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税務調査の調査期間とは?結果が出るまでの期間やスムーズに乗り切るポイントも紹介
この記事の監修
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏
(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。
多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税務調査の目的は、納税者が提出した申告内容が正確かどうかを確認し、不足があれば是正や追加の課税を行う調査のことです。
調査期間は、法人と個人事業主によって異なる場合がありますが、2~3日程度とされています。
本記事では「税務調査の調査期間」について紹介します。
他にも「税務調査の調査結果が出るまでの期間」や「税務調査をスムーズに乗り切るポイント」についても解説していきます。
ぜひこの記事を参考にして、税務調査の調査期間について理解を深めてみてください。
目次
税務調査の調査期間とは?
税務調査の調査期間は、個人事業主と法人で異なる場合が多いですが、一般的には2~3日程度とされています。
個人事業主の場合、1日程度で終わることが多いですが、法人の調査は通常2日ほどかかることが一般的です。
しかし、あくまで一般的な目安に過ぎないので、正確にはケースバイケースになります。
このように、税務調査の調査期間はあくまで参考であり、税務署や国税庁が公式に発表しているものではありません。
税務調査の期間が早く終わるケース
税務調査の期間が早く終るケースについては、以下の2つが挙げられます。
- ミスが少なく整理されている
- 税理士が関与している
それぞれのケースについて解説していきます。
ミスが少なく整理されている
税務調査の期間が早く終るケースとして、書類や帳簿などがミスが少なく整理されていることが挙げられます。
税務調査の期間を早く終わらせるには、事前に通知を受けた段階から準備を進めることが重要です。
具体的には、調査日までに必要な書類を整え、月別に整理してわかりやすい状態にファイルしておきましょう。
また、過去の申告内容を再確認し、曖昧な点があれば説明できるようにしておくことも重要です。
税理士が関与している
税務調査医に税理士が関与していることで、調査がスムーズに進み、早期に終了することが多く見られます。
実際に、税理士のサポートを受けて事前に修正申告を済ませている場合、法人に対する税務調査でも、調査が半日で終わるケースもあります。
また、事前の修正申告が必要かどうかは、状況によっても異なるので、調査に不安がある場合は、税務調査対応を依頼している税理士に事前に相談するのをおすすめします。
税務調査の期間が長くなるケース
税務調査の期間が長くなるケースについては、以下の3つが挙げられます。
- 記帳漏れが多数ある
- 無申告資料が多く残っている
- 不正が疑われている
それぞれのケースについて解説していきます。
記帳漏れが多数ある
税務調査で帳簿や書類を確認した際に、計算ミスや記帳漏れが多数発見された場合、調査が長引くことがあります。
意図的でなくても、科目の誤りや計算の誤りによって過少申告が発生していると、罰則を免れることは難しいのも事実です。
特に、ミスがあまりにも多いと、故意に脱税を図っているのではないかと疑われるリスクもあるので、十分な注意が必要です。
無申告資料が多く残っている
無申告資料が多く残っている場合、税務調査員は書類を一つひとつ丁寧に確認する必要があるので、調査の期間はかなり長引く可能性があります。
資料の確認と並行して質問や回答が繰り返され、途中で新たな疑問点が浮上すれば、さらに指摘が追加されることもあります。
指摘される内容やボリュームによっては、個人を対象とした税務調査であっても、1日では完了しないケースもあります。
不正が疑われている
税務調査で不正が多数疑われる場合、調査する範囲が広がってしまうので、結果として調査にかかる日数が延びてしまうことにつながります。
また、税務調査は事前に通知される任意調査であることが多いですが、既に不正の兆候がある場合は税務調査が長引いてしまう傾向があります。
実際に、調査を進める中で新たな不正が見つかり、当初の予想よりも調査が長引くことも少なくありません。
税務調査の調査結果が出るまでの期間
税務調査では、調査の結果を十分な根拠を持ってまとめる必要があり、追加調査や上司に提出するための報告書作成などで時間がかかってしまうので、調査結果が出るまでにある程度の期間が必要です。
具体的な税務調査の調査結果が出るまでの期間については、以下の2つが挙げられます。
- 原則は3ヶ月以内
- 3ヶ月以上長引くケースもある
それぞれの期間について解説していきます。
原則は3ヶ月以内
国税庁には、税務調査に関して「3カ月ルール」と呼ばれる内部規定があるので、調査結果は原則として3ヶ月以内となります。
法律上、調査をいつまでに完了させるという明確な期限は設けられていませんが、税務署としても調査を無期限に続けることはできません。
万が一、3カ月を超える場合には、調査官の上司である統括官の許可が必要となります。
調査が長引く正当な理由を示す必要があり、詳細な書類作成や手続きを経ることが求められます。
このように、税務調査が長期化することは税務署側にとっても負担であるため、3ヶ月を目安に迅速に進められるのが一般的です。
3ヶ月以上長引くケースもある
調査官の上司が3カ月以上の長期間にわたる調査を許可するケースは、特定の条件が整ったときに限られます。
特定の条件とは、「重要な成果が期待でき、調査の延長が必要であると合理的に判断される案件」に該当すると認められた場合です。
具体的には、以下のような状況が考えられます。
- 重加算税の賦課が見込まれる場合
- 追加で所得の隠ぺいが明らかになる可能性がある場合
- 他の関連する調査が必要と判断される場合
上記の中で、特に頻繁に見られるのは、重加算税の賦課が見込まれるケースです。
重加算税を課すには、納税者が故意に事実を隠ぺいし、脱税を図った証拠を示す必要がありますが、証拠を確実に集めるには、相当な時間をかけて調査を行う必要があります。
また、重加算税を課すことができれば、調査官の業績評価も高まるため、上司としても調査の延長を許可しやすくなる傾向があります。
税務調査の対象期間
税務調査の対象期間は、原則5年分が対象になりますが、実際の調査では、すべての5年間が詳しく調べられるケースは少なく、多くの場合3年間で終了することが一般的です。
しかし、悪質な脱税行為が発見された場合には、調査期間が最大で7年に延長されることがあります。
具体的な税務調査の対象期間については、以下の3つが挙げられます。
- 申告内容に誤りがない場合
- 申告に修正が必要な場合
- 不正行為がある場合
それぞれの対象期間について解説していきます。
申告内容に誤りがない場合
申告に誤りがない場合や経理処理のミスなどがあっても意図的でない場合、多くのケースでは3年間の調査で終わります。
また、もし脱税行為が見つかったとしても、金額が少額であったり、悪質でない場合には、同じく3年以内の調査で完了することが一般的です。
しかし、相続税のように毎年申告する必要がない税金については、法人税とは異なり、5年から10年前までさかのぼって調査される可能性があります。
申告に修正が必要な場合
税務調査において、申告に誤りや修正が見つかった場合には調査期間が5年間に延長される場合があります。
調査期間延長の判断基準は明確ではなく、担当する税務調査官の裁量による部分が大きいとされています。
例えば、誤りが複数あっても金額が少額であれば3年間のままですが、金額が大きい場合や、悪質なミスが1つでも見つかった場合には5年間調査されるケースもあります。
また、無申告の場合は必ず5年間にわたる調査が行われます。
このように、脱税や不正をしていない場合でも、申告にミスがあれば最大5年間の税務調査が実施される可能性があるので注意が必要です。
不正行為がある場合
過去の申告に不正行為があり、税務調査官が「故意かつ悪質な脱税」と判断した場合、調査期間が7年に延長されることがあります。
具体的に以下のような行為が不正行為に該当します。
- 意図的に売上計上の時期を操作する
- 架空の取引で経費を水増しする
- 一部の売上を現金取引として計上しない
- 領収書や請求書を隠し、存在しないことにする
しかし、上記の行為が発覚したからといって必ずしも7年遡って調査されるわけではなく、場合によっては3年で済むケースもあります。
7年調査の対象となるのは、申告漏れが大規模であったり、故意に税務調査官を欺こうとするなど、行為が極めて悪質であると判断された場合です。
税務調査をスムーズに乗り切るポイント
税務調査をスムーズに乗り切るポイントについては、以下の4つが挙げられます。
- 質問には正確に回答する
- 調査対象年度の書類や帳簿を準備する
- 実施調査の前に対策を行う
- 税理士に立ち会いを依頼する
それぞれのポイントについて解説していきます。
質問には正確に回答する
税務調査をスムーズに乗り切るポイントとして、税務官の質問に正確に回答することが挙げられます。
税務調査が行われる際、調査官は申告内容が正確であるかを確認するために、調査対象者に多くの質問をすることがあります。
これらの質問には、誠実かつ正確に対応することが重要です。
万が一、嘘をついたり、調査に非協力的な態度を示したりすると、調査官の信頼を失う可能性があり、調査がさらに厳しくなるリスクがあるのも事実です。
このように、調査官からの質問には慎重に対応するように心掛けましょう。
調査対象年度の書類や帳簿を準備する
税務調査において書類の提出を求められた際、迅速に対応できるように書類を事前に整えておくことで、税務調査をスムーズに乗り切ることにつながります。
通常の税務調査は過去3年から5年分の申告が対象となるので、少なくとも3年分、可能であれば5年分の帳簿や関連書類をすぐに提示できる状態にしておくことが理想的です。
調査当日に帳簿を見つけられないと、税務調査官に対して不信感を抱かせ、調査が長引く要因となる恐れがあります。
実施調査の前に対策を行う
税務調査をスムーズに乗り切るポイントとして、税務調査の実施日までに、申告漏れやミスがないかをしっかり確認して、適切な対応を整えておくことが重要です。
具体的に税務調査前に確認すべきポイントについては、以下が挙げられます。
- 期末の売上や収入の計上時期や方法が正確かどうか
- 個人資産を誤って会社の経費として計上していないか
- 取引内容や金額に誤りがないか
- 3万円以上の領収書に適切な支払先や取引内容の記載があるか
実施調査の前に過少申告や無申告が発覚した場合には、修正申告や期限後申告を行うことで、後に発生するペナルティを軽減することが可能です。
このように、事前の準備によって、税務調査官からの質問に対するポイントを整理し、必要な書類をスムーズに用意することもできます。
税理士に立ち会いを依頼する
税務の専門家である税理士が関与することで、税務調査の進行がスムーズになりやすくなります。
税理士が税務調査に同席することで、調査官の主張に対して専門的な税法の知識を基に対応することができます。
万が一、調査官の判断に誤りや曖昧さがあった場合でも、税理士がいることで、適切な法的根拠に基づいた回答が可能となります。
また、税法の解釈は異なる見解が生じやすいので、税理士がいれば追徴課税や過大な負担を防ぐための重要な役割も挙げられます。
税務調査で不安があれば税理士に相談しよう!
今回は、税務調査の調査期間や税務調査をスムーズに乗り切るポイントを紹介しました。
税務調査の調査期間は、一般的には2〜3日程度とされています。
個人事業主の場合、1日程度で終わることが多いですが、法人の調査は通常2日ほどかかることが一般的です。
また、税務の専門家である税理士が関与することで、税務調査の進行がスムーズになりやすくなったり、調査官の主張に対して専門的な税法の知識を基に対応することができます。
今回の記事を参考にして、税務調査の調査期間について理解を深めて、税務調査で不安があれば税理士に相談しましょう。
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