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一定以上の所得を得ている個人や法人は税金を納めなければなりません。税金を正しく納めない脱税は犯罪行為となり、脱税をした場合には、罰金が科されます。また、脱税と似た言葉に所得隠しや申告漏れといった言葉もありますが、脱税以外の所得隠しや申告漏れでは、罰金が科されることはないのでしょうか。
今回は、脱税と判断される目安や脱税に科せられる罰則、罰金の相場などについてご説明します。
目次
脱税とは、納税義務がある人が、納税しなければならないことを認識しながら、売上除外や架空経費の計上、財産隠し、虚偽書類の作成などによって故意に税金を免れる行為です。単なる計算ミスや認識違いによる申告漏れとは区別され、悪質な場合は査察調査や刑事告発の対象となります。
会社に勤める人の場合、一般的には毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、住民税も給与から差し引かれます。会社は、従業員の給与から源泉徴収した所得税などを、本人に代わって納付する義務があります。
一方、個人事業主は、原則として自ら確定申告を行い、所得税などを納付しなければなりません。法人も、事業年度ごとの所得を計算して申告し、法人税などを納付する義務があります。しかし、申告義務があることを知りながら申告しなかったり、売上を隠したり、架空の経費を計上したりして税額を不正に少なく見せるケースがあります。このように、故意に税金を免れる行為が脱税に当たります。
所得隠しとは、その名のとおり所得を隠す行為のことです。法人税や所得税は、基本的に所得をもとに税額を計算します。所得が少なくなれば納める税金も少なくなるため、売上の一部を帳簿に記載しない、私的な支出を事業経費として計上する、架空の外注費を計上するなどの方法で、意図的に所得を低く見せる行為が所得隠しに該当します。
所得隠しと脱税は、実務上の文脈によって使い分けられる言葉であり、所得隠しが直ちに刑事事件としての脱税になるわけではありません。ただし、隠蔽・仮装の手口、免れた税額、継続期間、証拠書類の偽造などを総合的に判断し、特に悪質と認められる場合には、脱税事件として刑事告発される可能性があります。
所得隠しと同様、脱税と似た言葉に申告漏れがあります。申告漏れとは、意図的に所得を隠したのではなく、計算ミスや認識違い、売上の計上忘れ、経費の誤計上などによって、結果的に申告する所得や税額が不足していた状態を指します。
脱税や所得隠しが、税金を免れる目的で意図的に売上を隠したり、経費を水増ししたりする行為であるのに対し、申告漏れは、故意ではない誤りによって結果的に申告額が不足したケースです。ただし、申告漏れであっても、本税に加えて過少申告加算税や延滞税が課されることがあります。
また、不正工作をしていなくても、申告義務があることを認識しながら故意に申告せず、税金を免れた場合は「単純無申告ほ脱」として刑事罰の対象となる可能性があります。そのため、「売上を隠していないから、無申告でも脱税にはならない」とは限りません。
脱税は、追徴課税だけで終わるとは限らない刑事犯罪です。2026年時点における主要な脱税罪の法定刑は、原則として10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方です。免れた税額が1,000万円を超える場合には、税目や事案の内容により、罰金額が脱税額相当額まで引き上げられることがあります。消費税の不正還付については、既遂だけでなく一定の未遂行為も処罰対象です。
不正工作を伴わない故意の無申告によって税金を免れた場合は、原則として5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。免れた税額が500万円を超えるときは、罰金額が脱税額相当額まで引き上げられる場合もあります。
これらの罰則は個人事業主にも適用されます。法人の脱税では、行為をした代表者や担当者が処罰されるだけでなく、法人にも罰金が科されることがあります。もっとも、申告内容に誤りがあっただけで、直ちに刑事罰を受けるわけではありません。故意の有無や手口、脱税額、継続期間などを踏まえて判断されます。
個人の脱税について、法律上の一律な「罰金相場」はありません。実際の罰金額は、免れた税額、脱税を続けた期間、隠蔽の手口、事件への関与や主導性、修正申告と納付の状況、前科の有無などを総合的に考慮して決められます。
したがって、「脱税額の何割が罰金になる」と一律に判断することはできません。また、刑事裁判で科される罰金とは別に、本来納めるべき税金、加算税および延滞税を納付する必要があります。
税務調査で売上除外や架空経費などの隠蔽・仮装が認定されると、通常の加算税に代えて重加算税が課されることがあります。隠蔽・仮装を伴う過少申告では、原則として追加本税の35%、隠蔽・仮装を伴う無申告では40%です。
過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがあるなど、一定の反復事案では10ポイントが加重され、原則として45%または50%になる場合があります。重加算税は行政上のペナルティであり、刑事罰としての罰金とは別のものです。
隠蔽・仮装がない通常の申告漏れでは、過少申告加算税が課されることがあります。税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、原則として過少申告加算税はかかりません。調査通知後、税務署による更正を予知する前に修正申告をした場合は原則5%、一定の超過部分は10%です。更正を予知した後は原則10%、一定の超過部分は15%となります。
無申告の場合、2024年1月1日以後に申告期限が到来する国税について、税務署による決定を予知した後の無申告加算税は、納付税額のうち50万円以下の部分が15%、50万円を超え300万円以下の部分が20%、300万円を超える部分が30%です。調査通知後、決定を予知する前に期限後申告をした場合は、それぞれ10%、15%、25%となります。調査通知前に自主的な期限後申告をした場合は、原則5%です。
さらに、2024年1月1日以後に申告期限が到来する国税では、帳簿を提示しない場合や、帳簿に記載された売上額が本来記載すべき金額の2分の1未満である場合、加算税に10%相当が上乗せされることがあります。売上額の記載が本来の3分の2未満である場合は、5%相当の上乗せ対象となることがあります。
本税を期限後に納める場合は、これらに加えて延滞税も発生します。2026年1月1日から12月31日までの延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までなどの期間が年2.8%、それ以後が年9.1%です。延滞税は本税を基礎として日割りで計算されます。
税理士法人松本の見解では、実際のご相談は税務署から調査の連絡が来てから始まるケースが最も多くあります。連絡を受けた後でも、資料の確認や事実関係の整理、修正申告の要否など、初動の対応によって結果が大きく変わる可能性があります。
脱税が発覚してから、刑事裁判によって脱税の罪が確定するまでの流れをご説明します。単なる計算ミスや申告漏れが直ちに脱税となるわけではありません。売上除外、架空経費の計上、財産隠し、虚偽書類の作成などによって、故意に税金を免れたと認められる場合に、査察調査や刑事告発の対象となります。
国税局査察部とは、いわゆる「マルサ」と呼ばれる部署です。悪質な所得隠しなどによる脱税が疑われる案件について、国税犯則取締法に基づく査察調査を行います。
国税局査察部では、脱税が疑われる案件に対して強制的な調査を行い、刑事告発も視野に入れて証拠を収集します。そのため、国税査察官には税法だけでなく、刑事手続に関する専門的な知識も求められます。
一般的な税務調査は、納税者の協力を得て行われる任意調査です。通常は、税務署の調査官から事前通知があり、調査日時や対象税目、対象期間などが伝えられます。そのため、納税者は通知された日程を踏まえ、帳簿や請求書、領収書などの準備を進めることができます。
当事務所に寄せられるご相談の傾向として、調査の連絡から実際の調査日までの限られた期間に、何を準備すべきか分からないまま当日を迎えてしまう方が少なくありません。任意調査の連絡を受けた場合は、確認すべき資料や対応方針を整理し、準備の段取りを最初に決めることが重要です。
一方、脱税が疑われる際の強制調査では、任意調査のような事前通知は原則として行われません。査察官が事前連絡なしに事業所や自宅などを訪れ、裁判官が発付した令状に基づいて捜索や差押えを行います。帳簿、契約書、請求書、パソコン、預金関係資料などが証拠として差し押さえられる場合があります。
国税局査察部は、強制調査に着手する前に、取引先や金融機関などに関する情報を収集し、脱税の疑いを具体的に検討します。そのうえで裁判所に令状を請求するため、強制調査では関係資料が広範囲に差し押さえられることがあります。ただし、強制調査を受けた段階で脱税の有罪が確定したわけではありません。
国税局査察部による調査が完了するまでには、長い時間がかかることがあります。収集した帳簿や取引記録、預金の動きなどを分析し、脱税の手口、免れた税額、関係者の関与などを確認します。
詳しい調査によって脱税事件として処罰を求めるべきだと判断された場合、検察庁への刑事告発が行われます。告発割合は年度によって変動しますが、査察調査後に告発まで進むケースは全体の約70%とされています。ただし、強制調査を受けたすべての案件が告発されるわけではなく、告発された時点でも有罪が確定するわけではありません。
告発を受けた検察庁は、刑事事件として捜査を進めます。被疑者が在宅のまま取調べを受けるケースもありますが、逃亡や証拠隠滅のおそれなどがある場合には、逮捕・勾留される可能性があります。
検察官は、捜査によって集めた証拠を踏まえて、起訴するか不起訴とするかを判断します。起訴された場合は刑事裁判が行われ、裁判所が故意の有無、脱税額、期間、手口、主導的な役割、納付状況などを審理します。刑事裁判で有罪判決が確定すると、脱税の罪が確定し、拘禁刑や罰金などの刑事罰が科されます。
国税庁が公表した2025年度(令和7年度)の全国査察事件では、一審判決が出た80件すべてが有罪となっています。ただし、これは査察事件として告発され、実際に一審判決に至った事件の集計であり、通常の申告漏れまで含めた割合ではありません。
個人による脱税であっても、故意に税金を免れた場合は刑事罰の対象です。2026年現在、主要な脱税罪の法定刑は、原則として10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方です。免れた税額が1,000万円を超える場合には、税目や事情により、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることがあります。
また、架空経費や帳簿の改ざんなどの不正工作を伴わなくても、申告義務があることを認識しながら故意に申告せず、税金を免れた「単純無申告ほ脱」には、原則として5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。免れた税額が500万円を超える場合には、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることもあります。
「脱税の罰金相場」は法律上一律に決まっていません。実際の刑罰は、脱税額や脱税期間、手口の悪質性、主導性、修正申告・納付の状況、前科の有無などを踏まえて個別に判断されます。そのため、脱税額だけを基準に罰金額を予測することはできません。
有罪判決による拘禁刑や罰金とは別に、本来納付すべき税金、加算税、延滞税を負担する必要があります。隠蔽・仮装を伴う過少申告には原則35%、隠蔽・仮装を伴う無申告には原則40%の重加算税が課されます。過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがあるなど、一定の反復事案では10ポイント加重され、45%または50%となる場合があります。
延滞税は本税に対して日割りで計算されます。2026年1月1日から12月31日までの割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが原則として年2.8%、それ以後が原則として年9.1%です。罰金を納付しても、本税や重加算税、延滞税の納付義務がなくなるわけではありません。
脱税は、法に違反する行為です。単なる計算ミスや申告漏れとは異なり、売上除外、架空経費の計上、財産隠し、虚偽書類の作成などによって、故意に税金を免れる行為は、査察調査や刑事告発の対象となる可能性があります。
脱税をした場合に生じる負担は、大きく分けて、加算税や延滞税などの行政上の負担と、拘禁刑や罰金などの刑事罰の2つです。刑事罰を受けた場合でも、本来納めるべき税金や加算税、延滞税の納付義務がなくなるわけではありません。
行政処分とは、行政機関が法令に基づいて行う処分です。申告内容に隠蔽・仮装があった場合には、国税通則法に基づき重加算税が課されることがあります。
脱税時の行政上の負担となるのは、罰金的な性格を持つ加算税です。ただし、加算税は刑事罰として科される「罰金」ではなく、本来の税額に上乗せして納める税金です。
隠蔽・仮装を伴う過少申告の場合、重加算税は原則として追加本税の35%です。隠蔽・仮装を伴う無申告の場合は、原則として追加本税の40%となります。過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがあるなど、一定の反復事案では10ポイントが加重され、原則として45%または50%になる場合があります。
隠蔽・仮装に当たらない申告漏れでも、状況に応じて過少申告加算税や無申告加算税が課されます。通常の過少申告加算税は、調査通知後かつ更正を予知する前に修正申告をした場合は原則5%、調査後または更正を予知した後は原則10%です。一定の金額を超える部分には、それぞれ10%または15%が適用されます。調査通知前に自主的に修正申告をした場合は、原則として過少申告加算税は課されません。
2024年1月1日以後に申告期限が到来する国税の無申告加算税は、調査による決定を予知した後では、納付税額のうち50万円以下の部分が15%、50万円超300万円以下の部分が20%、300万円を超える部分が30%です。調査通知後かつ決定を予知する前に期限後申告をした場合は、それぞれ10%、15%、25%となります。調査通知前に自主的な期限後申告をした場合は、原則5%です。
また、帳簿を提示しない場合や売上の記載が著しく不十分な場合には、過少申告加算税または無申告加算税に、5%または10%相当が上乗せされることがあります。詳しい要件は、国税庁の「確定申告を間違えたとき」および「確定申告を忘れたとき」で確認できます。
これらに加えて、本税を納期限までに納めていない場合には延滞税が日割りで発生します。2026年1月1日から12月31日までの延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です。
査察調査を経て刑事告発され、裁判で脱税の事実が認められると刑事罰が科されます。個人事業主が所得税を脱税した場合は所得税法違反、法人が法人税を脱税した場合は法人税法違反、消費税の不正還付を受けた場合などは消費税法違反に問われます。消費税の不正還付については、一定の未遂行為も処罰対象です。
2026年時点における主要な脱税罪の法定刑は、原則として10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方です。免れた税額が1,000万円を超える場合には、税目や事情によって、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることがあります。
また、売上除外や虚偽書類の作成などの不正工作をしていなくても、申告義務があることを認識しながら、故意に申告せず税金を免れた「単純無申告ほ脱」は刑事罰の対象です。法定刑は原則として5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方であり、免れた税額が500万円を超える場合には、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることがあります。
個人事業主を含め、脱税の罰金に一律の相場はありません。実際の処分や量刑は、脱税額、脱税した期間、手口の悪質性、本人の主導性、修正申告や納付の状況、前科の有無などを踏まえて個別に判断されます。そのため、「脱税額の何割が罰金になる」と一概に示すことはできません。
なお、罰金だけを納めれば済むわけではなく、本税、重加算税などの加算税、延滞税も別に納付する必要があります。個人の脱税であっても、刑事罰と行政上の負担が重なる可能性がある点に注意が必要です。
現場の実感として、調査当日の受け答え以上に、事前準備、特に帳簿・領収書の整理と説明の筋道づくりが結果の大半を左右します。申告漏れや帳簿の不備に気づいた場合は、資料を書き換えたり廃棄したりせず、事実関係と金額を整理することが重要です。
上でご説明したように、脱税をしたときには、罰金的な性格を持つ加算税と、刑事罰による罰金の両方が問題になります。ただし、加算税は税務署による行政上の措置であり、刑事罰の罰金とは別のものです。刑事告発されなかった場合でも、本税に加えて重加算税や延滞税などを納めなければならないことがあります。
脱税で科される罰金には、一律の相場があるわけではありません。個人・法人を問わず、脱税額や期間、手口、主導性、修正申告と納付の状況、前科の有無などを踏まえて判断されます。
重加算税の金額は、不足していた税額によって変わるため、一概に相場を示すことはできません。しかし、令和7年6月に国税庁が発表した「令和6年度 査察の概要」を見ると、令和6年度の査察調査では98件が検察庁に告発され、告発事案の脱税総額は82億円、1件当たりの脱税額は平均8,400万円でした。
また、令和6年度中に一審判決が出た99件はすべて有罪となり、13人に実刑判決が言い渡されています。税目別の脱税額では、法人税が42億4,100万円と最も多く、次いで所得税が18億円でした。個人による脱税であっても、悪質性や脱税額などによっては刑事告発の対象になります。
さらに、令和7年度の全国査察事件では、一審判決80件すべてが有罪となっています。査察調査を経て刑事裁判となった事件は、通常の税務調査における単純な計算ミスや申告漏れとは性質が異なる点に注意が必要です。
売上除外、架空経費の計上、財産隠し、虚偽書類の作成などにより、故意に税金を免れた場合は脱税として刑事罰の対象になります。2026年時点における主要な脱税罪の法定刑は、原則として10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方です。
したがって、脱税で科される罰金は最大でも1,000万円だと思われるかもしれません。しかし、免れた税額が1,000万円を超える場合には、情状により、罰金を脱税額相当額まで引き上げられる税目があります。このため、実際の罰金が1,000万円を超えるケースもあります。
また、不正工作を伴わなくても、申告義務があることを認識しながら故意に申告せず、税金を免れた「単純無申告ほ脱」は、原則として5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくはその両方です。免れた税額が500万円を超える場合には、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることがあります。
これまでの事例では、所得税法違反や法人税法違反による罰金が、脱税額の10~30%程度となったケースも見られます。ただし、これは法律で定められた算式や基準ではありません。脱税額が同じでも、手口や期間、本人の関与の程度、修正申告や納付の状況などにより結果は変わるため、個別事件の罰金額を単純に予測することはできません。
「令和6年度 査察の概要」では、査察事件の一審判決状況とともに、1件当たりの犯則税額と罰金額も示されています。それによると、令和6年度の1件当たりの犯則税額は5,900万円、罰金額は1,500万円でした。また、1人当たりの拘禁刑の期間に相当する平均は15.7か月です。
この数値だけを比較すると、令和6年度に判決が出た査察事件では、1件当たりの罰金額は犯則税額の約25%に当たります。令和5年度も、1件当たりの犯則税額が5,800万円、罰金額が1,500万円であり、同程度の割合でした。
ただし、これらは査察事件全体の平均値であり、個人の脱税にそのまま当てはまる「罰金相場」ではありません。他の犯罪との併合、罰金の対象となる被告人の範囲、事件ごとの情状などもあるため、平均額だけで実際の罰金を判断しないことが大切です。
脱税による金銭的な負担は、刑事裁判で言い渡される罰金だけではありません。納付していなかった本税に加え、重加算税や延滞税が別に発生します。
たとえば、隠蔽・仮装による無申告が認定された場合、本税を納付するだけでは終わらず、原則40%の重加算税と延滞税が発生します。刑事告発されて罰金が科された場合は、これらとは別に罰金も納付しなければなりません。
一方、通常の申告漏れであり、隠蔽・仮装が認められない場合は、重加算税ではなく過少申告加算税や無申告加算税の対象になることがあります。調査通知前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税は原則として課されず、自主的な期限後申告に対する無申告加算税も原則5%です。ただし、個別の事情によって扱いが異なるため、故意の脱税と単純な申告ミスを区別して確認する必要があります。
税理士法人松本の見解では、税務署からの電話や書面を「様子を見よう」と置いてしまう方が少なくありませんが、連絡への応答が早いほど、その後の進め方に選択肢が残ります。
参照元:国税庁「令和6年度 査察の概要」 国税庁「確定申告を間違えたとき」 国税庁「延滞税の割合」
所得隠しや申告漏れが判明すると、本来納めるべき税金に加えて、重加算税、無申告加算税、過少申告加算税などが課されることがあります。これらは一般に「罰金」と表現されることがありますが、法律上は刑事罰ではなく、行政上の追加負担である「加算税」です。
一方、売上除外、架空経費、財産隠し、虚偽書類の作成などによって故意に税金を免れた場合は、加算税だけでなく、査察調査や刑事告発の対象になる可能性があります。所得隠し、申告漏れ、脱税は、行為の内容や故意性、隠蔽・仮装の有無などを踏まえて区別する必要があります。
所得隠しに伴って課される代表的な加算税は、重加算税です。帳簿や書類を改ざんする、売上を意図的に除外する、架空の経費を計上するなど、課税の基礎となる事実を隠蔽または仮装し、実際よりも税額を少なく申告した場合などが対象になります。
重加算税の税率は、申告期限内に申告していたものの税額が不足していた場合、原則として追加本税の35%です。隠蔽・仮装を伴う無申告の場合は、原則として追加本税の40%となります。
さらに、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがあるなど、一定の反復事案では税率が10ポイント加重され、原則として45%または50%になることがあります。
なお、「所得隠し」と呼ばれる事案であっても、直ちに刑事罰が科されるとは限りません。ただし、悪質な隠蔽工作によって故意に税金を免れたと判断されれば、脱税として刑事告発され、重加算税とは別に拘禁刑や罰金の対象になる可能性があります。
所得の計上漏れや記入ミス、税法上の取扱いに関する誤解などにより、意図せず申告額が不足した場合は、一般に申告漏れとして扱われます。隠蔽・仮装がなければ、通常は重加算税ではなく、無申告加算税または過少申告加算税が課されます。
確定申告が必要であるにもかかわらず、法定申告期限までに申告しなかった場合は、無申告加算税の対象になります。2024年1月1日以後に申告期限が到来する国税について、税務調査による決定を予知した後に期限後申告をした場合などの税率は、次のとおりです。
税務調査の通知を受けた後でも、決定を予知する前に期限後申告をした場合は、それぞれ10%、15%、25%に軽減されます。調査通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、原則として5%です。
ただし、不正工作をしていなくても、申告義務を認識しながら故意に申告せず税金を免れた場合は、単なる申告漏れではなく「単純無申告ほ脱」として刑事罰の対象になる可能性があります。
期限内に確定申告をしたものの、計算ミスや所得の計上漏れなどによって納税額が不足していた場合は、過少申告加算税の対象になります。
税務調査を受けた後、または更正があることを予知した後に修正申告をした場合の税率は、原則として追加本税の10%です。ただし、追加本税のうち、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については15%となります。
調査通知を受けた後であっても、更正を予知する前に修正申告をした場合は原則5%、一定の超過部分は10%です。調査通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば、原則として過少申告加算税は課されません。
2024年1月1日以後に申告期限が到来する国税では、税務調査で帳簿を提示しなかった場合や、帳簿に記載された売上金額が本来記載すべき金額より著しく少ない場合、無申告加算税または過少申告加算税が加重されることがあります。
当事務所に寄せられるご相談の傾向として、税務署から届いた「お尋ね」や「お知らせ」などの書面を放置し、事態が進んでから相談される方も少なくありません。書面を受け取った段階で申告内容や帳簿を確認した方が、自主的な修正申告を含め、検討できる選択肢は多くなります。
延滞税は、税金を法定納期限までに納付しなかった場合に、本税へ加えて課される利息的な税金です。脱税や所得隠しに限らず、単純な申告漏れや納付遅れでも発生し、納付が完了するまで原則として日割りで計算されます。
2026年1月1日から12月31日までの延滞税の割合は、法定納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%です。延滞税は、重加算税、無申告加算税、過少申告加算税や刑事罰の罰金とは別に発生します。
脱税に該当して刑事事件となった場合は、本税、重加算税、延滞税などの税務上の負担に加え、刑事罰として拘禁刑や罰金が科される可能性があります。2026年現在、主要な脱税罪の法定刑は、原則として10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方です。
免れた税額が1,000万円を超える場合には、情状により、罰金を脱税額相当額まで引き上げられる税目があります。また、申告義務を認識しながら故意に申告しなかった「単純無申告ほ脱」は、原則として5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくはその両方です。免れた税額が500万円を超える場合には、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることがあります。
個人の脱税について、法律上一律に決まった「罰金相場」はありません。実際の刑罰は、脱税額、脱税した期間、手口の悪質性、事件での主導性、修正申告や納付の状況、前科の有無など、個別の事情を踏まえて判断されます。そのため、「脱税額の何%が罰金になる」と単純に計算することはできません。
拘禁刑についても、必ず執行猶予が付くわけではありません。執行猶予の有無や刑の重さは脱税額だけで決まるものではなく、手口、期間、納付状況などを含む事情から総合的に判断されます。
また、刑事処分を受けた場合には、取引先や顧客、金融機関などとの信用関係に影響が及ぶ可能性があります。加算税や罰金の負担が資金繰りを圧迫することもあるため、税務署から連絡や書面を受けたときは、内容を放置せず、申告状況と納税額を早い段階で確認することが重要です。
売上除外、架空経費の計上、財産隠し、虚偽書類の作成などにより、故意に税金を免れる行為は脱税に当たる可能性があります。単なる計算ミスや申告漏れとは区別され、悪質な事案は国税局査察部による査察調査や検察庁への告発の対象となります。
2026年時点における主要な脱税罪の法定刑は、原則として10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方です。免れた税額が1,000万円を超える場合、税目や情状によっては、罰金が脱税額相当額まで引き上げられることもあります。
不正工作をしていなくても、申告義務を認識しながら故意に申告せず税金を免れた場合は、いわゆる「単純無申告ほ脱」として、原則5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくはその両方が科される可能性があります。これらの罰則は法人だけでなく、個人事業主など個人の脱税にも適用されます。
刑事罰とは別に、本来納めるべき税金に加え、重加算税や延滞税なども納付しなければなりません。隠蔽・仮装を伴う過少申告では原則35%、無申告では原則40%の重加算税が課され、一定の反復事案では45%または50%となる場合があります。2026年中の延滞税率は、納期限後2か月以内などの期間が年2.8%、それを経過した期間が年9.1%です。
脱税の罰金について、法律上の一律な相場はありません。従来、脱税額に対する一定割合が目安として示されることもありましたが、実際の罰金額は、脱税額、脱税期間、手口の悪質性、事件への主導性、修正申告や納付の状況、前科の有無などを踏まえて個別に判断されます。そのため、「脱税額の何%」と一律に見積もることは適切ではありません。
また、罰金を納めても、本税、重加算税、延滞税の納付義務がなくなるわけではありません。刑事罰と行政上の追加負担が重なるため、最終的な負担が大きくなる可能性があります。
税務署は、申告書だけでなく、取引先から提出された資料や各種情報なども踏まえて申告内容を確認します。ただし、申告の誤りがあれば、直ちに脱税として刑事罰が科されるわけではありません。故意の隠蔽・仮装があるか、単なる計算ミスや認識違いなのかによって扱いは異なります。
調査通知前に自主的に修正申告をした場合、原則として過少申告加算税は課されません。無申告の場合も、調査通知前に自主的な期限後申告をすれば、無申告加算税は原則5%です。申告漏れや無申告に気づいたときは放置せず、帳簿や資料を整理したうえで、正確な所得額と税額を確認することが大切です。
税理士法人松本の見解では、国税局や業務センターからの手紙・電話に驚かれる方は少なくありませんが、行政指導なのか税務調査なのかによって取るべき対応は異なります。まずは届いた文書の名称、差出人、記載内容を確認することが第一歩です。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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