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「法人の税務調査ではなにを調べる?」
「法人に税務調査がくる確率は?」
など、法人で税務調査がいつ来るのか不安に感じている事業者の方も多いでしょう。
法人は個人と比べて税務調査の対象となる確率が高く、事業規模が大きくなるにつれて調査されやすくなる特徴があります。
ここでは、税務調査の概要や確率、税務調査の流れなどを紹介します。
この記事を読めば、税務調査の対象になりやすい法人の特徴や税務調査で確認されるポイントがわかるようになるでしょう。
すでに税務調査の事前通知が届いている場合は、税理士法人松本までご連絡ください。
目次
法人の税務調査とは、税務署が法人の所得や消費税などの申告内容が、正しいかどうかを企業の帳簿や記録などを利用して確認する調査です。
調査対象となる法人は、統括官または調査官が選定しています。
調査の結果によっては、課税所得の再計算や追徴税額を課せられる可能性があります。
また、税務上の違反行為がある場合には、罰則が科されることもあるでしょう。
税務調査にかかる日数は、基本的に1~2日です。ただし、大企業や脱税の疑いがある場合など、内容が複雑なケースでは、さらに日数がかかることもあります。
調査結果が出るまでの期間は、一般的に3か月以内に完了することが多いですが、必要に応じて3か月を超える場合もあります。
税務調査の期間については法律上の制限がないため、長期化しても問題ありません。
しかし、税務署の内部ルールでは「原則3か月以内に完了」させることが定められており、実際、その期間内で終わるケースが多い傾向にあります。
法人の税務調査には任意調査と強制調査の2つがあります。そのなかでも、主に実施されるのは任意調査のほうです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
任意調査は、事前に社長や顧問税理士に通知されたうえで実施される税務調査です。そのため、原則として、調査官が突然会社を訪問することはありません。
ただし、飲食業・小売業・美容院・理容院・サービス業など、現金取引が中心の業種では例外的に事前通知なしで調査が行われることがあります。現金取引は、入金や出金の記録が残らず、お金の流れを後追いしにくいため、不正の余地を与えないように抜き打ちで実施されます。
なお、任意だからといって税務調査を断ることはできません。もし不当に任意調査を断った場合は、法律により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。日程の延期や調整は可能なので、税務調査を拒否せずに協力しましょう。
参照:e-Gov|法令検索|国税通則法|第128条
強制調査とは、裁判所の「捜索差押許可状」に基づき、国税庁査察部が事前通知なしに会社を訪れ、強制的に行う税務調査です。調査では、パソコンやスマートフォンなどの電子機器や帳簿・書類など、調査に必要なものが押収されます。
強制調査の対象となるのは、脱税の疑いや売り上げの改ざん、経費の水増しなど悪質かつ多額の申告漏れがあると判断された場合です。
本調査の結果、脱税が発覚すると重加算税に加え、刑事罰が科される可能性もあります。
法人で税務調査の対象となる確率は約1.8%です。個人事業主の場合は1%前後なので、法人のほうが高い確率で税務調査の対象となります。
令和5年度の税務調査の数
59,000件
令和5年度の法人税を申告した企業の数
318万件
参照:国税庁|令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要
参照:国税庁|令和5事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要
一般的な税務調査(任意調査)の流れは、以下のとおりです。
税務署は法人に対し、税務調査の予告を通知します。
通知書(事前通知)では以下の内容が伝えられます。
この際、税務署から指定されている調査日が、仕事でどうしても都合がつかない場合は、別日を希望し、日程を変更することも可能です。顧問税理士に立ち会ってもらうことも可能なので、税理士の日程確認も忘れずに行いましょう。
調査日程が決まったら、調査当日まで資料等の準備を行いましょう。
必要書類をそろえたり、顧問税理士がいる場合は税理士と調査の事前打ち合わせをしたりしましょう。
調査当日、法人は税務署の要求に応じて、依頼された書類や情報を提示または提出します。
法人で求められる書類は主に次のとおりです。
基本的に、直近3期分の調査をされることが一般的ですが、場合によっては5~7期分調査されることもあるので、最低でも5期分は用意しておいたほうが安心でしょう。
税務署の調査官が法人の事業所を訪れ、提出された書類や情報を詳細に確認し、法人の所得や経費、申告が正しいかを確認します。
また、取引の正確性や法的要件を満たしているか、租税回避手段の有無なども調査の対象です。
また、疑わしい項目や不透明な取引について調査官から質問される場合もあります。
税務署は最終的な調査結果を法人または顧問税理士に通知します。
修正申告が不要であれば、税務調査は終了です。
しかし、修正申告が必要であれば、それに応じるか、納得できない場合は税務署と交渉する必要が出てきます。この場合、顧問税理士に相談のうえで話を進めるほうが安心です。
税務調査の事前通知が届いた時点で、契約している税理士がいない場合は、速やかに対応してくれる税理士を探しましょう。税理士が同席してくれるかどうかで、税務調査の進み方や心理的安心度が変わります。
税理士法人松本では、税務調査だけのスポット依頼も引き受けているので、気軽にお問い合わせください。
法人の税務調査は、通常1~2日で実施されます。ここでは、税務調査が2日にわたって行われる場合の一般的な流れを解説します。
税務調査は10~16時の間で行われるのが一般的です。
初日の午前中は、社長や税務担当役員に事業の近況や事前に聞いておく必要がある項目を聞き取りされます。
そのあと、提出した書類の調査が始まり、必要に応じて調査官から質問が入ります。その際、正確に答えられる質問に関しては即答して問題ありません。ただし、少しでも回答に自信がない場合は、その場ですぐに答える必要はないので、待ってもらいましょう。
税務関連の質問であれば税理士が答えても問題ないため、同席してもらうと安心して進められます。
税務調査2日目も初日と同じような流れで進み、調査終了の16時ごろになると、今回の税務調査の総括が行われ、気になった点などが報告されます。
ただし、この日に判断が下されるわけではなく、後日結果が通達されます。
税務調査が入りやすい法人の特徴は、次のとおりです。
税務署は、所得率(所得÷売り上げ)を重要視しています。この所得率が同業他社と比較して低調な法人は、「利益を圧縮して税金をごまかしているのではないか」と疑いの目で見られてしまいます。
そのため、同業他社と比較して所得率が低調な法人は税務調査の対象となりやすいでしょう。
昨年と比較して、売り上げや利益が大幅に変動している法人は、調査対象になりやすい傾向にあります。
黒字に転換したり、利益が大幅に増減したりしている場合は目に付きやすいでしょう。
事業規模が大きい企業の場合、取引件数や金額が多い分、経理処理にミスが発生しやすく、誤りがあった場合の影響も大きくなります。
とくに大企業の場合、一つひとつの金額が大きいため、申告内容に誤りがあると納税額が大きく変わる可能性が高いでしょう。
このような観点から、税務署は事業規模の大きな企業を定期的にチェックしているようです。
消費税の課税事業者で、仕入れにかかる消費税の額のほうが売り上げにかかる消費税より大きい場合、その差額は還付されます。
そのため、高額な還付を受けるケースでは、不正の有無を確認するために税務調査に入るケースも少なくありません。
開業してから3年以上経っている法人は、3年未満の法人と比べて税務調査の対象となりやすい傾向にあります。
これは、事業が軌道に乗り始めるのが3年程度とされていることや、税務調査で過去3期分を調べるのが一般的であるためです。
ただし、開業3年未満でも申告内容に不自然な点が見受けられる場合は、税務調査の対象となることがあります。
あくまでも、開業してから3年は目安として捉えておくとよいでしょう。
国税庁の調査によると、不正発見割合の高い業種上位10位は以下のとおりです。
業種
不正発見割合
1件あたりの不正所得金額
1位
バー・クラブ
59.0%
2,985万1,000円
2位
そのほかの飲食店
42.3%
2,101万1,000円
3位
外国料理
38.8%
3,963万6,000円
4位
土木工事
31.5%
1,625万7,000円
5位
美容
30.8%
2,377万9,000円
6位
一般土木建築工事
29.5%
2,098万1,000円
7位
職別土木建築工事
1,726万6,000円
8位
廃棄物処理
29.2%
1,831万7,000円
9位
船舶
28.8%
3,816万4,000円
10位
そのほかの道路貨物運送
1,632万7,000円
また、不正発見割合は低いものの、1件あたりの不正所得金額が大きな業種も調査対象になりやすい傾向にあります。金額が大きいほど、本来納めるべき税額も多くなるためです。
【不正1件あたりの不正所得金額の大きな10業種】
そのほかの化学工業製造
1億991万9,000円
化粧品小売
6,927万2,000円
物品賃貸
6,034万1,000円
精密機械器具卸売
5,776万8,000円
映画サービス
4,401万4,000円
採石、砂・砂利採取
4,089万8,000円
広告
4,047万0,000円
そのほかの卸売
3,988万2,000円
金属打抜き・プレス加工
3,936万0,000円
参照:国税庁|令和5事務年度法人税等の調査事績の概要
過去に申告漏れなどの指摘を受けた場合、税務署のリストに追加されているため、申告内容の誤りや不正がないかを疑われやすくなります。
税務署が過去に指摘した事項が改善されているかを確認する必要もあるため、調査対象になりやすいでしょう。
税務調査では、一見雑談のように「ここ数年事業の近況はどうですか」「従業員の数はどのくらいですか」など、会社の沿革や業務内容をはじめ、取引先の範囲、役員や従業員についての情報などを聞かれることがあります。
そして、「帳簿や経理業務の管理体制、経理担当者は誰か」「経験年数はどのくらいか」なども質問されます。
仕入れに関しても、「架空の仕入れがないか」「棚卸はされているか」と帳簿や棚卸表も調査対象です。
調査状況によっては取引先へ反面調査などが行われる場合もあります。
そこで、ここでは調査でよく確認されやすい箇所を解説します。
税務調査では、3年ほどの売り上げと経費の比率が比較されます。
例えば、売り上げはあまり増えていないのに、経費率が大きく増えていれば「なにかしら経費が水増しされているのではないか」と疑いをもたれます。
事業が変わっていなければ、経費率がその年によって急激に上下することはあまりありません。
そのため、数値を細かく見て、平均的な伸び率や経費の割合を算出して、大幅にはみ出していないか確認します。
ただし、経費が急激に上がっている理由が、必要な設備投資にお金をかけただけというケースもあります。正当な理由があれば、調査官も納得してくれるため、税務調査できちんと説明できるように整理しておきましょう。
実際に発注していない架空の外注費が計上されていたり、勤務実態がない従業員の給料を計上していたりするケースでは、税務調査で最もチェックされるポイントのひとつです。
架空人件費分の台帳は作成しておらず、給与台帳の合計金額と元帳の給料の金額が一致しないことや、架空の人物分だけ源泉徴収簿がないことで調査官が気づくことがあります。
接待交際費については、本来接待交際費で処理すべき経費をその他の科目で処理していないかを見られます。
法人の接待交際費は一部が経費(損金)にならないため、課税所得を減らす目的で、接待交際費ではない別の科目で処理していることがあるためです。
税務調査は知識と交渉力で結果が大きく変わります。
税理士法人松本は、元税務署長や国税OBが10名以上在籍しており、ほかの税理士事務所と比較すると圧倒的なサポート力が強みです。
【税理士法人松本が選ばれる理由】
有料の初回相談は返金保証付きなので、気軽にご相談いただけます。また、LINEでの無料相談も受け付けています。
税務調査や税務関連でわからないことがありましたら、税理士法人松本を気軽にご利用ください。
法人の税務調査は、所得や消費税などの申告内容や納税額が正しいかどうかを確認するために行われます。
法人の税務調査の対象となる確率は1.8%ですが、所得率が低調している場合や、数字の変動が大きい場合、開業から3年以上経過している場合などは、税務調査の対象となる可能性が高くなります。とくに、不正の多い業種の場合はさらに確率が上がるでしょう。
税務調査では、細かい点も質問されることがあり、受け答えがあいまいになると嘘をついている可能性があると調査官から判断されます。
そのため、調査には税務調査に強い税理士のサポートが欠かせません。現在、顧問税理士がついていない場合は、税務調査のみのスポットで対応してくれる税理士を見つける必要があります。
税理士法人松本は、日本全国で税務調査だけのスポット対応が可能です。ぜひお気軽に電話またはLINEにてご相談ください。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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