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「追徴課税の通知が届いた」
「追徴課税が高すぎて払えない‥‥」
など、追徴課税について不安を抱えている方もいるでしょう。
税務調査で申告漏れやミスなどが発覚した場合、追徴課税の対象となります。場合によっては、一括で支払えないほど多額の税金を請求されるケースも少なくありません。では、追徴課税が支払えない場合はどうなってしまうのでしょうか。
この記事では、追徴課税が払えない場合どうなるのか、税務調査の対象となる事例、支払えない場合の対処法などを解説します。
税務調査や追徴課税の通知がすでに届いている方は、税理士法人松本までご連絡ください。
目次
追徴課税は原則として1か月以内に支払わなければいけません。また、基本的には追徴課税の支払いを免れることはできません。
追徴課税を期日までに支払わず「滞納」の状態を続けていると、最終的に財産が差し押さえられます。
【財産が差し押さえられるまでの流れ】
差し押さえられる財産の例は次のとおりです。
不動産や動産などが差し押さえられた場合、競売によって安価に売却されるため、実際の価値よりも低い価格で処分されてしまうでしょう。
追徴課税を含む税金の支払いは、自己破産しても免責にすることができません。
自己破産は、クレジットカードの支払いや消費者金融からの借金、ローンの返済などを免責にすることができる手続きです。しかし、追徴課税を含む所得税や住民税などの税金は、自己破産をしても免責にできない「非免責債権」であることが法律で定められています。
自己破産した場合、税金以外の支払いを免責にできますが、一定期間はブラックリスト入りするため、新たな借金やローンを組むことができなくなります。借り入れができないことに加えて、多額の追徴課税の支払い義務が残り、請求が無期限に続くため、さらに苦しい状況に陥るかもしれません。
参照:e-Gov 法令検索|破産法253条第1項
追徴課税とは、申告漏れや納税漏れが原因で、本来納めるべき税金を納めていない場合に、追加で課される税金のことです。
追徴課税には以下のものが含まれます。
不足税額は、本来納めるべき税金に対して不足している部分のことを指します。例えば、納税義務が50万円あるにもかかわらず、10万円しか支払っていない場合、不足税額は40万円になります。
延滞税は、税金の納付期限を過ぎた場合に発生する税金で、「利息」をイメージするとわかりやすいでしょう。
不足税額に加えて、延滞税が課せられるので、本来支払うはずだった税額よりも多くなります。
【令和3年1月1日以降の計算方法】
参照:国税庁|延滞税の計算方法
利子税は期日までに税金が支払えず、納税申告書の延長が認められたときだけ課せられる税金です。そのため、追徴課税を受けたすべての人が対象というわけではありません。
参照:財務省|延滞税・利子税・還付加算金について
過少申告加算税とは、申告期限内にきちんと申告はしているものの、申告内容に不備があった場合に課せられる加算税です。不足額に加え、延滞税と過少申告加算税が課せられます。
【修正申告の場合(税務署の指摘を受けて納税者が再申告する場合)】
【更生の場合(修正申告に応じず、税務署が強制的に税額を決定する場合)】
なお、税務調査が入る前に自主的に修正申告を行った場合には、過少申告加算税は課されません。そのため、税務調査の対象となる前に、不備に気付いた時点で申告をすれば、延滞税だけで済む可能性が高くなります。
参照:国税庁|No.2026 確定申告を間違えたとき
無申告加算税は、申告を法定期限内に行わなかった際に課せられる加算税です。
ただし、一定の条件を満たす場合には「免除措置」が適用され、無申告加算税が課されないこともあります。例えば、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告を行った場合や、期限内に申告する意思があったと認められる場合などが該当します。
なお、無申告加算税の課税割合は、期限後に申告を行ったタイミングによって異なるので、以下の表を参考にしてください。
50万円以下
50万円超300万円以下
300万円超
税務署の調査前に自主的に期限後申告(1か月超え)
5%
事前通知後~実地調査前
10%
15%
25%
実地調査後
20%
30%
たとえば「税務調査実施後」に期限後申告をした場合、納付義務額が100万円あるケースの納付額は117万5,000円です。
50万円×15%+50万円×20%=17万5,000円(無申告加算税)
100万円+17万5,000円=117万5,000円
これに加え、延滞税も加算されるため、最終的な納税額は約117万円よりもさらに増えることになります。
参照:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき
不納付加算税とは、源泉徴収した所得税などの国税を、法定の納期限までに納付しなかった場合に課される加算税です。
通常、源泉徴収した所得税は、給与等を支払った月の翌月10日までに納付しなければいけません。ただし、常時雇用している従業員が10人以下の事業者であれば、半年分をまとめて納付できる「納期の特例」を利用することが可能です。
この特例を利用するには、事前に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄の税務署に提出しておく必要があります。
不納付加算税の課税割合は以下のとおりです。
ただし、次の3つのいずれかに当てはまる場合は不納付加算税が免除されます。
重加算税は、追徴課税のなかで最も重いペナルティです。二重帳簿、売り上げの改ざんのような意図的に隠ぺいや仮装した場合に課せられます。
重加算税の課税割合は以下のとおりです。
重加算税には免除措置がないため、最悪の場合、納付すべき税額に対して40%の加算税が課せられます。重加算税に該当する場合は、速やかに税理士に相談し、専門的なアドバイスを受けながら適切に対応することが重要です。対応が遅れると、さらなる追徴課税や差し押さえといったリスクが高まります。
追徴課税の期間は、基本的には過去3年間です。これは、税務調査の対象期間が原則3年と定められているためです。
ただし、一定の条件に該当する場合は、対象期間が5年または7年と長くなることがあります。
このように、過去に不正な申告や重い税務処分を受けていると、より長期間にわたって税務調査および追徴課税の対象となるため、過去の申告内容の正確性が非常に重要となります。
所得税や法人税の税務調査で追徴課税となりやすい事例には、以下のようなケースが挙げられます。
本来申告するべき売り上げなどの申告漏れが税務調査で発覚した場合です。申告漏れを指摘されやすい事例としては
などが挙げられます。
税務調査は所得税や法人税だけでなく、消費税や相続税、印紙税などにおいても申告漏れを疑われる可能性があるため注意が必要です。
接待交際費の水増しや個人的な旅費などの経費計上について、証拠となる資料や説明が不充分な場合に経費と認められず、使途不明金とみなされてしまう場合です。
などは指摘を受けやすいでしょう。
税務申告自体をしていない無申告の状態も、税務調査で発覚すれば追徴課税の対象となります。「申告していないから調べられることはないだろう」と思っていても、税務署では独自のルートやシステムを使い、無申告者をリストアップすることが可能です。
税務調査で申告漏れや経費の水増し、無申告などが判明した場合、延滞税や過少申告加算税、無申告加算税などが追徴課税として課されることとなります。悪質な所得隠しや虚偽申告とみなされた場合、さらに重い重加算税が課せられる場合もあるのです。
追徴課税の支払いは、原則として法定の期日までに一括払いすることとなっています。しかし、どうしても支払えない場合には、状況に応じて以下のような対処法を取ることも可能です。
追徴課税が支払えない場合、事前に申請をすれば「納税の猶予」または「換価の猶予」のどちらかの猶予制度が活用できます。
納税期間を延長し、支払いを待ってもらえる制度です。納税の猶予が認められた場合、1年間の分納が可能となり、猶予期間中の延滞税も減免されます。
ただし、納税の猶予を受けるためには相当の理由が必要となります。
【納税の猶予が認められるケースの一例】
このように、天災や経済的に困窮している場合は納税の猶予が認められる可能性が高くなります。申請の際は、「猶予申請書」と「修正申告書」の両方を提出しましょう。
修正申告によって税額が確定した場合でも、もともとの納付期限から1年以上経っているときは納税の猶予を申請できる場合があるので、お困りの際は税務署または税理士にご相談ください。
参照:国税庁|第2章 納税の猶予
財産の差し押さえや、差し押さえ予定となっている財産の差し押さえを待ってもらえる制度です。換価の猶予が認められた場合、1年間の分納が可能となり、猶予期間中の延滞税も減免されます。
換価の猶予を受けるためには、次の条件を満たしている必要があります。
ただし、猶予制度も原則として担保が必要となりますが、要件によっては担保がなくても申請できる場合もあります。
また、換価の猶予はe-Taxからオンラインで申請することも可能です。自宅から申請手続きができるため、忙しい方や税務署に行くのが難しい方でも手軽に申請できます。
参照:国税庁|G-9 換価の猶予の申請手続
個人は自己破産しても税金が免除されることはありませんが、法人は自己破産手続きが完了すると会社が消滅するため、法人税などの追徴課税を免れることができます。
ただし、合同会社や合資会社などで無限責任を負っている場合や、代表者として納税保証書を発行している場合は支払い義務が残るため注意が必要です。
追徴課税の内容に納得がいかない場合は、不服申立を行うことが可能です。これは個人事業主や個人の納税者でも利用できる正式な手続きです。
修正申告ではなく、不服申立の手続きをすることで、追徴課税の再審査を要求できるようになります。これは、修正申告とは異なり、「課税内容に異議がある」という意思表示となるため、結果として追徴課税が取り消される場合もあります。
不服申立が認められれば、追徴課税が課されることはありません。
手続きの期限は、追徴課税の通知を受けた日の翌日から3か月以内です。
不服申立をする際は、書面の作成が必要になるため、税務の専門家である税理士のアドバイスを受けたほうが安心です。気軽に税理士法人松本までご相談ください。
参照:国税庁|税務署長の処分に不服があるとき
これまで追徴課税を受けた際に活用できる対策方法を紹介しましたが、そもそも追徴課税を受けなければ、余計な税金を支払う必要がなく、時間も無駄にしません。
そこでここでは、追徴課税を受けないためにできる対策方法を2つ解説します。
まずは申告期限を正確に把握しましょう。
上記の申告期限を守るためには、必要な書類の整理や準備を早めに始めることが重要です。期限ギリギリに対応すると、ミスや提出遅れのリスクが高くなります。そのため、余裕をもったスケジュールを組み、計画的な行動がポイントです。
日々の取引をこまめに丁寧に記帳しておくことが、正確な申告への第一歩です。売り上げや経費、支払いなど、資金の動きがあった際は、その日のうちに帳簿へ記録する習慣をつけましょう。記帳を後回しにすると、勘定科目の誤りや記入漏れが起こりやすくなり、追徴課税の原因となります。
記帳の精度を上げることで、申告時にも慌てずに正確な書類を提出でき、税務リスクの低減につながるでしょう。
税理士法人松本には、国税OBが10名以上在籍しており、税務調査の対応に豊富な実績と知見があります。追徴課税を避けるためにも、正確かつ適切な申告書を作成することが重要です。申告や税務調査に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
長期にわたる申告漏れや無申告による脱税では、延滞税に加え無申告加算税や重加算税などのペナルティが課せられるため、追徴額が多額となってしまうケースも少なくありません。追徴課税が払えずに困る前に適正な申告、納税をすることが大切ですが、現在払えずに困っている場合は、税務調査や追徴課税への対応実績が豊富な税理士へ早めに相談しましょう。
税理士法人松本では、税務調査の追徴課税への対応や支払いに困った場合の救済措置など、個別の状況を丁寧にヒアリングしたうえで最適なサポートのご提案が可能です。フリーダイヤルまたはLINEより、お気軽にご連絡ください。
追徴課税は原則一括払いになります。しかし、場合によっては一括で支払うことができないほどの高額になるケースも少なくありません。追徴課税が払えなくても、基本的に支払いを免れることはできず、期日を過ぎてもなお督促状を無視していると、最悪の場合、財産の差し押さえが実行されます。
追徴課税は、無申告や、売り上げの計上漏れ、記帳間違い、計算ミス、使途不明金などが発覚した場合に対象となります。法人の場合は自己破産で支払いを免責できる可能性がありますが、個人の場合は自己破産しても免責にできません。唯一できる対策としては不服申立を行うことです。不服申立はご自身でも可能ですが、税理士のサポートを受けることで、申立書の作成や手続きがよりスムーズかつ的確に行えます。万が一のトラブルを避けるためにも、早い段階から適正な申告、納税や税理士などのプロによるサポートを早めに受けるようにしましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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