2025.04.11
  • 税務調査

パソコンは経費にできる?計上方法や注意点を解説!

読了目安時間:約 6分

現代社会では、どのような事業を営むにあたっても、パソコンは必要不可欠なツールになりつつあります。業務で使用するパソコンの購入費用は、法人の場合も個人事業主の場合も、経費として計上することができます。しかし、パソコンの価格によって経費の計上方法が変わってくることをご存じでしょうか。

そこで今回は、パソコンの購入費を経費計上する際の処理方法や注意点などについてご説明します。

 

パソコンを経費計上する際の注意点

業務上必要となるパソコンの購入費用は、経費として計上することが認められています。しかし、経費計上する際には注意しなければならない点がいくつかあります。パソコンの経費計上時に注意が必要な点をご紹介します。

 

パソコンの価格によって経費計上方法が変わる

パソコンと一口に言っても、スペックの違いなどにより、低価格のものから高価格のものまで、幅広い価格のものがあります。安いパソコンを購入した場合でも、高額なパソコンを購入した場合でも、パソコンの購入費用は経費計上が可能です。しかしながら、パソコンの購入価格によって経費計上方法が変わってくる点に注意しなければなりません。

 

パソコンの周辺機器の購入費や付随費用も経費計上が可能

パソコンを購入する際に、ディスプレイやキーボード、マウス、ソフトウェア、プリンター、Webカメラ、ヘッドセットなども購入する場合があるでしょう。これらのパソコン周辺機器の購入代金も経費として計上することが可能です。そのほか、パソコンの配送にかかった料金や設置やセットアップなどを依頼した場合の手数料も経費として計上できます。

 

パソコン周辺機器や付随費用の経費計上時の注意点

上に紹介したようなパソコン周辺機器やパソコン購入に伴って発生した費用は、経費として計上が可能です。しかしながら、これらの費用はパソコンの購入代金に含めて経費計上をしなければならないものと、パソコンとは別に処理しなければならないものがあります。例えば、ディスプレイやマウス、キーボードなどは、パソコンを使用する際に必ず必要となる機器です。これらをパソコンと同時に購入した場合は、パソコンの購入費用としてまとめて経費に計上します。

一方、プリンターやWebカメラなどは、必ずしもパソコンの使用に必要なものではありません。そのため、パソコン周辺機器であってもこれらの機器は、パソコンの購入費用とは別に扱わなければならない点に注意が必要です。

また、キーボードやディスプレイを購入した場合でも、購入したタイミングで経費計上方法が変わります。パソコンと同時に購入した場合はパソコン購入費として扱わなければなりませんが、別のタイミングで購入した場合は、パソコン購入としてまとめず、それぞれ別に経費計上しなければならないのです。

 

パソコンの価格ごと経費計上方法

パソコン購入費の経費計上方法を「10万円未満」、「10万円以上20万円未満」、「20万円以上30万円未満」、「30万円以上」の4つのパターンに分けてご説明します。ただし、この場合、基準となるパソコン購入価格は、同時購入したキーボードやディスプレイ、配送料なども含めて計算しなければならない点に注意が必要です。

 

10万円未満のパソコンを経費計上する場合

取得価額が10万円以上で使用可能期間が1年以上のものは、固定資産として計上しなければなりません。反対に、10万円未満であれば固定資産としては扱う必要はありません。パソコンの購入時にもこのルールは当てはまります。したがって、パソコンの購入費用が10万円未満であった場合は、消耗品費や事務用品費として全額を一括して経費計上できます。

 

10万円以上20万円未満のパソコンを経費計上する場合

10万円以上のパソコンを購入した場合、経費としての一括計上はできなくなります。10万円以上20万円未満の経費計上方法は、次の3つの選択肢から選択が可能です。

 

・耐用年数で減価償却をする

・一括償却資産として処理する

・少額減価償却資産の特例を活用する

 

耐用年数で減価償却をする方法

耐用年数とは、法令で定められている使用可能期間のことです。サーバーとして利用するパソコンの法定耐用年数は5年、それ以外のパソコンの法定耐用年数は4年となります。耐用年数で減価償却をする場合、パソコンは資産として扱うため、勘定科目には「備品」または「工具器具備品」などを用いるケースが一般的です。

耐用年数に応じて減価償却をする方法には、定率法と定額法の2種類の計算方法があります。定額法とは、減価償却資産の金額に一定の割合を乗じて、減価償却費を求める方法です。定額法の場合、毎年、同じ額を計上することとなります。

一方、定率法とは、未償却残高に対して一定の割合をかけ、減価償却費を求める計算方法です。取得から時間が過ぎるほど、未償却残高は減少するため、減価償却費として計上できる額も毎年少なくなります。

 

一括償却資産として処理する方法

前述のように、サーバーとして使用するパソコン以外のパソコンの法定耐用期間は4年です。そのため、サーバー以外のパソコンを耐用年数で減価償却する場合には、パソコン購入費を4年に分けて経費計上をする必要があります。しかし、パソコンを一括償却資産として扱う場合には、法定耐用年数よりも1年短い、3年で減価償却できるようになるのです。

一括償却資産として処理すると、単純に3年間にわたって同じ金額を計上すればよいため、処理が簡単になります。さらに、法定耐用年数よりも短い期間で償却できるため、1年あたりの経費計上金額が高くなり、節税につながるというメリットがあります。

 

少額減価償却資産の特例を活用する

少額減価償却資産の特例とは、青色申告によって確定申告を行っている中小企業や個人事業主のみが利用できる制度です。本来、10万円以上のパソコンは、経費として一括計上することはできません。しかし、少額減価償却資産の特例を利用する場合、購入価格が30万円の資産であれば、購入した年に一括して経費として計上できます。

一括償却資産として計上した場合も法定耐用年数に比べ、1年短い期間で償却できますが、少額減価償却資産の特例を利用すると一括で経費計上ができるため、より大きな節税効果を得られます。

 

20万円以上30万円未満のパソコンを経費計上する場合

20万円以上30万円未満のパソコンを購入した場合には、次のいずれかの方法で経費計上が可能です。

・耐用年数で減価償却する

・少額減価償却資産の特例を利用する

ただし、少額減価償却資産の特例は、青色申告をしている個人事業主と中小企業のみに認められている処理方法です。したがって、白色申告をしている個人事業主や青色申告をしている法人でも常時使用する従業員が500人を超える(特定法人の場合は300人を超える)法人は、耐用年数で減価償却する方法を選択しなければなりません。

 

30万円以上のパソコンを経費計上する場合

30万円以上のパソコンは、固定資産として扱います。一括償却資産として扱うことはできず、少額減価償却資産の特例も適用されません。したがって、パソコンの法定年数に合わせ4年または5年で減価償却をすることとなります。

 

パソコンを経費計上する際に悩みやすいポイント

パソコンは経費計上ができるものの、購入価格によって経費計上方法が異なることをご紹介しました。この章では、パソコンは経費計上する際に悩みやすいポイントについてご説明します。

 

個人事業主がプライベートと兼用のパソコンを購入した場合

個人事業主の場合、購入したパソコンを事業とプライベートの両方で使用するケースもあるでしょう。そのような場合は事業で使用する割合だけを経費として計上ができます。この方法を家事按分といい、事業とプライベートの使用割合に応じて、経費計上をする方法です。パソコンのほか、プライベートでも使用するスマートフォンの購入代金や利用料、インターネット回線の利用料なども家事按分によって、経費計上ができます。また、自宅を使って事業を行っている場合には家賃や水道光熱費なども、家事按分による経費計上が可能です。

例えば、パソコンを事業で8時間、プライベートで1時間だけ使用する場合、事業の使用割合は87.5%となります。そのため、パソコン購入価格の87.5%分を経費として計上することとなります。

 

パソコンを分割払いで購入した場合の経費計上方法

パソコンを購入する際に、クレジットカードなどの分割払いを選択するケースもあるでしょう。分割払いで購入した場合の経費計上方法に悩むケースもあるかもしれません。分割払いの場合でも、借方の勘定科目が変わることはなく、10万円未満のパソコンの場合は消耗品費、10万円以上の場合は備品や工具器具備品として扱います。

しかしながら、分割払いを選択した場合、貸方の勘定科目は未払金として処理しなければなりません。また、分割払いをした代金の口座引き落とし時に、借方に計上し、未払金を取り消していく処理を行います。

パソコンを複数台購入した場合の経費計上方法

従業員がいる場合には、複数台のパソコンを購入しなければなりません。また、業種によっては1人でも複数台のパソコンを使う場合もあるでしょう。そのため、パソコンを複数台まとめて購入するケースも考えられます。

例えば、9万円のパソコンを10台購入した場合、購入価格は90万円です。この場合、1台単位でみると購入代金は10万円未満ですが、消耗品として一括償却が可能になるのか、減価償却資産として扱わなければならないのか迷うケースがあるかもしれません。

複数台のパソコンを購入した場合は、1台あたりの購入金額で考えることとなります。そのため、9万円のパソコンを購入した場合は、1台あたりが10万円未満となるため、消耗品費として購入したタイミングで経費として一括計上ができます。

また、複数台のパソコンを購入した場合に、1台ずつ価格が異なるケースもあるでしょう。その場合も、購入価格を合算して考えるのではなく、1台ごとの価格に分けて処理をしなければなりません。例えば9万円のパソコン、15万円のパソコン、30万円のパソコンを購入したケースで考えてみましょう。

この場合、まず、1台目の9万円のパソコンについては、消耗品費として一括計上をします。また、2台目の15万円のパソコンについては、耐用年数で減価償却するか、一括償却資産として計上するか、または要件を満たす場合には少額減価償却資産の特例を活用することができます。さらに、3台目の30万円のパソコンについては、耐用年数で減価償却する方法で処理をします。

 

パソコンの取得価格には消費税を含む?

経費処理の方法には、消費税を含めた金額を用いる税込経理方式と消費税を含めない金額を用いる税抜経理方式の2パターンがあります。例えば、本体価格が9万5,000円のパソコンを購入した場合、税抜経理方式を用いているときには消耗品費として一括して経費計上が可能です。しかし、税込経理方式を採用している場合、パソコンの取得価額は10万4,500円となるため、消耗品として一括計上することはできません。そのため、耐用年数に応じて減価償却をするか、一括償却資産として処理するか、要件を満たす場合には少額減価償却資産の特例を活用するか、3パターンの中から経費計上方を選ぶこととなります。同じパソコンであっても、消費税の経理方式によって処理方法が異なる点に注意が必要です。

また、消費税の納税義務がない免税事業者の場合は、税込経理方式を適用することとなります。したがって、消費税の免税事業者が税抜9万5,000円のパソコンを購入した場合には、10万4,500円の資産として扱わなければならない点に注意が必要です。

 

まとめ

パソコンの購入資金は、経費として計上することができます。しかし、取得したパソコンの価格によって経費計上方法が異なることを覚えておく必要があります。また、パソコンの価格には同時に購入したディスプレイやキーボード、配送費用なども含めなければならない点に注意しましょう。

青色申告をしている中小企業や個人事業主が1台だけのパソコンを購入した場合は少額減価償却資産の特例を利用すると、1年あたりに計上できる費用が大きくなるため、節税につながります。しかしながら、複数台のパソコンをまとめて購入した場合などは、長く節税効果を得られるため、耐用年数に応じて減価償却した方がメリットは大きくなる場合もあるでしょう。

パソコンの購入費用を経費計上する際には、パソコンの購入台数や自社の状況に合わせ、より節税効果を得られる方法を選んで経費計上をするようにしましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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