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税務調査の事前通知が届いた!税務署への対応方法から調査の流れまでを解説

2022.09.20

税務調査とは、納税者が正しく納税を行っているかどうかを調べる調査です。税務調査は国税庁又は税務署に所属する調査官によって行われます。税務調査の実行前には事前通知が行われることが一般的であり、調査日までに納税者が書類等の準備をできるように時間的な配慮もなされています。もし、税務調査の事前通知が届いた場合は、どのような準備をしておいた方が良いのでしょうか。
今回は、税務調査の事前通知が届いた場合の対応方法や税務調査の流れなどについてご説明します。 税務署から連絡があり、税務調査が入ってしまい、不安を抱えている方は税理士法人松本までご相談ください。



税務調査の流れ

税務調査は、次のような流れで行われます。

1.税務署からの事前通知

税務署から事前通知が行われ、税務調査に入る旨と調査の目的、調査の対象期間などが伝えられます。税務署側から調査日時を伝えられるケースもありますが、多くの場合は納税者の都合を確認した上で調査日時が決定されます。

2.実地調査

税務調査当日、調査官による調査が行われます。調査では必要な帳簿や書類などを確認し、売上や経費が正しく計上されているか、申告内容と相違が無いかなどのチェックが行われます。また、不明な点があった場合には調査官から質問がなされ、納税者に説明が求められます。中には、取引先などに対しての調査が行われるケースもあります。調査にかかる時間はおよそ2日間です。

3.調査結果の通知

調査結果は、申告内容に誤りがあったかどうかによって通知方が変わります。

◎調査の結果、申告内容に誤りが無かった場合
更正決定等をすべきと認められない旨の通知が送付され、税務調査は終了となります。

◎調査結果で申告内容に誤りが見つかった場合
調査の結果、申告内容に誤りが見つかった場合や期限までに申告を怠っていたことが分かった場合などは税務署から調査結果の内容が説明され、修正申告や期限後申告を行うようにすすめられます。
顧問税理士がいる場合は、税務署から指摘を受けた事項の検証を行い、税務署側の主張が正しいのか、納税者側の主張も加味されるべきなのかを検討し、税務署との折衝を行います。その上で、修正申告が必要だと納得できた場合には、修正申告を行います。
納税者が修正申告を行わない場合は、税務署が更正を行います。更正とは、税務署側が申告の誤りを正す行為です。更正に不服がある場合は、国税不服審判所などに不服申し立てを行うことができます。ただし、更正に不服申し立てを行い、訴訟まで発展させると多大な時間と労力、そして費用が必要となります。修正申告をせずに更正を選択するかどうかは顧問税理士などと相談しながら、慎重に判断することをおすすめします。


4.追徴課税の納付

修正申告を行った場合は、不足分の税額や延滞税、過少申告加算税などの追徴課税を納付します。追徴課税の納付は、一括で納めることが原則となっています。

税務調査の事前通知とは

税務調査が行われる前には、事前に納税者に税務調査に入る旨の通知が行われます。これは平成23(2011)年度税制改正で法的に義務付けられたルールです。しかし、事前に通知することで、正しい調査に支障を来すケースも起こりうるため、一定の場合には事前通知を行わないことも定められています。
事前通知では次の事項についての通知がなされます。
・実地調査を行う旨
・実地の調査を開始する日時
・調査を行う場所
・調査の目的
・調査の対象となる税目
・調査の対象となる期間
・調査の対象となる帳簿書類その他の物件
・調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所又は居所
・調査を行う当該職員の氏名及び所属官署
・調査開始日時又は調査開始場所に関する変更事項
・事前通知以外の事項について非違が疑われることになった場合には、当該事項に関し調査を行うことができる旨

事前通知がなされないケースは、どのような場合?

事前通知なしで税務調査を行うケースについては、「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合」と法令で規定されています。事前に通知することで税務調査までに必要な帳簿類などを改ざん・隠滅してしまうおそれがある場合や、納税者が逃亡してしまうようなおそれがある場合などは、事前通知なしに税務調査が行われる可能性があるのです。
また、飲食店のように現金取引を主とするような業種の場合も事前通知なしに税務調査が行われるケースがあります。

税務調査の事前通知はいつ、どのように届く?

税務調査の事前通知は、調査の何日前までに行わなければならないという規定は無いため、個々のケースによって事前通知が入る時期は異なります。調査開始日までに納税者が調査を受ける準備を整えられるように配慮され、ある程度の時間的余裕を持って事前通知がなされるようになっています。一般的には、税務調査の2週間から3週間程度前に事前通知が入ることが多いようです。
事前通知は、原則として電話で行われます。口頭で前述した11の項目についての説明がありますので、メモを準備して通知内容をしっかり書き留めておくようにしましょう。
電話による事前通知が困難であると認められた場合は、書面によって事前通知がなされるケースもありますが、納税者側からの希望によって電話以外の手段で事前通知が行われることはありません。

税務調査の日時変更はできる?

事前通知の電話では、税務調査の日時について納税者の都合を確認されます。経営者が不在の場合や業務の都合で避けたい日程などがあればその旨を説明し、日時を調整してもらうことができます。また、税務調査当日に契約している税理士に立ち会ってもらうことも可能です。顧問税理士がいる場合は、税理士のスケジュールも確認して日時を決めるようにしましょう。
納税者側の都合に合わせて調査日時を調整してもらったことが理由で、調査内容が不利に働くことはありません。税理士や経営者、経理担当者などが確実に立ち会える日で調整するようにしましょう。 税務調査に立ち会える税理士をお探しの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査の事前通知が来たら準備すべきこと

事前通知が来たからといって慌てる必要はありません。まず、税務調査の対象となる期間分の帳簿や書類を準備します。調査対象期間は直近の3年から5年程度であることが一般的です。準備が必要な書類は、次のようなものです。

事前通知が来たら準備しておく書類

<売上に関連する書類>
・請求書
・見積書
・受注書の控え
・契約書
・小切手の控え
・総勘定元帳
・売掛帳など

<経費に関連する書類>
・支払い領収書
・請求書
・納品書
・発注書
・買掛帳など

<その他、必要になる書類や準備しておいた方が良い書類>
・法人税の納付書控え
・源泉所得税の納付書控え
・資産関係の契約書
・現金残高の分かる通帳
・手形帳
・源泉徴収簿
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・出勤簿もしくはタイムカード
・雇入関係書類
・退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)など

また、税務調査時にはオフィス内や店舗、工場、倉庫などの確認も行われることが多くなっています。オフィス内の金庫、経営者や経理担当者のデスクの中やパソコンのデータも調べられる可能性がありますので、整理しておきましょう。現金出納帳の残高と現金残高に相違が無いこともチェックしておくことをおすすめします。


税務調査の前までに確認しておきたいこと

税務調査をスムーズに終えるためには、事前の準備も大切です。上に示した書類を準備し、提出を求められた時にすぐ出せるような体制を整えておくことが大切です。加えて、次のような項目についても事前に準備を進めておきましょう。

・顧問税理士に連絡をする

顧問税理士契約を結んでいる税理士がいる場合は、まず税理士にその旨を伝え、調査日時を調整しましょう。調査日時が決定したら税理士、経営者、経理担当者と税務調査に向けて事前に準備すべき事項について入念な打ち合わせを行います。

・税務調査当日の対応者を決める

税務調査の当日は、調査官からさまざまな質問がなされ、説明を求められます。税務調査には、経営者や経理担当者が立ち会うことが多いでしょう。調査当日に焦ること無く、明確に回答できるようにするためには、誰が調査当日に立ち会い、どのような役割を果たすのか、しっかり役割分担を決めておくことをおすすめします。顧問税理士がいる場合は、税理士が対応することも可能です。
また、自社製品や取扱製品、提供サービスの特徴の紹介や受注から売上までの流れについての説明が求められる可能性があります。これらについても、調査官に分かりやすく伝えられるように事前に説明を準備しておくと良いでしょう。

・帳簿の内容や伝票などを確認する

税務調査では、売上と支出を正しく計上しているか、正しい納税を行っているかの調査が行われます。帳簿にメモ書きが書かれている場合や付箋が貼られていたりすれば、何らかの不正行為が行われたのではないかと疑われる可能性もあります。メモや付箋の内容を説明できるようにしておきましょう。
また、経営者が個人的に購入したものを経費として計上していないか、架空の領収書を作成していないかなどのチェックも行われます。請求書や領収書についても、説明できるように準備をしておきましょう。
そのほか、架空の人件費を計上していないか、人件費として計上すべきものを外注費として取り扱っていないかなどについての確認がなされるケースもあります。従業員の履歴書やタイムカードなど説明の根拠となる書類を用意し、質問がなされた際には調査官を十分に納得させられるような説明ができるようにしておくと良いでしょう。

税理士と契約していない場合は、税理士に相談を

税務調査では、売上や支出の計上時期などもチェックされます。特に、今期の売上や支出を翌期に計上していないか、反対に翌期に計上すべき売上や支出を今期に計上していないかなど、計上時期については指摘されることも多くなっています。これは、計上する時期を操作して意図的に所得額を多く、又は少なく見せるなどの不正が行われていないかをチェックするためです。
意図的に売上や支出の計上時期を操作していない場合でも、認識の誤りから計上時期がずれてしまうこともあるでしょう。そのような場合、税務調査の当日に調査官から指摘をされると、緊張から上手く答えられない場合や専門用語が理解できずに曖昧な回答になってしまう場合もあります。しかしながら、調査官が納得できる説明をできなかった場合は、申告内容に誤りがあると判断され、修正申告をするよう求められます。
税理士がいれば、帳票や伝票なども税務調査前にチェックを行い、ミスが無い状態で税務調査を迎えられるようになるでしょう。また、もし、調査官から申告内容について指摘があった場合でも税理士であれば納税者の主張を伝え、互いが納得できるように合意点を探ることができます。
会社を経営している人であっても、個人事業主であっても税務調査を複数回経験するということは、そうそう無いはずです。慣れない税務調査に慌てるよりも、税務調査の経験豊富な税理士に不安点を相談できれば心強いのではないでしょうか。

税理士に相談する際の注意点

税務調査は、事前通知から2~3週間程度後に行われることが一般的です。調査日時については税務署と調整することもできますが、事前通知の日から数か月後などに設定することはできません。事前調査の通知を受けて税理士を探す場合は、まず税務調査の前までに書類や帳簿のチェックができるか、税務調査の日時に立ち会うことができるかを確認しましょう。
また、税理士の中には顧問税理士契約を結ばなければ税務調査に対応しないというケースもあります。税務調査の対応だけを依頼したい場合は、税務調査のみの依頼が可能かという点も確認しておく必要があります。 最後に、税理士といえども全ての税理士が税務調査に詳しいわけではありません。申告の誤りを指摘された場合などは、税理士の経験がものをいうケースもあります。事前通知を受けて税理士を探す場合には、税務調査に詳しい税理士に依頼するようにしましょう。

まとめ

税務調査は、調査に入る前に事前通知が行われることが一般的です。事前通知は電話で行われます。税務調査の事前通知が届いても、通知から調査までは2週間から3週間ほどの時間の余裕が与えられることがほとんどであり、その間に必要な書類や帳簿等を準備することができます。
調査で申告ミスを指摘されれば、追徴課税がなされる可能性もあります。スムーズに税務調査を終わらせるためにも、安心して税務調査に臨むためにも、顧問税理士の契約をしていないような場合は、税務調査に強い税理士に相談してみることをおすすめします。



副業が税務調査の対象になるサラリーマンとは!?いくら以上稼ぐと税務署が目をつける?

2022.09.17

リモートワークの整備や社内規定の緩和などで、サラリーマンでも副業やダブルワークを始める人が増えてきています。給与以外で収入を得た場合、基本的には申告が必要となります。しかし、もし申告しなかった場合に、個人でも税務調査の対象となるのでしょうか。いくらまでの収入なら申告しなくても問題ないのかも知っておきたいところです。
ここでは、サラリーマンが副業で確定申告の対象になるケースや、申告しなかった場合のペナルティについて解説しています。 すでに税務調査が入り、税務署の対応にお困りの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



サラリーマンが副業収入で確定申告が必要となる金額

サラリーマンとして給与所得を得ている人が副業を行った場合、確定申告が必要な金額は以下のようになります。

1年間に20万円を超える所得で申告の対象に

所得税法では「給与以外の所得」が年間で20万円を超える場合には、確定申告が必要となると定められています。 会社員の場合、1年間に支払われた給与から年末調整されて所得税が計算されている場合は、確定申告の必要はありません。 会社員としての給料とは別に、副業やFXなどで20万円を超える所得がある場合には、確定申告が必要となるのです。

20万円を超える収入があっても赤字の時はどうなる?

確定申告する際に収入を計上するのはもちろんですが、収入を得るためにかかった費用も計上します。
ここでポイントとなるのが、売上よりも費用の方が大きく、赤字となっている場合でも、確定申告しないと「無申告状態」となってしまう点です。
実際には支払いに追われて手元に所得が残っていなかったとしても、仮に売上や報酬として20万円を超える振り込みがあった場合、そこから差し引かれる経費があることを証明する必要があります。
経費はレシートや領収書などをもとに「消耗品費」「通信費」のように科目ごとに振り分け、帳簿に記帳する作業が必要です。
感覚的には「入金はあったが、支払いで右から左に消えていったから手元にはお金が残っていない」という状態であったとしても、それを申告しなければ「20万円を超える所得を得ているのに、確定申告をしていない」とみなされるのです。
しっかりと申告をして赤字を計上すれば、税金の還付を受けることができます。経費や各種控除をしたうえで20万円を超える所得があるかどうかを見極めるためにも、確定申告は必要であると考えるべきでしょう。

サラリーマンの副業はいくらから税務調査の対象になる?

確定申告がいくら以上の所得から必要かがわかったところで、副業が税務調査の対象となり得るケースについても見ていきましょう。

無申告は金額に関わらず税務調査の対象となりやすい

給与は会社側が所得税を給与から差引き代わりに支払ってくれますが、副業で得た収入を放置していれば、無申告の収入がある状態となります。
税務署では、確定申告の必要があるのに申告を怠っている人については、重点的に調査対象とする傾向があるのです。
「個人的な収入だからわからないだろう」「無申告なら調べようがないだろう」と考えたくなりますが、税務署では個人口座の入出金履歴なども調べられます。
「年間の収入が少額だから」と長年放置していれば、副業であってもまとまった額の所得となるため、忘れた頃に税務署から連絡が来るといったケースも少なくないのです。
期限までに申告・納税していない税金は追徴課税の対象となります。税務調査となれば、最低でも3年分まで遡って調査を受けることとなるため、想定よりも多額の税金を納めなければならなくなるでしょう。

特定の取引や不審な点がある場合も調査対象に

毎年確定申告をしていても、申告内容に不審な点があると考えられる場合には、サラリーマンであっても税務調査の対象となる場合があるでしょう。
無申告以外にも、税務署が調査対象として選びやすいケースはあります。海外との取引や、現金による取引が多い場合、インターネットによる取引をメインに所得を得ている場合などは、調査対象とされやすい傾向があるのです。
こうした取引は実際の収支を操作しやすく、いわゆる「所得隠し」を行いやすい点から、国税庁でも調査を強化していることを公表しています。
ほかにも、過去に税務調査の対象となったことがある場合や、取引先が脱税などの不正行為で調査を受けた場合も、税務調査の可能性は高まるでしょう。

副業の税務調査を回避するための対策は?

本業や副業の区別なく、いったん税務調査の対象となってしまえば、過去何年にも遡って、取引を細かく調査されることとなります。もちろん、正しく申告できていれば、税務調査はそこまで怖れるものではありません。
税務署でも、税務調査に対応できる人員は限られています。「ずっと申告していないけど、何も連絡がないから大丈夫なのだろう」と思っていたら、ある日突然税務署から調査の連絡が来る可能性は、申告するべき所得がある人なら、誰にでもあるものです。
無申告であっても、税務調査の連絡を受ける前に申告すれば、追徴課税を大幅に減免することもできるでしょう。
税務調査回避の対策としては
・年間20万円以上の所得がある場合には、確定申告を行う
・赤字であっても確定申告をする必要がある
・レシートや領収書はすべて保管しておき、過去の申告に間違いがないかチェックする
・修正が必要な場合は、早めに修正申告を行う
などが挙げられます。
「帳簿をどう管理してよいかわからない」「自分では判断が難しい」という場合には、税理士事務所の無料相談などを利用してみるとよいでしょう。
サラリーマンの副業や個人事業主の税制サポートに強く、無申告状態や過去の申告についても対応可能な税理士事務所などを探して、早めの対応をするように心がけることが大切です。 税理士法人松本でも確定申告を承っております。お気軽にご相談ください。



まとめ

サラリーマンの副業であっても、年間20万円以上の所得があれば、確定申告の必要があります。無申告状態や不審な取引が多い場合には、個人的な副業や少額の所得でも、税務調査の対象となるケースは充分考えられます。
税務調査をただ怖がるのではなく、必要であれば税理士のサポートを受けるなどして、正しい申告に関する知識を身につけましょう。

税務調査は事前通知から始まります!対応方法と調査の流れについて解説!

2022.09.14

ある日突然、税務署からの着信や電話があったら、それは税務調査の事前通知かもしれません。事前通知の連絡が来たときには、どのように対応すればよいのでしょうか。対応方法と併せて、事前通知から税務調査までの流れについても知っておきたいところです。 ここでは、税務調査の事前通知を受けた場合の対応方法や税務調査の流れなどについてわかりやすく解説しています。 税務調査が決まってから税理士を探しても対応してもらえるのか、顧問の税理士以外の税理士に対応依頼は可能かなども説明していますので、税務調査の流れや対応方法について知りたい際の参考にしてください。 税理士法人松本では税務調査対応のみも承っておりますので、お気軽にご相談ください。



税務調査の事前通知とは?

税務署から電話や書面にて税務調査を実施する事前連絡があることを「事前通知」と言います。
ただ、電話による連絡が困難な場合は、税務署の判断で書面での事前通知を行うこともあります。
平成23年12月に国税通則法が見直され、調査の進め方などが法定化されました。原則として、納税者に対し下記内容が通知されます。

1.実地の調査を開始する日時
2.調査を行う場所
3.調査の対象となる税目
4.調査の対象となる期間
5.調査の対象となる帳簿書類
6.調査で訪問する調査官の氏名と所属
7.その他調査の円滑な実施に必要なもの等

税務代理権限証書を提出している税理士に対しても同様に通知が行われます。
このように、事前通知で調査内容などを伝えているため、伝えている内容以外のことに及んだら、調査官は改めて納税者に対し、調査対象に追加する税目、課税期間などについて説明し、納税者の理解と協力を得たうえで調査を行うことになります。事前通知の持つ意味はとても大きいと言えるでしょう。

税務調査は拒否できないが日程調整は可能

納税者には実地調査に協力する義務があるため、事前通知について拒否や辞退をすることはできません。
ただし、病気やケガなどやむを得ない理由がある場合には、日程を変更することも可能です。
事前通知は、原則として電話による通知となっています。このときに、日程について即答せず「税理士へ確認して折り返します」と言うこともできます。
なお、現金取引がメインの飲食店などで、事前の通知なく調査訪問を受けた場合でも、病気やケガなどやむを得ない理由があると判断されれば、日程変更してもらえる点は同じです。

税務調査の事前通知が来たらどうすればいい?

税務調査の事前通知を受けたら、以下のような準備に入りましょう。顧問税理士がいる場合は、税理士にアドバイスを求めながら書類を準備していきましょう。

帳簿書類やデータを準備

・申告書類
・総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳や買掛帳などの帳簿類
・請求書や領収証などの帳票類
・源泉徴収票など給与に関する書類

これらの書類は最低3年、できれば5年分はチェックして揃えるようにしましょう。
慌てて揃えようとすると、抜け漏れが出てしまいます。日頃から5年分はいつでも提示できるよう、見やすく並べてファイリングなどしておくことをおすすめします。

オフィスや店舗内の点検を行う

税務調査で訪問を受ける事務所や店舗内も必ず点検しておきましょう。ストックスペースの在庫や金庫、レジやタイムカード周辺なども確認される可能性があります。
支店や工場、倉庫はもちろん、関連会社のオフィスなども調査を受ける可能性があります。
営業には関係のない備品や私物など不要なものは極力置かないようにして、帳簿上と現物や現金残高などは一致するか事前に確認しておきましょう。

会社概要や事業概要、取引や業務の流れを再確認

経理に関する質問は税理士や経理責任者が応答することとなりますが、会社概要や事業、人事や業務に関する質問には経営者が応答する必要があります。
特にイレギュラーな取引や大幅な値引き、締め支払い日がまちまちな取引先がある場合にはその理由、外注費と人件費の明確な違いなどは、税務調査で指摘を受けやすいポイントです。
これらのポイントについては、いつ聞かれてもしっかりと説明できるよう改めて整理しておくようにしましょう。

調査に立ち会いできる税理士がいない場合は?

調査に立ち会い可能な税理士がいない場合は、税務調査対応に特化した税理士法人松本へお気軽にご相談ください。
税理士法人松本では、現在顧問の税理士がいる方や既に事前通知を受けている方からのご依頼にも対応可能です。
北海道から九州、沖縄まで全国規模で多くの税務調査対応実績を持ち、元税務署長経験者、査察経験者の国税OBも在籍しております。
税務調査の事前通知を受けたその日に実地調査が行われることはなく、数日から1週間など、ある程度の猶予を持って通知されるのが一般的です。
そのため、税務調査対応をしてくれる税理士と契約していない場合には、事前通知を受けてから税務調査に強い税理士を探して依頼することも可能です。
現在、顧問税理士がいる場合は、税務調査の事前通知が来たことを伝え、立ち会いの依頼をするようにしましょう。



事前通知後の実地調査の流れ

税務調査当日は、調査官が会社や店舗、事務所などを訪れ調査を行います。調査は2日間にわたって行われることが多いです。
調査官の訪問が終わっても、税務調査は続きます。調査のなかで出た調査官からの指摘や質問に対する回答や資料の準備を行います。顧問税理士がいない場合は、納税者自身がこの対応を行うことになります。顧問税理士がついている場合は税理士が交渉を行います。
調査が終わり、結果が決定するまでの期間は1か月以上かかるのが一般的です。

調査の結果、申告内容に誤りがないと認められた場合は、書面の通知(更正決定等をすべきと認められない旨の通知)により調査が終了します。
申告内容に誤りがあり、修正申告や更生の請求をするよう指摘があった場合には、申告内容の誤りとなっている部分、金額、理由について調査官から法律上の説明がなされます。

まとめ

現在の税務調査は「事前通知」を経て実地調査の流れとなります。
こうした税務調査の流れを知っておくことは、納税者側も受忍義務の観点から必要になります。強制調査や現金取引の多い飲食店への任意調査などでは、事前通知なしに実地調査がやって来るケースもあります。税務調査までには、書類の準備や対象となる帳簿書類など、用意するべきことがたくさんあって納税者としては不安になりがちです。
税務調査の不安を減らすには、税理士に立ち会いを依頼することをおすすめします。顧問税理士がいれば、日頃から税理士と事業の流れやお金の流れのやり取りを行っているため、税務調査での対応がスムーズになります。
また、調査官の指摘が間違っている場合、税理士なら適切に対応することが可能です。顧問税理士がついておらず、これから税理士を探して立ち会いを依頼したい場合は、いますぐ税理士法人松本の初回無料電話相談をご利用ください。





いきなり税務調査が入った!無予告で調査が入ることはあるのか?

2022.09.13

いきなり税務署の税務調査官がオフィスやお店に訪れ、これから税務調査を行う旨を伝えられたらどうすればよいのでしょうか。税務調査が行われる前には、原則として納税者に対し、税務調査に入る旨の事前通知が行われます。そのため、税務調査の日時までに書類や帳簿等を準備することができますが、いきなり税務調査が行われる場合は書類等の準備はもちろん、心の準備も整わないまま税務調査を受けることになってしまうのでしょうか。
今回は、無予告での税務調査が行われるケースとその場合の対応方法についてご説明します。 無予告で税務調査がすでに入り、税理士がついていないため不安がある方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査は原則として事前通知が行われる

税務調査が行われる前には、原則として納税者に税務調査を行うことについての通知が行われます。これは、国税通則法第74条の9に定められている事項です。ただし、税務代理人がおり、税務代理権限証書において事前通知は税務代理人に対して行われることに同意している旨を記載している場合は、税務代理人対して事前通知が行われます。
事前通知は電話で行われることが一般的で、税務調査を行う旨のほか、税務調査の日時、調査の対象期間などが納税者又は税務代理人に伝えられます。税務調査の日時は、納税者の都合も考慮に入れたうえで調整してもらえることがほとんどであり、多くの場合、事前通知から税務調査までは2~3週間程度の猶予が与えられます。


いきなり税務調査が入るケースとは

国税通則法では、税務調査を行う前には事前通知が必要であることを定めている一方で、事前通知を必要としないケースについても定めています。したがって、場合によっては事前通知なしに、無予告で税務調査官がいきなりオフィスやお店に訪れ、税務調査を行う可能性もあるのです。
国税通則法第74条の10では「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合」には事前通知の必要はない旨が示されています。
つまり、事前通知をすることで帳簿の改ざんや証拠の隠滅など不正な行為が行われる可能性があり、正確な課税額の把握や適正な調査を実行できないおそれがある場合は、事前通知なしにいきなり税務調査に入ることが法律で認められているのです。


無予告で税務調査が入る可能性が高い業種

税務調査は事前通知を行うことを原則としています。無予告の税務調査が行われるのは、前述したように、事前通知によって調査に弊害が生じる可能性がある場合のみです。
無予告で税務調査が入りやすい業種には特徴があります。それは、現金を中心とした商売を行っている業種です。具体的には、飲食業や小売業、美容院・理容院、サービス業などが対象となりやすいと言われています。 現金商売は、客から現金を受け取っているため、銀行の振込とは異なり、入金や出金の記録が残らず、お金の流れを後追いしにくいという特徴があります。特に、個人客を対象とする商売では、レシートや領収書の発行を必ず求められるわけではないため、代金を受け取ってもレジを打たなかったり、領収書を発行しなかったりすれば、その記録がどこにも残りません。もし、事前に税務調査が入る旨の通知があれば、税務調査当日までに売上等を調整できてしまう可能性があるのです。


無予告で税務調査が入った場合はどうする?

いきなり税務調査官が訪問してきた場合は、どのように対応すべきなのでしょうか。無予告の税務調査時の対応方法について解説します。 無予告で現在調査中の方は税理士法人松本へまずは現在の状況についてお気軽にご相談ください。



任意調査の場合は、税務調査の日時調整ができる場合も

税務調査には、強制調査と任意調査の2つがあります。強制調査とは脱税や悪質な隠ぺい工作を行っている納税者に対して、国税局査察部が裁判所の令状を得て行う調査です。強制調査の場合、調査を拒否することはできません。
一方、任意調査は強制調査のように裁判所の令状を持って行われる調査ではなく、強制力は持たない調査です。税務調査のほとんどは、この任意調査に該当します。任意調査は強制ではないものの、納税者には調査を受ける義務(受任義務)があるため、税務調査を拒否することはできません。しかし、状況によっては税務調査の日時を調整してもらうことは可能です。


税務調査官は、店舗内やオフィス内に入れず、外で待機してもらう

税務調査官を店舗やオフィスの中に入れてしまうと、税務調査を受け入れる姿勢であると判断されてしまいます。金庫やレジなどを見たいとの申し出がなされる可能性もあります。無予告で税務調査官が訪問してきた場合は、すぐに店舗やオフィス内に入れず、一旦、外で待機してもらいましょう。


顧問税理士がいる場合は税理士に連絡を

顧問契約を結んでいる税理士がいる場合は税理士と相談したい旨を調査官に伝え、税理士と連絡がつくまで外で待ってもらいます。税理士が当日の調査に立ち会えるようであれば、税理士の到着を待ち、当日の立ち会いが難しければ別日で日程調整ができるか税理士と調査官でやり取りをしてもらうとよいでしょう。


顧問税理士がいない場合も日程調整の交渉を

顧問契約を結んでいる税理士がいない場合も、業務の都合で今日は調査が受けられない場合などは、理由を説明すれば日時を調整してもらえる可能性があります。
また、税理士によっては急な税務調査などの相談にも対応しているケースもあります。日程調整が可能だった場合には、調査日までに税務調査に対応可能な税理士に相談してみるとよいでしょう。


まとめ

税務調査を行う前には、原則として事前通知が行われます。しかし、事前通知を行うことで帳簿の偽装や売上の調整などの不正が行われ、正しい調査が実行できなくなってしまうおそれがある場合は、無予告でいきなり税務調査が行われる場合もあります。特に現金商売の業種に関しては、無予告の税務調査が行われる可能性が高いと言われています。
無予告で税務調査官が訪問してきた場合は、まずは顧問税理士に連絡を入れましょう。顧問税理士がいない場合は、税務調査官に日程の調整を依頼し、急な税務調査にも対応可能な税理士を探して相談してみることをおすすめします。


こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


愛知・名古屋で税務調査のお悩みなら税理士法人松本にご相談ください

2022.08.23

愛知県は日本国内でも有数の工業県として知られています。世界有数の自動車メーカーの本拠地であり、自動車関連部品を製作する中小企業も多いほか、電気機械や生産用機械の生産に関わる企業も多くあります。また、名古屋市内は中部地方を代表するショッピングエリアであり、多くの小売店や飲食店が集積しています。 大手企業の場合、税理士と顧問契約を結び、税務調査に対しても万全の態勢を整えているでしょう。しかし、大手企業を支える中小企業や小売業・飲食店を営む中小企業や個人事業主は、税務調査の対象として選定された場合、どのような対応をとればよいのでしょうか。 今回は、愛知県や名古屋市で税務調査に強い税理士を探す方法についてご説明します。 税務調査が入り、自分で対応していたが税理士に対応を依頼したいと考えている方はお気軽に税理士法人松本までご相談ください。



愛知県の特徴と産業

愛知県は中部地方の中心地であり、愛知県の県庁所在地である名古屋市は東京、大阪に次ぐ日本第三の都市として知られています。名古屋駅には新幹線が停まり、国際線も発着する中部国際空港もあることから、国内外からのアクセスが便利な場所です。また、名古屋港は日本を代表する貿易港であり、船舶を利用した往来も盛んになっています。 愛知県は、第二次産業である製造業と第三次産業が盛んな地域です。特に製造業は、愛知県の県内総生産のうち約4割を占め、日本国内のほかの都道府県に比べても、その比率が極めて高いという特徴があります。愛知県の製造品出荷額は1977年以来、連続して全国1位を獲得しています。世界的な企業である自動車メーカーのお膝元でもあり、輸送機械関連業の割合が高いほか、電気機械、鉄鋼業、生産用機械、金属製品などの製造も活発です。
参照元:愛知県産業立地通商課 https://www.pref.aichi.jp/ricchitsusho/gaiyou/structure.html

名古屋エリアの特徴

名古屋駅の周辺エリアは新幹線も停車し、観光客が多く訪れるエリアでもありますが、大手企業がオフィスを構えるビジネス街としての側面を持ちます。また、名古屋市営地下鉄が乗り入れる栄駅は、多くの商業施設や飲食店が並ぶにぎやかなエリアです。 名古屋市内には名古屋城や熱田神宮など、歴史的な建造物も多く残されている一方で、名古屋港の周辺は開発が進み、イベント会場が多く集積しているほか、水族館やレジャーパークなどが開業し、レジャー産業も盛んとなっています。

税務調査の通知が来たら税理士に相談を

税務調査が行われる前には、税務署から調査日時についての連絡が入ります。 税務調査では、申告されている所得が正しい金額であるかについて細かく調査が行われます。正しく申告をしているのであれば何も問題はありませんが、売上や経費として計上すべき時期を間違ってしまったり、計上すべき金額を間違ってしまったりといったこともあるでしょう。そのような場合、調査官からの質問に適切に答えられなければ、不正に所得を操作していると判断されてしまう恐れがあります。税務調査の経験が豊富な税理士であれば、税務調査の前に事前に修正すべき事項の提案もでき、税務調査当日の調査官の質問にも的確に回答することが可能です。その結果、税務調査をスムーズに終えることができます。 また、飲食店等の現金商売の場合は、事前に連絡することで売上等の調整ができてしまう可能性があるため、事前に税務署職員による調査が行われている場合があります。税務調査の事前通知は届いていないものの、税務調査に不安を感じているようであれば早めに税理士に相談し、正しく申告を行うようにすると安心です。

領収書や請求書がない場合はどうすればいい?

税務調査の連絡が入った時に資料を確認したところ、あるべき領収書や請求書がないと焦るケースがあるかもしれません。では、領収書や請求書がない場合はどのように対応すべきなのでしょうか。

領収書や請求書以外に支払いを証明できる資料を探す

領収書や請求書は、経費の根拠を証明する資料です。しかし、領収書や請求書がない場合は、次のような金額や取引を証明できる資料を探してみましょう。
・レシート
・クレジットカードの明細書
・納品書
・振込明細書
・出金伝票
また、業務完了確認書や支払い依頼書など、取引先や取引日、金額、取引名目などが確認できる書類も請求書の代わりとして提出することも可能です。

取引先に再発行を依頼する

取引先が応じてくれるのであれば、紛失してしまった分の請求書や領収書の再発行を依頼するのも一つの手段です。この場合、取引先が再発行に応じてくれることが前提となります。取引先には手間をかけることになってしまう点を理解した上で、再発行を依頼してみましょう。 ただし、飲食店での飲食代や小売店での購入費用の場合、領収書の再発行は難しくなります。

修正申告を検討する

紛失してしまった領収書や請求書が大量にある場合や代わりとなる書類を用意できない場合は、修正申告を検討した方がよいケースもあります。税務調査後の修正申告よりも、税務調査前に自主的に修正申告をした方が追徴課税を軽くできます。

早めに税理士に相談する

領収書や請求書がない場合も、税理士に相談すれば代用として利用できる資料などについてのアドバイスをもらえます。また、修正申告をした方がよい場合も税理士に依頼すれば、適正な申告ができるでしょう。 領収書や請求書がない場合こそ、早めに税理士に相談することをおすすめします。



愛知県・名古屋市で税務調査に強い税理士を探す方法

愛知県や名古屋市で税務調査を依頼できる税理士を探すには以下の2つの方法があります。

愛知県・名古屋市にオフィスを構える税理士を探す

愛知県や名古屋市には、多くの税理士がオフィスを構えているでしょう。しかし、税理士の中でも税務調査に強い税理士は限られています。インターネット検索で税務調査のキーワードとともに税理士の検索をしてみることをおすすめします。検索結果に表示されたWebサイトを確認し、税務調査の実績が掲載されているか、税務調査のみの対応が可能かどうかについてもチェックしてください。希望の条件に合致する税理士が見つかったら、相談をしてみるとよいでしょう。

愛知県・名古屋市に限らず全国対応の税理士を探す

確定申告の方法が全国共通であるように、税務調査の方法も全国共通です。そのため、税務調査の対応を依頼したいのであれば、 全国を対象としている税理士の中から、税務調査を得意としている税理士を探した方がよい出会いに巡り合える確率は高まります。 愛知県や名古屋市に限定してしまうと、税務調査に強い税理士の数はかなり絞り込まれてしまいます。地域にこだわりすぎず、税務調査に強いという視点から税理士を探してみるのも一つの手でしょう。

税理士法人松本に全国から税務調査の相談が寄せられる理由とは

税理士法人松本には国税庁や税務署のOBが多数在籍しています。税務調査を行う立場にいたからこそ、税務調査で調査官から指摘を受けやすいポイントや調査官を納得させられる対処法なども知り尽くしています。 また、税務調査と聞くと、納税者の方々はそれだけでも不安に感じることが多くあります。税理士法人松本では、納税者のご不安や精神的な不安に寄り添い、きめ細やかなフォローを交えながら、税務調査の対応に取り組んでいます。 これまでの豊富な税務調査の対応実績と納税者の精神的不安も軽減する姿勢が多くのお客様から評価され、税理士法人松本には全国から税務調査の相談が届いているのです。

まとめ

税理士法人松本は税務調査に特化した税理士集団であり、全国の税務調査に対応しています。税務調査に対応した豊富な実績によって培われたノウハウを活かし、きめ細やかな税務調査サポートを行っています。土日祝日も対応しており、初回の電話相談は無料で承っております。税務調査についてお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


税務調査が多くなるのは、タレコミ・投書の類らしいって本当?

2022.07.13

税務調査は、タレコミや投書などから調査対象になることはあるのでしょうか。税務調査は誰にでもやって来る可能性があるものとはいえ、どのようにピックアップされているのかは気になるところです。
ここでは、タレコミや投書などから税務調査が増えることはあるのか、無申告であることをタレコミされる可能性や予防策などについて解説しています。

税務調査のタレコミは本当にあるのか

税務調査の対象となるような情報のタレコミや投書などは、本当にあるのでしょうか。

国税庁では公式に情報提供を呼びかけている

国税庁のホームページでは「課税・徴収漏れに関する情報の提供」として、広く一般からの投書や情報提供を呼びかけています。
【課税・徴収漏れに関する情報の提供】
https://www.nta.go.jp/suggestion/johoteikyo/input_form2.html

上記の国税庁情報提供フォームから記入して送信すれば、匿名での投書やタレコミが可能です。脱税や所得隠しなどの不正行為や帳簿操作、虚偽の領収書発行など、過去の情報提供事例についても、細かく掲載されています。

税務署に直接連絡がいくこと

外部や第三者からのタレコミ・密告は、上記オンラインフォームだけでなく、税務署へ直接電話などで連絡が行く場合もあります。
「○○という会社が売上をごまかしている」「現金取引を計上せず、税金逃れをしている」「無申告を続けている人がいる」など、タレコミの内容はさまざまです。
こうした一般から寄せられる情報を元に税務調査が開始され、実際に調査の対象となったケースも少なくありません。
内部から退職者が出て、バレたらやばい情報があると不安を抱えている方はお気軽に税理士法人松本までご相談ください。



タレコミや密告をするのはどんな人?

タレコミ・密告や投書などを行う人は、恨みなどの私情が理由となってタレコミすることが多いようです。
知り合いや知人、取引先に限らず、ちょっとした会話の中で無申告や脱税などを口にしたことを投書される場合もあります。親族や内縁関係者など、実際に仕事に関わっている人からのタレコミもあるでしょう。
とはいえ、すべてのタレコミや投書に対して税務調査が実施される訳ではありません。どのような場合に、税務署は調査に乗り出すのでしょうか。

タレコミや投書から税務調査となるのはどんなケース?

タレコミや投書から税務調査となるケースには、以下のようなものが挙げられます。

情報に信ぴょう性がある

タレコミの中には、怨恨などから大げさな内容や、虚偽の投書などが含まれている場合もあるため、税務署ではどの程度信ぴょう性があるのかについて、慎重に判断することとなります。
タレコミや投書は匿名で行うことができるため、虚偽のタレコミに対して人件費や時間を投じて本格的な調査をするのは、税務署も避けたいのです。実際に、タレコミから摘発となる割合は1%にも満たないともいわれています。
情報に信ぴょう性があるかどうかを判断する基準については各管轄の税務署によってまちまちでしょう。
とはいえ、通帳の履歴や宅配便の発着履歴などから、事業を営んでいるかは、現地へ調査に行かなくても掴むことが可能です。
運営しているサイトやホームページはもちろん、実際に店舗を経営している場合、税務署の調査員が客を装って調査に訪れるケースもあります。
タレコミの信ぴょう性を判断する基準は明確ではないものの、投書やタレコミに基づいて税務署が事実関係をチェックすれば、不審な点があればすぐにバレると考えておいた方がよいでしょう。

無申告である

申告漏れや不正な申告内容に関するタレコミよりも、無申告であることがタレコミによって摘発されるケースもあります。税務署では、無申告者に対しての情報提供や税務調査を強化しているからです。
申告内容をごまかしていないか、脱税行為に該当しないかを判断するには、ある程度専門的な知識が必要となります。
しかし、一定以上の収入があるにも関わらず無申告であれば、専門知識がなくても容易に判断することが可能です。
無申告は、多くの第三者からも指摘を受けやすい状況であるといえます。税務署に無申告であることがわかれば、重加算税などのペナルティが科せられることとなるため、できるだけ早い段階で自主的に申告しておくことが大切です。

タレコミによる税務調査への対策は?

タレコミや投書による税務調査には、以下のような対策を取りましょう。

過去の漏れやミスは修正申告を行う

過去の申告内容に抜けや漏れがあったとしても、修正申告をすることができます。税務調査で指摘を受けるよりも前に修正申告を行えば、過少申告加算税は課税されません。無申告加算税についても軽減することが可能です。
税務調査では、多くの場合訪問前に事前連絡が入ります。よほど悪質な場合を除き、ある日突然抜き打ちで調査されることはないため、不安な場合は今からでも過去の申告内容をチェックするとよいでしょう。

無申告も遡って申告できる

確定申告をしていない無申告状態は、税務署が力を入れて調査対象とするものの1つです。現在無申告であるなら、1日でも早く申告を行うことをおすすめします。直近の申告だけでなく、数年分まで遡って申告することも可能です。タレコミから無申告が税務署にバレたり税務調査で無申告の指摘を受けたりする前に、自主的に申告するようにしましょう。

税理士のサポートを受けて申告する

「これまで税理士を顧問にしたことがない」「かつて依頼していたが、現在は何のサポートも受けていない」という場合には、気づかずに申告漏れや計上ミスなどが多発している可能性もあります。税理士のサポートを受けることで、適正な申告かどうかをチェックすることが可能です。
無申告状態で「確定申告に必要な書類や帳簿をどう作ればよいのかわからない」という場合には、税務調査や無申告などの取扱実績を多く持つ税理士事務所へ相談してみましょう。
専門家のアドバイスを受けて申告することにより、タレコミや税務調査を必要以上に怖れずに済みます。



まとめ

タレコミや投書によって摘発を受けるケースは多くはないものの、税務調査に繋がる可能性はあります。特に、税務署が調査を強化している自営業や副業を無申告にしていると、指摘を受けて重いペナルティが課税されてしまう恐れもあるでしょう。
必要なら税理士など専門家のサポートを受けて、無申告の申告や修正申告を早めに済ませておきましょう。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


飲食店の税務調査では、内観調査と外観調査が事前に行われている!

2022.07.13

飲食店は、現金で取引することが多い商売です。そのため、売上や経費などを不正に計上しているケースも多く、飲食店は税務調査の対象になりやすい業種として知られています。
税務調査では、脱税の疑いが強い場合に行われる強制捜査と一般的に行われる任意調査があります。任意調査については税務署から事前に通知があるため、調査官が突然訪問して、調査を始めることはありません。しかしながら、飲食店の税務調査では事前連絡がなく、突然調査が行われるケースも少なくありません。
今回は飲食店の税務調査の特徴と、税務調査時に備えて注意しておきたい点についてご説明します。 すでに税務署から連絡がきて、税務調査に入っている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



飲食店の税務調査の特徴①無通知調査が行われる

平成23年度の税制改正において、税務調査の手続きを行う際には納税者に対して事前に調査を行う旨の通知を行うことが定められました。しかし、飲食店等の現金商売を中心とした業種が対象となる場合、事前の通知なしに税務調査を行われることがあります。コロナ禍である現在は税務署側も感染予防等に配慮し、無予告調査が行われることは減少しています。現金商売では、銀行取引と異なり、お金の流れが記録されにくいという特徴があります。そのため、飲食店のような現金商売の業種では、税務調査が入ることが事前に通知された場合に、調査日までに売上金額を操作できてしまう可能性があるのです。調査を事前に通知し、それによって正しい調査ができなくなってしまう恐れがある場合、事前通知なしの税務調査が行われます。


飲食店の税務調査の特徴②内観調査と外観調査

内観調査と外観調査とは、税務署が税務調査の対象となる飲食店を選定するために、事前に行っている予備調査のことです。
外観調査とは、その名の通り外観の調査をすることで、店舗の外観や立地状況、客の入り等の確認をします。例えばターミナル駅から近い、便利な場所にある店舗の場合は人通りも多く、お客様も獲得しやすいと考えられます。また、客が出入りする様子を見ていれば、1日にどのくらいの客が訪れるのかの推量が可能です。
内観調査とは、店舗の中の調査です。調査官が客として店に入り、従業員の人数や店の広さ、座席の数や配置、メニューの内容と平均的な価格、伝票等の使用状況、混雑具合、客の年齢層、男女比率などを確認します。また、会計時にはどのようなレジを使用しているのか、誰がレジを打っているのかについても確認します。
外観調査と内観調査では、客の入り具合や客単価などから1日にどれくらいの売上が発生しているかの計算をします。税務調査に入った場合、推計した売上高と実際に飲食店が計上している売上高に大きな差が生じていないかを確認するのです。また、調査官自身が飲食した分の金額が正しく計上されているかについても税務調査時には確認されます。
さらに、実際に税務調査に入った時に不正があった場合、内観調査時に客から受け取った現金を誰がどのように処理しているのかも確認しているため、誰が売上を不正に操作しているのかについても実情を把握できるようになっています。


飲食店の税務調査でチェックされやすいポイント

飲食店の税務調査では、抜き打ちの調査が行われることもあるほか、事前の内観調査・外観調査によって税務調査時の不正が見抜かれやすいという特徴があります。
売上や経費を正しく処理していれば、税務調査が入った場合でも心配する必要はありませんが、税務調査と聞いただけで不安になることもあるでしょう。
飲食店の税務調査では次のような点をチェックされることが多くなっています。事前に税務調査時の注意点を把握し、日頃から正しく処理を行うように心がけましょう。


売上を正しく計上しているか

税務調査では、売上金の管理について細かなチェックがなされます。売上は、売上が発生した日に計上します。売上が過少に申告されていないか、計上されている金額にミスはないかなど、伝票や売上票などと帳簿の整合性を確認します。また、帳簿上の現金有高と実際の現金有高にズレがないかも確認され、万が一ズレが生じていた場合には売上高の操作を行っているのではないかと疑われる可能性があります。どのような理由で現金にズレが生じているのか、その原因を徹底的に調査されるため、日々の現金管理には特に気を付けるようにしましょう。


不正に人件費を計上していないか

実際には雇っていない人物を雇用していることにし、架空の人件費を計上していないか、実際に支払っているよりも多い額を人件費として計上していないか、源泉徴収を行っているかなど、人件費についても細かなチェックがなされます。
従業員のタイムカードや雇用した際に預かった履歴書、源泉徴収票などはしっかりと保管しておきましょう。


在庫を正しく管理しているか

飲食店の場合、お客様に提供する食事を作る材料を仕入れます。税務調査では、帳簿上の在庫の額と実際の在庫の額にズレがないかのチェックが行われます。期末に材料を多めに仕入れ、次の期に使用する材料の分も当期の経費として計上している場合があります。しかし、経費として計上できるのは当期に使用した材料費のみであり、使用していない材料を経費として計上することはできません。もし、未使用分の材料費も経費として計上していた場合は、経費を水増しして所得を低く見せかけたと判断されてしまいます。


まとめ

飲食店の税務調査では、他の業種とは違った特徴があります。それは事前予告なしに税務調査が行われる場合がある点と、内観調査・外観調査等の事前調査が行われている場合がある点です。飲食店は現金商売であり、事前に調査の通知をした場合、調査が行われる前までに売上を不正に操作されてしまう可能性があるため、正しく実態を調査するために予告なしの調査や事前の内観調査・外観調査が行われています。
税務調査はいつ来るかわかりません。しかし、飲食店が税務調査の対象になりやすい業種であることは事実です。いつ税務調査が行われても慌てることのないよう、今回ご紹介した飲食店の税務調査でのチェックポイントを確認し、日頃から正しく売上や在庫を管理するようにしましょう。ただし、急な税務調査となると売上の管理や経費の計上が本当に正しいのかどうか、不安になる方も少なくありません。もし、まだ税理士との契約を済ませていないようであれば、ぜひ税理士法人松本までご相談ください。飲食業界の税務調査に詳しい税理士が、丁寧にサポートさせていただきます。



税務調査官はどこを見る?調査で見られやすいポイントや指摘されやすい点について解説!

2022.07.01

税務調査にやって来る調査官は、調査の際にどのようなポイントを重視しているのでしょうか。帳簿や資料以外にも注意点はあるのか、指摘されやすいことなどもあれば押さえておきたいところです。
ここでは、税務調査の際に調査官が見ているポイントや注意点、指摘されやすい取引や帳簿の内容などについて解説しています。初めて税務調査を受ける際の基本知識として参考にできる内容となっています。 税務調査対応に税理士の立ち会いを希望している方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査官はここを見る!気をつけるべき意外なポイント

税務調査を受けた場合、多くの人は帳簿や申告書類、領収証などの資料にばかり気を取られて、それ以外については対策を怠りがちになるものです。
帳簿や資料ももちろん大切ですが、税務調査官は以下のような点にも注視していることを頭に入れておくとよいでしょう。

税務調査官が見ているポイント:性格・人柄

意外に思うかもしれませんが、税務調査では、経営者の性格や人柄は重点的にチェックされています。
早とちりや思い込みの激しいところがないか、大雑把で適当な性格かなどを、会話や態度からチェックするのです。
「気が小さく秘密主義」「攻撃的で怒りっぽい」など、受け答えをしていく中で、ある程度誠実さや丁寧さ、犯罪性などを推し量ることができます。
必要以上にへりくだったり、過剰にもてなしたりする必要はありません。社会人として常識的な対応や振る舞いをしていれば特に問題はないものです。

税務調査官が見ているポイント:従業員の態度

経営者の人柄だけでなく、従業員の態度なども意外とチェックされているものです。どこか怯えたような態度をしているか、挙動不審な点はないかなど、不審な点があれば帳簿上の指摘をする際に、あわせて確認される場合もあるでしょう。

税務調査官が見ているポイント:事務所の内装や備品、ノベルティなど

事務所の内装や書類の保管状態なども要注意です。汚れて雑然としているか、逆に普段人が働いていないかのようにものが少ないか、書類が折れ曲がっていたり、順番が乱れていたりしないかなどもチェックされると考えましょう。
また、取引先や銀行などからもらうカレンダー、タオルなどの備品類がチェックされていることもあります。
帳簿や契約書に記載のない業者や銀行からもらったと思われる備品などがある場合、隠れて取引をしていないか、隠し口座がないかなどを疑われる可能性もあります。

税務調査で指摘されやすいポイント

次に、帳簿や資料などで指摘されやすいポイントについて解説します。以下で挙げる項目は、税務調査の際に重点的にチェックされると考えましょう。

売上の計上

売上の計上漏れは「売上を抜いている」と疑われる可能性があります。例えば飲食店の場合、レシートに記載された売上が同じ日に帳簿上で確認できるか、といった点を見られます。

提示を求めた帳簿がすぐに出てくるか

領収証や請求書などは、税務調査の際、提示を求められることがあります。確認を求めた帳票類がすぐに提示されるかどうかも、税務調査ではチェックされるでしょう。
ゴソゴソと長時間探して出てこない、一部しか提示できない、といった事態が避けられるよう、最低でも3年分の帳簿や帳票類は準備しておくことが大切です。

経理業務の流れ

書類などの資料だけでなく、会計処理する際の流れについても指摘されやすいでしょう。「書類が来る前に記帳している」「納品書がなく、後日送られてくる請求書の到着を待って処理している」など、細かな点もしっかりと説明ができるようにしておきましょう。

通常業務の流れ

ひとりが複数人のタイムカードをまとめて押していたり、休憩時間に休憩を取らなかったりなど、些細な勤務態度も、意外とチェックされていることがあります。
「人件費を水増ししているのではないか」と疑われないためにも、日頃から勤務時間や出勤、退勤などは適正な流れで処理するようにしましょう。

関連会社との取引

関連会社やグループ会社などがある場合、会社間で利益の移転がないか、架空の外注費を計上していないかなどは高い確率で指摘を受けます。
関連会社や倉庫などへも実地調査で訪問されるケースもあります。イレギュラーな取引は正当な説明ができるように、証明できる資料などもしっかりと準備しておきたいところです。
この他にも、売上や仕入の期ズレが起きていないか、海外取引で国内利益を不当に移転していないか、といった点は指摘されがちです。

意外な質問で試されることも

直接申告や帳簿に関連のない雑談のように見えて、実際には営業状態や経費、旅費などについてかまをかけられていたり、受け答えによってはあらぬ疑いを持たれたりしてしまう場合もあります。
税法をどこまで理解しているか試す目的で、わざと専門用語を使って質問をされることもないとは言えません。
そんな意図がなかったとしても、専門的な知識がないと反論が難しいケースなどもあるため、不安な場合は税務調査対応に強い税理士に立ち会ってもらうことをおすすめします。



他にもある!税務調査官が見ているポイント

税務調査は、事業者なら誰の元にも訪れる可能性があるものです。過去に個人事業主として経営して、後に法人成りしたような場合、個人の口座に売上を入金して隠していないか、といった点が指摘される場合もあるでしょう。
過去に無申告の期間があったり、以前に設立した会社の税務調査で不正が発覚していたりする場合には、税務調査が高い頻度でやって来る可能性も高まります。
また、パブやクラブ、バーなどの経営や外国料理店、土木関連業のいわゆる建設業など、税務調査で不正が見つかる確率の高い業種の場合、その他の業種よりも調査が厳しくなりがちなため注意が必要です。

まとめ

税務調査官は、税務調査の際に帳簿や書類といった資料はもちろん、経営者の性格や人柄、仕事場の内装や備品類などにもチェックの目を光らせています。
提示を求められた書類はすぐに提示できるようあらかじめ準備しておくことと、常識的な対応をすることに加え、従業員や関連会社との間で意見の食い違いが出ないようにすることも大切です。
専門的な知識がないと疑いを晴らせない場面も多くなってしまいます。税務調査に対応できるか不安な場合は、税務調査対応に強みのある税理士へ一度相談してみましょう。

税務調査が終わった後に再調査になる理由とは?新たに得られた情報とは?

2022.05.31

「前回の税務調査が終わったと思ったのに再調査になった」「また税務調査をしたいと連絡がきた」といったケースが時々聞かれることがあります。こうした税務調査の再調査とは、どのようなものなのでしょうか。再調査になる理由や、どういった情報から再調査になりやすいのかなども気になるところです。
ここでは、税務調査の「再調査」に関する概要や再調査となる理由や確率について解説しています。再調査の原因となりやすい情報などについても紹介していますので、再調査になるケースを理解する際の参考としてお役立てください。再調査になり、現在ご不安を抱えている方は税理士法人松本までご相談ください。



再調査とは

再調査とは、1度終わったはずの税務調査について、文字通り再度調査が実施されることです。
よく「また税務調査になった」「2回目の税務調査が来た」と言われますが、多くの場合は別の年度についての新たな税務調査でしょう。この場合は、会社や個人事業主として調査を受けるのは2回目であっても、年度としては1回目とカウントされます。
ここで言う再調査とは、既に調査済みの年度について再度行われる税務調査のこととなります。

再調査の対象となるのは実地調査に限られる

平成27年以降、再調査の対象は限定されており、訪問して行う実地調査に限られています。通常は、1度実地調査を受け、調査が完了して是認通知書(申告内容に問題がないと認められた旨の通知書)を受け取っている場合、その年度について再度調査が行われることはありません。
しかし、稀に何らかの理由によって再度の調査が必要と判断された場合に、再調査が実施されることとなるのです。

どんな理由から再調査になるのか

再調査は、以下のような理由があった場合に実施されることが多いでしょう。

国税通則法上必要であると判断された場合

再調査になる理由として、国税通則法で以下のように定められています。
“新たに得られた情報に照らし非違があると認めるときは、(中略)規定に基づき、当該通知を受け、又は修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは源泉徴収等による国税の納付をし、若しくは更正決定等を受けた納税義務者に対し、質問検査等を行うことができる。”
(国税通則法第74条11)

つまり、1度行った税務調査で不正が認められなかった場合でも、その後に何か新しい情報が判明して不正の可能性があると判断された場合に再調査される可能性があるのです。

再調査となりやすい新たな情報とは

再調査の対象となりやすい「新たに得た情報」としては、以下のようなケースが考えられるでしょう。
・調査した年度以外の申告内容や取引から、調査年度の申告に相違がある可能性が高い場合
・取引先に税務調査が入り、書類や入出金履歴から不審な情報が得られた場合
・上記によらず、不正や脱税の疑いが持たれる新たな情報を入手した場合
・税務調査の結果に納得がいかず、自主的に再審査を請求した場合
取引先への税務調査や、調査された年度以外の申告内容から掴んだ情報以外にも、第3者からのタレコミなどから発覚し、再調査となる場合もあるでしょう。
また、再調査は税務署からの請求だけでなく、自主的に再審査を請求することも可能です。税務調査で出た結果に納得がいかない場合、管轄する税務署宛てに、調査内容の通知を受けてから3ヵ月以内に再審査請求を出すことで、再調査してもらうことが可能です。
とはいえ、請求すれば必ず再調査となるわけではなく、税務署の審査を経て再調査となるかが判断されることとなります。

再調査になる確率はどのくらい?

税務調査で再調査となる確率は、概ね以下の通りです。

再調査になる確率は低く、稀にしか起こらない

税務調査で再調査となる確率はとても低く、稀なケースであると考えて問題ないでしょう。
ただし、前章で挙げたような「新しい情報」が入手できた場合には、再調査される可能性もゼロではありません。
税務調査の内容が不服で、再調査を申請する場合も、申請が通らず再調査を受けられない場合もあると考えた方がよいでしょう。

再調査になった場合はペナルティの可能性が高い

再調査となる可能性については稀なことで、滅多に起こるものではないと言えますが、ひとたび再調査となった場合、税務署は確実に何か大きな情報を掴んでいると推測されます。
疑問点や質問があれば確認の電話がかかってくるのみです。税務署もそれなりに人手やコストをかけて再調査へ踏み切るため、再調査という言葉が出たらほぼペナルティの対象となっていると考えられるでしょう。

是認通知書が届く確率も稀なことが多い

再調査になる確率はかなり低く稀なことであるのと同様に、税務調査の結果修正する点がまったくなかったと認められる「是認通知書」が届く確率も稀であることは覚えておくとよいかもしれません。
税務署が税務調査に入る際、それなりに人手やコストがかかっているのは説明した通りです。そのため、調査した結果「何もなかった」とは、調査した側もなかなか認めにくいと言えます。
いわゆる重箱の隅をつつくような問答があったり、法的に問題がないケースでも不正を疑われるような指摘があったりするのは、こうした背景による可能性もあるでしょう。

不安な場合は税理士へ相談しよう

「税務調査で細かい指摘を受けたらどうしよう」「ペナルティや再調査となる可能性が高いかも」など、税務調査や再調査について不安がある場合は、税務調査の対応に実績のある税理士へ相談してみましょう。
初回は無料で相談できるサービスを使い、現在の状況を説明してアドバイスをもらえば、精神的な負担も軽くなります。税務調査のプロには、税務のプロに対応してもらうのがおすすめです。



まとめ

再調査とは、税務調査が済んでいる年度であっても、新たに脱税の可能性がある情報などが出てきた場合に実施されるものです。具体的には、取引先の税務調査で不審な入出金履歴や領収書などが押収された場合などが挙げられます。
再調査になる確率は非常に稀ですが、調査の結果まったく問題がないと認められる是認通知書が届く確率も稀です。
税務調査や再調査について不安がある場合は、早い段階で税理士へ相談するようにしましょう。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


マルサの対象となる税務調査とは?国税局査察部の調査実態についてわかりやすく解説!

2022.05.25

「マルサが税務調査にやってきた」「国税局の査察部が乗り込んできた」こうした状況は、どのような場合に起こるものなのでしょうか。
ここでは、マルサの概要やマルサが行う税務調査と通常の税務署が行う税務調査の違いに加え、マルサの調査目的や調査実態などについて解説しています。リョウチョウやマルサが入っていて、1人では不安なので相談がしたい方は税理士法人松本までご相談ください。



そもそもマルサとは?

テレビや映画などで時々聞くことのある「マルサ」とは、どのようなものなのでしょうか。

国税局の査察部を表す言葉

マルサとは、国税局の査察部などの部署や、査察部が扱う事案などを表す言葉です。査察の「査」を丸で囲んで「マルサ」と読む俗称で、1980年代にヒットした映画「マルサの女」で広く知られる言葉となりました。
マルサの女以外でも、テレビドラマやニュースなどで急に会社へ国税局の査察官が押しかけてきたり、ダンボールいっぱいの資料やパソコンなどを押収したりする光景を見ることがあります。

悪質な脱税行為に対して行う犯罪捜査を担う

マルサでは、大口かつ悪質な脱税や犯罪行為が疑われる事業者に対して調査を行います。
この調査は「強制捜査」と呼ばれる犯罪捜査となっており、適切な納税を指導する目的で行われる通常の税務調査とは異なるものです。

マルサが行う税務調査は「強制調査」となる

国税局の査察部が行う税務調査は、事前に何の連絡もなく、ある日突然多数の査察官がオフィスや自宅に乗り込んでくる「強制調査」となります。
動員される査察官の人数が100人を超えることも珍しくなく、大規模な一斉調査となることが多いでしょう。

マルサの捜査と通常の税務調査の違いは?

マルサが行う犯罪捜査と通常の税務調査には、以下のような違いがあります。

「任意」か「強制」かの違い

普段税務署が行っている税務調査は、事前連絡や協力、同意を得て進んでいく任意調査であるのに対して、マルサの調査は事前連絡も同意を得ることもなく、強制的に行われます。
通常の税務調査が、納税者の正しい申告や間違いがあった場合に指導することなどが目的です。これに対して、強制捜査は脱税や犯罪行為に対する証拠がある程度押さえられている「裏が取れた」状態で実施されるものとなります。
国税犯則取締法で定められた犯罪捜査であるため、証拠の隠ぺいや逃亡を阻止する目的で、事前連絡や同意なく行われるのです。

「税務署」か「国税局査察部」かの違い

通常の税務調査(任意調査)は管轄の税務署が行い、強制捜査は国税局査察部が行います。
任意調査で訪問する調査官は1~数名であるのに対して、強制捜査では100~200人の調査官が投入されるため大規模です。
国税局が行う任意調査もありますが、次章で詳しく解説します。

マルサの調査目的は?強制捜査以外にどんな調査がある?

一般的に行われている税務調査とマルサの強制捜査との違いがわかったところで、マルサの対象となる税務調査やその目的などについても見ていきましょう。

マルサの捜査は検察への告発が目的となる

マルサが行う強制捜査は、検察官への告発が目的となる犯罪捜査です。そのため、差し押さえや強制的な立ち会い捜査(臨検)などについて、裁判所から許可を得て査察調査に臨んでいます。
マルサが捜査を行った後に検察官へ告発する確率は7割ほどとなっており、告発された多くの事例で有罪判決が出ています。
国税庁令和2年度査察の概要

マルサ以外にもある!国税局の調査

上記のような犯罪捜査だけでなく、国税局では主に資料をメインとした調査や、任意調査を行う部署も存在します。国税局の資料調査課は「リョウチョウ」と呼ばれ、マルサの対象とするべきかの選定や犯罪の悪質性などについて調査をする部署です。
リョウチョウからの調査は任意調査の形を取っており、マルサほどの強制力はないものの、事前連絡なく訪問される無予告調査である点はマルサと同様で、訪問する調査官も数10人規模となることが多いようです。

どんな時にマルサの対象となるの?

不正を行っているすべての納税者がマルサの対象となるわけではありません。しかし、一定の条件にあてはまる場合には、事前調査の段階で捜査対象としてピックアップされやすい可能性があります。どのような条件に該当する場合に、マルサの対象となりやすいのでしょうか。

目安は「1億円」

マルサの捜査対象となる可能性が出てくる目安として、1億円という単位がキーワードとなることがあります。
マルサの捜査は人員数も規模も相当大きいため、強制捜査に踏み切って検挙できる不正総額が1億円ほどなければ、費用対効果を上げにくいとされているからでしょう。

所得2,000万円以上の税務調査も対象に

もう1つ、通常の税務調査で不当な所得金額が2,000万円相当あると思われる事例については、税務署から国税局へと管轄が変わる場合があります。
国税局の捜査対象となっていなくても、税務調査の内容について、税務署から国税局まで詳細が報告されている可能性はあるでしょう。

小規模でも消費税の脱税には厳しい捜査の手が及ぶことも

「うちは1億円も扱うほど規模が大きくないから大丈夫」「所得は2,000万円よりも少ないから安心だ」と思うのはおすすめしません。
中小規模の事業者が増えている近年においては、上記で挙げたほどの所得や売上がなかったとしても、マルサの対象となる可能性があるからです。
税務署や国税局は、特に消費税の脱税行為について厳しく取り締まる傾向にあります。脱税を疑われるような時期に急に貯蓄を増やしたり、取引先がマルサの対象となったりした場合、小規模の事業者であっても、厳しい捜査の手が及ぶ可能性もゼロではないでしょう。

ひとたびマルサの強制捜査が行われてしまえば、有効な手立てを取ることは難しいものです。しかし、税務署の税務調査や国税局の資料調査課からの調査であれば、1度税理士に相談してみるとよいでしょう。



まとめ

マルサとは国税局の査察部や強制捜査のことを指しており、悪質かつ大口な脱税や不正といった犯罪行為を取り締まる目的でマルサの捜査が行われます。
1億円規模の不正や、税務署の税務調査で2,000万円を超える不正所得の疑いがあった場合に、マルサの対象となりやすいと言われています。しかし、近年ではもっと小さな規模の不正でもマルサの手が入る可能性もあるのです。
税務調査や国税局のリョウチョウからの調査段階であれば、税理士へ相談してみましょう。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


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