• 税務調査

追徴課税って何?付帯税ごとの計算シミュレーションをご紹介

読了目安時間:約 6分

ニュースなどで「追徴課税」という言葉を耳にした経験をもつ方も多いでしょう。脱税事件や申告漏れなどのニュースでは、申告漏れの金額だけでなく、追徴課税の額にも触れるケースが多くなっています。税金を正しく申告していない場合に追徴課税がなされるというイメージがあっても、実際、追徴課税とはどのような状況を示す言葉なのか、正確には把握していない人も多いかもしれません。

そこで今回は、追徴課税の意味や追徴課税がなされた場合の計算方法について、付帯税ごとの計算シミュレーションをご紹介します。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ
Youtubeでも様々な内容を解説しています!Youtube

追徴課税とは

追徴課税とは、正しく税金の申告をしていなかったことが税務調査などで発覚した場合に、不足分の税金の徴収を受けることです。また、状況によっては不足分の税額だけでなく、ペナルティとして課された税金も含めて、追徴課税がなされる場合もあります。

追徴課税の対象となるケース

追徴課税が発生するケースは、以下のような状況が発覚した場合です。

・期限内に所得税や法人税、消費税の申告を済ませていなかった

・期限内に申告はしていたものの、申告した税額が不足していた

・意図的に所得を隠蔽して申告をしなかった

追徴課税が課される可能性があるのは?

ニュースで追徴課税が話題になるのは、法人の脱税や申告漏れに関するケースが多くなっています。そのため、追徴課税の対象となるのは、法人のみと思う人もいるかもしれません。しかし、追徴課税が課される恐れがあるのは法人だけではありません。

正しく所得税の申告をしていない個人事業主や、相続税を正しく申告しなかった個人も、追徴課税がなされる恐れがあります。つまり、法人、個人を問わず、納税の義務を負う人が正しく申告をしていなかった場合は、追徴課税の対象となる可能性があるのです。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

追徴課税の計算方法を種類ごとに解説

前述のように追徴課税によって納付を求められるのは、不足分の税金とペナルティ分の税金です。ペナルティの意味合いをもつ税金を付帯税といいます。ここでは、追徴課税時に課される可能性がある付帯税の種類を紹介しながら、それぞれの追徴課税額の計算方法をご紹介します。

過少申告加算税

過少申告加算税は、期限内に申告を済ませていたものの、納付額が不足していた場合に課される税金です。

税務調査で指摘を受けた場合の過少申告加算税の税率は、次のように決められています。

・当初の申告額または50万円のいずれか多い金額まで:10%

・当初の申告額または50万円のいずれかを超える部分:15%

過少申告加算税の計算シミュレーション

本来の申告額が300万円であったにもかかわらず、納税額が100万円であった場合、200万円の不足が生じます。この際に課される過少申告加算税、追徴課税額は、次のように計算します。

・不足分の税額 200万円

・過少申告加算税 100万円(当初の申告額)×10%+100万円×15%=25万円

・追徴課税額 200万円(不足税額)+25万円(過少申告加算税)=225万円

自主的に修正申告をした場合の過少申告加算税の計算

過少申告加算税の原則税率は、上に示したとおりです。しかし、税務調査を受ける前に納税者が自主的に正しく申告をし直した場合、過少申告加算税の税率は以下のように軽減されます。

<税務調査の事前通知を受けてからの修正申告>

・当初の申告額または50万円のいずれか多い金額まで:5%

・当初の申告額または50万円のいずれかを超える部分:10%

当初納税額が100万円、不足分の税額が200万円の条件で、税務調査の事前通知を受けてから自主的に修正申告をした場合の追徴課税の額は次のように計算できます。

・過少申告加算税 100万円×5%+100万円×10%=15万円

・追徴課税額 200万円(不足税額)+15万円=215万円

<税務調査の事前通知を受ける前の修正申告>

税務調査の事前通知を受ける前であれば、過少申告加算税は加算されません。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告をしていなかった場合に課されるペナルティです。税務調査で指摘を受けた場合の無申告加算税の税率は、以下のとおりです。

・不足分の税額が50万円以下の部分:15%

・不足分の税額が50万円超300万円以下の部分:20%

・不足分の税額が300万円超の部分:30%

無申告加算税の計算シミュレーション

100万円の納付が必要であった場合の無申告加算税、追徴課税額の計算は次のとおりです。

・無申告加算税 50万円(50万円以下の部分)×15%+50万円(50万円超300万円以下の部分)×20%=17.5万円

・追徴課税額 100万円(不足税額)+17.5万円(無申告加算税)=117.5万円

自主的に期限後申告をした場合の無申告加算税の計算

無申告加算税も、税務調査での指摘ではなく、自主的に期限後申告をした場合、過少申告加算税と同様に税率が軽減されます。

<税務調査の事前通知を受けてからの自主的な期限後申告>

・不足分の税額が50万円以下の部分:10%

・不足分の税額が50万円超300万円以下の部分:15%

・不足分の税額が300万円超の部分:25%

100万円の納付が必要であった場合の無申告加算税、追徴課税額の計算は次のとおりです。

・無申告加算税 50万円×10%+50万円×15%=12.5万円

・追徴課税額 100万円+12.5万円=112.5万円

<税務調査の事前通知を受ける前の自主的な期限後申告>

・金額に関わらず一律5%

100万円の納付が必要であった場合の無申告加算税、追徴課税額の計算は次のとおりです。

・無申告加算税 100万円×5%=5万円

・追徴課税額 100万円+5万円=105万円

不納付加算税

従業員を雇用する事業者は、従業員に支払う給与から所得税を源泉徴収し、原則として翌月の10日までに納付する義務があります。不納付加算税は、源泉所得税を期限までに納付しなかった場合に課されるペナルティです。

不納付加算税の原則税率は10%です。また、不納付加算税の額が5,000円未満の場合、納期限から1ヶ月以内に納付されており、過去1年間に期限後納付が一度もない場合、不納付加算税は課されません。

不納付加算税の計算シミュレーション

100万円の源泉徴収所得税の納付義務があった場合の不納付加算税、追徴課税額の計算は次のとおりです。

・不納付加算税 100万円(不足分の税額)×10%=10万円

・追徴課税額 100万円(不足分の税額)+10万円(不納付加算税)=110万円

自主的に納付した場合の不納付加算税の計算

税務調査の前に自主的に源泉徴収した所得税を納付した場合、不納付加算税の税率は5%に軽減されます。その場合の不納付加算税、追徴課税額の計算は以下のとおりです。

・不納付加算税 100万円×5%=5万円

・追徴課税額 100万円+5万円=105万円

重加算税

重加算税とは、仮装・隠蔽などの悪質な不正行為が認められた場合に、過少申告加算税や無申告加算税などに代えて課される加算税です。例えば、二重帳簿を作成している場合、帳簿書類の改ざんが認められた場合、帳簿書類の破棄や隠蔽が発覚した場合など、意図的に税金を逃れようとした場合に重加算税が課されます。重加算税の税率は最も重く設定されています。

重加算税の税率は次のとおりです。

・過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合 35%

・無申告加算税に代えて重加算税が課される場合 40%

・不納付加算税に代えて重加算税が課される場合 35%

重加算税の計算シミュレーション

不足分の税額が500万円であった場合の重加算税の税額は次のように計算できます。ただし、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課された場合などは、さらに税率が高くなります。ここでは、過去の無申告加算税・重加算税の加算はないものとして計算しています。

<過少申告加算税・不納付加算税に代えて重加算税が課される場合>

・重加算税 500万円×35%=175万円

・追徴課税額 500万円+175万円=675万円

<無申告加算税に代えて重加算税が課される場合>

・重加算税 500万円×40%=200万円

・追徴課税額 500万円+200万円=700万円

延滞税

延滞税は、納期限までに税金を納付しなかった場合に課されるペナルティです。延滞税は、納付が遅れたことに対する利息の意味合いをもつ付帯税であり、納付期限の翌日から納付が完了する日までの日数分の納付が求められます。

延滞税は納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間と、それ以降で税率が変わります。納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの税率は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以降については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合を適用することとなります。

2026年3月時点においては、延滞税の税率は次のように決められています。

・令和8年1月1日~令和8年12月31日

納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:2.8%

納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以降:9.1%

・令和7年1月1日~令和7年12月31日

納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:2.4%

納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以降:8.7%

・令和6年1月1日~令和6年12月31日

納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:2.4%

納期限の翌日から2ヶ月を経過する日の翌日以降:8.7%

延滞税の計算方法

延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までとそれ以降で税率が変わります。そのため、延滞税を計算する際にも、2段階に分けて計算します。計算式は次のとおりです。

納付すべき本税の額×延滞税の税率×日数÷365(日)

例えば、令和8年に100万円の税金について、3ヶ月(90日)納税が遅れた場合の延滞税の額は、

100万円×2.8%×60÷365+100万円×9.1%×30÷365=120,812円と計算できますが、100円未満の端数は切り捨てとなるため、延滞税の額は12万800円となります。

利子税

利子税とは、延納を申請した際に発生する税金です。延滞税は、納期限までに税金を納付していない場合に自動的に課される税金ですが、利子税は事前に延納の申請をし、延納が認められた場合に課される税金です。

利子税の税率には、年「7.3%」もしくは「特例基準割合」のいずれか低い方が適用されます。2026年3月時点での利子税の税率は以下のとおりです。

・令和8年1月1日~12月31日 1.3%

・令和7年1月1日~12月31日 0.9%

・令和6年1月1日~12月31日 0.9%

利子税の計算式は、納税額×利子税の税率×延納日数÷365日となり、延滞税と同様、延滞した日数によって納税額が変わります。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

追徴課税の対象期間と納付の流れ

追徴課税の対象期間は、原則として過去3年分です。しかし、過少申告や無申告が発覚した場合には5年分、悪質な仮装・隠蔽行為が見られる場合には7年分まで遡って課税される恐れがあります。

追徴課税が課される場合、税務署から通知が届きます。通知書に記載された追徴税額は原則として一括で納付しなければなりません。一括での納付が難しい場合は、納税の猶予や換価の猶予などを申請し、納税を一定期間延長することが可能です。

しかし、一括納付が難しいにもかかわらず、納税の猶予や換価の猶予を申請しなかった場合、1ヶ月を過ぎても納税されていなければ、督促状の送付や財産の差し押さえ処分がなされる恐れがあります。また、個人が自己破産をした場合、借金の返済は免責されますが、税金は非免責債権として扱われます。そのため、自己破産をした場合であっても、追徴課税の納税は免れない点に注意が必要です。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

まとめ

税務調査などで正しく申告をしていないことが発覚した場合、追徴課税が発生します。追徴課税がなされる際には本来納めるべき税金との差額の納付を求められるだけでなく、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、延滞税などの加算税の納付も必要になるケースがあります。加算税の適用税率はそれぞれ異なるため、追徴課税の額を計算するためには、加算税ごとの計算方法を把握しておかなければなりません。

今回ご紹介したように、追徴課税がなされると、本来の納税額よりも多くの税金の負担が求められます。追徴課税は原則として通知が届いてから1ヶ月以内に一括で納付しなければなりません。一括納付に対応できない状況であれば、猶予制度の申請なども必要になります。

税金の負担を抑えるためにも、本来は不要な手続きの手間を減らすためにも、税金は期日までに正しく申告することが大切です。


-免責事項-

当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上

  • 現在、税務調査が入っているので困っている
  • 過去分からサポートしてくれる税理士に依頼したい
  • 税務調査に強い税理士に変更したい
  • 自分では対応できないので、税理士に依頼したい
といったお悩みを抱えている方は、まずは初回電話無料相談をご利用ください。
税務調査の専門家が対応させていただきます。

税理士法人松本の強み

  • 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
  • 過去の無申告分から現在まですべて対応可能
  • 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
  • 顧問税理士がさじを投げた案件も途中から対応できます

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断

あわせて読みたい記事

税務調査ブログをもっと見る

税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!

税務調査お悩み解決しませんか?
いますぐ電話1本で相談できます!

専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。
初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。

税理士法人松本代表税理士 松本 崇宏

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断