メニュー
読了目安時間:約 6分
親や配偶者が亡くなり、相続が発生した場合、相続する財産の額によっては相続税の申告や納税が必要になります。また、相続税の申告について税理士に手続きを依頼した場合は、税理士報酬として支払う費用が発生します。相続人が2人以上の場合、相続税の手続きをまとめて依頼するケースが多いでしょう。では、その際、税理士費用は誰が負担すべきなのでしょうか。
今回は、相続税の申告を税理士に依頼した場合の費用負担や税理士費用の相場などについて解説します。
目次
相続税の申告は、複雑な処理が必要になるため、多くの人は税理士に申告を依頼しています。税理士に申告を依頼すれば、手間をかけることなく、正しい申告書を作成することが可能です。しかしながら、税理士に相続税の申告を依頼すれば、税理士に支払う費用を負担しなければなりません。このとき、税理士費用を誰が負担すべきなのか悩むケースも多いようです。
被相続人に配偶者がおらず、子どもが3人いた場合、子ども3人で被相続人の遺産を分割することになります。この場合、3人がそれぞれ個別に申告を行うケースは多くはありません。一般的には、1通の申告書を作成し、3人の連名で提出することが多いでしょう。したがって、税理士費用もまとめて請求されるケースが多いのです。
ただし、必ずしも1人の被相続人の遺産を相続人全員で申告しなければならないというルールが存在するわけではないため、相続人ごとに個別に申告を行うことも認められています。
相続人が1人だけで、相続人が税理士に申告の依頼をした場合は、当然、相続人が税理士費用を負担します。では、相続人が複数いる場合はどうでしょうか。特に、税理士費用は相続人の順位が高い人の方が負担しなければならない、などといった決まりはありません。そのため、税理士費用は誰が負担しても問題はありません。
相続人が協議をしたうえで、費用を分担するケースが多くなりますが、1人の相続人が費用の全額を負担するケースもあります。また、全員が同じ割合で費用を分担することもあれば、相続割合に応じて税理士費用の負担割合を変えるケースもあります。
税理士費用は、誰が負担しても問題はありませんが、不平や不満が残らないよう、遺産分割協議で負担割合をしっかりと決定しておくことが大切です。
相続人が親子関係にあたる場合、税理士費用は故人の配偶者が負担するケースが多くなっています。これは配偶者の場合、配偶者の税額軽減の特例を適用させることができるからです。
配偶者の税額軽減の特例を利用すれば、相続財産の額が1億6,000万円または法定相続分相当額までは、相続税が課されません。配偶者は相続税の負担を大幅に軽減できること、税理士費用を負担すると二次相続時の相続遺産を減らせることなどから、相続人が親子関係にある場合は、故人の配偶者が税理士費用を負担するケースが多く見られます。
企業や個人事業主が法人税や所得税の確定申告を税理士に依頼した場合、その費用は経費として計上することができます。そのため、相続税の申告においても、税理士費用を相続財産から控除できないだろうかと思う方もいるようです。しかし、税理士費用は相続財産の額から差し引くことはできません。そのため、相続する財産の中から税理士費用は捻出することとなります。
相続の手続きを進める際には、税理士に支払う費用以外にも支払いが発生する費用があります。相続にまつわる主な費用をご紹介します。
遺産分割協議の内容をまとめ、相続人全員が合意した遺産分割の内容を記載した遺産分割協議書は、預貯金の引き出しや不動産の登記変更などを行う際に提出が求められる重要な書類です。遺産分割協議書は、費用を抑えるため自分で作成するケースもありますが、記載漏れや記載ミスがあった場合、手続きに支障が出ることがあります。そのため、相続財産が多い場合などは、司法書士や弁護士などの専門家に作成を依頼するケースが多くなっています。
遺産分割協議書の作成費用は、5万円~20万円程度です。これらの費用も、相続人の誰が負担すべきか、明確なルールがあるわけではないため、遺産分割協議の際に負担者や負担割合を決定しておくとよいでしょう。
相続財産に土地が含まれている場合、土地の測量が必要になるケースがあります。1人で土地を相続する場合は、土地を相続する相続人が測量に関する費用を負担しますが、土地を複数の相続人で分割し、相続する場合などは、話し合いによって測量費用の負担を決定することとなります。
相続財産に不動産が含まれている場合、相続をした人が不動産の名義を変更しなければなりません。土地や家屋などの不動産の名義変更は司法書士に依頼するケースが一般的ですが、その際には、登録免許税と司法書士報酬の費用負担が発生します。相続による所有権移転登記の際に必要となる登録免許税の額は、固定資産税評価額の0.4%です。
相続税の申告を税理士に依頼した場合の費用相場は、相続財産の0.5%~1.5%が目安になると言われています。ただし、税理士事務所によって相続財産の○%としているケースや、相続財産の額によって細かく設定しているケースなども見られるようです。また、相続財産の内容や相続人の人数などによっても、税理士費用は変わってきます。
相続税の申告を税理士に依頼する際の費用相場の目安は、相続財産の0.5%~1.5%が目安ですが、相場よりも税理士費用が高くなるケースがあります。税理士費用が相場より高くなるケースをいくつかご紹介します。
相続した財産の中心が預貯金や現金であった場合、相続財産の評価にそれほど手間はかかりません。しかし、不動産が複数含まれている場合や非上場の会社の株式を保有している場合などは、財産の評価に時間がかかります。特に、複雑な形状の土地が含まれる場合や賃貸に出している土地がある場合などは、評価が難しくなります。また、非上場株式も上場株と異なり、評価が難しく、手間がかかるため、不動産や非上場株式を相続する場合には、税理士費用も相場より高くなる可能性が高いでしょう。
相続人の数が多い場合、作成しなければならない書類も増え、申告にあたって検討しなければならない事項も増加します。そのため、相続人が多い場合には、税理士費用が高くなる傾向が見られます。税理士事務所によっては、相続人が1人増えるごとに料金が加算されるよう料金設定を用意しているケースもあるようです。
相続税の申告期限は被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内です。10ヶ月と聞くと、申告期限まで時間的な余裕があるように感じますが、人が亡くなった際にはさまざまな手続きが必要になります。また、相続税の申告書を作成するにあたっても、検討すべき事項が多いと完成までに時間がかかるケースが少なくありません。
したがって、申告期限ぎりぎりになって税理士に手続きを依頼した場合には、通常の処理では間に合わない可能性があるのです。申告期限が近く、急いで手続きを進めなければならない場合、その他の案件よりも優先して進めなければなりません。そのため、税理士によっては、急ぎの対応分として特別料金を求められる可能性があります。
相続税の支払いは、原則として、一括で支払わなければなりません。しかし、不動産を中心とした財産を相続した場合、まとまったお金を用意できないケースがあります。そのような状況で利用できるのが、相続税の物納です。現金ではなく、土地や建物などの不動産を換金せず、そのまま納める方法を物納といいます。
物納をする場合、物納申請書や金銭納付を困難とする理由書、物納財産目録などを作成しなければなりません。また、不動産を物納する場合は、不動産の登記事項証明書や公図の写し、固定資産評価証明書なども準備しなければならず、手間がかかります。
したがって物納を希望する場合も、税理士費用は高くなる傾向にあります。
被相続人が非上場企業を経営していたり、個人事業主として事業を営んでおり、その会社の株式等を後継者が引き継ぐ場合、事業承継税制を適用させると相続税の納税負担を軽減できます。一定の要件を満たすことで、相続税や贈与税の納税が猶予される制度ですが、適用させるためには複雑な手続きが求められます。そのため、事業承継税制を希望し、税理士に手続きを依頼する場合も、費用は通常よりも高くなるでしょう。
相続税の手続きは、自分で行うことも可能です。しかし、相続税を自分で申告する人の割合は約14%と少数派となっています。多くの人が費用をかけてでも相続税の申告を税理士に依頼する理由は、税理士に手続きを依頼することで次のようなメリットを得られるからです。
税務に詳しくない人が相続税の申告する場合、さまざまな事項を調べながら申告書を作成する必要があり、多くの時間と手間がかかります。また、せっかく作成した申告書であっても、申告財産に漏れがあったり、計算を間違えたりすると税務署から指摘を受け、ペナルティを科される恐れもあるでしょう。
税理士に申告を依頼した場合、納税者の手間を大幅に軽減することが可能です。さらに、正しい申告書を作成できるため、税務署から指摘を受けるリスクも低減させることができます。
相続税には相続税を軽減するさまざまな特例制度が用意されており、適切な特例を適用させれば、負担する相続税額を軽減することができます。しかし、特例の適用には複雑な要件が設定されているケースが少なくありません。そのため、税務に関する専門的な知識がなければ、最適な特例制度を選択することが難しくなります。せっかく利用できる特例制度があっても、知識不足のために適用させることができなければ、特例を適用できない分、納税の負担は大きくなってしまいます。
税理士であれば、相続財産や被相続人の状況に合わせて最適な特例の適用を選択し、相続税額の負担を最小限に抑えることが可能です。
二次相続とは、父親または母親が亡くなった後に、残されたもう一方の親が亡くなったときに発生する2回目の相続のことです。先に父親が亡くなった場合、父親の遺産は母親と子どもが相続することになります。その際、母親の相続分については配偶者の税額軽減の特例を適用できるため、相続税の負担を大きく軽減することが可能です。
しかし、二次相続の場合、配偶者は不在の状況となるため配偶者の税額軽減の特例を適用することはできず、相続税の納税負担は大きくなります。したがって、二次相続の際の相続税の負担をできるだけ抑えるためには、一次相続の時点で二次相続の負担も見据えた対策を実施することが大切です。税理士の場合、二次相続も踏まえたうえで、総合的に相続税の負担を抑えられる遺産分割などの相続税対策について提案をしてもらえます。そのため、税理士に手続きを依頼すると税理士費用が発生するものの、トータルで考えると税理士費用以上に相続税の節税が叶えられる可能性があるのです。
相続税の申告が必要な場合、約85%の人は税理士に申告を依頼していることが分かっています。税理士に申告の依頼をすれば、税理士費用が発生しますが、税理士費用の相場は相続財産の0.5%~1.5%が相場となります。また、税理士費用の負担者についてはルールが定められていないため、遺産分割協議の際に、負担者や負担割合などについて明確に決定しておくことが大切です。
相続税にはさまざまな特例制度があり、特例制度を適用させれば納税額を大きく軽減できる場合があります。また、一次相続の際には二次相続を見据えた手続きを行うことで、将来も含めた相続税対策を実施できます。
相続税の申告が必要な場合には、節税効果を得るためにも税理士への相談をおすすめします。
-免責事項-
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
30秒で完了かんたん税務調査リスク診断
←前の記事
相続税の申告期限はいつまで?間に合わないとどうなる?
次の記事→
贈与税が発生するのはどんなとき?無申告がバレた場合のリスクとは
あわせて読みたい記事
税務調査
税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!
専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。