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美容院代も経費になるケースがあることをご存じですか?「美容院代を経費にできるなら、節税につながる!」と考える個人事業主の方も多いでしょう。しかし、個人事業主が皆、美容院代を経費として計上できるわけではありません。経費計上が認められるのは、特定のケースに限られます。
では、美容院代はどのような業種の場合やどのようなシーンにおいて、経費として扱うことができるのでしょうか。今回は、美容院代を経費として扱う際の注意点や勘定科目などについてご説明します。
目次
美容院代は、原則として経費として扱うことはできません。しかし、業務を遂行するために、美容院でヘアスタイルやメイクを整える必要があると認められた場合に限って経費計上が可能です。美容院代を経費にできるケースと経費にはできないケースについて、具体例を交えながらご紹介します。
美容院代を経費として扱えるケースとしては、以下のようなシーンが考えられます。
・キャバ嬢やホステスのヘアメイク代
キャバ嬢やホステスなどが、接客のためにヘアメイクをしてもらう際の美容院代は、業務上、必要になる支出として考えられるため、経費として認められるケースが多くなります。
・俳優やモデルのヘアカットやヘアカラー代
俳優やモデルとして活動している人が、撮影のために、役作りの一環や求められるモデルのイメージに近づくために、ヘアカットやヘアカラーをした場合の美容院代は経費として計上することが可能です。
・テレビやメディア対応のためのヘアメイク代
テレビや雑誌など、メディア出演のために身だしなみを整える必要があり、美容院でヘアセットやメイクを受けた場合、その費用も経費として認められる可能性が高くなります。
・ホームページやパンフレット対応のためのヘアメイク代
集客を目的としたホームページやパンフレット、チラシなどに顔写真を掲載するために、美容院でヘアセットやメイクを受けた場合の美容院代は経費として扱うことができます。
次のようなケースでは美容院代を経費として計上することはできません。
・身だしなみを整えるための定期的なヘアカット代
ヘアカットは、仕事であるかどうかに関わらず、必要な支出です。身だしなみを整えるための美容院代は、かならずしも業務のためだけに必要な支出ではないため、経費として計上することは難しくなります。
・ホステスやキャバ嬢の定期的なヘアカラーやヘアカット代
ホステスやキャバ嬢など、接客業に就いている方が、仕事のためだけに必要なヘアスタイルのセットやメイクを受けるためにかかった美容院代は経費計上が可能です。しかし、プライベートな目的と区別することができないため、定期的なヘアカットやヘアカラーの代金は経費として扱うことはできません。
・俳優やモデルの定期的なヘアカラーやヘアカット代
俳優やモデルとして活動する方の場合も、美容院代がすべて経費として認められるわけではありません。役作りや撮影には関係のない、日常的なヘアカラーやヘアカット代にかかる費用は経費にはなりません。
美容院を経費にする際には、次のような勘定科目を使用するケースが多く見られます。
キャバ嬢やホステスのように、仕事のために美容院を頻繁に利用する場合の美容院代は、美容費として計上します。また、俳優やモデルとして活動する人が、撮影のために美容院に行った場合の費用も、美容費として計上することが可能です。
消耗品費は、1年未満で消耗するものや10万円未満の商品を購入する際などに使用する勘定科目です。1回の美容院代が10万円を超えるケースはほぼないと考えられます。そのため、依頼を受けたときだけモデル活動をしている場合など、頻繁に美容院を利用しない際には、美容院代を美容費ではなく、消耗品費として計上しても問題ありません。
テレビや雑誌などのメディア出演のためにかかったヘアメイク代などは、雑費として処理するケースが多くなります。また、消耗品費として計上しても差し支えありません。
ホームページやチラシの撮影のためなどに、美容院でヘアメイクを受けた場合の費用は、広告宣伝費として経費計上が可能です。また、個人事業主自身がホームページやチラシに登場する場合ではなく、商品やサービスの宣伝のために第三者にモデルを依頼し、撮影した場合にかかった美容院代も広告宣伝費として計上できます。
美容院代以外にも、近しい支出を経費として計上できるのであれば、経費として扱いたいと考える方が多いでしょう。美容院代以外にも、業務上必要であると認められた支出であれば、経費計上が可能です。
美容院代以外に経費計上できる支出には次のようなものがあります。
ホステスやキャバ嬢など、接客業に従事している人が、仕事のために自身でメイクをする場合、メイク用品の購入代金は経費として計上することができます。しかしながら、経費として扱えるのは、仕事で使用するヘアメイク用品の代金のみです。同じメイク用品をプライベートで使用する場合、その分まで経費には計上できない点に注意しなければなりません。また、俳優やモデルとして活動する方が、自身でヘアメイクをする場合のメイク用品代も、経費として扱えます。
美容系のYouTuberとして動画配信をしている方の場合、動画を投稿するために購入したメイク用品の購入代金は、経費として認められます。また、YouTuberだけでなく、SNSで美容系インフルエンサーとして収入を得ている方の場合も、投稿のために購入したメイク用品代は、経費計上が認められるケースが多くなっています。
エステティックサロン代を経費として計上できるケースもあります。しかし、エステティックサロンでの施術が事業を行ううえで必要と認められるケースはそれほど多くはありません。例えば、モデルが撮影のために脱毛が必要になった場合などのエステティックサロン代などは経費として認められる場合もあります。また、撮影のために前日にフェイシャルエステを受けた場合の、エステティックサロン代なども経費として認められる可能性があります。
しかしながら、エステの効果は、業務に従事している間だけでなく、プライベートの時間でも感じるはずです。そのため、100%業務のために必要であったか判断することは難しく、エステティックサロン代を経費計上できるケースは、かなり限定的になると考えておいた方がよいでしょう。
モデル活動をしている人の中には、体型維持のためにスポーツジムに通い、定期的にトレーニングを受けている方もいらっしゃるでしょう。そのような方は、モデルの仕事のためにトレーニングをしているから、ジムのトレーニング代も経費として計上したいと考えるかもしれません。
確実にモデル業のための体づくりの一環であることが証明できる場合は、経費として計上できる場合もあります。ただし、その場合であってもモデル業の売上が計上されていることが条件です。
美容整形代が経費として認められるケースは、非常に限定されますが、業務上、美容整形が必要だと認められる場合などは、経費として計上できる可能性があります。具体的には、俳優やモデルとして活動するにあたって、美容整形をすることで業績アップにつながる場合などは、経費として認められる場合があります。そのほか、YouTuberなどが美容整形施術を受け、動画を配信することで売上につながるケースなども経費として認められる可能性があるでしょう。
美容院代やメイク用品代など、美容関連の費用を経費として計上する際には、次の点に気を付けなければなりません。
美容院に行ったときやメイク用品を購入した際の領収書やレシートは、しっかり保管しておくようにしましょう。領収書やレシートがない場合、本当にその美容院代やメイク用品の購入代を支払ったのか証明することができません。また、支払いがあっただけでなく、金額の証明もできないため、領収書やレシートは確実に保管しておくようにしましょう。
個人事業主の場合、領収書やレシートの保管期間は、白色申告者は5年間、青色申告者は7年間と決まっています。領収書を紛失してしまった場合などは、クレジットカードの明細など、支払いを証明できるその他の書類を保管しておくようにしましょう。
美容院代は、プライベートと仕事の区別がしにくい費用です。そのため、美容院代を経費として計上できる業種や職種は限定されています。美容院代を経費として計上するためには、美容院代が事業と直接関連していることを証明しなければなりません。
例えば、撮影のために特殊なヘアメイクが必要になり、美容院を訪れ、施術を受けた場合の美容院代を経費計上する際には、ヘアメイク後に撮影した際の写真などを証拠として保管しておくとよいでしょう。
キャバ嬢やホステスなどが、仕事用のヘアメイクのために美容室を訪れた際、髪の毛が伸びてきたから、ついでにカットをしてもらったり、カラーをしてもらったりすることもあるでしょう。その場合のカットやカラーは、かならずしも事業のために必要な行為だとは言えません。そのため、カット代やカラー代も含んだ美容院代の全額を、経費として計上することはできません。この場合は、仕事に必要なヘアメイク代のみが経費の対象です。
また、モデルや俳優活動をしている場合も同様の処理が求められます。撮影のためにヘアカラーやヘアカットが必要なときには、美容院代の全額を経費に計上することが可能です。しかし、ヘアセットのついでにヘアカットもお願いした場合、カット代は経費にはなりません。
美容院代だけでなく、仕事で使用する化粧品の購入代金を経費計上する際にも、経費として扱えるのは仕事で使用する分のみです。仕事用とプライベート用のメイク用品を完全に分けて使用している場合は、仕事用のメイク用品の購入代を全額、経費として計上することができます。しかし、仕事用とプライベート用でメイク用品を分けず、同じものを使用している場合は、経費計上できるのは、仕事で使用する日数分のみとなります。
例えば、キャバ嬢やホステスの方が、美容院代を美容費の勘定科目で計上していた場合は、翌年の確定申告の際にも美容費の科目で処理をするようにしましょう。また、不定期な美容院代を消耗品費として計上しているのであれば、翌年も消耗品費として計上します。
期によってバラバラの勘定科目を使用した場合、何にかかった費用なのかを把握できなくなってしまいます。美容院代を経費計上する際には、同じルールで計上していくことが大切です。
経費に計上できる美容院代は、事業に直接関係する費用のみです。定期的なヘアカットやヘアカラーの代金まで経費計上している場合、税務調査時に経費が否認される可能性があります。美容院代が経費として認められなかった場合、経費として差し引ける額が少なくなるため、結果として納税額が不足することになり、不足分の納税を求められることになるでしょう。また、正しく確定申告をしなかったことのペナルティとして過少申告加算税の納税を求められる可能性もあります。
美容院代を経費計上する際には、業務上必要になった費用のみを計上することが大切です。
美容院代を経費として計上できるケースもあります。具体的には、キャバ嬢やホステスなどの出勤前のヘアメイク代、俳優やモデルとして活動する場合の役作りのためのヘアカットやヘアメイク代、広告宣伝のためのヘアメイク代などが該当します。
美容院代を経費として計上できる費用は、100%業務のために必要だったことと証明できるケースに限られます。税務調査時に不要な指摘を受けないためには、毎年同じ勘定科目を使用するとともに、領収書やレシートはしっかり保管し、業務上必要だった分のみを経費計上することが大切です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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