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税理士は税務の専門家であり、税理士へ相談や業務の依頼をすれば、業務負担も減り、間違いのない税務処理ができるため安心です。しかし、税理士に相談や業務の依頼を行う場合、費用が発生します。そのため、税理士報酬の相場がどのくらいなのかが分からないと、気軽に税理士にも相談しにくいのが現状ではないでしょうか。
そこで今回は、税理士への相談や業務依頼を検討する際の参考になるように、税理士報酬の相場について解説します。また、税理士報酬の相場はあるものの、設定料金は税理士によってまちまちです。なぜ税理士の報酬には違いがあるのか、税理士の料金を決める3つの要素についてもご説明します。
目次
税理士報酬の相場といっても、契約方法や依頼する内容などによって料金は変わってきます。そのため、ここでは、法人と個人事業主に分け、顧問税理士契約を結ぶ場合の相場、スポット契約を結ぶ場合の相場に分けてご説明します。
法人が、税理士と顧問契約を結ぶ場合の相場は、月額3万円程度が目安となります。顧問とは、一定の金額を支払うことで、税理士の継続的なサポートを受けるサービスのことです。
ただし、顧問料に含まれるサービスの範囲は、税理士事務所によって異なります。一般的には、顧問料の範囲で以下のようなサービスを提供するケースが多くなっていますが、契約を結ぶ際には、顧問契約で受けられるサービスの範囲も確認しておくことが大切です。
・日常的な税務に関する相談
・節税や資金繰りに関するアドバイス
・会計処理や経理処理についての指導
また、顧問契約を結んでいる場合でも決算対応や年末調整業務、確定申告などの業務を依頼する場合は、別途費用が発生するケースが一般的です。
税理士に業務を依頼する方法には、顧問契約を結ぶ方法のほか、必要な業務だけの対応を依頼するスポット契約があります。スポット契約の内容はさまざまですが、税務調査の対応や確定申告書の作成、税務の相談、記帳代行など、税務に関連する業務や付随業務について単発的に依頼することが可能です。
スポット契約の費用相場は、依頼する業務の内容によって変わってきますが、税務についての相談をする場合などは1回1万円~3万円程度が目安になるでしょう。また、確定申告書の作成業務を依頼する場合などの費用相場は、1回あたり15万円~30万円程度になるといわれています。
ただし、相場は目安であって、法人によって作業の煩雑さが変わってくるため、料金には差が生じる可能性が高くなります。
法人と比べると割合は減りますが、個人事業主の中にも税理士と顧問契約を結ぶケースがあります。個人事業主の場合、事業規模は比較的小さいケースが多いため、顧問料の相場も法人よりは低く抑えられることが一般的です。幅はあるものの、個人事業主の税理士の顧問料の相場は月額1万円~3万円程度になります。
個人事業主も税務調査対応や税務相談、確定申告書の作成など、特定の業務だけを税理士に依頼することが可能です。依頼する内容によって変わってくるものの、スポット契約の際の費用相場は、税務相談であれば1回1万円~3万円、確定申告書の作成依頼であれば10万円~20万円程度が目安になるでしょう。
税理士報酬の相場をご紹介してきましたが、実は、顧問料金で提供されるサービスの内容は税理士事務所によって変わってくるため相場は大きく変動するケースが珍しくありません。
では、税理士報酬は何の要素によって変動するのでしょうか。ここでは、税理士報酬に影響を与える3つの要素についてご紹介します。
税理士の顧問料は、一律の金額で設定されているケースはほとんどなく、多くの場合は、売上の規模によって細かく設定されています。なぜなら、規模が大きい企業では取引数が増えるため、税理士の確認項目も増え、作業に時間と手間がかかるからです。先ほどご紹介したように、法人の税理士顧問料の相場に比べ、個人事業主の顧問料の相場が低くなっているのは、売上額の違いが影響しているためです。
法人でも個人事業主でも、年間売上額が大きくなれば税理士の顧問料は相場よりも高くなり、小規模な事業を営んでいる場合の顧問料は相場よりも低くなる可能性があると考えておいた方がよいでしょう。
打ち合わせの回数も、税理士報酬に影響を与える要素の一つです。打ち合わせの回数が増えれば、その分、税理士の拘束時間が増えるため、料金も高くなります。売上規模の大きな企業の場合、取引数が増えるためにチェックの内容も多くなり、打ち合わせの回数も多くなるケースが一般的です。反対に、小規模な事業を営んでいる法人や個人事業主であれば、それほど頻繁に打ち合わせを行わなくても問題はないケースが多くなります。
税理士と顧問契約を結んだ場合、税務相談については顧問料の中で対応してもらえますが、記帳代行や確定申告書の作成、年末調整業務など、オプションサービスを利用した場合、その分、費用は高くなります。ただし、税理士事務所によって顧問料に含めるサービス内容は異なります。そのため、顧問税理士契約を結ぶ際には、顧問契約で提供されるサービスの内容とオプションサービスを付加した場合の費用についても事前に確認しておくことが大切です。
税理士報酬の相場をご紹介してきましたが、税理士の中には相場よりも高い料金設定を提示しているケースがあります。では、相場より高額な税理士報酬を求める税理士の場合、どのような特徴があるのでしょうか。
税理士は国家資格を持つ税務の専門家ですが、税理士によって得意分野は異なり、実務経験にも違いがあるものです。相場よりも高い料金設定の税理士の場合、税務調査時に調査官と適切な交渉を行えるケースや特定の業界に関する深い知識を保有しているケースなど、質の高いサービスを提供している可能性があります。
ただし、税理士報酬が相場よりも高い税理士事務所の方が、必ずしも優秀な税理士が在籍しているというわけではありません。それでも相場よりも高い料金設定で事務所を維持しているということは、質の高いサービスを提供し、顧客からも高い評価を得ている自信の裏返しとして捉えることもできるため、サービス内容や実績を確認したうえで判断するとよいでしょう。
個人の小規模な税理士事務所に比べると、大手の税理士事務所の方が料金相場は高めに設定されています。大手の税理士事務所の場合、複数の税理士が在籍しているため、企業規模の大きな法人や複雑な処理が必要になる業務にも対応できる可能性があります。
また、少人数の事務所では、急いで連絡を取りたいときにもスタッフが不在のため、担当税理士となかなか連絡が取れないこともあります。また、税理士が休暇の場合などは、急ぎの要件でも相談ができないケースも少なくありません。しかし、大手事務所の場合スタッフの数も多くシステムも整っています。そのため、税理士との連絡が取りやすく、急ぎで連絡を取りたい場合などでも迅速な対応を期待できるケースが多くなっています。
顧問契約を結ぶ中で、財務面を中心に、経営的なアドバイスを提供することに力を入れている税理士もいます。税理士は、日常的に顧客の経営状況を把握しているため、経営者も気が付きにくい経営上のリスクを指摘し、改善案を提案することが可能です。資金調達や事業計画書作成のサポート、コスト削減につながる業務フローの見直しなど、経営コンサルティング業務も提供する税理士は、税務だけでなく、経営のパートナーとして企業を支えることができます。そのため、経営コンサルティングを提供している税理士は、相場よりも高い料金設定となっているケースが多く見られます。
相場よりも高額な料金設定にしている税理士がいる一方で、相場よりも低い料金設定を採用している税理士もいます。相場よりも料金設定が低い税理士には、次のような特徴が見られます。
法人を立ち上げたばかりのタイミングや売上規模の少ない個人事業主など、税理士に業務を依頼したいけれど、できるだけ税理士費用は抑えたいという規模をもつケースもあります。そのような層をターゲットに、低価格の料金設定を提案する税理士の場合、対応している業務範囲が狭い可能性があります。顧問料に含まれるサービスの内容が限定されている分、追加で対応を依頼する場合にはオプションサービスの費用がかかり、結果として税理士費用が高くなってしまうケースも少なくないようです。
税理士になるには国家試験に合格し、税理士資格を取得する必要がありますが、資格の取得だけでは実務経験が乏しく、状況に応じた臨機応変な対応が取れない可能性があります。しかし、実務経験を積むには、顧客を増やし、さまざまな業務に対応していかなければなりません。
そのため、実務経験の少ない税理士が実績作りのために相場より低い料金を設定しているケースが見られます。できるだけ費用を抑えたい場合などは、料金の低い税理士は魅力ですが、期待するようなサポートは受けられない可能性がある点は十分に理解しておく必要があるでしょう。
税理士、顧客の税務をサポートする専門家ですが、ボランティアで活動しているわけではありません。ビジネスとして税理士業務を提供する中、相場よりも低い価格でサービスを提供するためには、1顧客あたりにかけられる時間や手間を削減する必要があります。つまり、低料金を維持するためには多くの顧客と契約する必要があり、多くの顧客に対応するためには、一つの顧客に割ける時間や手間を少なく抑えなければならないのです。そのため、低料金の税理士の場合、対応している業務を限定しているケースが多くなりますが、同じ理由でサポート頻度を最低限に設定しているケースが見られます。
税理士に業務を依頼する際には、費用相場が気になるところです。しかし、費用面だけに囚われ、税理士を選んでしまうと思うようなサービスを受けられない可能性があります。税理士を選ぶ際には、次のポイントを確認することを忘れないようにしましょう。
税理士報酬の相場は、税理士選びの参考になるでしょう。しかし、税理士によって顧問料に含むサービスの内容やサポート頻度などが変わってくるため、相場だけで税理士を選ぶのは非常に危険です。税理士を選ぶ際には、複数の税理士事務所から見積もりを取り、費用とサービスのバランスを見極めたうえで、納得できる料金設定の税理士を選ぶことが重要です。
費用が相場より高いか低いかに関わらず、税理士を選ぶうえでは担当税理士との相性の見極めも非常に重要になります。税理士に業務を依頼する際には、気軽に相談ができるか、説明が分かりやすいか、誠実な態度で対応しているかなど、人物面のチェックも必要です。相性を見極めるためには、オンライン面談や対面式の面談で話を聞いたうえで、対応を確認するようにしましょう。
税理士報酬の相場は、法人であるか個人事業主であるか、顧問税理士契約であるかスポット契約であるかによって変わってきます。さらに、事業規模やサポート頻度も税理士報酬に影響を与える要素です。
税理士の料金は、各税理士事務所が自由に設定しているため、同じ顧問料という名目でも提供されるサービスの内容が異なっているケースもあります。そのため、単純に相場を基準に税理士を選ぶことは難しく、信頼できる税理士を選ぶためには、提供されるサービスの内容や実績、対応などを総合的に判断することが大切です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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