2025.06.13
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YouTuberも確定申告が必要!脱税で告発された場合のリスクと注意点

読了目安時間:約 7分

YouTubeで動画配信をする人を指すYouTuberという言葉も一般的となりました。YouTuberは子どもがなりたい職業にもランクインするなど、YouTuberは社会において身近な存在となっています。自分で動画を作成しYouTubeで公開すると、自身の考えや作品を世界中に配信することが可能です。さらに動画の再生回数が上がれば、その分、収益も上がるため、コロナ禍をきっかけにYouTubeの利用者も、YouTuberとして活動する人も増加したと言われています。

YouTuberが一般化する中で、また別の課題も見えてきました。YouTuberの中にはYouTubeの収入を申告せず、税金を納めない、脱税行為をする人が見られるようになってきたのです。

今回は、YouTuberの脱税リスクや確定申告時の注意点などについてご説明します。

 

Youtubeでも様々な内容を解説しています!Youtube

YouTuberの脱税をめぐる報道

YouTuberが脱税によって告発されたというニュースを目にする機会も増えています。

 

脱税したYouTuberに約700万円の追徴課税

2023年には、YouTuberの男性に関する脱税がニュースとなっています。このYouTuberは、YouTubeへの動画投稿で3,600万円もの収入を得ていたにも関わらず、確定申告をしていなかったというのです。関東信越国税局では、最も税率の重い重加算税を含む約700万円の追徴課税を行ったといいます。

YouTuberは当初、確定申告が必要なことを知らなかったという旨の説明をしていました。しかし、調査を進めた結果、実は、税務調査を受けたときにはどんな対応をすべきかを説明する動画を見ていたことが発覚したのです。動画を視聴していたという事実から、確定申告が必要なことを知らなかったという説明は、虚偽の発言であったことが明らかになります。

 

YouTubeチャンネルを運営する法人の脱税

2025年4月には、複数のYouTubeチャンネルを運営する法人に対し税務調査が実施されました。この法人は、法人税と地方法人税を合わせ、約2,900万円を脱税したとして告発されています。

YouTuberは個人だけではありません。法人としてYouTuberチャンネルを運営した場合も、YouTubeで得た収入について申告しなければならないのです。

 

YouTubebの収入の仕組み

YouTuberはYouTubeで収入を得ています。では、YouTubeでは動画を作成・公開することで、どのように収入を得られるのでしょうか。YouTubeの収入の仕組みからご説明します。

 

YouTubeの3つの収入

YouTubeの収入は、大きく分けて広告収入、投げ銭などによる収入、企業タイアップ案件による収入の3つに分けることができます。

 

YouTubeの広告収入

YouTubeでは、動画が再生される際に広告が表示されますが、動画での広告の再生回数に応じて、YouTuberには広告料が支払われます。ただし、動画をアップロードしただけで、自動的に収益化がなされるわけではありません。広告収入を得るためには、収益を受け取る設定にし、YouTubeパートナープログラムに同意後、Googleアドセンスアカウントを作成する必要があります。

YouTubeパートナープログラムに参加するためには、チャンネル登録数が1,000名以上で過去1年間の動画再生時間が4,000時間以上という条件をクリアしなければなりません。そのため、YouTuberは視聴者にウケるコンテンツを作成し、チャンネル登録者を増やし、動画配信時間を延ばそうとしているのです。

 

投げ銭などによる収入

投げ銭は、ライブ配信などをする際に視聴者が配信者に対して金銭やギフトなどを贈るシステムのことです。YouTubeでは、スーパーチャットやスーパーステッカーズという機能があります。視聴者が料金を支払うことで、自身のコメントを目立たせたり、ポップアップ表示されるアニメーションメッセージを送ることができます。この時の課金の一部は、YouTuberの収入となります。また、ライブ以外の動画においてもスーパーサンクスと呼ばれる機能があり、課金に応じてデザインの異なるメッセージが送れるようになります。このスーパーサンクスもYouTuberの収入の一つです。

 

企業タイアップ案件による収入

チャンネル登録者数が多い知名度の高いYouTuberになると、企業とタイアップをし、収入を得るケースが出てきます。特定の企業と契約を結び、動画の中で商品やサービスを紹介することで報酬を得るというものです。報酬の決定方法や金額は契約ごとに異なりますが、YouTubeを介した広告収入ではないため、手数料が発生せず、報酬は全額YouTuberの収入となります。

 

YouTuberが脱税で告発されるとどうなる?

YouTuberが脱税で告発されるとどのようなリスクが生じるのでしょうか。YouTuberの脱税が発覚するまでの流れや、脱税発覚後のリスクについてご説明します。

 

脱税の疑いがあるYouTuberに対し税務調査が行われる

脱税とは、悪いことであると知りながら、さまざまな方法で税金を少なく見せかけたり、税金を納めなかったりする行為のことです。YouTubeをはじめ、アフィリエイトやフリマアプリ、ネットオークションなど、インターネットを介したビジネスを行う個人の申告漏れが増えています。そのため、近年では、インターネット関連のビジネスで収入を得ている個人への税務調査が進められています。

 

脱税の疑いが強い場合には強制調査が実施される場合もある

税務調査は大きく分けると、任意調査と強制調査の2つに分けることができます。任意調査とは、納税者の協力のもとで実施される税務調査です。任意調査の場合、原則として、税務調査に入る前に税務署から電話が入り、税務調査に入る旨や調査実施日時、調査の対象期間などを伝えられます。この連絡を事前通知と言い、任意調査の場合は、突然調査官がYouTuberのもとを訪れ、税務調査を開始することはありません。

しかし、脱税が疑われる納税者に対して実施される強制調査は、事情が変わってきます。強制調査の場合は、任意調査のように事前通知が行われることはありません。強制調査は、税務署ではなく、国税局査察部の査察官によって実施される強制的な調査です。裁判所の令状を取得した上で実施される調査であり、納税者は強制調査を拒否することはできません。また、強制調査では、査察官は関係する資料などを押収する権限があります。そのため、突然、脱税の疑いがあるYouTuberのもとに査察官が現れ、関係する書類を押収し、強制的に調査が進められることになるのです。

 

重加算税が課される

確定申告に誤りがあり、納税額が少なかった場合には、不足分の税金に加え、過少申告加算税の納税が求められます。また、確定申告の必要性を理解しておらず、無申告の状態であった場合には、無申告加算税が課されます。

過少申告加算税の税率は、不足分の税額の10~15%、無申告加算税の税率は、納税額の15~30%です。それぞれ、不足している税額によって課される税率は変わってきます。

一方、確定申告の必要性があることを理解していながら、故意に所得を隠したり、少なく申告したりする、脱税行為の場合に課される税金は、過少申告加算税や無申告加算税ではありません。脱税の場合には、より税率の重い重加算税が課されるのです。過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は35%、無申告加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は40%となります。

冒頭で、YouTuberの男性の脱税に関するニュースでは、男性は、税務調査の際、確定申告をしなければならないことを知らなかったと発言したとされています。これは、故意に所得を隠したのではなく、知らなかったために確定申告をしなかったと装い、税率の高い重加算税を避けることが目的だったと推測できます。

確定申告をしていない状態で重加算税が課された場合、本来納めるべき税金の140%もの税金を納めなければならなくなってしまうのです。

 

延滞税の納税も求められる

延滞税とは、納税が遅れたことに対するペナルティとして課せられる税金です。延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは2.4%、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以降は8.7%となります。(令和7年の場合)

税率だけで見ると重加算税より低いため、延滞税の負担はそれほど大きくないと思われるかもしれません。しかし、重加算税は不足分の税額に対して課せられる税金であるのに対し、延滞税は、不足分の税額を完納するまで課され続ける性質があります。そのため、納税が遅れれば遅れるほど、延滞税の額は大きくなってしまう点に注意しなければなりません。

脱税をめぐる税務調査が行われる場合、前年分の収入だけを調査されるわけではなく、過去複数年分にわたっての調査がなされます。そのため、長期にわたって確定申告をしてこなかったYouTuberの場合、延滞税の額も高額になる恐れがあるのです。

 

脱税の罪で有罪判決を受ける

YouTuberが脱税の罪で告発され、裁判で所得税法違反の罪などが確定すると、刑事罰が科されます。所得税法違反の場合の刑事罰は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれの併科です。不足分の税額と重加算税、延滞税の納付に加え、刑事罰の罰金まで支払いが求められるとなると、その負担額は高額になります。場合によっては、すぐには準備できない金額になる可能性もあるでしょう。また、執行猶予付きの判決が下された場合であっても、<strong>一度脱税を犯すと前科が付くことになってしまいます。

さらに、金額の大きいYouTuberの脱税となると、ニュースで報道される可能性も高くなります。YouTuberの脱税が報道されれば、視聴者からの信頼が失われ、チャンネル登録者が激減する恐れが高くなります。また、脱税をしたYouTuberは、YouTube側からもポリシーに違反したとしてコンテンツ削除やアカウント停止の処分を受ける可能性も出てきます。その場合、YouTuberとして収益を上げることは難しくなるでしょう。

 

YouTuberが脱税を避けるための注意点

会社に所属せず、個人でYouTuber活動をしている場合は、次のような条件に該当する場合、確定申告が必要です。確定申告や納税を怠ると、脱税につながる可能性があるため注意しましょう。

 

職業YouTuberは年間48万円以上の所得がある場合、確定申告が必要

職業としてYouTuberをしている人の場合は、1年間に48万円の所得を得ている場合、確定申告が必要です。所得とは、収入から経費を差し引いた金額のことであり、動画の撮影にかかった交通費や通信費、編集ソフトの購入代金などは経費として差し引くことができます。YouTubeの動画配信によって得られた広告収入や投げ銭収入などをすべて合計した額から必要経費を差し引いた額が年間48万円以上になると、確定申告が必要です。

学生の場合であってもYouTubeで年間48万円以上の所得を得ていれば確定申告が必要になる点に注意しなければなりません。

 

副業YouTuberは年間20万円以上の所得がある場合、確定申告が必要

会社員としての本業を持ち、副業としてYouTuber活動をしている人の場合は、年間20万円以上の所得を得ている場合、確定申告をしなければなりません。副業YouTuberの所得の計算方法も職業YouTuberの場合と同じです。YouTubeで得た収入をすべて合算した額から動画配信のためにかかった経費を差し引いた額が所得となります。

 

グループでYouTuber活動をしている場合

個人としてYouTuber活動をしているのではなく、グループとしてYouTubeの動画配信をしているケースも少なくないでしょう。グループYouTuberとして活動している場合は、代表者が一括して収入を受け取り、その後、メンバーの中で役割などをもとに収入を分配するケースが一般的です。その場合、各メンバーが受け取った所得額が年間48万円を超える場合、それぞれが確定申告を行う必要があります。また、副業としてYouTuber活動をしている場合は、職業YouTuber活動と同様、年間20万円以上の所得を得ている場合に確定申告が必要です。

 

確定申告の期間内に申告をする必要がある

確定申告は毎年2月16日から3月15日までと期間が決められています。この期間に前年の1月1日から12月31日までの所得を計算し、確定申告書を作成して納税をしなければなりません。確定申告の期間内に確定申告ができなかった場合、期限後申告という扱いになってしまうため注意が必要です。

確定申告書は、紙で作成する方法のほか、インターネット上で作成することもできます。また、管轄の税務署に持参するか郵送する方法のほか、e-Taxによってオンライン上で申請することも可能です。

 

まとめ

YouTuberが確定申告をせずに税務調査の対象となり、脱税の罪で告発されるニュースを耳にする機会が増えています。YouTubeの配信によって一定以上の所得を得ている場合、確定申告をし、納税をしなければなりません。YouTuberに脱税の容疑がかけられた場合、税率の重い重加算税や延滞税の納税が求められ、本来よりも多額の税金の納付が求められる可能性があります。また、裁判で脱税の罪が確定すれば、懲役や罰金刑が課される恐れもあるのです。

職業YouTuberや副業YouTuber、学生YouTuberの場合も一定以上の所得を得ている人は、確定申告が必要です。脱税の罪が確定すれば、前科が付いてしまいます。しっかりとYouTubeでの収入を管理し、正しく確定申告を行うようにしましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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