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個人事業主の中には、自宅兼事務所で事業を営んでいる方も少なくないでしょう。また、法人の場合でも、自宅兼事務所という形で事業を始める例も増加中です。
自宅と事務所を兼用すると、事務所を別に借りる場合に比べて家賃を抑えられるなどのメリットがあります。しかし、法人も個人事業主も税務調査の対象に選ばれる可能性があり、自宅兼事務所の場合、どこまで調査が行われるのか不安に感じるケースもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、自宅兼事務所で事業を営んでいる場合に実施される税務調査の調査範囲や指摘を受けやすい経費処理のポイントについてご説明します。
目次
税務調査とは、納税の義務がある法人や個人が正しく申告と納税を行っているかを調べる税務署の調査です。
税務調査は、基本的に納税者の事業所で行われます。なぜならば、税務調査時には帳簿などの書類の確認が必要であり、スムーズに調査を進めるためには、帳簿の保管場所での実施が効率的だからです。
そのため、自宅兼事務所で事業を営んでいる場合は、原則として、自宅兼事務所が税務調査の実施場所に選ばれるケースがほとんどとなります。ただし、何らかの事情があり、税務署の了承を得られた場合などは、税理士事務所などでの実施が認められるケースもあります。
自宅兼事務所に税務調査が入った場合、どこまで調査官に見られるのでしょうか。自宅兼事務所でも、自宅の1室を事業専用の部屋にしており、事業に関連する帳簿や書類などをすべて専用の部屋に保管している場合は、事業用の部屋で調査が行われます。しかし、自宅の一部を事業で使用しているものの、事業専用の部屋があるわけではなく、プライベートと事業と両方で同じ場所を使用しているケースもあるでしょう。その場合には、事務所として使用している空間を中心にチェックがなされます。
自宅兼事務所で事業を行っている場合、税務調査時に気になるのが、事業とは関連のない生活スペースまでチェックされることもあるのか、気になるケースも多いでしょう。
自宅兼事務所の場合、生活スペースについても税務調査時に確認されるケースがあります。それは、家賃や水道光熱費などの家事按分項目の按分比率が適当なものであるかを確認するためです。
自宅兼事務所に税務調査が入る目的は、申告内容が適正であるかを調べるためです。したがって、事業に関連する箇所であれば、税務調査時には必ず確認されると思っておいた方がよいでしょう。
まず、事務所として使用している部屋は、必ず調査の対象になります。帳簿や請求書、契約書、領収書、証憑書類の保管状況や事業用のファイルなど、細かな点までチェックがなされるでしょう。
そのほか、使用しているデスクや椅子、パソコン、プリンター、棚などの家具や事務用品などもチェックがなされます。これは、経費として計上されている支出が業務に関連しているものであるかを確認するためです。
例えば、デスクを4つ、椅子を4つ購入した費用が計上されていても、事務所に4つのデスクと椅子がなければ、業務とは関連のない支出まで水増しをして経費に計上していると捉えられます。また、パソコン3台が固定資産として資産計上されているにも関わらず、1台のパソコンしか見当たらない場合なども、プライベートの使用分を経費に計上しているのではと疑われるでしょう。
現在、どのような業種においてもパソコンを業務に使用しているケースがほとんどです。帳簿管理についてもパソコンを使用するケースが多いでしょう。また、請求書や領収書などのやり取りもパソコンを使い、電子的に行われるケースが増加中です。取引先との連絡についてもメールやチャットなどを使用するケースが増えています。
そのため、証憑書類の確認のために税務調査時にパソコン内のデータを確認したり、メールの内容を確認したりといった行為が必要になる可能性もあります。
事業用とプライベートのパソコンを兼用して使用している場合などは、事業で使用しているデータやプライベート用のデータを分けておく必要があります。事業用とプライベートでメールなどのデータが混在している場合、税務調査がスムーズに進まないだけでなく、プライベートのメール内容まで調査官の目に入る可能性があるからです。
現金取引が多い事業を営んでいる場合、事務所や自宅に現金を保管している可能性があります。経費の額から見ても売上額が低い場合などは、計上していない売上があるのではという疑いが生じるため、現金が保管されているような金庫や引き出しの中などが調査の対象になる場合もあります。
そのほか、事業用車の取得費用や維持費用、駐車場代などを経費に計上している場合は、駐車場や保有している車なども調査の対象になるでしょう。
税務調査の通知を受けた場合、自宅兼事務所だからという理由だけで、自宅兼事務所での調査の実施を拒否することはできません。税務署による税務調査は任意調査と呼ばれますが、調査官には質問調査権があり、納税者は質問調査権に応じる受忍義務があります。そのため、任意調査であっても税務調査を拒否することはできないのです。
では、自宅兼事務所に税務署が入った場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
税務調査が実施される場合、事業に関連する書類は必ずチェックの対象となります。調査対象となる期間の帳簿や書類がまとまっておらず、自宅のさまざまな部屋に散在している場合、調査官が事務所以外の場所の確認を依頼する可能性が出てきます。
たとえ不正をしていない場合であっても、プライベートの空間に調査官が立ち入ることは決して気持ちのよいことではありません。しかし、執拗に入室を拒否すると、調査官に何かを隠しているのではと疑いを抱かせてしまうリスクがあります。何らかの疑いが生じた場合、より詳細な調査が行われるため、調査にかかる時間が長くなる可能性も出てきます。
求められた帳簿や書類をすぐに提示できるよう、事務所として使用している場所にまとめておけば、調査官が立ち入るスペースを最小限に抑えることができます。自宅兼事務所で事業を営む場合は、日頃から帳簿や関係書類は1か所にまとめて保管しておくことをおすすめします。
自宅兼事務所で使用しているパソコンが、事業専用ではなく、プライベートでも使用しているものの場合、パソコン内のデータも事業用とプライベート用に分けておいた方がよいでしょう。
事業に関連するデータやメールがプライベートと明確に区分されていれば、データを適切に管理しているという印象も与えられます。また、プライベートと内容まで調査官に見られてしまうというリスクを抑えられるでしょう。
税務調査は、申告内容が正しいものであるかを確認する調査です。自宅兼事務所で事業をしている場合でも、事業とは全く関係のない場所に調査官が立ち入ろうとした場合は、拒絶することもできます。
トイレや浴室、家族の部屋など、事業と関連のないスペースであれば、強制調査ではない限り、その旨を説明すれば調査官も無理やり調査をすることはありません。事業とは一切の関係がないプライベートな空間への立ち入りを希望された場合は、断ることも可能です。
税務調査では、事業の内容や業績の状況など、さまざまな点について質問がなされます。帳簿処理に何らかの誤りや不審点が発見されれば、それらの処理内容について詳しい説明がなされるでしょう。
税務の知識がない場合、一人では税務調査の対応が難しいケースが少なくありません。そのため、税務調査時には税理士への対応を依頼することをおすすめします。特に、自宅兼事務所でプライベートな空間への立ち入りを阻止したい場合などは、税理士に対応を依頼すると、法的根拠に基づき、不用な立ち入りは制限することが可能です。
事業規模が小さいという理由から顧問税理士契約を結んでいない場合であっても、税務調査だけの対応を依頼できる税理士もいます。初めての税務調査など、不安が大きい場合は税務調査対応に強い税理士への依頼を検討してみましょう。
自宅兼事務所に税務調査が入る場合、調査官から指摘を受けやすいのが家事按分比率についてです。
自宅兼事務所の場合、家賃や水道・光熱費、インターネット回線料などが家事按分の対象となります。また、事業用の車とプライベートの車を兼用している場合は、車の維持費用についても家事按分し、事業で使用する分のみを経費に計上することが可能です。
一方、事業とは関連のない浴室や寝室、家族の部屋に関する費用や事業では使用していない車の維持費などを経費に計上することはできません。
例えば賃貸住宅を自宅兼事務所として使用している場合、家賃の一部は、経費として計上することが認められています。例えば、50㎡の賃貸住宅のうち、20㎡の部屋を事務所として使用しているのであれば、事務所の面積比率である20㎡/50㎡=40%が按分比率となります。したがって、家賃が15万円であれば、毎月40%にあたる6万円を経費として計上することができます。
また、ワンルームを借り、自宅兼事務所としている場合などは、事業専用の部屋を準備することはできないため、面積で家事按分比率を求める方法は適していません。この場合は、事業で使用する時間を用いて家事按分をする方法が適しています。
例えば、月曜から金曜日までの週5日、9時から20時までの1日11時間、業務をしている場合、1週間の業務時間は55時間となります。したがって、この場合の按分比率は55時間/168時間=33%となり、家賃の33%を経費に計上することができます。
自宅兼事務所の家賃については、面積や時間で求めることができます。しかし、事業用とプライベートで車を使用した場合、その維持費の按分比率が事務所の按分比率と同一になることはありません。車両関連費用であれば、事業で使用した割合によって家事按分を行うべきです。
ただし、業務時間によって家賃の按分割合を算出した場合は、インターネットの回線費用なども同じ割合で按分することができるでしょう。
按分比率を算出する際には、すべての支出に同じ割合を適用させるのではなく、実態に合った按分比率を算出し、適用させることが大切です。
自宅兼事務所の税務調査では、家賃をはじめ、家事按分によって経費を計上している支出について、なぜその按分比率が適用されているのか、質問がなされるケースが少なくありません。その場合は、面積や業務で使用している時間など、按分比率を算出した根拠を示し、按分比率が適正であることを合理的に説明できるよう準備をしておきましょう。例えば、車の維持費を按分している場合は、運行日誌を作成し、乗車日時や使用目的、移動距離などを記載しておくと、説明がしやすくなります。
自宅兼事務所に税務調査が入るとなると、調査官はどこまで調べるのだろう、プライベートな空間にも立ち入るのだろうかと不安になるケースが少なくありません。税務調査は拒否することはできず、納税者は税務調査に協力する義務があります。一方で、税務調査だからといって業務とは全く関係のないスペースにまで調査官が立ち入れるわけではありません。
プライベート空間に関しては、事業とは一切関係がないことを説明したうえで立ち入りを拒絶することも可能です。
しかし、調査官に拒絶を示すことで心証が悪くなり、調査に悪い影響が生じるのではないか、何かを隠していると疑われるのではないかと不安を感じる場合もあるでしょう。そのような場合は税理士に立ち会いを依頼することをおすすめします。
税務調査対応実績を豊富にもつ税理士法人松本では、自宅兼事務所の税務調査にも対応しています。税務署からの通知を受けた場合は、お気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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