2025.08.15
  • 税務調査

但し書きなしの領収書でも経費に計上できる?リスクや記入例を紹介

読了目安時間:約 6分

領収書は、金銭を受け取ったこと、または金銭を支払ったことの証明となる書類です。領収書によって取引の金額や内容が証明されるため、確定申告の際には領収書が証憑書類として扱われます。経費を計上する際には、支払いの事実があったことや支払金額を証明する領収書が重要な役割を果たすのです。

領収書には、記載すべき事項が決まっており、但し書きもその一つです。しかし、領収書を受け取ったときに、但し書きが記載されていないものを受け取るケースがあるかもしれません。では、但し書きなしの領収書を受け取っても、問題なく経費計上はできるのでしょうか。

今回は、但し書きなしの領収書と経費の関係や但し書きなしの領収書を受け取る、または発行する場合のリスクなどについてご説明します。

 

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領収書の但し書きとは

早速、領収書の但し書きの基本から確認していきましょう。

 

領収書の但し書きは購入したものの内容を記すもの

領収書の但し書きとは、何の取引によって金銭の支払いが行われたかを証明する項目です。

一般的には金額を記入した欄の下に「但し」または「但」と記載したうえで、具体的に購入した商品や提供を受けたサービスの内容を記載します。実際には「〇〇代として」と記入するケースが多いでしょう。

 

領収書の但し書きは誰が書く?

領収書の但し書きは、領収書を発行する側が記載するべき項目です。但し書きを記載せず、但し書きなしの領収書を発行し、受け取った側が但し書きを記入した場合、領収書の改ざん行為に該当し、罪に問われる恐れがあります。

 

但し書きなしの領収書を発行してもよい?

料金を支払った相手から「但し書きはなしで」とお願いされることがあるかもしれません。

しかし、領収書には、宛名、金額、但し書き、発行者の名前が記載されていなければならず、但し書きなしの領収書を発行した場合、受け取り側が但し書きを記入し、偽造する恐れも考えられます。顧客が何らかの意図を持って、但し書きなしの領収書を希望する場合であっても、但し書きには具体的な取引内容を記載してから、領収書を発行することが大切です。

また、顧客から要請されたわけではなく、発行側が但し書きなしの領収書を発行した場合、領収書として認められない可能性があります。どのような状況であっても但し書きなしの領収書は発行せず、但し書きには具体的な品目を記載すべきです。

 

但し書きなしの領収書のリスク

但し書きなしの領収書は、さまざまな理由で問題を招く恐れがあります。但し書きがない場合、何のために支払った金額なのか、何の取引で受け取った金額なのかを判別することができないからです。但し書きなしの領収書がもたらすリスクをご紹介します。

 

経費計上が認められない可能性がある

但し書きのない領収書を受け取った場合、何のために支払った費用なのかを判別できません。企業の中には社内の規定によって但し書きなしの領収書は、正しい領収書として認めないとしているケースもあり、その場合は経費として計上できない恐れがあります。

もし、但し書きなしの領収書を従業員が経費として申請した場合、本当に事業に関係する支出であったのかを判別できません。但し書きなしの領収書を認めてしまうと、プライベートの費用まで領収書を提出することで、不正に経費を請求することもできてしまうのです。

但し書きなしの領収書でプライベートな遊興費や飲食費などを経費として申請すると、従業員は詐欺罪に問われる可能性があります。また、経費として計上できない額を経費として扱った場合、経費水増しに該当するため、法人側にもリスクが生じます。

 

税務調査で指摘を受ける可能性がある

個人事業主は、多くの場合、個人事業主本人が経費処理を行うため、但し書きなしの領収書であっても経費として計上できてしまうでしょう。また、法人であっても、経営者が一人だけの企業であったり、経営者自らが経費処理をしている企業の場合は、但し書きなしの領収書であっても、自分が持っている領収書は経費として計上することができてしまいます。

しかし、個人事業主や経営者が但し書きなしの領収書を経費として計上しても、税務調査が入ったときには、但し書きなしの領収書は否認される恐れがあります。所得税や法人税は、課税所得額によって変動します。課税所得額は、経費が増えれば増えるほど小さくなるため、経費を水増しすれば、所得額を低く抑えることができ、納税額を低く見せかけることができるのです。そのため、経費の水増しは、不正の常套手段であり、税務調査の際には、経費が正しく計上されているのかについて、細かなチェックがなされます。領収書もすべて詳細にチェックされることが多いため、但し書きなしの領収書が見つかった場合、使途が不明なため、経費計上が認められない可能性があるのです。さらに、但し書きなしの領収書が大量に見つかった場合は、不正に税金を逃れようとしたと捉えられ、脱税の疑いをかけられるリスクも出てきます。

 

消費税の仕入税額控除を受けられない

インボイス制度のスタートに伴い、消費税の仕入税額控除を適用させるためには、インボイス制度に基づいた領収書が必要になります。インボイス制度では、領収書に次の記載がない場合、仕入税額控除を受けることができません。

 

・領収書を受け取る事業者の氏名や名称

・適格請求書(インボイス)発行事業者の名称

・適格請求書発行事業者の登録番号

・取引を行った年月日

・取引内容

・取引金額の税抜価格または税込価格を税率ごとに区分して合計した金額とそれぞれの適用税率

・税率ごとに区分した消費税額

 

但し書きは、インボイスの取引内容に該当するものです。したがって、消費税の仕入税額控除を適用したいと考える事業者の場合、但し書きなしの領収書では、たとえ、その他の要件を満たしていても、その取引で支払った消費税を仕入税額控除の対象に含めることはできません。

また、但し書きなしの領収書を発行した場合、取引相手から消費税の仕入税額控除ができないためにクレームに発展する恐れがあります。しかしながら、但し書きなしの領収書を発行すると、領収書の控えにも取引内容が記載されていないため、領収書の再発行時にも但し書きを正しく書き直すことが難しくなるなどの弊害が生じる恐れもあります。

 

第三者に不正利用される恐れがある

ここまでご説明してきた但し書きなしの領収書がもたらすリスクは、領収書を発行した側ではなく、但し書きなしの領収書を受け取った側の視点で述べたものです。しかし、但し書きなしの領収書は、領収書の発行側にもリスクをもたらす可能性があります。

但し書きなしの領収書を発行した場合、受け取った側が、但し書きに本来とは異なる品目などを記入し、不正に利用する恐れがあるのです。但し書きなしの領収書を受け取った側に税務調査が入った場合、領収書の偽造が発覚する可能性があります。その際、税務署では真偽を確かめるために、領収書の発行者に対しても調査を行う場合があります。領収書の受け取り側と結託して、不正を行っていたのではないかといった疑念を抱かれた場合、発行側に対しても詳細な調査が行われるだけでなく、
不正をほう助した罪に問われる可能性
も出てくるのです。

 

収入印紙の貼付漏れが生じる可能性がある

5万円を超える領収書を発行する場合、領収書には収入印紙を貼付しなければなりません。これは、印紙税法で5万円以上の領収書は、課税対象となる文書であると明記されているためです。そのため、5万円を超える領収書に収入印紙を貼付していない場合、違法となります。

しかしながら、クレジットカード決済の場合は、現金や有価証券の受け渡しがないため、領収書に収入印紙を貼付する必要がありません。ただし、その場合、但し書きなしの領収書を発行していると、現金で支払ったものであるとみなされる可能性があります。そのため、5万円以上の取引において、クレジットカードでの支払いを受けた場合は、但し書きにクレジットカードで支払った旨を記載しなければならない点に注意が必要です。

 

領収書の但し書きの正しい書き方

領収書を受領する際には、但し書きに具体的な取引内容を記載してもらうことが大切です。但し書きなしの領収書にはさまざまなリスクがあるため、領収書を受け取ったときには但し書きが記載されているか、チェックするようにしましょう。

また、自身が領収書を発行する際も、但し書きを正しく書かないと取引相手にも迷惑をかける恐れがあります。領収書の但し書きの正しい書き方について確認しておきましょう。

 

但し書きには具体的な品目を記入する

但し書きが具体的に記載された領収書であれば、経費計上時にも仕訳がしやすく、税務調査が入った場合でも領収書についての指摘を受けにくくなります。

例えば、飲食店の場合は「飲食代として」「お食事代として」などと記載するとよいでしょう。書籍の場合は「書籍代として」、事務用品の場合は「事務用品代として」などと記載します。

また、インボイス対応の領収書を発行する際には、来客に出すお茶やお菓子などの購入費の場合は「飲食料品代として」と記載したうえで、軽減税率の対象である旨を記載しなければなりません。

 

但し書きに「お品代」は極力避ける

但し書きに「お品代」と記載された領収書を見たことがある方も多いでしょう。お品代と記載されている領収書であっても大きな問題になることはありません。しかしながら、お品代だけでは具体的な品目が分からず、何のための支出であるのかが判別できないため、経費計上時に正しく仕訳ができない可能性があります。

例えば、文房具を購入した費用であれば「消耗品費」として計上しますが、取引先に贈るお中元などを購入した領収書であれば「接待交際費」に計上しなければなりません。お品代だけでは、取引の内容が分からないため、特に金額の大きな領収書の場合は、税務調査時に指摘を受ける可能性が高くなるでしょう。
領収書の但し書きを記入する際には、お品代を避け、具体的な品目を記載する
よう心がけることが大切です。

 

複数の商品を購入した場合の但し書きの書き方

複数の商品を購入した場合、商品ごとに領収書を発行する必要はなく、合計金額をまとめて1枚の領収書として発行して問題ありません。領収書の但し書きには、できるだけ具体的な品目を記載すべきですが、但し書きのスペースはそれほど大きくないこともあり、すべての商品名を記載できないケースもあるでしょう。

そのような場合は、但し書きの欄にすべての商品名を記載するのではなく、最も金額の高い品物の名称を記入するケースが一般的です。例えば、パソコン、プリンター、マウス、ケーブルを購入した場合には「パソコン代ほか4点の代金として」と記入するようにしましょう。

 

レシートと領収書は同時発行しない

国税庁では、レシートも領収書の代わりとして、金銭や有価証券の受取書に該当する書類であると示しています。そのため、経費精算の場合などは、レシートを領収書の代わりに使用することも可能です。複数商品をまとめて購入した場合などは、領収書よりもレシートの方が品目を具体的に把握でき、仕訳がしやすくなる可能性もあります。

しかしながら、レシートと領収書は同時に発行しないケースが一般的です。レシートも領収書も証憑書類に当たる書類であり、
両方を同時に発行すると、証憑書類の二重発行
につながります。そのため、レシートを受け取った顧客に領収書の発行も希望された場合は、いずれか一つのみの発行になる旨を伝え、領収書の発行はお断りするようにしましょう。

 

まとめ

領収書は、金銭の授受が発生したことを証明する証憑書類です。但し書きなしの領収書では取引の具体的な内容が分かりません。そのため、企業によっては、但し書きなしの領収書がある場合、経費計上を認めない場合もあります。また、経費計上ができた場合であっても、税務調査時に調査官から領収書の具体的な内容について指摘を受ける可能性が高くなるでしょう。

さらに、消費税の仕入税額控除の対象となるインボイスには、取引内容が記載されていなければなりません。たとえ、インボイス対応の領収書であっても但し書きなしの場合は、仕入税額控除の適用を受けられない点に注意が必要です。

領収書を受け取るときには、但し書きに具体的な内容が記載されていることを確認するようにしましょう。また、領収書を発行する際には、たとえ顧客の希望であっても但し書きなしの領収書は発行しないことが大切です。

 

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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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