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家事消費(自家消費)、家事按分とは?税務調査で指摘されやすいポイントを解説!
この記事の監修
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏
(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
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目次
家事消費(自家消費)と家事按分は税務調査で指摘されやすい
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家事消費(自家消費)ってなに?
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家事消費とは?
「家事消費」は、個人事業主に限定された税法上の決まりです。 棚卸資産や事業用に使用している資産などをプライベートで消費した際には、売上に計上しなくてはならないと定められています。 ここでは、商品などをプライベートで消費した場合の処理について具体例をあげながら解説します。家事消費に該当するケース
よくある家事消費のケースを解説します。具体例①:知人へのプレゼント
知人へ商品をプレゼントした場合は、家事消費に該当します。 たとえば、八百屋を営んでいる方が、商品のメロンを知人にプレゼントする場合は、家事消費になります。 また、同じメロンであっても、取引先への贈答や試供品の提供など、収入を得るために必要と判断される場合は、交際費や広告費として必要経費に計上できます。 なお、家事消費は商品などの形があるものに限定されており、サービスの提供は該当しません。 そのため、マッサージ店を営んでいる方が、知人に60分間のマッサージをサービスした場合は、家事消費として売上への計上は不要です。 ただし、サービスに伴い材料等の棚卸資産を消費した場合、棚卸資産の価額に相当する金額は家事消費となるため注意しましょう。具体例②:事業主本人の賄い
飲食業を経営している場合、事業主本人の賄い食も家事消費に該当します。 たとえば、1日1回賄いとして食事している場合は、その食事にかかる費用を営業日数に応じて売上に計上する必要があります。 なお、賄い食の費用は通常、販売価格が決まっていないことが多いため、一般的にはおおよその原価を基に算出されます。 家事消費に計上する金額の算出方法については、この後で詳しく解説します。具体例③:従業員の賄い
従業員への賄い食の提供については経済的な利益の提供となるため、原則、給与と同等の扱いとなり、従業員の所得税の課税対象です。 これを「現物給与」といい、事業主本人の場合と同様に、その食事にかかる費用を営業日数に応じて売上に計上します。 従業員がパートやアルバイト勤務などの場合は、賄い食が給与として課税されることで、配偶者や親の扶養から外れるなどのトラブルがおこる可能性があります。 そのため、給与を扶養の範囲内におさめるなどの事情も考慮したうえで、賄い食の提供を検討する必要があるでしょう。 なお、従業員が食事の価額の半分以上を負担し、事業者の負担額が1か月あたり3,500円以下である場合は、給与として課税されません。家事消費は販売価格の70%を売上にすればいい?
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家事消費の計算方法
家事消費を行った場合、売上には、以下の金額のどちらか高い方の金額を計上します。
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たとえば、以下のようなケースを例に計上する金額の算出方法を解説します。
(例)
- 仕入額 :10,000円
- 販売価額:12,000円
家事消費の仕訳方法
家事消費の仕訳には、一般的に「家事消費等」や「自家消費」などの勘定科目を使用します。 ここでは、先ほど解説した家事消費の具体例ごとに、仕訳の方法を解説します。仕訳例①:知人へのプレゼントや事業主本人の賄い
知人へのプレゼントや事業主本人の賄いを仕訳する場合は、借方には「事業主貸」(生活費などの事業経費以外を支出したときに使用する勘定科目)を使い、以下のように仕訳を行います。
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仕訳例②:従業員の賄い
従業員の賄いは、原則、給与と同等の扱いとなるため、借方は「給与」となります。
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ただし、従業員から賄い代金を徴収している場合は、徴収している金額によって仕訳方法が変わります。
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家事消費の確定申告方法
家事消費がある場合は、確定申告の際に申告書への記載が必要です。青色申告者は、青色申告決算書(一般用)の2枚目にある記載欄に記入します。
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白色申告者の場合は、収支内訳書(一般用)の1枚目にある欄に記入します。
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税務調査で指摘されやすい「家事消費」のポイント
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既に述べたとおり、家事消費は税務調査で指摘されやすいため、以下の点に注意が必要です。
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家事消費は、原則、消費した時点の時価に相当する金額に対して消費税が課税されるため、消費したモノの数量や時価の正確な記録がないと、消費税額を適切に計算することができません。
なお、納税額を計算する際の基準は、下図のとおりです。
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家事按分ってなに?
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家事按分とは?
家事按分とは、経費を一定のルールに従って事業とプライベートに割り振ることをいいます。経費として落とせないプライベートの支出は「家事関連費」といい、所得税法第45条で定められています。 なお、家事按分として事業の経費に計上するためには「この支出は事業に必要なものである」といえるだけの根拠が示せなくてはなりません。 そのためには、事業とプライベートの明確な区別が必要です。家事按分ができるケース
ここでは、家事按分ができるケースを紹介します。具体例①:家賃
事務所やサロン、教室などに自宅を利用している場合は、家賃を家事按分することができます。また、家賃が発生しない持ち家の場合には、住宅の建物部分の減価償却費と固定資産税を家事按分できます。 持ち家の減価償却費の計算方法は、次のとおりです。 平成19年4月1日以降の取得の場合は、建物の取得価額 × 定額法の償却率で計算します。また、平成19年3月31日以前に取得した場合は、旧定額法で計算するため、建物の取得価額 × 90% × 旧定額法の償却率で計算します。 なお、元々、所有した自宅を事業用に使い始めた場合には、転用として取り扱うため、建物の取得価額の算出方法が異なります。それに伴い減価償却費の計算結果も変わりますので、押さえておきましょう。具体例②:光熱費
自宅を事業に利用している場合は、電気料金なども家事按分することができます。 また、美容院やクリーニング店など、事業のためにガスや水道の使用が必要な場合は、ガスや水道代も家事按分が可能です。具体例③:通信費
業務で利用する場合には、携帯電話料金や光回線、モバイルwifiなどの通信費を家事按分できます。具体例④:車両費
保有している自動車やオートバイなどを事業とプライベートの両方で使用する場合は、按分することが可能です。 なお、自動車やオートバイなどの車両購入時の費用だけではなく、関連した以下のような費用も家事按分することができます。- ガソリン代
- 駐車場代
- 高速道路料金
- 車両保険料
- 車検費用
家事按分の割合はどう決める?
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家事按分のルールはあるの?
前述したように、家事按分の割合については明確なルールはありません。 法令上は「業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合」と定められているため、割合の根拠などが明確である必要があります。 ここでは、具体例を用いて按分方法や計算例を紹介します。具体例①:家賃
家賃のおもな按分方法は、次のとおりです。- 事業に使用している部屋の広さの割合で按分する
- 部屋を事業で使用した時間の割合で按分する
実際の計算例は、以下のとおりです。
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具体例②:光熱費
電気料金のおもな按分方法は、次のとおりです。- 事業のために電気を使用する時間(稼働時間)の割合で按分する
- 自宅全体のコンセントの差し込み口と業務で使用しているコンセントの数で按分する
実際の計算例は以下のとおりです。
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具体例③:通信費
通信費のおもな按分方法は、次のとおりです。- 使用日数で按分する
- 使用時間で按分する
実際の計算例は以下のとおりです。
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具体例④:車両費
車両費のおもな按分方法は、次のとおりです。- 走行距離で按分する
- 自動車の使用日数で按分する
実際の計算例は、以下のとおりです。
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いくらまで経費にできるの?
家事按分の割合については明確なルールがないため、経費に計上できる金額に上限はありません。 しかし、事業に必要な支出であるといえるだけの根拠が必要です。そのためには、誰がみても納得できるような「合理的で客観的な基準」に従って按分することが重要です。税務調査で指摘されやすい「家事按分」のポイント
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家事按分を行う際は、以下の点に注意が必要です。
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よくある注意点
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家事消費ではないケース
次のようなケースは、家事消費に該当しません。- 事業用の資産を家族や知人に無料で貸し出しする場合
- 事業用の資産を自宅で保管する場合
家事按分できないケース
次のようなケースは、家事按分はできません。- 事業用とプライベートでの利用割合を明確にできない
- 事業用のプライベートでの使用に時間的な区切りがない
まとめ
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