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事業をしていると法人でも個人事業主でも、税務調査が気になるでしょう。
正しく申告しているはずでも、税務調査が入ると追徴課税があるのではないかと不安になってしまうものです。
誰が税務調査の対象になっても不思議ではありませんが、税務調査に予兆はあるのでしょうか?
明確な予兆があるものではありませんが、税務調査の対象になりやすい事業者の傾向はあります。
税務調査の対象になりやすい法人や個人事業主の特徴をご紹介します。
これらの特徴は当てはまれば必ず税務調査の対象になるものではなく、逆に当てはまらなければ対象にならないというものではありません。
税務調査の傾向としてみていきましょう。
目次
税務調査は多くの場合は事前通知があり、連絡があってから行われます。
調査官が突然訪問して実地調査を行う形は少なく、調査通知や事前通知があります。
順番としては、調査通知の後に事前通知があり、実地調査が行われるという流れになります。
調査通知とは、税務調査の前に行われる電話での通知です。
内容は主に3点で、「実地調査が行われる旨」「調査対象となる税目」「調査期間」についてです。
税務調査を行う旨を納税者に知らせる良心的なお知らせというより、加算税制度の見直しが背景にあります。
確信犯的に脱税をしている場合、「税務調査が来るなら指摘される前に正しく申告しなおそう」という納税者がいます。
税務官に指摘を受けると納税額が大きくなってしまうため、少しでも納税の負担を少なくしようとするのです。
そこで平成28年度の税制改正により、調査通知から税務調査までの間に修正申告を行う場合の税率が以下のように変更されました。
調査通知を受けて実地調査までの期間に修正申告をする場合と、実地調査後に修正申告をする場合では税率が異なります。
調査通知前まで
(10%)
(15%)
(20%)
※カッコ内は加重される部分(過少申告加算税:期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い額を超える部分、無申告加算税:50 万円を超える部分)に対する加算税割合
参照:国税庁|加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし
事前通知とは、調査通知の後に書面等で行われる通知です。
以下のような内容が伝えられますので、実地調査の前に確認しておきましょう。
他にも必要事項が記載されているかもしれませんので、きちんと目を通してください。
事前通知は納税者と顧問税理士の双方に行われますので、顧問税理士がいる場合は実地調査の前に相談をしておきましょう。
税務調査の対象になったら、拒否する、逃げる、という選択肢はありません。
調査を受ける者が調査に協力しなかった場合は、罰則が規定されています。
参照:国税庁|「税務調査を拒む正当な理由について」-調査の必要性と納税者の人権との調和の問題-
ただし病気や怪我といったやむを得ない事情がある場合は、日程の調整ができますので安心してください。
「税務調査は逃げられない!」という文言を見ると不安になってしまうかもしれませんが、正しく申告・納税していれば過度に恐れる必要はありません。
事前調査を受けてから実地調査までの間に、書類などの準備をしておきます。
税務調査がスムーズに進むよう、以下のような内容を確認しておきましょう。
税務調査で必要になると予想できる書類は、事前に準備をしておきましょう。
書類の内容を一通り見直し、指摘されそうな点があれば正確に説明できるようにしておきます。
全ての書類が必ず必要になるわけではありませんが、以下のような書類を準備しておくと提出を求められた時にスムーズです。
税務調査は税理士の立ち合いが認められていますので、事前に税理士と打ち合わせをしておきましょう。
準備しておく書類や、想定される質問の内容と受け答えについて確認しておくと安心です。
もし当日、返答に困るような質問をされたら「調べて後日お答えします」というようにしましょう。
誤った答弁をしないよう、準備をして備えておきます。
納税者が準備した書類を、調査官が持ち帰る場合があります。
手元になくなると困る書類があれば、事前にコピーをとっておくといいでしょう。
持ち帰りを拒否するという選択肢もありますが、書類の持ち帰りは税務調査を早く終わらせて納税者の負担を軽くするという利点もありますので柔軟に対応できるようにしておきましょう。
税務調査は突然行われるものというイメージがあるかもしれませんが、対象になりやすい法人の傾向があります。
以下のような特徴に当てはまる場合は、注意をした方がいいかもしれません。
事業規模が大きい法人は、事業規模が小さい法人と比較すると必然的に納税額が大きくなります。
同じミスをした場合には、事業規模が大きい法人の方が影響が大きくなると考えられますので税務調査の対象になりやすいです。
税務署にとっては注意すべき存在であると認識していますが、正しく申告・納税をしていれば問題ありません。
「事業規模が小さければ税務調査の心配はない」というわけではありません。
過去と比較した時に急激に売上が上がった、または減少したという場合には、その変動の理由を税務署が確認したいと考えます。
「不正な取引はないか」「経理ミスがあるのではないか」という点から、税務調査が行われます。
「なぜ売上や利益の変動があったのか」という理由があれば説明できるようにしておくといいでしょう。
会計記録や帳簿は必ずチェックされますので、正確に記入しておくようにしましょう。
過去の確定申告や税務調査により、申告・納税において不正が多いとされる業種がわかっています。
国税庁の調査によると最も不正が多いのが飲食店であり、中でも焼肉店やラウンジはマークされています。
参照:国税庁|調査の取組状況等
また不正所得金額が大きいのは建売・土地売買とされており、このような業種は言うまでもなく税務署が目を光らせています。
「過去に税務調査を受けた」「追徴課税を払った」という法人は、税務署から不正を疑われやすい状態であるといえます。
正しく納税をするよう心がけていれば問題ありませんが、一度失ってしまった信用を取り戻すのは簡単なものではありません。
「過去の指摘事項を遵守しているのか」という確認の意味もありますので、同じ指摘を受けないようにしなくてはいけません。
もし2度目の税務調査で再度不正を指摘されるようであれば、将来的にもマークされ続けてしまう可能性があります。
税務調査は法人だけのものでなく、個人事業主であっても対象になる場合があります。
個人事業主で税務調査の対象になるのは、以下のような特徴がある人です。
確定申告をしていない、いわゆる無申告の状態である個人事業主は、税務調査の対象になる可能性が高いです。
そもそも「確定申告をしていなければバレようがないのでは?」と考える方がいるかもしれませんが、取引先の税務調査からバレてしまいます。
無申告の税務調査は最大で過去7年分まで遡って行われますので、追徴課税の負担が大きくなります。
毎年正しく確定申告をしておくのは、基本中の基本です。
売上が大きく増加した個人事業主は、その理由を解明しようと税務調査の対象になりやすくなります。
売上が多ければ申告ミスも増加する可能性があります。
税務調査を行う調査官の人数は限られていますので、やはり不正が見つかりやすいと考えられる事業者の方が税務調査に選ばれやすい傾向があります。
近年ビジネス規模が拡大している事業を行っている個人事業主を、積極的に税務調査していく傾向があります。
税務署としてもデータを収集し、分析していく必要があるためです。
新分野ビジネスとは海外投資やインターネット取引が主であり、以下のようなビジネスを指します。
参照:国税庁|令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
これから先に時代が変わっても、新しい分野のビジネスは税務調査の対象になりやすいものであると覚えておきましょう。
売上が1,000万円ギリギリの個人事業主は、消費税逃れを疑われて税務調査が入る可能性があります。
消費税を支払わなくていいように、故意に過少申告がされたのではないかと疑われています。
正しく申告していても売上が1,000万円ギリギリであるという個人事業主の方もいらっしゃるでしょう。
税務調査の対象になる可能性が高いので、顧問税理士をつけるなど対策をしておくと安心です。
キャッシュレス決済が増加している現代ですが、現金のやりとりを日常的に行っている場合は税務調査の対象になりやすいです。
お客様から現金を受け取る飲食店や小売業、美容室などのサービス業が該当します。
現金だとどうしても記録が残りにくいという特徴がありますので、「不正が行われていないか」「架空の領収書が発行されていないか」などの調査が行われます。
税務調査を行う調査官はプロですので、経理に不審な点があるとひっかかってしまうものです。
例えば、「一般的には交際費が少ない業種のはずなのに交際費が多すぎる」「売上に対する経費が多すぎる」というような内容です。
経費を多くして、納税額を少なくしようと不正しているのではないかと疑われてしまいます。
逆に「事業に必要なはずの経費が全くない」という場合も不自然ですので、税務調査が入る可能性があります。
個人事業主の方は顧問税理士をつけずに、ご自身で確定申告を行うという方も少なくないでしょう。
しかし自身で確定申告をするとミスが出やすくなりますので、税務調査の対象になりやすくなります。
確定申告を税理士が行うと税理士が署名押印しますので、一目瞭然です。
税理士が作成した確定申告書は単純な計算ミスなどが起こりにくいと考えられますので、それだけでひとつの信頼となります。
税務調査を受ける納税者の立場としては、「めんどくさい」「疑われているような嫌な気分」「早く終わらせたい」というネガティブな感情が湧き上がってきているかもしれません。
しかし、だからといって非協力的な態度で税務調査を受けてはいけません。
調査官からの質問には、簡潔に事実のみを答えます。
虚偽の答弁や非協力的な態度では、罰則が課される可能性があります。
書類の提出や提示には速やかに応じ、税務調査がスムーズに進行されるよう協力していきましょう。
税務調査は全ての事業者が対象になるものではありませんが、誰が税務調査の対象になっても不思議ではありません。
必ずしも税務調査に予兆があるわけではありません。
しかし税務調査の対象になりやすい事業者の傾向はあります。
税務調査の対象にならないようにするのではなく、税務調査が行われても動じない正確な申告・納税を心がけていきましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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