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個人事業主の税務調査はいつ?どのタイミングでやってくる?

2023.02.22
個人事業主の税務調査はいつ

税務調査は会社にだけやってくるものではなく、個人事業主として確定申告をしているフリーランスの人のもとへもやってきます。
個人事業主への税務調査は、いつ頃、どのように行われるものなのでしょうか。
ここでは、個人事業主に対する税務調査の時期やタイミングなどについて解説しています。税務調査の連絡が来た際に押さえておきたいポイントについても紹介していますので、税務調査が気になる個人事業主の方は参考にしてください。すでに税務調査が入って困っているフリーランスの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



個人事業主への税務調査はいつ頃ある?

確定申告が終わる時期によってタイミングがことなることも

税務調査が行われる時期については、明確な時期は設定されておらず、どのタイミングで調査されるかは個人事業主によってさまざまです。個人事業主は確定申告を2月から3月の間に完了させます。
税務調査が増える時期として、一般的に7月以降から秋、冬頃とされていますが、個人事業主の場合は、秋を迎えるよりも早い段階で税務調査の連絡が来る可能性が高いかもしれません。

調査前には事前に連絡がある

任意調査の場合、実際に税務署が税務調査に訪れる前には、担当の職員から事前に電話で連絡を受けます。
その際に調査する日程について調整をすることができるため、書類やファイルの整理、過去の申告内容についてチェックをしておきたい場合は、数日から1週間程度の準備期間をもうけることが可能です。
電話連絡がいつ頃来るかははっきりとしないものの、ある日突然やってきてパソコンや仕事で使う書類をすべて押収されるということはありません。

個人事業主が税務調査の対象となりやすいタイミング

すべての個人事業主が税務調査の対象となりますが、10年以上も調査されたことのない人もいれば、数年ほどで税務調査の連絡を受ける人もいます。
個人事業主の中でも、どのような人が税務調査の対象となりやすいのでしょうか。

100人に1人の割合で調査の対象となる

国税庁が発表している2018年までのデータによると、確定申告をしている人の合計およそ640万人に対し、実施された調査は約7万件となっていました。およそ100人に1人程度の割合で税務調査が実施されていることになります。
年度ごとに細かな数値の違いはあるものの、決して低くはない頻度で税務調査の対象となる可能性があるとわかるでしょう。
この「100人に1人」になる可能性が高まる事例には、以下のようなものが挙げられます。

急激に大きな売上を出した場合

税務調査が入る可能性が高まるのは、確定申告をしている個人事業主全体のうち、所得が多い人であるといえます。特に確定申告で売上額が急増している場合、所得隠しが行われていないか、経費は正しく計上されているかといった調査を受けやすくなるでしょう。
消費税の課税事業者となっている人や、売上が大きく上昇したのに消費税の還付申告をしている場合なども、帳簿の記入に不備がないかなど、調査されやすくなります。
案件が多くなり、急激に売上が上がった方で、自身の会計処理があっているか不安な方は一度税理士法人松本までご相談ください。



複数の事業を行っている場合

収入を得ている方法が複雑であったり、現金取引が多く含まれていたりするような場合も、所得隠しを疑われたり、調査対象となる可能性が高まるでしょう。
海外との取引など、消費税の課税対象でない収入が多く含まれる場合も、申告ミスや二重計上がないかといった点をチェックされやすくなります。本来の事業とは別に複数の事業で収入を得ていて、そのうちのどれかに現金取引や免税取引があり、その売上のボリュームが多い場合には注意が必要です。
消費税の課税対象となる程度の所得がある人や、課税対象でなくても前年度の売上が急上昇した人、複数の事業から収入を得ている、その取引に現金や免税のやり取りが多く、所得隠しをしやすいとみなされそうな場合には、税務調査が来る可能性を意識しておいた方が良いといえます。

税務調査に備えて対応するべきポイント

過去の帳簿をチェックする

新しく事業を始めた年や売上が急に増えた年などは、申告が終わった帳簿を再度チェックし、記入漏れや申告ミスがないか念入りに確認するようにしましょう。
申告直前にはしっかりと見る記帳の状況も、申告が終わってしまうと安心感からそのままにしてしまうケースは多いものです。税務調査の連絡を受けた後でも、自らミスに気づき修正申告の申し出をした方が、調査時の心証は良くなるでしょう。

書類は漏れのないように揃えておく

税務調査では、取引について現実に行われたものであることや、経費として計上できる正当な理由などを証明できる書類が必須となります。
確定申告時には提出する必要がないため、雑然と管理している領収書や請求書があれば、年度順にまとめて見やすいようにファイリングしておきましょう。

税理士事務所へチェックを依頼する

税務調査では、過去3年までさかのぼって帳簿や書類の確認が行われます。事業を継続しつつ、3年分の帳簿や書類をチェックするのは、1人で働く個人事業主にとってかなりの手間と労力を要するでしょう。
「ちゃんとチェックできるか自信がない」「ミスがあるかどうかも実はよくわからない」という場合は、信頼できる税理士へ税務調査の対応を依頼することをおすすめします。

まとめ

個人事業主であっても税務調査の対象となる可能性は高く、消費税の課税事業者となったり、売上が急増したりした場合、複数の事業で複雑な取引が増えた場合などに調査が入る可能性はより高まります。 日頃から正しく記帳することが重要であるのはもちろんですが、うっかりミスや故意でない計上漏れがある可能性を捨てきれず不安な場合は、税務調査対応に強い税理士事務所へ1度相談してみると良いでしょう。

税務調査の相談なら、国税OB税理士在籍の税理士法人が安心!

2023.02.17

国税OB税理士とは、国税庁での勤務経験を持つ税理士のことです。税務調査について相談をするなら、国税庁出身の国税OBの税理士が在籍する税理士事務所に相談すると安心だという話を耳にしたことがあるでしょうか。 今回は、国税OBの税理士の強みと国税OBの税理士が在籍する税理士法人に税務調査の対応を依頼するメリットについてご紹介します。 税務調査対応に強い税理士事務所ですので、税務調査のご相談はお気軽にご連絡ください。



国税OBの税理士の強みとは

国税OB税理士は、なぜ税務調査に強いのでしょうか。国税OBの税理士の強みについて解説します。

国税OBの税理士とは

国税OBの税理士は、税理士としての仕事に就く前に国税庁で勤務した経験を持つ税理士です。国税庁に国税専門官として23年間所属し、税務調査の実務などに従事した人の場合、税理士試験を受けることなく税理士の資格を得ることができます。
国税庁に勤務経験があれば税理士試験の一部を免除されるため、中にはその他の試験を受験して税理士資格を得る人もいます。しかし、国税OBの税理士とは、無試験で税理士資格を得た人を指すことが一般的です。

国税庁の税務調査官だったからこそ事前準備の重要性を熟知している

国税OBの税理士は、調査官の立場から税務調査に関わってきた経験があります。そのため、事前準備の段階から調査官の目で資料をチェックし、指摘を受けやすいポイントや改善策についての提案を行うことができます。 また、追加で求められる可能性が高い資料についての予測もできるため、万全の準備で税務調査を迎えられるようになります。

税務調査時の調査官の意図を理解し、適切な対応ができる

税務調査当日には、調査官からさまざまな指摘・質問がなされます。国税OB税理士であれば、調査官の質問にはどんな意図が込められているのか、調査官の立場から税務調査をとらえることができ、適切な対応を取ることができます。

調査官の視点を考慮したうえで税務調査の交渉ができる

税務調査では、さまざまな項目において指摘がなされます。指摘された事項に明らかに問題がある場合もあれば、実際には何の問題がない場合もあります。また、解釈の違いによって判断が分かれる場合もあるため、税務調査では調査官と納税者側が交渉をし、互いに納得できる落としどころを探っていきます。 国税OB税理士であれば、調査官であった経験を活かし、調査官が納得できるギリギリのポイントを探り、折衝を進めることが可能です。折衝次第によって税務調査の結果はもちろん、追徴課税がなされる場合にはその税額にも影響が生じます。 調査官として関わった税務調査の経験が多い国税OB税理士であれば、調査官を納得させ、納税者側も納得できる着地ポイントを見いだせる可能性が高くなります。

国税OB税理士が在籍する税理士法人のメリット

税務調査において、調査官の経験を持つ国税OB税理士の視点がどのように役立つのかをご紹介してきました。
では、税務調査の対応を依頼するのであれば国税OB税理士がよいのでしょうか。

「国税OB税理士」本人に対応を依頼するケースのメリットとデメリット

国税OB税理士本人に税務調査の対応を依頼すれば、上に紹介したようにさまざまなメリットを享受できるため、安心して対応を任せられるでしょう。しかしながら、税務調査が行われる時期は集中する傾向にあり、国税OB税理士のスケジュールがすでに埋まっており、希望の日時に対応を依頼できないケースも出てくると考えられます。また、税理士によっては顧問税理士契約を結んでいる顧客でなければ、税務調査の対応を受け付けていないケースもあります。 国税OB税理士本人に税務調査の対応を依頼する場合、事前通知を受けて税務調査の日時が差し迫っているような場合は希望通りに対応をお願いできない可能性もあります。

国税OBの税理士が在籍する税理士法人なら、ノウハウを共有している

税理士法人の中には、国税OB税理士から税務調査対応のノウハウを共有しているところがあります。 国税OB税理士の調査経験は、税務調査に悩む納税者を強力にサポートできる知識となり、税務調査をスムーズに終わらせるために非常に有効なノウハウとなります。国税OBの税理士が持つこのノウハウを他の税理士と共有する仕組みのある税理士法人であれば、同じ知識やノウハウを持つ税理士が複数在籍することになります。
税務調査に対応できる税理士を探すのであれば、国税OBの税理士だけでなく、国税OBの税理士が在籍し、そのノウハウを共有する税理士法人も探してみるとよいでしょう。国税OBの税理士のスケジュールが合わない場合でも、同様の対応を期待することができます。

国税OBの税理士が多数在籍する税理士法人松本

税務調査に精通する国税OBの税理士が在籍する税理士法人松本は、税務調査の豊富な実績を誇る税理士法人です。税理士法人松本の特長をご紹介します。

国税OBの税理士がいるからこその税務調査のノウハウ

税理士法人松本には国税OBの税理士が在籍し、その知識・ノウハウを他の税理士と共有するための研修も行っています。そのため、所属する税理士は国税OBの税理士に限らず、税務調査の事前準備のポイントや調査官との折衝のポイントなども把握し、税務調査をスムーズに終わらせるノウハウを所有しています。

年間の税務調査相談実績は約100件

税理士法人松本が税務調査の相談を受ける件数は、年間約100件にも上ります。日本全国の税理士一人当たりが1年間に対応する税務調査の件数は1.25件になることを考えると、圧倒的な経験値を持つ税理士集団です。 国税OBの税理士が持つノウハウの共有はもちろん、税務調査の対応経験で培ったノウハウも共有し、成功報酬型の税務調査サポートを行う税理士事務所では国内NO.1の規模を誇っています。

税務調査のみのご相談も可能

税理士法人松本では、顧問税理士契約を結んでいるお客様だけでなく、税務調査のみのご依頼にも対応しています。すでに他の税理士と顧問税理士契約を結んでいるお客様から、税務調査だけのご依頼をいただくケースもあります。 税務調査後に顧問税理士契約を結ぶ必要はございません。安心してご相談ください。



まとめ

国税OBの税理士は、調査官として税務調査に長年関わってきた実績を持つ税理士です。調査官の立場にいたからこそ、税務調査で指摘を受けやすいポイントや準備をしておいた方がよい書類、調査官も納税者も納得できる折衝のポイントなどを熟知しています。 税理士法人松本には国税OBの税理士も多数在籍しており、研修を実施することで、国税OB税理士の税務調査に対するノウハウを他の税理士と共有しています。 初回の電話相談は無料で承っておりますので、税務調査のお悩みをお持ちでしたらお気軽にご相談ください。


税務調査が入った後に修正申告手続きを行う流れについてわかりやすく解説

2023.02.14

税務調査が入った後、適正な申告ではないと税務署に判断されると修正申告を行うこととなります。その際、どのような流れで手続きを行うのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、税務調査が入った後に修正申告を行う流れについて、わかりやすく解説しています。ペナルティが軽くなる修正申告の方法についても紹介していますので、税務調査と修正申告について知りたい際の参考にしてください。税務調査の連絡が税務署よりきて、不安を抱えている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査から修正申告までの流れ

まずは、税務調査が入ってから修正申告手続きとなるまでの一般的な流れについて見ていきましょう。

任意調査の場合は事前に日時が連絡される

税務署が行う税務調査は、多くの場合事前に連絡を受けて調査が行われるかたちです。こうした税務調査は「任意調査」と呼ばれており、実際に訪問を受けるまでの間、数日から1週間程度の猶予があることが多いでしょう。
こうした連絡は税務調査手続きの「事前通知」と呼ばれており、以下の点について通知されます。
・調査が開始される日時
・調査を受ける場所(会社の事務所など)
・調べる税目(所得税、消費税、相続税など)
・調査期間
また、入院や事故など、やむを得ないと思われる理由がある場合には、通知された日時の変更を依頼することも可能です。
この時、代理権限証書を出している税理士がいる場合は、その税理士に案内が行きます。
ただし、事前通知はいつでも必ず行われるわけではなく、税務署が事前通知を行うことで証拠を隠される、または調査に支障が及ぶと判断した場合は、事前通知を行わずに無予告で税務調査が実施されるケースもあります。
事前通知を受けるまでの間や、事前通知後に実地に調査を受けるまでの間にも、税務署内で調査できる点については調査が進められる場合もあります。

税務調査当日の流れ

調査当日は、税務署の職員が2~3名ほどで事務所を訪れます。調査を開始する前には、税務調査の質問検査章と身分証明書が提示され、調査官の身分が明確にされるのが一般的です。
この時に、質問に対して虚偽の返答をすることや、調査を妨害する行為などはしないよう求められます。虚偽の返答や閲覧を求められた帳簿、データなどの提出を拒絶した場合、懲罰の対象となる可能性があるので注意しましょう。
調査時間は通常午前10時から午後16時前後の間で、お昼休憩も挟みながら行われることが多いでしょう。

税務調査完了後から修正申告までの流れ

調査期間終了後も、必要に応じて書類やデータを税務署へ持ち帰ったり、取引先への事実確認などが行われたりする場合もあります。
いずれの場合も、事業に関連する内容であれば、拒絶せずに協力しなければなりません。
調査期間終了後、1週間ほどで調査結果の内容が説明されます。
申告内容について誤りがあると判断された場合や、申告が必要であったにも関わらず無申告であった場合には、修正申告や申告を求められることとなるでしょう。
なお、修正申告した場合に再調査を求めることはできませんが、更生の請求ができることは併せて説明を受け、書面でも提示され、署名押印を求められます。
ここで修正申告に応じない場合、税務署長が更生または決定の処分を行うこととなり、その旨が後日調査対象者へ通知されることとなります。

税務調査後に修正申告をするタイミングは?

上記で説明したように、税務調査手続きの流れとしては、すべての調査が終わった後に修正申告することとなります。
しかし、税務調査が行われる前に、自主的に修正申告することも可能です。自主的に修正申告を行うと、以下のようなメリットを得ることが可能です。

追徴課税が軽減される可能性がある

税務調査で誤りや無申告を指摘されて修正申告した場合、過少申告加算税や無申告加算税などの追徴課税が、高い税率で加算されてしまいます。
追徴課税は、申告の誤りや無申告に対する懲罰的な要素を含んでいます。そのため、調査で指摘を受ける前に、自主的にチェックして間違いを見つけて修正した場合には、減免されるケースが多いのです。
申告期限が過ぎ、税金を納めた後であっても修正申告はできるため、税務調査が入る前に気づいて修正する方が、ペナルティを少なくできるでしょう。

事前通知後の自主申告も認められる

税務調査は、実地の調査で訪問を受ける前に、事前通知があります。この事前通知を受けてから、実際に税務調査が行われるまでの間に、自主的に修正箇所を発見して修正申告することも可能です。
修正申告は、いつの時点であっても申告することが認められており、事前通知直後のタイミングでも問題ありません。

修正申告は税理士へ確認して進めるのがおすすめ

代理権限証書を提出している税理士がいる場合には、税務調査の事前通知を税理士も受けているため、調査前の自主申告についてアドバイスがもらえるでしょう。
もし顧問税理士がおらず、事前通知を受けてから慌てて自主申告をしたい場合には、税務調査への対応に明るい税理士事務所へ相談することをおすすめします。

税務調査への同席や交渉の依頼も可能

税務調査や修正申告、無申告の対応実績が多い税理士の場合、修正申告や無申告からの申告などはもちろん、税務調査への同席や、質問に対する返答などにも対応してもらうことが可能です。
実際にやましいことはないはずなのに、調査の雰囲気に飲まれて虚偽の申告を認めるような態度を取るのはおすすめしません。
税務署でも疑いのレベルで、脱税を確信しているわけではない場合や、しっかりと説明できる場合には、はっきりと主張することが大切です。
税務署への対応や、税務調査で問題となるポイントを知っている税理士のサポートがあれば、むやみに怖がることなく税務調査を受けられるでしょう。

まとめ

税務調査は、事前通知から実際に調査を受けたのち、資料やデータを確認しながら質疑応答を経て、調査結果で申告内容に関する誤りなどの説明とともに、修正申告を求められるのが一般的な流れとなります。
ただし、必ず調査で指摘を受けてから修正申告する流れを取る必要はなく、調査前に誤りが見つかった場合には、自主的に修正申告することもできます。自主申告で修正した方がペナルティも軽くできるため、税理士へ相談しながら、しっかりと対応していきましょう。



税務調査が行われる時期と実施数はどのくらいなのか?

2023.02.07

税務調査は事業を営んでいる法人や何らかの所得を得ている個人を対象に行われる、税務署による調査です。調査対象は所得のある法人や個人であり、どのような会社やどのような人が税務調査の対象として選ばれるのかは誰にもわからないため、急に税務調査の通知を受けると不安になる方も多いでしょう。
では、税務調査はどの時期に行われることが多い調査で、毎年の調査実施数はどのくらいなのでしょうか。 今回は、税務調査の実施時期と実施数についてご説明します。すでに税務調査が入っている方は税理士法人松本までいますぐお電話ください。



税務調査が実施される時期とは

確定申告書の提出期間は毎年2月16日から3月15日と決まっています。税務調査も実施される時期に決まりがあるのでしょうか?


税務調査の実施時期は決まっていないものの、多く実施される時期はある

税務調査の実施時期には、決まりがあるわけではありません。したがって、どの時期にも税務調査が入る可能性はあります。しかしながら、傾向としては確定申告が終わる4月~5月ごろ、国税局や税務署の人事異動が落ち着く7月~12月ごろに多く行われているようです。


法人の場合は決算期に関係することも

法人の場合は、決算期の時期によって税務調査の時期も変わります。決算期を2月~5月に設定している法人の場合は、7月~12月、決算期を6月~1月に設定している法人の場合は1月~6月の間に税務調査が行われる傾向があります。 日本の企業の多くは決算期を3月としているため、税務調査は7月~12月に実施されることが多くなっています。


税務調査の実施数はどのくらい

国税庁が発表した「令和3事務年度 法人税等の調査実績の概要」によると、法人を対象とした税務調査の実施数は、令和2事務年度は2万5,000件、令和3事務年度は4万1,000件となっており、前年比163.2%と増加傾向にあります。これは、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響で税務調査の実施件数が減少していたものの、徐々に税務調査も通常の調査件数に戻りつつあることを示しています。コロナウィルス流行前の令和元事務年度は7万6,000件であったことから、今後はコロナ禍前と同レベルの水準まで戻ると考えられています。
参照:「令和3年事務年度 法人税等の調査実績の概要」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/hojin_chosa/pdf/01.pdf


税務調査の対象となる確率は?

税務調査の対象となる確率は、売上の規模やこれまでの確定申告の実績によっても異なりますが、法人の場合はおおむね3~5年に1回程度の頻度で税務調査が行われると考えられています。
ただし、毎年適正に確定申告を行っている法人の場合は10年以上も税務調査の対象とならないケースもあるため、税務調査の対象となる確率は決まってはいません。いずれにしろ、いつ税務調査の対象となっても問題ないように、日ごろから帳簿の管理などを適切に行っておくことが大切です。


税務調査の流れとは

税務調査が行われるときには、事前通知がなされることが一般的です。事前通知では税務署から電話で連絡が入り、税務調査に入る旨の通知が行われます。事前通知があっても、その場ですぐに税務調査が開始されるわけではありません。税務調査を行うにあたって必要な書類があるため、必要書類の準備期間が設けられるのです。
事前通知の電話では、税務調査の実施日時をいつにするかについての相談が行われます。繁忙期であったり、業務上で都合の悪い日があれば、その日程を避けて調査実施日を調整してもらうことができます。 税務調査当日には、調査官がオフィスや店舗などを訪問し、事業内容等についての質問がなされ、書類のチェックが行われます。税務調査は2日に渡って行われることが多く、場合によっては追加で資料の提出を求められる可能性もあります。
税務調査終了後、約1ケ月後に税務署から調査結果の報告がなされます。調査の結果が問題なければそのまま終了となりますが、調査結果に問題があった場合には税務署の指摘を受け入れて修正申告をするか、指摘事項に納得できない場合は更生手続きを行うようになります。


税務調査の事前通知を受けたら税理士に相談を

前述したように、税務調査は多くの場合、税務署側の都合で調査日時が決定されるわけではありません。事前通知の連絡を受けた場合には、業務のスケジュールなどを鑑みて、事業者の都合に合わせて日時を調整してもらうことができるのです。
顧問税理士契約を結んでいる場合は、税理士のスケジュールを確認したうえで、税理士が立ち会える日程に調査日時を合わせてもらうとよいでしょう。もし、顧問税理士がいないようであれば、税務調査に対応できる税理士を探すことをおすすめします。
税務調査では、難しい専門用語も多用されます。調査官から難解な用語を使った質問をされた際、正しく理解できなかったばかりに適切ではない回答をしてしまう可能性もあり、不正を行っていると判断されてしまうケースもあります。 税理士が立ち会えば、事前準備をしっかりと行い、税務調査で指摘されやすいポイントなどについてアドバイスを受けられます。また、税務調査当日に調査官から指摘を受けた場合にも事業者の立場から、正しい主張をしてもらうこともできるのです。
税務調査と聞くだけで、精神的に不安な気持ちを抱える経営者も少なくありません。税の専門家である税理士に税務調査の対応を依頼すれば、精神的な負担も軽くすることができ、調査もスムーズに終えることができるでしょう。


税務調査に強い税理士法人松本とは

税理士法人松本は、国税や税務署のOBが多数在籍する税理士法人です。税務調査で指摘されやすいポイントや事前に準備が必要な書類などについても十分に把握しており、スムーズに税務調査を終えるための様々なノウハウを保有しています。
実は、税理士には専門分野があり、全ての税理士が税務調査に詳しいわけではありません。税務調査中に指摘を受けた場合も、税理士の交渉によって納税すべき額が変わることは珍しくありません。税務調査をスムーズに終わらせたいのであれば、税務調査対応の実績が豊富な税理士に対応を依頼した方が賢明だと言えるでしょう。
税理士法人松本は、税務署から査察対応まで税務調査サポートを提供する税理士事務所では、国内ナンバー1の規模を誇る税理士法人です。税務調査の事前通知を受けた場合は、ぜひ早めに税理士法人松本までご相談ください。



まとめ

税務調査が行われやすい時期は、4月から5月、7月から12月あたりです。税務調査の実施件数は、新型コロナウィルスの影響で一時は低下していましたが、また増加する傾向にあります。 税務調査には、税理士の立ち合いが認められています。税務署から事前通知を受けた場合には、できるだけ早く税理士に立ち合いを依頼しましょう。
税理士法人松本は、これまでに多くの業界の税務調査に対応してきた実績を誇っています。初回の電話相談は無料で承っております。ぜひお気軽にご連絡ください。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


転売目的の場合は免税販売でも消費税の免税が適用されない?!

2023.02.03

新型コロナウィルスによる水際対策も緩和され、また街中でも外国人観光客の姿を見かけることが増えてきました。外国人観光客が店を訪れ、大量に商品を購入するケースもあるでしょう。観光客が自身で使用するものやお土産として購入する場合は、消費税は免税されます。
しかし、転売目的で商品を購入した場合には消費税が免税扱いにならないことをご存じでしょうか。
今回は2022年末に、アップル・ジャパンに科せられた追徴課税のニュースをご紹介しながら、転売目的の場合の消費税の取り扱いについてご説明します。 消費税の申告方法に不安を抱えている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査でアップル・ジャパンに140億円の追徴課税

iPhoneなどを販売するアメリカのIT大手であるアップル社の日本法人、アップル・ジャパンは、転売目的の疑いがある取引について、消費税の免税販売を行ったと東京国税局から指摘されました。


免税販売とは

免税販売とは、免税店(輸出物品販売場)の許可を受けた店舗が、日本を訪れた外国人観光客などの非居住者に対して、通常生活のように供される物品(一般物品や消耗品)などを販売する際に、所定の手続きで販売することで消費税を免除するというものです。
免税対象となる一般物品には、カバンや靴、洋服、時計、宝飾品、民芸品、そして家電製品などが該当します。一般物品の場合、1人の外国人観光客に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5,000円以上の場合、免税の対象となります。しかし、重要なのは、外国人観光客が生活に使用するわけではなく、事業用または販売用として購入することが明らかな場合は、免税販売対象外になるというルールです。


1人で数百台のiPhoneを購入した場合は転売目的の可能性が高いと判断

アップル・ジャパンの直営店であるアップルストアでは、外国人観光客が1人で数百台ものiPhoneを購入していたケースがありました。数百台のiPhoneを自分で利用する可能性は低く、また土産として購入するにも多すぎる数であり、この場合は転売目的で大量のiPhoneを購入したと判断されました。
日本におけるiPhoneの販売価格は、海外に比べると安価であり、この価格差を狙って転売する観光客が増えているのです。アップル・ジャパンでは、数百台のiPhoneを購入する場合も、免税販売を行っており、この点が税務調査の指摘対象となりました。2021年9月までの2年間に転売目的と考えられる取引が1,400億円に上り、免税販売をした分の消費税140億円がアップル・ジャパンに対して追徴課税されました。


免税販売の不正が税務調査で指摘されるケースが増加

アップル・ジャパン以外にも、転売目的として大量に購入された商品を免税販売しているケースや免税販売制度の対象とならない外国人などに免税で販売したケースなどが相次いで発覚しています。
東京のデパート3社に対して行った税務調査でも、消費税の免税販売の要件を満たさない取引が発覚し、合計して約1億1,000万円の追徴課税がなされています。留学生が来日から1か月の間に、デパートで同じ化粧品を10回にわたり、49万円程度まで繰り返し購入していた例もありました。1回の購入額を49万円程度に抑えた理由には、化粧品は消耗品に該当するため、免税が適用されるのは1日の合計額50万円以下の範囲までと定められているという背景があるからです。
日本では、長い間、物価が下がるデフレの状態でしたが、諸外国ではインフレが続いていました。さらに、2022年には記録的な水準にまで円相場が下落し、円安の状態となっています。
このような状況により、海外と日本の物価の差は広がり、外国人観光客にとって日本は物価の安い国になりつつあるのです。現在は、日本の物価が上がっているというものの海外と比べれば、まだまだその差は大きく、今後、入国緩和によりさらに外国人観光客が増えてきた場合、転売目的で商品を大量購入するケースは増えると考えられます。


転売が疑われるケース

転売目的で購入されるケースとしては、同一人物が同じ商品を大量に購入するケースのほか、転売業者がSNSなどを利用して旅行客を勧誘し、報酬を支払って免税購入させるケースも出ています。 日本に入国後6か月以上経過した外国人や日本国内にある事務所に勤務する外国人は免税販売の対象者とはならなりません。しかし、観光客だけではなく、日本に留学する学生など、外国人であっても日本に居住している人が転売に関わっているケースも増えています。


転売目的の免税販売を見抜かなければ、会社は大きな損害を受ける

税務調査で、転売目的として購入された可能性が高いと判断された取引に関しては、消費税が追徴課税されます。免税販売対象外となる人や買い物に免税販売をしてしまった場合、追徴課税された消費税額は会社側が負担しなければなりません。免税販売時に、転売目的か否かを見抜けなければ、消費税の追徴課税によって会社は大きな損害を受けることになるでしょう。 今後、外国人観光客の入国が増えれば、転売目的の購入件数も増加すると考えられます。
免税販売をする際には、1人でスマートフォンやゲームを大量に購入するケースや多額のブランド品をまとめて購入するようなケース、化粧品を数回に分けて何度も購入するようなケースは転売目的の可能性があります。転売目的が疑われるケースについては免税販売ができない旨を説明し、免税に関するトラブルが生じる前に予防することが大切です。また、パスポートを確認して日本の滞在期間が6か月未満であることを確かめたうえで販売するようにしましょう。


まとめ

日本では、滞在期間が6か月未満となる観光客に対し、出国後に使用するものや土産品の消費税を免税する制度があります。この免税制度を悪用し、転売を目的として商品を大量購入する外国人観光客や外国人観光客に報酬を支払って、免税販売を利用させる転売業者などが増加しています。外国人観光客であったとしても、転売目的をした購入の場合は消費税の免税は適用されないことに注意が必要です。もし、転売目的が疑われる免税販売が税務調査で発覚した場合は、販売者側に消費税の追徴課税を科せられるリスクがあります。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う入国制限が緩和され、観光客が戻ってきました。小売業界ではコロナ禍で沈んだ売上を回復できるチャンスでもありますが、転売目的の免税販売には十分気を付ける必要があることを忘れないようにしましょう。



こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


税務調査が来た歯科医院・歯医者様へ。見られるポイントと対応方法

2023.02.01

税務調査は、納税の義務がある個人や法人を対象に行われる調査で、歯科医院や歯医者さんも税務調査の対象となります。税務調査は、確定申告が正しく行われているかどうかを調べる税務署による調査ですが、税務調査時に見られるポイントは業種ごとに違ってきます。 歯科医院や歯医者さんの税務調査では、どのような点が指摘を受けやすいのでしょうか。 今回は、税務調査の通知を受けた歯科医院や歯医者さんに知っていただきたい、税務調査のポイントと対応方法についてご説明します。 税務調査の連絡がすでに税務署より来ている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



歯科医院の税務調査で指摘されやすいポイント

歯科医院や歯医者さんを対象とした税務調査で指摘されやすいポイントをご紹介します。

歯科医院で特に指摘されやすいのは「自由診療」による収入

歯科医院では、インプラント治療や矯正治療、審美歯科など、保険診療の対象外である自由診療が多く行われています。自由診療は高額になるものの、保険診療のように点数で把握することができないため、計上漏れや過少申告が行われているケースが見られます。
税務調査では、自由診療の医療材料の仕入れや、外注費などの請求書と照合しながら売上のチェックが行われます。自由診療に関連する仕入れや外注費の請求書や領収書はしっかりまとめ、帳簿にも漏れがないように計上しておきましょう。

クレジットカードによる決済時の計上時期のずれ

支払金額が大きくなる自由診療では、患者がクレジットカードでの支払いを行うケースも多いでしょう。クレジットカード決済の場合、入金日と診療日にずれが生じます。売上は発生主義で計上することが原則であり、クレジットカードによる決済の場合は、診療日に売上を計上しないと、計上漏れと指摘を受けてしまう可能性があります。 クレジットカード決済時の計上時期を確認しておきましょう。

予約表と日計表のずれ

歯科医院では、多くの場合、予約制で診療を行っています。そのため、予約表を作成して診療スケジュールを管理していることがほとんどでしょう。
税務調査では、予約表と日計表を照合し、予約が入っているにも関わらず売上が計上されていないケースなどの指摘がなされる場合があります。 予約表と日計表を照合し、予約がキャンセルになったにもかかわらず修正が行われていないものがある場合などは、注意が必要です。日ごろから予約表は正確に管理するようにしましょう。

撤去した金属冠の売上計上漏れ

撤去金属冠の売上は、歯科医院や歯医者様ならではの収入です。税務調査では、撤去金属冠の売却で得た収入を正しく収入として計上しているかが厳しくチェックされます。税務署では、金属冠の買い取り先の業者に対する調査も行っているため、取引先の歯科医院や歯医者様の情報も把握しています。 撤去金属冠を売却して得た収入は、収入としてしっかり売上に計上するようにしましょう。

人件費の計上内容

人件費を増やせば、その分経費が膨らむために売上を低く見せかけることができます。そのため、歯科医院の中には実際には働いていない配偶者や親族などを従業員として扱い、給与を支払っているケースがあります。勤務実態のない配偶者や親族への給与の支払いは経費として認められません。 配偶者や親族が勤務している場合は、税務調査時にタイムカードなど出勤の実態を把握できるものを準備し、給与として支払っている金額も業務内容に対して妥当な金額であることを示せるようにしておきましょう。

歯科治療材料の在庫管理

確定申告の際に経費として申告できる歯科治療材料の費用は、実際に治療に使用した分のみです。仕入れたとしても使用せずに在庫として残っているものは、経費として計上することはできません。もし、在庫が残っているにもかかわらず経費として計上している場合には、経費を過剰に申告しているとみなされるリスクがあります。 期末に在庫として残っているものは、棚卸資産として経費から除外するようにしましょう。

経費が正しく計上されているか

歯科医院や歯医者様の中には、プライベートでの出費を経費として計上してしまっているケースがあります。特に交際費として計上されているものに関しては、誰に対して、何のために使用した支出なのかを明確に示さなければなりません。また、パソコンや冷蔵庫などを経費で購入した際にはそれが個人の使用目的のものではなく、医院内で使用されているものかどうかを税務調査時にチェックされることもあります。 日ごろから経費は正しく計上し、領収書や請求書もしっかり保管しておくようにしましょう。

税務調査の通知が来たらまずは税理士に相談を

税務署から税務調査の通知を受けた場合には、まず税理士に相談をしましょう。たとえ悪意はなかったとしても売上の計上漏れがあったり、経費の計上時期がずれてしまったりといったミスが発覚し、修正申告の必要が発生する可能性もあるでしょう。その場合、不足分の税金の納付に加え、過少申告加算税の納付が求められます。過少申告加算税は、新たに納めることとなった税金の10%相当額となります。
しかし、税務調査の前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税は加算されません。また、事前調査の通知を受けた後でも、調査前に自主的に修正申告をすれば過少申告加算税が軽減されます。 税務調査の事前通知を受けたら、まずは税理士に相談をしてみましょう。事前のチェックにより過少申告加算税を軽減できる可能性もあります。また、税務調査当日に税理士が立ち会うこともできるため、調査官から何か質問や指摘を受けた場合でも、税理士のサポートを受けられます。
事前通知から調査の実施までは、数週間の猶予が与えられることがほとんどです。税務署から税務調査の事前通知があった場合は、すぐに歯科医院の税務調査に詳しい税理士に相談することをおすすめします。



まとめ

歯科医院や歯医者様の税務調査では、自由診療の売上や撤去冠の売却時の収入などについて、詳しく調査が行われる傾向にあります。また、クレジットカード決済による売上計上時期や在庫の計上なども指摘を受けやすいポイントです。
開業されている歯医者さんは、日々の業務に忙しく、なかなか帳簿の管理等が難しいこともあるでしょう。税務署から税務調査の事前通知が入ったら、まずは税の専門家である税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
税理士法人松本は国税OBも在籍する税理士法人です。歯科医院や歯医者様の税務調査についても豊富な経験があり、スムーズに税務調査を終えるためのノウハウも保有しております。初回の電話相談は無料で受け付けておりますので、税務調査でお困りのようでしたらぜひ、税理士法人松本までお気軽にご相談ください。


こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


税務調査で架空外注費の指摘を受けた!?経費の水増しをしてしまった場合の顛末とは

2023.01.27

最近、税務調査で架空の外注費を計上して納めるべき納税額を低く見せかけ、脱税の疑いで告発される例が増えています。もし、税務調査によって架空の外注費を計上し、経費の水増しが発覚するとどのような事態になるのでしょうか。
今回は、最近の脱税事件のニュースをご紹介しながら経費の水増しが発覚した場合のリスクについてご説明します。税務署から連絡があり、すでに税務調査になっている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査で指摘が増えている外注費とは

税務調査では、外注費についての指摘がなされるケースが多くなっています。その裏には、外注費は不正を行ううえでよく利用される勘定科目であるという背景があります。
外注費は、一定の業務の提供を受けた対価として外部の業者に支払う費用です。そのため、業務を外部に委託した際のあらゆる費用を外注費として取り扱うことができ、さまざまな目的やさまざまな支払先に対する費用が外注費として計上されます。
税務調査でよく指摘されるのは、外注費を不正に水増しして経費を多く見せかけ、課税所得額を低く装うというものです。多くの場合、実際の取引相手の外注費を水増しして計上するか架空の取引先に対して外注費を支払ったように計上する手口が用いられています。
また、本来は給料にしなければならないものを外注したように見せかけ、人件費を外注費として計上しているケースもあります。人件費を外注費として計上すれば消費税の対象取引となるため、消費税の仕入れ税額控除の対象となり、会社が納めるべき消費税の額を軽減できるのです。


外注費の水増しをした脱税容疑で告発された事例

最近も税務調査によって外注費の水増しが発覚し、脱税容疑で告発された事例があります。
具体的な事例を2つご紹介します。


・外注費の水増しで約2億4100万円の所得隠しが発覚

2022年10月に、東京国税査察部は埼玉県の広告会社とその代表を法人税法違反などの疑いで東京地検に告発したことが発覚しました。
この法人の代表は、外注先の5つの業者に架空の請求書や代金を水増しした請求書を作らせ、自社の経費を多く偽装していました。この外注費の水増しにより、2019年8月までの3年の間に約2億4100万円の所得を隠し、法人税など約7600万円を脱税した疑いがかけられています。


・架空のコンサルタント料の計上で約1億8000万円の所得隠しが発覚

同じく2022年10月に大阪では、不動産会社の社長が架空の経費を計上するなどして、法人税などおよそ4700万円を脱税した疑いで大阪国税局から告発されています。
この事件では、土地や建物を購入する際にコンサルタント料などの架空の経費を計上し、利益を少なく見せかけていたとされています。2021年3月末までの2年間に約1億8000万円の所得を隠し、法人税などおよそ4700万円を脱税したとの疑いがもたれています。コンサルタント料も架空の外注費としてよく計上されるものであり、税務調査ではコンサルタント料についても細かくチェックをされるケースが多くなっています。


外注費の水増しや経費の水増しによって告発されたらどうなる?

今回の2つの事件のように、脱税として告発された場合は、どのような処分が下されるのでしょうか。


脱税の刑事罰

脱税の容疑を受けて告発されたら、警察によって逮捕され、取り調べが行われます。脱税事件では、関係者と口裏合わせを行ったり、証拠物の改ざんや隠滅を行う恐れがあるため、身柄を拘束されるケースがほとんどです。勾留が満期を迎えるまでに、検察官によって起訴が決定されれば刑事裁判によって、判決が下されることになります。
刑事裁判によって有罪の判決を受けた場合は、刑事罰が科されることになります。刑事罰は、犯罪者に科される罰です。
つまり脱税は犯罪行為であり、脱税によって告発され、有罪の判決を受ければ前科として扱われることになるのです。
外注費や経費の水増しの場合は、意図的に不正をして脱税を行ったと判断されます。この場合の懲罰は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金のいずれか、またはその両方です。


脱税の行政処分

脱税が確定すると、刑事罰だけでなく行政処分として追徴課税が課せられます。
経費の水増しなどによって本来納付すべき税額よりも少ない額を申告した場合には、過少申告加算税が課されます。

・過少申告加算税
加算申告加算税は、追加で納付する税額の10%に相当する額を支払わなければならないものです。ただし、新たに納付するべき税額が当初の申告納税額または50万円のいずれか多い額を超えている場合は、その超えている部分については15%の割合を乗じた額の納付が求められます。

・重加算税
悪質性が高い脱税などの場合は過少申告税に変えて重加算税というさらに思い加算税が課されます。
重加算税は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率が課せられるものです。過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合はさらに10%が加算され、最大で納付税額の50%もの納税を求められることになります。

・延滞税
加算税が課される場合は、納付期限までに正しい金額を納税しなかったことに対するペナルティである延滞税の支払いも求められます。延滞税は納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する額が課せられるものです。
延滞税の割合は、納付期限の翌日から2か月を経過する日までは原則として7.3%です。ただし、2021年1月1日以降の期間は7.3%と延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合が適応されることとなり、具体的には2022年1月1日から2022年12月31日までは年2.4%、2021年1月1日から2021年12月31日までは年2.5%が適用されます。
また、納付期限の翌日から2か月を経過した日以降の割合は、原則として年14.6%です。 ただし2022年1月1日から2022年12月31日までは年8.7%、令和3年1月1日から令和3年12月31日までは年8.8%が課せられます。

このように、脱税の場合は刑事罰に加え、行政処分として重加算税と延滞税の支払いが命じられます。
重加算税は最も重いペナルティであり、経費の水増しの場合は本来納めるべき税額よりも35%も多い額の重加算税と延滞税を納めなければならなくなるのです。


まとめ

架空の外注費の計上や水増しによる脱税の疑いによって告発されている事例が増えています。このような不正を行い、脱税として告発されると容疑者は逮捕されて刑事罰に処され、さらには行政処分として重加算税と延滞税の支払い義務が生じます。
もし、税務調査の連絡を受けたものの外注費を水増しや架空の外注費を計上しているようであれば、早めに税理士に相談することをおすすめします。 税理士法人松本は、税務調査に強みを持つ税理士法人です。外注費の計上について不安をお持ちの場合はお早めにご相談ください。



法人成りした個人事業主の税務調査はどうなる?

2023.01.24

個人事業主の方の中には、さまざまなメリットを考えて法人成りを検討しているものの、どのタイミングで法人成りするとメリットが大きいのか、法人成りのタイミングについて悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、個人事業主が法人成りする場合の手続きやメリット、ベストな法人化のタイミングなどについてご説明します。 個人事業主から法人成りのご相談をご希望の方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



法人成りと必要な手続き

法人成りとは、個人事業主として事業をしていた人が株式会社等の法人を設立して、個人事業主から法人に変更することを言います。法人成りをするためには、まず法人を設立しなければなりません。
法人は次のような手順で設立します。

1.会社名、資本金、事業目的、事業年度など会社の概要を決定する
会社の基本事項は、定款を作成する際にも必要となる事項です。

2.法人の実印を作成する
印鑑は、法務局に設立登記を申請する際に必要となります。ただし、設立登記をオンラインで行う場合は、印鑑は任意となります。

3.定款を作成して、公証役場で認証を受ける
定款は、会社を運営する原則をまとめたものです。株式会社の場合は、定款を作成したら公証役場に提出し、認証の手続きを行います。

4.出資金を払い込む
会社の設立登記が完了するまで法人の銀行口座は作れないため、発起人の個人口座に出資金を払い込みます。

5.法務局に登記申請書類を申請し、登記完了
登記申請書を作成して法務局に申請し、不備がなければ約10日で登記が完了し、会社設立手続きが終了します。(※法務局により手続き日数は異なります。)

6.資産の移行手続きをし、個人事業の廃業手続きを行う
契約名義を法人に変更して事業に関わる資産の移行をし、個人事業の廃業手続きも行います。

法人化には税制上のメリットがある

法人成りするとさまざまなメリットがありますが、その一つに法人は個人事業主よりも高い節税効果を得られるというものがあります。 法人成りをして経営者となった場合、自分に役員報酬を支払うと、一定の手続きに沿って決められた役員報酬は経費として扱うことができます。さらに役員報酬自体に給与所得控除を適用できるため、課税対象となる所得額を抑えることができます。
また、所得税の場合は、累進課税制度により所得が高くなるほど税率は上がります。個人事業主としての所得が増えると、法人成りして法人税等を収めた場合に比べて、所得税の納税額の方が大きくなってしまう可能性があります。

法人成りするタイミングはいつがベスト?

個人事業主が法人化するには、どのタイミングが最適なのでしょうか。

節税のメリットが大きくなる時が法人成りのタイミング

個人事業主が法人成りするタイミングには、さまざまな考え方がありますが、節税のメリットが大きくなるタイミングで法人成りを検討するのも一つの手段です。法人成りすることで節税のメリットが大きくなるのは次のタイミングです。

・課税所得額が800万円~900万円になった時

課税所得が900万円を超えると所得税の税率は33%となります。法人所得に対する税率は、30%程度だと言われており、課税所得が900万円を超えてしまうと所得税額の方が高くなると考えられます。そのため、課税所得が900万円を超える前のタイミングで法人成りを検討するとよいとされています。

・2年前の売り上げが1000万円を超えた時

法人であっても個人事業主であっても2年前の売上高が1000万円を超えると、消費税の納税義務者になります。
しかし、個人事業主は法人成りすると、個人事業主と法人は別人格として扱われるため、課税事業者になるタイミングを2年遅らせることができるのです。したがって、年間の売上高が1000万円を超えたタイミングも法人成りを検討するタイミングとなるでしょう。ただし、資本金が1000万円以上の法人の場合は、設立事業年度から課税事業者となるため注意が必要です。

個人事業主が法人成りをしたら税務調査はどうなる?

個人事業主が個人事業主の廃業届を行い、法人成りした場合、個人事業主として申告していた分についての税務調査は行われないのでしょうか。

個人事業主が法人成りをしても、税務調査の対象者となる

まず、税務調査は、納税者が正しく申告を行っているかどうかの調査になるため、個人事業主が法人成りをしても、法人に対して税務調査が行われる可能性があります。また、所得税の場合、法定納付期限から5年間、国は税金の徴収を行うことができます。さらに不正行為などがあった場合は7年まで時効が延びます。
したがって、個人事業主を廃業して法人成りをしても、過去の個人事業主としての申告内容についてもさかのぼって税務調査の対象になる可能性があります。

法人の方が税務調査を受ける可能性は高くなる

一般に、個人事業主が税務調査を受ける確率は1%だと言われています。一方、法人が税務調査を受ける確率は約2.6%程度だとされています。したがって、個人事業主が法人成りをすると、税務調査を受ける確率は高くなるのです。

法人成りする個人事業主が税務調査に備えて注意すべきポイント

前述のように法人成りしたと言っても、個人事業主時代に行った確定申告の内容について税務調査が行われなくなったわけではありません。個人事業主時代の帳簿や請求書、領収書などもしっかり、保存義務のある7年間は保管しておくようにしましょう。 また、法人成りする時は個人事業主の時と同じ事業で法人化するケースがほとんどです。法人成りしたことで急に経費を増やしたりすると、税務調査時に不審に思われる可能性があります。 加えて、法人成りした場合、個人事業主側と法人側の両方で処理を行い、資産の引き継ぎを行わなければならないことも覚えておきましょう。

まとめ

個人事業主が法人成りをするタイミングの一つとして、節税のメリットが大きくなる時を検討する方も多いでしょう。どのタイミングで法人化すれば、より節税のメリットが大きくなるのかを判断するためには、個人事業主のまま事業を続ける場合と法人成りして事業を進める場合の差をシミュレーションによって導き出す必要があります。役員報酬をいくらに設定するかによっても法人税の額や役員としての個人の所得税の額が変わってきます。
また、法人成りをする時には資産の引き継ぎ等の作業も不可欠です。 このように、法人成りには複雑な手続きや精度の高いシミュレーションが必要となるため、法人成りを検討する際には、ベストなタイミングや資産の引き継ぎの方法などについて税理士に相談することをおすすめします。税理士法人松本では、初回のご相談は無料で承っております。個人事業主の法人成りについてのお悩みでしたら、是非お気軽にご相談ください。



税務調査で謝礼金や紹介料は問題になる?税法の観点から取り扱い方法についても解説

2023.01.20

税務調査においては、個人や法人に支払った謝礼金や紹介料の取り扱いについて調査官から指摘を受けるケースが多くなっています。謝礼金や紹介料、リベート、情報提供料などは、どのように取り扱うのが正しいのでしょうか。 今回は、税務調査で問題になりやすい謝礼金や紹介料などの処理方法についてご説明します。税務署に指摘されると困る謝礼金や紹介料があるという方は税務調査に強い税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



なぜ税務調査では謝礼金や紹介料の指摘を受けやすいのか

謝礼金や紹介料は、交際費として扱われる場合や支払手数料として扱われる場合があります。
資本金が1億円以上の法人では飲食費以外の交際費は損金として扱うことができず、資本金1億円以下の法人では800万円を超える交際費は損金の対象外となります。そのため課税対象となる交際費の額をできるだけ減らすために、本来は交際費に該当する謝礼金や紹介料であるにもかかわらず、損金処理が可能な支払手数料として計上しているケースがあるのです。
税務調査では、課税額を抑えるために不正に謝礼金や紹介料を交際費以外の取引として仮装していないかをチェックすることが多くなります。


謝礼金や紹介料、リベート、情報提供料などが発生するシーンとは

自社で取り扱っている商品や提供しているサービスなどを広く知ってもらうために、宣伝活動の一環として、お友達やお知り合いを紹介していただいた場合に紹介料として謝礼金をお渡しするケースがあるのではないでしょうか。また、講演を依頼した場合や広告モデルを依頼した場合にも謝礼金を渡すケースがあると考えられます。
個人に渡す謝礼金とは異なり、ビジネスが成立した場合に法人に支払われるものにリベートや情報提供料があります。製造業者が小売店や卸業の取引高に応じて、代金の一部としてリベートを支払うケースもあるでしょう。
では、これらの謝礼金や紹介料、リベートなどを支払った場合はどのような処理が必要になるのでしょうか。


個人や個人事業主に支払った謝礼金や紹介料の場合

個人や個人事業主に謝礼金や紹介料などを支払った場合は、「報酬」に該当するものや「交際費」に該当するもの、「支払手数料」に該当するもの等が考えられます。


謝礼金が報酬に該当するケース

講演を依頼した場合の謝礼金や冊子などに掲載する原稿を依頼した場合の原稿料、社内研修などを行った場合の指導料、広告モデルを依頼した場合のモデル料などは、個人や個人事業主が行った業務に対する報酬として扱うことになります。
報酬の場合は、源泉徴収の対象となるため源泉徴収が必要となります。


謝礼金が交際費に該当するケース

租税特別措置法第61条の4では、交際費を「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他の事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と規定しています。 たとえば顧客から友人を紹介してもらった場合に支払った謝礼金は、原則として交際費として扱うことになります。資本金の額が1億円以下の法人の場合、交際費は年間800万円損金として取り扱うことができますが、800万円を超えると課税対象となる点に注意が必要です。また、資本金が1億円を超えている法人の場合は、飲食費(接待費)以外の交際費は全額課税の対象となります。


謝礼金が支払手数料に該当するケース

紹介業など情報提供を生業としていない人に対して紹介料としての謝礼金を支払う場合は、交際費として取り扱います。しかし、次の要件に該当する場合は交際費ではなく、支払手数料等として扱うことが可能です。
(1)その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2)提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3)その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。そのため、チラシやポスターなどに知人を紹介してくれたら謝礼金として3,000円を支払うと明記しておいた場合などでは、契約ではないものの上の条件を満たすと考えられ、紹介料は知人を紹介したことに対する対価として認められるようになります。


法人に支払った謝礼金や情報提供料、リベートの場合

法人に謝礼金や紹介料を支払った場合は、当然ですが源泉徴収の対象とはなりません。法人に謝礼金や情報提供料などを支払った場合の処理は次のようになります。


支払手数料に該当するケース

職業紹介事業や不動産仲介業など、紹介を業とする法人に対して支払った紹介料は、支払手数料として処理することができます。


交際費に該当するケース

紹介業者ではない法人に謝礼金や紹介料を支払った場合は、原則として交際費として扱わなければなりません。ただし、個人や個人事業主の場合と同様に、あらかじめ締結された契約内容に基づき、情報提供等の内容が契約書などに明確に示され、情報提供の対価にふさわしい額であると判断された場合は、支払手数料として扱うことが可能です。 したがって、契約のもと、リベートとして支払った金額は、損金として取り扱うことができます。しかしながら、情報提供料の額の算定基準が契約書などに明確に示されておらず、社会通念上、適正な額だと考えにくい金額を情報提供料として支払っていた場合は、税務調査において損金として認められないケースもあります。また、支払い相手によって情報提供料の算出基準が変わっているような場合は、税務調査において交際費と判断される場合があります。


まとめ

謝礼金や紹介料、情報提供料、リベートなどは税務調査で調査官から指摘を受けやすいポイントです。支払手数料として処理していたものが認められず、交際費であると判断されてしまった場合は過少申告とみなされ、追徴課税がなされる可能性があります。
紹介料や情報提供料などを支払う際には、事前に紹介料や情報提供料などに関する契約を結び、提供を受ける役務の内容や謝礼となる金品の価額を明確に示すようにしましょう。 ただし、謝礼金や紹介料、情報提供料、リベートの取り扱いには複雑な部分もあるため、税務調査での対応に不安がある場合は、事前に税理士に相談することをおすすめします。
税理士法人松本は税務調査専門の税理士法人です。税務調査に対するご相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料で承っております。



役員報酬の相場とは?税務調査で指摘されやすいポイントや注意すべき箇所について解説!

2023.01.13

税務調査では役員報酬が従業員の給与や同業他社の役員と報酬と比較して、あまりに高額に設定されているケースや勤務の実態がないにも関わらず報酬が支払われていないかなど、細かなチェックが行われます。 今回は税務調査で指摘されやすいポイントとともに役員報酬の相場や税務調査時に気を付けておくべき点などについてご説明します。 税務調査が入り、自分だけではどう対応してよいか悩んでいる方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



役員報酬と給与の違いとは

役員報酬は役員に支払う給与であり、従業員と支払う給与と同じだと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、従業員に支払う給与は全額、損金算入できるものであるのに対し、役員報酬は一定の条件を満たさなければ損金として算入することはできません。 損金として算入できる役員報酬は次のようなものがあります。
・定期同額給与
・事前確定届出給与
・業績連動給与

定期同額給与とは

定期同額給与とは、読んで字のごとく、定期的に同じ額を支払う報酬のことです。 1ヶ月以下の一定期間ごとに支給されている給与であり、支給時期における支給額が同額であることが損金算入の条件となっています。

事前確定届出給与とは

事前確定届出給与とは、事前に支給の時期と金額を定めて支給される役員報酬です。
事前確定届出給与を支払うためには、株主総会などで決議し、事前確定届出給与に関する届出書を税務署に提出しなければなりません。税務署への届出を怠った場合は、損金算入はできません。

業績連動給与とは

業績連動給与とは会社の業績に合わせて支給される役員報酬です。業績連動給与を損金に算入するためには、同族会社に該当しない法人であり、給与の算定を客観的な指標(有価証券報告書)に基づいて行っていること、給与の算定方法を開示することなどの条件が定められています。

役員報酬の決定方法

まず、株主総会で役員報酬の総額を決定します。総額が決定したら、次に取締役会において役員ごとの報酬の配分を決議します。取締役会を設置していない会社は代表取締役が配分を決定します。 役員報酬は来期の収益を予測し、収益の見通しに沿った金額を設定します。ただし、役員報酬額が大きくなれば会社が負担する社会保険料は増えますが、会社が負担する法人税額は減ります。
しかし、役員報酬が多くなると役員個人が支払う所得税や住民税の負担は大きくなります。役員報酬を決定する際には、収支計画を策定し、税額のシミュレーションを行ったうえで社会保険料や法人税のバランスも考え、額を決定することが大切です。

役員報酬の相場

人事院による民間企業における役員報酬(給与)調査によると平成30年の企業規模別、役名別平均年間報酬は次のようになっています。

出展元:人事院民間企業における役員報酬(給与)調査

税務調査で指摘されやすいポイントとは

定期同額給与の額を変更できる時期は期首の3ヶ月間以内と決められています。 しかし、役員報酬を変更すれば、法人税額を減らすことができます。例えば、思ったよりも利益を得られた場合、役員報酬を高くすれば法人税額を抑えることができるため、役員報酬を変更して調整しようという安易な考えを持つケースが少なくないのです。 そのため税務調査では役員報酬の額が適切なものであるか、期の途中で報酬の額を変更していないかについてチェックが行われます。

1.役員報酬は、適正な額に設定されているか

法人税法第34条第2項では「内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。」と示しています。この不相当に高額な金額であるかどうかは、実質基準と形式基準で判断されます。
実質基準では、役員の職務内容と法人の収益状況、従業員の給与との差、同規模・同業他社の役員の報酬金額の4つのポイント確認し、適正であるかどうかが判断されます。 役員が仕事をしていないにも関わらず報酬を得ていないかを確認するため、実際の職務内容や勤務実績などが調査されます。
また、法人の収益が赤字であるにもかかわらず、役員報酬が収益に見合わないほど高額である場合は適正な額とはみなされないでしょう。また、従業員の給与や同業他社の役員報酬額に比べて極端に高い金額に設定されていないかなどが確認されます。
形式基準では株主総会などで定めた役員報酬額を超えていないかどうかのチェックがなされます。

2.みなし役員に対する報酬を役員報酬として扱っているか

みなし役員とは、役員としては登記されていないものの、実際には経営に携わっていると判断される人のことを指します。 例えば、役員登記をしていないものの相談役や顧問というかたちで法人の経営に従事している人や同族会社の従業員として働いているものの一定以上の株式を保有して経営にも携わっている人などが該当します。 経営に従事しているとは、主要な業務や会社の運営の意思決定に参画していることを指します。経営方針の決定や従業員の採用などにもかかわっているようであれば、みなし役員だとみなされるでしょう。 みなし役員に支払う報酬は、給与ではなく役員報酬として扱われます。したがって、税務調査ではみなし役員の報酬を給与として扱っていないかについて重点的にチェックされるでしょう。特に同族会社の場合は、配偶者や子供などが実質的に経営に携わっているケースが多いため注意が必要です。

3.前期の役員報酬と比較して大きな変動がないか

前年の役員報酬と比べて、役員報酬が2倍以上増えていたり、半分以下に減っていたりすると、何らかの不正が行われているのではないかと疑われるケースがあります。役員報酬の額を極端に変更する際には、調査官から指摘を受ける可能性があります。

まとめ

税務調査時には、役員報酬についての指摘が行われるケースが多くあります。役員報酬を決定する際には同業他社の役員報酬の相場や従業員の給与と比較して、妥当だと考えられる額を設定するようにしましょう。 また、みなし役員の報酬は給与ではなく役員報酬として扱う点にも注意が必要です。役員報酬の設定方法やみなし役員の報酬の扱い方などにご不安がある場合は、税務調査が入る前に税務調査に強い税理士法人松本までお気軽にお問い合わせください。初回のご相談は無料で承っております。



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