2025.05.23
  • 税務調査

YouTubeで稼いだら確定申告が必要になるって本当?しないとどうなる?

読了目安時間:約 7分

YouTubeに動画投稿をし、お金を稼いでいる人は、確定申告が必要になるケースがあります。何らかの形で所得を得ている人は納税の義務があり、YouTubeでお金を得ている人も例外ではありません。そのため、YouTubeの動画投稿で稼いでいる人でも確定申告が必要になるケースがあるのです。

では、YouTubeの動画投稿をする人は全員、確定申告が必要になるのでしょうか。

今回は、YouTubeで稼いでいる人の確定申告の必要性や確定申告を怠った場合のリスクについてご説明します。

 

Youtubeでも様々な内容を解説しています!Youtube

YouTuberの主な活動パターン

YouTubeの動画投稿をする方は、大きく分けると、事務所などに所属して動画の投稿をする人、独立してYouTubeの動画投稿を本業にしている人、副業としてYouTuber活動をしている人の3パターンに分けられます。

 

事務所に所属しているYouTuber

YouTuberの中には事務所に所属し、動画投稿をすることで収入を得ている人もいます。事務所に所属しているYouTuberには、事務所と雇用契約を締結し、事務所の従業員としてYouTubeへの動画投稿をしているケースと事務所と業務委託契約を締結して動画投稿をしているケースがあります。

 

動画投稿が本業のYouTuber

事務所や企業に所属せず、独立してYouTubeへの動画投稿を行っているケースです。個人事業主として活動することとなり、YouTubeへの動画投稿で生計を立てている方が該当します。

 

副業で動画投稿をしているYouTuber

会社員として働きながら、副業としてYouTubeに動画投稿をしている方やYouTuber以外の仕事があり、副業としてYouTuber活動をしている方などが該当します。

 

確定申告が必要なYouTuberとは

確定申告が必要になるYouTuberを上の3つの区分に合わせてご説明します。

 

事務所に所属しているYouTuberの場合

事務所に所属しているYouTuberの方は、事務所とどのような契約を結んでいるかによって、確定申告の必要性が変わってきます。

 

・事務所と雇用契約を締結し、給与を受け取っている場合

事務所に所属し、事務所から給与という形でお金を受け取っているYouTuberのうち、確定申告が必要になるのは、年間の給与が2,000万円を超える人です。

年間の給与が2,000万円以下であれば、確定申告をしなくても問題はありません。それは、YouTuberに支払う給与から所得税を天引きし、事務所を運営する会社がYouTuberに代わって所得税を納税しているからです。

 

・事務所と業務委託契約を締結している場合

事務所に所属している場合でも、雇用契約を締結せずに、業務委託契約という形を取っている場合、年間48万円以上の所得を得ているYouTuberは確定申告が必要です。

なぜなら、業務委託契約の場合、給与ではなく、報酬という形で事務所からお金を受け取ることになるからです。報酬から所得税が天引きされることはありません。そのため、事務所と業務委託契約を締結しているYouTuberは、確定申告をして所得税を納税する必要があります。

 

動画投稿が本業のYouTuberの場合

動画投稿を本業とし、個人事業主としてYouTubeへの動画投稿をしている場合は、年間48万円以上の所得を得ている場合に確定申告が必要です。

個人でYouTubeへの動画投稿をしている人の中には、学生の方もいらっしゃるでしょう。学生であっても、年間48万円以上の所得を得ている場合には確定申告が必要になります。一定以上の所得を得た場合には、年齢に関わらず、確定申告をしなければならない点に注意が必要です。

 

副業として動画投稿をしているYouTuberの場合

何らかの本業を持ち、副業しているYouTuberの方は、次の場合に確定申告が必要になります。

 

・会社員の本業の傍らでYouTubeの動画投稿をしている場合

会社員として本業の会社から給与を受け取り、副業としてYouTubeの動画投稿をしている方は、YouTubeを含め、給与以外の所得が20万円を超えている場合に確定申告が必要になります。

 

・本業の事業があり、副業でYouTubeの動画投稿をしている場合

個人事業主として何らかの事業を行いながら、YouTubeの動画投稿をしている方は、本業の所得とYouTubeの所得を合わせた年間の所得額が48万円を超えた場合、確定申告が必要です。

 

YouTuberが確定申告をしないとどうなる?

YouTubeの動画投稿によって一定以上の所得を得ているにも関わらず、確定申告をしていない場合、税務調査が実施され、次のようなペナルティが課せられます。

 

無申告加算税が課せられる

確定申告の必要があるにもかかわらず、確定申告をしていない状態は、無申告状態に該当します。無申告状態の場合、所得に応じた所得税の納税に加え、無申告加算税の納税が求められます。

無申告加算税の税率は、本来納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円を超え300万円以下の部分については20%、300万円超の部分については30%です。

 

重加算税が課せられる場合もある

重加算税は、確定申告をする必要があることを認識していたにも関わらず、収入を隠蔽するなどの、悪質な行為が見られた場合に課せられる加算税です。無申告加算税に代えて重加算税が課せられる場合、重加算税の税率は40%にも上ります。

 

延滞税が課せられる

無申告加算税や重加算税は、納税をしなかったことに対するペナルティであり、課税額は納税額に応じて決まります。しかし、延滞税は、税金の納付が遅れたことに対するペナルティであり、利子的な意味合いを持つ付帯税です。

延滞税は、納期限の翌日から納付が完了した日まで、日割りで計算されるという特徴があります。つまり、少しだけ遅れた場合には、延滞税の税額はそれほど高くはならないものの、長年にわたって無申告状態を続けてきた場合には延滞税の額は蓄積していくのです。納税が遅れれば遅れるほど、延滞税の額は高額になるという点に注意しなければなりません。

 

YouTubeを巡る脱税事件

YouTuberを巡る脱税事件もニュースで報道されるようになっています。2023年には、YouTubeの動画投稿によって約3,600万円もの報酬を得ていたにも関わらず、確定申告をしていなかった男性が税務調査で重加算税を含む約700万円の追徴課税を受けたというニュースが流れました。

税務調査の際、YouTuberの男性は、調査員に対し、確定申告が必要なことを知らなかった旨の説明をしていたということです。しかし、調査を進めるうちに、この男性は税務調査の対応方法を説明する動画を視聴していたことが発覚しました。確定申告の必要性が分からず、確定申告をしていなかった場合に課されるペナルティは、無申告加算税です。しかし、必要性を把握しながら意図的に確定申告を行わなかった場合は、悪質な税金逃れの行為として重加算税が課せられます。

この男性YouTuberは、税務調査に関する動画によって、確定申告の必要性を理解していなかったと主張した方がペナルティは軽くなるという情報を得たのかもしれません。しかし、そのような動画を見たことで、かえって確定申告の必要性を理解していたことが明白になってしまい、重加算税を課せられることとなったのです。

 

YouTubeで稼いでいる人の確定申告のポイント

事務所から給与を受け取っているYouTuberを除き、YouTubeを本業としている人は、年間48万円以上、副業YouTuberは年間20万円以上の所得を得ている場合、確定申告が必要です。

ここでは、確定申告が必要なYouTuberが知っておきたい確定申告のポイントについてご説明します。

 

課税対象となるのは売上ではなく所得

YouTuberが確定申告をする際にまず押さえておきたいポイントは、YouTubeの動画投稿をして得られる報酬のすべてが課税の対象になるわけではないという点です。課税の対象になるのは、報酬から経費を差し引いた所得であり、YouTubeに投稿する動画を作成するにあたって必要となった経費は、報酬から差し引くことができます。

所得税は、報酬から経費を差し引いて算出した所得額に所定の税率をかけることで算出します。したがって、所得額を小さくできれば、納める所得税の額も低減することが可能です。経費を差し引けることを理解せず、報酬をそのまま所得として確定申告を行うと、本来納めるべき税額以上の税金を納付する可能性もあります。確定申告をする際には、必ずYouTubeの動画作成にかかった経費を差し引くようにしましょう。

 

YouTuberに認められる経費とは

YouTuberが経費として計上できる支出は、YouTubeの動画作成のために発生した支出です。

具体的には、次のような支出は経費として計上できます。

・動画を撮影するために購入したカメラやライトなどの費用

・動画を編集するために購入したパソコンの費用

・動画を保存するために必要なハードディスクやサーバなどの費用

・動画編集のために購入した編集ソフトの費用

・動画投稿のために発生する通信費用

・動画撮影のために発生した交通費や宿泊費

・動画撮影のために購入したインテリアなどの費用

・動画撮影のために購入した衣装の費用

・動画撮影のために購入した消耗品費

・動画編集を外注した場合の費用

・動画撮影のために借りたスタジオの代金

・動画撮影のための打ち合わせをした場合の飲食代

・動画への出演依頼のためなどに接待をした場合の飲食代

・YouTubeの動画撮影や編集のためにかかった光熱費

 

プライベートでも使用するものは家事按分が必要

YouTubeに投稿する動画を撮影するためには、カメラやライトなどの機材が必要です。また、動画を編集するにあたっては、パソコンや編集ソフトが必要になります。さらに、動画をアップロードするためにはインターネット回線が必要です。これらの費用は、経費として計上が可能です。しかしながら、YouTubeの動画の撮影以外にもプライベートな目的でカメラやパソコン、インターネットを使用している場合は、その支出のすべてを経費として計上することはできません。

また、YouTubeの撮影場所として、自宅の一室を撮影部屋にしているケースもあるかもしれません。そのような場合、撮影している部屋の面積に応じ、家賃を経費計上することも可能です。

プライベートと事業で使用する分の割合を算出し、事業で使用した分だけの経費を計上することを家事按分と言います。自宅でYouTubeの撮影をし、動画をアップロードしているにもかかわらず、自宅の家賃や光熱費、インターネット回線の全額を経費として計上した場合、税務調査で指摘を受ける可能性があります。家事按分をする場合には、YouTubeの動画撮影や動画編集に費やした時間の割合を算出するなどして、適切な割合を経費として計上することが大切です。

 

YouTuberが確定申告をする際に経費として認められないもの

YouTubeの動画作成に必要となった支出であれば、経費として計上し、報酬から差し引いて所得額を算出することができます。しかし、YouTubeの動画作成に必要だったと証明できない支出に関しては、経費として計上することはできません。

例えば、YouTubeの動画作成のために観光地などを訪問した場合は、交通費や宿泊費などを経費として扱うことは可能です。しかし、観光旅行のついでにYouTube用の動画を撮影した場合などは、旅費交通費を経費として計上することはできません。

また、動画を撮影するためだけに使用する衣装の購入代金は、経費として計上できますが、動画撮影以外でも着用する場合や普段着として着用する衣服の購入代などは、経費として認められません。

 

領収書は必ず保管しておく

YouTubeの動画撮影や編集にかかった費用は、経費として計上することができます。確定申告の際、動画投稿のためにかかった経費を漏れなく計上すると、納税額を抑えられます。確定申告書類に添付する必要はないものの経費であることを証明する領収書は保管しておかなければなりません。領収書がない場合、確定申告時に経費として計上した金額でも税務調査で否認される恐れがあります。

領収書は保管が義務付けられている書類の1つです。そのため、個人事業主の場合は5年間または7年間、領収書を保管する義務があります。税務調査で不要な指摘を受けないためにも、領収書は必ず保管しておくようにしましょう。

また、電車代やバス代などは、領収書の発行がありません。これらの費用を経費計上する際には、日付や行先、支払先の企業名、金額、訪問場所などをメモに残しておくとよいでしょう。

 

まとめ

YouTubeに動画を投稿して利益を上げている場合、確定申告が必要になるケースがあります。確定申告の必要があるにもかかわらず確定申告をしない場合、無申告加算税や重加算税の納税が求められる可能性があります。YouTuberに税務調査が入った事例もあり、税務署では無申告のYouTuberに対する調査を強化しているとも考えられます。

確定申告の時期は、毎年2月15日から3月16日までの間と決められています。YouTubeの動画投稿をし、一定以上の所得を得ている場合には、必ず確定申告の期間中に前年の収入と所得を計算し、確定申告を行うようにしましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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