のステージに向け、IPO準備に詳しい税理士に変更したい」といったように、会社の方向性と税理士に求めるニーズが変わってきたことを伝えると相手も納得しやすくなります。変更の理由が自社にあることを示せば、無用なトラブルに発展する恐れはほとんどありません。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

まとめ

税理士は本来、頼れるビジネスパートナーであるべきです。期待したようなサービスを受けられない場合やコミュニケーションが図りにくい場合などは、税理士の変更を考えた方がよいでしょう。

税理士の変更をすべきベストタイミングは、決算や申告書の提出が終わった時期です。税理士の空白期間が生じないよう、新しい税理士は早めに探し、現在の税理士との契約内容を確認したうえで、計画的に変更の準備を進めるようにしましょう。

また、税理士変更は珍しいことではありません。そのため、現在の税理士に契約の解消を申し出る場合も断り方にそれほど悩む必要はありませんが、トラブルを避けるためには、これまでの感謝を忘れずに伝えることが大切です。


-免責事項-

当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上

  • 現在、税務調査が入っているので困っている
  • 過去分からサポートしてくれる税理士に依頼したい
  • 税務調査に強い税理士に変更したい
  • 自分では対応できないので、税理士に依頼したい
といったお悩みを抱えている方は、まずは初回電話無料相談をご利用ください。
税務調査の専門家が対応させていただきます。

税理士法人松本の強み

  • 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
  • 過去の無申告分から現在まですべて対応可能
  • 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
  • 顧問税理士がさじを投げた案件も途中から対応できます

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断

あわせて読みたい記事

税務調査ブログをもっと見る

税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!

税務調査お悩み解決しませんか?
いますぐ電話1本で相談できます!

専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。
初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。

税理士法人松本代表税理士 松本 崇宏

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断