メニュー
読了目安時間:約 6分
確定申告を済ませたけれど、提出後に申告内容に間違いがあったことに気が付くことがあるかもしれません。そんなときには、正しい申告書を作成し直して、提出する必要があります。確定申告書の内容を修正する手続きを修正申告といいます。
修正申告をするには修正申告書を作成し、税務署に提出しなければなりません。誤った内容の申告書を提出したまま放置しておくと、税務調査の対象となり、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが課される恐れがあります。万が一の事態に備え、確定申告書の内容が誤っていた場合に作成しなければならない修正申告書の書き方について確認しておきましょう。
今回は、修正申告書の書き方や手続きの方法などについて解説します。
目次
修正申告書の書き方をご説明する前に、まずは修正申告とはどのような手続きなのか、修正申告の概要から確認していきましょう。
修正申告は、提出した確定申告書の誤りに、確定申告期限を過ぎてから気が付いた場合に取る手続きです。ただし、修正申告が必要になるのは、実際よりも申告した税額が少なかった場合となります。
税額を実際よりも多く申告していた場合は、修正申告書ではなく更正の請求書を提出します。更正の請求とは、税金の還付を求める手続きのことです。
確定申告書提出後でも、確定申告の期間内に間違いに気が付く場合もあるかもしれません。その場合は、修正申告書を提出する必要はなく、もう一度正しい申告書を作成し、確定申告期間内に再提出することで、最後に提出した申告書が受領される仕組みとなっています。紙の確定申告書を提出する場合には、1枚目に「訂正申告」と赤字で記し、訂正前の確定申告書の提出日も記載しておくと分かりやすいでしょう。e-Taxで送付する場合は、特に税務署に訂正の報告をする必要はありません。
修正申告書の提出が必要になるケースは、本来よりも税額を低く申告したことに、確定申告期限後に気が付いた場合です。具体的には、次のようなケースでは修正申告書を提出する必要があります。
・所得の申告漏れがあった場合
・売上の計上漏れがあった場合
・経費を過大に計上していた場合
・控除の適用に誤りがあった場合
・計算ミスによって申告税額が少なくなっていた場合
・税務調査で指摘を受けた場合
それぞれのケースについて具体的にご紹介します。
申告すべき所得を申告していなかった場合、納税額が本来よりも少ない状態となっているため、修正申告が必要です。例えば、個人事業主の方が事業所得とは別にワンルームマンション投資をしており、毎月の家賃収入を得ている場合などは、不動産所得についても申告をしなければなりません。また、会社員で副業をしている人が、副業所得については申告をしていたものの、FXの利益については申告していなかった場合なども、修正申告をし、FXで得た所得についても申告する必要があります。
法人の場合でも不動産所得を本業の所得に加えていなかった場合など、所得額の申告漏れがある場合は、法人税の額が変わるため修正申告が必要です。
売上の一部を計上せずに申告書を提出していた場合も、修正申告が必要です。たとえミスによって売上の計上を忘れていた場合であっても税額が不足している状況には変わりありません。放置しておくと税務調査で指摘を受ける可能性が高いため、申告期限を過ぎた後でもできるだけ早く修正申告を行うようにしましょう。
売上の計上漏れと同様、経費の過大計上も課税所得額の過少申告につながるため、修正申告が必要です。例えば、同じ経費を二重に計上してしまった場合、プライベートな支出を誤って経費に計上していた場合、経費としては計上できない法人税や住民税を経費に計上していた場合などは、修正申告をする必要があります。
適用できない控除を適用してしまった場合や金額を多く記載していた場合などは、本来よりも納税額が低くなっているため、修正申告をしなければなりません。例えば、扶養控除の対象ではない親族を扶養控除に入れていた場合や住宅ローン控除の金額を間違えていた場合などが該当します。修正申告をするようにしましょう。
手書きで確定申告書を作成した場合などは、自分で税金の納付額を計算しなければなりません。計算の誤りによって納税額が少なくなっていた場合も修正申告が必要です。
修正申告が必要になるのは、確定申告書を提出した後に、納税者自らが申告額の不足に気が付くケースだけではありません。税務調査で売上の過少計上や経費の過大計上などの指摘を受け、修正申告を行うケースもあります。
修正申告が必要になった場合は、修正申告書を作成して、税務署に提出します。ここでは、法人税と所得税に分けて修正申告書の書き方についてご説明します。
ここでは売上の計上漏れについて修正申告する場合の書き方をご紹介します。
まず、修正が必要な箇所を特定し、修正内容を証明する書類を準備します。また、都道府県民税や市町村民税の税額を確定させます。
別表四の「加算」欄にある「売上計上漏れ」の欄に計上漏れ金額を税抜きで記入し、「所得金額又は欠損金額」の欄に金額を記載します。
当期発生税額②の欄と期末現在未納税額⑥の欄に修正後の税額を記載します。
区分の欄に修正が生じる項目を記載し、当期の増減の増③の欄と差引翌期首現在利益積立金額④の欄に売上計上漏れの額を税込で記入します。さらに、区分に未払消費税の項目を作成し、③と④の欄に消費税額をマイナスで記載します。
次に未納法人税等の欄に、法人税及び地方法人税、都道府県民税、市町村民税の修正確定税額を増③と差引翌期首現在利益積立金額④に記載します。
別表一の次葉にある法人税額の計算の欄は、修正した別表四の所得金額又は欠損金額に記載した金額をもとに修正確定金額の計算を記入し、地方法人税額の計算は、修正した確定税額の計算を記入します。また、この申告が修正申告である場合の計算の欄には、修正確定税額から納付税額を差し引いた不足分の額を記入します。
別表一の表題には、該当の修正申告を行う事業年度の日付を記載し、事業年度分の法人税「修正」申告書、課税事業年度分の地方法人税「修正」申告書と記載します。また、次葉をもとにこの申告が修正申告である場合の欄を記入していきます。
法人税の申告書は、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。
国税庁「C1-1 法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)」
修正が必要な箇所を特定し、修正内容を証明する書類を準備します。
確定申告書の第一表の表題に対象年分を記載し、空欄に「修正」申告書と記入します。また、種類の欄では「修正」を丸で囲みます。
税金の計算の欄にある「修正申告」の欄に修正申告前の税額と税額の増加額を記入します。その他の欄は、確定申告書作成時と同様に記入します。
第二表の表題に対象年分を記載し、空欄に「修正」申告書と記入します。「特例適用条文等」の欄に修正申告によって修正する事項や理由を具体的に記載します。
例えば、配偶者控除の適用を誤った場合は「配偶者控除の誤り(妻の所得金額が〇〇〇円であったため、配偶者控除を適用しない)」などと記載します。
分離課税の所得がある場合には、確定申告書第三表にも表題に対象年分と「修正」申告書と記載し、修正事項を記入します。
参照元:国税庁「申告に誤りがあった場合など」
所得税の申告書は、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。対象年分を選択し、書類をダウンロードします。
国税庁「確定申告書等の様式・手引き等」
ここまで、紙の修正申告書の書き方についてご説明してきましたが、所得税の修正申告書は国税庁のホームページに用意されている確定申告書等作成コーナーを利用して作成することも可能です。
「提出した申告書に誤りがあった場合」の項目から「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を選択し、表示される設問に回答していくと、作成する更正の請求書・修正申告書を選択できるページに移動します。対象の年分と「所得税の更正の請求書・修正申告書」の作成開始ボタンを選ぶと、修正申告書を作成できます。
確定申告書のデータが残っていれば、確定申告書のデータを読み込んで修正申告書を作成できるため、修正が必要な項目を入力するだけで修正申告書の作成が可能です。手書きに比べると作成の手間を大幅に軽減できます。ただし、現状では、確定申告書のデータが、令和6年分の確定申告書等作成コーナーが公開された令和7年1月5日以前に作成されたものである場合、すべての項目を改めて入力しなければなりません。
修正申告書を提出する際に気を付けたいポイントをいくつかご紹介します。
修正申告を行う際には、当然、不足分の税金を納めなければなりませんが、加えて、過少申告加算税と延滞税の納付も求められます。過少申告加算税とは、期限内に申告をしたものの申告額が少なかった場合に課されるペナルティです。また、延滞税は税金の納付が遅れたことに対する利息的な意味合いをもつペナルティとなります。
過少申告加算税は、申告税額が少なかった場合に課される税金ですが、税率は修正申告書を提出したタイミングによって変わってきます。税務調査が実施される前に、自ら間違いに気づき、修正申告をした場合は、税務調査で指摘を受けてから修正申告を行う場合に比べて税率が軽減されるのです。
確定申告の対象となる税金は、納税者が自ら納税額を計算して、納付を行う申告納税制度を原則としています。自主的に修正申告書を提出し、誤りを認めて訂正する姿勢は、意図的に過少に申告したわけではないと捉えられ、悪質性が低いとみなされるのです。
修正申告書を提出するタイミングによって、過少申告加算税の額は次のように変わります。
<税務調査で指摘を受けた後、修正申告を行う場合>
・不足分の税額が50万円又は期限内申告税額のいずれか多い方以下の部分 10%
・不足分の税額が50万円又は期限内申告税額のいずれか多い方を超える部分 15%
<税務調査の事前通知を受けてから、自主的に修正申告を行う場合>
・不足分の税額が50万円又は期限内申告税額のいずれか多い方以下の部分 5%
・不足分の税額が50万円又は期限内申告税額のいずれか多い方を超える部分 10%
<税務調査の事前通知を受ける前に、自主的に修正申告を行う場合>
税務調査の事前通知を受ける前に、自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税は課されません。
修正申告については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
<関連記事>税務調査前に修正申告はした方が良い?やめるべき?
延滞税は、法定納期限から納付が完了した日までの日数に応じて計算されます。延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月までとそれ以降で大きく変動します。令和8年の場合、納期限の翌日から2ヶ月までは2.8%、それ以降は9.1%です。
修正申告を行った場合は、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間は、延滞税の計算から除外されるルールがあります。また、修正申告の場合は、修正申告書を提出した日が納期限となるため、修正申告書を提出した日までは低い税率が適用されることとなります。
税務調査の前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税は課されません。また、延滞税の負担も抑えられます。したがって、すでに提出した申告書の間違いに気が付いた場合は、できるだけ早く修正申告を行うことが大切です。
確定申告書を確定申告期間内に提出したものの、申告額が少なかったことに確定申告期間を過ぎてから気が付いた場合は修正申告をし、不足分の税金を納付しなければなりません。
修正申告は、修正申告書を提出することで完了しますが、複数の所得がある場合や金額が多額に上る場合などは、作成が難しい場合もあります。書き方が分からず、修正申告書を提出できないうちに税務調査が入ると、過少申告加算税の納付が求められ、税負担が大きくなります。
税理士法人松本では修正申告のご相談も承っています。修正申告書の書き方が分からず、お悩みの場合にはお気軽にご相談ください。
-免責事項-
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
30秒で完了かんたん税務調査リスク診断
←前の記事
所得税を納め過ぎたときの更正の請求とは。期限や書類の書き方を解説
あわせて読みたい記事
税務調査
税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!
専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。