2026.01.29
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178万円の壁で手取りはどう変わる?事例や注意点を解説!

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2026年度の税制改正大綱で、いわゆる年収の壁が「178万円の壁」まで引き上げられる方針が示されました。年収の壁が178万円へと変わることで、手取り額にどのような影響があるのでしょうか。

この記事では、178万円の壁による手取りへの影響や状況別の手取り例のほか、178万円の壁に関して抑えるべきポイントや注意点などについてわかりやすく解説していきます。

 

178万円の壁が手取りに与える影響とは

まずは178万円の壁の概要と、手取りにどのような影響があるのかについて改めて確認していきましょう。

 

178万円の壁は「年収の壁」のこと

178万円の壁とは、2026年度の税制改正で施行予定となっている新たな所得税非課税の基準額のことをさします。

これまで、給与収入が103万円までであれば所得税がかかりませんでしたが、2025年分からは160万円まで引き上げられました。

2026年度の所得税や法人税などの税制改正方針をまとめた「税制改正大綱」が2025年12月26日に閣議決定され、2026年1月以降の通常国会で審議を通過すれば、2026年分の収入から178万円の壁が適用される見込みです。

 

年収の壁は手取り額にどんな影響がある?

いわゆる「年収の壁」といわれる基準は、所得税が非課税になるかどうかのラインとなっています。

給与収入の場合、2024年までは年収が103万円、2025年は年収160万円なら所得税は非課税となり、所得税が引かれず手取りとして収入を得ることができます。

2026年はこの壁が178万円まで引き上げられる見込みのため、160万円を超えて収入を得ていた人も所得税が非課税となる可能性があります。

また、178万円を超える収入を得ている場合も、所得税非課税のラインが引き上げられるため、差し引かれる所得税が減って手取り額が増えると予想されます。

 

178万円の壁の計算方法

178万円の壁は「基礎控除」「給与所得控除」「物価高騰による特例措置の上乗せ分」の合計額となり、以下の合計額となります。

基礎控除額62万円+上乗せ特例42万円=104万円

給与所得控除69万円+上乗せ特例5万円=74万円

104万円+74万円=178万円

 

上記の内訳では、2025年の収入に対する年収の壁となる160万円から、物価上昇に連動する形で基礎控除と給与所得控除がそれぞれ4万円ずつ引き上げられています。

また、2026年と2027年のみの時限的措置として、基礎控除の上乗せ特例37万円へ更に5万円上乗せし、給与所得控除にも特例として5万円の上乗せ分が控除されることとなっています。

 

「178万円の壁」の根拠は?

178万円という数字は適当に引き上げられたものではなく、物価上昇に基づいて設定されています。

2024年まで適用されていた「103万円の壁」は1995年に制定された基準額ですが、当時の最低賃金と現在とを比較した場合、1.73倍上昇していることがわかっています。

103万円に1.73を掛けるとおよそ178万円となるため、所得税の非課税基準を178万円とする方針が示されることとなりました。

年収の壁は2025年度に160万円、2026年に178万円と段階的に引き上げられる見込みですが、基礎控除と給与所得控除それぞれの引き上げ額は、直近2年の物価上昇率に基づいて計算されています。

なお、上乗せ特例は2026年と2027年の2年間に適用される一時的な措置となる予定です。

 

178万円の壁で手取りを確認する際の注意点

178万円の壁が適用された場合の手取りを確認する際には、以下の点にも注意が必要です。

 

178万円の壁が適用される年収には制限がある

年収178万円まで所得税非課税が適用される年収には制限がある点に注意が必要です。

2026年の税制改正では、最大額まで控除が適用されるのは665万円以下の納税者が対象となっています。これまでの対象である年収200万円以下と比べると、対象となる納税者は全体の8割ほどとなるため、適用される人は大きく増える見通しですが、年収665万円を超える場合は注意が必要です。

基礎控除の4万円引き上げについては合計所得金額2,350万円以下の納税者が対象となっており、4万円引き上げ後の控除額は62万円となります。

2,350万円を超える場合の控除額は以下のようになっています。

2,350万円を越えて2,400 万円以下の場合:48 万円

2,400万円を超えて2,450 万円以下の場合:32 万円

2,450万円を超えて2,500 万円以下の場合:16 万円

2,500万円を超えた場合:控除なし

 

年収が665万円を超える場合でも、最大額の控除を受けることはできませんが、物価高に連動した分の控除を受けることができます。

 

社会保険料の壁を超えると手取りが減る可能性がある

178万円の壁は、あくまでも所得税が非課税になる基準の額であるため、社会保険料が発生する壁を超えると、給与収入から保険料が差し引かれるため、手取り額が少なくなる可能性がある点にも注意しましょう。

2026年1月現在の「社会保険料の壁」は106万円となっています。106万円の壁は会社の規模によって厚生年金への加入義務が異なるため、規模の小さな会社の従業員の場合は130万円を超えると加入義務が発生するため「130万円の壁」が社会保険の壁となっていました。2026年度の税制改正大綱では、106万円の壁は今後段階的に撤廃される見込みとなっていますが、130万円の壁は維持される見込みです。

そのため、所得税非課税の壁が178万円まで引き上がったとしても、年収が130万円を超えると社会保険料の支払いが発生するため、手取りが少なくなってしまいます。

 

178万円の壁の適用で手取りが確認できるのは2026年の収入から

178万円の壁が適用されるのは、2026年分の収入からとなる予定です。2026年1月現在では、所得税の非課税枠は178万円まで引き上げられる見込みですが、まだ確定はしていません。当年の税制改正は1月から3月までに国会で審議され、3月末頃成立し4月に施行されるのが通例となっています。

2025年分の収入には反映されない点と、今後修正案などが提出される可能性などもあるため、178万円の壁に関する改正については、最新の情報をこまめにチェックすることをおすすめします。

 

【ケース別】178万円の壁で変わる手取り例

178万円の壁が適用された場合の手取りの変化について、パートや正社員など、いくつかのケースに分けて見ていきましょう。

 

【ケース共通】所得税の計算方法

所得税は、課税対象となる所得金額(1,000円未満切り捨て)に、所得額に応じて設定された税率を掛けて求めます。

所得税の税率は

1,000円から1,949,000円まで:5%

1,950,000円から3,299,000円まで:10%

3,300,000円 から 6,949,000円まで:20%

6,950,000円 から 8,999,000円まで:23%

9,000,000円 から 17,999,000円まで:33%

18,000,000円 から 39,999,000円まで:43%

40,000,000円 以上:45%

となっており、基準所得額が3億3,000万円を超えている場合は越えた分に対して22.5%が加算されます。

給与収入の場合、所得は総収入額から基礎控除額や給与所得控除などを差し引いて計算されます。

年収180万円の人に対して現行の年収の壁である160万円を適用した場合、

単純計算で所得税は20万円×5%=1万円となります。

178万円の壁を適用した場合は

2万円×5%=1,000円となるため、9,000円ほどの所得税減税効果があることになります。

 

ケース1:短時間のパート・アルバイトの場合

短時間のパートやアルバイトなどの場合、年収178万円までは所得税の差し引きがなく、収入と同額の手取りとなります。

ただし、130万円を超えた場合には社会保険料が発生するため、保険料を差し引いた手取りとなります。

また、勤めている企業の規模や勤務形態によって、以下の条件に当てはまる場合には年収106万円を超えた時点で社会保険料が発生する可能性があります。

 

106万円の壁が適用になる条件:

従業員が51人以上の企業に勤めている

週あたりの勤務が20時間以上

月額の給与が8.8万円以上(残業代、通勤手当、賞与等は含まない)

2ヵ月を超えて働く予定がある

学生ではない(全日制、通学が対象)

 

参照:厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」

 

106万円の壁は今後撤廃される見込みですが、2027年10月より段階的に撤廃される方針となっています。

 

ケース2:配偶者控除を受けて働いている妻(夫)の場合

配偶者控除が受けられる範囲で働いている場合、これまでは103万円まで、2025年以降は123万円までの収入で配偶者控除の対象となり、150万円までは満額の配偶者特別控除対象となっています。

178万円の壁が適用となる2026年以降、満額の配偶者特別控除対象が160万円まで引き上がります。

配偶者控除を受けて働いている人は123万円まで、満額の配偶者特別控除を受ける場合は160万円まで、世帯の手取りを減らすことなく働くことが可能ですが、扶養者の収入が1,000万円を超える場合には控除が受けられなくなります。

 

ケース3:19歳以上23歳未満の勤労学生の場合

19歳以上23歳未満で働いている学生の場合は、引き続き勤労学生控除の対象となります。納税者自身が勤労学生の場合は27万円の控除が受けられる要件が合計所得75万円以下から85万円以下へと引き上げられたため、これまで控除対象でなかった学生も控除が受けられるようになります。

勤労学生控除は年収150万円以下が対象となっているため、178万円の壁適用後所得税の面で大きく影響することはありませんが、年末調整で住民税を軽減することが可能となります。

ただし、親の扶養控除に影響する可能性があるため、世帯での手取りを考慮するなら、社会保険の扶養から外れない年収130万円までで働くこととなるでしょう。

 

参照:国税庁「勤労学生控除」

 

ケース4:ひとり親世帯の場合

ひとり親世帯の場合、2026年以降には178万円の壁に加え、以下のような規制緩和が実施される予定です。

・控除対象の合計所得500万円以下を1,000万円以下まで引き上げ

・扶養対象となる子の所得要件を58万円から62万円へ引き上げ

・所得税のひとり親控除を3万円引き上げて38万円へ

・住民税のひとり親控除を3万円引き上げて33万円へ

 

上記の規制緩和された要件に該当する場合、178万円の壁と併せて控除の枠が広がるため、手取りが増える可能性が高いでしょう。

 

ケース5:フルタイム勤務で独身の場合

配偶者控除や扶養控除を受けず、独身で正社員やフルタイムで勤務している場合、178万円を超えた額から所得税の課税対象となるため、適用前よりも多くの手取りを得ることが可能となります。

 

参照:財務省「令和8年度税制改正の大綱」

 

178万円の壁と手取りの理解に迷った場合の対処法

178万円の壁が手取りにどう影響するのか迷った場合は、以下の方法も参考にしてみましょう。

 

年収の壁の種類を理解する

178万円の壁は、所得税の非課税ラインとして、2026年以降適用される見込みとなっている年収の壁の1つです。

年収の壁には、178万円以外にも社会保険の壁となる「130万円の壁(一部106万円)」や住民税非課税ラインとなる「110万円の壁」配偶者特別控除が受けられなくなる「201万円の壁」など、さまざまな種類があります。

所得税と住民税、社会保険料や特別控除などの種類を理解し、自身のケースに当てはめていくらまで働けるのかを正しく理解することが大切となります。

特に配偶者控除や勤労学生控除は「自分の手取り」だけでなく「扶養者の手取り」にも影響してくるため、混同しないように分けて考える必要があります。

 

適用される年度を確認する

所得税は前年度の1月から12月までの1年間の所得に対して課税されます。2026年の確定申告では2025年中に得た所得について申告するため、所得税の非課税枠は160万円となる点に注意が必要です。

その他社会保険の企業要件など、2027年以降段階的に撤廃される見込みの法案もあるため、適用される年度を間違えないように確認しておきましょう。

 

事業者は従業員の控除額や雇用条件について再確認を

ひとり親控除や配偶者特別控除の緩和によって、新たに控除の対象となる従業員が出てくる可能性があります。

2026年度以降の税制改正について、上記の適用年度と併せて、事業者は従業員の家庭状況などについて確認してみましょう。扶養枠内の条件で働いているアルバイトやパートについても、働ける時間が増える可能性があるため、雇用条件についても見直せる可能性があります。

 

税理士法人松本では、新しい税制に対する不安や悩み、ケースごとの問題などについても丁寧に対応いたします。税制改正の理解について迷った場合は、全国どこからでもお気軽にご相談ください。

 

まとめ

178万円の壁が適用されることで所得税が非課税となる年収のラインが引き上げられるため、手取り収入が増える可能性が高くなります。これまで103万円や160万円の年収の壁を意識して働き控えをしてきた人にはもちろん、正社員やフルタイム勤務の人にとっても所得税の減税効果があるため、手取りを増やせる可能性が高いでしょう。

実際には所得税の減税だけでなく、社会保険の壁や住民税の壁、配偶者控除の壁などさまざまな年収の壁があります。適用される年度と併せて新しい税制改正への理解を深め、適正な申告・納税をするようにしましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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