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「多少の過少申告なら、税務署にはばれないだろう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には過少申告は高い確率でばれます。
税務署はさまざまな情報網やデータ照合を通じて申告内容をチェックしており、見逃される可能性が低いのが現実です。
そこでこの記事では、過少申告加算税の基礎知識やばれる理由、過少申告が見つかった際のペナルティなどについて解説します。
すでに、過少申告を疑われて税務調査の事前通知が届いている場合は、すぐに税理士法人松本までご連絡ください。
目次
過少申告加算税とは、確定申告を法定期限内に行っているものの、本来よりも所得額や納税額を低く申告してしまった場合に科される加算税の一種です。
たとえば、実際よりも売上高を少なく計上したり、経費を過大に計上したりして所得額を低く見せかけているケースが該当します。
また、故意ではなく単純な計算ミスや記載漏れによって納税額が不足していた場合でも、過少申告とみなされ、過少申告加算税が科されます。
過少申告加算税の税率は、修正申告を行うタイミングによって異なります。
具体的には、税務署からの事前通知を受けて修正申告を行った場合と、税務調査を受けたあとに修正申告を行った場合で、適用される加算税率が次のように変わります。
【例】不足していた税額が80万円の場合
過少申告加算税は「55,000円」となります。
過少申告加算税は「95,000円」となります。
参照:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき
過少申告が税務署にばれる理由としては主に次の5つが考えられます。
税務署では納税義務のある法人や個人事業主を対象に税務調査を行います。
税務調査は、確定申告の内容が正しいか、正しく納税しているかを調べる調査です。
税務調査の際に、契約書や見積書、請求書、領収書などと帳簿の内容を詳しく確認していくと、売上を過少に申告していたり、経費を過大に計上していたりといった行為が発覚します。
調査官はさまざまな法人や個人事業主を対象に調査を行っているため、過少申告を見逃すことは基本的にありません。
税務署には、銀行などの金融機関の口座を調査する権限があります。
したがって、事業は赤字として申告されているにもかかわらず、
法人の口座や経営者・個人事業主の口座に不自然な入出金履歴があった場合などは、「過少申告などの不正な申告をしているのでは?」と疑われるでしょう。
また、不動産を購入したことがきっかけで過少申告がばれるケースもあります。
確定申告などの申告内容と照らし合わせた場合に購入資金の出どころが疑われ、調査の結果、過少申告がばれます。
関係者からの内部告発や第三者からの密告も過少申告がばれる原因の一つです。
内部の事情を知る関係者が、不正行為を知り、税務署に報告したり、取引先やライバル会社などが不正行為に気が付き、密告したりします。
国税庁では、過少申告や脱税などに関する情報の提供を積極的に募集しており、ウェブサイト上には簡単に情報提供を行えるフォームも用意しています。
この情報提供フォームでは、提供者の名前や連絡先などの記入は任意のため、匿名での密告が可能です。
そのため誰でも、個人情報の流出を気にせず、気軽に情報を提供しやすくなっています。
税務署では情報提供を受けると、該当する法人や個人事業主を対象とした詳しい調査を行い、その結果、過少申告がばれるケースがあります。
取引先が税務調査の対象となった場合、取引相手や取引の内容が詳しく調べられます。
その結果、その企業の取引先が税務調査の対象となるケースがあるのです。
たとえば、税務調査で外注費などの多額の支払い履歴があったにもかかわらず、外注費を受け取った側の申告内容と矛盾が生じているケースなどは、税務調査につながりやすいでしょう。
このように、取引先の税務調査によって過少申告がばれることも珍しくありません。
SNSで自ら発信した私生活の内容で過少申告や無申告がばれるケースが増えています。
都心のタワーマンションに住んでいる様子や高級ブランドの靴やバッグを多数所有している様子、海外に頻繁に訪れている様子などが発信されていると、調査官の目に留まる可能性は少なくありません。
確定申告の内容を調べれば、法人や個人事業主としての所得額はすぐにわかります。
申告されている額と生活レベルが見合うものでなければ、過少申告等が疑われるでしょう。
本来より少ない金額で申告していても、税務署にばれないことがあります。
ここでは、その代表的なケースを2つ紹介します。
税務調査によって過少申告がばれ、過少申告加算税が課せられるのが一般的です。
ただし、税務署は限られた人員で調査を行っているため、すべての納税者を毎年調べることはできません。
過去の申告履歴や所得規模、業種ごとのリスク分析などから優先順位を付けて調査対象を選定しており、現時点でリスクが低いと判断されれば、すぐに調査されないこともあります。
とはいえ、銀行や取引先の報告、マイナンバー情報、第三者からの情報提供など、税務署が把握できるルートは年々広がっています。
「今は気づかれていない」だけで、将来も発覚しないとは限らない点に注意が必要です。
過少申告の状態がばれていないわけではなく、過去の申告内容などにより、過少申告の事実を把握していることがあります。
しかし、その時点で直ちに調査や接触を行わず、あえて状況を観察するケースも少なくありません。
様子見される理由はさまざまですが、以下のような場合があります。
また、納税にも法的時効が存在します。
所得税や法人税は原則5年、脱税などの悪質性が疑われる場合は7年と決められており、時効直前にまとめて税務調査に入り、指摘するケースもあります。
時効の経過年数は税務署から一度指摘されると、最初からカウントされるため、仮に過去に一度指摘された経験がある方はそこから5〜7年になるので注意しましょう。
過少申告がばれるとペナルティとして「過少申告加算税」と「延滞税」が科されます。
日本では、納税者が自ら税務署に所得などを申告して納税額を決定し、納税を行う申告納税制度が採用されています。
加算税とは、確定申告などの税務手続きが適正に行われなかった場合に、ペナルティとして科される税金です。
本来納めるべき税額に加えて徴収され、申告漏れや申告内容の不備に対する制裁的な意味合いと、適正申告を促す予防的な役割を持っています。
加算税の一つである過少申告加算税は、法定期限までに納めた申告納税額が、本来の納税額よりも少なかった場合に課せられるものです。
これは、申告漏れや経費の過大計上、売上の過少計上などにより、課税所得や税額が実際より少なく申告されていた場合が対象となります。
延滞税とは、期限までに税金が納付されない場合にペナルティとして、利息に相当する税金の納付が課せられるものです。
延滞税の税率は、令和3年1月1日以降から以下のようになっています。
法定納期限の翌日から納付が完了する日まで課せられるため、修正申告が遅くなるほど科される延滞税の額は多くなるので、注意しましょう。
給与所得者の場合でも、副業などによる所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
この確定申告を期限内に行っていても、申告した所得額や納税額が実際より少なかった場合は、過少申告加算税の対象となります。
たとえば、副業収入の一部を申告漏れしたり、必要経費を過大に計上した場合がこれに該当します。
なお、この「20万円以下なら申告不要」という特例は、あくまで所得税のみの取り扱いであり、住民税の申告義務は別に発生する点にも注意しましょう。
副業による所得を確定申告していても、申告した内容が実際より少なかった場合は、過少申告加算税と延滞税が科されます。
さらに、会社に連絡が入るケースもあるので注意しましょう。
追徴課税は、所得税や住民税に追加される形で発生し、所得税は本人が銀行や郵便局、またはオンラインで直接納付しますが、住民税には次の2種類の納付方法があります。
追加で住民税が発生し、特別徴収で納付している場合には、自治体から勤務先へ新しい住民税額が通知されます。
その結果、会社に副業収入や追加課税の事実が知られる可能性があり、会社に副業を秘匿している場合や、社会的信用を重視する立場にある場合は、確定申告を正確に行うことが重要です。
過少申告をした場合、ペナルティが科せられます。
しかし、過少申告をしていてもペナルティを避けられるまたは軽減できるケースがあるので、ぜひ参考にしてください。
税務調査が行われる前に自主的に修正申告を行い、正しく申告をし直せば、過少申告加算税が科されることはありません。
申告額が少なかったという自覚がある場合には早めに修正申告を行うようにしましょう。
ただし、税務調査を受ける前でも、事前通知を受けてから修正申告を行った場合は、過少申告加算税を避けることはできません。
加算税額が5,000円未満の場合は、「少額不徴収」の規定により徴収が免除されます。
ただし、この免除はあくまで徴収しないという取り扱いであり、「課税自体がなかった」わけではありません。
課税処分は行われたうえで、金額が少ないため徴収が省略されるという扱いになります。
納税者に正当な理由がある場合は、過少申告加算税を科さない旨が法律により決められています。
「正当な理由」とは、納税者に責任がない客観的事情を指し、以下のような例が該当します。
ただし、正当な理由があることを立証するのは納税者本人です。
必要な証拠や記録を整えたうえで主張することが重要になるため、その際は税理士や専門家に助けを求めることをおすすめします。
参照:e-Gov法令検索|国税通則法 第六十五条第四項
過少申告加算税を科されないためのポイントを4つ紹介します。
過少申告加算税は、申告の内容が本来の所得や税額より少ない場合に科されるものなので、最も基本的かつ確実な対策は「過少申告をしないこと」です。
つまり正確な申告を行うことができれば、過少申告加算税の対象となることはありません。
売上や経費を意図的に改ざんするのはもちろん、計算ミスや記載漏れも過少申告に該当します。
特に副業や一時的な収入、資産売却益などは申告漏れになりやすいため、申告対象かどうか事前に確認しておくことが重要です。
正しい申告のためには、日々の取引記録を正確に残すことが欠かせません。
売上や経費をその都度帳簿に記帳し、会計ソフトやエクセルなどを活用してデータの整合性を保ちます。
仕訳や勘定科目の誤りは、結果として課税所得の計算ミスにつながり、過少申告の原因となります。
また、現金取引や少額の支出も省略せずに記録することが重要です。
月次での残高確認や領収書との突き合わせを習慣化すれば、決算時に慌てることなく正確な会計処理が可能になります。
領収書、請求書、契約書などの証拠書類は、申告時に提出を求められることは通常ありませんが、税務調査が入った際には必ず提示を求められます。
これらの書類を紛失していると、経費の裏付けができず、架空経費や過大計上とみなされるリスクが高まります。
個人事業主の場合は原則5〜7年間、法人の場合は原則7年間と税法で定められた保存期間があるので、申告が完了したからといって処分しないように注意しましょう。
紙のまま保管するだけでなく、スキャンやクラウド保管などデジタル化を活用して、必要時にすぐ取り出せる状態にしておくことが望ましいです。
【法人】
7年間
参照:国税庁|No.5930 帳簿書類等の保存期間
【個人(青色申告)】
例
保存期間
帳簿
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など
7年
書類
決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)
現金預金取引等関係書類(領収書、小切手控、預金通帳、借用書など)
その他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)
5年
【個人(白色申告)】
【法定帳簿】収入金額や必要経費を記載した帳簿
【任意帳簿】業務に関して作成した上記以外の帳簿
決算に関して作成した棚卸表その他の書類
請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
現金預金取引等関係書類については、次のいずれかに該当する場合、保存期間が7年から5年に短縮されます。
ただし、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるために必要な請求書や、インボイス制度に基づき交付した適格請求書の写し・電磁的記録などは、これらの条件にかかわらず7年間の保存義務があります。
参照:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告
税務申告は、税制改正や控除制度の変更などにより毎年内容が変化します。
自分だけですべてを正確に把握するのは難しく、特に副業収入や複数の所得区分がある場合、誤った判断が過少申告につながる恐れがあります。
そのため、必要に応じて税理士に相談し、最新の税制や控除制度を踏まえた正しい申告を行うことが重要です。
税理士は、帳簿の確認や経費計上の妥当性のチェックだけでなく、節税の提案や税務調査への対応も行ってくれます。
専門家のアドバイスを受けることで、過少申告加算税のリスクを大幅に減らせるだけでなく、日々の会計業務の効率化にもつながるでしょう。
税務調査で過少申告を指摘された場合、過少申告加算税と延滞税の納付が必要となります。
また、過少申告しているにもかかわらず、放置すれば延滞税が増え、納税負担は増える一方です。
ペナルティを避けるためにも、過少申告の状態にある場合にはできるだけ早く自主的に修正申告を行うことが大切です。
しかし、長期間にわたって過少申告を続けてしまった場合は、修正申告書の作成負担が大きくなり、準備の途中で税務調査の連絡が入る可能性もあります。
確実で迅速に修正申告を行うためには専門家のサポートが不可欠です。
過少申告が心配な方は、ぜひ税理士法人松本まで気軽にご相談ください。
当法人には国税OBが10名以上在籍し、税務調査に特化したサポートを提供しています。
税務調査は、担当税理士の知識と交渉力によって結果が大きく変わるもので、当法人では過去に過少申告加算税などの追徴課税をゼロに抑えた実績も多数あります。
確実な対応を求めている方は、ぜひLINEまたはフリーダイヤルから無料相談をご利用ください。
過少申告とは、所得額と納税額を本来よりも少なく申告することです。
過少申告がばれる主な要因は、税務調査や銀行の入出金の情報、関係者からの密告、取引先の税務調査などです。
過少申告がばれた場合のペナルティは「過少申告加算税と延滞税」の2つになります。
延滞税は正しく納税を終えるまで加算され続ける税金であり、修正申告が遅くなるほど納税額は増えてしまいます。
過少申告をしてきた場合や過少申告の恐れがある場合などは早めに税理士に相談し、過少申告加算税が科されないよう、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告を行いましょう。
不安点や疑問点がある場合は、税務調査に強い税理士法人松本までご相談ください。
免責事項
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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