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会社設立
会社設立後の住民税特別徴収|切替手続きと納付方法
読了目安時間:約 8分
目次
導入文
会社設立後、代表者への役員報酬や従業員への給与を支払い始める場合、会社は原則として個人住民税の特別徴収を行う必要があります。特別徴収とは、会社が役員・従業員の個人住民税を毎月の給与から差し引き、市区町村へ納める制度です。
設立時点で代表者や従業員が住民税を普通徴収で納めている場合は、対象者の住民税を課税している市区町村へ切替手続きが必要です。会社が独自に税額を計算して天引きを始めるのではなく、市区町村から届く税額通知に従って処理します。
「会社設立・住民税・特別徴収」の手続きでは、会社自身が負担する法人住民税と、給与から預かる個人住民税を混同しないことが重要です。この記事では、両者の違いを整理したうえで、年度途中の切替手続き、年間スケジュール、納付方法、退職時に必要となる対応まで解説します。
なお、切替申請書などの様式名、処理締切、添付書類、普通徴収が認められる基準は自治体によって異なります。実際に手続きを進める際は、提出先となる市区町村の公式情報を確認し、判断に迷う場合は税理士や自治体の担当窓口へ相談してください。
会社設立後は住民税の特別徴収が必要?
会社設立後、住民税の特別徴収は、役員報酬や従業員給与を支給する法人に原則として必要です。所得税の源泉徴収義務がある給与支払者は、原則として特別徴収義務者になります。
住民税の特別徴収とは?
特別徴収とは、役員・従業員の個人住民税を会社が毎月の給与から差し引き、市区町村へ納める制度です。正社員だけでなく、役員や一定のパート・アルバイトも対象になり得ます。
市区町村から通知された税額を、原則として6月から翌年5月までの12回に分けて給与から徴収します。会社が税額を独自に計算する制度ではありません。
従業員が少なくても普通徴収を選べる?
「従業員が少ない」「経理担当者がいない」「本人が希望している」という事情だけでは、原則として普通徴収を選べません。普通徴収が認められる基準や提出書類は自治体によって異なるため、会社だけで判断せず、対象者の住所地の市区町村へ確認してください。
法人住民税とは別の税金?
法人住民税と、個人住民税の特別徴収は別の税金です。負担者と会社の役割は次のように異なります。
| 区分 | 負担者 | 会社の役割 |
|---|---|---|
| 法人住民税 | 法人 | 自社の税金として納付 |
| 個人住民税 | 役員・従業員 | 給与から預かり納付 |
特別徴収で会社が個人住民税を負担するわけではなく、給与から預かって市区町村へ納付します。給与処理では預り金として扱うため、役員報酬や給与の支給開始時に対象者と課税自治体を確認しておくことが重要です。

【状況別の分岐】あなたの会社で必要な手続きはどれ?
会社設立後の住民税の特別徴収では、代表者・従業員の現在の徴収方法によって提出書類が変わります。まず本人の納税状況を確認し、該当する市区町村へ必要書類を提出してください。
代表者が普通徴収で納めている場合は?
代表者の住民税を課税している市区町村へ、特別徴収への切替申請書・切替依頼書などを提出します。通常、提出先はその年の1月1日時点の住所地です。
市区町村から税額変更通知が届くまでは、会社独自の計算で給与天引きを始めないでください。本人が普通徴収の納付書を持っている場合は、納付済み・未納付の別も確認し、二重納付を防ぎます。
設立時から従業員を雇用している場合は?
前職で特別徴収されていたか、すでに普通徴収へ切り替わっているかを確認します。前職から特別徴収を継続できる場合は給与所得者異動届出書を使い、普通徴収の場合は切替申請書・切替依頼書を提出します。
今後初めて従業員を雇う場合は?
入社時に次の情報を確認し、徴収状況に応じて手続きを判断します。前職での処理状況が不明なときは、前職または課税する市区町村との連携が必要です。
- 1月1日時点の住所と現住所
- 前職の有無
- 現在の住民税が特別徴収か普通徴収か
- 普通徴収の納付済み・未納付の状況
翌年度から特別徴収を始める場合は?
毎年1月31日までに、1月1日時点の住所地の市区町村へ給与支払報告書を提出します。市区町村から原則5月31日までに届く税額通知に従い、6月支給給与から天引きします。
| 現在の状況・徴収方法 | 主な提出書類 | 提出先 | 開始時期・注意点 |
|---|---|---|---|
| 代表者が普通徴収 | 切替申請書・依頼書 | 住民税の課税市区町村 | 変更通知後。納付状況を確認 |
| 従業員が特別徴収 | 異動届出書 | 課税市区町村 | 通知された開始月から |
| 従業員が普通徴収 | 切替申請書・依頼書 | 課税市区町村 | 変更通知後。二重納付に注意 |
| 翌年度から開始 | 給与支払報告書 | 1月1日の住所地 | 6月給与から開始 |
様式名、添付書類や処理時期は市区町村によって異なります。会社設立・住民税・特別徴収の実務で判断に迷う場合は、提出先の市区町村や税理士へ確認してください。

普通徴収から特別徴収へ切り替える手続き
会社設立後、住民税を普通徴収から特別徴収へ年度途中で切り替える場合は、対象者の課税自治体へ所定の切替書類を提出します。自治体から特別徴収税額変更通知書が届いた後、指定された開始月と月割額で給与天引きを始めます。
年度途中の切り替えはどのように進める?
本人の納付状況と課税自治体を確認してから、自治体指定の様式で申請します。役員報酬や従業員給与の支給を始める新設法人は、次の順序で進めると二重納付を防ぎやすくなります。
- 1.本人の納付書や領収情報を確認し、納付済み・未納付の期別を整理する
- 2.その年度の住民税を課税している市区町村を特定する
- 3.市区町村指定の切替書類を取得する
- 4.必要事項を記入し、求められる場合は納付書の原本や写しを添付する
- 5.郵送、窓口、電子手続きなど、自治体指定の方法で提出する
- 6.会社に特別徴収税額変更通知書が届くのを待つ
- 7.通知書記載の開始月と月割額で給与天引きを始める
書類名は「特別徴収への切替申請書」「特別徴収切替依頼書」「普通徴収から特別徴収への切替届出書」など自治体により異なります。例えば横浜市は「特別徴収への切替依頼書」を使用しており、原則として対象者の課税自治体の様式を使います。
提出先と天引き開始月で注意することは?
提出先は会社所在地ではなく、通常はその年の1月1日時点の住所地にある市区町村です。現住所と異なる場合や、従業員が複数の自治体に居住している場合は、提出先を個別に確認します。
全国一律の申請期限はなく、自治体ごとに月次の処理締切が設けられている場合があります。希望月に間に合わない可能性もあるため、余裕を持って申請してください。
変更通知書が届く前に、会社が独自に税額を計算して徴収してはいけません。
東京都の案内にあるとおり、納期限を過ぎた税額、過年度分、本人が納付済みの税額は切り替えられない場合があります。「会社設立 住民税 特別徴収」の手続きを進める際は納付書と領収情報を本人と照合し、不明点は課税自治体や税理士へ確認しましょう。

特別徴収はいつから?年間スケジュールと納付期限
個人住民税の特別徴収は、原則として6月から翌年5月まで行います。会社は給与から通知額を差し引き、徴収月の翌月10日までに市区町村へ納入します。
通常の年間スケジュールは?
会社は毎年1月31日までに給与支払報告書を提出し、原則5月31日までに届く税額通知に従って6月から徴収します。年間の流れは次のとおりです。
| 時期・期限 | 会社の対応 |
|---|---|
| 1月31日まで | 給与支払報告書を提出 |
| 原則5月31日まで | 税額決定通知書を受領 |
| 6月~翌年5月 | 月割額を給与から徴収 |
| 徴収月の翌月10日まで | 市区町村へ納入 |
このスケジュールは、東京都主税局の案内でも確認できます。納期限の10日が休日に当たる場合は、自治体の案内や法令上の期限を確認してください。
会社設立1年目はいつから始める?
設立直後に代表者や従業員が普通徴収なら、年度途中での切り替えを検討します。翌年1月には給与支払報告書を提出し、5月頃に翌年度分の通知を受けて、6月給与から新年度の税額へ更新します。
- 給与計算ソフトへ通知された月割額を登録する
- 6月分と7月以降の金額差を確認する
- 徴収開始月と納入期限を管理する
住民税額は会社が計算する?
税額は原則として市区町村が前年所得などを基に計算し、会社は通知書に記載された月割額を給与から差し引きます。年税額を単純に12分割すると端数処理が合わない場合があるため、通知額をそのまま給与計算ソフトへ登録することが重要です。
税額変更通知が届いたときは、通知書で指定された月から反映します。「会社設立後の住民税の特別徴収」で判断に迷う場合は、対象者の住所地の市区町村や税理士へ確認してください。

住民税の納付方法と「納期の特例」
特別徴収した住民税は、納入書またはeLTAXで自治体へ納付します。給与を受ける人が常時10人未満の会社は、承認を受ければ納付を年2回にまとめられます。
特別徴収した住民税はどのように納付する?
市区町村から交付された納入書を使い、金融機関や自治体窓口で納付する方法があります。複数の自治体へ納める会社では、eLTAXの地方税共通納税システムによる電子納税が便利です。
対応する納付方法は自治体や利用環境によって異なるため、事前に確認してください。会社設立後に住民税の特別徴収を始める際は、納付先ごとの手段も整理しておくと実務が円滑です。
通常の納期限はいつ?
納期限は原則として徴収月の翌月10日です。例えば、6月分として給与から徴収した税額は、原則7月10日までに納付します。
給与支給日だけで判断せず、市区町村の通知で何月分の税額かを確認しましょう。預かった住民税は会社の収入ではないため、運転資金と混同しない管理が必要です。
納期の特例を利用できる条件は?
給与を受ける人が常時10人未満なら、市区町村ごとに申請し、承認を受けることで納付回数を年12回から年2回へまとめられます。1自治体の承認が、ほかの自治体へ自動的に適用されるわけではありません。
| 対象税額 | 納期限 |
|---|---|
| 6月分~11月分 | 12月10日 |
| 12月分~翌年5月分 | 翌年6月10日 |
年2回になるのは会社から自治体への納入だけで、役員・従業員の給与からの天引きは毎月必要です。半年分を預かるため、専用口座や納付予定表などで資金を分け、納付忘れを防ぎましょう。適用条件や申請方法は自治体に確認し、判断に迷う場合は税理士へ相談してください。

給与支払報告書と異動届出書はどう使い分ける?
給与支払報告書は翌年度の住民税額を決めるための書類、異動届出書は退職や転勤など特別徴収の状況が変わったときの書類です。会社設立後、住民税の特別徴収を行う新設法人は、提出時期と目的を分けて管理しましょう。
| 書類 | 主な目的 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 給与支払報告書 | 翌年度の税額計算 | 原則1月31日 |
| 異動届出書 | 退職・転勤等の報告 | 原則翌月10日 |
給与支払報告書はいつ、どこへ提出する?
給与支払報告書は、前年中に支払った役員報酬や従業員給与を、受給者の1月1日時点の住所地である市区町村へ報告する書類です。原則として毎年1月31日までに提出します。
- 給与支払報告書の総括表
- 受給者ごとの個人別明細書
- 普通徴収対象者がいる場合の普通徴収切替理由書など
退職者についても提出が必要になることがあります。対象範囲や普通徴収を認める基準、様式は自治体により異なるため、提出先自治体の案内を確認してください。
異動届出書はどのような場合に使う?
「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」などは、退職、休職、転勤・転職、死亡、給与支払いの停止や、転勤先で特別徴収を継続する場合に使用します。原則として異動が生じた月の翌月10日までに提出し、税額が0円の人でも必要になる場合があります。
なお、源泉徴収票は所得税、給与支払報告書は個人住民税に関する書類です。eLTAXの電子的提出一元化を利用すれば、市区町村向けの給与支払報告書と税務署向けの源泉徴収票を同時に作成・提出できます。詳細は国税庁の案内を確認し、判断に迷う場合は税理士または提出先自治体へ相談しましょう。

退職・転職・税額変更があったときの注意点
退職・転職や住民税額の変更が生じたときは、会社独自の判断で給与天引きを変更せず、市区町村への届出と通知内容に沿って処理します。会社設立後の住民税の特別徴収では、処理の遅れや二重納付に特に注意が必要です。
従業員が退職した場合はどう処理する?
退職者が出たら、給与所得者異動届出書を自治体所定の期限内に提出します。退職時期などにより、残税額を一括徴収するか、本人が納める普通徴収へ切り替えるかが異なります。
1月から4月までの退職は、原則として残税額の一括徴収が必要です。最終給与や退職金から全額を徴収できない場合は、自己判断で処理せず、課税している市区町村へ確認してください。
転職先でも特別徴収を継続するには?
現勤務先、新勤務先、本人の間で情報を連携し、異動届出書に新勤務先の所在地や特別徴収義務者指定番号などを記載します。手続きが間に合わなければ、一時的に普通徴収となる場合があります。
新勤務先は、市区町村から届く通知の開始月と月割額を確認してから天引きを始めます。変更通知が届く前に、会社が税額を計算して徴収してはいけません。
税額変更通知が届いたら何を確認する?
申告内容の修正や所得・控除の変更により、年度途中でも税額が変わることがあります。通知書に記載された適用月と変更後の月割額を確認し、過去月へさかのぼって会社独自に修正せず、市区町村の通知に従います。
- 法人住民税と、役員・従業員の個人住民税の特別徴収を混同しない
- 本人の希望だけを理由に普通徴収へ変更しない
- 納付済みの普通徴収分を切り替えて二重納付にしない
- 現住所ではなく、その年の1月1日時点の住所地を確認する
- 納期の特例でも給与天引きは毎月行い、納入だけが年2回になると理解する
- 自治体ごとに必要な申請を行い、複数自治体の手続きを一括で済ませない
様式や処理期限は市区町村によって異なります。判断に迷う場合は提出先自治体や税理士へ確認してください。

まとめ
会社設立後、役員報酬や従業員給与を支払う場合、会社は原則として個人住民税の特別徴収義務者になります。「会社設立 住民税 特別徴収」の手続きを確認する際は、会社が負担する法人住民税と混同しないことが大切です。
普通徴収から切り替える場合は、対象者の住民税を課税する市区町村へ、切替申請書や切替依頼書などの指定書類を提出します。会社が税額を独自に計算せず、市区町村から届く特別徴収税額変更通知書に記載された金額と開始月に従って給与天引きを始めてください。
- 対象者の住民税を課税する市区町村と未納付分を確認する
- 自治体指定の切替書類と必要な添付書類を提出する
- 変更通知書の税額・徴収開始月・納付期限を給与計算へ反映する
徴収した住民税は、通常、徴収月の翌月10日までに納付します。給与の支払いを受ける人が常時10人未満なら、市区町村の承認を受けることで、納付を年2回にまとめる納期の特例も利用できます。ただし、毎月の給与天引きは引き続き必要です。
様式名、提出締切、添付書類、普通徴収が認められる基準は自治体ごとに異なるため、必ず提出先の公式サイトで最新情報を確認しましょう。判断に迷う場合は、市区町村の担当窓口に確認したうえで、税理士や司法書士、行政書士などの専門家へ相談し、給与支給を始める前に社内の運用を整えておくと安心です。
よくある質問
Q. 会社設立後、代表者だけに役員報酬を支払う場合も住民税の特別徴収は必要ですか?
役員報酬を支給する法人は、原則として個人住民税の特別徴収が必要です。代表者が普通徴収で納めている場合は、住民税を課税している市区町村へ切替書類を提出します。
Q. 普通徴収から特別徴収へ切り替えた後、いつから給与天引きを始めますか?
市区町村から特別徴収税額変更通知書が届いた後、通知書に記載された開始月と月割額で天引きを始めます。通知前に会社が独自に税額を計算して徴収してはいけません。
Q. 住民税の特別徴収に関する書類はどの市区町村へ提出しますか?
通常は会社所在地ではなく、対象者のその年の1月1日時点の住所地にある市区町村へ提出します。現住所と異なる場合や複数の自治体に対象者がいる場合は、提出先を個別に確認してください。
Q. 住民税の納期の特例を利用すると、給与からの天引きも年2回になりますか?
納期の特例で年2回になるのは、会社から市区町村への納入です。役員・従業員の給与からの天引きは毎月行う必要があり、利用には市区町村ごとの申請と承認が必要です。
Q. 従業員が退職した場合、住民税の特別徴収はどう処理しますか?
原則として異動が生じた月の翌月10日までに、給与所得者異動届出書を提出します。退職時期などにより一括徴収または普通徴収への切替となり、1月から4月までの退職は原則として残税額の一括徴収が必要です。判断に迷う場合は課税する市区町村や税理士へ確認してください。
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- さらに会社設立してからも一気通貫で支援
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

