メニュー
読了目安時間:約 6分
失業保険は、一定期間以上雇用保険に加入していた人が仕事を辞めたときに支給される雇用保険の基本手当のことです。失業保険は、失業期間中の生活を心配することなく新たな仕事を探し、1日でも早く再就職できるようサポートすることを目的として支給されます。
しかし、会社を退職した後、独立して事業を始めたいという人もいるでしょう。その場合、失業保険を受給しながら個人事業主として活動をしてもハローワークなどにバレないのでしょうか。また、失業保険を受給しながら個人事業主として活動した場合、税務調査に発展するリスクはあるのでしょうか。
今回は、失業保険を受給しながら個人事業主として活動してもバレないのか、税務調査のリスクは高まるのかといった点について解説します。
目次
では早速、失業保険の概要や受給資格から確認していきましょう。
失業保険は、雇用保険の被加入者が何らかの理由で離職した際に失業期間中の生活の不安を解消することで就職活動を支援し、1日も早い再就職を願って支給される給付金です。
失業保険を受給できる日数は、離職をした日における年齢や雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって変わってきます。
失業保険は、以下の要件を満たす場合に受給することが可能です。
・原則として離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上である(ただし、過去に失業保険や特例一時金の支給を受けたことがある人は、支給を受けた後の被保険者期間のみで算定)
・雇用の予約や就職の内定などがない、失業の状態にある
・積極的に就職しようとする意思がある
・健康状態や環境なども含め、いつでも就職できる状態にある
・積極的に仕事を探しているものの、現時点で職業に就いていない
雇用保険の加入期間については、倒産や解雇などによる離職、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことやその他やむを得ない理由による離職の場合は離職前1年間の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば、受給が可能です。
また、厚生労働省では、次のような場合は失業保険の受給対象には当てはまらないとしています。
・家事に専念する人
・学業に専念する人
・家業に従事する人
・自営を開始する人または自営準備に専念する人
・次の就職が決まっている人
・雇用保険の被保険者の対象とならない短時間就労を希望する人
・自分の名義で事業を営んでいる人
・会社の役員に就任している人
・就職や就労中の人
・パート、アルバイト中の人
・同一の事業所で就職と離職を繰り返しており、再び同一の事業所に就職する予定がある人
失業保険の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。また、その間に病気やケガ、妊娠、出産、育児などの理由で30日以上働くことができなくなった場合は、就労できなくなった日数分だけ3年以内であれば受給期間を延長することができます。
失業保険の受給を希望する場合、ハローワークに必要書類を提出して求職の申込をし、受給資格が決定すると、この日から7日間は待期期間となります。自己都合によって離職した人の場合、1~3ヶ月の給付制限期間が設定されており、給付制限期間が終了した後、失業保険の給付がスタートします。
また、解雇や定年、契約期間満了などによる離職の場合は、待期期間終了後、受給がスタートします。失業保険を受給するためには、原則として4週間に1回の認定日に失業の認定を受けなければなりません。
失業保険で受給できる1日あたりの金額は、離職した日の直前の6ヶ月に支払われていた給与の額を合計し、180で割った金額の50~80%程度となります。支給割合は、賃金が低いほど高い割合となっています。
また、支給額については年齢ごとに上限額が決まっており、2026年1月1日時点の上限額は次のとおりです。
・30歳未満 7,255円
・30歳以上45歳未満 8,055円
・45歳以上60歳未満 8,870円
・60歳以上65歳未満 7,623円
会社を離職後、個人事業主になる人は失業保険を受給できるのでしょうか。
失業保険を受給できない要件には「自営を開始する人または自営準備に専念する人」、「自分の名義で事業を営んでいる人」が含まれています。つまり、個人事業主として事業を開始する人、または個人事業主として開業する準備に専念する人は、失業保険の受給対象とはならないのです。
ただし、求職活動中に創業の準備や検討を行う方は受給が可能な場合があります。例えば、就職を考え、就職活動をしていく中で、個人事業主として自分で事業を始めようと思うに至るケースもあるでしょう。失業保険の受給期間中に、個人事業主として開業することを思いつき、開業届を提出した場合は、開業届に記載した開業日の前日までは失業保険を受給できます。
失業保険を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年以内です。しかし、2022年7月1日に新設された特例によって、事業を開始した人が事業を行っている期間については、最大3年間、受給期間には算入しないというルールが策定されています。この特例の新設により、個人事業主として事業を開始した後に事業を休廃業し、その後、再就職活動をする場合、失業保険が受給できるようになったのです。
この特例を申請するにあたっては、次の①~⑤の要件をすべて満たす必要があります。
例えば、離職日の翌日に起業し、2年後に廃業した場合、廃業日の翌日から1年間は失業保険の受給が可能になります。
離職後に個人事業主として活動する予定であるものの、失業保険をもらってもバレないのであれば、失業保険をもらいながら個人事業主として活動したいと思う人もいるかもしれません。では、個人事業主が失業保険を受給してもバレないのでしょうか。
失業保険は、就職を目指す人に対して支給される給付金です。したがって、個人事業主として開業した場合、失業保険を受給することはできません。
個人事業主として開業するためには、税務署に開業届を提出する必要がありますが、開業届を提出する際にはマイナンバーの記入が必要です。税務署とハローワークではマイナンバー情報が共有されるため、開業届を提出しながら失業保険を受給している場合、不正受給がバレます。自営の開始、つまり、個人事業主としての活動開始は、再就職とみなされるため、離職期間中の生活を支える目的で支給される失業保険を受給することはできないのです。
離職後、個人事業主として開業してから失業手当を受給することはできません。ハローワークと税務署は情報を共有しているため、開業届を出しながら受給していた場合、不正受給が発覚します。
しかし、離職後に就職活動を行い、最終的に個人事業主として開業した場合は、開業日以降は失業保険の受給対象外となります。失業保険の受給にあたり、開業ではなく、企業などへの再就職の意思があるかないかが一つのポイントとなるのです。
失業保険受給中に就職活動をしたものの、個人事業主としての開業を決意した場合、開業届に記載した開業日以降、失業手当は受給できなくなります。開業届を提出したら、ハローワークに開業した旨の報告をしましょう。個人事業主として開業したにも関わらず失業保険の受給を続けた場合、不正受給となり罰則が科されるおそれがあります。
離職後に失業保険の受給者認定を受けた後に個人事業主として開業した場合、再就職手当を受けることができるケースもあります。再就職手当とは、ハローワークで失業の認定を受けた人が、失業保険受給中に再就職した場合に支給される給付金。ただし、再就職手当を受給するためには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
・受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職または事業を開始したこと
・就職日または開業日の前日までの失業設定を受けたうえで、失業保険の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること
・離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと
・受給資格にかかる離職理由により給付制限がある人は、求職の申込をしてから待期期間満了後1ヶ月の期間内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
・1年を超えて勤務することが確実であること
・原則として雇用保険の被保険者になること
・過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
・受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
以下のような条件の場合、個人事業主として開業したら失業保険を受給することはできません。それにも関わらず、きっとバレないだろうと失業保険受給した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
以下のパターンの場合は失業保険や再就職手当を受給できない可能性が高くなります。
・離職後、待期期間を待たずに開業届を出した場合
・自己都合で離職し、1ヶ月以内に開業届を出した場合
・会社員時代から副業として事業を行っていた場合
・待期期間中またはそれ以前に開業に向けた準備をしていた場合
・雇用保険の加入期間が1年未満の場合
失業保険を不正に受給していた場合、次のような処分が下されます。
・不正のあった日から失業保険の給付が停止されます
・返還命令により不正に受給した金額は全額返還しなければなりません
・悪質な場合は、納付命令により、不正に受給した金額の最高2倍の金額の納付が命ぜられます。
納付命令を受けた場合、全額の返還と合わせて、不正受給金額の3倍の金額を納付しなければならない点に注意が必要です。また、これらの支払いを怠った場合は、財産の差し押さえが行われる可能性があるほか、詐欺罪などで処罰される可能性もあります。
個人事業として開業した場合、事業で得た利益が一定以上となれば、確定申告をし、納税をしなければなりません。正しく納税をしておらず、納税額が不足している可能性がある場合などは、税務署の調査官による税務調査が実施されます。
税務調査時には、帳簿や契約書、領収書、請求書など、取引に関連する書類を細かくチェックされ、申告した売上の額や計上されている経費の額が正しいものであるかが調べられます。
個人事業主を対象に税務調査が行われる場合、調査が行われるのは所得税や消費税の申告と納税の状況です。失業保険は税金ではありません。また、非課税所得に該当するため、失業保険を受給していても所得税の課税対象とはならないため、税務調査時に失業保険の不正受給はバレないと考えられます。
ただし、個人事業主への税務調査で失業保険の不正受給はバレないものの、税務調査が入るタイミングまでには、不正受給をしていたことがハローワークにバレると考えておいた方がよいでしょう。
個人事業主として開業する場合、開業届を提出するタイミングによって失業保険を受給できるかどうかは変わってきます。まず、離職後すぐに開業届を提出した場合は、失業保険を受給できません。開業届を提出していない場合でも、開業に向けて準備を進めていたとみなされた場合も失業保険を受給できない点に注意が必要です。一方で、就職活動をする中で結果的に個人事業主としての開業に至った場合は、開業した日の前日までは失業保険の受給が認められます。
個人事業主として開業している人が、事業と並行しながら失業保険を受給する行為は、違法行為です。税務署とハローワークは情報を共有しているため、不正受給がバレないはずはありません。税務調査が入るかどうかに関わらず、不正受給は確実に発覚します。
個人事業主の開業と就職の両方を視野に入れながら失業保険を受給したい場合は、開業届を提出するタイミングに注意するようにしましょう。
-免責事項-
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
30秒で完了かんたん税務調査リスク診断
←前の記事
自宅兼事務所で行われる税務調査とは?調査範囲や経費処理の注意点
次の記事→
除却とは?税務調査対策や廃棄との違い、仕訳方法のポイントを解説
あわせて読みたい記事
税務調査
税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!
専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。