NEWS

確定申告が青色申告か白色申告で税務調査にも違いが出る?調査の違いについて解説!

2023.01.06

1年間の売上と必要経費を計算して所得と納税すべき所得税額を確定し、納税を行う一連の手続きを確定申告といいます。 確定申告の方法には大きく分けて青色申告と白色申告の2つの申告方法があります。また、税務調査とは、納税者が正しく申告を行い、正しい額の納税を行っているかを調べる税務署による調査です。 青色申告で確定申告をしているのか白色申告で確定申告をしているかの違いによって、税務調査に違いが出るという噂を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 では、本当に青色申告と白色申告では税務調査に違いが出てくるのでしょうか。 今回は、青色申告と白色申告の税務調査の違いについてわかりやすく解説します。 確定申告のご依頼をご希望の方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



確定申告の基礎知識:青色申告と白色申告の違いとは

青色申告と白色申告の場合の税務調査の違いについて述べる前に、まずは青色申告と白色申告の違いから確認していきましょう。

青色申告とは

青色申告では複式簿記と呼ばれる記帳方法で帳簿付けを行います。確定申告の際には青色申告決算書と賃貸借対照表、損益計算書の提出が必要となります。 そのほか仕訳帳や現金出納帳、売掛帳、買掛帳面、総勘定元帳、固定資産台帳などの帳簿の作成と保存が義務付けられています。

青色申告には ・最大で65万円の青色申告特別控除を受けられる
・赤字を最大3年間繰り越せる
・青色事業専従者給与(家族に支払った給与)を経費として計上できる
・30万円未満の少額減価償却資産を一括で経費に計上できる
などのメリットがあります。

白色申告とは

白色申告とは、単式簿記という簡易的な記帳方法で帳簿付けを行い、確定申告の際には確定申告書と収支内訳書を提出する方法です。 会計の知識がなくても帳簿付けができる簡易的な方法による記帳が認められているため、比較的簡単に申告書の作成ができるというメリットがあります。また、青色申告の場合は申告をする年の3月15日まで、または開業から2か月以内に税務署に青色申告承認申請書を提出し、承認を受ける必要がありますが、白色申告ではそのような手続きは不要です。
しかし、白色申告では青色申告のような特別控除などの措置は用意されていないため、節税などの効果を得ることはできません。

確定申告の申告方式によって税務調査に違いが出る?

確定申告の方式によって、税務調査に入られる確率に差が出ることはありません。しかし、青色申告か白色申告かで税務調査に影響が出る部分もあります。

青色申告と白色申告で税務調査に入られる確率が違うという噂はウソ

青色申告だから税務調査に入られやすい、白色申告の人は税務調査の対象にはならないという噂を聞いたこともあるのではないでしょうか。 青色申告をしている人の方が一般的には所得が多いと考えられるため、そのような話題が出ているのではと推測されますが、申告方法によって税務調査の確率が変わることはありません。 青色申告であっても白色申告であっても、納税者である限り、税務調査によって正しく納税をしているかどうかを調べられる可能性はあるのです。

青色申告の場合の税務調査

青色申告の場合の税務調査では、調査官が帳簿の内容や請求書、領収書などをチェックし、記載内容に漏れがないか、計上時期に誤りがないか、売上を低く計上していないか、架空の人物を採用したことにして人件費を高く見せかけていないか、などの調査が行われます。 帳簿や領収書、請求書、タイムカードなど、売上や経費を証明できる書類をきちんと保管しており、正しく売上や経費を記帳していれば、税務調査が行われても問題が生じることはないでしょう。
ただし、青色申告の場合に、領収書や請求書など、売上や経費を証明する書類を保存していない場合は、青色申告者としての承認を取り消され、白色申告者としての扱いを受ける可能性もあります。

白色申告の場合の税務調査

白色申告の税務調査でも、帳簿や領収書、請求書などを照合し、正しく売上と経費を計上し、正しい額の納税を行っているかの調査が行われます。 簡易的な記帳方法が採られているからといって記帳のミスがあっても大目に見てもらえるケースや領収書がなくても見逃してもらえるケースなどはありません。税務調査では、白色申告であっても青色申告と同様、正しい申告を行っているのかについて厳しく調査されます。 白色申告の場合に帳簿や書類の管理に不備があり、売上や経費を書類で証明できない場合には推計課税といわれる方法が採用されることもあります。この推計課税は白色申告者に対して行われる制度です。 記帳内容が曖昧だったり、支出を証明する領収書がなかったり、売上を証明する請求書が保存されていなかったりした場合は、どれだけの所得を得ていたのかを正しく把握することができません。そこで、同業他社の状況を参考に、同程度の規模の法人が得ている所得を参考に推計によって所得額を決定するという方法が採られ、推計した額に応じた税金を納めるように求められます。これが推計課税です。

推計課税のリスク

推計課税では、実際の所得を確定できないために同業他社の所得を参考に税額を決められます。そのため、実際には他社ほど所得がなかった場合は本来納税すべき額よりも多い額の納税を求められるというリスクがあります。
また、推計課税では消費税の仕入税額控除を受けることができません。仕入税額控除とは、自社が支払うべき消費税から仕入れにかかった消費税額を差し引けるというものです。仕入税額控除を受けられなければ、消費税の納税額も高額になってしまいます。 帳簿や書類などをしっかり保管しなかった場合に行われる可能性がある推計課税は、所得税だけでなく消費税にも大きな影響を与えるのです。

まとめ

青色申告であっても白色申告であっても、しっかりと帳簿を付け、必要書類を保管していれば税務調査が入ったとしても、それほど恐れる必要はありません。
しかし、白色申告の場合、帳簿の記載がずさんであったり、経費や売上を裏付ける書類が保管されていなかったりする場合は、推計課税制度が適用される可能性があります。 推計課税では、本来納めるべき税額以上の所得税や消費税の納付を求められるリスクがあるのです。 今後、インボイス制度の導入により消費税の計算がさらに複雑になる可能性もあります。確定申告や消費税の納税に関してご不安があるようでしたら、税務調査に詳しい税理士法人松本までお気軽にご相談ください



脱税とは?罰則はあるの?追徴課税についてもわかりやすく解説!

2023.01.03

もし脱税を行ったことがわかった場合、追徴課税などの罰則を受けることになると耳にする事は多いでしょう。その場合、具体的にどれくらいの追徴課税や罰則を受けるのでしょうか。
この記事では、脱税をした場合の罰則や追徴課税の種類などについて解説しています。脱税が発覚するタイミングや、取るべき対応などについても紹介していますので、脱税やペナルティについて把握する際の参考としてお役立てください。税務調査で追徴課税を言われれている方は一度現在の状況を税理士法人松本までご相談ください。



そもそも脱税とは?

脱税とは、納税するべき税金をごまかしたり、不正をはたらいて免れたりする行為をさします。脱税とみなされるケースには、以下のようなものが挙げられます。

経費の水増し

プライベートの飲食費用を接待費として計上したり、観光旅行で使った交通費を出張費として計上したりといった経費の水増しは、発覚すれば脱税とみなされてしまいます。
仕入価格を実際よりもかかったように見せかけたり、取引先と共謀して架空の請求書を作成したりするのも不正行為とみなされます。

税金の不正還付

売上における消費税よりも支払った消費税の方が大きいように見せかけて還付を受けたり、意図的に赤字計上にして所得税などの還付を受けたりするのも脱税となります。
特に消費税に関する申告は念入りに調査されやすいため注意が必要です。

所得隠し、売上の一部を意図的に隠す

現金による売上をないものとしたり、営業していた日を休業日のように偽装したりといった、売上を隠す行為も脱税にあたります。
「売上を隠す」「経費を水増しする」「税金の不正還付を受ける」の3つは、税務調査となれば必ず指摘されるでしょう。

不正でなくても脱税とみなされる場合も

意図して不正をはたらいたわけではなく、単純な申告漏れや計算ミスであった場合でも、脱税とみなされるケースは多いものです。結果として納める税金が少なくなっていたり、本来は課税されるべきところを非課税となったりしていれば、指摘を受けてペナルティの対象となる可能性が高いでしょう。また、申告自体をしていない無申告も、脱税と同じく扱われます。
よく脱税のニュースで「見解の相違」という言葉が使われるのはこういったことからです。

脱税に対する罰則や追徴課税の種類

脱税に対して課せられる懲罰や、行政処分としての付帯税などについて解説します。

脱税に対する罰則

脱税行為が発覚すると、刑事罰の対象となることもあります。脱税に対する懲罰は以下の通りです。

・不正による意図的な脱税への懲罰:10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
・意図的に無申告だった場合の懲罰:5年以下の懲役または500万円以下の罰金
・正当な理由のない申告書の提出忘れ:1年以下の懲役または50万円以下の罰金

なお、懲役と罰金はいずれかの場合もあれば、両方が科される場合もあります。

脱税に対する行政処分

脱税が発覚した場合に受けることとなる行政処分には、以下のような種類があります。

・過少申告加算税
実際よりも納める税金が少なくなるよう申告したと発覚した場合に加算される税金です。期限内に申告しても、発覚すれば課税されることとなります。

・不納付加算税
期限までに納付されなかった源泉所得税に対して加算される税金です。

・延滞税
納付期限を過ぎた税金に対して加算される延滞金です。

・無申告加算税
期限内に申告しなかった場合に加算される税金です。

・重加算税
不正をはたらいたり、虚偽の申告をして納税を少なくしたり、無申告にした場合に加算される税金です。

・利子税
分割納税となった場合、延納分に加算される税金です。

これらは過少申告や無申告にした額が多ければ多いほど、また申告期限から時間が経つほど利率が高くなるものが多く、放置していると多額の追徴課税を支払わなければならなくなってしまいます。
また、刑事罰の対象となれば前科がついてしまうため、その後の事業継続も困難となるなど、大きな影響が予想されるでしょう。現在の申告の状況に不安がある方は税理士法人松本まで一度ご相談ください。



追徴課税や罰則のリスクを下げる対策は?

上記のような罰則や追徴課税のリスクを下げるには、以下の対策を採るようにしましょう。

一刻も早い修正申告を

過去の申告内容に漏れやミスが見つかった場合には、できるだけ早く修正申告を行うようにしましょう。
修正申告する時期が早ければ早いほど加算税を低減できる可能性が高まります。また、税務調査で指摘を受ける前に修正申告を行うことで、重加算税の課税などを免れることが可能です。

無申告はすぐに申告しよう

現在無申告の状態である場合も、一刻も早い申告が重要です。現在は毎年申告できていたとしても、過去に1年でも無申告の期間がある場合、既にそのことを税務署は把握していて、様子を見ている可能性もあるのです。
無申告も放置していた期間が長くなるほどペナルティは重くなっていきますから、早めに申告するようにしましょう。

税理士のサポートを受けるのがおすすめ

「過去の申告にミスがあるかどうか確認する方法がわからない」「修正点を見つけたいが、忙しくて時間がない」といったケースもよく聞かれます。売上が上がっている企業ほど忙しく、節税対策もおざなりとなれば、税務調査で多数の指摘を受ける可能性もあるでしょう。修正申告や無申告の一刻も早い解消には、申告や会計、税務のプロである税理士のサポートを受けるのがおすすめです。
税務調査対応に強い税理士事務所なら、税務調査で指摘されそうな箇所についてのチェックや、無申告からの申告もサポートしてもらえます。
税務調査の際には税務署への対応も任せられるほか、合法的な節税対策に関するアドバイスをもらうこともできるでしょう。
不正や虚偽で脱税するのではなく、法律的に認められた方法で正しく節税を行い、ミスや漏れは修正して健全な企業会計を守りましょう。

まとめ

本来納めるべき税金を過少に申告したり、ごまかしたりした際には脱税したとみなされてしまいます。脱税した場合、意図的に行ったわけではなくても、行政処分や刑事罰の対象となってしまう場合もあるのです。
無申告や申告忘れも脱税としてペナルティの対象となり、放置するほどペナルティは重くなるのが一般的です。
必要に応じて税理士のサポートも受けながら、1日も早く修正申告や無申告の解消をしましょう。


こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


税務調査で指摘されない法人企業の効果的な節税対策とは?

2022.12.30

法人では利益に合わせて法人税を納める義務があるのは当然理解しているものの、納税額が増えればその分、企業として利用できる資金は減ってしまいます。 そのため、納税額を減らせる効果的な節税方法があれば積極的に活用したいと考える経営者の方も多いのではないでしょうか。 節税対策といっても、税務調査で調査官に指摘を受けてしまうような違法性のある行為では意味がありません。そこで今回は、しっかりとルールに則ったうえで実践できる節税対策をご紹介します。 現在申告している内容に不安がある方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査で指摘を受けるケースとは

税務調査とは納税者が正しく所得を申告し、正しく納税を行っているかについて税務署が行う調査です。 法人の中には売上を低く装ったり、本来は経費でないものを経費に計上したりして、所得を低く見せようと不正な行為を行っているところもあります。 そのような不正が税務調査で発覚すると、正しい所得額に訂正して申告を行う修正申告と正しい額の法人税の納税、そしてペナルティとして課せられる過少申告加算税や延滞税などの支払いが求められます。 したがってルールに違反した節税対策では、税務調査で指摘を受ける可能性があり、もし税務調査で不正と判断されれば、節税どころか本来納めるべき額の税金よりも多い額の納税を迫られることになってしまうのです。

税務調査に強い税理士法人がお勧めする最強の節税対策

税理士法人松本は、税務調査を専門分野としている税理士法人です。税について知り尽くしている我々が、税務調査で指摘を受けない効果的な節税対策をご紹介します。

・役員報酬を最適な額に設定する

役員報酬は、従業員の給与とは異なり、損金に算入できません。しかし、定期同額給与など、一定の方法で支払われたものであれば損金として算入できるようになります。役員報酬を損金算入できれば、課税所得額が減るために法人税を節税できます。
ただし、役員報酬が増えれば役員個人が納める所得税や住民税は増額となります。役員報酬の適正な額を算出するのは簡単ではないため、法人税と所得税のバランスを考慮した最適な額の役員報酬に設定するためには、税理士に相談してみるとよいでしょう。

・未払金・未払費用を漏れなく計上する

未払金・未払費用は、今期に発生した費用であるものの支払いは来期になる経費のことです。従業員の給与や電話代などの通信費、会社負担分の社会保険料、広告宣伝費などが該当します。 決算のタイミングで未払費用を今期の費用として計上すれば、その分経費が増えるために利益を圧縮することができます。特に従業員の多い法人では人件費や社会保険料は金額が多くなるため、計上すれば所得が低くなり、法人税の節税につながります。

・法人契約を結び、役員や従業員の家を社宅とする

賃貸物件に居住している場合、賃貸借契約を個人ではなく会社名義で結び、社宅として扱うことで住宅の家賃を会社の経費にすることができます。 社宅の場合、全額を会社が負担することはできないため、役員や従業員にも一定の負担を強いることになりますが、それでも少なくない額を会社の経費として計上できます。 会社としては経費が増えるため節税対策となり、従業員にとっても家賃負担が軽減されるためメリットの多い方法です。

・旅費日当を支給する

旅費日当とは、出張の際に支給する日当で、出張のために必要になった宿泊費と交通費以外の費用に対する手当です。 旅費日当を支給するためには旅費規程を作成する必要がありますが、旅費日当は経費として処理することができます。また、出張のために必要となった旅費や宿泊費、日当については支給した金額のうち、通常必要であると認められる部分に関しては課税仕入れとして扱えるため、消費税の面でも節税になります。 旅費日当を受け取る役員や従業員側も、旅費日当は所得に該当しないため、非課税の収入を得られることになります。

・取引先の接待にかかった費用を交際費として計上する

取引先の接待のためにかかった飲食代などの費用を交際費として経費計上することも、節税対策として有効です。 交際費として計上できる金額には上限が決められており、資本金が100億円以上の法人の場合は、交際費を損金として算入することはできません。しかし、資本金1億円以下の法人では交際費800万円または飲食費の50%までのいずれかを損金算入ができます。資本金1億円以上100億円未満の法人の場合も飲食費の50%までを損金として算入することが可能です。

・中小機構の経営セーフティ共済に加入する

経営セーフティ共済は、取引先の倒産など不測の事態に直面した時に必要となる事業資金をすぐに借り入れられる、中小企業を対象とした共済制度です。 加入すると取引先の倒産後、時間をかけることなく担保なし、保証人なしの条件で掛け金の最高10倍(上限8,000万円)までの借り入れができます。また、経営セーフティ共済の加入には掛け金が必要となりますが、掛け金は経費として計上できるため節税にもつながります。

・在庫を整理し、不要な在庫は処分する

法人の中には使用する予定のない在庫をそのまま保管し続けているケースがあります。 不要な在庫も在庫である限り、資産として帳簿に記載しなければなりませんが、処分をしてしまえば帳簿に載せる必要はありません。
また、処分費用は損金計上ができ、原価よりも安く売却した場合は売却損として、廃棄した場合には除去損として取り扱えるため、節税につながります。ただし、損金計上には廃棄証明書などの証明書類が必要になりますので、注意が必要です。

まとめ

今回ご紹介したような節税対策を知っている法人は、すでにこのような節税対策を実施し、上手に節税を行っています。
一方、節税対策についての知識を持っていない法人は、節税対策を実施している法人よりも納税している税額が多くなっていると考えられます。
ルールに則った節税対策は決して違法なものではありません。節税の方法を知っているか知っていないかだけで納める税額が変わり、それだけで事業に回せる資金も変わってくるのです。
今回ご紹介した方法以外にも法人の方が対策できる節税の方法は、たくさんあります。ただし、すべての節税方法がすべての法人に適しているわけではないため、節税対策を実施する際には自社に合った節税方法を取り入れることが大切です。
自社に合った節税方法を知りたい場合や、現在の節税対策が税務調査で指摘を受けないかご不安な場合は、ぜひ税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



個人の税務調査で対象になりやすい人とは?税務署が行う調査方法についても解説

2022.12.21

毎年確定申告していると、ふと「自分の申告書は税務調査の対象になっているのか?」と考えることはないでしょうか。正しく申告しているつもりでも、何か間違っていないか、間違っていなくても、調査の必要があるとみなされていないかなども気になるところです。
ここでは、税務調査の種類やどんな調査があるのか、調査の対象になりやすい申告書の例などについて解説しています。デタラメな申告をして税務調査がくるか不安を抱えている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査には種類があるの?

ひとくちに「税務調査」といっても、調査方法などが異なる種類はあるのでしょうか。

税務調査は2種類に大きく分けられる

税務調査は「任意調査」と「強制調査」の2種類に大きく分けることができます。
任意調査とは、税務調査を行うことについて事前に通知を受け、これに同意して調査を受ける流れとなるものです。通常の企業や事業者に対して行われるのは、任意調査であることが多いでしょう。
任意といっても、調査対象となった納税者は税務調査に協力する義務があるため、正当な理由なく拒絶すると罰則の対象となります。これは「受忍義務」と呼ばれており、法律でも定められているものです。
国税通則法第128条

一方で、悪質な脱税行為などが強く疑われる場合には、強制調査が実施されます。強制捜査では、事前の通知を受けることなく突然の調査を受け、書類やパソコンのデータなどを押収されることもあるでしょう。
強制調査では、悪質な不正を働いている可能性が高いとみなされているため、証拠隠滅や逃亡などを防ぐ目的で事前通知なく実施されるものです。

税務署が行う調査の種類は他にもある?

税務調査には「準備調査」や「実地調査」「反面調査」といった調査もありますが、これらは任意調査に含まれるものです。
準備調査は、訪問して税務調査を行うかどうかを判断する目的で行われる調査です。実地調査は、準備調査によって実際に行われる任意調査となり、反面調査は任意調査の対象となった事業者の得意先などへ行う調査です。

税務調査の対象になりやすいのはどんな場合?

申告書の内容以外にも、以下のような場合には、税務調査の対象となりやすいでしょう。

一定の年数が経っていれば調査対象になりやすい

税務調査は、企業や個人事業主が正しく税金を申告できているかを調査する目的で行われます。特に帳簿上目立った動きもなく、毎年期限までに申告を済ませていたとしても、起業や開業していれば、誰でも税務調査の対象となる可能性があるのです。
通常、税務調査は4年から5年に1回程度は行われるものとされています。とはいえ、5年を待たずに税務調査を受ける場合もあれば、10年以上経っても調査の連絡が来ないケースがあるのも事実です。
開業から5年以上が経過していれば、税務調査がやって来る可能性は開業直後よりも高いと考え、税務調査に備えておきましょう。そろそろ税務調査がくるから準備をしておきたいとお考えの方は税理士法人松本までお気軽にご連絡ください。



調査対象になりやすい業種もある

税務署では、長年のデータベースから過去の調査で修正や指摘の多い業種などを把握しています。そのため、適正な申告を行っていたとしても、調査対象となりやすい業種もあるのです。
具体的には、風俗業や建設業、飲食業やIT関連業などが挙げられます。もちろん、これら以外の業種でも、5年を待たずに税務調査が入る可能性は大いにあります。

申告していなくても税務調査は実施される

税務調査は、毎年提出している申告書をもとに、内容を事前に調べて行われます。「申告書を提出しなければ、調査対象になることもないのでは?」と考えたくなりますが、そんな事はありません。
確定申告をしていない無申告の状態は、税務署がもっとも力を入れて調査対象としているものの1つです。
銀行の履歴や取引先の調査からの発覚、第三者からのタレコミなど、無申告であることは、いつか必ず税務署に知られるところとなります。
税務調査で無申告を指摘されれば、遡って税金を支払わなければならないだけでなく、重いペナルティを受けることとなるでしょう。
無申告状態は現在こうしている間にも調査対象となっているかもしれないと考え、早めに税理士などへ相談することをおすすめします。

税務調査の対象になりやすい確定申告書って?

上記を踏まえたうえで、税務調査の対象となりやすい申告書の内容についても解説します。前年度までに比べて、直近の申告内容に以下のような点が含まれる場合には、税務調査の対対象となりやすい可能性があるでしょう。

売上よりも経費の計上が大きくなっている

売上の伸びよりも経費の伸びが増加している場合「経費の計上が適正か」「経費を水増しして利益が抑えられていないか」はチェックされやすくなります。
税務署では、同業者や同程度の規模で営業している他企業のデータなどとも比較できるため、大きく逸脱した数値が出れば、調査対象となりやすいでしょう。
経費の水増しがないかを確認する際には「実際よりも多く人件費を計上していないか」「プライベートの交際費を経費にしていないか」など、交際費や人件費などがチェックされやすいでしょう。

連続して赤字が続いていても調査対象となる

売上が伸びている場合だけでなく、赤字が続いている場合にも、調査の対象となることがあります。
赤字の申告書から修正点を指摘したとしても、大幅な黒字へ転じるケースは少ないため、通常は調査対象となりにくいものですが、何か不正を働いて赤字となっている可能性がある場合には、調査される可能性は充分にあるのです。
申告書の内容だけでなく、銀行の取引履歴や取引先への反面調査などから発覚するケースもあるでしょう。

税務調査は怖がらずに税理士へ相談して対策を

税務調査では、虚偽や不正な申告をしていない限り、必要以上に怖がるものではありません。適正な申告と適正な納税に努めていれば、調査もスムーズに完了するものです。
不安な場合は税務調査対策に強い税理士へ事前に相談するなどして、不安を払しょくするとよいでしょう。

まとめ

税務調査には任意調査と強制調査の2種類があり、納税者が受ける税務調査の多くは任意調査となります。任意調査は誰にでもやって来る可能性があるものの、特定の業種や申告内容によっては、調査対象となりやすい企業が存在するのも事実です。
不安な場合は早めに税理士のサポートを受けて、いつ税務調査が来てもよいように対策を取っておくとよいでしょう。

税務調査の対象になりやすい会社の特徴とは?国税局指定の重点業種とは?

2022.12.03

会社を経営していると、税務調査がいつくるのか経営者としては気になるところです。周囲の会社に税務調査が入った話などを聞いても、自身の会社で同じように調査されるのかよくわからない、というケースもあるでしょう。
ここでは、税務調査で現在強化されている点や税務調査になりやすい会社の特徴などについて解説します。 税務署から税務調査の通知がすでに来ている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



近年の税務調査で強化されていることは?

近年の税務調査では、以下のような点の調査が強化されています。

無申告に関する税務調査

税務署では、無申告となっている事業者への調査を特に強化しています。昔は申告された書類を元に調査が行われていたため、申告しない方が調査を免れると考えている人もいましたが、現在では変わってきています。
税務署内で共有しているシステムの統合や近代化によって、無申告状態がピックアップされやすくなっているのです。また、第三者からの通報やタレコミによって発覚するケースも、実は少なくありません。
無申告の状態でも、数年間は様子を見て調査に来ないケースもありますが、その場合でも既に状況を把握されてしまっている可能性はあるものです。
税務調査となれば最低3年、またはそれ以上に渡ってペナルティを受けることにもなりかねないため、早めに申告することが大切です。

消費税に関する税務調査

消費税に関する調査も、税務調査で強化されているものの1つです。本来給与の扱いとするべきところを外注費で計上していないか、不正な消費税還付を受けていないかといった点を重点的にチェックされるでしょう。

海外取引に関する税務調査

海外取引の多い会社も、節税を目的とした不正な海外取引である可能性を疑われやすいため、税務調査が増加してきています。
海外取引では、相手国の税務署と情報を交換できる制度や、国外へ送金した際の明細(国外送金等調書)などが利用できるため、より細かくチェックされることとなるでしょう。

税務調査だけでなく、税制改正によって以前はできていた節税対策ができなくなっている場合などもあります。また、多額の相続や海外投資、デイトレーディングなど、富裕層に対する税務調査も増加傾向です。
税法や税務調査に関する最新動向は常にチェックするか、税理士へ確認するとよいでしょう。

税務調査になりやすい会社の特徴は?

以下のような特徴がある会社は、税務調査の対象となりやすい可能性があります。


国税局指定の重点業種に該当している

重点業種とは、過去の申告内容で不正の発覚件数が多く、税務調査のマーク対象として国税局が指定している一部の業種です。
具体的には、シェアリングエコノミー、FXやオークションなど、インターネット取引を主とする業種や飲食業、風俗業、建築関連業などが挙げられます。
こうした業種に携わっている会社は、他の業種よりも税務調査になりやすい傾向があるでしょう。

長年税務調査を受けていない

税務調査は、通常4~5年に1度程度の割合でやって来るとされています。起業して10年以上実地調査(実際に会社を訪問して行う調査)を受けていない場合、いつ税務調査がやって来てもおかしくないと考えた方がよいでしょう。

前回の税務調査で不正の指摘を受けたことがある

一度税務調査を受けたことがある企業の場合は、前回の調査で不正を指摘されたかどうかで次回の調査までにかかる期間が変わることがあります。
多額の申告漏れや計上ミスなどがあった場合は、改善できているかをチェックするために、短いスパンで再調査を受ける場合もあるからです。

売上や経費などの数字が大きく変動した

例年に比べて売上や経費などの数字が大きく変動した会社も、税務調査になりやすい傾向があるでしょう。
税務署が管理しているKSKシステムでは、同じ業種や規模の企業と比較したり、前年度や平均値と比較したりすることが可能です。
申告した数字に大きな変動があった場合、このシステムでピックアップされてしまう可能性があります。
システムの中で異常値として検出されれば、管轄の税務署内で当然目立つ事業者となり、調査対象にも選ばれやすくなるでしょう。

税務調査が入った場合の対策は?

会社へ税務調査が入った場合、以下を参考に対策を行いましょう。

税務調査に毅然と対応する

実際に事業が成功して業績が伸びれば、数字は大きく変動します。証明できる書類やデータが残っていれば、税務調査になったとしても、しっかりと説明できるはずです。何ら不正を働いていない場合には、自信を持って毅然と対応することが大切となります。
もちろん、調査の妨害や暴言を吐くといった行為は懲罰の対象となるためNGです。しかし、早く帰って欲しくて調査官の言いなりになったり、あいまいな態度を取ったりするのはおすすめしません。
なかには不正とは言い切れないグレーなケースや、調査官によって見解が分かれる取引などもあるため、調査に協力はしても言うべきことはしっかりと説明できるようにしたいものです。

税理士へ相談する

税務調査でしっかりと対応する自信がない、何か余計なことを言ってしまいそうで不安という場合には、税務調査の対策について税務調査に強い税理士へ相談してみるとよいでしょう。

相談するべき税理士を選ぶ際のポイント

税理士の中には、決算や申告、記帳管理などの対応はできても、税務調査などへの対応実績がない税理士もいます。
現在顧問を依頼している税理士が対応できるか、税務調査のサポートは初めてではないか、サポート実績が少ないような場合は、税務調査に強く多数の実績がある税理士事務所へ相談してみましょう。
ほとんどの場合、初回の電話は無料で相談に乗ってもらえることが多いため、話しやすさや対応なども、選ぶ際のポイントとしてチェックしましょう。



まとめ

税務調査では、消費税や海外取引など、一定の取引や科目に対する調査が強化されています。また、特定の業種や税務調査を受けたかどうか、前回不正があったかどうかといった点でも、税務調査になりやすいかが決まってきます。
税務調査になったとしても、不正がなければ毅然と対応することが大切です。必要に応じて税理士へ相談しながら、いつ税務調査になっても安心できるように対策を行っておきましょう。


こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


税務調査がくる時期は決まってる?調査がきたときの対応方法とは?

2022.12.03
税務調査

小さくても何かの事業を営んでいると、税務調査の可能性や時期について気になるものです。
税務調査はいつやってくるのか、誰にでもくるものか、調査が入った場合の対応方法など、わからない点も多いのではないでしょうか。
ここでは、税務調査がくる時期や調査の対象となりやすい事業、税務調査が入った場合の対応方法などについて解説しています。 すでに税務調査の連絡が来ている方はいますぐ税理士法人松本へご相談ください。



税務調査がくる時期はいつ?

年数についての決まりはない

結論からいうと、税務調査がくる時期ははっきりと決まっているわけではありません。
通常の任意調査ではおよそ3期分の帳簿を確認するため、会社設立や開業後3年以内に税務調査が入る可能性は低いということもできますが、起業後1年で多額の売上や黒字が出ている場合には、3年以内であっても税務調査が入るケースもあります。

2度目以降税務調査が入る時期は?

また、1度税務調査を経験したからといって安心するものでもなく、再度税務調査が入る場合も少なくありません。
2度目以降の税務調査についても、3年以内にやってくる場合もあれば10年、20年と長い間調査が入らない場合もあるのです。
そのため、税務調査が来る年数についてはあまり考えず、いつやってきてもおかしくないものと理解した方がよいでしょう。

夏以降から秋にかけておこなわれることが多い

1年の間にいつ税務調査が入るかについても、確定した時期はないものの、およそ夏以降から秋、冬にかけての時期が多いとされています。
なぜ夏以降に税務調査が入るケースが多いのかについては、1月~3月には税務署も確定申告の受付など繁忙期であり、業務が落ち着いて申告内容のチェックが完了する頃であることや、税務署の人事異動が終わったタイミングで開始される税務調査が増えるためといった理由もあります。
株式会社などの法人税申告では3月決算の会社が多いため、申告が完了して調査を開始するまでに数ヵ月要するためともいわれていますが、個人事業主に対する税務調査では、秋頃よりも早いタイミングで連絡が来るケースもあります。
一般的な目安として下半期以降に調査の連絡が入りやすいと考えられますが、それ以外の時期に税務調査がやってくる可能性もゼロではないでしょう。

任意調査では事前に通知がある

税務調査が入る年数や時期については明確でないものの、ある日突然会社や事務所に税務調査官がやって来て、取引先や顧客に税務調査がバレてしまう、といったケースはほとんどありません。
国税局によっておこなわれる強制調査の場合は、何の連絡もなく査察官がやってきて、いきなりパソコンや資料などを押収されてしまうこともありますが、こういったケースは事前に大きな脱税などの疑いがかかっているためであり、逃げられないように事前の通知なく調査が入り、拒絶することはできません。
しかし、多くの会社やフリーランスが対象となるのは任意調査と呼ばれる税務調査です。こちらは税務署の担当者が事前に調査に入る旨の通知が必ず入ります。(無予告調査を除く)そこで日程なども調整することが可能です。
調査に訪れる旨の通知がいつおこなわれるかについては、これも時期と同様に明確なさだめはありません。
しかし、税務署の方でもしっかりと確認や指摘をしたいと考えているため、数日~1週間程度の猶予を持って通知されるケースが多いようです。

要約すると、一部の例外を除き、事業を開始して3年以上が経過し、申告を終えた年の夏以降の時点で税務調査が入っていなければ、誰でも税務調査の連絡が来る可能性が高いといえます。
また、税務調査について事前の通知が来た場合、目安として数日程度で準備をする必要があると考えておくとよいでしょう。

税務調査がきたときの対応方法は?

不正がなければ自身を持って対応する

脱税や所得隠しといった不正を働いていないのであれば、税務調査でもそのことをしっかりと伝える必要があります。
恐怖感や不安で説明不足になったり、不正の可能性が払しょくできなかったりすることを避けるためにも、正しい申告をしていることに自信を持って対応することが大切です。
得意先の条件に合わせて値引きや入金日の調整をおこなった場合など、帳簿の処理上で明らかに間違いとはいえないものの、疑わしいとみなされて税務署から指摘を受けるケースも実際にあります。
こうした場合にしっかりと説明できるよう、対応策として事前に専門家へ相談してみるのも1つの方法です。

事前の準備を整える

「前期の帳簿を出してください」「売上に関する資料を見せてください」といった要望に対して、すぐに書類やデータを出すことができないと、調査に時間がかかるだけでなく、何か隠しているのではないかと税務署に疑われる要因にもなりかねません。
税務調査は事前の通知を受けてからおこなわれるため、当日までに閲覧や確認を求められそうな資料を準備しておきましょう。規則正しくファイリングされていることや、チェックしやすいように整理されていることも、税務調査を早く終わらせるために重要となります。

不安な場合は税理士へ同席を依頼する

税務調査に必要な資料や、チェックされそうな営業活動の見当がつかない場合、質問や指摘に対してうまく説明できる自信がない場合など、税務調査に対して不安な要素が大きいなら、税理士に依頼して税務調査に同席してもらうことをおすすめします。
税理士の中でも、特に税務調査への対応実績が多く、経営者の立場に寄り添って交渉を任せられる税理士なら、依頼費用を上回る安心と対応力のメリットを受けることができるでしょう。



まとめ

税務調査がくる時期に明確な決まりはありませんが、夏から秋以降にかけて調査は増える傾向にあり、多くの事業者が受ける任意調査では、事前に通知を受けて準備期間をもうけることも可能です。
税務調査を受けやすい事業はもちろん、開業後一定期間が経過している場合は、いつ税務調査が来てもおかしくないと考え、早い段階で信頼できる税理士を探すといった対策を取りましょう。

税務調査が改正!?無申告者の後出し経費が認められないことになる?ペナルティもある?

2022.12.02

2022年の税制改正大綱では、無申告者の後出し経費を規制する措置と税務調査後の帳簿の提出に十分に応じなかった場合のペナルティが盛り込まれました。これは、無申告や所得隠しをした納税者に対する税務調査が厳格化されたことを意味します。 今回は、税制改正によって税務調査がどのように変わったのか、またどのようなペナルティが課せられる可能性があるのかについてご説明します。 無申告の状態で税務調査が入ってしまった方は税理士法人松本までいますぐお電話ください。




2022年税制改正大綱での税務調査に対する改正点とは

2022年の税制改正大綱では「証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置」が新たに設けられます。これは、税務調査で無申告を指摘された納税者、売上や経費の隠蔽や仮装を税務調査によって指摘された納税者に対し、税務調査後に提出する経費、いわゆる「後出し経費」を認めないというものです。
また、「帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置」も設けられます。これは、無申告や過少申告などが税務調査によって発覚し、調査官から帳簿の提出が求められた場合に帳簿の提出に応じなかったり、十分な記載を行わなかったりした場合にペナルティを課すというものです。


後出し経費と後出し経費の規制が改正された背景

後出し経費とは、それまで帳簿に記載されていなかった経費を税務調査で無申告や仮装・隠蔽を指摘されたのちに、初めて主張することを指します。中には、本当に経費であった場合もあるかもしれません。しかし、税務調査での指摘を受けて課せられる追徴課税をできるだけ少なくしようと、所得を減らすためのウソの経費を申告するケースが少なくなかったのです。
経費の額を増やそうと税務調査後に大量の領収書を経費として提出する納税者もおり、提出された領収書が適正なものであるかを調査官が判別するための作業には膨大な時間と労力がかかっていました。
税制改正大綱では「適正な記帳や帳簿保存が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大であり、行政制裁を適用する際の立証に困難を伴う場合も存在する。記帳義務の不履行や税務調査時の簿外経費の主張等に対する不利益がない中では、悪質な納税者を利するような事例も生じているところである。」としています。
つまり、後出し経費の調査には膨大なコストがかかり、さらに後出し経費を認めることによって悪質な納税者が得をするような事態を招いた事例も生じていたということです。 このような背景から今回の税制改正では、無申告者や所得を適正に申告しなかった納税者に対する厳しい措置が取られることになったのです。


後出し経費に関する具体的な改正内容とは

今回の改正の1つ目のポイントは、税務調査によって無申告や所得隠しなどが発覚した納税者の後出し経費を認めないという点です。ただし、意図しない記帳の誤りや知識不足による帳簿の作成ミスによるものに対しては、配慮を行うとしています。
そのうえで、後出し経費を認めないケースは、納税者が帳簿や支払先が明記されている領収書を保存してない場合や、保存をしていても費用の支払先を確認できない場合と示されました。
帳簿に経費として記載されていても、領収書が残されていても、領収書の発行元の確認が取れなければ、経費としては認められないことになります。
反対に、保存する帳簿や領収書から取引とその費用の額が明らかに示される場合や、調査によりその取引が行われたことが明らかであると認められた場合は、必要経費として認められます。
この改正の適用開始は、2023年1月1日以降に開始する事業年度からです。


帳簿の提出がないまたは不十分な場合のペナルティとは

確定申告の必要があるにも関わらず、無申告の状態であった場合はペナルティとして無申告加算税が課せられます。税務調査によって無申告が発覚した場合の無申告加算税の課税割合は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%となっています。
また、確定申告は行っていたもののその内容に不正があり、税務調査により所得を過少に申告していたことが発覚した場合には過少申告加算税が課せられます。過少申告加算税では、本来納付すべき税額の差分に対して10%を乗じた額が加算されます。
今回の改正により、税務調査時に調査官から求められた帳簿を提出できなかった場合や提出をできた場合でも売上金額または収入金額の記帳が不十分であった場合には、通常の過少申告加算税や無申告加算税の額にさらなるペナルティが加算されることとなりました。
追加で課せられるペナルティの内容は次のように納税者の状況によって異なってきます。

◎本則の加算税に10%が上乗せされるケース
・帳簿を提出できない場合
・帳簿を提出した場合であっても売上金額または収入金額の1/2以上が記載されていなかった場合

◎本則の加算税に5%が上乗せされるケース
・売上金額または収入金額の1/3以上が記載されていなかった場合


無申告の場合は早めに税理士に相談を

今回の税制改正大綱によって、無申告の人や過少申告を行っている人に対する税務調査はより厳しくなり、さらに重たいペナルティが課せられるようになります。 確定申告の必要性があるのを知りつつも確定申告の知識がないために無申告の状態を続けてきてしまった方やバレないだろうと所得を過少に申告してきた方は、このまま無申告・過少申告の状態を続け、税務調査に入られてしまうと、多額の追徴課税を命ぜられる可能性があります。 ご不安な場合は早めに税理士へ連絡し、今後の対応について相談することをおすすめします。



まとめ

税制改正により2023年1月から、無申告者や不正申告者に対する税務調査が厳格化されます。
帳簿や領収書などから支払先の相手先が明らかであると認められない場合は、後出し経費を損金として計上できないようになります。また、税務調査時に調査官から提出を求められた帳簿を提出できない場合や不十分な対応であった場合は、新たにペナルティが加えられることとなります。
税理士法人松本は、税務調査を専門に取り扱っている税理士法人です。
初回電話相談は無料で受け付けており、土日祝日も対応をしています。これまで無申告を続けてきてしまったけれど、確定申告のやり方がわからないという方や正しく確定申告を行ってきたか自信がないという方はどうぞお気軽にご相談ください。



税務調査とは?税務署から調査の連絡が入ったときの対応方法とは?

2022.11.22

税務署から突然税務調査の連絡が入ったらどのように対応すればよいのでしょうか。忙しい時期に調査が入ったり、強引な調査で怖い思いをしたりしないのか、なども気になるところです。
ここでは、税務調査が突然やってくる可能性や、調査となった場合の税務署への対応方法などについて紹介しています。税務調査が入る時期や調査の流れなどについても解説していますので、税務調査の基礎知識や参考としてお役立てください。 すでに税務調査が入っている方はいますぐ税理士法人松本までお電話ください。



税務調査が突然やって来る事はある?

そもそも、税務調査の目的で税務署の調査員が突然訪問してくる事はあるのでしょうか。


多くの場合は事前連絡がある

テレビや映画などでは、ある日突然調査員がオフィスに押しかけてパソコンや書類を押収し、営業どころではなくなってしまうシーンなどをよく見かけます。
結論から言うと、よほど悪質な脱税の疑いがあり、証拠隠滅や夜逃げなどを防ぐ目的でない限り、突然税務調査が行われることはありません。
多くの場合は事前に税務署より連絡があり、税務調査に訪問する旨や訪問予定日などについて案内されます。
ただ、税務調査の事前連絡はいつ入るかわからないため「突然税務調査の連絡が来た!」と慌てる場合はあるでしょう。

日程調整や準備をする事も可能

税務調査の連絡が突然入った場合でも、連絡を受けたその日に訪問されるケースは少ないものです。指定された日の都合が悪い場合には、数日程度であれば日程調整に応じてもらうこともできます。
帳簿の見直しや書類、データの整理など、ある程度準備をしておいた方が当日の調査もスムーズに進むでしょう。
税務調査の連絡がいつ入るのかはわからないものの、税務調査の件数が増えてくる時期については、ある程度推測することが可能です。
次章では、税務調査が入る時期や流れなどについてくわしく見ていきましょう。

税務署の調査が増えてくる時期や税務調査の流れ

税務署の調査が増えてくる時期と、実際に税務調査となった場合の流れについて解説します。


税務調査は秋から冬にかけて増えてくる

繁忙期や人事異動などの影響で、税務署でも税務調査を本格的に増やす時期は、毎年ある程度決まっています。
税務署の繁忙期は、確定申告時期から期限後となる春から初夏にかけてです。また、税務署の人事異動は7月です。
そのため、夏から秋、冬にかけての時期に税務調査の実施件数は増えてくるでしょう。とはいえ、繁忙期や人事異動前に税務調査が行われないかというと、そうではないので注意が必要です。
開業後長期に渡って税務調査を受けたことがない場合や、前年度急激に売り上げが伸びた、または経費が大きく増えたといった変化があった場合には、税務調査の対象となりやすいでしょう。件数が少ないとはいえ、繁忙期であっても税務調査が実施される場合もあります。

税務調査の流れ

税務調査が実施される際の一般的な流れは以下の通りです。
1. 税務署から税務調査訪問に関する事前連絡がある
もっとも実施される割合の多い「任意調査」と呼ばれる税務調査では、調査に訪問する前に税務署から必ず事前連絡があります。調査日当日の何日前までに連絡があるのかは明らかになっていませんが、税務署の方でも資料がきちんと揃った状態で調査したいと考えているため、準備に必要と思われる時間の猶予はある程度取ってくれるのが一般的です。

2. 指定の日時に調査員が事務所を訪問
事前連絡の際に決定した調査日当日に、調査員が事務所を訪問します。訪問期間は2~3日程度で、2~3名の調査員が訪問するのが一般的です。時間も午前10時から午後16時程度までで、代表者は調査期間中同席し、質問に答える必要があります。調査中に依頼している税理士のサポートを受けることも可能です。

3. 帳簿や書類を閲覧し調査する
帳簿データや領収書、請求書などの書類と申告書に記載のデータとを照合しながら、調査員から必要に応じて質問や指摘を受けます。
強い口調で脅されたり、強引に調査を進められたりすることはなく、静かに穏やかに進められることが多いでしょう。疑いを向けられるような質問があったとしても、不正がなければ毅然とした態度で接することも大切です。

4. 必要に応じて修正申告などの対応をする
税務調査が終わったら、およそ1ヵ月前後で調査結果の報告を受けます。記帳や申告内容に間違った点が見つかった場合には、必要に応じて修正申告をするよう指示があるでしょう。正しく申告できていれば、税務調査は怖れるものではありません。税務署が直接やって来て、間違った会計処理などがないかチェックしてもらえる良い機会、と考えることもできます。

税務調査で押さえておきたい対応方法は?

税務調査の際には、以下のような対応方法を取るとよいでしょう。

書類の準備、データのチェックをしておく

領収書や請求書は抜け、漏れがないか確認し、月別にファイリングして見やすいように並べておきましょう。
税務調査で指摘が入って修正申告をする場合、調査前に自主的に気づいて修正するよりも、追徴課税は重くなります。帳簿のデータも再度確認して、もしミスや間違いが発覚した場合には、調査が入る前に修正申告をすることも可能です。

想定される質問には毅然と答えられる準備を

調査日には、会社の概要や事業内容、役員の状況などについて説明を求められることが多いため、しっかりと説明できるようにしておきましょう。
経費や売上に大きな変化があった場合も同様に、証明資料を提示して説明します。

わからないことは税理士へ相談しよう

顧問などを依頼している税理士がいれば、税務調査の連絡を受けた日から当日までに、アドバイスやサポートを受けられます。日ごろから適正納税、適正申告を行うことが大切ですが、少しでも不安な点やわからないことがあるなら、気軽に税理士へ相談してみましょう。



まとめ

税務調査は、多くの場合突然やって来ることはなく、事前連絡後に訪問を受けることとなります。税務署の繁忙期や人事異動が落ち着く夏から秋以降にかけて税務調査は本格化しますが、いつ頃事前連絡があるかは明確になっていません。
調査当日は書類や帳簿をもとに申告内容が正しいかを確認します。質問や指摘を受けることもありますが、正しく申告できていれば、毅然と対応することも大切です。不安な場合は税理士のサポートも受けつつ、税務調査へ対応しましょう。


税務調査に狙われやすいフリーランスや個人事業主の特徴とは?

2022.11.09

税務調査と聞くと、大きな企業や手広く事業を経営している法人にしかやって来ないと思われがちです。しかし、税務調査は個人事業主や、フリーランスのもとにもやってきます。
ここでは、税務調査に狙われやすいフリーランスや、個人事業主の特徴についてまとめています。税務調査が来た時の対応方法や注意点などについても解説していますので、税務調査の不安を解消する参考にしてみてください。税務調査がすでに入っている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査がフリーランスにやってくる可能性は?

はじめに、フリーランスや個人事業主として働いている人が税務調査を受ける可能性について見ていきましょう。

毎年税務調査を受けている事業者は全体の6%

国税庁では、毎年実施した税務調査に関するデータを公表しており、HP上などで確認することができます。
この統計によると、全国の企業やフリーランス、個人事業主のうち、税務調査を受けた件数は全体のおよそ6%であることがわかっています。
1年ごとに6%ずつ税務調査の対象になるとすれば、15年間の間に誰でも1度は税務調査を経験する計算となるでしょう。
もちろん、この計算通りに税務調査が実施される訳ではありません。開業後10年も経過していないのに税務調査を受けた人や、反対に一度も税務調査の対象となったことがない事業者もいるでしょう。

狙われやすい特徴があると税務調査の可能性が高まる

国税庁や税務署では、過去のデータや各金融機関など、独自の調査ルートを駆使して申告者の情報を把握し、調査対象としてピックアップした事業者に対して税務調査を実施します。
巨額の脱税行為や、所得を不正に隠蔽している疑いのある企業やフリーランスに対しては、事前の通告なく強制的に税務捜査が行われるケースもあるでしょう。
こうした強制調査ばかりが行われる訳ではありません。税務調査へ訪問する前に事前連絡を受け、2名程度の調査員が1~2日ほどかけて調査を行う「任意調査」であることがほとんどです。
とはいえ、任意調査といえども、調査中に不正が発覚すれば罰則の対象となり、重い追徴課税が課されることとなってしまいます。
税務調査で狙われやすいポイントや、税務調査の対象としてピックアップされやすいフリーランスや個人事業主には、どのような特徴があるのでしょうか。

税務調査で狙われやすいフリーランス・個人事業主の特徴

税務調査で狙われやすいフリーランスや個人事業主には、以下のような特徴があります。

確定申告をしていない

「税務調査しようにも、申告をしていなければ調べようがないだろう」と考えたくなるかもしれません。しかし、無申告は税務調査の対象となりやすく、もっとも狙われやすい状態の1つであるといえます。
上記の通り、税務署や国税庁では、申告するべき所得があるにも関わらず、無申告を続けている事業者について、独自の調査で簡単に状況を把握することが可能です。
取引先が税務調査を受けて発覚するケースや第三者からの密告、顧客を装って来店や問い合わせなどを行う覆面調査といった手法も取られることがあります。
長年無申告を続けている状態で税務調査が入れば、かなりの確立で追徴課税を受けることとなるでしょう。
適正に申告していれば、税務上赤字であることが判明し、税金の還付を受けられる場合もあります。
確定申告をしないで放置していても、何もメリットはありません。これまで確定申告について何もしていないのであれば、早期に対策することを強くおすすめします。

いい加減に申告している・ミスが多い

「とにかく期日までに申告書を出しさえすればいいだろう」と考え、記帳や計算を適当に申告していても、税務調査で狙われやすいでしょう。
国税庁では、同業を営むほかのフリーランスや事業者と比較できるデータベースを持っており、収支や計上のバランスがおかしい申告内容だけを絞り込むことも可能です。
データベースで異常値の出るフリーランスや個人事業主は、現時点で調査対象としてピックアップされているかもしれません。
税務調査では、最低でも3年分までの帳簿をチェックされます。調査を担当する人員の都合などもあり、調査対象としてピックアップしていても、すぐには調査を受けないケースもあるのです。
既に申告を済ませている年度についても、念のため間違いがないかチェックするとよいでしょう。

控除内ギリギリの申告が続いている

確定申告について多少知識がある人の場合、消費税課税事業者や特別控除など、一定の金額を超えなければ節税できることを知っていて、毎年その金額を超えないような申告をしているケースもあるでしょう。
適正な節税対策を行ったうえで枠内に収まっているのであれば、税務調査を受けても重い罰則を受けることはないでしょう。
ただし、税務的に違法な処理や計上をしている可能性がある場合には、調査対象としてマークされ、詳しくチェックされることとなります。

このほかにも、例年より売上が急増した時や、逆に大幅な赤字となった時なども、税務調査の対象として狙われやすくなるでしょう。

税務調査が来た時の対応や対策は?

税務調査に選ばれてしまった時には、落ち着いて以下のような対応や対策を行うようにします。

指摘を受けそうなポイントを把握する

生活費を経費にしていないか、売上を少なく計上していないか、書類に抜けがないかなど、調査を受けた際に指摘されそうなポイントについて把握し、調査時には毅然と説明できるようにしておきましょう。
どの数字が疑われているのか、修正申告が必要かなど、自分で判断がつかない場合は、税理士事務所などへ相談しましょう。

無申告の場合は早急に確定申告を

申告自体をしない無申告を続けることは、上記で解説した通り何もメリットのない行為です。フリーランスや個人事業主であっても、長年の無申告を税務調査で指摘されれば、ペナルティとして支払いできないほどの追徴課税を受けることもあります。
何をおいても、無申告はできる限り早めに解消するようにしましょう。税理士法人松本では確定申告のご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。



まとめ

フリーランスや個人事業主でも、税務調査が来る可能性はいつでもあり、無申告や申告内容に不審点がある場合は、調査対象として狙われやすくなってしまいます。
フリーランスで、これまで税理士へ依頼したことがない場合は、無申告や個人事業主へのサポートに強く、親身に相談に応じてくれる税理士事務所を見つけることが大切です。
無料相談などを利用して、早めの対策を採れば、税務調査を怖れて不安な日々を過ごすこともなくなるでしょう。

税理士変更後に税務調査がやって来た!変更すると調査の対象になりやすいの?

2022.11.04

「税理士を変更すると税務調査になりやすい」「税理士を変えた腹いせに税務署へ密告された」といった噂を耳にすることがありますが、こうしたことは本当に起こることなのでしょうか。
ここでは、税務調査が入りやすい時期や税理士の変更、密告などによって税務調査が始まる可能性などについて解説しています。税理士を変えていなくても注意するべき税務調査のポイントについても説明していますので、これから税務調査を受ける方は参考にしてください。



税理士の変更や密告で税務調査になるって本当?

顧問の税理士を変更したり、以前顧問をしていた税理士から税務署へ申告内容を密告されたりすることはあるのか、それによって税務調査へ繋がる可能性などについて解説します。


税理士の変更だけで税務調査にはならない

結論から言うと、顧問の税理士を変更したという事実だけで税務調査の対象となることはありません。
「でも、実際に税理士を変更した直後に税務調査が入ったという話を聞いた」という場合、以下の理由が考えられるでしょう。
・税理士の変更と税務調査がたまたま同時期になった
税務調査は、少なくとも過去3年、最大で7年まで遡って申告内容を調査するため、通常会社を設立して間もない頃に税務調査がやって来ることは滅多にありません。
起業して数年以上が経過しており、これまでに税務調査を受けたことがない場合、たまたま税理士を変更したタイミングで税務調査がやって来ることがあります。その際に「税理士を変更したから税務調査が入ったのだ」と勘違いしてしまう可能性があるのです。

・税理士の変更により、会計処理に大きな変更が発生した
税理士を変更した事実だけで税務調査の対象とはなりませんが、税理士の変更によって、例年の会計処理に大幅な変更が加わった場合には、そのことが原因で税務調査が入る可能性はあります。
経費を大幅に増やしたり、計上する科目をガラッと変える、といった変更を加えたりすると、例年の申告内容に比べて帳簿上の金額が大きく変動することとなります。そのため、例年よりも金額に変動が見られる原因について確認する意味で調査対象とされる可能性が高まるのです。
逆に言えば、税理士を変更しなくても、会計処理の方法を大きく変更すれば税務調査が入りやすくなるとも言えます。
会計処理方法を変えたり、または税務調査と税理士変更のタイミングが重なったりすることがなければ、税理士を変更しただけで税務調査がやって来ることはないのです。


税理士が税務署へ密告する可能性はある?

「税理士を変更して、以前の税理士が腹いせに税務署へ何か密告したらどうしよう」と思ったとしても、心配する必要はありません。その理由として税理士には守秘義務があり、顧客の情報を外部へ漏らすことは法律(税理士法)で禁じられているからです。

(秘密を守る義務)
第三十八条 税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする。

(税理士の使用人等の秘密を守る義務)
第五十四条 税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。

また、仮に税理士が帳簿上で違法な操作に加担していたとしても、その事実が明るみとなれば、その責任は税理士が負うこととなります。税理士を変えたという理由だけで、わざわざ税理士自身が処罰の対象となるような密告をするとは考えにくいと言えるでしょう。


税理士を変えていなくても税務調査で注意するべきポイントは?

税理士の変更や密告などによって税務調査の対象となることはなくても、税務調査は一定の時期が来れば入りやすくなります。
税務調査の対象となりやすい条件やタイミングについて、以下のようなケースで税務調査が入った場合は注意が必要です。


短期間に何度も税務調査が入る

通常、一度税務調査が入った場合、そこから数年間は調査対象とはならず、2度目の税務調査までは間隔があくのが一般的です。
しかし、1年おきや毎年など、短期間の間に何度も税務調査が入るような場合には、税務署からマークされている可能性があります。
税務署がマークする理由の一部に
・申告内容に疑わしい点がある
・会計ルールが毎年変わっているように見える
・単純な計算ミスや申告漏れが多い
などが挙げられます。依頼している税理士がいるにも関わらずこのような状況になっているなら、早急に税理士を変更した方がよいでしょう。


そもそも税理士を入れていない

税理士へ1度も依頼したことがなく、自力で確定申告を行っている場合、過去の申告内容にミスや漏れがあったとしても、税務調査で発覚するまで気づかないケースがほとんどです。
税務調査で指摘されてから修正申告となった場合、延滞税や無申告加算税といった追徴課税の対象となり、多額の納税義務が生じる可能性があるのです。
不安な場合は、1度目の税務調査が入る前の時点で、一度税理士事務所の無料相談などを利用してみることをおすすめします。


税理士は変えていないが、会計の処理方法を大きく変更した

そもそも税理士へ依頼をしたことがないケースも含めて、会計の処理方法を例年から大きく変更した場合には、税務調査で確認される可能性が高いため注意が必要です。
「節税対策を取りたいから会計のルールを変えたい」「取引が複雑になって来たので、弁護士を入れてしっかりと申告をしたい」といった希望がある場合は、税務調査対応の実績が豊富な税理士事務所へ相談してみるとよいでしょう。
科目の変更や会計処理の方法を変えた場合、違法であれば脱税となりますが、合法であれば節税とみなされ、処罰されることはありません。
その辺りの対応や交渉も含めて、税務調査対応に強い税理士へ依頼することで、節税対策も取りつつ税務調査へ備えることができるでしょう。



まとめ

税理士を変更しただけで税務調査が入りやすくなるということはなく、また守秘義務のある税理士の密告によって税務調査が入るという可能性も考えにくいものです。
しかし、税務調査を長年受けたことがない場合や、税理士の変更で会計処理を大きく変えたような場合には、税理士を変更したタイミングで税務調査が入ったように勘違いするケースも考えられます。
税理士を変えなくても、税務調査が入る条件に該当していれば、調査となる可能性が高まります。適正な申告ができているかをチェックして、1度目の調査が入る前に税務調査対応に強い税理士事務所へ相談するなどして、来るべき税務調査に備えましょう。


1 10 11 12 15
税理士プロフィール税理士プロフィール
税務調査用語解説税務調査用語解説
全国からの税務調査
相談実績1,000件以上

国税局査察部、税務署のOB税理士が所属

税務調査に精通している
「税理士法人松本」が
税務調査の専門家として
あなたをサポートします!

  • 現在、税務調査が入っているので
    困っている
  • 過去分からサポートしてくれる
    税理士に依頼したい
  • 税務調査に強い税理士に変更したい
  • 自分では対応できないので、
    税理士に依頼したい

税務署の対応からサポートします。
お気軽にお電話ください。
日本全国オンライン面談対応

税務調査の専門家に初回電話相談無料
相談予約後、お近くの拠点より
折り返しご連絡します!

相談予約専用フリーダイヤル:0120-69-8822、受付9時から19時まで、土日祝日OK

税務調査専門税理士法人松本

友達追加で簡単にLINEで無料相談!お気軽にご相談ください