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追徴税額142億円は、無申告者1人への課税額ではなく、相続税の無申告が疑われて実地調査を受けた事案全体の合計額です。調査件数が減る一方で1件当たりの追徴税額が増えており、申告が必要だったか不安な方は早めの確認が重要です。
相続税の無申告とは、申告が必要であるにもかかわらず申告していない状態を指します。国税庁「令和6事務年度 相続税の調査等の状況」によると、2024年7月1日から2025年6月30日までの無申告事案への実地調査は650件で、前事務年度の690件から減少しました。
650件のうち申告漏れなどの非違が確認されたのは562件で、非違割合は86.5%でした。前事務年度は613件、88.8%です。ただし、これは無申告が疑われて税務調査の対象となった事案の割合であり、全相続の86.5%が無申告という意味ではありません。
申告漏れ課税価格は749億円、1件当たり1億1,517万円でした。追徴税額は本税117億円と加算税25億円を合わせた142億円で、前事務年度の123億円に対して前年比115.3%です。
1件当たりの追徴税額は2,187万円で、前事務年度の1,787万円から前年比122.4%となりました。つまり、実地調査が690件から650件へ減った一方、1件当たりの追徴額が増えたため、総額も123億円から142億円へ増加したと読み取れます。
142億円は、国税庁資料の推移表で確認できる平成21事務年度以降の公表分における最高額です。この記事では、ご自身に申告義務があるか、相続税の無申告が税務調査で把握される理由、追徴の内容、期限前後に取るべき対応を順に確認します。個別の判断に迷う場合は、相続税に詳しい税理士へ相談することをご検討ください。
目次
相続税の申告が必要かどうかは、財産と債務を漏れなく洗い出し、正味の遺産額を基礎控除と比較して判断します。相続税を無申告のままにすると税務調査や追徴につながる可能性があるため、預貯金だけで判断しないことが重要です。
最初に、亡くなった方が実質的に所有していた財産と、差し引ける債務・葬式費用を確認します。生前贈与財産についても、相続税の計算に加算されるものがないか調べてください。
財産は名義だけで判断できません。家族名義の預金であっても、資金の出所や通帳・印鑑の管理状況などから、実質的に亡くなった方の財産だったかを確認する必要があります。
生命保険金や死亡退職金には非課税枠がありますが、受取人や相続人の状況によって適用関係が変わります。契約内容や保険料の負担者を含め、適用条件を個別に確認してください。
2026年時点の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。原則として、正味の遺産額が基礎控除以下であれば相続税の申告は不要です。
ただし、相続放棄や養子がいる場合などは、法定相続人の数と実際に財産を受け取る人数が一致しないことがあります。人数の数え方に迷う場合は、自己判断で基礎控除を計算せず税理士へ確認するのが安全です。
納税額がゼロでも、必ずしも申告不要とは限りません。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合は、申告が適用要件となることがあります。
2026年時点の申告・納付期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまっていないだけでは期限は自動的に延長されないため、期限直前まで待たず、財産資料の収集、財産評価、税額試算を早めに始めてください。
相続税の無申告は、申告書が提出されていないことだけでなく、国税庁が収集・活用する資料情報などを通じて把握される可能性があります。その結果、相続税の税務調査が行われ、申告漏れが確認されれば追徴につながります。
税務署は、相続税申告書の提出状況だけを確認しているわけではありません。国税庁は、無申告事案を把握するための取り組みを積極的に行っていると公表しています。
国税庁は、「令和6事務年度 相続税の調査等の状況」において、「資料情報の収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い」と記載しています。
海外資産についても、国税庁はCRS情報などを利用していると公表しています。ただし、具体的な確認手法や税務調査の選定基準は外部から断定できないため、「この条件なら調査される」と推測で判断するのは適切ではありません。
預貯金や自宅不動産だけを集計すると、申告義務の判定を誤るおそれがあります。とくに、名義と実際の所有者・管理者が異なる財産や、相続人が存在を把握しにくい財産には注意が必要です。
家族名義の預金が直ちに相続財産になるわけではなく、資金の出所や管理状況などから実質的に判断する必要があります。生前贈与や海外資産の取り扱いも個別事情で異なるため、資料をそろえて財産全体を確認することが重要です。
少額だから税務調査を受けないとは限りません。調査対象や選定基準は公表情報だけでは判断できず、税務署からまだ連絡がないことも、申告不要だったことの証明にはなりません。
「連絡が来ていないから問題ない」「何年か待てばよい」と自己判断せず、まず申告義務の有無を確認してください。見落とした財産や判断に迷う財産がある場合は、相続税に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。
追徴される金額は一律ではなく、本来納めるべき相続税に、無申告加算税や延滞税などを加えた額です。財産の隠蔽・仮装が認められる場合は、無申告加算税に代えて重加算税が課される可能性があります。
国税庁「令和6事務年度 相続税の調査等の状況」によると、無申告事案の追徴税額142億円は、本税117億円と加算税25億円の合計です。実地調査1件当たりの追徴税額は2,187万円ですが、これは調査対象全体の平均であり、個別の追徴額を示すものではありません。
相続税の無申告に対する税務調査で追徴を受ける場合、主に次の税金が問題になります。税務署から指摘を受ける前に自主的に期限後申告した場合と、調査通知後または調査後に申告した場合とでは、加算税の扱いが異なる可能性があります。
2026年時点でも、具体的な税率は申告時期、本税額、調査通知の有無、過去の無申告、隠蔽・仮装の有無などによって変わります。適用税率は、期限後申告をする時点の法令と国税庁情報を確認したうえで判断する必要があります。
単なる計算ミスや申告義務についての認識不足が、直ちに隠蔽・仮装となるわけではありません。一方、財産を意図的に隠したり、事実と異なる説明をしたりした場合は、重加算税の対象となる可能性があります。
税務調査の連絡を受けても、資料を廃棄・改変したり、つじつまを合わせるために事実と異なる説明をしたりしてはいけません。税理士法人松本の見解では、実際のご相談は調査の連絡後に始まるケースが最も多いものの、連絡後でも初動の対応次第で結果は大きく変わります。
申告期限を過ぎたと気づいた時点で、無申告のまま放置しないことが重要です。加算税や延滞税を含む正確な追徴額は個別事情で変わるため、早めに相続税に詳しい税理士へ相談してください。
まず、ご自身が次のA~Eのどれに当てはまるかを確認し、該当するチェックリストに沿って行動してください。判断に迷っている間も期限は延びないため、資料収集と専門家への確認を同時に進めることが重要です。
最初に相続財産の全体像を把握し、基礎控除と比較します。土地や非上場株式など、評価が難しい財産がある場合は早めに確認しましょう。
財産評価と遺産分割協議を並行して進め、納税資金も確認してください。分割が間に合わなくても、申告と納付を放置してよいことにはなりません。
連絡がないことは、申告不要の根拠にはなりません。財産資料や過去の入出金記録を集めて申告義務と税額を試算し、必要なら速やかに期限後申告を行います。
相続税の無申告は、税務調査によって追徴を受ける可能性があります。正確な税額や期限後申告の方法は、相続税に詳しい税理士へ確認してください。
連絡内容、回答期限、担当部署を正確に確認し、資料をそのまま保管してください。不明点を推測で答えず、事実関係を整理してから対応します。
当事務所に寄せられるご相談の傾向として、調査日までに何を準備すべきか分からないまま当日を迎える方が少なくありません。連絡を受けた段階で準備の順序を決めることが大切です。
判断材料が不足している段階で、申告不要と決めつけないでください。財産と債務を漏れなく確認し、基礎控除以下と判断した根拠も記録に残します。
相続税の税務調査では、通常、相続人や申告を担当した税理士へ事前連絡があり、日程を調整したうえで資料確認や聞き取りが行われます。その後、税務署から指摘があれば、内容を確認して修正申告または期限後申告へ進みます。
まず、税務署から指定された資料を確認し、被相続人の財産と家族間の資金移動を説明できるように整理します。無申告の場合も、手元にある資料を時系列でそろえることが重要です。
現場の実感として、調査当日の受け答え以上に、事前の資料整理と説明の筋道づくりが重要です。資料が不足している場合は、何がないのか、再取得できるのかを整理しておきましょう。
当日は、財産の計上漏れや家族名義預金の原資、生前の多額出金の使途などが確認される可能性があります。海外財産・事業用財産の有無、無申告となった経緯、財産を把握した時期についても聞かれることがあります。
すべての質問にその場で即答する必要はなく、不明な点を推測で答えないことが大切です。記憶が曖昧な場合は、資料を確認してから回答する旨を伝え、事実関係を整理しましょう。
指摘後は、対象財産、評価方法、税額の計算根拠を確認し、必要に応じて修正申告または期限後申告を行います。申告後は、本税に加えて加算税や延滞税などを納付します。
相続税の無申告に対する税務調査では、追徴額が大きくなる場合もあります。ただし、指摘をそのまま受け入れるのではなく、疑問があれば根拠を確認し、相続税に詳しい税理士へ相談したうえで対応を判断してください。
原則として、正味の遺産額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要です。ただし、預貯金以外の財産や名義預金などの漏れ、土地などの評価誤りがないか慎重に確認する必要があります。
「納税額がゼロ」と「申告義務がない」は別問題です。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用した結果として税額がゼロになる場合は、申告が必要なことがあるため、期限を過ぎている場合は税理士へご相談ください。
税務署からの連絡を待たず、まず申告義務の有無を確認し、必要であれば速やかに期限後申告を検討することが大切です。自主的に申告する場合と税務調査の通知後に申告する場合とでは、加算税の扱いが変わる可能性があります。
その意味ではありません。国税庁の令和6事務年度の資料では、相続税の無申告が疑われて実地調査の対象となった650件のうち、562件で非違が確認された割合が86.5%です。
単純に一定期間待てば問題がなくなるとはいえません。事実関係や申告しなかった経緯によって扱いが変わるため、相続税の無申告に気づいた場合は放置せず、追徴の可能性も含めて個別に確認することが重要です。
税務調査の連絡を受けた後でも、税理士への相談は可能です。ただし、相続財産に関する資料整理や事実確認には時間がかかるため、連絡を受けたらできるだけ早く相談することが望ましいでしょう。
国税庁の令和6事務年度の資料によると、相続税の無申告事案に対する追徴税額は142億円でした。これは、同資料の推移表で確認できる平成21事務年度以降で最高額です。
一方、非違割合86.5%は、資料情報などから無申告が疑われ、実地調査を受けた事案のうち申告漏れが確認された割合です。すべての相続の86.5%が無申告であることを示す数字ではありません。
相続税の申告が必要だったか不安な場合は、思い込みで判断せず、次の項目を順番に確認することが大切です。
申告期限を過ぎていても、そのまま放置することは避けましょう。まずは相続財産を洗い出し、申告が必要と判断される場合には、期限後申告や相続税に詳しい専門家への相談を検討してください。
相続税の無申告について税務調査が行われると、本来の相続税に加えて追徴が生じる可能性があります。税務署から連絡が来ていない段階でも、申告要否に疑問があれば早めに確認することが重要です。
出典は、国税庁「令和6事務年度 相続税の調査等の状況」をご確認ください。税務調査への対応は初動によって結果が変わることがあるため、不安がある場合は税務調査と相続税に強い税理士へ早めに相談しましょう。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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