メニュー
読了目安時間:約 6分
確定申告を行う際には、1年間の収入額から必要経費を差し引いて所得額を算出します。収入を得るために支出した費用を経費といい、経費を正しく計上すれば、所得額を圧縮できるため節税効果を得られます。
副業解禁が進み、会社員でも副業で雑所得を得る人が増えています。副業で得られる収入は雑所得に該当するケースが多くなりますが、経費を適切に計上していないため、税務調査で指摘を受ける事例も発生しています。では、雑所得について確定申告をする際には、どのような支出を経費として計上できるのでしょうか。
今回は、副業で雑所得を得ている人が把握しておきたい、経費にできる支出や税務調査で指摘を受けやすいポイントなどについて解説します。
目次
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも当てはまらない所得を指します。
具体的には公的年金、非営業用の貸金の利子、副業にかかる所得(原稿料やシェアリングエコノミーにかかる所得など)が該当します。
副業で得られる所得が雑所得になるケースは、次のような場合です。
・アフィリエイトで収入を得ている
・YouTubeなどの動画配信で広告収入を得ている
・安く仕入れた商品をフリマアプリやインターネットオークションで販売している
・空いている時間にデータ入力の仕事を請け負っている
・空いている時間にホームページの制作を請け負っている
・使っていない部屋を民泊として貸してお金を得ている
・車を使っている時間だけ駐車場を貸してお金を得ている
・マッチングサービスを使って休みの日に家事代行の仕事をしている
・マッチングサービスを使って空いている時間にベビーシッターの仕事をしている
・休日に専門分野の講演を行い、講演料を受け取っている
・業界の専門誌などに原稿を書いて原稿料を受け取っている
・FX取引で利益を得ている など
副業をしていても、副業所得が必ず雑所得に該当するわけではありません。例えば、副業であっても、アルバイトやパートをしている場合に得られる所得は給与所得、不動産投資で得ている家賃収入は不動産所得、株式投資の売却益で得た所得は譲渡所得になります。
また、副業であっても、継続して、事業的な規模で行われている活動で得られる所得は雑所得ではなく、事業所得としてみなされるケースがあります。
雑所得の場合は、確定申告をする際に青色申告を選択できませんが、事業所得の場合は青色申告が可能です。また、事業所得は給与所得と損益通算が可能ですが、雑所得には損益通算は認められません。
また、雑所得の場合、事業所得に比べると経費として認められる範囲が狭くなる可能性があります。つまり、事業所得に比べ、税務調査時などには厳しく審査される可能性があるのです。
雑所得で経費として計上できる費用は、雑所得を得るために直接必要になった費用です。雑所得で経費として認められる費用には次のようなものがあります。
雑所得を得るために使用するコピー用紙、インク、ノート、ボールペンなどの文房具や消耗品の購入代金は、経費として計上が可能です。また、動画撮影のために必要となる鏡やライト、ホワイトボード、カメラ、三脚などの物品購入費も経費として扱うことができます。
ただし、1年以上使用できるもので取得価額が10万円を超えるものなどは、固定資産となるため、購入額を経費として計上するのではなく、耐用年数に合わせて減価償却をしなければなりません。
フリマアプリやインターネットオークションで商品を売却し、利益を得ている場合は、商品を発送する際に使用する段ボールや封筒、緩衝材などの梱包材料の購入費用、配送料なども経費に計上することができます。
インターネットを介して仕事を得るクラウドソーシングなどを行っている場合やフリマアプリで売買成立時にかかるシステム利用料も、雑所得を得るために必要な費用として認められます。そのため、システム利用料に関しても経費計上が可能です。
Webサイトの制作を請け負っている場合や入力業務を請け負っている場合などはパソコンが必要です。また、YouTubeの動画配信のために動画編集をするパソコンが必要になる場合もあるでしょう。さらに、Webサイト制作に必要なソフトや動画編集ソフトなどの購入費用が発生することもあります。
パソコンやソフトの購入費用は経費に計上することが可能です。しかし、雑所得を得るためだけに使用しているパソコンやソフトであれば全額を経費に計上できますが、プライベートでも使用している場合は、全額を経費に計上することはできません。その場合は、家事按分を行い、雑所得を得るために使用している分のみを経費として計上します。
フリマアプリで出品する場合や動画配信をする場合、FX取引を行う場合なども、インターネット通信が必要です。そのため、雑所得を得るために使用したインターネット回線の費用やスマートフォンの料金は経費に計上することができます。
ただし、雑所得を得るためだけにインターネット回線を準備したり、雑所得を得るためだけの専用のスマートフォンを用意している場合であれば、インターネット回線費用やスマートフォンの料金は全額経費に計上できます。しかし、プライベートでも使用しているスマートフォンで副業をしている場合や自宅のインターネット回線をプライベートでも使用している場合は、雑所得を得るために使用した分のみを経費に計上しなければなりません。
動画配信の撮影をするためだけに賃貸マンションを借りている場合などは、雑所得を得るために必要になった費用であるため、家賃を経費に計上することができます。
しかし、副業の場合は、自宅を使ってプログラミングをしたり、Webサイトの制作をするケースも少なくないでしょう。雑所得を得るために専用の部屋を用意している場合などは、面積に応じた家賃の額のみを経費に計上することは可能ですが、家賃の全額を経費にすることはできません。
副業で料理教室を不定期に開催している場合やお菓子やパンなどを作り、販売している場合などは、水道やガス、電気代などがかかります。また、動画撮影や編集、Webサイトの制作、データ入力などパソコンを使った作業をしている場合も、電気代がかかるでしょう。
雑所得を得るためにかかった水道光熱費は、経費計上が可能です。例えば、料理教室のために専用の部屋を借りている場合などは、その部屋でかかった水道代、電気代、ガス代は全額経費にできます。しかし、自宅の一部を使用して作業を行っている場合などは、作業時間の割合や専用の部屋の面積の割合に応じ、雑所得を得るために使用した水道光熱費分のみを経費に計上する必要があります。
Webサイトの制作を請け負う場合、クライアントとの打ち合わせにクライアントの事務所を訪れる場合もあるでしょう。また、動画撮影のために撮影場所まで移動するケース、家事代行サービスを提供するためにクライアントの自宅まで移動するケースなどもあります。雑所得を得るために移動が必要となった場合、移動にかかった交通費は経費として扱うことが可能です。また、遠方のクライアントとの打ち合わせなどで、宿泊を伴う移動が発生した場合は、宿泊費も経費に計上することができます。
講演会を行う際や原稿を書く際、新たな技術を取り入れてプログラミングを行う場合など、知識向上に向け、書籍を購入し、学ぶケースもあるでしょう。雑所得を得るために必要となった書籍の購入代金は、経費として認められます。また、書籍購入代だけでなく、セミナーに参加した場合のセミナー参加費用も経費計上が可能です。
所得税は、収入から経費を差し引いた所得額に税率を乗ずることで算出します。所得税の課税対象となる所得額が小さくなれば、所得税の額も低く抑えることが可能です。
副業をする目的は人それぞれですが、多くの人は、副業によって収入が増えることを期待しているのではないでしょうか。経費を多く計上すれば、所得額を圧縮できるため、納める所得税額が低くなります。そのため、中には雑所得の経費を不正に多く計上し、税務調査で指摘を受ける例が見られます。
では、税務調査時に雑所得を得ている人が経費関連で指摘を受けやすいのはどのような点なのでしょうか。雑所得の経費にまつわる注意点をご紹介します。
雑所得の額がそれほど多くないにもかかわらず、経費として計上している額が多すぎる場合、不正に経費を水増しし、所得を少なく見せかけているのではと疑われ、税務調査が入る可能性が高くなります。
経費の額が必要以上に多い場合であっても、実際に、雑所得を得るために必要な支出であったのであれば、税務調査の対象となっても、領収書などで支出の内容を証明すれば、問題になることはありません。しかし、売上に比べて支出の額が多すぎる場合、経費の水増しが疑われ、税務調査の対象に選ばれる確率は高まることを覚えておきましょう。
税務調査では、申告内容が適正であるかを調べるために、経費の内容を詳しくチェックします。経費として計上されている支出の中に、雑所得を得るためには直接関係のない費用が含まれている場合、経費計上が否認されます。
例えば、プライベートの飲食代を接待飲食費、プライベートで着用しているアクセサリーの購入代、家族旅行の費用などは、経費に計上することはできません。
そのほか、宿泊を伴う移動があった場合、宿泊費用については経費に計上できますが、食事代は経費にはなりません。また、クライアントのために購入した手土産代は経費として計上できますが、家族への土産代は、当然、雑所得を得るためには必要のない支出です。そのため、家族への土産代などを経費に計上している場合も税務調査時には否認されます。
事業的な規模で何らかの活動をしている場合、事業専用の部屋を借りることもあるでしょう。また、自宅の1室を事業専用の部屋として利用することもあるかもしれません。しかし、副業としての活動の場合、本業があるために副業にかけることができる時間はそれほど多くないはずです。
実際には、土日の数時間しか雑所得を得るための活動をしていないにも関わらず、家賃の8割以上を経費に計上している場合や水道光熱費の5割以上を経費として計上している場合などは、税務調査時に指摘を受けやすくなります。
家事按分をする場合は、適正な比率で計上しなければなりません。例えば、Webサイトの制作を請け負っている場合、作業に充てられる時間は1日に2時間程度と仮定します。この場合、雑所得を得るために使用している時間数は2/24時間だけです。したがって、家賃が10万円だとした場合、経費に計上できる額は8,300円程度となります。
経費として計上する支出は、原則として支出の証明となる領収書が必要です。領収書がないにもかかわらず、経費として計上されている金額がある場合、本当に事業のために必要だった費用なのか、計上されている金額が正しい額であるのかを判別することができません。
そのため、税務調査時には領収書がない費用については、経費計上が否認される可能性が高くなります。
ただし、領収書はないもののレシートやクレジットカードの明細書など、支払いの事実を証明できる書類がある場合は、領収書の代わりとして使用することも可能です。また、公共交通機関を使った交通費、取引先に渡した御祝儀や御香典など、領収書を受け取ることが難しいような支出に関しては、出金伝票を作成することで、領収書の代わりにすることができます。
しかしながら、領収書がなく、出金伝票で経費に計上している額が余りにも多すぎる場合、税務調査時に疑われる可能性が高くなると思っておいた方がよいでしょう。
副業としてクラウドソーシングやフリマアプリでの販売、セミナー活動などで収入を得ている場合、得られる所得は雑所得に該当する可能性が高くなります。得られた収入から雑所得を得るためにかかった経費を差し引くことで、課税対象となる雑所得の額を算出します。
経費をできるだけ多く計上すれば、支払わなければならない所得税の額が減少するため、副業をしている人の中には経費を水増ししている事例が見られます。
税務署では、副業をしている人にも税務調査を実施し、経費を正しく計上しているか厳しくチェックを行っています。税務調査で不正を指摘された場合は、不足分の税金に加え、ペナルティ分の税金の納付も求められます。せっかく副業をしても、税務調査で不正を暴かれ、追徴課税がなされれば、得られる収入は減ってしまいます。
雑所得を得ている場合も、経費は正しく計上することが大切です。
-免責事項-
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
30秒で完了かんたん税務調査リスク診断
←前の記事
雑所得が20万円以下なら確定申告は不要?税務調査の可能性はない?
次の記事→
ふるさと納税にはデメリットもある?注意点や税務調査との関係を解説
あわせて読みたい記事
税務調査
税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!
専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。