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メンズエステのセラピストとして働く場合、確定申告について考えておく必要があります。
なぜなら、メンズエステは税務調査が入りやすいと言われており、税務署から指摘を受けると非常に重いペナルティが課される恐れがあるためです。
本記事では、メンズエステにおける確定申告の必要性や税務調査に入りやすい理由について解説します。
また、税務調査で指摘を受けた場合に課される加算税や確定申告の方法についてもご紹介しますので、ぜひこの記事を参考に確定申告や納税に関する知識を身につけましょう。
目次
他の業種よりも稼げるとして人気が高まっているメンズエステの仕事ですが、「メンズエステ」と聞くと、性的なサービスを行う店と思っている方や、美容エステと同じようなものだと思っている方もいるでしょう。
そもそも、メンズエステとはどのようなサービスなのでしょうか。
メンズエステと呼ばれるものには目的別に以下の2種類に分かれます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
一般的なメンズエステは、男性客を対象に行うエステティックサロン、もしくはリラクゼーションサロンを指します。
女性のセラピストが、男性と会話をしながらアロマオイルや泡などを使ったマッサージを行うのが主流で、美容目的というよりは、日頃の疲れを癒してリラックスする目的で利用されるケースが多いです。
特に、神経が集中している「鼠径部」と呼ばれる足の付け根部分を重点的にほぐして下半身のリンパの流れ良くするなど、下半身の施術に力を入れている店が多くなっています。
一般的なメンズエステは風俗店とは異なり、性サービスが提供されることはありません。
メンズエステと呼ばれるものの中には、風俗エステも存在します。
前述したような非風俗エステでは性的なサービスは一切ありませんが、風俗店に該当するメンズエステでは、エステサービスに加えて性的サービスも提供されるのが特徴です。
風俗エステと非風俗エステの見分け方としては、店のホームページに性的サービスを行っているかどうかが明記されています。
無許可で性的サービス等を行ってしまうと、店が摘発されてしまうので注意しましょう。
メンズエステで働くセラピストの中には「確定申告は必要ない」と考えている方もいます。
しかし、一定以上の収入がある場合は確定申告が必要で、多くのセラピストはこの基準を満たしているのです。
ここでは、メンズエステのセラピストで確定申告が必要なケースについて説明していきます。
会社に雇われているサラリーマンやOLの場合、会社が所得税や住民税の支払い手続きを代わりに行うため、個人的に税務調査の対象となることはありません。
しかし、メンズエステで働くセラピストの多くは、社員やアルバイトとして雇用されておらず、個人事業主として仕事をしています。
会社員ではない個人事業主の場合は、自分で確定申告を行う必要があるのです。
また、店と業務委託契約を結び、成果に応じて売上歩合で働くセラピストも個人事業主となります。
メンズエステで働くセラピストが確定申告の対象となるかどうかは、年間所得額と給与体系によって決まります。
確定申告を行う必要がある個人事業主のセラピストは以下の表の通りです。
ここでの所得金額とは、売上から業務に必要な経費を差し引いた額を指します。
税務調査はどの業種でも税務調査の対象となり得ます。
その中でも、メンズエステの店舗やメンズエステで働くセラピストは税務調査が入りやすいと言われていますが、その理由はなぜでしょうか。
ここでは、メンズエステに税務調査が入る理由について説明していきます。
報酬を現金でもらうケースが多いセラピストは、たとえ意図的ではないにしても税務署に脱税を疑われやすいです。
現金取引は銀行口座を介する取引と比べて記録に残りにくく、脱税を行っても証拠が残りづらいのが理由となっています。
また、現金で報酬を受け取る場合は売上を伝票やレジで記録するため、帳簿への記入ミスが発生しやすい点も税務署に疑われやすい理由です。
国税庁が公開する税務調査に関する資料には、申告漏れ所得金額が大きい業種が掲載されています。(参考:国税庁/令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
年度によって多少入れ替わりがあるものの、風俗業は他の業種よりも申告漏れが多いとされています。
毎年税務調査が行える数には限りがあるため、風俗業として営業を行っているメンズエステであれば、税務調査の対象となる可能性が高いです。
自分ではなく、働いているメンズエステ店に税務調査が入ることもあるでしょう。
その際に、税務署はセラピストのリストを提出するように依頼するケースが多くあります。
もしリストが税務署に渡ったら、セラピストに収入があることが分かるため、そこから税務署のデータベースに照会をかけて確定申告されているかを確認し、申告がなかった場合に税務調査の対象となる場合があるのです。
メンズエステのセラピストが確定申告を怠ったり、虚偽の申告をしたりした場合、以下のペナルティやリスクがあります。
それぞれ詳しく説明していきます。
無申告加算税とは、確定申告の期限までに申告がされなかった場合に課される加算税です。
確定申告は毎年2月16日から3月15日の間に行いますが、この期間に確定申告の必要があるにもかかわらず申告をしなかったり、期限後申告をしたりすると、基本的に無申告加算税が課されます。
無申告加算税の課税割合について、2024年1月以前と以後で以下のように税制改正されており、300万円を超える部分に対しては30%に引き上げられています。
過少申告加算税とは、確定申告を期限内に申告して納税したものの、申告納税額が本来納めるべき税額よりも過少であった場合に課される加算税です。
追加納付税額に対して課税され、税率は原則10%ですが、期限内申告税額と50万円のいずれか高い金額を超える部分は15%に増加します。
なお、税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税は課されません。
不納付加算税は、減税所得税の納付が納付期限までに納付しなかった場合に課される加算税です。
原則として、納付すべき所得税の10%の追加納付が必要となりますが、税務署から指摘される前に自主的に納付をしたときには5%に減額されます。
ただし、以下のケースでは不納付加算税は免除されます。
重加算税とは、過少申告加算税や不納付加算税、無申告加算税が課される場合において、内容が仮装隠蔽であるなど悪質だったと判断された際に、その過少申告加算税などに代えて課される加算税です。
重加算税の課税割合は、過少申告加算税・不納付加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%となっています。
延滞税とは、期限までに税金が納付されなかった場合や、期限後申告、修正申告をしたときなどに、ペナルティとして課される税金です。
法定期限の翌日から実際に税金を納付する日までの日数に応じて課税される、利息に相当するものを指します。
延滞税は、納期限の翌日から実際に納付した日までの日数に応じて課税されますが、直近の延滞税の税率として、令和5年1月1日~令和6年12月31日では以下のように定められています。
ペナルティのリスクは加算税や延滞税だけではありません。
悪質な所得隠しと判断された場合、重加算税に加えて刑事罰として10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。
罰金刑に処された場合は前科となってしまい、メンズエステとして営業できなくなる恐れもあるので、注意しましょう。
副業としてメンズエステで働く場合、確定申告をしないと副業バレのリスクも高まります。
副業分で給与が増えると住民税の額が変わり、本業の会社が住民税を毎月の給料から天引きする形の場合、本業の勤め先の経理担当者が疑問に思ってしまう可能性があるのです。
しかし、個人事業主として働くセラピストの場合、給与所得ではなく事業所得となるため、確定申告の際に住民税の徴収仕方を「特別徴収」から「普通徴収」に変更できます。
そうすると、副業で稼いだ分の住民税を住民票がある自宅宛てに納付書が郵送され、自分で納付することができるので、副業バレのリスクを減らせるのです。
メンズエステのセラピストの方で、「確定申告のやり方が分からない」「確定申告は手間がかかるからやりたくない」という方もいるでしょう。
しかし、個人事業主の確定申告は流れを理解すれば比較的簡単に行えます。
先述した通り、無申告が発覚すると重いペナルティが課される恐れがあるため、これから紹介する確定申告の方法を把握し、該当する方は忘れずに申告・納税を行いましょう。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2つの方法がありますが、青色申告は手続きが面倒なぶん、節税メリットが大きいという特徴があります。
主なメリットとしては以下の通りです。
大きなメリットは、複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すると、最大65万円の控除を受けられる点です。
また、青色申告にすれば、たとえ開業直後に赤字になったとしても、経営に余裕ができるタイミングで赤字を相殺できる可能性があります。
確定申告は主に以下の流れで進みます。
申告書の作成よりも、給与明細や領収書などの書類の準備に時間がかかる傾向にあるため、作成時に慌てることがないよう普段から整理しておくと良いでしょう。
また、確定申告書の提出方法は3つあります。
インターネットを利用すれば、国税庁のホームページで申告書を作成でき、自宅にいながらスムーズな申告が可能です。
確定申告の際には、主に以下のものが必要になります。
個人事業主の場合は事業に関係があるものを経費として計上できるため、経費と認められるものを購入した場合は、領収書やレシートを保管しておきましょう。
また、青色申告を行う場合は青色申告決算書や各種控除証明書が必要になります。
メンズエステで働くセラピストの多くは個人事業主のため、収入額にもよりますが、基本的に確定申告が必要であり、怠ると税務署から指摘を受け、ペナルティが課される恐れがあるため、注意しましょう。
確定申告が必要かどうか分からない方や、確定申告を正しく行えるか不安な方は、税理士への依頼がおすすめです。
個人事業主として働くセラピストは経営に忙しく、日々の収支管理や領収書の整理に多くの時間をかけられないため、ミスが生じてしまいがちです。
税の専門家に依頼すれば、本業に集中できるだけでなく、税務調査の対象となるリスクも減らせるでしょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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