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太陽光発電事業者にも税務調査のメスが!?所得隠しによる追徴課税を受けないためには…

2023.07.14

ソーラーパネルを設置して太陽光発電を行う太陽光発電事業者が増えています。法人が事業として太陽光発電を行っている場合も、個人事業主として太陽光発電を行っている場合も、太陽光発電によって発電した電気を売り、利益を得ている場合には確定申告が必要です。
しかし、太陽光発電事業者の中には正しく申告をしていないケースが多くみられるようになってきため、昨今では太陽光発電事業者を対象とした大掛かりな税務調査が行われるようになっています。もし、売電による所得を申告せずに、適正な納税を行っていない場合は所得隠しと捉えられ、追徴課税が行われる可能性もあります。
今回は、太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例と、税務調査時の注意点などについてご説明します。


太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例

2011年の東日本大震災をきっかけに、太陽光発電への注目が高まり、太陽光発電事業者の数が一気に増えました。そのため、太陽光発電事業者を対象とした税務調査も多く行われるようになり、税務調査の結果として所得隠しや申告漏れが発覚した例は少なくありません。太陽光発電事業者の申告漏れ、脱税が発覚した主な例としては、以下のようなものがあります。


200社の太陽光発電事業者を対象とした税務調査で発覚した70億円の申告漏れ

2018年には、個人事業者も含む約200社の太陽光発電事業者を対象とした税務調査が行われました。税務調査により発覚した申告漏れの額は、なんと約70億円にも上るものでした。申告漏れの多くは、収入の一部を適切に計上せずに売上を低く装って所得を低く見せたり、実際には費用が発生していないにもかかわらず、架空の支払手数料を経費として計上して利益を圧縮したりといった手口が用いられていました。また、この税務調査では約70億円のうち約40億円が意図的な所得隠しとして認定されました。


太陽光発電事業者5社による30億円の所得隠し

2020年には太陽光発電事業を行う5社に税務調査が入り、4年間で約30億円もの所得隠しが行われていたことが発覚しました。経費を引いた課税対象額は約19億円であり、約6億円もの追徴課税が課せられました。


その他の太陽光発電事業者の脱税

このほかにも、太陽光発電設備の導入をめぐって架空の外注費を計上し、約1億3,000万円の脱税をしたとして告発された事件や、太陽光発電所の売電権を売却して得た所得を隠して、約1億4,400万円を脱税した疑いで起訴された事件など、太陽光発電をめぐる所得隠しや脱税事件が頻発しています。


太陽光発電事業者には税務署が目を光らせている可能性も

このように、太陽光発電事業者による所得隠しや脱税が後を絶たないことから、太陽光発電事業者は税務署から不正申告や脱税の多い業種であると認識されている可能性があります。太陽光発電事業を行い、利益を得ているようであれば、しっかりと確定申告を行い、正しく納税しなければなりません。税務調査が入り、現在お困りの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査による追徴課税とは

先ほどご紹介した30億円もの所得隠しが発覚した2020年の事件では、6億円の追徴課税が課せられました。太陽光発電事業者だけでなく、申告すべき所得の額に誤りがあり、正しい納税が行われていなかったことが税務調査で発覚した場合には追徴課税が課せられます。
追徴課税とは、不足している税額分にペナルティとして科せられる延滞税や加算税を加えたものです。
延滞税は定められた期限までに納税しなかったことに対するペナルティで、納付期限の翌日から納付された日までの日数を元に計算されるものです。加算税は、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4つに分けられます。
脱税があったと税務署に判断された場合には、最も重い重加算税が課せられます。重加算税の税率は過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率で課されることになります。
このように、税務調査によって正しく申告していなかったことが発覚した場合には、本来の税額に不足している額を納めるだけでなく、さらにペナルティである延滞税や加算税を加えた追徴課税が課せられるのです。追徴課税には、納付期限の猶予はなく、一括ですぐに支払うことが求められます。


太陽光発電事業者に税務調査が入った場合のポイントは

太陽光発電事業者に税務調査が入った場合は、主に次の点を指摘されることが多くなっています。


太陽光発電システム導入時の付随費用の扱いについて

発電量が10kW以上の能力を持つ太陽光発電システムを導入している場合は、使用目的に関わらず太陽光発電システムは固定資産としてみなされます。また、発電量が10kW以下の住宅用太陽光発電システムを設置している場合は、屋根と一体型の太陽光発電システムは固定資産とみなされ、屋根と一体型ではないシステムは固定資産とはみなされません。
固定資産を計上する場合、太陽光発電システムだけでなく、太陽光パネルを設置するために行った整地費用など、太陽光発電システムの取得に付随した費用も資産として計上しなければなりません。太陽光発電システムの耐用年数は17年を適用するのが一般的であるため、太陽光発電システムの取得にかかった費用は17年にわたって、減価償却費として計上していくようになります。そのため、取得時に必要になった整地費用などを経費として処理してしまうと、経費に計上される額が多くなりすぎてしまい、経費を水増しした所得隠しと疑われる可能性があります。


まとめ

太陽光発電事業をめぐる脱税事件や所得漏れの事件が多く発生しており、税務署では積極的に太陽光発電事業者への税務調査を行っています。もしかしたら、税務調査の対象になるかもしれないとご不安になる場合もあるかもしれません。しかし一般的に、脱税の容疑などがかけられていない場合の税務調査は、事前通知が行われます。もし、税務署から税務調査の通知が入った場合は、税理士法人松本にご連絡ください。税務調査に詳しい税理士が、税務署からの質問などにも的確に対応させていただきます。



こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


税務調査で指摘されやすい経営コンサルタント料とは?

2023.07.14

所得を正しく申告し、税金を正しく納めているかの調査が行われる税務調査では、昨今、経営コンサルタント料について指摘されるケースが増えています。なぜ、経営コンサルタント料が税務調査で注目されやすいのでしょうか。また、経営コンサルタント料などで、経費の水増しが発覚した場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
今回は経営コンサルタント料が税務調査で指摘されやすい理由と、経費の水増しが発覚した場合の対処法についてご説明します。架空のコンサルタント料がすでにある方はいますぐ税理士法人松本までお電話ください。



経営コンサルタントとは

経営コンサルタントとは、企業が抱える問題点を調査・分析し、解決に向けた提案を行うサービスを提供する法人または個人です。経営コンサルタントは、企業から依頼を受けてコンサルタント業務を引き受け、サービスを提供することで報酬(コンサルタント料)を得ます。
経営コンサルタントの業務としては経営戦略の見直し・策定、生産効率をアップさせるためのオペレーション業務の改善提案、新規事業の立案、資金調達や投資戦略、M&A戦略の立案など、多岐にわたっています。
経営コンサルタントは大手のコンサルティングファームと呼ばれる企業から、経営戦略や財務部門、マーケティング部門などに特化したコンサルタント会社、個人として経営コンサルタント業務を行っているフリーランスの経営コンサルタントまであり、その種類はさまざまです。


税務調査において経営コンサルタント料の指摘が増えている理由とは

所得税は売上から経費を差し引いた所得額に対して課税されます。そのため、売上を偽装して所得を少なく見せかけるケースや、経費を水増しして売上から差し引く経費の額を増やして所得を圧縮するケースなどが見受けられます。
税務調査においては、売上が正しく計上されているかの調査はもちろん、経費の水増しのために架空請求が行われていないかの厳しいチェックが行われます。
昨今、税務調査では経営コンサルタント料についての指摘がなされることが増えています。その理由は、コンサルタント料は商品の仕入れや什器・備品などを購入した場合と違って、支払いの対価として得た物品が残るわけではない点にあります。目に見えないコンサルタントというサービスであるため、請求書さえあれば経費として計上できてしまうのです。
知り合いの名前を借りて架空の経営コンサルタント契約を結び、架空の経営コンサルタント料の領収書を発行してもらう例なども出ています。また、赤字の会社を利用して、実際には何もしていないにも関わらず架空の経営コンサルタント料の請求書を発行してもらい、経営コンサルタント料を一旦支払った後に現金で経営コンサルタント料の一部を返金してもらうようなケースも出ています。赤字会社は業務を提供せずに経営コンサルタント料としてのお金を手に入れられ、発注側は経営コンサルタント料を経費として計上できるため所得を圧縮して税負担を抑えられます。このような架空の領収書の取引を指南する、いわゆる「B勘業者」と呼ばれる業者もあり、税務調査では経営コンサルタント料には目を光らせているのです。
経営コンサルタント料以外にも広告費やWebコンサルタント料、ITコンサルタント料など、物品ではなく形のないサービスに支払った経費があった場合には、税務調査で指摘を受けやすくなっています。すでに税務調査が入り指摘を受けている場合は税理士法人松本にご相談ください。



経営コンサルタント料についての確認事項

税務調査で経営コンサルタント料が調査官の目に留まった場合、次のような確認がなされることが多くなっています。
・どのような役務内容でコンサルタントを依頼したのでしょうか?
・どのような経緯で経営コンサルタントを依頼したのでしょうか?
・経営コンサルタント契約を示す契約書はありますか?
・経営コンサルタントから提出された報告書等はありますか?
・経営コンサルタントとの打ち合わせ時に使われた資料はありますか?
・経営コンサルタントによって、経営に具体的な効果はありましたか?
・経営コンサルタントの料金はどのように決定したのでしょうか?
・経営コンサルタント料は銀行振り込みで行っていますか?現金払いの場合、なぜ現金で支払ったのでしょうか?
経営コンサルタントが具体的にどのような業務を提供したのか、その内容については詳しく問われるはずです。また、口頭での回答だけでなく、経営コンサルタント契約を結んだ書類や、実際に経営コンサルタントが行われたことを証明するレポートなどの書類の提出も求められます。
加えて、経営コンサルタント会社の連絡先に電話をしたり、住所のある場所を訪問したり、法務局で該当する会社が登録されているかの確認を行ったりと、経営コンサルタント会社の実態を調べる調査も行われます。


経費の水増し目的で経営コンサルタント料を計上してしまった場合は

実際には発生していない経営コンサルタント料を計上して、経費を水増ししていたことが税務調査で発覚し、意図的に所得を低く見せかける行為であると判断された場合は、所得隠しを行ったとしてペナルティが科せられます。
経費の水増しをしていると、本来払うべき税金が不足していることになります。したがって、所得隠しを指摘された場合には修正申告を行い、正しい所得額を申告し直し、正しい額の納税を行わなければならなくなります。
また、所得隠しと認定された場合には、納税額を意図的に偽装したペナルティとして重加算税の支払いも命じられることとなります。重加算税は、修正申告によって計算された支払うべき納付税額の35%または40%という額になります。


まとめ

経営コンサルタントは、モノではなく形のないサービスの提供を受けるものであることから、経費の水増し目的に計上されやすい項目となっています。そのため、税務調査では経営コンサルタント料を指摘されるケースが多くあります。実際に経営コンサルタントを依頼し、適切なコンサルティングを受けている場合にも、経営コンサルタントの契約書や経営コンサルタント会社から提供された資料などを準備しておくようにしましょう。
もし、架空の経営コンサルタント料を計上し、経費の水増しをしていた場合に税務調査の通知が届いた際は、税理士法人松本にご相談ください。経験豊富な税理士が調査官からの質問にも代わりに対応しますので、安心です。どうぞお気軽にご連絡ください。


税務調査が多い個人のシステムエンジニアが気を付けるポイントとは?

2023.07.14

フリーランスとして活躍するシステムエンジニアが増えている一方で、システムエンジニアを対象とした税務調査も増えています。システムエンジニアが税務調査を受けた場合、どのような点を指摘されることが多いのでしょうか。
今回はフリーランスのシステムエンジニアが税務調査を受けやすい理由と、税務調査を受ける場合に気を付けたいポイントについてご説明します。 税務署より税務調査の連絡がきており、すぐに対応を依頼したい方は税理士法人松本までいますぐお電話ください。



システムエンジニアが税務調査を受けやすい理由

システムエンジニアは、税務調査を受けやすい業種であることをご存じでしょうか。国税庁では、事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種を発表しています。2018年に発表されたデータでは、申告漏れが高額な業種の第4位にシステムエンジニアが入っています。システムエンジニアの1件当たりの申告漏れ所得金額は1,365万円、1件当たりの追徴課税額は176万円となっています。
このようなことから、システムエンジニアは所得を正しく申告していないことが多い業種として認識されており、税務署からも目を付けられているのです。税務調査では、所得を正しく申告し、然るべき税金を正しく納めているかの調査を行います。申告漏れが少ないクリーンな業種を対象に税務調査を行うよりも、申告漏れが多い業種を対象に税務調査を行った方が不正を見つけ出しやすいことは明白です。したがって、申告漏れの多い業種であるフリーランスのシステムエンジニアは、税務調査の対象となってしまうことが多いのです。

フリーランスのシステムエンジニアが税務調査で困らないために、気を付けておきたいポイント

フリーランスのシステムエンジニアは税務調査の対象になりやすいことをご説明しました。普段から正しく売上を計上し、所得を申告していれば、税務調査を受けても困る必要はありません。フリーランスのシステムエンジニアが気を付けておきたい会計処理のポイントをご紹介します。

期限内に確定申告を行う

フリーランスのシステムエンジニアとして仕事をし、48万円を超える所得を得ている場合には確定申告をしなければなりません。会社員としての本業を持ち、副業としてフリーランスのシステムエンジニアをしている場合は、副業の所得が20万円を超える場合に確定申告が必要です。
確定申告をしていない場合、税務調査の対象となる確率が高くなります。昨年は確定申告をしていたのにもかかわらず、今年は確定申告をしていなかったことがきっかけで税務調査の対象となったケースもあります。また、クライアントに税務調査が入り、クライアントの取引履歴などからフリーランスのシステムエンジニアに対する報酬の支払いが判明し、システムエンジニアに対して税務調査が行われたというケースもあります。
確定申告をしていないことが税務調査で発覚した場合、本来の納税額の支払いはもちろん、ペナルティとして無申告加算税や延滞税なども支払わなければならなくなります。また、確定申告の場合は、前年の所得にかかる所得税を2月16日から3月15日までの間に納付することが求められ、納付までに1ヶ月の猶予が与えられます。しかし、無申告による追徴課税が行われると、本来納めるべき所得税額に無申告加算税、延滞税を加えた税額を、申告書の提出日にまとめて一度に納めなければならなくなります。

売上を正しく計上する

売上を過少に申告すると、その分所得が低くなるため課せられる税金の額も低くなります。売上の計上時期を操作したり、売上額を減らしたりする行為は脱税行為となります。売上は原則、取引が発生した時点で計上しなければなりません。

売上が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務が生じる

売上が1,000万円を超えるフリーランスのシステムエンジニアは消費税の課税事業者に該当し、所得税や住民税のほか、消費税も納税しなければなりません。フリーランスのシステムエンジニアの中には、消費税の納税を免れようと売上を1,000万円以下に調整しようとする人がいます。しかし、税務署ではシステムエンジニアにこのような売上調整をしようとする人が多いという事実も把握しており、年収1,000万円以下で確定申告しているシステムエンジニアは税務調査の対象として選ばれやすい傾向にあります。 税務調査対応にお困りになっている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



経費を正しく計上する

フリーランスの場合、仕事のために支払った費用とプライベートで支払った費用を混同して経費に計上してしまうケースがあります。例えばクライアントの打ち合わせをするために必要となった移動の交通費は経費として計上できますが、プライベートな用事で出かけるために使った交通費は経費とはなりません。また、仕事で必要になった書籍や筆記用具などは経費として計上できますが、仕事と関係のない書籍や文房具などの購入費用は経費にはなりません。
とくに、交際費としてプライベートな飲食代を計上しているようなケースは注意が必要です。税務調査では売上の計上漏れについても厳しくチェックされますが、経費が適正に計上されているかも細かくチェックされます。
経費であることを証明するために、領収書などを月ごとに分けて整理しておきましょう。

まとめ

残念なことにフリーランスのシステムエンジニアの申告漏れは多く、このような事情から不正が多い業種としてみなされ、フリーランスのシステムエンジニアは税務調査の対象に選ばれやすくなっています。
売上が1,000万円を超えると、所得税と住民税以外に消費税の納付義務が発生します。そのため、フリーランスのシステムエンジニアの中には売上を操作して1,000万円以下に見せかけ、消費税の納税を免れようと考える人が少なくありません。しかし、税務署ではそのようなフリーランスのシステムエンジニアの傾向も把握しており、年収900万円台のシステムエンジニアは税務調査の対象に選ばれるケースが多くなっています。
もし、確定申告をしていなかったり、正しく所得額を申告していなかったりといった場合には、ペナルティが科せられる可能性があります。心あたりがある場合は、税理士法人松本までご相談ください。税務調査の前に自主的に申告を行うことでペナルティが軽減される可能性もありますので、お気軽にお問い合わせください。


不動産業者に入る税務調査とは?追徴課税を受けないための対策を税理士が解説

2023.07.14

不動産業者には、住宅やマンションの売買を主に行う不動産販売会社、賃貸の仲介を主にしている不動産仲介会社、賃貸物件や分譲マンションの管理業務を主に行う不動産管理会社などがあります。
これらの不動産業者も、他の業種と同様に税務調査を受ける可能性があります。もし、税務調査が行われた場合、不動産業者ではどのようなポイントをチェックされやすいのでしょうか。
不動産業者に入る税務調査の特徴と、追徴課税を受けないための対策について解説いたします。 税務署より連絡があり、税務調査対応をご希望の方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



不動産業者が税務調査でチェックを受けやすいポイント

不動産仲介・管理会社の場合

不動産の仲介をしたことで得られる報酬に仲介手数料があります。不動産仲介会社では、この仲介手数料が売上となります。土地や建物の売買、賃貸借を仲介して得た仲介手数料は、原則として引き渡しが完了した日に計上します。ただし慣例によって、売買契約が成立した日と引き渡し日の2回に分けて仲介手数料が支払われる場合は、売買契約締結時に受け取った仲介手数料はそのときに売上として計上し、引き渡し日に受け取った残りの仲介手数料は引き渡し日に売上として計上します。不動産仲介会社の税務調査では、売上計上日についてチェックをされるケースが多くなっています。仲介手数料の売上計上時期のルールをしっかりと確認しておきましょう。
また、同族会社の場合は管理料を高く設定している場合があります。家賃収入に対する管理料の相場は5%~10%程度だと言われています。あまりに高い割合を管理料としている場合は、管理の実態が調査され、管理料の割合について是正を求められます。

不動産販売会社の場合

不動産販売会社の場合、販売用として保有している不動産は棚卸資産として分類されます。建売住宅を販売する場合、住宅を建てるために購入した土地の購入費用は、売却が完了するまで支出として計上することができません。売却前に土地の購入費用を経費として処理してしまうと、税務調査時に指摘を受けることになります。土地の入手時期と売却完了時期の決算期がずれている場合には注意が必要です。
その他、次のような項目も不動産業者の税務調査時にはチェックをされることが多くなっています。

・現金の管理状況

現金出納帳と現金残高額にズレがないか、不審な入出金が行われていないかなどについてチェックが行われます。現金での取引をできるだけ避け、金融機関を通した取引を行うようにすることをおすすめします。

・売上の管理状況

家賃などの入金が月をまたいでいる場合の売上が正しく計上されているかのチェックも行われます。

・帳簿と帳票類が合っているか

請求書や領収書などの帳票と帳簿の数字に整合性があるかのチェックもなされるため、月別に分けて保管しておくとよいでしょう。

・プライベートな費用が経費として計上されていないか

同族の不動産業者の場合は特に、社長や家族などのプライベートな飲食代や物品購入代などが交際費などとして計上されていないかなど、プライベートな費用の計上がないかのチェックがなされます。業務に関わりのないところで発生した費用は、経費に計上することはできません。

・人件費が適切な金額となっているか

実際には雇用していないにも関わらず、経費を水増しするために架空の人件費を計上していないかもチェックされるポイントです。また、源泉徴収も適正に行っているかも確認されます。
また、青色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や、その他の親族に支払う人件費は事前に届出を行うと、他の従業員の給与と区別し、青色事業専従者給与として扱うことができます。青色事業専従者給与の額は全額、経費として計上することが可能です。そのため、同族会社の場合、経費を増やして所得を圧縮するために、青色事業専従者の給与が適切な額に設定されていない場合があります。税務調査時には青色事業専従者の実働時間や担当業務について細かなチェックが行われます。従業員同様にタイムカードなどを準備して出勤の実態を示す記録を残したり、青色事業専従者が担当した業務の記録をとったりして、担当している業務の内容と就業時間を証明できるようにしておきましょう。

不動産投資家も税務調査の対象に

本業を別に持ちながら、賃貸経営や不動産売買などの不動産投資を行って家賃収入や売買益を得ている不動産投資家も、税務調査の対象となることを忘れてはいけません。不動産投資家が税務調査でチェックされるポイントは、売上の計上が漏れていないかと経費を適正に計上しているかの2点です。
売買益を得たときには正しい時期に売上を計上しているか、家賃収入を得ている場合には家賃が正しく計上されているかがチェックされます。もし家賃が滞納されている場合でも、所有する不動産に賃借人がいれば、滞納家賃分に関しても毎月売上に計上しなければなりません。
また、不動産投資家の場合、プライベートな費用を経費として計上しているケースもあり、交際費などの内容についても細かな確認が行われます。

不動産業者が追徴課税を受けないためには

税務調査によって、売上の計上漏れや経費の水増しなどが発覚した場合、修正申告が求められ、不足分の税額にペナルティ分の税額を加えた追徴課税がなされる可能性があります。
追徴課税を避けるためには、日頃から売上を正しく計上し、適正に経費も処理することが大切です。
しかしながら、税務調査の通知が入ると、たとえ正しく会計処理をしているはずでも不安になる場合も少なくありません。また、正しい知識を持っていなかったことで誤った処理をしている可能性もあります。税理士法人松本には、不動産業界の税務調査に詳しい税理士が在籍しています。税務調査の通知が届いた場合には、ぜひお気軽に税理士法人松本にご相談ください。税務調査当日にも税理士が立ち会い、調査官からの質問にも税理士が代わりに対応することができます。お気軽にお問い合わせください。


まとめ

不動産仲介会社や不動産管理会社、不動産販売会社、そして不動産投資家など、不動産業に関連する会社や個人の税務調査では、売上の計上時期に誤りがないか、正しく売上が計上されているかについて細かくチェックがなされます。また、同族会社が多い業界であることからプライベートな費用が経費として計上されていないか、働いている実態がないにも関わらず青色事業専従者の給与を不正に計上していないかなどについても細かく指摘されるケースが多くなっています。
税務調査によって不正が発覚すると、本来支払うべき額の税金に加えて、過少申告加算税や延滞税などの追徴課税が行われる可能性があります。税務調査にご不安がある場合、または税務調査の通知が届いた場合は、ぜひお気軽に税理士法人松本にご相談ください。


建設業の税務調査で押さえておくべきポイントとは?

2023.07.13

建設業は、税務調査が入りやすい業種の1つです。建設業に税務調査が入りやすい理由としては、建設業の会計処理方法が他の業種とは異なり、独自の方法で行われていること、また曖昧な会計処理を行っている会社が多いことなどが関係していると考えられています。
建設業の税務調査では、どのような点の指摘を受けやすいのでしょうか。
今回は、建設業の税務調査におけるポイントをご紹介します。 これから税務調査が入り、税理士の立ち会いを依頼したい方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



建設業の売上計上までの流れとは

建設業の税務調査では、正しく申告しているかを確認するために、売上を計上するまでの流れをチェックされます。建設業が代金を獲得するまでには、複数の段階があります。税務調査では、このそれぞれの段階において、お金の動きを正しく表す書面や記録が残っているかを細かく確認し、不正な申告が行われていないか、申告されている所得額に問題がないかを調査していきます。
建設業が売上を立てるまでの主な流れは、以下のとおりです。
1. 工事の見積書を発行する
2. 発注者から工事の注文書を受領する
3. 工事の注文請負書を発行する
4. 工事請負契約書を作成し、契約を締結する
5. 工事を開始する
6. 工事完了後、引き渡しを行う
7. 工事代金の請求書を発行する
8. 発注者から工事代金が支払われる

建設工事の売上を計上するタイミングは、6の工事完了後のタイミングです。
(※一部引き渡しや工事が長期間になるため、上記とは異なる計上基準がいくつか存在します。)
売上を計上する際に、特に注意しなければならないのが未成工事支出金です。未成工事支出金とは、まだ完成していない工事にかかった材料費や外注費などの費用のことです。建設業では、工事に長い時間がかかります。注文を受けて、工事を開始してもその年度に工事が完了しないことも度々あるため、他の業種のように1年で業績を計算しにくいという特徴があります。したがって、建設業では工事が会計年度の前に完了していない場合、工事にかかった費用は未成工事支出金として次年度に繰り越すことになるのです。

建設業の税務調査で指摘されやすいポイント

建設業の税務調査で指摘されやすいポイントには、次のようなものがあります。

・未成工事支出金を損金に計上していないか

先ほど説明したように、まだ終わっていない工事にかかった材料費や外注費などの費用である未成工事支出金は、工事を開始した年度中に損金で落とすことはできません。工事原価は、工事が完了し、引き渡しを終えてから損金として計上できるものです。しかしながら、建設業者の中には未成工事支出金を工事開始事業年度に合わせて計上している場合があります。未成工事支出金が計上されると、売上から差し引くことができる経費が多くなるため、利益操作につながるとみなされます。そのため、建設業の税務調査では、まだ工事が終わっていないにもかかわらず、工事原価が今期の損金として計上されていないかのチェックが行われます。

・売上を引き渡しのタイミングで計上しているか

建設業において、売上は引き渡しのタイミングで計上するものです。決算期日ギリギリに工事が終わり、実際には翌期に請求書を発行したとしても、売上自体は引き渡しの日時で計上しなければなりません。反対に、工事が完了して引き渡しをしているにもかかわらず、請求書を発行していないケースも注意が必要です。
また、追加工事が行われた場合も、売上は本体工事の完了時に計上しなければなりません。追加工事が完了したタイミングで売上を計上した場合、利益を少なく見せかけ、課税額を抑えるための操作をしたとみなされる可能性があります。
建設業の税務調査では、売上のタイミングについても書類を確認しながらチェックされることが多くなります。正しく売上を計上していることを証明するためには、請求書の発行日だけでなく、工事完了日や引き渡しの日付も明確に記録し、すぐに確認できるようにしておきましょう。

・従業員に支払った人件費を外注費として計上していないか

建設業の税務調査では、外注費もチェックされやすいポイントです。外注費とは、本来、会社外の法人や個人と業務請負契約を結んだ際に相手方に支払われる費用です。
しかし、建設業の会社の中には、雇用契約を結んだ従業員に支払う給与を外注費として計上している場合があります。給与として計上した場合、給与には消費税はかかりませんが、外注費として計上すると、外注費には消費税がかかります。支払った消費税分は自社が納める消費税額から差し引くことができるようになっています。税金として納める消費税を抑えることができるため、本来は給与として計上すべき費用を外注費と計上している会社があるのです。
このような場合は、税務調査において消費税が追徴課税され、所得税の源泉徴収漏れが指摘されるでしょう。

・プライベートな費用を経費扱いにしていないか

建設業者の中には、社長がプライベートで楽しんだ飲食費用やゴルフ費用を経費として計上している場合があります。また、プライベートで使用する物品の購入費用を交際費として計上しているケースもあります。
経費として計上できる費用は、事業に関連して使用した費用のみです。プライベートな用途に用いる物品の購入や遊興費は、経費には計上できません。特に中小企業や家族経営の建設業者などでは、社長や役員の経費が曖昧になっている場合があり、税務調査ではこの点も細かく指摘されやすいポイントです。

まとめ

建設業は、税務調査が入りやすい業種だと言われています。建設業の税務調査では、未成工事支出金を次年度の損金として計上しているか、売上計上のタイミングを工事完了日に合わせているか、給与を外注費として計上していないか、プライベートな出費を経費として計上していないかの4つのポイントが指摘されやすい傾向にあります。建設業の会計は、複雑でありかつ独特な方法で行われますが、税務調査で指摘されやすいポイントをしっかりと押さえ、日頃から正しく帳簿付けを行うようにしましょう。
また、税務調査の通知が入った場合は、税理士法人松本までお気軽にご相談ください。建設業界の税務調査に詳しい担当者が税務調査に立ち会い、税務署の調査官の指摘にも的確に対応させていただきます。



卸売業、小売業の税務調査は売上の計上漏れや棚卸資産計上がチェックされやすい!?

2023.07.13

卸売業者は、生産者から仕入れた商品を小売業者に販売し、小売業者は生産者や卸売業者から仕入れた商品を消費者に販売します。いずれも仕入れた材料を加工して販売するのではなく、商品と仕入れたものをそのまま加工することなく販売するという共通点があります。
そのため、卸売業と小売業では仕入れ、売上、在庫である棚卸資産の関係はわかりやすいという特徴があります。卸売業・小売業の税務調査では売上の計上漏れ、棚卸資産の計上が適正に行われているかという点がチェックされやすいポイントとなっています。
今回は、卸売業・小売業の税務調査の特徴についてご説明します。 すでに税務調査が入っている方は税理士法人松本までいますぐお電話ください。



卸売業・小売業の税務調査でチェックされやすいポイント①売上の計上漏れ

卸売業・小売業の税務調査でまずチェックをされやすいポイントが、売上の計上漏れです。売上の計上漏れがあり、売上額を過少に申告している場合にはそれだけ所得額が少なくなり、課せられる税金も少なくなります。そのため、卸売業・小売業に限らず、どの業種においても売上の計上漏れは、税務調査において厳しくチェックされます。
卸売業・小売業の税務調査における売上の計上漏れのチェックには次のような特徴があります。


<卸売業の場合>

卸売業の場合は、法人税事業概況説明書に月々の売上と仕入れ額が記載されています。税務調査が行われる際、調査官はこれらのデータを使って原価率を算出します。原価率は、売上原価を売上高で割ることで簡単に算出することができます。もし、売上が正しく計上されていない月があった場合、売上が少ない分、その月の原価率は高くなるため、売上を過少に申告したのではないかと疑いをもたれる可能性があります。


<小売業の場合>

小売業では、現金で取引が行われることが多いため、売上を低く計上しようと思えば容易に売上を操作できてしまいます。そのため、小売業の税務調査では売上の計上漏れを細かくチェックします。POSレジを導入している場合は、POSレジのデータが帳簿上のものと一致しているかどうかのチェックがなされます。
また、小売業ではポイントカードなどによる割引を実施しているケースもあり、ポイントによる割引をした場合の売上処理が正しく行われているかについても、税務調査ではチェックされやすいポイントです。


卸売業・小売業の税務調査でチェックされやすいポイント②棚卸資産計上

卸売業・小売業の税務調査でチェックされやすいポイントの2つ目は、棚卸資産計上が適正に行われているかどうかという点です。棚卸資産とは一般的にいう在庫のことであり、卸売業・小売業では、販売するために保有している商品在庫が棚卸資産に該当します。


期末の棚卸資産について

売れた商品の仕入れにかかった費用である売上原価は、会計上、費用として計上されます。売上原価の計算式は次のように表すことができます。
売上原価=期首の棚卸資産+当期商品仕入れ高-期末棚卸資産
会計上では、売上と売上原価は同じ期に計上する必要があります。もし、商品を仕入れたものの売り切れずに期末に在庫として残ってしまった場合は期末の棚卸資産として扱い、その分は仕入れ高に計上することはできません。もし、期末の棚卸資産分を仕入れ高に計上してしまうと、売上原価は高くなります。つまり、経費として計上する額が多くなり、不正に会計処理をしているとみなされる可能性があります。
期末の棚卸資産を正しく計上しているかは、税務調査時に確認される可能性が高いポイントです。棚卸伝票とのチェックが行われる場合もあるため、税務調査の前には棚卸伝票と在庫の数量も差異がないか確認しておきましょう。


卸売業・小売業の税務調査でチェックされやすいその他のポイント

卸売業・小売業の税務調査では、売上の計上漏れがないか、棚卸資産計上が正しく行われているかの2点について細かくチェックが行われる可能性が高くなります。また、この2点のポイント以外にも卸売業・小売業の税務調査では次のようなポイントがチェックされやすくなります。


・広告宣伝費を適正に計上しているか

小売業の場合、広告宣伝に多額の費用をかけている場合も多く、正しく計上しているかどうかのチェックが行われます。


・システムやアプリの費用を適正に計上しているか

卸売業・小売業では、売上や在庫の管理などにシステムやアプリを導入していることが多いでしょう。システムの導入費用や入れ替えを行った際の費用、システム維持のための費用などが適正に計上されているかどうかも税務調査で指摘されやすいポイントです。


・倉庫や店舗の増設・出店などに関わる費用を適正に計上しているか

卸売業では新たに倉庫を建設したり、小売業では新たな店舗を開設したり、既存店舗の改装を行ったりすることがあります。これらにかかった費用を適切に計上しているかという点についても、税務調査ではチェックされやすくなります。


まとめ

卸売業・小売業では、仕入れた商品を加工せずにそのまま販売するために、仕入れ、売上、棚卸資産(在庫)の関係性がわかりやすいという特徴があります。卸売業・小売業を対象にした税務調査では、売上の計上漏れがないか、棚卸資産の計上が適正であるかについて、細かくチェックをされることが多くなっています。
税務調査によって、売上の計上漏れや棚卸資産の計上ミスなどで所得を過少に申告していたことが発覚する可能性もあります。納入すべき税額を本来よりも少なく申告した場合は、違反行為として過少申告加算税の支払いが科せられる場合があります。
税務調査が行われる際には、税務署から事前の通知が行われることが一般的です。税理士法人松本では、卸売業・小売業の税務調査に詳しい税理士が税務調査当日に立ち会い、調査官の質問にも適切に対応しています。もし、税務署から通知が来た場合には、早めに税理士法人松本までご連絡ください。



収入をごまかしている一人親方に税務調査はやって来る!

2023.07.13

収入をごまかし、実際よりも安い収入で確定申告すれば、それだけ納めるべき税金の額も減らせます。そのため一人親方の中には、収入を正しく申告していない方も少なからずいるようです。税務署では、納税者が正しく納税を行っているかどうかを調べるために税務調査を行っています。収入をごまかしていれば、いずれ税務署から疑いの目を向けられ、一人親方も税務調査の対象になる可能性があります。収入をごまかしていることが税務調査でバレた場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
今回は、なぜ収入をごまかしている一人親方に税務調査が来るのか、そして不正がバレた場合にどのようなペナルティが発生するのかについてご説明します。 すでに税務署より税務調査の連絡がきており、自身での対応では難しいと考えている方は税理士法人松本までお電話ください。



収入をごまかしている一人親方が税務調査の対象になる理由

一人親方は個人事業主です。会社に所属しているわけではないため、自分で1年間の収入と経費を計算して確定申告をしなければなりません。自分自身が申告を行うため、やろうと思えば簡単に収入を低く申告したり、経費を多く申告したりして所得額を低く見せかけることができてしまいます。しかし、税務署はさまざまな面から情報を収集しているため、いつまでも不正な申告を続けることは不可能です。一人親方の不正は次のような経緯でバレることが多くなっています。


一人親方は税務調査の対象となりやすい傾向に

国税庁が発表している「事業所得を有する個人の1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」の中には、土木工事やタイル工事、冷暖房設備工事など一人親方に関連する複数の業種が含まれています。したがって、一人親方に関連する業種は不正が行われやすい業種として税務署からマークされているのです。


依頼主の調査から発覚する

一人親方が仕事をする際には必ず依頼主がいるはずです。依頼主が支払ったお金について申告をしていれば、一人親方に報酬が支払われたことが判明します。依頼主側から報酬を支払った申告がされているにもかかわらず、一人親方からの申告がない場合、申告漏れがあると疑われるでしょう。


第三者からのリーク

一人親方が収入をごまかしているという情報を掴んでいる何者かが、その情報を税務署にリークする場合もあります。所得を正しく申告し、正しく納税している人が、収入をごまかして納税逃れをしている人に対して良くない印象を抱くのは当然のことでしょう。第三者による税務署への情報提供は、思っている以上に多いのです。


資産状況からバレる

税務署は、調査対象者の資産状況を調査することができます。所得申告は少ないものの銀行口座に多額の金が入金されていたり、高額な不動産を購入していたりする場合などは、税務調査の対象となるでしょう。


一人親方の税務調査で指摘されることが多いポイントとは

一人親方が税務調査を受けた場合、指摘されやすいポイントは次のとおりです。


売上を正しく計上しているか

収入をごまかす場合、売上を正しく計上せずに、実際よりも低い金額を計上したり、実際には受け取っている報酬があるにもかかわらず、売上には計上していなかったりといった不正が行われる可能性があります。
税務調査では、取引先へ発行した請求書や入金の状況などを精査しながら、売上に不正がないかのチェックが行われます。


消費税の納税逃れのために売上を調整していないか

売上が1,000万円を超えると、一人親方であっても消費税の課税事業者に該当します。消費税が課税されることを避けるために、売上高を1,000万円以下に調整する人もいます。そのため、売上が本当に1,000万円を超えていないのかについて、取引先に調査に行くなどの反面調査が行われる場合があります。売上が1,000万円超えているが、消費税を払いたくないので売上を抜いて申告している場合は税理士法人松本までまずはご相談ください。



経費を正しく計上しているか

所得をごまかす方法には、売上を過少に申告する方法のほかに経費を水増しして計上する方法があります。プライベートで使用した車の移動にかかったガソリン代や、仕事とは関係のない会合で使用した飲食代などは、経費に計上することはできません。税務調査では、経費の正当性についても細かくチェックが行われます。


税務調査で不正が発覚した場合に一人親方に科せられるペナルティとは

税務調査で一人親方が収入をごまかしていたことが発覚した場合は、次のようなペナルティが科せられます。


無申告加算税

無申告加算税とは確定申告を期限内にしなかった場合に科せられるペナルティです。無申告加算税の税額は、納付すべき税額が50万円までは15%、50万円を超える部分については20%となっています。
ただし、申告期限を過ぎていた場合でも税務調査の前に自主的に申告を行うと、無申告加算税の税額が5%~10%に軽減されます。


過少申告加算税

収入や経費をごまかし、本来の所得額よりも少ない金額を申告した場合には、過少申告加算税が課せられます。過少申告加算税は、不足していた税額の10~15%となります。ただし税務調査よりも前に自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課せられません。


重加算税

意図的に収入をごまかし、その額が多く、悪質性が高いと判断された場合は重加算税が課せられます。重加算税は、納付税額の35%または40%に該当する額となります。加算税の中ではもっとも重いペナルティです。


延滞税

期限までに納税しなかったことに対するペナルティとして課せられる税金です。原則として、納付期限の翌日から2か月までの間は年7.3%、その後は14.6%の割合で課税されます。


まとめ

収入をごまかし、納税額を低く抑えようとしている一人親方には、税務調査が入る可能性があります。特に消費税逃れをしようと売上を1,000万円以下に調整しているケースが多く、年収が900万円台の一人親方は税務調査の対象になりやすい傾向があります。
2023年10月から新たにインボイス制度が開始されます。インボイス制度では、消費税の免税事業者はインボイスの発行ができなくなります。そのため消費税課税業者と取引をする際にはインボイスの発行を求められる可能性があり、消費税課税業者として登録した場合、年間売上が1,000万円以下の事業者の場合であっても、消費税を申告納税しなければなりません。
過去の確定申告で正しく申告してこなかった場合は、税務調査の前に自主申告を行うとペナルティが軽減されます。確定申告や今後の税務調査に不安を感じるような場合は、税理士法人松本までお気軽にご相談ください。一人親方の税務調査にも詳しい税理士が適切なアドバイスを行います。


税務調査に入られる確率が高い個人事業主の所得はいくらからなの?

2023.07.08

「個人事業主は税務調査に入られる確率が少ない」と耳にすることがあります。裏を返せば、個人事業主でも税務調査がやって来る可能性は十分にあると言えるでしょう。 ここでは、所得がいくらになれば個人事業主でも税務調査を受ける確率が高まるのか、また税務調査に入られやすい個人事業主の特徴などについて解説しています。 すでに税務調査が入っている個人事業主の方はいますぐ税理士法人松本までご相談ください。



個人事業主へ実施される税務調査の割合は?

まずは、毎年行われている税務調査のデータや割合をもとに、個人事業主への税務調査の実態について見ていきましょう。

国税庁では法人の3%程度に税務調査を実施

国税庁では、所得税の申告件数や消費税に関する税務調査を実施した件数などについて、毎年データを公表しています。 所得税や相続税、消費税など簡易調査を合わせると、例年60万件ほどの税務調査が実施されており、税務調査が実施される確率は「実調率」から読み取ることが可能です。 平成28年度の法人税に対する実調率は3.2%となっており、法人に対しては、3%程度の割合で税務調査が行なわれたことがわかります。

個人事業主への税務調査の割合は?

一方、個人事業主が主な対象となる所得税についての実調率は1.1%となっており、個人事業主へは1%ほどの割合で税務調査が行われたことになります。 この1%の数字を皆さん高いと思いますか、低いと思いますか。
例えば、テレアポの成功率は0.1~10%未満だと言われており、テレアポ初心者~中級者レベルだと0.1~2%程度とのことです。 皆さんも営業の電話を受けて、少しだけ話を聞いてみようかなと思ったことはありませんか。その確率と同じ割合だと思うと、自分に税務調査は来ないだろうと考えてしまうのはとても危険だと思われたことでしょう。
ただし、これはあくまで申告されたものに対しての実調率となっており、申告自体をしていない無申告事業者への調査などは別途実施されていると考えると、データに上がらない税務調査の割合はもう少し高くなると考えられます。

税務署では特定の事業者をマークしている

平成30年の申告所得税件数は2,222万件となっており、税務署の職員や調査にあたる担当者の数には限りがあります。 そのため、申告件数すべてについて、税務署が同等の調査を実施するのは困難なものです。一定の条件に基づいてピックアップされた事業者に対して、より詳しい調査が行われていると考えるのが現実的でしょう。
では、どのような条件に該当する個人事業主が税務調査の対象となりやすいのでしょうか。 すでに税務調査が入っている方はこちらよりお電話ください。お近くの拠点よりお電話させていただきます。



税務署はどんな事業所への調査に力を入れている?

税務署は税務調査の目的として、以下のような点を重視しています。

海外との取引が多い

海外取引を多く行っている事業者は、消費税に対して適正な取引となっているかが注目されやすくなっています。 資産を隠す目的で海外へ移していないか、税金を回避するために国外で設立した会社を利用していないかなど、税金逃れを目的とした不正の取り締まりを強化しているようです。

シェアリングエコノミーに関わっている

民泊事業やフードデリバリー請負など、近年台頭しているシェアリングエコノミーに関わる事業についても、税務署では実態の把握に力を入れています。 適正な届出がなされているか、課税や記帳に関して正しく管理されているかといった観点で、是正の意味合いも含めて調査対象とする事例も多いようです。

富裕層への対応

税務調査を実施するには、数日かけて担当者を派遣して資料をチェックするなど、税務署の方でも手間と時間をある程度かける必要があります。 修正申告や追徴課税の額が大きくなりそうな事業者ほど、税務署としては積極的に調査したいと考えるのが現実であるともいえるでしょう。 多額の資産を保有していたり、急激に売り上げが伸びていたりする事業者などに対しては、大都市圏で専用のチームを設置して調査にあたっているようです。

無申告事業者の把握

計上ミスや修正申告といった申告済みの事業者だけでなく、そもそも申告自体をしていない事業者の把握についても、税務署では強化しています。 何年も無申告となっている事業者の場合、悪質性が認められれば、最大で7年分も遡って課税できるほか、重加算税などの重い追徴課税の対象とできるからです。



税務調査の対象となりやすい個人事業主の特徴は?

上記をふまえると、税務調査の対象となりやすい個人事業主には、以下のような特徴があると考えられます。

起業・開業後3年以上が経過している

起業や開業後経過した年月が長くなるほど、税務調査の対象となる確率は高まります。数年経過して気の緩みがないか、会計処理を間違ったまま理解していないかといった点以外に、原則として最低3年までは遡って調査できる点も無関係ではないでしょう。
もちろん、3年が経過する前に税務調査が入るケースもあれば、10年以上調査の対象とならないケースもあります。
とはいえ、開業後3年が経過していたら、過去の申告や資料などについて、改めてチェックしてみるとよいでしょう。

売上高が1,000万円を超える

売上高が1,000万円を超えると、個人事業主であっても消費税の納付義務が発生します。1,000万円以上が所得税の課税対象となると同時に、消費税についても調査対象となるため、税務調査に入られる確率は高まるでしょう。
また、1,000万円に少し満たない額での申告が続いている事業者についても、実際は消費税の納付義務があるのではないか、という観点から、調査の対象となりやすくなると予想されます。

海外投資やシェアリングエコノミーに関連する売上が多い

海外との取引といえば、従来までは輸出入や不動産投資などが主な事業となっていましたが、近年ではオンラインを利用して、さまざまな業種で海外取引が利用されています。 民泊事業やデリバリーの請負などで海外の企業と収支の取引がある暗号資産などの取引で、急激に大きな利益が出ているといった場合には、適正な申告ができているかを把握する目的で調査対象となる可能性もあるでしょう。

無申告事業者

無申告である実態は金融機関への情報照会や取引先への税務調査で発覚するほか、第三者からの密告などで判明することも多いものです。
これまで無申告を続けてきた場合は、本当に申告の必要がないのかも含めて、税理士などの専門家へ相談してみることをおすすめします。

税務調査に入られない対策も大切

ずっと無申告状態の場合は早急に確定申告を

ずっと無申告を続けていたけど「結婚することになり状況が変わった」「確定申告書控えの提出を求められた」「副業先に税務調査が入った」など、年齢を重ねるにつれ、環境が変化していきます。
また、2023年10月からはインボイス制度も始まります。インボイス制度が始まるにあたり、1000万円以上もらっている売上先から適格請求書発行事業者の登録番号を求められることもあります。このまま無申告を続けず、適切に確定申告を行いましょう。
期限後申告をすべて自分で行うのが不安な方は期限後申告もまとめて対応できる税理士法人松本までお気軽にご相談ください。


適正な経費計上を心がける

架空経費や外注費の計上はしていませんか。架空経費は重加算税の対象になる可能性が極めて高い内容です。早急に修正申告をし、加算税の負担を最小限に抑えるようにしましょう。
個人事業主は、仕事とプライベートの境目があいまいになりがちです。税務調査において、個人的な費用が経費に計上されていないかチェックされます。 住んでいる自宅の家賃を全額経費計上したり、プライベートと兼用で乗っている車両の費用やガソリン代も全額経費にしている方も見受けられます。 プライベートと兼用の場合は全額を経費計上することができず、一部を経費計上したい場合は、プライベートと事業の比率を合理的な基準により計算することが必要です。
税務調査で質問された時に困らないよう、家事按分比率を適切に定め、経費計上できる経費、できない経費をしっかり把握し、適正な申告を行うようにしましょう。

意外と大事な税理士署名

確定申告書に税理士の署名がある個人事業主の場合は、税理士の署名がない申告書を提出している個人事業主よりも税務調査が入りにくいと言われています。
理由としては、税理士が署名をしているということは、意図的な脱税の可能性が低く、申告内容のミスや申告漏れが少ないと税務署に判断されるためです。 要するに専門家のお墨付きがある確定申告書という見方をされるわけです。 だからと言って、税理士の署名があるから税務調査が絶対に入らないわけではありません。

まとめ

個人事業主が税務調査に入られる確率は全体としては多くはありませんが、所得税の課税対象となる売上が1,000万円に近いか、それ以上の場合は調査対象となる確率が高まります。 それ以外にも、税務調査に入られやすい特徴で挙げた点に心当たりがある場合は、税理士事務所などでアドバイスを受けてみるのがよいでしょう。

こちらの記事は幻冬舎GOLD ONLINEにも掲載されております。


脱税はバレる?脱税するとどうなる?その後の流れについて解説

2023.07.05

脱税や所得隠しというと、映画やドラマなどで大手企業や富裕層に国税庁の調査が入るイメージがあります。しかし、こうしたセンセーショナルなものでなくても、税務署から調査が入って申告漏れや脱税を指摘されるケースは多いのです。
ここでは、脱税や所得隠し、申告漏れなどが発覚する経緯や、その後の流れなどについて解説しています。 税務署から申告漏れや架空経費について指摘されている方は税理士法人松本までご相談ください。



脱税や所得隠し、申告漏れがバレてしまう理由は?

税務署内では、過去に調査対象とした膨大な脱税や所得隠しのデータを蓄積しています。ちょっとした隠ぺい工作などが簡単にバレてしまうのはこのためです。脱税や申告漏れ、所得隠しなどがバレやすい手口として、以下のようなものが挙げられます。

売上計上日の操作

決算月に計上するべき売上を意図的に翌月へ繰り越したり、納品書や請求書の日付をずらしたりといった行為は、売上の不正操作が疑われやすいものです。
金融機関への入出金状況や運送会社などへの履歴確認と併せて、取引先の調査などからも、日付の操作は発覚します。
金額が大きかったり、決算に関連する月に日付の相違があったりする場合、単純な入力ミスや思い違いなのか、意図的な操作なのかについて、税務調査で更に詳しく調べられることとなるでしょう。

売上額の過少申告

実際は営業していたのに休業していたように見せかける、営業時間を短く偽り、売上額を少なく計上するといった行為も、税務署の調査対象となれば発覚しやすいものです。
税務署では、調査対象となった店舗の営業時間を確認する目的で顧客として潜入したり、仕入れと実際の在庫との相違をチェックしたりするなど、さまざまな手法で隠ぺいや帳簿操作を暴くのです。

現金取引や海外取引が多い業者はチェックが厳しくなることも

銀行やクレジットカードなどの履歴に残らない現金による取引や、消費税の対象とならない海外取引を多く行っている事業者も注意が必要です。税務署では、こうした取引に対して税務調査の対象とすることが多く、チェックもより厳しいものになります。
取引先の企業が税務調査対象となって発覚するケースや、第三者からの通報、密告によって調査が始まるケースなどもあるため、不正を行ないやすい取引であるほど、正しい申告が重要だと考えた方がよいでしょう。

こうした取引以外にも、架空の接待費や交通費の計上、生活費の経費計上といった些細な不正でも、ひとたび税務調査が入れば指摘を受けて修正申告となり、追徴課税の対象となるケースもあります。
では、申告自体をしていない「無申告」の場合でも、税務調査の連絡が来るケースはあるのでしょうか。

税務署は無申告の事業者をどうやって調査している?

無申告の事業者について、税務署では以下のような手法で把握に努めています。

取引先への調査

自分自身は無申告で営業を続けていても、仕入れや売上を申告している取引先があれば、そこからの情報をもとに調査の手が伸びるケースもあります。
個人・法人を問わず、取引先が税務調査を受ければ、取引の際に交わした契約書類や個人情報をもとに、無申告の可能性がありそうな業者を洗い出すこともできるでしょう。

タレコミ・密告など

第三者によるタレコミや密告で、無申告が見つかるケースも少なくありません。恨みを買うような心当たりがなかったとしても、申告していないことをどこかでうっかり口に出していれば、ひそかに快く思わない人が通報する可能性もあります。
税務署でも、すべてのタレコミや密告に関して、平等に時間をかけて調査するわけではありません。中には、偽の情報やいわゆる「ガセネタ」が含まれている可能性もあるからです。
しかし、過去の蓄積されたモデルケースから可能性の高いタレコミを見分けて、調査対象とされてしまえば、かなり細かい部分まで調べられてしまうでしょう。
金融機関や役所に限らず、携帯電話や公共料金、住宅の契約・支払状況まで、税務署はあらゆる機関へ情報提供を求めることが可能です。
1度の無申告であれば、事業者に何らかの事情があって申告が遅れている可能性も考えられます。無申告の状態を何年も続けているほど、調査の対象となる可能性は年々高まると考えるべきでしょう。

税務署に脱税・申告漏れ・所得隠しがバレた場合はどうなる?

無申告や脱税、所得隠しなどが税務署にバレると、多くの場合以下のような流れを取ることとなります。

税務調査の連絡が入る

映画やドラマなどで、突然何の連絡もなく国税の査察官が調査にやって来るシーンを目にすることがありますが、多くの税務調査では、個人・法人を問わず事前に税務署より連絡を受けるケースがほとんどです。
事前連絡では税務調査で訪問したい旨を伝えられ、都合の良い日程についても、ある程度調整してもらうことができます。
税務署でも「訪問したのに担当者不在で調査が進まなかった」「資料が不足していて訪問が無駄になった」という事態は避けたいと考えています。調査自体を拒否することはできませんが、1週間程度であれば、過去の申告をチェックしたり、税理士などへ相談したりする猶予も作ることができるでしょう。

税務調査に要する期間は数日程度

税務調査で訪問を受ける期間は、3日前後であるのが一般的です。税務調査の担当者が2~3名で事務所を訪れ、パソコンや過去の請求書といった資料をチェックするほか、通帳やクレジットカードの明細なども確認されることがあります。
この間、通常の営業や取引に支障が出るケースもあるため、日程調整をしてもらえる場合は、繁忙期を避けるようにするとよいでしょう。

連絡なしに突然調査が入るケースもある

税務調査は事前の連絡があるのが基本とはいえ、中には突然調査員がやって来るケースもゼロではありません。
こうした場合、税務署ではかなりの確立で多額の脱税が行われていると考える証拠を掴んでいる事が多く、証拠隠滅を防ぐために連絡なく調査に訪れます。こうした調査では修正申告に加え、重い追徴課税は免れないと考えた方がよいでしょう。

まとめ

たとえ脱税や申告もれ、所得隠しについて税務署が把握していたとしても、勘違いや計算ミスといった可能性もあるため、正しい納税を指導する目的で調査が行われるケースが多いものです。
とはいえ、調査を受けてから課税されれば、通常よりも多くの税金を納めなければならなくなります。過去の申告書類で不安な点がある場合は、税務調査対応に実績を持つ税理士事務所の無料相談などを受けてみるとよいでしょう。




廃業後でも税務調査が来るって本当?どう対策すればいいの?

2023.06.28

会社が既に廃業後であっても、税務調査が来る可能性はあるのでしょうか。個人事業主が法人化した後に来る税務調査で、個人事業についての税務調査の対象となる可能性について気になる方も多いでしょう。
ここでは、廃業後に税務調査が来る可能性や、廃業後に必要となる手続きについてわかりやすく解説しています。税務調査の対策についても紹介していますので、廃業後の税務調査についての基礎知識としてお役立てください。廃業後に税務署より税務調査の連絡がきた方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



廃業後でも確定申告は必要なの?

「廃業したのだから、確定申告は必要ないだろう」と考えがちですが、以下のようなケースでは、廃業後であっても確定申告が必要となります。

廃業した年度が黒字だった場合

会社や事業を廃業する場合、一般的には経営不振であったり、大きな損失が出たりといった赤字計上が原因となることが多いものです。
しかし、赤字になっていないのに廃業するケースもあります。体調不良や経営者の高齢化、後継者の不在といった理由で廃業する場合もあるでしょう。
税務上で赤字となっている場合、廃業後に税申告する必要は基本的にはありませんが、廃業した年度が黒字だった場合は申告・納税が必要となります。

赤字でも申告が必要となるケース

廃業した年度が赤字でも、確定申告が必要となるケースが実はあります。会計的には赤字であったとしても、税法上で黒字となっていれば、申告しなければならないからです。
各種控除や繰越など、廃業した年が税法上黒字となるかどうかは、実際に申告する準備をしてみないと判断がつかないことも多いでしょう。

廃業後に税務調査が来ることはある?

たとえ廃業後であっても、以下のような理由から税務調査が来る可能性はあります。

廃業による不正を防ぐため

税務調査は廃業の有無に関わらず、どのような事業者のもとにもやって来る可能性があると考えるべきです。「廃業すれば税務調査は行われない」となれば、大きな黒字を上げた後に即廃業しようと考える業者も出てくるでしょう。
こうした不正を防ぐ目的もあり、廃業後であっても税務調査が来る可能性は少なくないのです。

法人化する前の個人事業分が無申告であった場合

個人事業主として営んでいた事業が拡大するなどして、どこかのタイミングで法人化する場合もあるでしょう。
法人化すると、申告時期は決算月から2ヵ月以内となり、通常の確定申告の時期とは異なります。
法人化して会社としての申告はしていても、それ以前に個人事業主として確定申告をする必要があった場合に、これを見落としていて無申告となっていると、税務調査で指摘されることとなるでしょう。
個人事業を廃業して法人化した場合であっても、税法上確定申告が必要な所得が出ていれば、申告しなければならないのです。

会社廃業後の申告が適切でなかった場合

個人事業の確定申告だけでなく、会社を廃業した場合の申告が適切でなかった場合も、税務調査の対象となりやすいでしょう。
会社を廃業した場合、通常の申告時期とは異なり、会社の清算処理時が確定申告のタイミングです。
廃業後の申告時期がズレている、または無申告状態となっていれば、適正な申告をするよう指導するのも税務調査の目的となります。
減価償却や廃業時経費計上など、適切な申告となっていないケースも調査されやすくなるでしょう。

廃業後の税務調査に備えて取るべき対策は?

会社や個人事業を廃業後に税務調査が来ることに備え、以下のような対策をとっておくようにしましょう。

帳簿や書類を7~10年は保管しておく

廃業後は、事業に関する書類やデータをすっきり処分したくなるかもしれません。しかし、廃業後に税務調査が来る可能性を考え、法で定められた期間中は書類を保管しておいた方がよいでしょう。
書類を保管するべき年数については、個人事業主であれば5~7年、法人であれば7~10年となっています。
これらの年数は「保管義務」として、法律で定められており、税務調査においても、最大で保管義務のある年数まで遡って調査対象となることもあるのです。
売上や仕入・経費に関連する書類は漏れや抜けのないようにして、科目や月別に整理して廃業後も大切に保管しておくようにしましょう。

無申告期間に気づいたら早急に申告する

廃業後に無申告となっている期間があることに気づいたら、できるだけ早めに申告することが大切です。
確定申告には毎年期限が設けられていますが、期限を過ぎていても申告は可能です。期限までに申告しなかったことで、延滞税や無申告加算税などは課せられる場合がありますが、無申告のまま税務調査が入り、追徴課税を受けることに比べれば軽いものとなります。
無申告の期間がないようにするのはもちろんですが、過去の申告に間違いがないかも念のためチェックしておきましょう。
必要であれば税理士へ相談するなどして修正申告することで、税務調査で指摘を受けるリスクや、税務調査そのものの対象となるリスクを減らすことができるでしょう。

廃業時の手続きや処理に困ったら税理士へ相談しよう

廃業時には、精算手続きのほかにも、廃業時にのみ必要となる会計上の処理などがあります。税法上で赤字となるかどうかの見極めや、個人事業主を廃業して法人化する際の手続きについても、思わぬ誤解やミスで税務調査の対象となるケースは少なくありません。
「廃業後であっても税務調査は来る」という前提で適切に申告・納税ができるよう、不安な点があれば税務調査のサポートに強い税理士事務所へ相談して進めましょう。



まとめ

廃業後であっても確定申告が必要なケースがあり、知らないばかりに無申告となっていたり、申告した内容に誤りがあったりすれば、廃業後に税務調査がやって来る可能性は高まります。
個人事業を廃業する場合も、会社を廃業する場合も、書類は大切に保管し、適正申告・適正納税することが大切です。
脱税行為や所得隠しといった不正がない点を説明できれば、税務調査がやって来ても安心して対応することができるでしょう。
不安な場合は起業や廃業、税務調査などの取扱実績がある税理士事務所の無料相談などを利用し、最後までしっかりと事業を締めくくりたいものです。

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