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不納付加算税とは?税率や計算方法、免除要件などについて詳しく解説

読了目安時間:約 6分

「不納付加算税」は、源泉所得税を期限までに納付していない納税者に課されるペナルティの一つです。不納付加算税という名称からは、税金を納めていない場合に課される税金であると読み取ることができます。しかし、加算税には過少申告加算税や無申告加算税などもあり、いずれも正しく申告・納付をしていない場合に課される加算税となります。そのため、具体的に不納付加算税が課されるケースがイメージしにくい場合もあるのではないでしょうか。

そこで今回は、加算税の中でも分かりにくい不納付加算税の概要や税率、計算方法などについて分かりやすくご説明します。

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不納付加算税とは

不納付加算税とは、源泉所得税を法定納期限までに納付しなかった場合に課される税金です。

不納付加算税の概要

従業員に給与などを支払う事業者は、源泉所得税を天引きし、翌月の10日までに税務署に納付する義務があります。ただし、常時雇用する従業員の数が10人未満の事業所の場合は、事前に申請をし、承認を受けることで毎月必要な源泉所得税の納付を、年に2回にまとめられる特例があります。この特例が適用された場合は、1月~6月までの分を7月10日までに、7月~12月までの分を1月10日までに納付するルールです。

また、従業員に支払う給与のほか、弁護士や税理士、司法書士などへ支払う報酬、個人に支払う原稿料や講演料、デザイン料なども源泉徴収の対象です。そのため、これらの報酬から徴収した源泉所得税についても納期限までに納付する必要があります。

不納付加算税は、毎月10日または年に2回の納期限までに徴収した源泉所得税を納付していなかった場合に課される税金です。

不納付加算税の税率

不納付加算税の税率は、税務調査で源泉所得税の納付漏れについて指摘を受けて納付をする場合と、税務調査が実施される前に自主的に納付をする場合で税率が変わってきます。

まず、税務調査で指摘を受けて不納付加算税が課される場合の税率は10%です。しかし、税務調査で指摘を受ける前に、納税者が自ら納付を済ませた場合は、不納付加算税の税率は5%に軽減されます。

不納付加算税の計算方法

例えば、納付すべき源泉所得税の額が200万円であった場合、不納付加算税の額は次のように計算できます。

・税務調査で指摘を受けた場合

200万円×10%=20万円

・税務調査の前に自主的に納付をした場合

200万円×5%=10万円

期限までに源泉所得税の納付を行わなかった場合でも、税務調査の前に納付するか、税務調査で指摘を受けてから納付するかによって適用される税率が変わるため、納付額も変わってきます。源泉徴収をした所得税の納付を忘れていたことに気が付いた場合は、できるだけ早く納付を行うことで、不納付加算税の負担を軽減することが可能です。

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不納付加算税の免除要件

実は、納期限までに源泉徴収をした所得税の納付を済ませなかった場合でも、不納付加算税が課されないケースがいくつかあります。

それは以下の要件を満たした場合です。

・法定納期限から1か月以内に納付を済ませており、過去1年間において納期限に遅滞したことがない

・不納付加算税の額が5,000円未満である

・正当な理由が認められる

法定納期限から1か月以内に納付を済ませており、過去1年間において納期限に遅滞したことがない

まず、原則として、法定納期限を1日でも過ぎれば、不納付加算税の課税対象となります。しかし、法定納期限を過ぎても期限から1か月以内に納付を済ませており、かつ直近の1年間において源泉所得税の納付が遅れた事実が見られなかった場合は、不納付加算税は課税されません。

したがって、初めて従業員を雇用し、給与を支払い、所得税の源泉徴収を行ったものの納期限をうっかり忘れてしまうケースもあるかもしれません。この際、翌月の末日に納付を済ませた場合は、過去1年間に納期限に遅れたことがなく、納期限から1か月以内に納付を済ませているため、不納付加算税は免除されます。しかし、それから10か月後、再び、源泉所得税を期限までに納付しなかった場合は、たとえ納期限から1か月以内に納付を済ませても不納付加算税が免除されることはありません。

不納付加算税の額が5,000円未満である

不納付加算税の計算をした結果、不納付加算税の額が5,000円未満であった場合は、全額が切り捨ての対象となるため、不納付加算税を納付する必要はありません。これは、不納付加算税だけに適用されるルールではなく、過少申告加算税や無申告加算税など、他の加算税にも適用される少額不徴収と呼ばれるルールです。

例えば、源泉徴収をした所得税の額が8万円で、税務調査が実施される前に自主的に納付をする場合、不納付加算税は8万円×5%=4,000円となります。計算結果は5,000円未満となるため、このケースでは不納付加算税を納付する必要はありません。

不納付加算税の額が5,000円未満となるのは、税務調査実施前の場合は納付が遅れた源泉所得税の額が10万円未満のとき、税務調査実施後の場合は納付が遅れた源泉所得税の額が5万円未満のときです。

正当な理由が認められる

国税庁では、源泉徴収義務者の責任によらない正当な理由があると認められる場合には、不納付加算税は適用されないとしています。具体的には、災害、交通・通信の断絶などが起こった場合です。

例えば、大規模な地震による被害が生じ、納期限までの納付が難しいと認められた場合などは、正当な理由に該当します。台風などによって停電が発生したり、通信回線が断絶した場合なども、期限内の納付を阻んだ理由として認められます。

そのほか、納期限内に納付できるよう、時間の余裕をもって金融機関に税金の納付を委託したにもかかわらず、金融機関の事務処理の誤りなどによって納付が遅れ、金融機関が遅延の証明をした場合なども、正当な理由に該当します。

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不納付加算税が課される際の注意点

不納付加算税が課される際にはいくつか注意しなければならない点があります。

不納付加算税に加え、延滞税の納付も求められる

不納付加算税は、期限までに源泉徴収をした所得税を納付しないという行為に対して課されるペナルティです。しかし、納期限までに税金を納付しないときには、税金の納付が遅れたことに対するペナルティである延滞税も課される点に注意しなければなりません。

延滞税は、利息的な意味合いをもつ付帯税であることから、法定納期限の翌日から納付が完了する日まで日割りで計算がなされます。不納付加算税については、納付日が税務調査の前か後かによって税率は変わるものの、納期限から納付した日までの日数によって税額が変わることはありません。しかし、延滞税は納期限の翌日から2か月までとそれ以降で2段階に税率が分かれており、納付が完了するまでの日数に応じて税額が計算される仕組みです。そのため、源泉所得税の納付が遅れれば遅れるほど延滞税の額は大きくなる点に注意しなければなりません。

なお、延滞税の税率は、毎年変動します。

令和4年1月1日~令和7年12月31日までは、納期限の翌日から2ヶ月までは2.4%、

それ以降が8.7%となっています。また、令和8年1月1日~令和8年12月31日については、納期限の翌日から2か月までは2.8%、それ以降は9.1%です。

延滞税の計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

<関連記事>延滞税の計算方法とは?税率や修正申告時の注意点なども併せて解説

給与だけでなく報酬も対象になる

不納付加算税の課税対象となるのは、従業員から徴収した所得税と復興特別所得税の納付が期限より遅くなった場合のみではありません。税理士や弁護士などに支払った報酬から徴収した所得税や、個人に対して原稿料や講演料を支払った場合に徴収した所得税も、支払った月の翌月10日までの納付が必要です。報酬から徴収した所得税を期限までに納付しない場合も、不納付加算税の対象となる点に注意しなければなりません。

不納付加算税は所得区分ごとに計算する

また、不納付加算税は、源泉所得税の所得区分ごとに分けて計算するルールです。給与、退職金、税理士報酬などの異なる所得から源泉徴収した所得税を期限までに納付しなかった場合、不納付加算税は、給与、退職金、税理士報酬に区分して計算する必要があります。源泉所得税額を合算して算出するわけではありません。

例えば、給与所得に関する源泉所得税が10万円、税理士報酬に関する源泉所得税が5万円であった場合、税務調査の前に納付していないことに気が付いたときは、これらを合算して不納付加算税を計算すると15万円×5%=7,500円となります。しかし、正しく計算する場合、不納付加算税の額を計算すると、それぞれの計算結果は10万円×5%=5,000円、5万円×5%=2,500円となる点に注意しなければなりません。税理士報酬に関する源泉所得税に係る不納付加算税の額が5,000円未満であることから、不納付加算税は免除され、その結果、納付すべき不納付加算税の額は5,000円となるのです。

本税の端数処理にも注意

不納付加算税の額が5,000円未満になると、不納付加算税は適用されません。また、不納付加算税の計算ルールでは、加算税の計算基礎となる税金の額に1万円未満の端数がある場合、端数は切り捨てて計算するルールもあります。

例えば、所得税額が20万8,000円であった場合には、20万円に不納付加算税の税率をかけて不納付加算税の額を計算するのです。税務調査の前に納付する場合は、20万円×5%=1万円、税務調査後に納付する場合は20万円×10%=2万円となります。

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不納付加算税を処理する際の勘定科目は?

もし、源泉所得税の納付が遅れ、不納付加算税が課された場合、支払った不納付加算税は会計処理の際、どの勘定科目を使用すればよいか迷うケースも多いようです。では、不納付加算税は会計上、どのように扱えばよいのでしょうか。

不納付加算税の勘定科目は「租税公課」または「雑損失」

まず、不納付加算税は租税公課または雑損失の勘定科目を使って処理するケースが一般的です。

租税公課は、国や地方自治体に納める税金、公的な団体に納める会費、罰金などに利用する勘定科目です。例えば、固定資産税や自動車税、登録免許税、不動産取得税、印紙税などの処理には租税公課を利用します。不納付加算税も税金の一種となるため、租税公課を利用するケースが多くなっています。

また、雑損失とは事業活動において、本業とは関わらない部分で偶発的に生じた損失で、他の勘定科目には分類できないものを計上する際に利用する勘定科目です。原因の分からない現金の損失分や損害賠償金、違約金、交通違反反則金などを計上する際などに利用します。不納付加算税も雑損失の勘定科目を使って計上することが可能です。

不納付加算税は損金算入不可

不納付加算税のほか、無申告加算税や過少申告加算税、延滞税なども会計上は租税公課の勘定科目を使用して仕訳することが可能です。しかし、法律に違反したために課されたペナルティを経費として扱うと、課税所得額を圧縮し、結果として納税額を抑えるという事態を招きます。そのため、加算税や延滞税などの付帯税は、税務上、損金には算入できない点に注意しなければなりません。

仕訳をする際には、借方に租税公課や雑損失と記入し、貸方には現金と記入、金額を記載します。そのうえで申告をする際には、損金不算入の処理を忘れずに行うことが大切です。万が一、損金に算入したまま申告を行った場合、納税額が本来よりも低くなるため、税務調査で指摘を受ける可能性があります。ペナルティとして過少申告加算税の納付が求められる恐れもあるため、申告時にはしっかりと損金不算入の処理を行うようにしましょう。

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まとめ

不納付加算税は、源泉徴収をした所得税を法定納期限までに納付しなかった場合に課される加算税です。納付が税務調査で指摘を受ける前であるか指摘後であるかによって不納付加算税の税率は変わります。また、不納付加算税が課される際には、延滞税も課されるため、二重のペナルティを負担することになる点に注意が必要です。

不納付加算税が課されれば、延滞税も含め、本来よりも多く税金を負担しなければならなくなります。不納付加算税による課税負担のリスクを抑えるためには、しっかりと納税のルールを理解し、期限までに納付を済ませることが大切です。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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