2026.01.26
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178万円の壁とは?引き上げ時期や注意点を徹底解説

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よく耳にする「178万円の壁」とはどのようなものなのか、知っているようで実はよくわかっていない、という方も多いのではないでしょうか。178万円の壁はいつから引き上げられるのか、ほかにも「103万円」や「160万円」「130万円」など、金額の種類にどんな違いがあるのかも気になるところです。

この記事では、178万円の壁とは何なのか、引き上げられる時期や178万円の壁に該当するかを見るポイントや注意点、年収の壁の種類などについてわかりやすく解説していきます。

 

178万円の壁とは

まずは「178万円の壁」の概要と内訳について見ていきましょう。

 

所得税が非課税となるかどうかのラインとなる「年収の壁」

178万円の壁とは、2026年度の税制改正大綱に盛り込まれた課税基準の1つで、所得税が非課税となるかどうかの1つの目安とすることができます。所得税の非課税ラインは「年収の壁」と呼ばれることもあります。

年収の壁については所得税や消費税などの税制は毎年有識者や財務省などによって見直しが行われ、物価や経済状況に応じて改正が実施されています。

 

年収の壁が178万円に引き上げられる理由

年収の壁を178万円まで引き上げる案が検討されてきた理由として、2024年までの基準額である「103万円の壁」が1995年以来30年変わっていない点が挙げられます。

厚生労働省が発表しているデータによると、2025年の最低賃金は1995年と比較すると1.73倍となっています。

103万円に1.73を乗じると約178万円となるため、新たな年収の壁として178万円までの引き上げが検討されました。

 

参照:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

 

178万円の壁の内訳

178万円の壁は、基礎控除額と給与所得控除額の引き上げに、上乗せ特例を合わせた合計額となっています。

178万円の内訳は以下の通りです。

基礎控除62万円+上乗せ特例42万円=104万円

給与所得控除69万円+上乗せ特例5万円=74万円

104万円+74万円=178万円

 

なお、103万円の壁では基礎控除48万円、給与所得控除55万円

48万円+55万円=103万円

 

160万円の壁では

基礎控除95万円(年収132万円以下の場合)+給与所得控除65万円

95万円+65万円=160万円

となります。

2025年の税制改正で103万円から160万円に引き上げられた年収の壁がさらに引き上げられ、178万円の壁となっています。

 

年収の壁が178万円に引き上げられるのはいつから?

178万円の壁が適用される時期や、これまでの年収の壁について見ていきましょう。

 

178万円の壁が適用されるのは2026年1月以降の予定

2025年12月に閣議決定した税制改正大綱によると、年収の壁が178万円に引き上げられるのは、2026年1月以降に適用となる予定です。

前年に閣議決定した税制改正の方針については、1~3月に国会で審議された後、正式に可決され適用となります。

確定申告では前年の1月から12月までの収入に対して所得税の計算をするため、178万円の壁が課税基準となるのは2026年中の収入に対して、確定申告の時期としては2027年3月15日が期限の申告に対して適用されることとなります。

 

これまでの年収の壁

2026年1月現在、年収の壁は160万円となっています。これは2025年に施行された税制改正によるもので、2025年度分の所得について適用されます。したがって、2026年3月16日が期限の確定申告で適用となるのは「160万円の壁」です。

なお、2024年度までの年収の壁は103万円が所得税非課税のラインとなっていました。

 

年収の壁の種類

年収の壁は所得税非課税の壁だけでなく、以下のような種類があります。

 

住民税非課税の壁:住民税非課税のラインとなる年収のことです。2024年までは100万円が壁となっていましたが、2025年の改正によって多くの自治体で110万円程度へ引き上げられました。

 

社会保険料の壁:年収が106万円を超えると社会保険料がかかるため「106万円の壁」と呼ばれていましたが、2025年の税制改正により撤廃の予定となっています。また、扶養が外れることにより社会保険料の負担額が増える基準額として「130万円の壁」もあります。

 

配偶者特別控除の壁:配偶者特別控除が減少するラインで「150万円の壁」と呼ばれていましたが、2025年の改正によって160万円まで引き上げられました。配偶者特別控除がゼロになる「201万円の壁」については2025年の改正に含まれず、維持されることとなっています。

 

178万円の壁のメリット・デメリット

年収の壁が178万円に引き上げられることによるメリットとデメリットには、以下のようなものが考えられます。

 

178万円の壁のメリット

年収の壁が178万円に引き上げられることにより、所得税の非課税ラインが上がるため、これまで所得税の非課税枠内で働いていたアルバイトやパートなどの人にとっては、働く時間を増やして多くの収入を得ることができるようになります。

非課税の枠内で働きたいために就労時間を制限していたり、長時間の求人に応募できなかったりしていた人にとっても、働き方の選択肢が増える点ではメリットが大きいといえるでしょう。

正社員やフルタイム勤務の場合でも、178万円の壁まで引き上げられることによって控除額の引き上げや上乗せ控除の枠が増えるため、所得税が軽減されて手取りを増やすことができます。

2024年から2025年にかけての物価上昇で多くの人が経済的な負担を強いられている中で、178万円の壁まで引き上げられるメリットを感じる人は多いといえるでしょう。

 

178万円の壁のデメリット

178万円の壁になることで考えられるデメリットとしては、社会保険加入の壁を超えた場合に手取り収入に影響が出る可能性が挙げられます。

これまで扶養内で働いていた人にとっては所得税の非課税ラインが上がっても、社会保険料の負担が生じることによって労働時間を長くしても手取りが変わらないか、減ってしまうかもしれません。

また、178万円まで非課税ラインが引き上げられたとしても、税制については例年見直されるため、2027年以降基礎控除の特例などが廃止になる可能性がある点にも注意が必要です。

また、国や地方自治体の税収減によっては、将来的に公共サービスの制限や廃止、質の低下といった影響が出る可能性もあります。

 

178万円の壁のメリットを大きくするには

扶養から外れて社会保険加入の対象となる年収の壁は、これまで106万円と130万円でしたが、106万円の壁については2026年10月以降に撤廃される見込みとなっています。130万円の壁は残りますが、一時的な残業によって増えた収入については含めない基準へと変わる予定となっているため、雇用契約ベースで超えていなければ扶養から外れることはなくなります。

178万円の壁になることでメリットを大きくするには、扶養内での働き方や手取り収入が減らないゾーンについて見極めることが大切となるでしょう。

 

178万円の壁以外にもある?2026年の改正で注目したい引き上げ要件

2025年の税制改正大綱に盛り込まれた税制改正のうち、178万円の壁以外にも注目したい控除引き上げなどの方針について解説します。

 

勤労学生の合計所得金額要件引き上げ

アルバイトなどで収入を得ている学生が扶養控除の対象となる合計所得要件が、現行の85万円から4万円引き上げて89万円以下となります。合計所得89万円以下は、給与収入の場合150万円相当となります。

 

ひとり親控除の引き上げ

ひとり親世帯の控除額について、2026年以降より所得税の控除額を現行の35 万円から3万円引き上げて38 万円に、個人住民税の控除額を現行の30万円から3万円引き上げて 33 万円となります。

 

同一生計配偶者・扶養親族の前年の合計所得金額要件引き上げ

生計を同じにする配偶者や扶養親族の前年の合計所得金額要件が、現行の58万円から4万円引き上げられて62万円以下となります。

 

2025年に閣議決定した税制改正大綱では、近年続く物価上昇に連動して基礎控除や給与所得控除を引き上げる仕組みを創設し、就業調整など中・低所得者に配慮した税制改正が行われる予定となっています。

控除額の引き上げや所得金額要件の引き上げなどのほか、固定資産税の特別措置延長やインボイス制度に対する経過措置の見直しなど、さまざまな方針が盛り込まれています。

 

参照:財務省「令和8年度税制改正の大綱」

 

【従業員・雇用者別】178万円の壁適用でやるべきこと

年収の壁が178万円まで引き上げられる場合にやるべきことについて、従業員側と雇用する側の両方の観点から見ていきましょう。

 

【従業員側】損しないラインを見極めて働き方を見直す

アルバイトやパートなど扶養内で働いている人は、所得税が非課税となるラインが引き上がるため、これまでよりも多く働くことが可能となります。ただし、社会保険の壁や配偶者特別控除の壁などは存在するため、178万円まで働いても社会保険料が差し引かれたり、配偶者特別控除が少なくなったりすると手取り収入は減ってしまいます。

178万円の壁だけに目を奪われることなく、社会保険料の壁や配偶者特別控除の壁なども考慮しながら、手取りが減らない「損しないライン」がどの程度の収入かを見極めることが大切となります。

損しないラインは、配偶者特別控除が受けられるのか、ひとり親世帯や勤労学生か、扶養親族がいるのかなどによっても異なります。

「もう少し働けそうだ」「法案が施行されるまでは現状維持の方がよさそう」など、今後の動向も見ながら働き方を見直してみるようにしましょう。

 

【雇用側】雇用契約と社会保険負担について再確認する

年収の壁の枠内でアルバイト・パートを雇用している企業は、178万円の壁の適用が労働力不足の解消に役立つ可能性があります。

これまでよりも多く働ける可能性がないか雇用契約の見直しを行い、必要に応じて個別面談を実施することで、現在の課題が解消できるかもしれません。

求人についても、勤務時間や勤務日数などの条件について、新しい年収の壁に対応した内容へと更新する必要があるでしょう。

なお、従来社会保険料の壁であった「106万円の壁」については、2026年10月以降撤廃される見込みとなっています。「従業員数51人以上」の要件については2027年10月以降撤廃となり、2029年10月以降は5人以上の従業員がいる事業所も加入対象となります。

学生を除く週20時間以上働く従業員は、将来的に厚生年金へ加入することとなるため、その点も考慮して労務管理の状況を整える必要があるでしょう。

 

【従業員・雇用者共通】最新の動向を確認し、正しい情報を把握する

従業員側も雇用する側も共通して、税制改正については最新の動向をチェックし、法改正について正しい情報を把握することが大切です。

適用となる年度を間違えたり、所得税と扶養控除、社会保険などそれぞれの年収の壁を混同したりすることのないように注意しましょう。

2026年度の税制改正大綱に盛り込まれた方針については、2025年12月26日に閣議決定されました。しかし、税制改正大綱はあくまでも税制改正の方針であり、改正法案が成立するには、国会の審議を経る必要があります。

通常は1月から3月までの間に衆議院・参議院両方で審議され、3月末頃までには成立、公布され、4月1日に施行となるのが通例です。

税制改正大綱で示された方針は概ね成立することを前提に閣議決定されますが、要件などについて修正案が提出されるケースもあるため、正式に公布されるまではこまめに状況を確認することをおすすめします。

 

年収の壁や法改正の内容について不明な場合は税理士法人松本へ相談を

「178万円の壁やその他の年収の壁についてどう判断するべきかわからない」「会計処理や労務管理に不安がある」「改正後自力で適正な確定申告ができるか自信がない」など、税制改正の内容や対処に関する不安や悩みがある場合は、税金の専門家である税理士へ相談してみましょう。

税理士法人松本では、税務調査対応や会計サポートに加え、給与計算や労務サポートにも対応しています。最新の税制に対応するだけでなく、節税対策や労務上のアドバイスにも丁寧に対応しています。既に終わった確定申告に関する疑問や、現在の顧問税理士には聞けない内容の相談などについても対応可能です。

お問い合わせはフリーダイヤルのほか、メールフォームやLINEからも相談予約を受け付けていますので、1人で不安な思いを抱えている方は一度お気軽にご連絡ください。

 

 

まとめ

178万円の壁は、2026年以降に適用される見込みとなる所得税非課税の基準額をさします。成立すれば178万円まで所得税が非課税となりますが、配偶者特別控除や社会保険などの要件についても考慮して働き方を見直すことが大切となります。従業員も雇用者側も最新の情報を確認し、正しい知識を持って税制改正に注目していきましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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