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税制改正大綱で発表された税制の改正法案は、いつ頃適用されるのでしょうか。改正法案の方針が決まるスケジュールや、税制改正大綱を理解する際に押さえるべきポイントについても知っておきたいところです。
この記事では、2026年1月時点での最新情報を基に、税制改正大綱の適用時期やスケジュール、押さえておきたいポイントなどについてわかりやすく解説しています。
目次
税制改正大綱の概要や、税制改正大綱が決まってから改正法案が適用されるまでのスケジュールについて見ていきましょう。
税制改正大綱とは、翌年度以降の税制改正に関する方針がまとめられた文書のことです。経済状況や社会情勢は常に変化しているため、国民の税負担が公平公正であるか、負担が増大していないかなどについて見直す必要があります。
税制改正大綱には、所得税や法人税、消費税、相続税などの各種税金に関する税率や優遇措置、特別控除などの創設や要件見直し、期間の延長や廃止などの原案がまとめられています。
税制改正大綱は、例年12月中旬から下旬にかけて発表されるのが一般的です。12月頃に発表、閣議決定された税制改正大綱は翌年に国会で審議された後成立し、公布されます。
税制改正大綱が閣議決定されるまでは、毎年概ね以下のようなスケジュールで進められます。
8月頃まで:政府税制調査会、有識者などにより、中長期的な税制の方針や審議を検討
8月末まで:各省庁や税理士会、業界団体などが税制改正に関する要望を提出
9~10月:国税は財務省、地方税は総務省によって改正要望をとりまとめ
11~12月:与党税制調査会で税制改正要望を検討後、閣議提出
12月下旬頃:税制改正大綱の閣議提出、決定
政府税制調査会とは、内閣府設置法に基づき、内閣総理大臣から指名された学識者などで構成される、税制のあり方について検討、調査する組織のことを指します。
与党税制調査会は与党メンバーによって構成された税制調査会で、2026年度の税制改正大綱は自民党と維新の会によって共同決定されています。
税制改正大綱の概要については、閣議決定直前に自民党のホームページへ掲載されるほか、一部情報がメディアなどで報道されることもあります。
次に、税制改正大綱で発表された内容がいつ適用されるのか、税制改正が成立するまでのスケジュールについて解説します。
税制改正大綱で示された税制改正の方針には、改正される時期についても示されています。しかし、税制改正大綱が閣議決定された段階では、必ずしも税制改正が成立した訳ではないため、適用される時期については確定していない点に注意が必要です。
12月末頃までに閣議決定された税制改正大綱は、翌年1月より国会で審議され、例年3月末頃までに成立し公布され、定められた時期に適用されます。
とはいえ、税制改正大綱は閣議決定前に十分な検討が行われており、通念上は概ね方針通りに成立するものとされています。
税制改正大綱で示される税制改正の適用時期は、翌年度以降からの適用となっていますが、当年中に終了予定となっている優遇措置の期間延長や緊急の創設が必要と思われる改正などに関しては、当年度から適用されるケースもあります。
12月下旬頃に発表された翌年度の税制改正大綱が成立するまでのスケジュールは概ね以下のようになります。
1~2月頃:税制改正大綱をベースに財務省が国税、総務省が地方税の改正法案を作成し国会へ提出。
3月頃:衆議院、参議院での審議を経て法案成立、公布
4月1日:施行
国会へ提出された法案は1月の通常国会で審議されるのが一般的です。審議された改正法案は3月末頃までに可決、成立し公布され、4月1日施行となるのが通例ですが、経過措置など4月以外の月に適用されるケースもあります。
2026年1月現在、税制改正大綱は2025年12月19日に自民党のホームページで概要が発表され、12月26日に閣議決定されました。
通例であれば1月の通常国会で予算編成と並行して審議され、3月末頃には成立、公布される予定ですが、衆院選解散などの影響がある場合は4月以降となったり、暫定的に予算が編成されたりする可能性もあるでしょう。
2025年度の税制改正大綱スケジュールは以下のようになっていました。
2024年12月20日:自民党・公明党が税制改正大綱を決定
2024年12月26日:閣議決定
2025年3月31日:税制法案可決・成立、公布
2025年4月1日:施行
2025年度も年収の壁などについて審議が難航し、税制改正大綱公表までに完結せず、見直しや修正案の提出を経て衆議院通過、年度内の可決となりました。
2026年度の税制改正法案についても修正案が提出される可能性や、年度内成立が難航する可能性もあります。
最新の税制改正について理解するには、税制改正大綱の内容に加え、法案可決までの最新動向をチェックすることも大切でしょう。
次に、2026年度の税制改正大綱「令和8年度税制改正の大綱」の概要について見ていきましょう。
2025年に閣議決定された2026年度の税制改正大綱で注目するべき内容として、多くの人に関わる「個人所得税」「消費税」「法人税」では、以下のような方針が示されています。
個人所得税:合計所得金額が2,350万円以下となる個人の控除額を4万円引き上げ、所得税及び個人住民税の給与所得控除の最低保障額を現行の65万円から69万円に引き上げます。控除額上乗せの特例も合わせると、いわゆる年収の壁が178万円まで引き上げとなり、法案が成立すると2027年度より適用されます。
住宅ローン控除の拡充や適用期限の延長、中古住宅や子育て世代などへの要件緩和も示されています。
このほか、NISAの対象年齢拡充やひとり親控除の拡充、富裕層への税負担適正化なども盛り込まれています。
法人税:投資計画における年平均投資利益率15%以上等の要件を満たした場合、設備投資費用の一部を即時償却と税額控除の選択適用ができるなど、設備投資促進に関わる特別措置の創設や、AI・量子・バイオなど特定の研究開発費用の一部を税額控除できる「戦略技術領域型」の創設などが示されました。
賃上げ税制について、大企業は2026年3月末で廃止、中小企業は要件や税額を見直して2027年3月末まで維持される方針となっています。
消費税:1万円以下の越境EC貨物に対する消費税課税の見直し、元免税事業者でインボイス登録している事業者への「3割特例」創設と経過措置延長、仕入税額控除の適用期限を延長し、段階的に割合を下げるといった方針が示されています。
このほか、防衛力強化のための所得税率1%引き上げ、関税暫定税率適用期限の延長、エコカー減税の要件見直しと適用期限延長なども、2026年度の税制改正大綱で示されています。
参照:財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」
これらの改正内容は、2026年3~4月頃に成立、公布され施行された後、概ね2027年度より適用開始となります。そのため、2026年度の税制では適用されないものが多い点に注意が必要です。
2026年より適用となる主な改正法案には、以下のようなものが挙げられます。
年収の壁が103万円から160万円へ引き上げられます。2025年分の所得税より基礎控除額が10万円引き上げとなり、合計所得が132万円以下の場合は、恒久的措置として37万円が上乗せとなります。この改正により、扶養基準も103万円から123万円へ引き上げられ、年収160万円まで満額の配偶者特別控除が受けられるようになっています。
2023年度の税制改正大綱により、主に富裕層を対象として2025年に得た金融所得について新たな課税基準が適用されることとなります。エンジェル税制やつみたてNISA、ジュニアNISAなどの税制緩和などもスタートします。
2025年中の入居を対象とした住宅ローン減税や床面積などの要件緩和延長、子育て対応リフォームの特別控除について2025年12月31日分まで延長、退職所得控除の5年ルールを10年へ変更、源泉徴収対象となる年金額を205万円未満へ引き上げなども挙げられます。
現在適用期限が延長となっている主な税制には
・子育て資金、結婚資金の一括贈与非課税(2年延長)
・設備投資の固定資産税軽減措置(2年延長)
・中小企業向け法人税軽減税率、投資促進、経営強化に係る税制(要件見直し2年延長)
などが挙げられます。
そのほか、外国人旅行者を対象とした消費税の免税制度見直し(2026年11月より)など、当年中に施行予定の法案などもあります。
参照:財務省「令和7年度税制改正の大綱」
税制改正大綱の内容や改正点についてチェックする際の注意点について解説します。
税制改正大綱では「方針が示されているがまだ確定していない法案」「改正が確定しているが、喫緊の納税には影響がない法案」「既に施行されており、2026年の申告に影響がある法案」がある点に注意が必要です。
今後改正される予定の税制についても注目することが大切ですが、過去の税制改正大綱で法案が成立し施行されている内容のうち、当年の申告において影響のある改正を理解していないと、適正な申告ができない可能性があります。
税制の改正がいつ適用されるのか、当年中に申告予定の税金に影響があるのかどうかについて正しく理解しておきましょう。
今後改正法案が成立する見込みである税制については、いつ適用となるか、緩和要件や税率などがどのように変わるかを把握し、将来の計画を立てることが大切です。
特に特別措置や緩和要件などについては、厳格化した上で延長されている法案も多くあるため、自身のケースが改正後の要件に該当するかを確認しておきましょう。
今後の税制だけでなく、既に申告・納税済みの年度についても注意が必要です。改正された税制が反映されているか、申告内容に漏れや抜けがないかをチェックしましょう。
そのまま放置していた場合、数年経過して税務調査の連絡が入って指摘を受けると、追徴課税などのペナルティ対象となる可能性があります。
特にこれまで税理士のサポートなどを受けていない場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
「税制改正大綱で適用された税制改正に沿った申告・納税ができているか不安」「今後改正予定の税制について、どのような対策を取ればよいのかわからない」「自分の理解が正しいのか知りたい」といった悩みがある場合は、一度税理士法人松本へご相談ください。
税理士法人松本では国税OBの専門家が多数在籍しており、税制改正大綱に関する悩みや不安を解消するお手伝いが可能です。税務調査の連絡が来てからの相談や無申告の解消、現在依頼中の税理士には相談しにくい内容などにも丁寧に対応いたします。
ご相談予約は全国対応のフリーダイヤルまたはメールフォームのほか、LINEにも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
税制改正大綱は例年12月下旬頃に閣議決定され、翌年の国会で審議された後、3月末頃までに成立、公布されるのが通例となっています。適用される時期については概ね成立した翌年度以降となりますが、当年中に施行されるものもあるため、直近の申告で注意するべき改正点は何なのかについて正しく理解することが大切です。
税制改正は毎年実施されるため、自身にあてはまる内容については、過去の改正内容も含めて注視を続けることが重要となります。
既に申告している年度についても、改正された内容が反映されているかを確認し、不安な場合は専門家のサポートも検討しつつ適正な申告・納税ができるように努めましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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