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インボイス制度が個人事業主に与える影響とは?2026年最新情報をご紹介

読了目安時間:約 6分

2023年10月にスタートしたインボイス制度は、これまで消費税の免税事業者として活動してきた個人事業主に大きな影響を与えてきました。また、インボイス制度の開始にともないさまざまな経過措置が取られてきましたが、2026年には特例の終了や新設など、いくつかの見直しが行われています。

今回は、これから個人事業主として事業を始めようとしている方やインボイスの発行をすべきか悩んでいる方のために、インボイス制度が個人事業主に与える影響について詳しく解説します。

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インボイス制度とは

インボイス制度とは、正式名称を適格請求書等保存方式という、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除に関するルールです。

インボイス制度導入の背景

インボイス制度が導入された大きな理由は、2019年の消費税率の引き上げに起因します。8%と10%の2つの税率が誕生したことから、納付すべき消費税の額を正しく計算するためには取引ごとの税率と税額を把握する必要が出てきたのです。

また、複数税率の導入によって消費税の納付税額の計算は複雑化しています。消費税の仕入税額控除に税率や税額が明記されたインボイスの発行と保存を義務付けることによって、消費税の申告の透明性を高めることもインボイス制度の導入目的の一つです。

インボイス制度のスタートにともない消費税の仕入税額控除のルールが変更

インボイス制度とは、課税事業者が消費税の納税をする際に、商品やサービスの提供時に顧客から預かった消費税から仕入れや経費にかかった消費税を差し引き、差額分のみを納税する制度です。消費税の二重課税を防ぐ目的として導入され、インボイス制度の開始にともない仕入税額控除の適用要件が変更されました。インボイス制度の開始以降、インボイス(適格請求書)が発行された取引のみが仕入税額控除の対象となったのです。インボイスが発行されない取引、つまり、インボイス発行事業者ではない免税事業者との取引では、買い手は商品やサービスを購入した際にかかった消費税を売上にかかる消費税から控除できなくなりました。これにより、免税事業者と取引をした場合、買い手側の消費税の納税負担が増大することになったのです。

インボイスの発行ができるのは、インボイス発行事業者として登録を済ませている事業者に限られます。

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インボイス制度が個人事業主に与える影響

インボイス制度は個人事業主に多大な影響を与えています。それは、これまで個人事業主は消費税の免税事業者として事業を営んでいる方が多かったからです。

インボイス制度の開始により、個人事業主はインボイス発行事業者として登録すべきか、免税事業者として事業を継続すべきかの選択を迫られることとなりました。

免税事業者の場合、取引縮小の恐れがある

取引相手が免税事業者であったり、一般消費者の場合は、インボイス制度が開始されてもそれほど大きな影響が生じることはありません。しかし、課税事業者が取引の中心となっている場合、取引相手は免税事業者との取引を敬遠する恐れがあるのです。

課税事業者同士の取引の場合、インボイスが発行されるため、取引先は対象の取引に対して消費税の仕入税額控除を適用させることができます。しかし、免税事業者との取引は仕入税額控除の適用を受けられません。そうなると課税事業者の納税額が増えるため、実質的な利益が減少してしまいます。そのため、課税事業者は免税事業者との取引を避け、課税事業者との取引を優先する可能性が高くなるのです。

個人事業主の場合、法人に比べると事業規模もそれほど多くないため、取引先も限られているケースが少なくありません。そのような状況下において、取引縮小の恐れが出てくると、事業の存続にも多大な影響が生じます。

インボイス発行事業者になると消費税の納税義務が生じる

課税事業者との取引が多い場合、免税事業者として事業を続けていくことで、取引が縮小する恐れが出てきます。しかし、インボイス発行のためにインボイス発行事業者になると今度は消費税の納税義務が生じます。

個人事業主の場合、課税売上高が1,000万円を超えると翌々年から消費税の納税義務が発生しますが、インボイス発行事業者の場合、売上にかかわらず消費税の納税義務が発生するのです。

したがって、免税事業者であった個人事業主がインボイスを発行するために課税事業者となると、これまで納税が免除されていた消費税の納付が必要となり、実質的な利益は減少する可能性が高くなります。

消費税の申告が必要になり、事務負担が増加する

個人事業主がインボイス制度に登録し、課税事業者になると事務的な負担が増加します。まず、要件を満たしたインボイスを発行する必要があり、さらに取引先のインボイスも内容を確認したうえで保管しておかなければなりません。また、取引について仕訳をする際には、税抜きや税込みなどの区別も必要になり、さらには所得税の確定申告とは別に、消費税の納税と申告が必要になります。

したがって、インボイス制度に登録をすることで、事務の負担が大きく増える点も大きな懸念事項です。

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個人事業主はインボイス発行事業者に登録すべき?

インボイス制度がスタートしても、課税売上高が1,000万円未満であれば、消費税の納税義務は生じません。しかし、インボイスを発行しないために課税事業者との取引が縮小する恐れがあるため、売上が1,000万円未満の個人事業主は、インボイス発行事業者として登録すべきかどうか悩むケースが少なくないようです。では、個人事業主がインボイス発行事業者の登録に悩む場合、何を基準に登録を判断すればよいのでしょうか。

インボイス発行事業者の登録をすべき個人事業主

インボイス発行事業者として登録をした方がよい個人事業主は次のようなケースに該当する場合です。

  • 取引の中心が課税事業者(法人)である
  • 課税売上高が1,000万円を超える見込みである
  • 今後、法人との取引を拡大していきたいと考えている

インボイス発行事業者の登録に迷う場合、最も大きな判断ポイントは、取引先が課税事業者であるかどうかです。取引先が法人の場合は、課税事業者であることが多いため、免税事業者の場合は取引が終了となる恐れもあります。また、仕入税額控除ができない分、消費税相当額の値下げを求められるケースも出てくるかもしれません。そのため、法人との取引がメインであれば、インボイスの登録をした方が安定的に事業を継続できる可能性があります。現在、法人との取引がメインではない場合でも、今後、法人との取引を増やしていきたいという意向があるのであれば、インボイスの発行事業者である方が取引は拡大しやすいでしょう。

そのほか、課税売上高が1,000万円を超える見込みの場合、インボイスの発行有無にかかわらず、2年後には課税事業者となります。したがって、法人との取引があるようであれば、インボイスの登録を検討してもよいでしょう。

インボイス発行事業者の登録は見送っても問題ない個人事業主

反対に、インボイスを発行しなくても事業への影響が生じにくい個人事業主であれば、インボイス発行事業者となり、消費税を納付する必要はありません。具体的には、次のようなケースでは免税事業者として事業を継続して問題ないでしょう。

  • 取引の中心が一般消費者や免税事業者である
  • 消費税分の値下げを求められても、免税事業者である方が実質的な利益が大きい
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個人事業主に関わるインボイス制度の経過措置

インボイス制度では、急な制度の変更によって事業者にかかる負担を軽減するため、さまざまな経過措置が用意されています。2026年が経過措置期間の一つの区切りとなっているケースもあります。ここでは、個人事業主に関わるインボイス制度の経過措置をご紹介します。

免税事業者からの仕入れにかかる経過措置

2023年10月のインボイス制度開始以降、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除が認められません。しかし、急激に制度を適用させると免税事業者の事業に大きな影響を与える恐れがあるため、一定期間は免税事業者からの仕入れについて、仕入税額のうち、一定の割合を控除できる制度が用意されています。

まず、インボイス制度がスタートした2023年10月~2026年9月30日までは、免税事業者からの課税仕入れについても80%の仕入税額控除の適用が認められています。

しかし、控除できる割合は徐々に減っていき、2026年10月1日~2028年9月30日までは70%、2028年10月1日~2030年9月30日までは50%、2030年10月1日~2031年9月30日までは30%となります。2031年10月1日からは経過措置は適用されません。

この経過措置は当初、2029年9月30日で終了の予定でしたが、2年間延長されることが決定しています。

この経過措置の適用により、2026年の9月30日までは免税事業者と取引をしていても、80%分については仕入税額控除が適用されます。そのため、課税事業者の中には免税事業者との取引を継続しているケースも見られます。しかし、徐々に控除できる割合が減少していくため、今は免税事業者との取引を継続している課税事業者でも、今後、免税事業者との取引停止に踏み切る恐れがあります。また、買い手側から、インボイスを発行できるよう、インボイス制度への登録が求められる可能性も高まっていくと考えられます。

参照元:国税庁「令和8年度税制改正特集」

インボイスの2割特例は3割特例に移行

インボイス発行事業者として登録したことにより免税事業者から課税事業者になった個人事業主や法人の場合、2026年までは2割特例と呼ばれる制度を利用することができます。これは、消費税の納付額を計算する際に、売上にかかる消費税の額から売上税額の8割を差し引いて納付税額を計算する方法です。仕入税額の実額を計算する必要がなく、事前の届出を提出せずに、売上税額の2割を納付すればよい制度であるため、消費税の計算と納税の負担を軽減することができます。

この2割特例も個人事業主の場合のみ、延長が決まっています。しかし、2027年分、2028年分の消費税の確定申告において適用されるのは、納付税額を売上税額の3割とする3割特例です。ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合や特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合などは、3割特例を適用することはできません。

その場合でも、売上にかかる消費税額から、業種ごとに設定されたみなし仕入れ率を用いて納付税額を計算する簡易課税制度を利用することが可能です。

参照元:国税庁「令和8年度税制改正特集」

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個人事業主がインボイス制度に登録する方法

個人事業主がインボイスを発行するためにインボイス発行事業者として登録するためには、申請が必要です。申請方法は、e-Taxまたは郵送で受け付けています。

インボイス発行事業者の登録申請

e-Taxで申請をする場合は、e-Taxソフト(WEB版)を使うと、パソコンだけでなく、スマートフォンからも申請が可能です。申請にあたっては、マイナンバーカードと利用者識別番号が必要になります。画面の指示に従い、必要事項を入力していくだけで、インボイス発行事業者の登録申請が完了します。

申請完了後は登録通知書が発行されますが、受取方法はe-Taxで電子的に受け取る方法と書面での通知を受け取る方法があります。郵送の場合、登録通知書の再発行はできないため、大切に保管しておくことが大切です。

また、郵送で登録申請をする場合は、国税庁のWEBサイトから適格請求書発行事業者の登録申請書をダウンロードして作成し、納税地を管轄するインボイス登録センターに郵送します。インボイス登録センターの所在地は、国税庁のWEBサイトで確認できます。

参照元:国税庁「D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」

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まとめ

インボイス制度のスタートは多くの個人事業主に大きな影響を与えました。インボイス制度のスタートをきっかけに、インボイス発行事業者の登録をし、免税事業者から課税事業者となったケースも少なくありません。

現在、インボイス制度の経過措置として免税事業者との取引でも8割分を控除できる制度が用意されています。しかし、2026年10月1日からは控除できる割合が8割から7割に下げられ、その後も段階的に引き下げられていく予定です。控除可能割合が低くなれば、インボイスを発行できない免税事業者は、課税事業者との取引を見直す可能性が高くなるでしょう。法人との取引が中心の個人事業主の場合は、経過措置期間が終了する前に、インボイス発行事業者としての登録を検討する必要があるといえます。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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