2026.01.21
  • 税務調査

ふるさと納税にはデメリットもある?注意点や税務調査との関係を解説

読了目安時間:約 6分

「ふるさと納税」制度が開始されたのは、2008年5月のことです。制度の開始から年数が経過し、ふるさと納税は広く知られるようになりました。節税効果が得られるといった認識や返礼品をもらえるお得さなどから、ふるさと納税を行っている人も年々、増加しています。

しかし、ふるさと納税は直接的に節税効果を得られる制度ではありません。また、メリットがある一方で、デメリットもあるため、ふるさと納税を行う際には、仕組みやデメリットについても十分理解しておく必要があるでしょう。さらに、ふるさと納税分について正しく確定申告を行わない場合、税務調査に発展する可能性もあります。

今回は、ふるさと納税のデメリットや税務調査との関係性などについて解説します。

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ふるさと納税とは

ふるさと納税のデメリットを確認する前に、まずはふるさと納税制度の概要から確認していきましょう。

ふるさと納税制度の設立背景

ふるさと納税とは、地方と都市部の税収格差を是正する目的で設立された制度です。地方では、若者の流出により過疎化が進み、それに伴って税収が減少する問題が生じています。ふるさと納税は、今住んでいる自治体ではなく、自分が育ったふるさとや応援したい地域に寄附をし、行政サービスの維持を支えるという目的がありました。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、ふるさとや応援をしたい地方自治体に寄附をし、寄附額から自己負担2,000円を引いた額が翌年の所得税や住民税から控除される仕組みです。ただし、収入や家族構成に応じて控除できる上限額が決まっており、控除額以上の寄附については所得から控除されることはありません。

また、ふるさと納税によって寄附を受けた自治体では、寄附者に対して返礼品を送付します。ふるさと納税を行った場合、寄附をした人は自己負担2,000円で寄附先の自治体の特産品などを受け取ることができるのです。しかし、ふるさと納税を行い、所得税や住民税からの控除を受けるためには原則として確定申告をしなければなりません。

確定申告を行うと寄附を行った年の所得税からの控除と翌年度分の住民税から控除を受けられるようになります。ただし、確定申告の必要がない給与所得者の場合、ふるさと納税を行った自治体が5つ以内であれば、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用することで、確定申告が不要となります。この場合は所得税からの控除は行われず、控除額の全額が翌年度の住民税から減額されます。

ふるさと納税の現状

ふるさと納税は本来、税収の減少に苦しむふるさとを支援する目的で導入された制度です。2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、ふるさと納税によって被災地の復興を支援する動きが高まり、利用者が増加します。その後、2015年の税制改正によってふるさと納税による控除上限額が拡充され、確定申告が不要となるワンストップ特例制度が導入されました。

ふるさと納税の利用が浸透する一方で、ふるさと納税によって税収の増加を狙う自治体間の返礼品の競争が起き、納税者はふるさとという視点ではなく、返礼品によって寄附先を選ぶという状況が生じています。このような状況を受け、ふるさと納税は度々ルールの変更が行われているのが現状です。

総務省が公開している「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」によると、令和6年度のふるさと納税受け入れ額は12,727.5億円と過去最高額に達しています。

参照元:「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」

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ふるさと納税のデメリットと注意点

ふるさと納税には、以下のようなデメリットや注意点があります。利用を検討する際には、デメリットについても十分理解しておくことが大切です。

ふるさと納税は節税制度ではない

ふるさと納税は、節税対策の有効手段であると思っている方もいるようですが、ふるさと納税は節税制度ではありません。ふるさと納税をすると、自己負担額の2,000円を除いた寄附金が当年の所得税や翌年の住民税から控除されます。しかし、控除される額は寄附をした額から2,000円を差し引いた額が上限であり、支払っている金額が減少しているわけではありません。つまり、ふるさと納税は納税額を減らしているのではなく、税金を前払いしている制度に近いと考えておいた方がよいでしょう。

自己負担金の2,000円で寄附額の3割にあたる返礼品を受け取れる点から、お得なイメージが強くなり、節税につながるという認識が広がったものと考えられます。

控除上限額を超えると自己負担になる

ふるさと納税で、控除対象となる寄附額は、寄附をする人の年収や世帯構成によって変わってきます。給与所得者の控除上限額については、総務省のホームページに記載があるため、事前に確認をしておくとよいでしょう。

控除上限額を超えた金額については、控除の対象とはならず、自己負担となってしまいます。したがって、控除上限額の計算を誤ったり、控除上限額があることを理解していないと返礼品は受けられるものの、自己負担額が増えてしまうというデメリットが生じます。

ふるさと納税を行う際には、ふるさと納税サイトに用意されているシミュレーション機能を使い、事前に控除上限額を確認しておくようにしましょう。

確定申告やワンストップ特例制度の手続きが必要

ふるさと納税は、自治体に寄附をするだけで自動的に所得税や住民税の控除を受けられるわけではありません。個人事業主が控除を受けるためには確定申告が必要です。また、年収2,000万円以上の給与所得者や医療費控除などを受ける給与所得者も、確定申告時にふるさと納税についても申告しなければなりません。そのほか、本来、確定申告が不要な給与所得者でも、寄附先が6自治体以上ある場合は確定申告が必要です。

ただし、寄附する自治体が5つ以内の給与所得者については、ワンストップ特例制度を利用できるため、確定申告をする必要はありません。ワンストップ特例制度を利用するためには、寄附をした翌年の1月10日までに寄附をした自治体に申請を行う必要があります。

確定申告に比べればワンストップ特例制度の申請手続きは簡単です。しかし、期限までに手続きが間に合わなかった場合や申請書類に不備があった場合などは確定申告が必要になります。ワンストップ特例制度の申請手続きもふるさと納税をしていなければ発生しない作業であり、手続きの手間が発生する点もふるさと納税のデメリットの一つだといえるでしょう。

一時的に家計の負担は増える

ふるさと納税は、税金の前払いに近い制度であると説明をしました。これは、ふるさと納税によって寄附金が控除されるのは、寄附をしたタイミングではないからです。所得税については、寄附をした年の所得税を申告する確定申告時に、住民税には寄附をした翌年の住民税から控除されることとなります。したがって、ふるさと納税で多額の寄附を行った場合、寄附をするタイミングと控除されるタイミングがずれるため、一時的に家計の負担が増加する点もふるさと納税のデメリットの一つだといえるでしょう。

住宅ローン控除や医療費控除に影響する場合がある

住宅ローン控除も医療費控除もふるさと納税と併用することが可能です。しかし、確定申告によって住宅ローン控除や医療費控除で所得税が控除された場合、ふるさと納税の控除は住民税に集中する可能性があります。その場合、住民税の控除上限額を超えると自己負担金が発生する恐れがある点に注意しなければなりません。

ふるさと納税をきっかけに税務調査が実施される可能性がある

ふるさと納税をした場合、寄附先の自治体から返礼品を受け取ります。この返礼品は寄附の対価として配布されるものではなく、寄附先の自治体からの贈与に該当すると捉えられるのです。つまり、ふるさと納税の返礼品を受け取ると、一時所得を得たとみなされることとなります。

そのため、一時所得の額が一定以上に達すれば確定申告が必要です。ふるさと納税の返礼品が一時所得に該当するという事実を把握しているケースは少なく、確定申告を行わない事例もみられます。そのような人に対し、税務署では税務調査を実施するケースがあるのです。

ふるさと納税によって税務調査のリスクが高まる可能性がある点は、ふるさと納税の大きなデメリットだといえるでしょう。

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ふるさと納税で税務調査の対象になる?

ふるさと納税をしていることで税務調査の対象になるケースとは、どのようなケースなのでしょうか。ふるさと納税と税務調査の関係についてご説明します。

ふるさと納税の返礼品は一時所得に該当

国税庁では一時所得を「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」と定義しています。具体的に一時所得に該当するものとして次の6つを挙げています。

1.懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)

2.競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)

3.生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返礼品等

4.法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)

5.遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

6.資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

このうち、ふるさと納税の返礼品は4の法人から贈与された金品に該当します。

返礼品の額が50万円を超えるときは一時所得の申告が必要

一時所得には最高50万円の特別控除額が設定されています。そのため、ふるさと納税の返礼品を含めた一時所得の額が50万円以下であれば、確定申告は不要ですが、50万円を超える場合、確定申告が必要になります。

ふるさと納税の一時所得の額については3割で計算を

ふるさと納税の返礼品については、明確な商品価格が示されているわけではありません。そのため、返礼品を受け取った場合、一時所得の申告時にどのように計算すればよいのか悩むケースもあるでしょう。

ふるさと納税の返礼品については、2017年の法改正によって、寄附額の3割以下に制限されることとなりました。そのため、ふるさと納税の返礼品の価額を算出する際には、寄附額の30%で計算するとよいでしょう。

ふるさと納税によって返礼品を受けた場合、確定申告が必要になるのは、返礼品を含めた一時所得が50万円を超える場合です。返戻率を30%と考え、ふるさと納税の返礼品以外に一時所得がないと仮定した際、確定申告が必要となるのは、年間166万円以上のふるさと納税を行ったケースとなります。

年間166万円以上の控除を受けられる世帯は、相当額の税金を納めている世帯です。したがって、ふるさと納税で一時所得の申告が必要になり、税務調査の対象になり得る世帯は、かなりの高所得世帯であることが分かります。

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税務調査で申告漏れを指摘された場合のリスク

税務調査によってふるさと納税で得た返礼品を一時所得として申告をしなかった場合、税務調査の対象に選ばれるケースが増えています。税務調査のきっかけはふるさと納税に関する一時所得の申告漏れであっても、高所得層であることから、ほかの所得や所有財産についても合わせて調べられるケースも少なくありません。

税務調査でふるさと納税の一時所得以外にも申告漏れが指摘された場合、不足分の納税に合わせ、過少申告加算税や無申告加算税の納税が求められます。せっかくふるさと納税で地域に貢献しようとしたり、お得に返礼品を受け取ろうとした場合でも、税務調査で追徴課税がなされれば、本来よりも多くの税金を納める必要が出てきます。

ふるさと納税で166万円を超える寄附を行う場合は、一時所得の申告が必要であり、申告をしなかった場合は税務調査の対象になる可能性があることを覚えておきましょう。

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まとめ

ふるさと納税は、節税対策につながるといわれています。しかし、実際にはふるさと納税で節税を実現できるわけではありません。ふるさと納税は、特定の自治体に寄附をすることで、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。自己負担2,000円で寄附をした自治体の特産品などの返礼品を受け取れることから、ふるさと納税のお得さが節税につながるという認識につながったものと考えられます。

ふるさと納税にはメリットもありますが、実際には節税にはならない点、一時的な家計の負担が増える点、確定申告やワンストップ特例制度の手続きが必要になる点など、いくつかのデメリットがあるのも事実です。また、返礼品は一時所得に該当するため、返礼品を含めた一時所得の額が50万円を超える場合、確定申告をしなければ税務調査の対象に選ばれる可能性がある点にも注意しましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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