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2024.03.07

建設業における36協定とは?法定労働時間を超えて残業させる場合

建設業における36協定とは?法定労働時間を超えて残業させる場合

2024年4月から建設業にも働き方改革関連法の適用が開始されます。これによって、36協定で定められる時間外労働の上限規制が変更されることになります。建設業は、他の業種と比べても長時間労働が慢性化している業種です。そのため、大企業では2019年から適用されていた改正労働基準法の適用が建設業では5年間猶予されていました。
2024年に改正労働基準法が適用されると、時間外労働の上限はどのように規制されるのでしょうか。今回は、建設業における36協定と2024年4月以降の時間外労働の上限についてご説明します。

36協定とは

労働基準法では、1日及び1週間当たりの労働時間と休日の日数を定めています。定められた労働時間や休日日数を超えて労働者を労働させるためには、事業者と労働者の間で36協定を結ばなければなりません。労働基準法第36条に定められている労使協定であることから、この時間外労働協定は一般的に36(サブロク)協定と呼ばれています。36協定を結ぶ場合は、労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する人と、書面による協定が必要です。
法定労働時間は、原則として1日8時間、1週間40時間と決められています。また、事業者は少なくとも週に1日または4週間に4日以上の休日を与えなければなりません。これを法定休日と言います。
法定労働時間を超えて労働させない場合、法定休日には労働をさせない場合には36協定を締結する必要はありません。しかし、法定労働時間を超えて残業させる場合や法定休日に労働をさせる場合には36協定の締結が必要不可欠になります。

2024年4月以降、建設業における36協定の変更点

2024年4月に建設業も猶予期間が終了し、改正労働基準法が適用されることとなります。では、2024年4月以降、建設業の36協定はどのように変更になるのでしょうか。

建設業は36協定の限度時間適用除外事業だった

36協定を締結した場合、事業主は労働者に法定労働時間を超えて労働を課すことができます。しかし、36協定を締結した場合であっても時間外労働の上限時間は、月45時間、年360時間と決められており、原則としてこれを超える労働は禁じられています。
ただし、2024年3月末日までは、一部の事業や業務は時間外労働の限度時間が適用されないことが認められており、建設業もこの36協定限度時間適用除外事業の1つに含まれています。そのため、建設業では長時間労働や休日出勤がなされていても、法律違反には当たらず、長時間労働が慢性的に発生しているのが現状です。しかし、2024年4月から建設業にも36協定の上限規制が適用されます。

2024年4月以降の時間外労働の上限時間

2024年4月から、他の業種と同様に建設業でも36協定の時間外労働の上限時間が罰則付きで規制されます。原則、月45時間、年360時間を超える時間外労働は禁止されます。ただし、臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合は月45時間、年360時間を超えて労働させることが可能です。この特別な事情の際に必要となるのが、特別条項付きの36協定です。

特別条項付き36協定を締結した場合の時間外労働時間の上限

繁忙期や緊急の対応が必要になったときなど、特別な事情が生じた場合は労働者と事業者の間で特別条項付き36協定を締結すると、例外として以下の時間まで時間外労働をさせることが可能になります。

・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計の2~6か月平均が、1月当たり80時間以内
・時間外労働が月45時間を超えることができるのは、6か月を限度とする

建設業の36協定の例外

2024年4月からは建設業においても時間外労働時間の上限が定められることが決まっています。しかし、建設業に限定して、一部例外が適用されるケースがあります。それが、災害復旧や復興事業に従事する場合です。
災害復旧や復興事業に従事する場合は、当面の間、2~6か月の月平均80時間以内、1か月100時間未満の要件は適用されません。ただし、その場合においても、年720時間の上限と月45時間を超えることができるのは6か月が限度という要件は適用されます。

36協定の上限に違反した場合のペナルティ

36協定で定められている時間外労働の上限を超えて労働させた場合には、事業者に対して罰則が科せられることが決まっています。36協定違反は、労働基準法の規定違反となり、使用者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に科せられる恐れがあるのです。
また、時間外労働の上限を超えて労働者に労働をさせた場合は、厚生労働省が事業者名を公表する可能性もあります。労働基準法に違反した事業者として知られれば、人材を募集する際にも企業イメージが悪いために労働者から敬遠され、人材を確保できない可能性が高まります。また、これまでの取引先から取引を断られ、事業の継続が難しくなる場合もあるでしょう。建設業者としてしっかり法律を遵守するためには、改正労働基準法の適用開始に向けて改正内容を把握し、時間外労働時間の上限規制を守れるような労働環境を整えておくことが大切です。

改正労働基準法の適用に控え建設業者が対応すべきこと

2024年4月から改正労働基準法が建設業にも適用され、36協定を締結しても時間外労働時間の上限が規制されることになります。この改正を前に建設業者はどのような対応をすべきなのでしょうか。

人出不足の解消には労働環境の整備が不可欠

人出不足に悩む多くの建設業者にとって、時間外労働時間の上限が規制されてしまう今回の改正は、頭を悩ませる問題でしょう。しかし、長時間労働は人出不足と並び、建設業界が長年抱えてきた課題でもあります。長時間労働が是正できなければ、建設業界での労働を希望する人材が増えることはありません。長時間労働を是正し、適正な労働環境を整えることが建設業界で働く人材の減少につながり、建設業界の人出不足問題を改善する手段ともなり得るのです。今回の改正労働基準法の適用は、決してマイナスなことではなく、建設業の将来の発展にとって必要な対策であると捉え、前向きに対応を進めていきましょう。

勤怠管理体制の準備を進める

建設業は現場への直行直帰などがあり、労働時間の把握が難しいのが現状です。従来の自己申告による管理では、労働時間の正確な把握が難しく、労働時間の管理や賃金計算にも手間がかかります。正確に時間外労働の上限を把握するためには、勤怠管理システムの導入などを検討するとよいでしょう。システム上で労働時間を管理できれば、時間外労働時間の合計も把握しやすくなり、給与計算も効率よく行えるようになります。

適切な工期設定をする

短すぎる工期は、建設業の長時間労働の原因の1つです。長時間労働を是正するためには、適切な工期の設定が不可欠となります。
発注者側も建設工事を発注する際に、適正な工期を算出したうえで請負契約を設定することが求められていますが、受注側も不当に短い工期の工事は受注しないようにするなどの対策が必要です。

IT化を進め、業務効率を改善する

時間外労働を減らすためには、業務効率を高める対策も必要です。測量や設計、施工、検査等、さまざまなシーンにおいて活用できるIT機器やシステムも開発されています。人の手に頼らず、機械が代行できる部分に関しては積極的にIT化を進め、業務効率を改善させる対策も進めましょう。

まとめ

建設業でもいよいよ改正労働基準法の適用が開始されます。2024年4月からは36協定を締結した場合でも、時間外労働時間の上限が規制され、違反した場合には罰則が科せられることになります。まだ、時間外労働時間の上限規制に対する準備が進んでいない場合は、専門家などに相談し、早急に対策を講じることをおすすめします。
社会保険労務士法人松本には、建設業に詳しい社会保険労務士が在籍しています。新たに始まる時間外労働の規制にお悩みの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。初回の電話相談は無料で承っております。

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