2025.01.29
  • 税務調査

税務調査は誰が来る?役職別の特徴と対応のポイントをわかりやすく解説

税務署 誰が来る

税務調査の通知が届いたとき、「誰が来るのだろう?」と不安に思う方は多いでしょう。税務署からと聞くと、身構えてしまうのも仕方ありません。

税務調査は訪れる人の肩書きや役職によって、調査の内容や深刻度が変わります。ですが、具体的にどのような人が来るのか、どう対処すればいいのかわかっていないと、いたずらに不安ばかりが募るものです。

そこで今回は、「税務調査に誰が来るのか」をわかりやすく解説します。税務調査を受ける際に意識したい「対処法」や「税務調査の流れ」も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

税務調査は誰が来るかによって深刻度が変わる

税務署 誰が来る

結論からいえば、税務調査は誰が来るのかによって調査の性質や深刻度が変わります。事前通知を受け取ったら、まずは以下のどの役職に該当するのかを確認しましょう。

  • 事務官
  • 国税調査官
  • 上席国税調査官
  • 統括国税調査官
  • 特別国税調査官
  • 国税局の職員

事務官

事務官が税務調査に訪れる場合、調査の深刻度は比較的低いと考えられます。軽微な事案や、経験が浅くてもすぐにわかるような露骨な不正がある事案などに派遣されるためです。一般企業でいうところの新入社員をイメージするとわかりやすいでしょう。

しかし、事務官だからといって甘く見てはいけません。経験が浅いからこそ調査に時間がかかり、長引く可能性が大いにあります。問題にならないよう、税理士に立ち会いを依頼すると良いでしょう。

国税調査官

国税調査官が訪れる場合、調査の内容がより詳細になる傾向にあります。一般企業でいうところの係長クラスで20代後半~30代前半の社員が多く、向上心が盛んなためです。出世欲に満ちています。ある程度の経験や知識もあるので、税理士に立ち会いを依頼するとスムーズに調査を進められるでしょう。

また、国税調査官の税務調査は60代以上の人が来るケースもあります。この場合、定年退職後に再雇用を受けた職員なので、優秀なベテラン職員が来ると認識しておきましょう。

上席国税調査官

上席国税調査官が税務調査に来る場合、調査の深刻度が高いと判断してください。一般企業でいうところの課長補佐クラスなので、対応の難易度が大きく変わります。特に上席国税調査官が複数人で来る場合は、何らかの証拠を掴んでいる可能性があると認識しておきましょう。

納税者だけで対応するのは難しいため、税理士と一緒に事前準備をすることをオススメします。

統括国税調査官

統括国税調査官が来る場合、非常に重大な事案になっている可能性があります。一般職では部長課長クラスなので、優秀な人だけがなれる管理職のためです。普段は調査に出ず、署内で指示をしていますが、部下では対応しきれない事案だと判断されると自ら動きます。一般の管理職と役割は同じです。

基本的に統括国税調査官が来る場合は、税務調査の経験が豊富な税理士と準備してください。経験が不足していると、対応しきれない可能性があります。

また、統括国税調査官が来るといっても、事務官と一緒の場合は警戒しなくて大丈夫です。新人研修の補佐役としてついてきているので、普段通り対応しましょう。

特別国税調査官

特別国税調査官が訪れるケースは、非常に深刻な事案の可能性が高いといえます。大企業や億単位の資産を持つ資産家など、税務調査の規模が大きい場合にのみ対応するためです。

基本的に特別国税調査官が派遣される前には、すでに問題や証拠が把握されています。まず逃げられないので、税理士に相談して判断を仰ぐようにしましょう。

国税局の職員

国税局の職員が来る場合、さらに重大な事案です。調査の規模も大きく、資本金1億円以上の企業を対象に大規模な調査を行います。

特に大企業や外資系企業、多国籍企業は経理処理が複雑になりがちです。調査の難易度も非常に高くなるため、税務署の上部組織である国税局の職員が派遣されるケースがあります。

この場合も他の調査官と同じように、事前に関連書類を揃え税理士のアドバイスを受けて誠実に対応しましょう。

税務調査で誰が来るかは資本金によって変わる

税務署 誰が来る

税務調査で誰が来るかは、国税庁の「税務執行のあらまし」に以下のように記載されています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 資本金1億円未満は税務署が管轄
  • 資本金1億円以上は国税局が管轄

資本金1億円未満は税務署が管轄

税務調査で資本金1億円未満の企業を担当するのは、税務署です。規模が比較的小さい個人や法人には、基本的に税務署に所属する調査官が2名もしくは3名で来ます。

脱税などの後ろめたいことがないのであれば、誠実に対応すれば問題なく終えられるでしょう。不安な場合は税理士に相談するのもオススメです。

資本金1億円以上は国税局が管轄

資本金1億円以上の企業は、国税局が税務調査を担当します。大規模な企業は資産や取引が複雑なので、専門的な知識を持つ職員が必要になるためです。

一般的に国税局の調査の方がキツいとされており、それには以下の理由が関係しています。

  • 調査日数が長い
  • 否認項目が細かい
  • 交渉しても譲ってもらえない
  • 増額更正をためらわない

調査日数が1週間以上と長く、調査内容も非常に細かいため、場当たり的な対応は不可能です。税理士の力を借りて入念に調査の準備をしておきましょう。

税務調査で意識したい対応のポイント

税務署 誰が来る

税務調査を受ける際、意識したいポイントがあります。特に以下の4つはスムーズに進めるために重要です。

  • 誠実に対応する
  • 質問された内容のみ答える
  • 事前に過去7年分の書類を整理しておく
  • 上席国税調査官以上が来る場合は税理士に相談する

誠実に対応する

税務調査では誠実な対応を心がけましょう。不誠実な態度で臨むと、かえって調査が長引く可能性があります。特に調査官は強硬な態度の納税者を多く見ています。その中で誠実な対応をする納税者がいると、それだけで印象が大きく変わるでしょう。

対応といっても難しいものではありません。調査官からの質問には正確に答え、わからなければ正直にわからないと伝えるだけです。調査官に協力的な態度を意識し、スムーズに進められるようにしましょう。

質問された内容のみ答える

税務調査では、質問された内容だけに答えてください。必要以上の情報を伝えると、誤解を生む可能性があるからです。普段の会話でつい本筋とは違う内容まで話してしまう方は、注意しましょう。

例えば取引に対する質問に対して「こういう取引もありました」と不要な補足をすると、別の問題に発展する可能性があります。人によってはやぶ蛇になるなんてこともあるため、注意が必要です。

申告に統一感を持たせるためにも調査官の質問には正確かつ簡潔に答え、無用な混乱を避けるようにしましょう。

事前に過去7年分の書類を整理しておく

税務調査では、過去7年分の書類を整理しておくことをオススメします。一般的に過去3年分の帳簿書類について確認されますが、過去に遡って確認するケースもたまにあるためです。

過去の書類を調査官に求められてから探していると、どうしても時間がかかります。調査が長引く可能性も考えられるため、事前に準備しておいてスムーズに進められるよう整えておきましょう。

上席国税調査官以上が来る場合は税理士に相談する

上席国税調査官以上が訪問する場合は、税理士への相談をオススメします。高度な専門知識が必要な場面が多く、自力での対応が難しいためです。特に顧問税理士のいない個人事業主の方は、税務調査に強い税理士に相談した方が良いでしょう。

上席国税調査官は海千山千を経験しているベテランです。装備もなしに迎え入れては返り討ちにあうだけなので、必ず税理士に相談してください。

税務調査の流れ

税務署 誰が来る

税務調査は流れが決まっています。特に多くの方が経験する任意調査は以下のように進むので、事前に把握しておくと良いでしょう。

  1. 税務署から事前通知が来る
  2. 調査実施日の日程を調整する
  3. 必要書類を揃える
  4. 税務署の指摘に対して回答する
  5. 調査結果を受け取る
  6. 修正申告書を作成して追徴課税を納税する

Step1.税務署から事前通知が来る

税務調査が実施される際は、まず税務署から事前通知が届きます。電話で連絡が来るので、出るようにしましょう。税理士が申告書に税務代理権限証書を添付していた場合、税理士に連絡がいきます。

通知が来ても慌てずに落ち着いて調査を受けるようにしましょう。

Step2.調査実施日の日程を調整する

事前通知を受けた後は、調査実施日の調整をします。仕事やプライベートで忙しい日を避けて調整すると、落ち着いて対応ができるのでオススメです。なお、税理士に立ち会ってもらう場合は、税理士とも日程調整が必要です。

Step3.必要書類を揃える

実施日の日程を調整できたら、次に調査に必要な書類を揃えます。顧問税理士がいる場合は打ち合わせをして、必要な書類や入力の不備・記入漏れを確認しましょう。

まだ、領収書や契約書などをまとめていない場合は、見やすいようにまとめておくことをオススメします。日付別にまとめるだけでも見やすさが大きく異なるので、時間を見つけて揃えていきましょう。

Step4.税務署の指摘に対して回答する

税務調査の当日は、調査官の指摘に対して正確に答えましょう。調査官からの質問や指摘に対して書類や資料を提示し、スムーズに進めるよう意識してください。長いと2日程度かかる場合もあるため、回答の速度と精度が重要になります。

Step5.調査結果を受け取る

税務調査が終わると、調査結果を受け取ります。以下の3つのどれに該当しているかを確認しましょう。

  • 申告是認
  • 修正申告
  • 更正

申告是認は、問題がなかったことを示しています。修正申告は指摘を認めて自分で申告をするようにという通達です。更正は指摘に対して納税者が修正申告をしなかった場合に課せられる課税処分になります。

Step6.修正申告書を作成して追徴課税を納税する

税務調査で申告是認以外の結果になった場合、速やかに修正申告書を作成して追徴課税を納税します。法律に従い、不足分を適正に支払いましょう。

もし納得がいかない場合は、その理由と根拠を明らかにした上で交渉もできます。ただし、交渉は難しいため、事前に税理士へ相談しアドバイスをもらうことをオススメします。

税務調査は誰が来ても過度に恐れる必要はない

税務署 誰が来る

税務調査は誰が来ても、過度に恐れる必要はありません。調査の目的は適正な税務申告ができているかどうかの確認であるため、意図的に脱税などをしていない限り、つつがなく終わります。記録が適切に整理され、法律に沿った運営がされていれば、特に問題はないでしょう。

それでも不安を感じる場合は事前に税理士に相談し、正しい準備をしておくと安心です。冷静に対応すれば調査はスムーズに進行するでしょう。

税務調査で誰が来るかは深刻度次第。不安な方は税理士に相談を

税務署 誰が来る

税務調査で誰が来るかは、調査の深刻度や企業規模によって異なります。個人事業主の場合、事務官と国税調査官のどちらかが一般的です。それ以上の役職となると、企業の規模や疑義によって変わります。

税務調査は、適正な税務申告ができているかどうかの確認をするためのものです。正確にできていれば全く問題ないため、落ち着いて対応しましょう。もし不安な場合は、税務調査に強い税理士に相談して専門的なアドバイスを受けたり、立ち会ってもらったりして、万全な状態で当日を迎えてくださいね。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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