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「セカンドオピニオン」と聞くと、何らかの治療や診断において、主治医以外の医師の意見を求める行為をイメージされるかもしれません。しかし、昨今では、税理士にセカンドオピニオンを求める企業も増加しています。
「顧問税理士契約を結んでいるけれど、ほかの税理士の意見も聞いてみたい」と思われることもあるのではないでしょうか。そんな時に利用できるのが税理士のセカンドオピニオンです。
今回は、税理士のセカンドオピニオンの概要やセカンドオピニオンを利用するメリット、注意点などについて解説します。
目次
セカンドオピニオンとは、直訳すると2番目の意見のことです。医療の世界では、一人の医師の診断結果や治療方針に疑問が残る場合、別の医師に診療を依頼し、診断や治療方針についての意見をもらいます。初めに診療をした医師の診断や治療方針が必ずしも正しいわけではありません。場合によっては、診断内容が分かれたり、別の治療方針の方が適していたりすることもあるでしょう。患者や患者の家族の立場であれば、よりよい成果につながる治療を受けたいと考えるのは当然です。そのため、初めに診療を受けた病院での診療結果や治療方針に疑問を抱く場合などに、別の医師に意見を求めるのです。
税務についても、税理士によって異なる見解を持つ場合は少なくありません。税理士によっても得意分野は異なり、考え方も変わってくるものです。そのため、節税対策一つとっても、税理士によって具体的なアイデアは変わってくるでしょう。
顧問税理士とはまた異なる視点からのアドバイスが欲しい場合や顧問税理士の判断に疑問が残る場合などに、税理士のセカンドオピニオンを利用する事例が増えています。
では、税理士のセカンドオピニオンをどのようなシーンで活用するケースが多いのでしょうか。よくある税理士のセカンドオピニオンの活用例をご紹介します。
税理士によって得意としている業界は異なります。現状のビジネス分野とは異なる、新たな業界でビジネスを始めたいと考えている場合、税理士がその分野に詳しくない場合、適切なアドバイスを受けられない可能性があります。
そのため、新規進出分野に詳しい税理士にセカンドオピニオンを依頼するケースがあります。
税理士だからといって、どのような業務にも対応できるわけではありません。特に税務調査の場合、税務に関する知識が必要なだけでなく、調査官との交渉スキルが結果に大きく関係します。
そのため、顧問税理士の日頃の対応に不満はないものの、税務調査の対応経験が少ないことに不安を感じ、税務調査対応実績を豊富に持つ税理士にセカンドオピニオンを求めるケースもあります。
長く、顧問税理士との契約が続いている場合、マンネリ化が進み、新たな節税施策などについてのアドバイスが受けられないケースもあります。知人から自社とは異なる節税対策を耳にし、現在の状況に最も合っている節税対策を知りたいと、税理士のセカンドオピニオンを利用する例もあります。
長年、顧問税理士契約を結んでいる場合や豊富な経験を持つ税理士が顧問になっている場合などでは、知っていることを前提に話が進められるケースも少なくありません。そのような場合、税務に関する疑問を気軽に相談しにくいケースもあるようです。日頃は聞けない疑問について、気軽に相談をしたいという理由からセカンドオピニオンを利用する場合もあります。
税務に関しては問題なく対応をしてもらえるものの、経営に関連するアドバイスはもらえないことに不満を感じるケースも見られます。資金繰りや融資も含め、財務諸表を見ながら、経営コンサルティング的なアドバイスをもらえる税理士を求め、セカンドオピニオンを利用する企業も増加しています。
税理士にセカンドオピニオンを依頼することで得られるメリットには次のようなものがあります。
税理士には、得意分野があるのは前述のとおりです。例えば建設業界や製造業界などに詳しい税理士もいれば、IT業界に詳しい税理士などがいます。業界によって守るべきルールや商習慣なども変わってくるため、新たな業界への参入を考えている場合などは、その業界に詳しい税理士の方が適切なアドバイスをもらえます。
また、税務調査、IPO、M&A、事業承継など、経験がなければ対応が難しい業務もあります。専門性の高い税理士の場合、セカンドオピニオンを求めることで、より効果的なアドバイスを受けられるでしょう。
ここ数年、頻繁に税制改正が行われており、顧問税理士がすべての情報をキャッチアップできているとは限りません。セカンドオピニオンによって、新たな税理士の視点から見つめた場合、これまで実施してこなかった節税対策が見つかるケースもあります。
セカンドオピニオンで受けた節税対策を実施し、節税の効果を得ることができれば、セカンドオピニオンの利用によって大きなメリットを得られるでしょう。
経営面のアドバイスを行える税理士にセカンドオピニオンを求めるケースも多く見られます。試算表や決算書などの資料を渡せば、企業に潜む潜在的なリスクやその改善対策などについてアドバイスを受けることが可能です。アドバイスをもとに、設備投資や人材採用など、事業を拡大すべきタイミングなどを判断することもできるでしょう。
税理士にセカンドオピニオンを求めると、顧問税理士以外の税理士と接する機会を持てるようになります。税理士によって考え方も違いますが、対応の仕方、雰囲気、レスポンスの早さなども変わってきます。
長年、同じ顧問税理士と契約を締結している場合、税理士はどんな人でも対応が変わらないと思ってしまう場合もあるかもしれません。しかし、税理士にもさまざまなタイプの人がいます。現在の顧問税理士には相談しにくいという場合や顧問税理士の説明が分かりにくいといった悩みを抱えている場合は、セカンドオピニオンの利用が自社に合った顧問税理士選びのヒントになるかもしれません。
税理士にセカンドオピニオンを求める場合、さまざまなメリットを得られます。しかし、セカンドオピニオンを求める場合は、メリットだけでなく、デメリットもあることを忘れないようにしましょう。税理士にセカンドオピニオンを依頼する主なデメリットは次の2点です。
まず一つ目のデメリットは、税理士にセカンドオピニオンを求めるとコストが発生する点です。税理士によっては初回の相談を無料にしているケースもありますが、初回相談は短時間であることが多いため、短い時間で具体的なトピックについて相談することは難しくなります。
具体的なアドバイスを受けるためには、会社の資料を確認してもらう必要があるため、複雑な内容についての相談をする場合の方が料金は高くなる傾向が見られます。
セカンドオピニオンを受けても、必ずしも納得できる回答をもらえるとは限りません。顧問税理士やセカンドオピニオンの税理士の回答にも満足できなかった場合、3人目、4人目の税理士に相談しなければならないケースもあるでしょう。
セカンドオピニオンを依頼する際には、必ず有効な意見をもらえるというわけではないという点を理解しておくことも大切です。
税理士にセカンドオピニオンを依頼し、有益なアドバイスを受けるためには、次の点に注意するようにしましょう。
セカンドオピニオンを依頼する場合、顧問税理士に支払う費用に加え、もう一つの税理士事務所にも費用を支払わなければなりません。依頼する内容によって、セカンドオピニオンで発生する費用は異なります。税理士料金には法的なルールはないため、セカンドオピニオンの料金も税理士が自由に設定でき、税理士ごとに料金設定が異なります。費用を確認していなかった場合、想定よりも多額の費用の請求が行われ、セカンドオピニオンを依頼したことを後悔する可能性もあります。
セカンドオピニオンを依頼する際には、どのような内容を相談したいのかを伝えたうえで、どの程度の費用が発生するのかを事前に確認しておくようにしましょう。
セカンドオピニオンを依頼するのであれば、相談したい内容に詳しい税理士を選ぶべきです。例えば、税務調査についての相談をしたいにもかかわらず、税務調査の対応実績が少ない税理士に相談しても芳しい回答は得られないでしょう。また、事業承継に関する相談をしたい場合に、事業承継のサポート経験のない税理士に相談しても、適切なサポートは受けられません。
税理士にセカンドオピニオンを依頼する場合には、税理士の専門分野や実績を確認したうえで、相談内容に合致した強みを持つ税理士を選ぶことが大切です。
税理士によっては、相談メニューとしてセカンドオピニオンを掲げているところもあります。しかし、中にはセカンドオピニオンとしてではなく、専任の税理士の相談のみを受け付けている例もあります。顧問税理士がいる事業者の相談は受け付けていない場合や、顧問税理士との契約を解消してから相談を受け付けるという姿勢の税理士事務所もあるのです。
そのため、セカンドオピニオンを依頼する場合は、最初に顧問税理士がいることを伝え、そのうえでセカンドオピニオンを求めたい旨を説明してから、依頼を行うようにしましょう。
税理士のセカンドオピニオンを依頼する際に最も注意が必要になるのは、顧問税理士との関係です。税理士によっては、顧客がセカンドオピニオンを求めることに対し不快感を抱く場合もあります。自身が提供するサービスに不服があるのではと思い、プライドを傷つけられたと感じるケースもあるのです。
セカンドオピニオンによって、節税対策や経営についてのアドバイスを依頼する場合、事業に関連する資料を提供しなければ、十分な回答を得られません。そのため、セカンドオピニオンを依頼する際には、できるだけ顧問税理士に事情を説明し、セカンドオピニオンを得たい旨を伝えておいた方がよいでしょう。
重要な判断になるため、第三者の意見も聞いてみたい旨を伝えれば、了承を得られるケースがほとんどです。また、税理士によっては、自身が専門としていない分野については、積極的に専門家の意見を聞き入れるべきだと考えているケースもあります。特に税務調査などでは、顧問税理士がいる場合でも、税務調査に強い税理士に対応を依頼する場合も少なくありません。顧問税理士とセカンドオピニオンを依頼した税理士がそれぞれの得意分野を担当することで、よりよい結果につながるケースもあります。無用なトラブルを避けるためにも、顧問税理士にもセカンドオピニオンについては事前に相談しておくことをおすすめします。
顧問税理士がいる場合でも、別の税理士にセカンドオピニオンを求めるケースが増加しています。今の顧問税理士に不満や不安を感じる場合だけでなく、特定の分野に強い税理士に相談をしたい場合などもセカンドオピニオンを利用すると、新たな知見を得られる可能性があります。ただし、その際には、自社のニーズに合った税理士を選ぶことが大切です。
税理士法人松本では、セカンドオピニオンのご相談も歓迎しています。大切な事業だからこそ、あらゆる方向から見つめ、最善の施策を行っていくことが重要です。顧問税理士の方とも協力しながら、税務調査や特定の業種の税務などに対応するケースも少なくありません。
セカンドオピニオンをご検討の際にはぜひお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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