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税務調査が入る確率は決して高くはありませんが、会社であっても、個人であっても納税の義務がある限り、税務調査の対象になる可能性はあります。そのため、これまでに税務調査を受けたことがない会社経営者の方は、税務調査ではどのようなことが行われるのか、どのようなことが指摘されるのか不安に思うケースもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、会社に対して実施される税務調査の内容や調査の流れ、税務調査で指摘を受けやすい項目などについて解説します。
目次
会社に対して実施される税務調査では、どのようなことが行われるのでしょうか。まずは税務調査の概要から確認していきましょう。
税務調査とは納税者が正しく申告を行い、納税をしているかをチェックする税務署や国税局による調査のことです。会社は、所得に応じて、法人税などの税金を納めなければなりません。法人税などは1年間の課税所得に対して課される税金です。そのため、会社が1年間の益金と損金を算出し、課税所得額を確定しなければ納税額を決定することができず、日本では会社が自ら課税所得額に応じた税金を納付する申告納税制度が採用されています。
申告納税制度の場合、会社が利益や費用、損失などについて申告をするため、申告内容が誤っている可能性もあります。また、意図的に正しくない申告をし、納税額をなんとか低く抑えようとするケースも見られます。そこで、納税者の公平かつ正しい納税を確保するために実施される調査が税務調査です。
会社に対して税務調査を実施する場合、調査対象となる税目は、法人税、消費税、源泉所得税、印紙税です。ただし、消費税の課税事業者でない場合は、消費税についての調査は行われません。対象期間は基本的に3年ですが、申告をしていない場合や何らかの問題が発覚した場合は5年、不正が見られた場合は7年となります。
税務調査では、申告書類の作成に用いた帳簿や請求書、領収書、契約書などの書類、金銭の動きを示すデータ、在庫、資産の状況などを細かくチェックします。
税務調査は大きく「任意調査」と「強制調査」の2つに分けられます。任意調査とは、一般的に税務調査と呼ばれている、税務署の調査官によって実施される調査です。多くの場合、会社が受ける税務調査は任意調査となります。任意調査の場合、原則として会社に対し、税務署から調査に入る旨の連絡があるため、抜き打ちで調査が行われることはありません。
一方、強制調査は税務署ではなく、国税局の査察官によって実施される調査です。任意調査のように事前通知がなされることはなく、査察官が裁判所の令状を持って突然会社を訪れ、強制的に調査を開始します。強制調査は、悪質な仮装・隠蔽行為などによって多額の脱税が疑われる会社や個人に対して実施される税務調査となります。
税務調査の対象となった場合、帳簿や関連書類などを詳しく調査した結果、申告内容に何も問題がなかったときには、そのまま調査が終了します。しかし、何らかの不備を指摘された場合や確定申告を実施していないことが発覚した場合は、正しく申告をし直し、不足分の税額を納めるよう求められます。正しく申告をし直すことを修正申告といいます。
修正申告を行う際には、不足分の税額だけでなく、正しく申告をしなかったことに対するペナルティも科されます。申告をしていなかった場合は無申告加算税、申告した税額が不足した場合には過少申告加算税、源泉所得税を正しく納税していなかった場合は不納付加算税が加算されるのです。また、申告の必要があることを理解していながら申告をしなかった場合や意図的に申告額を過少に装っていた場合などは、より税率の重い重加算税が加算されます。
重加算税の税率は、過少申告加算税、不納付加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%にも上ります。
例えば、会社として十分な利益があったにもかかわらず、不正に利益を低く装い、申告をしていなかった場合は、本来納めるべき税金の1.4倍の納税が求められることになるのです。さらに、納税が遅れたことに対するペナルティである延滞税も課される点に注意が必要です。
納税義務のある会社であれば、企業規模に関わらず、税務調査の対象に選ばれる可能性はあります。しかしながら、税務調査に選ばれる確率には違いがあります。
税務調査の対象に選ばれやすいのは次のような特徴を持つ会社です。
事業規模の大きい会社は、売上や利益も大きくなるため、課される税額も高額になります。もし、申告した内容が誤っていた場合、税額にも大きな影響を与える可能性があるため、事業規模の大きな会社は税務調査に選ばれやすいといえます。
税務調査によって、不足していた税額を多く徴収できれば、正しい納税の推進につながります。そのため、税務署では効率よく未納分の税金を回収できるよう、事業規模の大きい会社を税務調査の対象として選ぶケースが多いのです。
不正が多い業種を営んでいる会社も税務調査の対象に選ばれやすくなります。国税庁では、毎年、不正が多く見られた業種をランキング形式で発表しています。税務署でも、限られた人数の調査官で税務調査を行わなければなりません。そのため、税務調査の成果を上げるため、できるだけ効率よく税務調査を実施しようとします。
不正が多い業種を営む会社を中心に税務調査をすれば、不正が少ない業種を対象に調査を実施するよりも、不正や申告漏れが発覚する可能性が高まるでしょう。そのため、たとえ正しい申告を行っている会社であっても、不正が多い業種を営んでいる場合は税務調査の対象になる可能性が高いといえます。
過去に税務調査を受け、何らかの不正や申告漏れなどを指摘された経験のある会社は、再び税務調査の対象になる可能性があります。税務署では、過去に調査を実施した会社に対し、指摘事項を正しく遵守し、処理をしているかをチェックする目的も含め、再び調査対象に選ぶケースが多いのです。したがって、一度税務調査を受けているから、しばらく税務調査は来ないだろうと安心することはできません。
売上や利益の変動が大きい会社も税務調査の対象になりやすいといえます。特に前年と比べて利益が大幅に下がったり、突然赤字に転落しているような場合、何かしら不正な処理を行っているのではと疑われる可能性が高くなるのです。
例えば、経費として計上できない支出まで経費として計上すれば、利益を圧縮でき、納税額を不正に低く装うことができます。また、反対に、売上の一部を計上しないなどの手段でも利益の圧縮は可能です。そのため、売上や利益が大きく変動している会社は、税務署から目を付けられやすくなるといえます。
会社に対する税務調査が実施される場合、次のような項目について指摘を受けるケースが多いようです。
売上は所得に関わる大きな要素です。税務調査では、会社の売上が正しく計上されているかを詳細にチェックします。まず、売上の計上漏れがないか、契約書や請求書などと照合しながら確認し、計上されていない売上があれば、指摘を受けることとなります。
また、売上の計上時期のずれも会社に対する税務調査では指摘されやすいポイントです。売上は、入金のタイミングではなく、商品を引き渡した時点で計上しなければなりません。期中の取引であっても、入金が翌期になるという理由で翌期に売上を計上した場合、年間の売上額が変わるため、税務調査で指摘を受けやすいのです。
従業員の給与など、人件費も税務調査で指摘されやすいポイントです。出退勤の記録などをチェックしながら、架空の人件費などが計上されていないか、人件費として計上されている額が正しいかについての確認が行われます。
また、損金計上されている役員報酬が損金算入のルールを満たしているかについてもチェックされやすいポイントです。加えて、家族を役員にしている場合は、業務の実態に比べて不当に高額な役員報酬を支払っていないかという点についても、厳しくチェックされることが多くなっています。
棚卸資産は計上漏れが非常に多く、税務調査時にチェックされやすい項目です。また、棚卸資産の評価方法は事前に税務署への届出が必要ですが、届出とは異なる方法で評価をしていたり、届出自体を行っていなかったりというケースも見られます。
税務調査の際には、帳簿上の数と実際の在庫の数、棚卸資産の計上方法、計上時期、廃棄をした場合には廃棄の理由などについて詳しく調査が行われることになるでしょう。
個人事業主とは異なり、会社を営んでいる場合、資本金が1億円以下の法人であれば接待交際費として計上できる金額の上限が設定されています。そのため、上限額以上の接待交際費を支出した場合、上限を超えた部分については経費に計上することができません。このような背景から、会社によっては課税所得を抑えるために、接待交際費を会議費など、別の勘定科目で処理をしているケースが見られます。税務調査の際には、接待交際費が正しく計上されているか、役員などのプライベートな飲食費や遊興費などを経費に計上していないかについて詳細に調査が行われることが多くなっています。
税務調査の対象になり、何らかの指摘を受けた場合、過少申告加算税や不納付加算税、延滞税などのペナルティを科される恐れがあります。また、不正に納税額を低く装った場合は、重加算税が課されたうえで、脱税の罪に問われる可能性もあります。
税務調査で指摘を受けないためには、日頃から次のような対策を施しておくことが大切です。
税務調査の対象になった場合でも、申告内容に問題がなければ、加算税などの納税は求められず、調査はそのまま終了します。そのため、日頃から正しく経理処理をし、誤りのないように決算や申告を行うことが何よりの税務調査対策になるといえます。なんとか税金の負担を逃れようと、独自のルールに基づき、不正な処理をしていた場合、税務署の調査官の目をごまかすことはできません。税務調査時には指摘を受け、追徴課税がなされる恐れが高くなります。正しく申告を行うことこそ、納税額を抑えるうえで何より重要なポイントだといえます。
税務調査時には、帳簿などの資料の提出が求められます。帳簿は、原則として7年間保管しておかなければならず、正しく申告を行っていたとしても、証拠となる書類が保管されていなければ申告内容が正しいことを証明することができません。
帳簿はもちろん、領収書や請求書、納品書、給与台帳、タイムカードの記録などはしっかり保管しておくようにしましょう。
実は、税理士が申告を行っている会社と税理士ではなく、納税者自身が申告をしている会社の場合、前者の方が税務調査の対象となる確率は低くなります。なぜなら、税理士は税の専門家であり、税理士が作成する申告書類に誤りがある可能性は少ないと捉えられるからです。税務調査は、正しく申告していない納税者に対し、正しく申告をすることを促す調査であり、目的を考えても、正しく申告をしている可能性が高い納税者は調査対象に選ばれにくいといえます。
また、税理士の場合は、節税対策についても詳しいため、正しく申告ができるだけでなく、節税効果を得られる可能性もあります。税務調査に対して備えたいと考えている場合は、税理士への相談も検討するとよいでしょう。
会社に対する税務調査には、任意調査と強制調査の2つがあります。一般的に税務調査と呼ばれるものは、税務署の調査官によって実施される任意調査です。任意調査という名称の所以は、納税者の同意を得たうえで実施する調査であるためですが、任意調査といっても納税者が調査を拒否することはできません。
税務調査は、正しく申告をしていない可能性がある会社や個人を調査対象として選ぶ傾向にあります。税務調査で指摘を受ければ、追徴課税がなされるリスクがあるだけでなく、税務調査対応のために業務に支障が生じる恐れもあります。税務調査によるリスクを抑えるためには、税理士への相談も検討しながら、正しく申告を行うことが大切です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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