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期限後申告 無申告 税務調査 2023.05.19

オンラインを活用した国税庁のリモート税務調査

この記事の監修

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏
(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、対面の機会を抑制するオンライン会議やリモートワークが広がりました。調査時に納税者と対面することから税務調査においても感染拡大を懸念して、コロナ禍では調査数が減少したという事実があります。そのため、国税庁ではオンライン会議システム等を活用したリモート税務調査を実施しています。
今回は、オンラインを活用したリモート税務調査についてご説明します。



オンラインのリモート税務調査とは

国税庁では、2020年10月から納税者の機器と接続環境を利用したリモート税務調査を実施しています。また、2022年10月からは一部の大規模法人を対象とし、国税庁の機器と通信環境を利用したリモート税務調査を試行的に実施しています。


臨場型のリモート税務調査

2020年から実施されたリモート税務調査では、大規模な法人を対象とし、法人のインターネット回線とオンライン会議システムを活用して調査を行っています。また、2021年からは中小規模の法人に対してもセキュリティ保全がされたオンライン会議システムであることを前提にリモート税務調査を開始しています。
納税者側の通信環境を利用して行われているリモート税務調査では、リモートと言いつつも、調査官が法人に赴き、法人側の対象者とは異なる部屋からオンライン会議システムを使って質問等を行うという仕組みになっています。また、対面式の調査で提示が必要となる帳簿等の資料はあらかじめ紙の資料として用意したり、電子的にコピーを用意したりといった方法がとられています。


2022年10月から試行開始したリモート税務調査

2022年10月から試行が開始されたオンラインによるリモート税務調査では、国税庁の機器と通信環境を利用して調査が行われています。これにより、国税局は国税局で、納税者は勤務する法人でオンライン会議システム(Webex)を介して質問や回答などのヒアリングを行うことになります。また、帳簿等のデータに関しては、納税者がオンラインストレージサービスを介して国税局に受け渡しをすることになります。 国税庁の機器・通信環境を利用するこのリモート税務調査の対象は、国税局調査部の特別国税調査官及び沖縄国税事務所長課の調査対象となる一部の大規模法人(資本金40億円以上の法人)に限定されています。
リモート税務調査は、国税局が指定した法人すべてが受けなければならないものではなく、法人側が希望した場合のみ、実施されるものです。リモートによる税務調査を希望する際には、法人側はe-Taxで「リモート調査の実施に関する同意書」を事前に提出しなければなりません。


リモート税務調査では税理士はどうなる?

対面式の税務調査では税理士の立ち会いが認められています。しかし、オンライン会議システムを利用したリモート税務調査では、税理士が立ち会うことはできるが不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
オンラインでのリモート税務調査でも、税理士の立ち会いが可能です。この場合、税理士もリモートで立ち会うことが認められており、税務調査の調査官、法人の担当者、税理士がそれぞれ別の場所から税務調査に対応する事例も出てくるでしょう。


リモート税務調査が本格実施されれば、対面式の税務調査は減る?

現在、オンラインのリモート税務調査が試験的に行われていますが、対象となっているのは一部の大規模法人だけです。今後、リモート税務調査は広く浸透していくのでしょうか。


オンラインによるリモート税務調査のメリット

オンラインでリモート税務調査を受けられれば、調査官が現地に赴く必要がないため、効率的に調査を行えるというメリットがあります。また、企業側も税務調査に対応する人員を削減でき、必要な資料はオンラインストレージサービスを介して提供できることから調査時間を短縮できる可能性があり、双方にメリットがあるといえるでしょう。


リモート税務調査は今後拡大すると予想される

法人税の確定申告もe-Taxの利用が進んでいます。国税庁が発表した「令和3年度における e-Tax の利用状況等について」によると、法人税の申告におけるオンライン(e-Tax)利用率は87.9%にも到達しています。
また、令和3年度の税制改正では、電子帳簿保存法も改正されるなど、さまざまな方面においてDX化が推進されており、今後、オンライン会議システムを利用したリモート税務調査の利用対象者は拡大されると考えられます。


リモート税務調査の増加で対面の調査はなくなる?

後、オンライン会議システムを利用したリモート税務調査は増加すると考えられます。しかしながら、しばらくの間は従来のような調査官が現場を訪れて行われる対面式の税務調査も並行して実施される可能性が高くなります。リモート税務調査では、帳簿や請求書、領収書等のデータはオンラインストレージサービスを介して受け渡しすることになります。つまり、帳簿や請求書等、調査に必要な書類がすべて電子的に保存されている状態でなければ税務調査をオンライン上で進めることはできないのです。日本ではまだ、請求書や領収書などを書面で発行しているケースは少なくありません。これらの書類が紙で存在する法人が少なくない現状では、すべての税務調査をリモートで行うには難しいでしょう。
しかしながら、国税庁では将来的にAIやビッグデータを活用し、申告漏れの可能性が高い納税者を特定して調査を行い、効率的に申告漏れ分の税金の徴収を図りたいという意向を示しています。リモート税務調査の拡大をはじめとし、今後、新たな形での税務調査も行われるようになっていくのは確実だといえるでしょう。



まとめ

新型コロナウィルスの感染拡大による影響から、対面を避けるためにオンライン会議システムを利用したリモート税務調査が開始されました。
現在は、国税庁の機器や通信環境を利用したリモート税務調査は、大企業を対象として試行されていますが、将来的には規模を拡大して行われると考えられます。リモート税務調査であっても対面式の税務調査であっても、調査される内容が変わることはありません。AIやビッグデータを活用した税務調査が行われればさらにチェックの目が厳しくなる可能性もありますが、正しく帳簿を管理し、正しく申告を行っていれば恐れることはありません。リモート税務調査でも税理士の立ち合いは認められています。リモート税務調査を希望しているものの、税務調査にご不安を感じている場合は、税務調査対応経験の豊富な税理士法人松本にご相談ください。



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