2025.07.2
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税務調査の対象になりやすい個人や法人の特徴とは?対策や対象となる申告書の例も解説

読了目安時間:約 7分

「自分の申告書は税務調査の対象になっているのか?」と考えることはないでしょうか。

正しく申告しているつもりでも「何か間違っていないか」間違っていなくても「調査の必要があるとみなされていないか」など、このような悩みを抱えている方も多いでしょう。

ここでは、税務調査の概要や種類、調査の対象になりやすい個人・法人の特徴を紹介します。

また、対象となりやすい申告書の例や対象にならない対策なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

すでに税務調査の事前通知が届いている場合は、すぐに税理士法人松本までご相談ください。

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税務調査とは

税務調査とは、個人や企業が申告した内容や納税額が正しいかどうか調べるための調査です。

すべての事業者が対象になるわけではありませんが、個人事業主(フリーランス)、副業している会社員、法人など、すべての方が対象です。

税務調査の対象になりやすい個人と法人の特徴

税務調査の対象となりやすい個人と法人の特徴を紹介します。

売り上げの変動が大きい

個人・法人どちらも、売り上げの変動が大きい場合、税務調査の対象となる場合があります。

事業をしていれば、売り上げの変動が毎年あるのは当たり前ですが、異常な増減が見受けられると、「意図的に売上額を操作しているのではないか」と税務署から疑われやすくなるためです。

売り上げと利益が比例していない

税金は、売り上げから必要経費や各種控除を差し引いた利益に対して課される仕組みです。

そのため、売り上げが大きくても利益が極端に少ない場合、不自然な経費計上や利益の過少申告が疑われる可能性があります。

例えば、売り上げが800万円あるのに、利益が100万円しかない場合、経費の水増しを疑われ、税務調査の対象となりやすくなります。

このように、売り上げと利益が比例していなければ、税務調査により修正申告の可能性が高くなるため、調査対象として選ばれやすくなるでしょう。

事業規模が大きい

事業規模が大きくなるほど、取引件数や金額も増え、税務処理が複雑になります。その分、ミスが発生する確率も高くなるでしょう。

また大規模な事業者は、ひとつの誤りでも多額の納税差額につながることも少なくありません。

そのため、税務署は事業規模が大きい個人や法人を定期的にチェックする傾向にあります。

新しい分野の事業をしている

市場規模が拡大している新しい分野の事業に関しても、税務署は積極的に税務調査しています。

【新しい分野の一例】

  • シェアリングエコノミー(民泊やライドシェアなど)
  • 仮想通貨
  • インフルエンサービジネスなど

これらは、法制度や申告方法が整っておらず、抜け穴を見つけやすい分野であるため、ほかの事業よりも税務署から注目されやすくなります。

売り上げが1,000万円にギリギリ届かない

個人事業主と法人ともに、年間の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となります。

そのため、900万円台のようなギリギリ1,000万円に届かない数字で申告していると、税務署が正しく申告しているのか確かめるために、税務調査をする可能性が高くなります。

ただし、課税売上高が1,000万円未満でも、インボイス制度の適格請求書発行事業者となっている場合はすでに課税事業者なので、関係ありません。

消費税の課税事業者に該当する

消費税の課税事業者は、売り上げにかかる消費税よりも仕入れなどにかかる消費税のほうが多い場合、その差額の還付を受けることができます。

特に還付額が高額になる場合には、不正な申告が行われていないか確認するために、税務署が調査に入ることもあります。

現金取引が中心の事業をしている

現金取引は、銀行のような第三者による取引記録が残らないため、売り上げや経費の数字を改ざんしやすいとされています。

そのため、現金を多く扱う事業者は、税務署から注目されやすく、税務調査の対象になりやすい傾向にあります。

また、現金手渡しの給与支給をしている法人も同じです。架空の従業員を作って不正な経費計上を行っている可能性があるためです。

実際の税務調査では、キャバクラやキャバレー、風俗業、開業医など、現金取引の多い事業者が調査対象の上位に挙がっています。

一定の年数が経っている

帳簿上目立った動きもなく、毎年期限までに申告を済ませていたとしても、起業や開業していれば、誰でも税務調査の対象となる可能性があります。

通常、税務調査は4年から5年に1回程度は行われるものとされています。とはいえ、5年を待たずに税務調査を受ける場合もあれば、10年以上経っても調査の連絡が来ないケースがあるのも事実です。

開業から5年以上が経過していれば、税務調査がやって来る可能性は開業直後よりも高いと考え、備えておきましょう。税務調査の準備をしておきたいとお考えの方は税理士法人松本まで気軽にご連絡ください。

調査対象になりやすい業種に該当している

国税庁は、毎年申告漏れ上位の業種を個人・法人に分けて公開しています。

そのため、申告漏れ上位の業種に該当する場合は、ほかの業種よりも税務調査の対象となる可能性が高くなるので、注意しましょう。

【個人】

業種

1件あたりの申告漏れ所得金額

1

内科医

3,133万円

2

経営コンサルタント

2,035万円

3

ブリーダー

2,006万円

4

歯科医

1,751万円

5

よう接

1,666万円

6

製図設計士

1,600万円

7

施設園芸農業(果樹)

1,506万円

8

システムエンジニア

1,363万円

9

コンテンツ配信

1,336万円

10

ダンプ運送

1,335万円

1位の内科医では、1件あたりの申告漏れ所得が3,133万円、これに対する追徴課税額は296万円でした。一方で、2位の経営コンサルタントは、申告漏れ所得は内科医より少ないものの、追徴課税額は783万円と大きくなっています。

このように、追徴課税の額は単純な申告漏れの金額だけでなく、不正の悪質性や加算税の種類などによって大きく変動します。

そのため、税務署としては、申告漏れが多く、かつペナルティの重い業種を優先的に調査することで、より大きな成果を上げやすくなるため注目されやすくなるでしょう。

【法人】

業種

1件あたりの不正所得金額

1

そのほかの化学工業製造

19919,000

2

化粧品小売

6,9272,000

3

物品賃貸

6,0341,000

4

精密機械器具卸売

5,7768,000

5

映画サービス

4,4014,000

6

採石、砂・砂利採取

4,0898,000

7

広告

4,0470,000

8

そのほかの卸売

3,9882,000

9

外国料理

3,9636,000

10

金属打抜き・プレス加工

3,9360,000

法人は個人と比べて事業規模が違うため、1件あたりの不正所得の金額も格段に高くなる傾向にあります。

さらに、法人の場合は組織的な経理処理が行われているため、不正が長期間にわたって見逃されるケースもあり、結果として追徴課税の金額も高額になることもあるようです。

参照:国税庁|令和5年事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

参照:国税庁|令和5事務年度法人税等の調査事績の概要

無申告状態が続いている

税務調査は、毎年提出している申告書をもとに調べられます。そのため、「申告書を提出しなければ、調査対象になることもないのでは?」と考える方も少なくありません。

申告をしていない無申告の状態は、税務署がもっとも力を入れて調査しているものの一つです。

申告をしていないことが税務署に知られるきっかけは主に3つあります。

  • 銀行の履歴
  • 取引先の調査からの発覚
  • 第三者からのタレコミなど

税務調査から無申告と指摘されると、過去の分の税金を支払うのに加えて、追徴課税というペナルティも課せられます。このように、無申告の場合は、税金を支払うだけでなく、重いペナルティを受けることとなるでしょう。

申告していない過去がある場合は、税務調査に入られる前に自主的に申告すればペナルティも少なく済みます。やり方がわからない場合は、早めに税理士へ相談しましょう。

過去に税務調査の対象となったことがある

過去に税務調査の対象となったことがある方は、税務署のリストに追加されているため、申告内容の誤りや不正がないかを疑われやすくなります。


また、税務署が過去に指摘した事項が改善されているかを確認する必要もあるため、ほかの事業者よりも調査対象になりやすいでしょう。

税務調査種類

税務調査は「任意調査」と「強制調査」の2種類に大きく分けることができます。

任意調査

任意調査とは、税務調査を行うことについて事前に通知を受け、これに同意して調査を受けることです。通常の企業や個人事業主に対して行われる税務調査は、主に任意調査です。

任意調査には、「準備調査」「実地調査」「反面調査」があります。

準備調査とは、税務調査が始まる前に調査対象者の事業を調べ、問題点を絞り込む調査です。

実地調査は、税務調査を行う調査日のことです。実地調査で本格的に書類やデータなどを確認され、申告内容が正しいかどうかの判断が開始されます。

反面調査は、取引先や銀行など事業に関わりのある第三者を対象に調査し、情報収集することです。

なお、任意といっても、調査対象となった納税者は税務調査に協力する義務があり、正当な理由なく拒否すると罰則の対象となります。これは「受忍義務」と呼ばれており、法律で定められているため、注意しましょう。

参照:e-GOV国税通則法第128

強制調査

悪質な脱税行為や架空取引などが強く疑われる場合には、強制調査が実施されます。

強制調査では、事前の通知を受けることなく突然、国税局査察部が自宅や事務所に来て、令状に基づいて書類やパソコンのデータなど調査に必要なものをすべて押収します。

強制調査では、悪質な不正を働いている可能性が高いとみなされているため、証拠隠滅や逃亡などを防ぐ目的で事前通知なく実施されるのが一般的です。

税務調査の対象になりやすい申告書

税務調査の対象となりやすい申告書の内容について解説します。直近の申告内容に次のような点が含まれる場合には、税務調査の対象となる可能性があるので、注意しましょう。

売り上げよりも経費計上が大きくなっている

売り上げよりも経費の伸びが増加している場合「経費の計上が適正か」「経費を水増しして利益が抑えられていないか」と、チェックされやすくなります。

また、税務署では同業者や同程度の規模で営業している他企業のデータなどとも比較できるため、大きく逸脱した数値が出れば、税務調査の対象となる可能性が高くなります。

連続して赤字が続いていても調査対象となる

売り上げが伸びている場合だけでなく、赤字が続いている場合でも、税務調査の対象となることがあります。

赤字の申告書から修正点を指摘したとしても、大幅な黒字へ転じるケースは少ないため、通常は調査対象となりにくいものです。

しかし、何か不正を働いて赤字となっている可能性がある場合には、調査される可能性が高くなります。

税務調査の対象とならないための対策

ここでは、税務調査のリスクをできるだけ減らすための対策を2つ紹介します。

ただし、どれだけ正確に申告を行っていても、事業を継続している限り、一度は税務調査の対象になる可能性があることも理解しておきましょう。

正しく記帳する

帳簿の記録が不正確であったり、申告内容に矛盾や不備が見られる場合、税務署から不信感を持たれ、税務調査の対象となる可能性が高まります。特に売り上げや経費に関する記録が曖昧である場合は、申告の信頼性が低くなります。

そのため、日々の取引については、できるだけ取引が発生した当日中に正確に帳簿へ記帳する習慣をつけることが非常に重要です。あとからまとめて記帳しようとすると、内容の記憶が曖昧になり、ミスや漏れが生じやすくなってしまいます。

さらに、勘定科目の使い方も統一することが重要です。例えば、ある支出を「消耗品費」として処理した月もあれば、別の月には「雑費」として処理しているようなケースでは、経理処理に一貫性がなく、税務署から不自然だと判断される可能性があるためです。

このように、日常的な記帳の正確さと、科目の統一性・一貫性を保つことは、税務調査の対象になるリスクを軽減するうえで、基本かつ非常に効果的な対策といえるでしょう。

税理士に依頼する

税務申告や帳簿管理に不安がある場合は、税務の専門家である税理士に依頼することが非常に効果的な対策です。

税理士は、複雑な税法や制度を正しく理解したうえで、最新の法改正にも対応しながら、適正な処理・申告を行ってくれるため、自分で行うよりも正確性や信頼性が格段に高まります。

特に、法人税や消費税など複数の税目にまたがる申告が必要な法人では、税理士によるチェックを受けたうえでの申告が、誤りや見落としによるリスクの回避につながります。

また、節税対策や会計処理のアドバイスも受けられるため、税金の過不足を未然に防ぐことも可能です。

さらに税理士が作成した申告書には税理士の署名や印が記載されるため、税務署側も信頼性の高い申告書と判断してくれやすくなります。これにより、税務調査の必要性が低い案件となり、調査の対象になりにくくなるでしょう。

税務調査は怖がらずに税理士へ相談して対策を

税務調査では、虚偽や不正な申告をしていない限り、必要以上に怖がる必要はありません。

しかし、過去の申告内容に心配があったり、普段している申告方法が合っているのかわからないなどの不安がある場合は、税務調査対策に強い税理士へ相談することをおすすめします。

税理士法人松本であれば、税務調査に特化したサポートを行っています。税務調査は知識と交渉力が重要なポイントです。弊社は、国税OB10名以上在籍しており、追徴課税ゼロの実績も多数あります。

税務調査や確定申告のみのスポット依頼でも対応可能ですので、一度気軽にご相談ください。

まとめ

税務調査には任意調査と強制調査の2種類があり、税務調査の多くは任意調査となります。

任意調査は誰にでもやって来る可能性があるものの、特定の業種や申告内容によっては、調査対象となりやすい特徴があるのも事実です。

特に、現金取引が多い業種や、売り上げと利益のバランスが不自然な場合、あるいは消費税の還付を受けているケースなどは、税務署の関心を引きやすくなります。

事業を継続している限り、税務調査の対象となる可能性はあるため、突然の税務調査に慌てないよう、日頃から正確な記帳や、税理士による専門的なサポートを受けておくことが重要です。

少しでも現在の申告状況に不安がある方は、気軽に税理士法人松本までご相談ください。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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