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税務調査の実地調査とは、税務職員が事業所や自宅などを訪問し、質問や帳簿書類の検査を行う調査です。調査後も追加確認が続く場合があるため、追徴税額が当日に決まるとは限りません。
「何を調べられるのか」「何日かかるのか」と不安になる方も多いでしょう。本記事では、調査対象の選定、事前通知、必要書類、当日の動き、調査後の対応までを時系列で整理します。実際の日数や確認範囲は案件ごとに異なります。
目次
実地調査では、税務職員が法人の事務所・店舗・工場、個人事業主の事業所・自宅などを訪問します。納税者や経理担当者への質問に加え、帳簿、請求書、通帳、電子データなどが検査対象になります。
一般的な実地調査は、質問検査権に基づく任意調査です。ただし「任意」といっても、正当な理由なく質問への回答や帳簿書類の検査を拒否できるという意味ではありません。
電話や文書による申告内容の確認、書類の提出依頼だけで、必ず実地調査になるわけではありません。連絡を受けたときは、税務調査なのか行政指導なのかを担当者に確認することが重要です。
一方、査察調査は国税局査察部が悪質な脱税事件を対象に行う強制調査で、一般的な任意調査とは性質が異なります。本記事では、原則として任意調査として行われる実地調査を扱います。個別の対応に迷う場合は、税務調査に詳しい税理士へ相談しましょう。
税務調査のうち実地調査の対象は、申告書や取引資料などを分析し、確認の必要性が高いと判断された案件から選定されます。特定の条件だけで決まるのではなく、複数の情報を踏まえた総合的な判断です。
税務署は、主に次のような情報を照合・分析します。申告内容だけでなく、税務署が保有する資料や外部から得た情報も判断材料になります。
売上や利益が大きく増減していても、それだけで必ず対象になるわけではありません。一方、資料間の不一致や申告内容に確認すべき点があれば、調査必要度が高いと判断される可能性があります。
現在は、法人・個人の申告データなどを分析するために、AIやデータ分析も活用されています。同業他社と比べた異常値や、複数資料間の不一致などを把握する手段ですが、AIだけで機械的に実地調査が決まるとは限りません。
赤字や小規模であっても、調査対象になる可能性はあります。赤字でも、売上除外や架空経費の疑い、消費税・源泉所得税の確認が必要と判断されることがあるためです。
実地調査の連絡が来ても、直ちに不正を疑われていると断定する必要はありません。ただし、選定理由を自己判断で決めつけず、申告内容に気になる点がある場合は早めに税理士へ相談することが大切です。
税務調査の実地調査では、原則として納税者と税務代理人に、税務署から電話などで日時・場所・対象税目・対象期間等が通知されます。連絡を受けたら、その場で即答せず、通知内容と担当者情報を正確に記録しましょう。
事前通知では、主に次の事項が伝えられます。聞き漏らしがないよう、一覧に沿って確認すると安心です。
税務代理権限証書を提出しており、事前通知を税理士に行うことへの同意が示されている場合は、税理士への通知で足りる扱いになることがあります。不審な電話は所属部署と担当者名を聞き、いったん電話を切って税務署の代表番号から事実確認してください。
事前通知には「必ず何日前まで」という一律の期限はなく、原則として準備できるよう相当の時間的余裕を置いて行われます。入院、葬儀、出張、繁忙期など合理的な事情があれば、日時や場所の変更を相談できます。
一方的に調査を拒否するのではなく、対応可能な代替日を提示して調整することが重要です。日程調整や通知内容に不安がある場合は、早めに税理士へ相談しましょう。
事前通知によって証拠隠し、帳簿の改ざん、調査妨害などのおそれがある場合は、無予告調査となる可能性があります。ただし、飲食業や現金商売であることだけを理由に、必ず無予告になるわけではありません。
突然訪問された場合も、落ち着いて調査官の身分証明書と質問検査章を確認してください。その場での対応が難しい事情があるときは、状況を説明したうえで税理士に相談するのが適切です。
税務調査の実地調査に備え、事前通知で示された対象税目・対象期間ごとに、申告書、帳簿、取引の証拠書類を整理します。帳簿と資料を照合し、不一致や不足があれば、その理由も確認しておきましょう。
法人税・所得税・消費税などの申告書と、その計算根拠となる帳簿・証拠書類を準備します。主な資料は次のとおりです。
会計ソフトは、対象期間のデータを閲覧・出力できる状態にします。電子帳簿、クラウドストレージ、メール、インターネットバンキングも確認対象になり得るため、個人情報や機密情報が混在するときは税理士と対応方法を整理してください。
法人の場合は、役員貸付金・役員借入金の内訳を確認し、法人口座と代表者の個人口座との資金移動について、理由と証拠資料を用意します。私的経費と事業経費が混在していないかも見直しましょう。
調査直前に帳簿や証拠書類を改ざんしてはいけません。資料を紛失している場合は、紛失の経緯と、通帳・取引先発行資料など代替資料の有無を整理します。
申告誤りの可能性があるときは、自己判断で処理せず、修正申告の要否や提出時期を税理士へ相談することが重要です。
税務調査の実地調査は、身分確認と調査範囲の確認から始まり、事業内容のヒアリング、帳簿書類の照合、追加確認事項の整理という順で進むことが基本です。ただし、事業規模や確認内容によって順序や時間は変わります。
調査官の到着後、提示される身分証明書と質問検査章を確認し、氏名・所属を控えます。対象税目、対象期間、調査目的、当日の終了予定時刻も確認し、税理士が立ち会う場合は誰が回答・資料提示を担うか整理します。
事業の沿革、代表者の経歴、業務内容、売上計上までの流れ、主要な取引先・仕入先、現預金の管理方法、経理担当者と会計処理の手順などが質問されやすい項目です。在庫の保管・棚卸方法に加え、必要に応じて店舗、倉庫、工場、金庫なども確認されます。
分からない質問には推測で答えず、資料や担当者に確認してから回答することが大切です。
総勘定元帳から抽出した取引を、請求書、領収書、契約書、通帳などと突き合わせます。帳簿と説明が一致しなければ、取引経緯や入出金の理由について追加質問を受けます。
その日の未確認事項、追加提出資料・提出方法・回答期限を記録します。調査が続く場合は、次回日程と確認事項も調査官と調整します。
「午前はヒアリング、午後は帳簿確認」は一例であり、法令上決められた時間割ではありません。回答や資料提出に不安がある場合は、その場で曖昧に対応せず、税理士へ相談したうえで進めることが適切です。
税務調査の実地調査では、会計データやメールの提出、帳簿書類の留置きを求められる場合があります。慌てて応じるのではなく、対象となる期間・資料・確認事項を明確にしたうえで対応することが大切です。
会計データなどについて、画面表示、印刷、記録媒体へのコピーを求められることがあります。e-Tax、オンラインストレージ、メールなどを利用した提出方法を案内される場合もあります。
取引先の個人情報などが含まれていても、独断で削除・加工すると確認に支障が出る可能性があります。提出範囲に疑問がある場合は、その場で調査官や税理士へ相談してください。
税務署で継続して確認する必要があるときは、納税者の承諾を得て帳簿書類などが留め置かれることがあります。一般的な任意調査では、承諾なく強制的に持ち帰る運用ではありません。
業務に必要な原本の場合は、その事情も伝えましょう。判断に迷う資料があるときは、承諾する前に税理士へ確認するのが安心です。
税務調査の実地調査は、現地確認が1日で終わる場合もあれば、複数日に及ぶ場合もあり、日数は一律ではありません。会社規模、帳簿の保存状況、確認する論点の数によって変わります。
現地での調査終了日と、調査手続き全体の終了日は同じとは限りません。現地確認後も追加資料の提出、税務署内での検討、取引先への確認などが続くことがあります。
調査結果は、申告内容に問題がなかった場合と、誤りを指摘された場合に分かれます。主な違いは次のとおりです。
問題がなければ、「更正決定等をすべきと認められない旨」が原則として書面で通知されます。ただし、今回問題がなかったことが、将来の申告や別年度まで保証するものではありません。
問題となる取引や税務上の判断について説明を受け、納得した場合は修正申告を勧められることがあります。修正申告は、指摘内容と金額を確認してから提出することが重要です。
追加の本税に加え、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、延滞税が発生する可能性があります。現場の実感として、追徴額は「いくらになるか分からない」ことが大きな不安要因ですが、本税・加算税・延滞税に分けて確認すると見通しを立てやすくなります。
修正申告をしない場合、税務署が申告額を訂正する更正などの処分を行うことがあります。処分に不服があれば再調査の請求や審査請求などがありますが、期限や適切な手続きは個別事情で異なるため、早めに税理士へ相談しましょう。
通常の実地調査は任意調査ですが、正当な理由なく質問や帳簿書類の検査を拒否できるという意味ではありません。都合が悪ければ日程や場所の変更を相談し、無予告の場合は身分証明書と質問検査章を確認したうえで税理士へ連絡してください。事業運営や担当者不在などの事情を伝え、独断で拒否せず冷静に調整することが大切です。
税理士の立ち会いは必須ではありませんが、調査範囲の確認や質問への対応、税務上の見解の整理について支援を受けられます。顧問税理士がいなくても、税務調査への対応を依頼できるケースがあります。答えが分からないときは推測せず、質問内容・回答期限・必要資料をメモし、資料を確認して後日回答しましょう。
自宅兼事務所の場合や、自宅に帳簿、在庫、事業用資産がある場合は、調査対象との関連性に応じて確認を求められる可能性があります。確認範囲に疑問があれば、その関連性を確かめ、必要に応じて税理士を通じて対応してください。実地調査を受けても、申告内容に問題がないと判断される場合があり、必ず追徴課税されるわけではありません。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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