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確定申告が必要なライバーとは?経費計上の基準を知って賢く節税!

読了目安時間:約 6分
ライブ配信アプリを使ってライブ配信を行う「ライバー」として活躍する人が増えています。ライバーの魅力は、視聴している人とリアルタイムのコミュニケーションを図れる点です。スマホから簡単に配信ができ、動画の編集作業も不要なため、昨今では多くの人がライバーとして活動しています。ライバーのもう一つの魅力は、投げ銭による収入を得られる点でしょう。では、ライバーで得た収入は、確定申告をする必要がないのでしょうか。
今回は、確定申告が必要なライバーや確定申告時に経費として計上できる支出など、ライバー活動をしている方が上手に節税をできる確定申告のポイントについてご説明します。
確定申告が必要なライバーとは
ライバー活動で得られた収入も一定以上の額を超えると、確定申告が必要となり、所得税の課税対象となります。しかし、確定申告が必要になる所得額は、ライバー活動の状況によって変わってきます。
ライバー活動の3つのスタイル
ライバーのほとんどは、ライバー活動を本業としている人、会社員などの仕事に加えてライバー活動を副業としている人、事務所に所属してライバー活動をしている人の3パターンに区分することができるでしょう。いずれのパターンでライバー活動をしているかによって、確定申告の必要性は変わってきます。
ライバー活動を本業としている場合の確定申告
ライバー活動を本業として、ライブ配信をし、収入を得ている場合は、所得額が年間48万円を超える場合に確定申告をしなければなりません。所得とは、収入から経費を差し引いた額です。
確定申告の際には、条件を満たす場合、さまざまな控除制度を適用することができます。そのうちの一つが、基礎控除です。基礎控除では、年間の合計所得金額が2,400万円以下の場合、所得から48万円を差し引けます。そのため、年間所得が48万円以下の場合は確定申告の必要はありませんが、48万円を超えると課税対象となる所得があるため、確定申告が必要になるのです。
副業でライバー活動をしている場合の確定申告
ライバー活動は、より多くの人が見られる時間帯に配信するケースが多くなります。そのため、会社員として働く人が、仕事を終えた後や仕事が休みの日を利用してライブ配信をするケースも少なくありません。
会社員の人が副業としてライバー活動をする場合は、年間所得が20万円を超えた場合に確定申告が必要となります。
事務所に所属してライバー活動をしている場合の確定申告
事務所に所属して、ライバー活動をしている場合は、確定申告が不要な場合と必要な場合に分かれます。例えば、事務所の社員としてライバー活動を行い、給与を得ている場合、雇用主である事務所がライバーの人に代わって源泉徴収をし、納税を行っているため、確定申告は不要です。しかし、事務所と雇用契約を締結しているわけではなく、業務委託契約などを結び、事務所から報酬を得ている場合には年間48万円を超える所得を得た場合に確定申告が必要となります。
事務所から受け取るお金が、給与であるか報酬であるかによって、確定申告の有無は変わってくるのです。
ライバーの確定申告のポイント
本業としてライバー活動をしている場合や事務所から報酬としてお金を受け取っている場合は年間48万円、会社員の方が副業としてライバー活動をしている場合は年間20万円を超える所得を得ているときに、確定申告をしなければなりません。
しかし、確定申告の基本的なルールを把握していない場合、必要以上に税金を納めてしまう可能性もあります。ライバー活動をし、確定申告が必要になる場合には、確定申告の基本的なルールを確認しておくようにしましょう。
確定申告とは
確定申告とは、1年間の所得を計算し、所得に課せられる所得税を算出して納税する手続きのことです。ライバーの中でも、事務所に所属し、事務所と雇用契約を結び、給与を得ているときには年収2,000万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。また、会社員の方が副業としてライバー活動をされている場合も、本業の会社員として受け取る給与については確定申告が不要です。それは、会社が毎月の給与などから所得税額を差し引き、個人に変わって国に納税をしているからです。
しかし、会社に所属していない場合、ライバー活動で得られる収入から税金が引かれることはありません。そのため、自ら確定申告を行って1年間の所得を申告するとともに、所得に課せられる税金を計算し、所得税を納税しなければならないのです。
収入と所得の違い
確定申告では、収入ではなく、所得を対象に納税額を決定します。所得とは、収入から必要経費を差し引いた利益のことです。
ライバーの収入は、視聴者からの投げ銭がメインとなります。しかし、投げ銭を換金する際には、アプリ運営会社に手数料として、投げ銭の金額の数割が差し引かれます。そのため、実際にライバーの口座に振り込まれる金額は、受け取った投げ銭の額ではなく、手数料を差し引いた後の額となります。
また、ある程度ライバーとして名前が知られるようになると、企業からの案件も受け付けるようになるでしょう。企業案件では、ライブ配信中に商品やサービスの紹介をすることで、企業から1回あたりいくら、または反響に応じていくらという形で報酬が支払われます。企業案件で得られるお金も収入として考えなければなりません。
ライバーが確定申告をする際には、これらの投げ銭で得られる収入、企業案件で得られる収入などを合計し、そこから経費を差し引くことで所得を計算します。
正しい経費計上がライバーの節税ポイント
所得税は、収入から経費を差し引いて算出した所得額に、所定の税率をかけることで算出します。そのため、所得額が低くなればなるほど、所得税の額も低くなります。また、所得税には、所得額が多くなるほど税率も高くなる累進課税制度が用いられています。したがって、所得額が多くなると、税率も高くなるために、納税額はより高額になるのです。
所得を低くすれば、所得税の額は低減できます。では、所得を低くするにはどうすればよいかと言うと、経費として計上できる支出を確実に経費として計上すればよいのです。
例えば、ライバーとして500万円の収入があった場合、確定申告の際に経費を差し引かなければ、課税所得額は500万円となります。しかし、ライブ配信のために使ったお金が100万円ほどだった場合、収入の500万円から経費の100万円を差し引くと、課税所得額は400万円になるのです。したがって、しっかり経費を差し引いて所得額を算出すると、納める所得税の額を抑えることができます。
ライバーが経費として計上できる支出
ライバーが経費として計上できるのは、ライブ配信に関連する支出です。具体的には、以下のような支出を、経費として計上することができます。
ライブ配信に必要な機材の購入費用
ライブ配信をすることがライバーの仕事であり、ライブ配信のために必要なカメラやスマホ、マイク、照明機材などの購入費用は経費計上が可能です。そのほか、ライトやカメラスタンド、スマホスタンドなどもライバー活動に使用するものであれば、経費として計上することができます。
ライブ配信にかかるインターネット回線費用やスマホの通信費
ライブ配信を行ううえでは、必ずインターネット通信が必要になります。インターネット回線やスマートフォンの通信費も、経費計上が可能です。ただし、プライベートとライバー活動用のスマートフォンやインターネット回線を分けていない場合には、ライブ配信の時間数などに応じて、ライブ配信にかかった分だけを経費として計上します。
ライブ配信に必要なインテリアや小道具の購入費用
ライブ配信を自宅などで行う場合、配信のために必要なインテリアや小道具を購入するケースもあるでしょう。ライブ配信のために購入したインテリアや小道具の購入代金も経費として計上できます。
ライブ配信用の衣装やメイク用品
ライブ配信のために衣装を準備している場合やメイクが必要な場合などは、ライブ用衣装の購入代金やメイク用品の購入代金を経費計上することが可能です。ただし、ライブ配信だけでなく、普段も着用する衣服や日常的に使用するメイク用品などを経費として計上することはできません。
野外配信をする際にかかった交通費
自宅ではなく、別の場所でライブ配信をした場合、ライブ配信を行った場所まで向かう電車代やバス代、ライブ配信後に自宅に帰る電車代、バス代などの交通費も経費計上が可能です。また、遠方のイベントなどに参加し、ライブ配信をする場合にかかった交通費や宿泊費なども経費として計上できます。
電気代や家賃などの費用
ライバー活動のために、部屋を借りている場合などは、ライブ配信を行う場所の賃貸費用や光熱費などを経費として計上することができます。
また、自宅の一部を使ってライブ配信をする場合などもあるでしょう。賃貸住宅で、ライブ配信専用の部屋がある場合には、ライブ配信専用の部屋の面積の割合を算出し、ライブ配信に使用している部分の家賃だけを経費計上することが可能です。また、日常生活を行う部屋の中でライブ配信を行う場合には、ライブ配信を行った時間を算出し、ライブ配信を行った割合の家賃の一部を経費にすることができます。
ライブ配信に使用するゲーム機やソフトの購入代金
ゲーム実況などのライブ配信をするライバーの場合、ライブ配信のために購入したゲーム機やソフトの購入代金も経費として計上することが可能です。
他のライバーに対する投げ銭
人気を集めるライバーが行う配信を視聴し、投げ銭をすることで、自分のライブ配信の宣伝をする場合や自分の勉強につなげる場合もあるでしょう。そのような場合の投げ銭の費用も、経費として計上することが可能です。ただし、多額の投げ銭や自身のライブ配信との関連性がない配信への投げ銭は、経費として計上することはできません。
ライバーが確定申告する際の経費計上の注意点
ライバーが確定申告をする際、経費をしっかり計上すれば、所得額を圧縮でき、節税につながります。しかし、確定申告時に本来は経費として認められない経費まで計上すると、税務調査が入り、経費を否認される恐れもあります。また、支出を証明できる書類がない場合なども、経費計上が否認される恐れがあるため、ライバーが確定申告をする際には次のような点に注意することが大切です。
経費に計上できるのは、ライブ配信に関わる費用のみ
ライバーが確定申告をする際に経費として計上できる支出は、ライブ配信のために必要となった支出のみです。例えば、ライブ配信とは関係ない衣服を購入した場合に衣服の購入代を経費として計上することはできません。また、ライブ配信用とプライベート用のスマホを2台持っていた場合、経費計上できるのは、ライブ配信用のスマホの機器購入代と利用料金です。プライベートで使用するスマホの代金まで経費に含めることはできません。
領収書やレシートは必ず保管しておく
経費として計上する支出に関しては、領収書やレシートを保管しておく必要があります。確定申告の際に、経費の領収書やレシートを添付して提出することはありません。しかしながら、税務調査の際には経費として計上した支出の領収書やレシートを一枚一枚チェックします。領収書やレシートがない場合、本当にその支出が生じていたのか、経費として計上されている金額が正しいのかを証明することができません。そのため、経費計上をする支出がある場合には、必ず領収書やレシートを保管しておくことが大切です。
経費を過大に計上した場合には、過少申告加算税が課される
確定申告の際、経費をしっかり計上すると所得額を圧縮でき、所得税の節税効果を得られます。しかし、ライバー活動とは一切関係のない支出まで経費計上をした場合、その行為は節税ではなく、不正に税を逃れる脱税行為につながります。
確定申告の経費計上額が正しくなく、経費を水増しして申告し、納税額を低く抑えた場合には、ペナルティとして過少申告加算税が課されます。また、領収書を偽造するなどして意図的に多額の経費の水増しなどを行った場合には、より重いペナルティとして重加算税が課される恐れもある点にも注意しなければなりません。
まとめ
事務所と雇用契約を結んでライバー活動をしているのではなければ、一定以上の所得を得ているライバーは確定申告が必要です。確定申告の際には、収入から経費を差し引くことで課税所得額を算出します。ライバー活動にかかった費用であれば、確定申告時に経費計上ができるため、課税所得額を圧縮し、所得税の納税額を低く抑えることが可能です。
しかしながら、経費の適切な計上は節税につながる一方で、ライバー活動には関係のない支出まで経費計上した場合、税務調査時に指摘を受ける恐れがあります。税務調査で経費の過大計上を指摘されると、不足分の税金だけでなく、ペナルティ分の税金も納税しなければなりません。確定申告時には、ライバー活動の分は忘れずに経費計上をし、プライベートな支出はライバー活動とは明確に分けておくようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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