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ロレックスと言えば、言わずと知れた高級腕時計ブランドです。近年、ロレックスの価格が高騰しており、大きな話題となりました。ロレックスの正規販売店でも入手困難なモデルも多くなっています。人気があるにもかかわらず、手に入れられないとなると、より希少性が高まるものです。ロレックスの人気沸騰に伴い、ロレックスの転売を行うことで収益を得る人も増加しています。
実は、ロレックスの転売をしている人が増える中で、正しく税金を納めていない事例も増加中です。ロレックスの転売をしている人が税務調査の対象になるケースもあるのでしょうか。
今回は、ロレックスの転売をしている人が注意したい税務調査のリスクについてご説明します。
目次
ロレックスの転売とは、所有しているロレックスを、第三者へ売り渡す行為のことです。ロレックスに限らず、自身が所有しているものでも、不要になればリサイクルショップに買い取りを依頼したり、知人などに売却するケースもあるでしょう。
しかし、最近、問題になっているロレックスの転売は、不用品を売買して取引をする転売ではありません。何らかのルートで仕入れたロレックスを、仕入額よりも高い額で売却し、利益を得ようとする転売ヤーが増えているのです。
ロレックスは、そもそも1本あたりの金額が高い、高級な時計です。そのため、ロレックスを転売した場合、スニーカーなど、ほかの人気商品を転売するケースに比べ、大きな利益を得られる可能性があります。
ロレックスは、現在、世界中で人気が高まっており、正規販売店にも並ばないほど、希少性が高くなっています。そのため、中古のロレックスであっても、正規価格よりも高値で販売できる可能性があるのです。
ロレックスを所有している人の中には、ロレックスに魅力を感じ、ロレックスを収集している人もいます。しかし、ロレックスの資産価値が下がりにくく、希少性が高まればより価値が高騰する可能性もあるため、投資目的で購入する人も増加中です。
ロレックスを求める人が増えれば、当然、ロレックスの価値は高まり、販売価格もアップします。実際、人気モデルになると、正規販売店での新品の定価よりも中古モデルの価格が上回ったり、正規ルート以外で流通しているロレックスのほうが高くなっているケースがあるのです。
ロレックスの転売は違法ではありませんが、いくつかのリスクがあります。
まず一つは、ロレックスの転売を行い、継続して利益を得ている場合、古物商の許可が必要になるという点です。古物商を営むためには、公安委員会の許可を取得しなければなりません。古物商の許可を取得せず、ロレックスの転売ビジネスを行った場合、古物営業法違反となります。古物営業法違反の罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ロレックスを転売した場合、税務調査の対象になる可能性があります。営利目的でロレックスの転売をし、仕入額と販売額の差額を収入としている場合、得られた利益には税金が課せられます。そのため、確定申告を行い、税金を納めなければなりません。
しかし、個人でロレックスの転売をしている人の中には、確定申告を行っていない人もいます。ロレックスは1本の価格が高額な腕時計であるため、転売によって得られる利益も多く、1年間の利益が高ければ、その分、納めるべき所得税の額も高くなるでしょう。そのため、確定申告をしなければならないことに気が付きながらも、バレないだろうと考え、確定申告をしないケースが少なくないのです。
確定申告をしていない無申告の状態の場合、税務署から目を付けられやすくなり、税務調査の対象に選ばれる可能性が高くなります。
ロレックスを転売したからと言って必ず税務調査の対象になるわけではありません。ロレックスと確定申告の関係からご説明します。
ロレックスの価格は高騰しています。そのため、ロレックスを所有している人の中には、価格が高騰しているタイミングで使用していないロレックスを売却したいと考える人もいるかもしれません。この場合、ロレックスを売却してお金を得ても、売却で得たお金に税金が課せられることはありません。
なぜなら、腕時計は、生活用動産に区分されるからです。生活用動産とは、不動産以外の生活に必要とされる財産のことであり、腕時計のほか、自動車や家具、衣服なども生活用動産に該当します。
例えば、自動車を乗り換えるとき、古い自動車を売却するケースが多いはずです。その際、自動車を売却したことで得た金額について確定申告を行い、納税した経験をお持ちの方はいないでしょう。同様に、生活動産に該当する腕時計であるロレックスを売却しても、確定申告をする必要はありません。たとえロレックスの買い取り価格が高騰し、自分が取得したときに比べて高い金額で売れたとしても、確定申告は必要ないのです。
個人が所有するロレックスを売却した場合、確定申告は不要です。たとえ、取得時の2倍の金額で売却ができたとしても、税金を納める必要はありません。しかし、複数のロレックスを仕入れ、仕入額よりも高い額で売却をする場合、確定申告が必要になります。
生活動産であっても、繰り返し、売却を行っている場合、個人的な利用のために売買を行っているのではなく、事業として転売をしていると捉えられるのです。先ほど自動車を例にご説明しましたが、自動車を所有する人が、中古車販売店などに車を売却し、利益を得てもその売却額が所得税の課税対象になることはありません。しかし、車を所有する人から、多数の車を買い取り、買い取った車を中古車として販売している、中古車販売業者は所得に合わせた納税が必要になります。ロレックスの転売でも同様のことが言えるのです。
複数の商品を仕入れ、販売し、差額を利益にする行為は、ビジネスに該当します。生活動産であっても、継続的にロレックスの転売を行っている人は、一定額以上の利益を得ている場合、確定申告をしなければならないのです。
ロレックスを転売し、利益を得ている場合、税務調査の対象になる可能性があります。この章では、税務調査の概要やロレックスの転売で税務調査の対象になりやすいケースなどについてご説明します。
日本では、納税者が自ら所得額と税額を計算し、申告・納税をする申告納税制度が採用されています。納税者が全員、正しく確定申告を行い、適切な税額を納税していれば問題はありません。しかし、中には処理方法を誤っているために申告額が本来よりも少なくなっていたり、意図的に所得を隠し、納税額を低く抑えようとするケースもあります。また、所得があるにもかかわらず、確定申告をせず、納税をしない人もいるのです。そのため、申告方法を誤っている可能性が高い納税者や不正に申告額を低く装っている納税者などに対し、税務署の調査官が申告内容をチェックする税務調査が行われています。
税務調査の対象に選ばれた場合、税務署の調査官が自宅などを訪れ、さまざまな帳簿や書類をチェックし、所得の状況を確認します。ロレックスの転売をしている人に税務調査が実施される場合、税務署では何らかの情報を掴んでいるケースがほとんどです。また、税務調査のためであれば、納税者の預貯金の動きも確認できます。そのため、ロレックスの売買に関する履歴や取引状況についてはある程度把握したうえで、何らかの疑いを持って税務調査を行っていると考えられます。
税務調査で、ロレックスの転売ビジネスをしており、正しく確定申告をしていないことが発覚すると、正しく確定申告を行い、不足分の税金を納税するように求められます。また、不足分の納税額だけでなく、正しく確定申告を行わなかったことのペナルティとして無申告加算税や過少申告加算税の納税も求められるのです。
無申告加算税とは、確定申告が必要であるにもかかわらず確定申告をしなかった場合に課される加算税です。一方、過少申告加算税は、確定申告はしていたものの、申告している額が本来よりも少なかった場合に課される加算税となります。
無申告加算税の税率は、税額の15%~30%であり、過少申告加算税の税率は10%~15%となっています。不足分の税金に加えて無申告加算税や過少申告加算税の納税も必要になると、本来よりも多額の税金を負担しなければならなくなります。
ロレックスを転売していても、全員が税務調査対象になるわけではありません。税務調査の対象に選ばれやすいのは、継続してロレックスの転売をしていながら、確定申告をしていない人です。
ロレックスの転売で税務調査の対象になり得る人をケース別にご紹介します。
平日は会社員として働き、空いている時間を利用してロレックスの転売をしている人もいるでしょう。会社員が副業としてロレックスの転売をしている場合、ロレックスの転売を含め、給与所得以外に年間20万円以上の所得を得ているときに確定申告をしなければなりません。
ロレックスは価格が高騰しています。そのため、副業としてロレックスの転売をしていても、1年間の利益が20万円を超えるケースは少なくないはずです。ロレックスの転売をし、年間20万円以上の利益を得ているにも関わらず、確定申告をしていない人は、税務調査の対象に選ばれやすいでしょう。
ロレックスの転売を本業としている人の場合、年間58万円を超える利益を得た場合、確定申告が必要です。2025年まで、個人事業主は年間48万円を超える所得を得ていた場合に確定申告が必要でしたが、税制改正により2026年からは所得金額が58万円を超えた場合に確定申告が必要になります。
年間58万円を超える利益を得ているにもかかわらず確定申告をしていない場合、税務調査の対象に選ばれやすいでしょう。
最近では、インターネットのオークションサイトやフリマアプリなどを介して、人気の製品を転売し、利益を得ている人が少なくありません。しかし、転売で利益を得ている人の多くは、確定申告をしていないという状況があります。そのため、税務署では、転売ヤーに対する税務調査を強化しているとされています。
限定スニーカーやトレーディングカードなど、希少性の高い商品を仕入れ、ネットオークションやフリマアプリで高額で売却する転売ヤーが増加中です。税務署では、正しい納税を推進するため、インターネットビジネスで利益を得ている人を対象に積極的に税務調査を行っています。令和5事務年度には、インターネットを介した何らかのビジネスを行っている人に対し、1,226件もの税務調査が実施され、1,056件に対し、申告漏れが指摘されています。申告漏れを指摘された割合は、約86%です。
税務調査は、税務署の調査官によって実施される調査です。調査官の数は限られているため、税務署ではできるだけ効率よく、税務調査で成果を上げたいと考えています。税務調査で成果を上げることとは、申告漏れを指摘し、不足分の税額を徴収して、不正を正すことです。
スニーカーやトレーディングカードなどに比べると、ロレックス1本の価格は高額になります。そのため、ロレックスの転売ヤーは、取引実績が少なくても、多額の利益を得ている可能性が高いのです。
税務調査では、できるだけ効率よく成果を上げるために、所得額が大きい納税者を優先的に調査する傾向があります。したがって、転売ヤーの中でも高額な商品を取り扱うロレックスの転売ヤーは、税務調査の対象になりやすいと言えます。
ロレックスは世界的に人気が高まり、正規販売店でも人気モデルは手に入れられないような状況が続いています。ロレックス愛好家だけでなく、ロレックスの高い資産価値に注目し、投資目的でロレックスを収集するケースなども見られ、ロレックス人気は留まることを知りません。
そのような状況を背景に、ロレックスを転売して利益を得る人も増えています。ロレックスの転売で一定以上の利益を得ている場合、確定申告が必要です。正しく確定申告をしていない場合、税務調査の対象になり、無申告加算税や過少申告加算税が課される恐れがあります。税務署では、転売ヤーに対する税務調査を積極的に行っています。ロレックスを転売し、利益を得ているようであれば、税理士にも相談をしながら、税務調査の対象になる前に早めに確定申告を行うようにしましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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