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マイナンバーカードの普及は進んでいるものの、中にはまだマイナンバーカードを取得していないという人もいらっしゃるでしょう。しかし、確定申告をする際には、マイナンバーを記載する必要があります。そのため、マイナンバーカードをまだ取得していない人は、マイナンバーカードなしでも確定申告ができるのか、不安に思うケースもあるようです。
そこで今回は、マイナンバーカードなしでの確定申告の可否やマイナンバーカードなしの方が確定申告をする方法などについてご説明します。
目次
マイナンバーカードなしでも確定申告をすることはできます。しかしながら、確定申告にマイナンバーカードは不要でもマイナンバーの記載は必要です。
マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーカード方式での申告書の提出はできません。しかしながら、マイナンバーカードを取得していない場合でも、確定申告をすることは可能です。
ただし、確定申告書にはマイナンバーを記入する欄があり、名前や住所などと合わせて、自身のマイナンバーを記載しなければなりません。また、扶養する配偶者や親族がいる場合には、配偶者や親族のマイナンバーも記載しなければならない点に注意が必要です。
マイナンバーカードがあれば、カードに記載されたマイナンバーを確認できますが、マイナンバーカードなしの人がマイナンバーを確認するためには、住民票の写しを取得するか、通知カードを確認する必要があります。
通知カードは、住民票のある人全員に送付されたカードです。通知カードにはマイナンバーが記載されているため、通知カードを見れば、マイナンバーを確認できます。
もし、通知カードを紛失してしまった場合などは、住民票の写しを取得するとマイナンバーが記載されています。ただし、住民票の写しの発行を受けるためには自治体の窓口に行かなければなりません。時期によっては混雑する場合もあるため、窓口が開いている時間を確認したうえで、余裕をもって住民票の写しを取得することが大切です。また、扶養している配偶者や親族がいる場合は、世帯全員または世帯一部の写しを取得することを忘れないようにしましょう。
マイナンバーカードなしで確定申告をする方法には、紙の申告書を税務署に届け出る方法とID・パスワード方式で申告する方法があります。
手書きで確定申告書を作成するか、確定申告書作成コーナーなどを利用し、パソコンで作成した確定申告書をプリントし、税務署に提出する方法であれば、マイナンバーカードなしでも申告が可能です。
紙の確定申告書を作成した場合、税務署への提出方法には、3つのパターンがあります。1つは、税務署の開庁時間に合わせて窓口に提出する方法です。税務署の開庁時間は決まっているため、夜間や土日に提出する場合は、税務署の外に設置してある時間外収受箱に投函して提出することもできます。また、郵送で税務署に送付しても問題ありません。
マイナンバーカードを持っていない人が、紙の確定申告書を税務署に提出する場合は次の書類を提示または添付をする必要があります。
・マイナンバーを確認できる書類(通知カードもしくは住民票の写し)
・身元確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポート、身体障害者手帳、在留カードなどのうちいずれか1つ)
ただし、配偶者や扶養親族などの本人確認書類は不要です。
マイナンバーカードなしでも、ID・パスワード方式を使用すれば、e-Taxを使ってパソコンやスマートフォンから確定申告書を提出することが可能です。
ID・パスワード方式とは、国税庁の確定申告書作成コーナーでのみ利用できる確定申告書の送信方式です。通常、e-Taxはマイナンバーカードによる本人確認を行ったうえで、利用するシステムです。マイナンバーカードによる本人確認を行うためには、ICカードリーダライタやICカードの読み取り機能が搭載されているスマートフォンの準備が必要になります。しかし、ID・パスワード方式では、マイナンバーカードを読み取る機器がなくても確定申告書を提出することができます。そのため、マイナンバーカードを保有していない人でも、ID・パスワード方式を利用すれば、e-Taxを使って、電子的に確定申告書を提出することができるのです。
ID・パスワード方式を利用するためには、事前に税務署にID・パスワード方式の届出を行わなければなりません。
ID・パスワード方式の届出方法は、2種類あります。1つは、税務署に行き、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する方法です。その際、税務署の職員による本人確認が行われるため、運転免許証などの本人確認書類の提示が必要です。もう1つの方法は、WebサイトからID・パスワード方式の届出を作成・送信する方法ですが、この申請にはマイナンバーカードが必要です。そのため、マイナンバーカードなしの方がe-Taxを使って確定申告書を提出するためには、税務署に足を運ぶ必要があります。
前述のように、ID・パスワード方式は確定申告書作成コーナーから確定申告を行うためだけに利用できる送信方式です。そのため、ID・パスワード方式を使って確定申告を行うためには、必ず、確定申告書作成コーナーを使って確定申告書を作成しなければなりません。
確定申告書作成コーナーにアクセスし、「作成開始」を選択すると、画面が変わり、提出方法に関する質問が表示されます。「マイナンバーカードをお持ちですか」という問いが記載されているため、ここで「いいえ」を選択し、次に提出方法の選択として「e-Tax(ID・パスワード方式)」を選びます。
その後、税務署で取得した16桁の利用者識別番号(ID)とパスワードを入力し、e-Taxにログインしたうえで確定申告書を作成し、作成完了後、e-Taxで送信をします。
マイナンバーカードなしで確定申告を行う場合、マイナンバーカードを使って確定申告を行う場合に比べ、さまざまなデメリットが生じます。マイナンバーカードなしで確定申告を行う際には、次の点に注意するようにしましょう。
マイナンバーカードなしで確定申告を行う場合、マイナンバーを調べなければなりません。手元に通知カードがあれば問題はありませんが、通知カードがない場合には、住民票の写しを取得する必要があります。
マイナンバーカードがある場合、役場の窓口まで足を運ばなくても、コンビニエンスストアで住民票の写しを取得することが可能です。しかし、マイナンバーカードなしの場合は、コンビニのシステムを利用することはできず、役場の開庁時間に合わせて住民票の写しを取得しなければなりません。
マイナンバーなしでもe-Taxで確定申告を行いたい場合には、税務署でID・パスワード方式の届出を行い、IDとパスワードの発行を受けなければなりません。税務署の開庁時間は、祝日を除く月曜から金曜の午前8時30分から午後5時までです。本人確認が必要になるため、オンラインで申請することはできません。必ず、税務署の開庁時間内に訪問する必要がありますが、確定申告の時期は税務署が混雑する可能性が高くなります。早めに準備を進めておくことが大切です。
繰り返しになりますが、ID・パスワード方式は確定申告書作成コーナーを利用する際に使用できる送信方式です。そのため、市販の確定申告書作成ソフトを使用し、確定申告書を作成しても、e-Taxでは送信できない可能性があります。
確定申告書作成コーナーは、ある程度、経理や確定申告に関する知識がなければ自力で申告書を作ることが難しい可能性があります。一方、市販の確定申告書作成ソフトは、直感的に操作しやすく、経理の知識がない場合でも作業を進めやすくなりますが、ID・パスワード方式では提出できない恐れがある点に注意が必要です。
国税庁では、マイナンバーカードを使ったe-Taxによる確定申告を推奨しています。このID・パスワード方式も、マイナンバーやICカードリーダライタが普及するための暫定的な措置であると明言しているのです。
したがって、今は、マイナンバーカードなしでも、ID・パスワード方式を使い、e-Taxによる申告ができますが、この先もずっとマイナンバーカードなしでe-Taxによる申告ができる保証はありません。
今後、個人事業主として継続して事業を営むつもりであれば、マイナンバーカードを使った確定申告をおすすめします。マイナンバーカードを使った確定申告には次のようなメリットがあります。
マイナンバーカードなしの場合、e-Taxで申告をするためには、税務署に行き、ID・パスワードの発行を受ける必要がありました。しかし、マイナンバーカードがあれば、マイナンバーカード方式で確定申告を行うことができます。そのため、税務署に足を運ぶ必要がありません。
また、マイナンバーカードにマイナンバーが記載されているため、住民票の写しを取得する必要もなく、より簡便に確定申告を行えるようになります。
青色申告を行う場合、確定申告書に加えて、青色申告決算書の提出が必要です。白色申告の場合も収支内訳書の提出が必要であり、一年間の収入や支出を記録しておかなければなりません。
市販の確定申告書作成ソフトでは、日々発生する収入や支出についても記録ができるため、青色申告決算書となる貸借対照表や損益計算書、収支内訳書を簡単に作成することができます。また、マイナンバーカード方式であれば、確定申告書作成ソフト以外で作成したデータの送信にも対応しているため、確定申告書作成コーナーよりもさらに簡便に確定申告書を作成できるようになります。
マイナンバーカード方式で確定申告を行う場合、マイナンバーカードなしに比べて簡単に申告を済ませられるようになります。しかしながら、マイナンバーカード方式で確定申告を行う場合、ICカードリーダライタやマイナンバーカード対応のスマートフォンの準備が必要になる点を覚えておきましょう。
マイナンバーカードに対応しているスマートフォンは、公的個人認証サービスポータルサイトにある一覧で確認できます。
公的個人認証サービスポータルサイト:https://www.jpki.go.jp/prepare/pdf/nfclist.pdf
持っているスマートフォンがマイナンバーカードに対応していない場合は、ICカードリーダライタの準備が必要です。ICカードリーダライタは、インターネットや家電量販店などで購入できます。
マイナンバーカードなしでも確定申告を行うことはできます。しかし、その場合であってもマイナンバーの記載は必要になります。
マイナンバーカードなしの場合は、紙で確定申告書を作成し、税務署に確定申告書を提出することで確定申告をすることができます。また、事前に税務署に届出をすることでID・パスワード方式を使い、e-Taxによる申告を行うことも可能です。
しかしながら、今後、個人事業主として事業を継続する考えがあるのであれば、マイナンバーカードの取得をおすすめします。ID・パスワード方式は、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な措置であり、マイナンバーカードを使った確定申告をした方がより簡便に確定申告を行えるようになるからです。マイナンバーカードを取得すれば、確定申告書の作成や提出にかかる時間と手間を本業に費やすこともできるでしょう。まだマイナンバーカードを取得していないようであれば、取得の手続きを進めてみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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