2025.05.1
  • 税務調査

税務調査が入る時期はいつが多い?対象となりやすい法人や個人の特徴

読了目安時間:約 6分

税務調査とは、申告内容や納税額が正しいものであるかを確認する調査です。日本では申告納税制度を採用しているため、納税者が自ら税額を計算し、納税をしなければなりません。そのため、中には意図せず誤った申告をしている納税者や不正に税額を少なく申告しようとする納税者もいるのです。

納税の義務がある人であれば、誰でも税務調査の対象になる可能性があります。そのため、いつ税務調査の対象になるのか不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。では、税務調査が実施されやすい時期は決まっているのでしょうか。

今回は、税務調査はいつ行われることが多いのか、税務調査の対象になったことはいつ分かるのか、税務調査の「いつ」に関わる疑問についてご説明します。

 

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税務調査はいつ行われることが多い?

税務調査の対象となっても、正しく申告をしているのであれば、何も指摘されることなく調査は終了します。しかし、税務調査が入ったときには細かい処理方法や些細なミスも指摘されてしまうのではと不安を抱く方が多いようです。

そのため、税務調査が実施されるのはいつが多いのか、税務調査の多い時期を把握するだけで、心の準備ができ、少し安心できるかもしれません。では、税務調査はいつ行われることが多いのでしょうか。

 

税務調査の実施時期に決まりはない

税務調査の実施時期については、いつ実施するという明確な決まりがあるわけではありません。しかしながら、税務調査が実施される時期には一定の傾向が見られます。

税務調査が実施されることが多いのは、4~6月および9月から11月くらいだと言われています。これは、税務署内の状況に関係します。

4月~6月に税務調査の実施数が多くなるのは、1月から3月までは確定申告の対応に忙しくなるため、税務調査に割ける人員が不足するからです。また、国税局や税務署では人事異動が7月に実施されます。そのため、人事異動が終わり、ある程度落ち着いた9月くらいから税務調査の実施件数が再び増加するのです。

 

法人の税務調査が多い時期はいつ?

法人の場合は、決算の時期によって税務調査がいつ入るかが変わってきます。例えば、2月から5月に決算を迎える企業は、半年ほど後となる8月から12月くらいに税務調査が実施されるケースが多いようです。また、決算月が6月から翌年の1月の間にある企業は、4月から6月頃に税務調査が実施される傾向にあります。

 

個人事業主の税務調査が多い時期はいつ?

法人と違い、個人事業主の場合、事業年度を自由に決めることはできません。そのため、個人事業主は必ず2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。税務署では、この間に提出された申告書をチェックするため、個人事業主の税務調査は4月~6月くらいが多いと言われています。

 

税務調査が行われる時期で内容は変わる?

税務調査が入りやすい時期についてご説明しましたが、税務調査がいつ入るかによって調査内容が変わるのではと疑問に思う方もいるかもしれません。

結論から言うと、税務調査が入る時期によって調査内容が変わることはありません。税務調査は、正しく納税を行っているかを調べる調査であり、時期によって調査の目的や厳しさが変わることはないのです。

したがって、いつ税務調査が行われても問題がないよう、日頃から正しく帳簿付けを行っておくことが大切です。

 

税務調査の対象になったことはいつ分かる?

税務調査が入ると聞くと、突然、調査官が訪れ、有無を言わさず調査を開始するようなイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、多くの場合、税務調査が入る前には事前の連絡がなされます。税務調査が入る前には、いつ調査を実施するのか、予め納税者にスケジュールが伝えられるのです。

 

事前通知の際にいつ税務調査が実施されるのかが分かる

税務調査を実施する際には、原則として納税者に対し、いつ税務調査に入るのか、どのような税目を調査するのか、調査の対象期間はいつになるのか、などについての連絡が行われます。この連絡を事前通知と言います。

事前通知は、税務調査の約2~3週間前に行われるケースが一般的ですが、厳密にいつまでに事前通知をしなければならないというルールがあるわけではありません。

 

税務調査の日時は変更することも可能

事前通知は、原則として電話で行われます。調査官から税務調査を実施する旨、また税務調査の実施日時について伝えられますが、指定された日時では納税者側の都合が悪いケースもあるはずです。例えば、指定された日程が重要な取引先とのアポイントが入っている場合や事業の繁忙日に当たってしまう場合などは、調査官に事情を話せば、日程を調整することができます。

税務署の調査官による税務調査は、任意調査と呼ばれるものであり、納税者の協力の下で実施する調査です。そのため、税務調査自体を拒否することはできませんが、納税者の都合にも配慮してもらえるため、日程を調整することができるのです。

 

税務調査の流れ

税務調査は、以下のような流れで進められます。

 

  1. 税務署からの事前通知
  2. 必要書類の準備
  3. 実地調査
  4. 調査結果の通知

 

事前通知によって税務調査に入る旨を伝えられたら、日程を調整します。税務調査の日程が決定したら、税務調査をスムーズに進められるよう必要書類を準備します。事前通知の際に調査時に必要な書類も指定されるため、調査官の指示に従いながら書類の準備を進めましょう。また、顧問税理士がいる場合や税務調査の対応を税理士に依頼した場合には、税理士とも相談しながら書類の準備を進めます。

税務調査当日になると、調査官が現場を訪れ、調査を開始します。事業内容や事業の状況などをヒアリングしながら、処理に間違いがないか、不正が行われていないか、細かなチェックがなされます。調査の途中で追加資料の提示を求められたり、質問がなされたりするケースもあります。

調査官には質問検査権という権利が与えられています。そのため、申告内容や帳簿の処理などに関する質問がなされた場合、納税者は調査官の求めに応じて適切な対応をしなければなりません。

実地調査が終了すると、調査結果が通知されます。特に問題がなかった場合には、申告内容が認められ、そのまま調査は終了します。また、申告内容の不備を指摘された場合には、修正申告が求められます。その際は、正しく申告をし直し、不足分の税金や加算税分の税金を支払うことで税務調査は終了となります。

 

税務調査の対象になりやすい法人

総務省が令和5年6月に公表した「令和3年経済センサス-活動調査」によると、令和3年6月1日時点で日本国内の企業の数は約368万、事業所数は約516万となっています。これだけ多くの企業がある中、全ての企業を対象に税務調査を実施することは、不可能です。そのため、税務署では不正を行っている可能性が高い、または何かしら申告内容に疑問が残る企業を税務調査の対象に選ぶ傾向にあります。

では、法人の場合、どのような企業が税務調査の対象として選ばれやすいのでしょうか。税務調査が入りやすい法人の特徴をご紹介します。

 

事業規模が大きい

まず、事業規模の大きい法人は、税務調査の対象に選ばれやすくなります。事業規模が小さな企業の場合、売上が少ないため、たとえ申告内容にミスがあったとしても、追徴課税の額はそれほど大きくなりません。しかし、事業規模が大きくなると、売上や経費の額も大きくなるため、ミスや不正が見つかった場合、不足分の税額も大きくなる可能性が高いのです。そのため、事業規模が大きい企業は、税務調査の対象に選ばれやすくなります。

 

売上や利益の変動が大きい

売上や利益の変動が大きい企業は、不正な行為が行われているのではという疑いを抱かれるケースが多く、税務調査の対象に選ばれる確率が高まります。特に、前年から急激に利益が落ちている場合などは、納税額を抑えるために、売上を過少に申告したり、経費の水増しをしているのではと疑われたりするケースが多いのです。

 

赤字が続いている

毎年、赤字の申告をしている法人も、税務調査の対象に選ばれやすい法人です。本来、赤字が続く事業であれば、資金繰りが悪化し、事業の継続が難しくなります。しかし、何年も赤字で申告しているにもかかわらず、倒産をすることなく、事業が継続しているような場合、正しく申告をしていないのではと捉えられます。何年も赤字の申告をしている法人も、税務調査の対象に選ばれやすいでしょう。

 

不正の多い業種を営んでいる

国税庁では、毎年、不正が行われていた割合の多い業種を公表しています。例えば、令和5事務年度の場合、不正発見割合の高い業種は、バーやクラブ、外国料理などの飲食店、土木工事業、美容業、廃棄物処理業などです。特に、バー・クラブの不正発見割合は59.0%となっており、かなりの高確率で不正が行われていることが分かります。

税務調査は、正しく申告をし、正しく納税をしているかをチェックし、適正な納税がなされていない場合には、是正を促し、納税者間の税の不公平を是正する調査です。限られた人員の中で、効率よく不正を行っている納税者を正すためには、不正が多い業種を営む納税者を重点的に調べた方が良いのです。たとえ、正しく納税をしていたとしても不正の多い業種を営んでいる場合は、税務調査が入る可能性は高くなることを覚えておくと良いでしょう。

 

過去に税務調査で指摘を受けた経験がある

過去に税務調査が入り、申告方法や申告内容についての指摘を受け、追徴課税がなされた経験のある法人は、税務調査の対象に選ばれやすいと言えます。一度、不正や誤りが発覚した法人は、税務調査後に正しく申告をしているのかを確認するためにも、再度税務調査の対象に選ばれる確率が高いのです。

 

税務調査の対象に選ばれやすい個人事業主

個人事業主も法人と同様に、売上や利益の変動が大きい場合や赤字が続いている場合、不正が多い業種を営んでいる場合などに、税務調査の対象に選ばれやすくなります。また、個人事業主の場合は、以下の条件に該当する場合も、税務調査が入りやすいと言えます。

 

確定申告をしていない

申告をしなければ税務署は所得があることを把握できないだろうと考え、所得があるにも関わらず、確定申告をしないケースがあります。しかし、税務署はさまざまなルートから情報を収集しており、確定申告をしていない無申告者に対する調査を強化しています。そのため、確定申告をせず、納税をしていない個人事業主は、税務調査の対象に選ばれる可能性が高まります。

 

売上が1,000万円をぎりぎり下回るライン

売上が1,000万円を超えると翌々年から消費税の課税事業者となります。そのため、売上が1,000万円を超えないように売上額や経費の額を調整し、消費税の課税事業者にならないよう不正をする個人事業主もいるのです。毎年、売上額が1,000万円を少しだけ下回るような金額で推移している場合、消費税逃れを目的とした過少申告をしていると疑われ、税務調査の対象に選ばれる可能性があります。

 

顧問税理士がいない

実は、顧問税理士がいない個人事業主も、税務調査の対象に選ばれやすい傾向があります。税理士は税務のプロであり、税理士が確定申告に関与している場合は正しく申告されている可能性が高くなります。しかし、顧問税理士がいない場合、税務に関する知識が不足しているために、意図せずにミスが生じている可能性や意図的に不正を行っている可能性もあります。そのため、顧問税理士がいない個人事業主は、税理士が付いている事業主と比べると税務調査の対象になる可能性が高まります。

 

まとめ

税務調査がいつ入るのか、税務調査が実施される時期に明確なルールが定められているわけではありません。しかし、一般的には確定申告後の4月~6月、税務署の人事異動が落ち着く9月~11月くらいに税務調査が実施されるケースが多いようです。

また、税務調査が実施される前には、原則として、いつ調査を実施するのか、税務署からの事前連絡があります。税務調査の対象に選ばれた場合は、税理士に相談しながら、スムーズに調査を終えられるように準備を進めましょう。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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